《櫻井ジャーナル》

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2013.01.05
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カテゴリ: カテゴリ未分類
 NATOがトルコに配備しつつある「愛国者ミサイル」システムを操作するため、アメリカ軍部隊がトルコに入ったようだ。少なくとも6部隊はシリアとの国境近くに派遣され、まずミサイルの設置場所を調査するという。

 この地対空ミサイルのシステムを配備する目的は、シリアからのミサイル攻撃に備えることにあるとされている。が、「ミサイル防衛」が機能するとは思えず、実際の目標物は航空機だと考える方が合理的。160キロメートル以内を飛行する航空機なら撃ち落とすことができる。

 反シリア政府軍を攻撃するシリア軍の戦闘機を撃ち落とす、要するに飛行禁止空域の設定がシステム配備の目的だとも言われている。つまり、愛国者ミサイルで守ろうとしているのは反シリア政府軍。その主力はサウジアラビアやカタールに雇われた傭兵。NATOなどの訓練を受けている。

 例えば、一昨年の春、政府軍に対するゲリラ戦が始まった当時から、トルコにある米空軍インシルリク基地で反シリア政府軍は訓練を受けている。教官はアメリカの情報機関員や特殊部隊員、あるいはイギリスとフランスの特殊部隊員。トルコ政府はシリアを攻撃する拠点も提供してきた。

 また、昨年10月までの時点でアメリカやイスラエルはヨルダンで反シリア政府軍の戦闘員を訓練し始めたと伝えられている。訓練にはヨルダン、アメリカ、イギリスの軍人、あるは情報機関員が立ち会い、対戦車ミサイルのコブラや携帯式の対空ミサイルのスティンガーを含む武器の扱い方を教えている。

反シリア政府軍を訓練する施設がヨルダンには5カ所以上 あり、アメリカ、イギリス、フランス、チェコ、ポーランドの教官がいるとされている。反政府軍に武器を提供しているのは湾岸産油国のサウジアラビアやカタールで、その中にはイスラエル製の武器も含まれているようだ。

 反政府軍の主力はシリアの外から入ってきた傭兵だが、その中で中心的な役割を果たしてきたのがムスリム同胞団と結びついているサラフィ派。各地でゲリラ戦を展開しているのはサラフィ派を隠れ蓑に使った「ジハード(聖戦)勢力」だとする指摘もあるが、ここではとりあえず「サラフィ派」と表現する。

 サラフィ派は歴史的にサウジアラビアの国教になっているワッハーブ派と密接な関係にあり、各地で展開されているゲリラ戦でアル・カイダ(データ・ベース)と協力関係にある。アル・カイダの「顔」だったオサマ・ビン・ラディンはサウジアラビア王室と結びついている一族の出身であり、その面からもサラフィ派とアル・カイダは結びつく。 シリアの反政府軍とアル・カイダの結びつきを示す映像 もインターネット上では流れている。

 アル・カイダを含むイスラム武装勢力は1980年代にアメリカの情報機関や軍を中心にして、パキスタンやサウジアラビアが協力して創設された。ソ連軍と戦う手駒として使うため、資金や武器を提供し、武器の使い方や戦術などを訓練している。

 その当時、アメリカ政府はイスラム武装勢力を「自由の戦士」と呼んでいたが、ソ連が消滅してから役割が逆転、今では「テロリスト」の代名詞のように扱われている。その テロリストをNATOはリビアの体制転覆作戦で地上軍の主力として利用 、その構図はシリアでも続いている。

 例えば、シリアのホウラでの虐殺。当初、「西側」はシリア政府軍、あるいは親シリア政府軍の仕業だと宣伝していたが、現地を調査した 東方カトリックの修道院長 はサラフィ派や外国人傭兵が実行したと報告、ドイツの フランクフルター・アルゲマイネ紙 も同じ趣旨の内容を報道している。シリアでの戦闘が長引くにつれ、こうした構図は明確になり、サラフィ派/アル・カイダの残虐行為を「西側」も隠しきれなくなっている。

 そのサラフィ派は「アラブの春」でも重要な役割を果たしている。ここにきて「勢力が伸長している」のではなく、活動が表面化、あるいはメディアが報道し始めただけのことだ。2001年9月11日の攻撃から6週間後には作成されていた アメリカ政府の攻撃予定国リスト には、イラク、イラン、シリア、リビア、レバノン、ソマリア、スーダンが載っていたとウェズリー・クラーク元欧州連合軍最高司令官は語っている。

 2000年代に入ると、 地中海の東側、エジプトからギリシャにかけての海域で膨大な量のエネルギー資源が発見された 。USGS(アメリカ地質調査所)の推定によると、天然ガスが9兆8000億立方メートル、原油が34億バーレルだ。この発見が「アラブの春」やギリシャの「債務危機」を引き起こした一因だとする見方もある。

 ジャーナリストの シーモア・ハーシュ によると、2007年初頭までにアメリカ政府は攻撃の矛先をレバノン、シリア、イランに向け、秘密工作を始めていたという。この方針転換を指揮したのがリチャード・チェイニー副大統領を中心とする勢力。

 この時点までにアメリカ政府は、イスラエルやサウジアラビアとこの戦略転換について話し合っていたようだ。イラク情勢の悪化を受けてのことだとされていたが、2001年の段階で作成されていた計画通りに動き始めただけのことである。

 イスラム武装勢力はコソボなど旧ユーゴスラビアでの戦闘、つまり国家解体プロジェクトにNATO側の一員として参加、チェチェンでもロシア軍と戦っている。さらに戦線を北や中国との国境近辺に移動させる動きもある。これからもNATOの手駒として活動しそうだ。





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最終更新日  2013.01.06 02:14:13


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