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2026.03.21
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カテゴリ: 読書案内



【 小野不由美 / 鬼談百景 】


平成10年に現在の居住地に、建売住宅を買って現在に至る。
当時は真新しく、親戚や友人らからうらやましがられたものだが、二十数年も風雨に打たれ続けた我が家も、あちこち綻びができて来た。
一人居間でゴロゴロしていると、ピシッとかカタッとか、物音がする。
その音源は不明。
息子は外出中で、屋内は自分一人のはずなのに、はて・・・?と考え、「家鳴りかな?」と結論を出す。
それだけこの家も古くなった証拠なのだ、仕方がない。
とは思いつつも、こう頻繁に二階で、いるはずのない人の気配がすると、怖気が走る。
息子が在宅の際には、居間で、思わず2人顔を見合わせる。
「なんだろうね?」
「ヤバくね?」
一瞬だけそこに意識はいくものの、すぐにテレビの方に向き直るのだから、楽観主義にも程がある。

そんな折、小野不由美の『鬼談百景』を読んだ。
内容は、タイトル通りではなく、九十九話の怪談が収められた、現代の怪談本である。
とは言え、『雨月物語』のようなおどろおどろしさはなく、モダンで読みやすい。

作者の小野不由美は1960年生まれで、こちらのサイトの筆頭管理人と同い年である。


大谷大学文学部卒。
作風は主にラノベを中心に展開しているが、代表作に『十二国記』があり、歴史ファンタジー小説なども手掛けている。

今回読了した『鬼談百景』は、読者の体験談をもとに作ったショートショート作品集とのこと。
そのため一話一話が短くまとめられているので読み易い。
背筋の凍るような恐怖感はないけれど、「なんだかわからないけど、ちょっと怖い」的な内容となっている。
私が特に好きなのは、「遺志」と「軍服」である。
「遺志」は、父親が亡くなった後に起きた不思議な現象について。
「軍服」は、ミリタリーグッズを収集する変わった趣味を持つ男について。
前者は、なんとなくホッとするような
アットホームな感じさえするのに比べ、後者は、本当に怖いのは幽霊などではなく、生身の人間の方だと警鐘を鳴らしている。

興味深いのは、巻末の解説を稲川淳二が寄せていることだ。
稲川淳二と言えば、かつてはイジられキャラのお笑いタレントだった。(80年代)
また、自らを恐妻家として、気の小さい弱々しい夫を演出して(?)、お茶の間を楽しませてくれた。
それがいつ頃だろうか?
怪談芸人へとシフトしていくのだ。
そんな稲川淳二が、一端に解説を担うだなんて・・・ちょっと驚きを隠せない。
これはあくまで私個人の感想として聞き流していただきたいのだが、『鬼談百景』そのものよりこの稲川淳二の解説を読む方に意義を感じたのだ。(つまり、怪談入門として効果的なレビューとなっている)
日常生活の中にひっそりと息づく不思議な出来事や、昔から伝わる迷信的な噂話。
どこまでが事実で、どこからが作り話なのか、ぼんやりと曖昧なこと。
そういう小説が廃れつつある現代。
昨今の人は「事件の怖さは分かっても、怪談の怖さが分からない」と言う。
稲川淳二は、怪談を知ることで、生きていく上での大切なことが分かると語っている。
この怪談ストーリーテラーの稲川淳二の解説に、触れるだけで何となく日本の怪談文化が分かったような気持ちになるのだから不思議だ。

小野不由美の『鬼談百景』は、万人が許せる範囲の怖さを提供してくれる、ショートショート作品集なのだ。

『鬼談百景』小野不由美・著(角川文庫)

※筆頭管理人記す
さて冒頭で吟遊さんは、ジャージ姿で読書に勤しんでいるわけですが、その所以は!
何やら思うことがあったようで、吟遊さんはこのごろ体操に励んでいるのです(^^;)
歩いたり跳ねたりするのは誠に結構なことですが・・・
寅さんの主題歌がふと頭をよぎりましたとさ。プププ



★吟遊映人『読書案内』 第1弾(1~99)は コチラ から
★吟遊映人『読書案内』 第2弾(100~199)は コチラ から
★吟遊映人『読書案内』 第3弾(200~ )は コチラ から


20130124aisatsu





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最終更新日  2026.03.21 08:00:07


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