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いろいろ難解でしたけど、雰囲気としてはよかったですよ。恐れ入りますが、詳細はこちらへお願いします。
2012.04.24
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先月末に試写会に行ってきました。今年のアカデミーを席巻した作品、いよいよ今週末公開ですね。恐れ入りますが、続きはこちらへどうぞ (*^_^*)
2012.03.30
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原題: L'AMOUR FOU/YVES SAINT LAURENT - PIERRE BERGE, L'AMOUR FOU監督: ピエール・トレトン 出演: イヴ・サン=ローラン 、ピエール・ベルジェ・・・・続きはこちら。<お知らせ>このブログは、ミラーブログです。2011年4月19日以降、トラックバックが入らなくなります。コメント・トラックバックはgooブログの方にお願いします。
2011.05.01
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原題: AWAY WE GO監督: サム・メンデス 出演: ジョン・クラシンスキー 、マヤ・ルドルフ 、ジェフ・ダニエルズ 、マギー・ギレンホール 、アリソン・ジャネイ鑑賞劇場 : ヒューマントラストシネマ渋谷公式サイトはこちら。「監督主義プロジェクト」第3弾。・・・・続きはこちら。<お知らせ>このブログは、ミラーブログです。2011年4月19日以降、トラックバックが入らなくなります。トラックバックはgooブログの方にお願いします。
2011.04.06
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原題: AGORA監督: アレハンドロ・アメナーバル 出演: レイチェル・ワイズ 、マックス・ミンゲラ 、オスカー・アイザック 、マイケル・ロンズデイル、サミ・サミール鑑賞劇場 : 新宿ピカデリー公式サイトはこちら。こちらも確か3月5日公開ということで、歴史系&女性の生き方系ということで、予告からツボをぐりぐり押しまくりな作品だったんで、絶対に行きたかったんですけど、震災があってねえ・・・。それどころではなくなってしまった。そうこうしているうちに近所での上映がなくなってしまって、新宿しかないじゃん f^^;仕方ないのではるばる行きました。 でもこれわざわざ行って本当によかったです。 観る価値あり。・・・・続きはこちら。<お知らせ>このブログは、ミラーブログです。2011年4月19日以降、トラックバックが入らなくなります。トラックバックはgooブログの方にお願いします。
2011.04.06
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原題: WE FEED THE WORLD監督: エルヴィン・ヴァーゲンホーファー 出演: ジャン・ジグレール 、ピーター・ブラベック 、カール・オトロック鑑賞劇場: シネマ ジャック&ベティ公式サイトはこちら。ずーっと気にはなってたんですけど、食系の映画は結構観てるしなあ・・・などと思いながら鑑賞が延び延びになってて、ですが自宅のエリアが計画停電になっちゃう夜、何もすることがないので、そしたら観に行って来ようかな? と思い行って来ました。「食の社会見学シリーズ第2弾」ということで、もう1つの『フード・インク』(これも行かなくちゃなんだけど)もあったんだけどそれは間に合わず・・・(うっ) でもこれもそのうち行きますよ。世界の食から、食糧事情を取り巻く問題を考えていく・・・ というのは、これまでの食関係の映画でも見られた手法です。中でも『いのちの食べかた』は、ナレーションは無言のままで映像で衝撃を与えていきますが、本作はその手法を取り入れつつも、ナレーションとエピソードを観客がつなげて、結論を導き出していくタイプの映画です。感情に訴えずにデータや現実のみを突き付けてくるので、『いのちの食べかた』で記憶に残っているシーンなども裏付けられ、そしてそこから類推することができます。大方の食関係映画が指摘するように、巨大資本が食市場の利益を席巻しており、その結果、企業の利潤に即したやり方で食物が生産され、それが私たちの口に入るやり方になっています。その農作物の栽培の方法、企業の言い分、そしてその狭間で苦しむ人たち、というような構成になっています。 どれがどういう風に連鎖しているのか、という詳しい説明はないので、それを結び付ける作業は観客に委ねられますが、表裏一体のエピソードが出てきますのでその作業は比較的容易でもあります。この映画の一番の特色は、感情に訴えずにデータや現実のみを 突き付けてくる。そしてそこから類推させるという方法です。 巨大資本、そしてその下で働く経営者たちにとってはもう、食べ物がもう食べ物として扱われず、モノなのですね。 食べ物自体にもとは命があったということを考えていない人たちが、営む農業。 それはもはや農業ではない。 作物が実に無機質に見えてしまうんですね。 食糧がありあまっている一方で、当然バランスとして発生している「飢餓」。 ここに出てくる飢餓もむごかった。 ブラジルの熱帯雨林がもうどんどん壊滅的に開発されてしまっているのだけど、 その恩恵を現地人はほとんど受けることはなく、また彼らに政府も手を差し伸べることもない。 食べ物がなく、近くの泥だらけの湧水で汲む水が唯一の生命線だけど、 果てしなく汚れているその水を飲む、1歳くらいの乳児たち。 飲ませると、当然ですが子どもは美味しそうに飲むのです。 その、何の菌が入っているか分からないような水を。 そしてその飲み残しを母親が、祖父が飲む。 見ていて本当にやりきれない気持ちでいっぱいになります。 ネスレ会長のオーストリア人のセリフ、 「世界はますます豊かになって、食べ物で困る人はいない」的なセリフの前に出てきた、 ブラジルの一家のお話が皮肉です。 何も感じない人間たちが作る製品は、およそぬくもりというものが感じられない。 そのことに対して、本当にいいのか? と声を上げることすら虚しくなるような、コンツェルンが立ちはだかる世の中です。 映画からは真実を知ることも確かにできるのですが、その反面、この取り組みに対して私たちがしていけることが本当に食事情をよくしていくことができるのだろうか? とも思えてくる。オーガニック製品を消費者が求めたとしても、そこにまた巨大資本が介入し、狭間で苦しむ人が発生してしまうのではないか。その連鎖が生まれることが一番残念なことなのです。★★★☆ 3.5/5点
2011.03.16
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原題: UN HOMME, UN VRAI 監督: ジャン=マリ・ラリユー、アルノー・ラリユー出演: マチュー・アマルリック、エレーヌ・フィリエール、ピエール・ペレ、フィリップ・スネル、アイタナ・サンチェス=ギヨン、ミシェル・ピコリ上映会場 : 東京国立近代美術館フィルムセンター現代フランス映画の肖像 ユニフランス寄贈フィルム・コレクション 『運命のつくりかた』 ページはこちら。動画はこちら。これ1月9日にマチューの舞台挨拶つきのがあったんですが、予定が合わず&根性もなく行けなかった・・・ ああ行っとけばよかった(笑)貴重なチャンスだったけど、ま、仕方ないです。滑り込みセーフにて鑑賞できました。「恋人どうしを演じた赤の他人二人が、恋に落ち、別れ、今度は赤の他人どうしを演じる」という触れ込みなんですが(フィルセンのサイトより)、ほんとにフランス映画らしいシチュエーションでしたね。あれで恋に落ちる! って、フランスなら本当にありそうですもん。そんなもんかあ・・・ と思って気楽に眺めることができるのは他人の特権ですね(笑)とにかくこの映画で目を引いたのは、マチュー・アマルリックという俳優そのもののスペック。いやはやびっくりしました。スタントも使ってはいるんでしょうけど、実際にロッククライミングも挑戦したんでしょうし、約10年前とは言え、それが可能だった肉体を作ってたっていうのがもう。きっとマチューは貪欲な方なんでしょうね。 最近では監督業でも活躍中ですし。駆け出し映画監督助手のボリスと、企業幹部のマリリンは、PR映画プレゼンの場で逃避行も辞さないくらいの情熱的な恋に落ちた、それが倦怠期になってお互いの主張が強くなってうまくいかなくなった、別れた後の、あり得ない場所での再会・・・ ということなんですが、まあこれも話の範疇と考えて(笑)むしろ、気がついてないふりをして、雷鳥(でしたっけ?)に敢えて感動させられてしまうというのも彼らにとっては想定外なんでしょうね。1か所、最後の最後、ゲレンデのシーンが分からなくて。あれはこれからまた始まるの? と考えると、今までの彼らのお話が全て演技だったってことなのか? そこが疑問になってしまいました。ここでくっつけてしまうから、フランス映画は分かりにくいと言われてしまうような気もする。普通に終わらせてもよかったと感じました。それもありましたが、話の意外さ? には十分持って行かれましたので、よしとします(笑)今日の評価 : ★★★☆ 3.5/5点
2011.02.26
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原題: THE KING'S SPEECH監督: トム・フーパー 出演: コリン・ファース 、ジェフリー・ラッシュ 、ヘレナ・ボナム=カーター 、ガイ・ピアース 、ティモシー・スポール試写会場: よみうりホール公式サイトはこちら。急に試写にお誘いいただきました。 ありがとうございます。アカデミー賞大本命と言われてますんで、やっぱり外せませんよね。そしてこの映画を語るに当たっては、当時の英国王室の状況を知ることは不可欠と言ってもいいでしょう。知らないで観ても別に構いませんけど、話に置いていかれる可能性は大。(苦笑)というか歴史でやりますよね。 「世紀の恋」とか。ジョージ6世 wikiエリザベス・バウエス=ライオン(王太后:The Queen Mother) wikiエドワード8世(ウィンザー公爵) wiki映画の中では、この血縁関係の間柄はさーっと描かれていますが、実際はね。 いろいろあったんだと思います。何故ジョージ6世が吃音になったのか、幼少期からのことを読むにつけ、彼ら兄弟が置かれた状況の特殊さということを十分考えたとしても、これはかなり気の毒な環境だったし、また当時の方針が彼に合っていなかったんでしょう。 不幸なことです。そして、本作のベースとなったエピソードであるところの、ジョージ6世の妻となったエリザベスが言語障害の専門医(ライオネル・ローグ、ジェフリー・ラッシュの役)を夫につけたことも史実。ただし「エリザベス王太后の存命中はこれを明らかにしてほしくない」という王太后の希望があり、大衆向けの公演(演劇とか映画(→本作も)とか)は彼女の死後に行われています。ということでほとんど史実のため、話を崩しようがない前提がありますから、本作は「ジョージ6世が直面した難題」、すなわち吃音を取り巻く話を丁寧に描くということに専念しています。これはある意味正しいと言えましょう。一国の王の演説が聞き取れないのでは、国民の士気に関わる訳ですし。まして当時はTVは大衆にまで行き渡りませんでしたから、音声だけが全てといってもいいでしょう。予告にもありますが、ジョージがヒトラーの演説の映像を見て、「何を言っているかわからないけど、彼はうまい」と言います。指導者たるもの、民衆の心をとらえないと支持はされないという意味ですが、当時、第2次大戦前の一触即発の状況だったことを考えると、吃音を克服したい彼の心情も理解できます。とは言っても、生来の引っ込み思案な性格、加えて吃音コンプレックスもあるジョージにとっては、克服は並大抵ではない。王族の一員であるというプライドもそれを邪魔する。そこで生きてくるのが、ライオネルの方法論でありまた彼の性格でもあったりする。何かを成し遂げようとする時に、余計な垣根やプライドはいらないし、実はそれを取り除くことが最も難しい。そこを、「信頼」で乗り切って行ければ、ということです。ジョージの奥底に眠るトラウマを引きだしたことは、ライオネルにとって、信頼に足る人物と認められることになります。人間誰しも何がしかの触れられたくない事情を抱えながら生きるのは当然だけど、そこをさらけ出すことはなかなかない。 さらけ出す人も選ばないといけない。そのような人に、ライオネルがなれたのも、ジョージにとっては幸運だったのではないでしょうか。コリン・ファースの演技は素晴らしかったですね。彼がアカデミー取るかな?そしてジェフリー・ラッシュもですが。ガイ・ピアースの、即位1年足らずで王位を去るエドワード8世役。 華やかだけどどこか浮わついている感じも適役です。あと個人的に素晴らしかったのはヘレナ・ボナム=カーター。 彼女自身も上流階級の出身なだけに、最近のコスプレみたいな役ではなくて、ここで真価を発揮していたのでは?毅然として動じない、そして策を練る。 それでいて夫には尽くす女性。ロンドンが戦火にさらされても疎開せず民衆と苦難を共にして、ヒトラーから「危険な女性」と恐れられた肝の据わったエリザベス王太后。 なかなかしっかり者でしたたかだったんでしょう。ジョージに、彼女のような、人の心を捉える女性がついたこともまた幸運だったんだと思います。まさにヘレナならではの役というか。 そこに一番共鳴しました。史実ということで、割と淡々と進んでしまいますし、悪く言えば「崩しようがない作品」です。 そのままです。なのでこれは今年の作品の中では、myランクのすごく上位には来ないと思います。『ソーシャル・ネットワーク』のように、奇を衒うというか、あっと驚く展開というものはそうありませんが、そこは俳優陣の演技で見せていく作品と言えましょう。Queen's Englishの、流れるような言語の持つ美しさも改めて感じることができます。今日の評価 : ★★★ 3/5点
2011.02.16
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原題:PEAU NEUVE 監督:エミリ・ドゥルーズ出演:サミュエル・ル・ビアン、マルシアル・ディ・フォンゾ・ボー、カトリーヌ・ヴィナティエ、クレール・ヌブ上映会場:東京国立近代美術館フィルムセンター現代フランス映画の肖像 ユニフランス寄贈フィルム・コレクション 『新しい肌』 ページはこちら。「現代フランス映画の肖像」、ずっと行こう行こうと思っていたのですが、この日が初参戦となってしまいました・・・ほんと忙しかったんですよね。何だかんだと相変わらず用事が入るし。 見逃したのはすごく多くて残念なんですが、こうして観たものは記録したいと思います。サミュエル・ル・ビアン、私結構好きでして、出会いは『DISCO』です。なんか、コメディアン? かと思うくらい面白くて、その次彼をスクリーンで観たのは、『ジャック・メスリーヌ』。これも出番は少しだったけどなかなかシブかった。他のも観てみたいなあ。。本作はDVDは日本でもないみたいで、やっぱり貴重な作品です。タイトルの"PEAU NEUVE"、こちらはフランス語で「新しい肌」ってなるみたいですが、同時に、生き方を新しくするって意味にもなるんでしょうか。まさにそういった感じのストーリー。今までの、親子3人でのつましい生活を続けてもよかったのに、いきなり妻子を置いて遠方に転職するなんて。。「ブルドーザーの運転くらいしか、職はないから」と言われたアランが本当にその仕事に向いていたっていうのも、偶然と言えばそうなのかもしれないけど、そこに、男ならばみんな持っている「ロマン」を見出してしまったアラン。まるで、今まで見たこともないおもちゃでも見つけてしまったような感じなのかもしれません。自分の居場所はそこにしかないと思う一方で、次第に疎遠になって行く妻子のことも、自分が選んだ結果なのにどこかやるせなく、八つ当たりしてみたりする。でもまあ、妻子にしてみればこれほど身勝手な大黒柱もないわけで、気持ちが違う方に向いていってもしょうがないんでしょうね。アランの同僚で、若いけど不器用で、自分をうまく表現できない男がいる。彼なんかは言うなれば「どんくさい」感じだったりして、子どもっぽく憤慨したしもして、どこか周りと違うアプローチしかできないところに本人も歯痒かったりするのだけど、そんな「はみだし者」の彼に親身に接するアラン。ここに出てくるエキストラの中には、本当に就職センターに通っていた人たちも参加しているというエピソードを聞き、約10年前のフランスの世情を思うとともに、世の中についていけない人間に対しての温かい目線を感じる。いつまで経っても大人になりきれない男たちへの賛歌でした。今日の評価 : ★★★★ 4/5点
2011.02.12
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原題: MOTHER AND CHILD監督: ロドリゴ・ガルシア出演 ナオミ・ワッツ 、アネット・ベニング 、ケリー・ワシントン 、ジミー・スミッツ 、サミュエル・L・ジャクソン公式サイトはこちら。昨年9~10月の、第7回ラテンビート映画祭出品作品。そこで鑑賞したかったのですが、新宿で1回しか上映がなく、やむなく日本公開待ちとなりました。もう待ち切れず(!)、初日に行って参りました。印象としては、一昨年myランキング第1位の作品、『あの日、欲望の大地で』にテイストが似ていたかなーという気がするのです。女性がいかにして、母となっていくのか。原題 "Mother and Child" でもあるように、これは「母と子」、とりわけ「母と娘」の話である。単に母親になりたいのなら、誰でもなれる。 しかしながら、自分が母親から最も遠い存在なのではないだろうか、いやむしろ、「母親」という存在自体を嫌悪していた自分が、期せずして母親になることになってしまったら。その事実をどのように受け止めればよいのだろう。生後すぐに養子に出されてしまったエリザベス。両親の顔も、存在すらも知らずに1人で生きてきた。絶対に母親にはならない、そう思って生きてきた彼女に訪れた妊娠という出来事は、彼女の心境を変えていく。<以下ネタばれを含みます。 見えない部分は反転させて下さい。>エリザベスの生き方、というか生きる上での「信条」、それは徹底して自立していくこと。 人に依存しないこと。1つところに、自分が帰れる場所を作らない。 帰る場所などいらない。根無し草の自分にとって、今さらそんな場所を作ってみたところで、一体何になるのだろう。というよりも、「人に頼らないこと」、「1か所に根を下ろさないこと」という生き方そのものが、彼女自身の中に、まずありきとして植わってしまっている。例え根を下ろしたところで、それはどうせ脆いものだから・・・ というあきらめのような気持ちがあったのだろう。誰かを当てにしたところで、それが根底から裏切られてしまった時には、一体何を拠り所にすればよいのだろう。裏切られて失望するくらいなら、最初から帰る場所など、なくても構わない。親から愛情をかけてもらえなかった自分を、まるで痛めつけるかのようにエリザベスはこれまで男性と交わってきたのではないだろうか。卵管結紮してまで、しかも(恐らくは)魅力的でもタイプでもなんでもない男性とまで、すぐに何の衒いもなく交渉を持ってしまうその裏側には、「望まれて生を受けなかった自分から、次代ができることはあり得ない」という意識があったのではないだろうか。人と愛を育んでいくことは、愛を知らない自分なんかがしたって意味のないこと。そのように思っていたのならば、エリザベスにとって大変不幸なことだと思う。そのエリザベスを、生後間もなく養子に出した側の母、カレンもまた、実の母との間がしっくり行っていない。普段の生活から垣間見ることができる頑なさ、そこからは、実の母が娘を理解できず、また娘も母からは愛されていないというあきらめにも似た表情が読みとれる。そしてこの映画に出てくるもう1組の母娘、ルーシーたちもまた、互いの想いがかみ合っていない。やっぱり実の母娘って難しい。お互いに十分思いやって愛しているはずなのに、その想いが濃いあまりに空回りしてすれ違ってしまうことが何と多いことか。女性であれば恐らく誰もが、妊娠ということが自分の中に起こったなら、そこで立ち止まって、様々なことに想いを馳せるはずだけど、本当に思いもよらない妊娠という事実を突き付けられ、エリザベスの心境はいかばかりだっただろう。あんなに嫌悪していた「母」に自分がなるなんて。でも、命を胎内に宿したこと、それが彼女を変えていく。本来なら気にもかけなかった人とも、何故か心を通わせる気になったのも、まだ見ぬわが子がきっかけになってくれたから。それにしてもエリザベスの自立心というものには驚かされる。自分自身の危機かもしれないのに、そこで誰かを頼った方がいいのに、それが彼女にはわからないのかもしれない。生まれた時から「人に頼らない」主義だった彼女にとって、「何が何でも子どもを自然分娩で産みたい」ということもまた、彼女なりのこだわりだったのだろうけど・・・。でも、前置胎盤で自然分娩というのはなかなか難しく、そこに彼女が頑固にもうなずかなかったのもね。 気持ちはわかるのですが。エリザベス、カレン、ルーシーが結びついていく過程も、考えようによっては出来過ぎと思わなくもないけど、1つの命が、3組の母娘たちをつなぎとめたと考えると、1人の人間ができることって大きいと思います。少女から大人の女性、妻、母と、それぞれのステージで立ち止まって考える女性たちの姿は、感慨深いものがあります。また、養子の在り方についても本作はさまざまな角度から描いています。一口に養子と言っても、受け入れ側や提供側、仲介者など、それぞれの立場ならではの想いがあり。何がその子にとって最もいい方法なのかを考えた上の選択であっても、後々になって、思わぬ結果が出てしまうことを考えると、目の前の感情や事情に流されて養子に出すことの重みも、思わざるを得なかった。とにかく、多彩な側面からの物語でした。非常によかったです。今日の評価 : ★★★★★ 5/5点
2011.01.15
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原題: TAKING WOODSTOCK監督: アン・リー出演 ディミトリ・マーティン 、ダン・フォグラー 、ヘンリー・グッドマン 、 ジョナサン・グロフ 、ユージン・レビイ試写会場 : 九段会館公式サイトはこちら。「Director’s Driven Project(監督主義プロジェクト)」の第1弾として、明日1月15日(土)から、ヒューマントラストシネマ渋谷にて公開される本作品。一足お先に試写にお誘いいただきました。 ありがとうございます。もともと気になってはいましたのでうれしいー。ウッドストックは、イベントは知ってましたけど当時の曲はほぼノーチェック。ということでハッキリ言ってそんなに馴染みはないです。原題が "TAKING WOODSTOCK" なだけに、音楽でガンガン楽しんじゃえ! とかっていうノリではないんですね。むしろ「語り」なのかなあ。この主人公のエリオットの成長物語的な側面も持ち合わせつつも、ウッドストック誘致までと、その模様を伝えている。どっちがメインなの? って思ってしまう人も多いかもしれません。肝心のコンサート場面はほとんどわからない状態なので。。。版権料の関係なのか? って考えると少々哀しいものがあるのですが、ここはやはり、エリオットの自立がメインと考えた方がよさそうです。いつまでも親の束縛下にはいられない、いたくない。そんな彼の羽ばたきたい気持ちを感じることができます。いい子のお面をかぶり続けることに疲れた、いやむしろそんなもの、ない方がいい。ウッドストックを通じて彼が学んだのは、音楽ではなくて、そこに集う人たちの考えでしょうね。とは言っても、"Lucy in the Sky with Diamonds" 的なシーンも出てきますので(ここは綺麗だったよ)、やっぱりR-15でしたっけ? 制限はかかってしまいますが・・・。こんなに自由に振る舞うことが許されるのか・・・ と、エリオットも目からウロコだったように思う。そのテイストを楽しむ作品ですね。ただ、考えているよりもストーリーは割と平坦です。リーヴ・シュライバーが出てきた時は「おっ!」って思ったんだけど、意外とおとなしかったねえ・・・。そして音楽はBGM程度で考えておいた方がいいかも・・・。 最も、当時のことにお詳しい方なら十分に楽しめると思います。今日の評価 : ★★★ 3/5点
2011.01.11
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原題: UNSTOPPABLE監督: トニー・スコット出演: デンゼル・ワシントン 、クリス・パイン 、ロザリオ・ドーソン 、ケヴィン・ダン 、ジェシー・シュラム公式サイトはこちら。もともと子どもたちが電車が好きな「テツ」で、その影響で私も若干鉄分多め(笑)私も子どものころから、クルマの移動というよりは電車に親しんできたのでそういう意味でも電車の映画は好きです(笑)ただしこれは電車とはちょっと違って貨車ですから。トーマスの世界とは違うよねえ。この作品、『サブウェイ123』とかと同シリーズみたいなんだけど、そっちは未見。「通算5回目となるトニー・スコットとデンゼル・ワシントンのコラボレーション」ってことなんですけど、私はお初です。どうやら『サブウェイ123』が低迷したので『アンストッパブル』の資金調達ができず、危うく製作されなくなるところだったみたい。で。結構、いーんじゃない? っていうのが率直な感想。何がいいって、コンパクト。99分という尺がちょうどいい。 こういう作品はダラダラしてはいけません。スパっと進んでスパっと終わることが重要だと思う。ひょんな、どうでもいいことがきっかけで起こってしまう貨車の暴走は、「事故と呼ばれるものが人災である」ことの恐怖を知らしめます。ちょっとした気の緩みや、怠慢、そして偶然が重なって、大事故につながるんだなということがよくわかる。もっとも全てがそんないい加減な人ばかりではなく(あの事故原因の男はホントに「いらない」感じだったね)、現場で献身的に働いているにも関わらず、ベテランを評価せず首を切り、若手をどんどん採用して行ってしまうのは、日本でもそうですね。そこのところのジレンマを、デンゼル・ワシントンがうまく表現してました。ベテランが職場で先輩風を吹かせるのがいやだから・・・ とベテランたちと距離を置いてしまいがちな若手でも、それぞれに悩みがあり、それはベテランとシェアできるものだったりもする。それがフランクとウィルにもあった。家族としっくりいってない、そんなことはありふれているけど、もしかしたらもう2度と家族に会えないかもしれないという想いが、この2人に決断をさせ、勇気を与えたのではないだろうか。一歩間違うと大変古くさくなりがちなこのテーマを、さらりと仕上げてスピード感をつけ、社会風刺もしているという、1本でかなりお得感があった作品なのでした。今日の評価 : ★★★★ 4/5点
2011.01.10
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原題: LOOKING FOR ERIC監督: ケン・ローチ出演: スティーヴ・イヴェッツ 、エリック・カントナ 、ステファニー・ビショップ 、ルーシー・ジョー・ハドソン 、ジェラード・カーンズ鑑賞劇場 : ル・シネマ公式サイトはこちら。<Story>郵便局員のエリック(スティーヴ・イヴェッツ)は、出て行った2度目の妻の連れ子のライアンとジェスと3人で暮らしている。ある日、パニック障害の発作を起こしたエリックは、交通事故を起こす。元気の無いエリックを局員たちが励ますが、エリックの気分は晴れない。その夜、エリックが部屋に貼られたサッカー選手エリック・カントナのポスターに愚痴をこぼしていると、突然、部屋にカントナ(エリック・カントナ)が現れた。カントナはエリックに前向きに生きていくよう諭していく。エリックを探して?-?goo?映画<感想>これと、『海炭市叙景』とで迷ったんですけど、同じル・シネマなのでこっちに。 『海炭市叙景』は来年観ます^^本作、結構面白いという方が多いですよね。子どもも鑑賞したいって言ってました。エリック・カントナ についてサッカーって正直そんなに詳しくないのです。子どもたちの方がオタク級の詳しさなので、彼らの方がこの映画は楽しめるかも?まあでも基本、これはファンタジーですね。いきなり「突然、部屋にカントナ(エリック・カントナ)が現れた。」とかってあり得ないもん。 笑でも、自分にとってのスーパースターが自分の味方になってくれたり、アドバイスしてくれたり、一緒にいろんなところ行ってくれるなんて、うらやましいぞ。主人公のエリック(何故か同じ名前)、これがまたしょぼい。予告にもあったけど本当にショボすぎる。同僚の郵便局員さんたちがみんないい人だなあ。というか、いいオヤジ(笑)意地悪な人がいないっていいですね。そしてカントナも、超いい人。オヤジの悲哀をわかっているから、オヤジはオヤジ同士で助けたくなるんでしょうかね。こんなにいいオヤジたちなら一緒に闘いたい!最後も予定調和ではありますが、カラっと笑って楽しめる、気分のいい作品でした。今日の評価 : ★★★★ 4/5点
2010.12.28
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原題: BUTCH CASSIDY AND THE SUNDANCE KID監督 : ジョージ・ロイ・ヒル出演 : ポール・ニューマン 、 ロバート・レッドフォード 、 キャサリン・ロスTOHOシネマズ午前十時の映画祭『明日に向って撃て!』ページはこちら。<Story>1890年代の西部。家畜泥棒と銀行強盗が稼業の2人組のガンマン、ブッチ・キャシディ(ポール・ニューマン)とサンダンス・キッド(ロバート・レッドフォード)は、同じ盗人仲間のハーベイ・ローガンらの誘いにのって、列車強盗を試み、大金をせしめた。この後ブッチは、銀、錫などの鉱山資源の豊富なボリビアへ行って荒稼ぎしようと、サンダンスを誘う。そしてスペイン語のできるサンダンスのガール・フレンド、女教師のエッタ(キャサリン・ロス)も交えて、彼らはボリビアへ向かう。が、ボリビアはブッチの想像とは異なり大変な貧乏国で、2人はたちまち銀行強盗に戻る…。明日に向って撃て!?-?goo?映画<感想>先週の『スティング』で、ポール・ニューマン&ロバート・レッドフォードのコンビに結構参ってしまった私(笑)2週連続ですので当然これも鑑賞です。そして当然ですが、ここでもロバート・レッドフォード=ブラピとしか認識できなかったわ(笑)似過ぎてる・・・苦手な西部劇なのでどうかなあ・・・って思ったんだけど、ただ単にバンバカ撃ち合うだけじゃない。運命に流されていくしかない破天荒さ、己を律することができないいい加減さと、それによって生じるほろ苦い後悔、そして姿の見えない強力な追跡者に追われる緊張感。いろいろな要素が盛り込まれているにも関わらず、話全体がスッキリしている。そして、この名場面。この曲はここから来ているんでしょうかね。雨なんて一滴も降っていない、燦々と降り注ぐ太陽の下、無邪気に振る舞うブッチとエッタ。この後、追い詰められて逃げ場を失っていくとも知らずに、束の間の時間を楽しむ姿が、その後の展開を観た後だとより一層幻に感じる。明日をも知れない身の上だというのに、とても呑気な策略を繰り出すブッチ。風の向くまま気の向くままがうまくいっている間はいいけど、どこかで糸がほつれた時、運命が崩壊に向かう瞬間というものがあるんだな・・・ と。サンダンスは本当に子どものように生きている。 その銃の腕だけを頼りにして。そんな2人が、ぶっきらぼうに見えても互いをかばい合っていく姿は同情ができないはずなのに、何故か心惹かれるものがありました。今日の評価 : ★★★★★ 5/5点
2010.12.18
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原題: AMELIA監督 : ミーラー・ナーイル出演 : ヒラリー・スワンク 、 リチャード・ギア 、 ユアン・マクレガー 、 クリストファー・エクルストン 、 ミア・ワシコウスカ(TOHOシネマズ1か月フリーパス鑑賞 6本目)公式サイトはこちら。<Story>1928年、乗客として大西洋を横断した初めての女性アメリア・イヤハート(ヒラリー・スワンク)は、パブリシストで後に夫となるジョージ・パットナム(リチャード・ギア)と組んで、著書の出版や講演会など様々なプロモーション活動を展開し、人気セレブの地位を確立する。1932年、今度は自らが操縦桿を握り女性初の単独大西洋横断を達成する。これを皮切りに大陸横断、太平洋横断と次々に記録を塗り替えてゆく。そんな彼女の最大の夢は世界一周飛行だった。アメリア 永遠の翼?-?goo?映画<感想>こちらも早く観たいと思っていた作品。この日は別の映画を観る予定でしたけど、そっちに向かう電車がラッシュや事故で動かなくなり(苦笑)、観る予定の映画をあきらめて、こちらに回りました。どっちみち、アメリアも行く予定でしたしね。アメリア・イアハート wiki彼女はアメリカでは英雄扱いのようです。初めて女性で大西洋を空路で単独横断、それはもうヒロインだと思います。『ナイト ミュージアム2』にも出てきましたので覚えてます(エイミー・アダムスはちょっと可愛い感じ)。それに比べると、こちらのヒラリー版アメリアはそっくり。髪型もそうだけど、雰囲気が似てる。アメリアの、「空を飛びたい」っていう気持ちが何にも増して最優先、っていうのはよくわかるんですが、パットナムとの出会いから映画が始まるため、彼女のバックグラウンドがよくわからないんですよね。話によると、アメリアはパットナムとの前に結婚歴があるらしいのですが、映画の中では幼少の記憶しか出てこないため、このあたりのことがわからなかった。人生のそういうことも、もしかしたら空を飛ぶことの動機に繋がっているかもしれませんのに・・当時のアメリカにとって、女性はまだまだ地位が低い存在で、飾り物的な意識だったのが窺えます。きちんと一人前に接してもらいたいアメリアと、そうはしてくれない男社会とのギャップ。パットナムは果たして、アメリアを純粋に愛していたのか? とも思いたくなります。「アメリアをサポートする」がための結婚ということも当然あったかもしれません。アメリアとジーンとのことも今一つよくわからなかったし、ジーンをパットナムがどう思ってたのかも(よくはないと思うけど)今一つはっきりせず。。ユアンがもったいない使われ方のように思えちゃいまして。アメリアはアメリアで、パットナムを本心から愛していたのかな? という風にも思えちゃいます。ラストでは愛しているようにも感じましたけど、結婚の動機はそれとは別だったのでは?と勘ぐってしまいそうです。史実をもとに淡々と描かれていますので、それで十分という感じもしてしまいます。かといって脚色しすぎる訳にもいきませんしね。『レオニー』といいこれといい、時代を先取りした実在の人物の映画化は難しいです。今日の評価 : ★★☆ 2.5/5点
2010.12.10
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原題:LA NUIT AMERICAINE監督:フランソワ・トリュフォー出演:ジャクリーン・ビセット 、 フランソワ・トリュフォーTOHOシネマズ午前十時の映画祭『映画に愛をこめて アメリカの夜』ページはこちら。<Story>フェラン監督(F.トリュフォー)による新作映画『パメラを紹介します』がクランクインした。だが、キャストはノイローゼ気味のハリウッド女優ジュリー(J.ビセット)に神経質すぎる男優、契約違反となる妊娠がばれてしまった新人女優、と問題児ばかり。また、スタッフ間にも問題が続発していた。フェラン監督は果たして無事映画を撮り終えることができるのか……。<感想>本作に関しては全く予備知識がなく、ただ単にタイトルと簡単なあらすじ(あんまり読んでないけど)、「午前十時の映画祭」のサイトに出てたスチール写真の感じの良さだけを頼りに行って来ました。ジャクリーン・ビセットも初めて観ます。これ・・・ すごい。 ものすごく自分のツボに来ました。群像劇ってもともと好きなのですが、映画制作を映画にするっていうのがまず面白い。 映画の内情をばらしているようで。エキストラも交えての撮影シーンの撮影(笑)は本当に大変だったと思います。アルフォンスが地下鉄から出てくるところとかね。 どれか1つでもズレてはいけないから。『映画に愛をこめて アメリカの夜』wikiwikiを読むと、この映画の中に、他の映画に対してのいろいろなオマージュがあるようです。それは、映画として作られたものだけではなく、トリュフォー監督の実体験に基づくことも織り交ぜられていて、その遊び心がまた楽しく、元ネタを分かっている人ならなおのこと楽しめるし。劇中劇のストーリーも、この作品のあらすじにかぶっているのも面白い。 妻を横取りされてしまう男の話、これがそのままアルフォンスにも降りかかってくる。監督が「自分の分身を演じる人物」と見ていたジャン=ピエール・レオがこのアルフォンス役で、そう考えるとアルフォンスの奇妙な行動も、監督の本音を表しているのかもしれません。そしてジュリーの取った行動も、あの時はそれが本当に最善だと思ってやったことだろうと思うし。あんなに美しく魅力的な女性に慰められるのは、男の理想でしょう(笑)ジュリーの夫の、博士の行動も何かとても素敵。ともかく登場人物たちが、映画製作という共通項を持ちながらも、己の思うがままに生きている部分が魅力的なんです。性格も、また「映画」に対してのスタンスも本当に人それぞれ。ある人は俳優として、またある人はスタッフとして。時にいい加減に、怠惰に、でもいつも真剣に考える人たちもいて。映画よりも恋を優先させるっていうのも、フランスっぽくて何だかうなずけますね。そしてお約束のように起こるハプニングや、事件の数々・・・そういう人たちを取りまとめていく監督の苦労もわかってくれよ! っていう、トリュフォー監督の切実な(笑)本心なのでしょう。そうして、いつもいつも、すったもんだあるものの、完成して行く映画。 その喜びもきちんと伝わってきます。中でも印象に残ったのは、フェラン監督のこのセリフ。「俳優は傷つきやすい。 何故ならいつも批評にさらされているから。だから、みんなで集まってその時を楽しんで作るんだ」だったと思う(正確じゃないけど)。これを聞いて思い浮かべたのは、現在公開中の『クリスマス・ストーリー』。正直、きちんと捉えきれてない部分もあったこの映画、どうしてみんなが集まってすったもんだする? とも思うんだけど、それでも、傷ついた心をどこかで休めたくて、集ってるんだな・・・と。作られた意図はもちろん異なるとは思いますが、そんな共通項をここにも見出すことができました。『アメリカの夜』では、映画に対しての愛、そして映画を通じての人間模様、たっぷり堪能しました。今日の評価 : ★★★★★ 5/5点
2010.12.08
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原題: GOING THE DISTANCE監督 : ナネット・バーンスタイン 出演 : ドリュー・バリモア 、 ジャスティン・ロング 、 クリスティナ・アップルゲイト 、 ジェイソン・サダイキス 、 チャーリー・デイ 、 ジム・ガフィガン 鑑賞劇場 : 109シネマズMM横浜公式サイトはこちら。<Story>ニューヨークの新聞社へ研修に来たジャーナリスト志望の女子大生・エリン(ドリュー・バリモア)は、ギャレット(ジャスティン・ロング)と出会う。二人は付き合い始めるが、研修が終わったエリンが地元のサンフランシスコに戻ったため、遠距離恋愛の関係に。大学卒業後、ニューヨークでギャレットと暮らす予定だったエリンに、サンフランシスコの新聞社から内定が出た。ニューヨークの新聞社に就職できる見込みはなく、内定を蹴ればジャーナリストへの道は断たれてしまう…。遠距離恋愛 彼女の決断 - goo 映画<感想>これもぼんやりしていたら終了間際で、慌てて行って来ました。『そんな彼なら捨てちゃえば?』がもう好きなんで、ここに出てた俳優さんはみんな好き。この2人好きなんですよね。付き合って破局したけど、結局元鞘に収まってこの映画ができたそうです。すごーく現実的ですよね。 この映画。 遠距離恋愛って逢えない分、テンションを保つのが本当に難しいです。相手が今、何をしているのか?そんなこと考えだしたら絶対に続きませんって。。。嫉妬深かったり、短気な人には向いていません。で、真剣に成就させようと思ったら、「どっちかが何かを妥協しないと成立しない恋」ですので、誰かが何かをあきらめざるを得ないもんね。どっちが、何を折れる? というところで大抵揉めちゃう。折れないでそっくりそのまま続けられればいいのにね・・・。この映画、下ネタが苦手な方にはちょっと・・・かもしれませんが、私は全然OK(笑) というか、そんなもんじゃないですかね!?ギャレットの友人たちの下ネタギャグ、あれも独身男だったらあんなもんでしょうね。 『ハングオーバー!』みたいなノリだと思えば。エリンの姉夫婦のお茶目さ、ギャレットの友人たちのハチャメチャさも笑えますが、根底にあるのは2人を本当に心配する気持ちなのです。だから時にはシビアなセリフも言ってしまう。 けど基本的には愛すべき人たちですね。彼の元へ、NYへ行きたいけど、そうすると自分が望むことは叶わない。全く今あるものを捨てて、相手のところに行って一からやりなおし、その中で暮らしたとしても、結局自分が不遇なのを相手のせいにしてしまってうまくいかなくなるのは目に見えています。自分が、エリンだったら? ギャレットだったらどうする? って、身につまされますね。それでも相手が好き、離したくない、離れたくないって思えれば、その恋は成就していくんだと思います。そのために手段も考えるし努力もするから。そんな健気な部分がすごく好きな作品でした。*********************************今日の評価 : ★★★☆ 3.5/5点
2010.11.10
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原題:Essential Killing監督/プロデューサー/脚本/原作:イエジー・スコリモフスキ出演:ヴィンセント・ギャロ エマニュエル・セニエ 第23回東京国際映画祭『エッセンシャル・キリング』ページはこちら。<Story>アフガニスタン駐留の米軍に捕えられたモハメド(ヴィンセント・ギャロ)は、ヨーロッパの秘密の拘置所に送致される。しかし乗っていた車が衝突し、自由の身となったモハメドは、雪に覆われた森に逃亡する。そこは彼が知る砂漠の故郷とはかけ離れた世界だった。公式には存在していない軍に容赦なく追跡されるモハメドは、生き残るために殺すことを迫られる。(TIFF公式サイトより)<感想>先日、ラテンビート映画祭でも鑑賞した『テトロ』のヴィンセント・ギャロが主演ということで、興味を惹かれました。この監督の作品は初めてです。たぶん、この監督さんやヴィンセント・ギャロのファンにとっては本作はその世界に(たぶん)はまってるんだろうと思いますので、好きになれるんじゃないかなと。ただねえ・・・ ごめん、自分にとってはこれ、「エッセンシャルだからキリングする」としか見えなくてー。最初はアフガンだったのに最後はいつの間にかロシアにいるし。 って、移動しているからそうなったのかもしれませんが。 ちょっと不思議。。。もう鑑賞して結構時間経つので、印象に残らないと覚えてないんですよ。恐らく色使いのコントラストとか、そういうところが評価されるのかもしれません。ですが雰囲気としては、『ザ・ロード』を思いだしてしまいました。生きるからしょうがない、っていうのは、その中にいる人間なら仕方ないのかも知れませんが、それを見る方はかなりしんどかったっていうのが正直なところでした。今日の評価 : ★★ 2/5点
2010.10.28
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原題:Winter's Bone監督/脚色:デブラ・グラニック原作:ダニエル・ウッドレル 出演:ジェニファー・ローレンス ジョン・ホークス ケヴィン・ブレズナハン デイル・ディッキー ギャレット・ディラハント シェリル・リー ローレン・スイーツァー テイト・テイラー 第23回東京国際映画祭『ウィンターズ・ボーン』ページはこちら。"Wineter's Bone" Official Site (英語です)<Story>17歳のリー・ドリー(ジェニファー・ローレンス)は、自分の保釈金を確保するために持ち家を利用して何の痕跡も残さずに失踪した父親を探すことになる。彼女は自分の家を失ってしまう可能性に直面し、オザークの森へと向かう。そしてアウトローの親族が掲げる沈黙の掟に挑戦し、家族を救うために自らの命を危険にさらすことになる。彼女は親族による嘘や口実、さらには脅しを耐え抜き、バラバラの情報を繋ぎ合わせて真実を知り始める。(TIFF公式サイトより)<感想>この主役の女の子、どっかで見たことある・・・ と思ったら、去年私がmyランクで第1位に挙げた、『あの日、欲望の大地で』の、ジェニファー・ローレンスじゃないですか!でも最初わからなかったんですよね。 あまりにも前作とイメージが違いすぎて。役柄のせいもあるんだけど、こちらの方がすごく老けて見えるかも。DSC04207 posted by (C)rose_chocolatとてつもなく暗~いお話で、上映時間の9割くらいは救われない話なんで、そこでもうギブアップする人も出るかもしれません。ですけど、とにかく、ジェニファー・ローレンスがすごいのよ。 彼女。とんでもなく体当たりな演技です。痛々しいくらい。。。ネタばれになるので、よくやったなと書くしかないです。 この若さで。「この世の地獄」って言葉があるとするならば、たぶんこの状況もそう呼べるかもしれません。17歳の若さで青春を謳歌することもなく、ただひたすら家のこと、明日のことを考えないといけない人生なんて、普通の人なら気が狂ってるかとっくに投げ出している。でもこの誰も助けてくれない状況が、アメリカだったらたぶん現実にも存在するんだろうと思えるところがまたリアルで恐ろしくもある。そしてリー・ドリーを取り巻く人たちの顔がまた恐ろしい。何でみんなこんなに怖いの? って見てて素直にそう思ってしまうくらい。。。 雑な、歪んだ、邪悪な魂が宿る人間たちってこういう顔になるんだなと。「ゾンビ」ってよくわからないけど、実は普通の人間のなれの果てなんじゃないかと思わせる実例みたいなキャストたち。。。(役でやってるんだろうけどね)オザーク高原という土地の持つ特性も影響しているのかもしれませんね。どことなく原始的なものや、自然崇拝が残っていそうな風土のようです。 それゆえに地域での関係も密接になるところから、本作の悲劇も生まれています。普通なら死んでしまいたいと思う状況でも、リー・ドリーはとても冷静で、まるで10年早く大人になってしまったようにも見える。もっともそうさせてしまったのは家族だけど。弟妹は絶対に守る、家を守る、その心だけが彼女を動かします。何も恨まず、ただひたすら淡々と。全てを受け入れていく彼女が悲しくもあり、偉大でもある。 自分のなすべきことだけをやっていって見えてくるかすかな希望の光。 その一筋の光を頼りに、また彼女たちは立ちあがっていくんだろうなと思わせるラストでした。ジェニファー・ローレンスの底力に感動させられます。今日の評価 : ★★★★☆ 4.5/5点
2010.10.27
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原題: Waste Land 監督: ルーシー・ウォーカー出演: ヴィック・ムニーズ 第23回東京国際映画祭『ヴィック・ムニーズ/ごみアートの奇跡』ページはこちら。<概要>現代芸術家ヴィック・ムニーズが故郷ブラジルに戻り、南米最大のごみ処理場で働く若者たちと出会い、彼らと新たなアートを模索してゆく。約3年間キャメラは彼らを追った。 (TIFF公式サイトより)<感想>いよいよこの日から第23回東京国際映画祭(TIFF)が始まりました。今年はかなり気合を入れてチケット取りまして。。。日本未公開作品中心に鑑賞予定。この合間に一般公開作品も鑑賞予定なので、日記書けるかなあ・・・? 笑ぼちぼちUPしていくのでどうぞお付き合いください。DSC04206 posted by (C)rose_chocolat本作はTIFFの初日に行われた、naturarl TIFF部門出品作。今年はnaturarl TIFF部門はセレクトパスにしたので、5作品鑑賞できます。地味ではありますが、この分野はなかなか骨のある作品が多く、また日本での一般公開も少ないので、自分としては狙い目なジャンルだったりします。これ、セレクトの段階でどうしようとも思いましたけど、スケジュールの関係で、これを埋めないと5作品行かなくてもったいないから観ようかな? 程度の関心。ごみ問題にもそれなりに関心はありますので、これなら行けるかな? くらいの感覚です。ヴィック・ムニーズについて(英語ですがこれがいちばん詳しそうでした) 楽天さんでも商品がない。。。w彼について知ったのは正直本作が初めてです。映画の中では「異質な素材を使用してコンテンポラリー・アートの作品を作る作家」ということでした。 材料の例として挙げられていたのが、砂糖・チョコレートシロップ、などなど。最初にその例がちょっと映っており、すごい。。。と思ったのですが。この映画がもたらしてくれたものは、そんな言葉では表せないくらいの感覚でもありました。ブラジルの中産下層階級の家庭に生まれたヴィック・ムニーズ。階級社会が、外側から見るよりも締め付けがきついブラジルにおいて、中産下層階級というのはどんなものか。 彼自身の言葉を借りるならば、それは決して裕福で余裕があるものではなく、気を抜いたり運が悪ければ一気に下層階級へ転落する可能性もある、ということだろう。では下層階級になるとどうなるのか。先日、このblogでもラテンビート映画祭関連の日記を挙げましたが、あの中のいくつかの作品の描写にもあったように、男は麻薬の買人、女は娼婦になるのが、最も手っ取り早く生活資金を多額に稼げる方法となる層なのかもしれない。しかしそれは多くのトラブルや犠牲が付きまとう。それを避ける1つの方法として、本作で取り上げているように、ごみ最終処分場において、リサイクルできる素材を現地で回収する「回収人」になる選択をする人々がいます。↑の動画でもあるように、本当にごみに埋もれながら、素材を人間が、その手で1つ1つ拾っている。それを見てどう思うのか。 それは個々の人間が置かれている環境にもよるのかもしれません。元々ヴィックは「自分のアートを見てもらうことで、一瞬でもいいから別の世界にその人を導くことができたら」という動機でアートを始めたのかもしれない。それは決して間違いではないし、そのことを歓迎する人たちもたくさんいるだろう。しかしながら、このプロジェクトに、回収人本人たちに参加してもらうことは、思いもよらなかった方向に彼らを導いた。本人たちは、自分自身を過小評価する必要もないことに気がつき、自信を持つ。そしてヴィックも、日常のありのままの姿でありながらもアートの力で変身した彼らを見て、自分が実は「上から目線」で彼らや物事を見ていたことに気がつく。人がアートの中で変身し、実際に人生も変わっていく過程を見ている方も、意識が変化していく様子が素晴らしい。それぞれの人生には困難は降りかかる。 それを乗り越えて、自分の足で歩いて行く彼らに素直に感動できる。今日の評価 : ★★★★☆ 4.5/5点
2010.10.23
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原題: SENNA監督 : アシフ・カパディア 脚本 : マニッシュ・パンディ 出演 : アイルトン・セナ 、 アラン・プロスト 、 フランク・ウィリアムズ 、 ロン・デニス 、 ヴィヴィアーニ・セナ 、 ミルトン・ダ・シルバ 、 ネイジ・セナ 公式サイトはこちら。<Story>F1ドライバーとして3度のワールドチャンピオンを獲得し、世界の頂点に登り詰めたアイルトン・セナ。1960年3月21日、サンパウロで生まれたセナは、4歳にしてカートに夢中になり、プロレーサーを志す。トールマンからカーレース最高峰のF1デビュー。その後ロータス、マクラーレン、ウィリアムズへと至る名門チームでの変遷を大迫力のレース映像やプライベート映像で振り返る。また、その華々しい経歴の陰で、チームメイト、アラン・プロストとの確執やFISA会長バレストルの政治的圧力に苦悩する日々を、自身のインタビュー、マクラーレンチーム監督ロン・デニス、アラン・プロストを始めとするレース関係者、家族、恋人の証言をもとに浮き彫りにしていく。そして、運命の1994年5月1日~イモラサーキット・タンブレロコーナーで、セナは34年という短い人生に終焉を迎える。少年の頃の夢を忘れなかった世紀のカリスマ・ドライバーは、音速の世界でひとり、自らの命を犠牲にしてまで何を追い続けていたのか?アイルトン・セナ ~音速の彼方へ - goo 映画<感想>F1は正直そんなに興味はないのですが、一世を風靡したセナの名前はわかります。シネコンで大規模にドキュメンタリーがかかるのは珍しいので鑑賞してきました。場内はやっぱり男性が多いですね。アイルトン・セナについて彼の生涯を順を追って説明しているので、彼をよく知らない人でも概略はわかるようになっている。最初のアマチュアのカートレース時代。後年当時を振り返って、セナは、「あの頃は純粋にレースを楽しんだ。金も政治も絡まない」と述べている。この場合の「政治」とは、「スポーツ界における政治」のこと。当時同じマクラーレン所属でライバル関係にあった、アラン・プロストとの確執や、他にも本作に出てこないところでの諸々が、彼に逆風となる。「音速の貴公子」という肩書きも付くほどのドライビングテクニックと、華々しい戦績が世界中で彼のファンを増やした裏側で、彼は葛藤と常に戦う日々だった。彼を縛る規定や、他のドライバー間の軋轢、マシン不調から来るチームやメカニックに対しての不振、それらのものが彼から「レースの純粋なる楽しさ」を奪っていったように思えてならない。最も、「優勝しか考えていない」とは、そういうことなのかもしれない。他を追い落とすことと引き換えに、手元に残った深い孤独。諸刃の剣のような競技生活だったのではないだろうか。そして映画は彼の運命の日へと徐々に進んでいくが、この1994年第3戦サンマリノGPは、実に重苦しい空気が漂っており、それがスクリーンを通しても観客に伝わってきてしまう。次々とクラッシュするドライバー達。 そして予選でのローランド・ラッツェンバーガーの死。本当にこのレース、呪われているとしか思えない。同じものを背負っているだけに、コースでは例えライバルであっても、仲間のクラッシュは精神的に大変ダメージが大きいのだろう。日付が表示されるたびに、彼が死に向かって走っていくようで、観ている方も言葉がなくなってくる。生前はどんなに思うことがあろうとも、二度と戻らないとわかって、レーサー仲間もセナに対しては畏敬の念というのか、そういう気持ちなんだなというのもよくわかる。 棺を担ぐプロストは印象的でした。彼の周辺の人々、ブラジル国民、世界の彼のファンの深い悲しみが伝わってきます。ところどころ日本のTV映像も挟まれていて、若かりし頃の岡田美里さんがセナにインタビューするシーンなどは懐かしい。そしてセナの死を伝えるフジテレビの三宅アナ、解説の今宮純さん、レポーターの川井一仁さんの3名が、セナの死を男泣きで伝えているところなどは、こちらも無念な気持ちになりました。 この映画で一番心に残った場面です。**********************************今日の評価 : ★★★★☆ 4.5/5点
2010.10.20
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原題: Abel監督:ディエゴ・ルナ出演:クリストファー・ルイス・エスパルサ、カリナ・ギディ、ホセ・マリア・ヤスピック鑑賞劇場 : 横浜ブルク13第7回ラテンビート映画祭 公式サイトはこちら。<Story>9歳の少年アベルは、父親の失踪後、心を閉ざして人と話すことをやめてしまう。母はそんな息子を心配するが、ある朝、アベルは突然話し始め、自分は子供たちの父親だと言い出す。アベルの大人びた振る舞いに戸惑いながらも、家族は次第にアベルを頼りにし始める。そんな時、2年ぶりに父親が帰ってきた…。大人の都合に翻弄されることを拒否したアベルの心の揺れを丁寧に描いている。メキシコ映画界を代表する人気俳優ディエゴ・ルナのフィクション監督作品第一弾で、2010年のサンダンス映画祭やカンヌ国際映画祭で上映され、好評を博した。(第7回ラテンビート映画祭 公式サイトより)<感想>『レボリューション』にも短編を出している、ディエゴくんの長編作品です。同じ映画祭で2つ観れるのはとてもお得感あり。彼の俳優としての役は、割とシュールな感じが多そうですけど、監督作品としてはファンタジックな部門が多い感じがします。意外かもしれませんが、それでバランスを取っているのでしょうか。これも子どもが主役です。アベルの小さな世界・・・ という邦題は本当にそのもので、彼は自分の狭い世界の中で懸命にふるまっている。その原因ははっきりとは示されてはいないけど、父がいなくなった日から、自分は家を支配する男になりきり、最初から父親はいなかったことにしておきたいのだろうか。周囲も、普通なら困惑するところだけど、ついアベルに合わせてしまう。 というか、周りに合わせさせることが自然な雰囲気をアベルが醸し出しているのが不思議。ここに登場する大人たちも身勝手なことは確かで、故にアベルは自分がしっかりとみんなを守らないと、という使命感があったのだろうか。だがそういつまでも大黒柱のふりが通る訳ではない。ちっちゃな可愛らしい弟くんも巻き込んでの事態となってくると、最早今までのような世界では生きていけなくなる。それまでの行動を、意識しつつもしていたのか、あるいは全く無意識にしかしていないのか、その境界はわからないけど、現実に戻るアベルの瞳が、大人たちに無言の抗議をしているような気がしました。幼い故の無言の抗議。大人たちの犠牲になっている子どもの、精一杯の抵抗かもしれません。今日の評価 : ★★★☆ 3.5/5点結局ラテンビート映画祭では9本鑑賞しましたが、どれもが満足いくラインナップでした。中南米となると、アメリカとの関係もあるため、テーマとして広がりが出てきます。そして人々の関心も広いため、映画として作ると非常に奥行きが出るように感じました。社会的・経済的にもまだまだ課題がある諸国ですが、それを題材にした見事な作品も多く。自分としては来年以降もチェックしていきたいと思いました。
2010.10.10
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原題: THE EXPENDABLES監督・脚本 : シルベスター・スタローン 出演 : シルベスター・スタローン 、 ジェイソン・ステイサム 、 ジェット・リー 、 ミッキー・ローク 、 ドルフ・ラングレン 、 スティーブ・オースティン 試写会場 : ヤクルトホール公式サイトはこちら。<Story>自らを消耗品と名乗り、同じ刺青を入れて鉄壁のチームワークを誇る精鋭軍団。ギャラは高いが仕事は確実、“エクスペンダブルズ”は傭兵業界にその名を轟かせる最強無敵の軍団だ。凶悪なソマリアの武装海賊に拉致された人質を鮮やかに救出した彼らの次なる任務は、南米のヴィレーナという島国の軍事独裁政権を壊滅させること。だが、その依頼はかつてなく危険で実行困難な大仕事だった。ヴィレーナでは、ガルザ将軍の圧政に対し、サンドラという美しき女性闘士が反政府運動を指揮していた。彼女はガルザの実の娘だったが、民衆の置かれている惨状を見て立ちあがったのだった。調査の為にヴィレーナに潜入したエクスペンダブルズのリーダー、バーニー(シルベスター・スタローン)は命の危険にさらされているサンドラを国から脱出させようとするが失敗してしまう。バーニーは依頼の裏にCIA内部の醜い陰謀があることを知り、依頼を断ることにするが、民衆の為に一人闘うサンドラのことが忘れられず、単身ヴィレーナに向うことを決意する。だが、エクスペンダブルズの中に、彼を一人で行かせるような者は一人もいなかった…。[ 2010年10月16日公開 ]エクスペンダブルズ - goo 映画<感想>アクションってほとんど知識ないのですが、ジェイソン・ステイサム目当てて同行させていただき、鑑賞してきました。ありがとうございます。試写会場、男子率高し! しかもガタイがいい方々が多いのは気のせい?スタローンが監督・脚本ということでしたけど、ジェイソンが最後までたくさん出てて満足~。 やっぱり好き^^そして爆破のシーンとかも大胆というかダイナミックというか、発想が面白いよね。丸ごと・・・・しちゃうなんて、へぇって感じです。「同窓会」などという言葉も出ているくらいですので、アクション好きな人なら楽しめるんじゃないでしょうか。 出演者豪華だし。ブルース・ウィリスやミッキー・ロークが割とおとなしい役なので意外でしたが。この日はちゃんと起きてましたけど(笑)、シュワちゃんの役が今一つわからなかったなあ。これだけ出演者を集めるには大変だったろうし、出れる時間に合わせて脚本を作ったようにも思えましたが、それは仕方ないのでしょうね。ストーリーの基本としては大体決まってるような感じで、勧善懲悪です。「ヴィレーナという島国の軍事独裁政権」は、どこかの国をイメージしてるんだと思うんだけど、そこに自浄作用とかロマンスとかを絡めてくるところはなるほどど思いました。そしてアメリカ人のスタンスもこういうシチュエーションだといろいろありますしね。ただ、細かい説明があまりなく進んでしまうともったいない。 例えば「サンドラが反政府運動をしている」みたいなところはもうちょっと何かあってもよかったかも。ともあれ彼らの戦い場面はさすがだなと。 あまりロマンス系に流されてなかったのもよかったです。***********************************今日の評価 : ★★★ 3/5点
2010.09.22
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原題: L'ODEUR DE LA PAPAYE VERTE/THE SCENT OF GREEN PAPAYA監督: トラン・アン・ユン 出演: トラン・ヌー・イェン・ケー 、リュ・マン・サン 、トルゥオン・チー・ロック 、Nguyen Anh Hoa 、ヴォン・ホア・ホイ<Story>1951年、平和な時代のサイゴンの一家に下働きの使用人として、あどけない10歳の少女ムイ(リュ・マン・サン)が雇われていく。その家庭は琵琶を弾く以外、何もしない父(トラン・ゴック・トゥルン)と家計を支え布地屋を営む母(トルゥオン・チー・ロック)、社会人となった長男チェン、中学生の次男ラム、小学生の三男坊ティンに祖母、そして長年この家に仕えている年寄りの女中ティー(グエン・アン・ホア)がいる。ある晩、長男の友人クェン(ヴァン・ホア・ホイ)が一家を訪れ、ムイは彼にひそかなあこがれを抱く。青いパパイヤの香り - goo 映画<感想>12月公開の『ノルウェイの森』の監督が、これを作っていたことを思い出して、やっぱり観ておかねばと予習・復習の意味を兼ねて鑑賞。「平和な時代のベトナム」というところがポイントでしょう。まだベトナム戦争が始まる前の、ゆったりとたゆたうような時間の流れの中で、人々も、そのけだるい時の流れに身を任せているかのような生き方をしている。その中で働く少女が、時を経て大人の女性になり、パパイヤが熟れていくようにやがて成熟していく。。。 という感じです。その時の流れを、美しい映像で描いています。ゆったりとした流れですが、実は話としては切ない要素もたくさん入っています。家族が家族として機能しないことの哀しみだとか、想いが報われないことの理不尽さ、人を責めることの無意味さとか。それらと同じくらいユーモラスな部分もあるので、救われてはいますけど。ムイが美しく成長して、何気ない仕草に官能的な部分を持つところなどはちょっとドキッとします。この監督は全体的に、映像で見せる感じの作風なのかな。言葉ではあまり多くを語らず、雰囲気で察してほしいような。。。 ですので観客は注意深く鑑賞していないといけないですね。何となくこの監督の方向性が分かったようにも思いました。これ、『ノルウェイの森』ではどんな風にするんだろうというのが楽しみ半分、若干不安半分といったところです。 この作風が果たしてあの原作に合うのだろうか?話の展開としては、『パパイヤ・・』よりも『ノルウェイ・・』の方がありそうにも思うので、合えばいいなとは思っています。 *********************************今日の評価 : ★★★☆ 3.5/5点
2010.09.20
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原題: THE PROPOSAL監督: アン・フレッチャー 出演: サンドラ・ブロック 、ライアン・レイノルズ 、メアリー・スティーンバージェン 、 クレイグ・T・ネルソン 、ベティ・ホワイト<Story>ニューヨークにある出版社で書籍編集の編集長を務める40歳のマーガレット・テイト(サンドラ・ブロック)は着実にキャリアを重ねていた。しかしその合理的な働きぶりによって、部下たちからは恐れられる存在だった。ある朝、気難しくて有名な作家からインタビュー番組への出演をとりつけ、自分の意見に従わない男性社員をクビにしていたマーガレットは、会長から呼び出される。カナダ人である彼女はビザの申請を延ばし延ばしにしてきたが、ついに国外退去を命じられたのだ。しかし、ニューヨークでのキャリアを諦めきれないマーガレットは、あるアイディアを思いつく。それは3年間彼女のもとで働き、どんな命令にも従い続けてきた28歳のアシスタント、アンドリュー・パクストン(ライアン・レイノルズ)と結婚するというものだった。あなたは私の婿になる - goo 映画<感想>なんとなーく去年上映時間が合わなくてスルーになってしまった作品。去年の秋もいろいろ忙しかったからなあ・・・TIFFがあるとパスポート消化が間に合わなくなっちゃうんだよね。サンドラ・ブロックといえば今年は『しあわせの隠れ場所』なんだけど、それに比べると、こちらのサンドラはとってもキツく見えたんですよね。まあ、これはキツい役だからしょうがないけど。。。この設定ってまさにアメリカ的、というか、平気で日常誰かをばしばしクビにするなんてことはあまり見かけないし、移民局がらみの問題というのもそうそうない(自分の周りでは)中南米系、アジア系、アフリカ系だけじゃなく、アメリカの移民は、例えばカナダとかオーストラリアなど、同じ英語圏からもあるから、そこを利用したというのも興味深いです。シトカっていう都市は初めて聞きました。すごくロマンチックな風景!水に囲まれて。。。というのも、その土地ならではのエピソードが絶対にあるし、アメリカの大都会だけが世界だと思ってるマーガレットとのギャップが面白い。そして、シトカの人たちが繰り広げる習慣も、おせっかいに見えたりしますが、心がこもっているものだったりします。その心に打たれてしまうマーガレットの変化。彼女がちゃんと物が分かる人間でよかったと思えるんですね。サンドラの相手役のライアン・レイノルズって、この人がスカちゃんのだんなさんなんですね!初めてです^^割と優しい感じの俳優さん?これからも活躍するといいですね~。アンドリューの母親役の、メアリー・スティーンバージェンが、小林千登勢さんにどことなく似てる。。。 母親もおばあちゃんも優しかったですね。ひたすら孫の幸せを願ってるし、家族のきずなは強い。こんな家族に囲まれてしまったら、マーガレットでなくてもみんな好きになってしまいそうです。監督のアン・フレッチャーって誰だっけ? と思ったら、『幸せになるための27のドレス』の監督なんですね。このDVDの最後に「もう1つのエンディング」っていうのがあったんで観てみましたが。。。こっちじゃなくて本当によかった。もう1つのほうだったら本当につまらなくなったと思いました。劇場公開版のほうがまだいい、んだけど、これも何となく盛り上がりというか、パンチに欠けるようにも思うんですが。。。そこをエンドロールで補完しているんだと思うんですが、もともと、本編でしっかり盛り上げないといけないかもしれないよね。 エンドロールは、あくまで本編があり、そこの余韻だと思うので、ここでオチを見せてもなあ。。。 という感じです。物語の閉じ方があんまりうまくない監督さんかもしれないですね。***********************************今日の評価 : ★★★ 3/5点
2010.08.29
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原題: AMADEUS: DIRECTOR'S CUT監督 : ミロス・フォアマン出演 : F・マーリー・エイブラハム 、 トム・ハルス 、 エリザベス・ベリッジ 、 サイモン・カロウ 、 ロイ・ドートリス 、 ジェフリー・ジョーンズ 、 ケネス・マクミランTOHOシネマズ午前十時の映画祭『アマデウス』 ページはこちら。<Story>1823年、冷たい雪が降り積もるウィーンの街。一人の老人が自殺を図り、病院へと運ばれた。老人の名はアントニオ・サリエリ(F・マーリー・エイブラハム)。かつて、宮廷作曲家として王の寵愛を受け、音楽家としての尊敬を集めた人物だった。年老いたサリエリを訪ねた若い神父・フォーグラー(リチャード・フランク)は、サリエリに告白を促す。そしてサリエリは、彼が生涯心に持ち続けた、一人の天才作曲家・ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト(トム・ハルス)への複雑な感情を語り始めるのだった。アマデウス ディレクターズ・カット - goo 映画<感想>いやー懐かしい映画ですよこれ。。。実は学校の映画観賞会でこれを観たのを覚えてまして、それ以来。3時間のディレクターズ・カットがあったんですね。あらかじめキャストをネットで見てから行ったんですが、何とその中に、今やSATCでときめくシンシア・ニクソンがいるじゃないですか!!『セックス・アンド・ザ・シティ』はこちら。『セックス・アンド・ザ・シティ2』はこちら。何の役で出てるんだろう? と思ったら、サリエリに言われてモーツァルトの家に潜入するメイドのロール役でした。若い!!でもちゃんとシンシアでしたね。 当時16~17歳くらいだったんじゃないでしょうか。子役からご活躍なんですね。 しっかりとした演技でした。改めて鑑賞してみる。モーツァルトに対しての狂おしいくらいの嫉妬に囚われつつも、その才能に憧れ、永遠に手が届かないサリエリを演じるF・マーリー・エイブラハム、そして破天荒で楽天的な天才を演じるトム・ハルスの2人の演技なんですよね。この掛け合いに尽きます。モーツァルトについて。映画は、1781年、モーツァルトがザルツブルク大司教に解雇されるところから始まります。彼自身の素行の悪さと、その才能を妬むサリエリらの策略によって仕事を妨害された結果(という説があります)、とにかくモーツァルトは経済的に困窮していたんだということがわかります。本作のように、サリエリが彼を殺したというのは、あくまでもフィクションの域を出ませんが、そう言いたくなってしまうくらいの出来事が実際にはあったのかもしれません。 事実「サリエリがモーツァルトを毒殺した」という噂に、サリエリは死ぬまで悩まされることになる訳ですから。彼が演奏している場面に、彼の浮き沈みの様子がもっとも顕著に現れています。最初、若いころの喝采をさらった日々。そしてヨーゼフ2世の宮廷音楽家をしながら作ったオペラ、『フィガロの結婚』に見られる、脂の乗った時代。そして父レオポルドの死を超えながらの『ドン・ジョヴァンニ』の鬼気迫る指揮。晩年、大衆向けオペラでの、体調悪化の表情。。。その時その時の彼の精神状態が手に取るようにわかる。とりわけレクイエムをめぐるエピソードのなかで、自身の先が見えない状況や、亡き父の呪縛などと絡め、精神的肉体的に消耗してしまう様子が哀れでもある。 モーツァルトの妻・コンスタンツェは、カール・マリア・フォン・ウェーバーの従姉にあたり、音楽にも詳しいと思われるので、ここが少し強調されるとよかったような。。。。 本作ではあまりその部分がなく、単に可愛らしくて世間に少し疎い妻という印象しかないので。(夫に無断で楽譜を持ち出し、サリエリ邸に行く様子などは恐らくフィクションだと思いますが。。)悪妻ということですが、お金に執着があったところや、モーツァルトの葬儀をちゃんとしないなどのところでしょうか。 彼女についてはいろいろな話があるので、一概にどれが真実とは言い切れないようにも思います。サリエリとの執着がいろいろと描かれますが、とりわけ素晴らしいと思ったのは、レクイエムの作曲シーン。頭の中で既に楽曲が完成した状態で出来上がるモーツァルトの天才ぶりを現すのには最適なシーンです。楽曲の完成が早過ぎて、写譜が追いつかない、音楽がイメージできないほどだなんてちょっとカッコいいですよね。サリエリが逆立ちしたって叶わないものをモーツァルトは持っている。神が与えたもうた才能が、その死後までも輝き続け、それを妬んで邪魔をし、追い払った自分には、その苦しみと、永遠に彼に追いつけないことへの屈辱だけが残される。「凡庸なるものの守り神」という言葉をサリエリは使います。それは、凡庸を背負わないといけない宿命であると痛切に感じた人間であれば、心に深く刻み込まれる言葉かもしれません。*********************************今日の評価 : ★★★★★ 5/5点
2010.08.21
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原題: L'ICEBERG/ICEBERG監督・脚本 : ドミニク・アベル 、 フィオナ・ゴードン 、 ブルーノ・ロミ 出演 : フィオナ・ゴードン 、 ドミニク・アベル 鑑賞劇場 : TOHOシネマズシャンテ公式サイトはこちら。<Story>ブリュッセル近郊。フィオナは近所のバーガーショップで働く主婦。ある夜遅く、一人で勤務している途中うっかり冷凍室に閉じ込められてしまう。次の日店員に発見され九死に一生を得るものの、夫のジュリアンも子供たちも家族の誰一人、自分の危険どころか不在にすら気付かず大ショック!(アイスバーグ!)(作品資料より)ルンバ!/同時上映:アイスバーグ! - goo 映画<感想>これもここでしか上映がなく、たまたま時間が空いてポイントもかなり溜まっていたので、2本立てを6ポイントで鑑賞。 結構お得な感じ。ドミニク・アベルとフィオナ・ゴードンの、私生活でも夫妻である道化師コンビによる長編映画第1弾。同じく道化師のブルーノ・ロミを制作に、フィリップ・マルツを共演に迎えている。なので基本的にスタンスとしては面白い。唐突に出現するイヌイットの女性の話すイヌイット語が、とても美しく感じる。(この女性も後の伏線となっているのですが。。。)冒頭のハンバーガーショップ(ここもかなり笑えますが)から、どうしてそのように繋がる!? ってくらい、話が支離滅裂な展開に。。。全ては、あの夜のハンバーガーショップの記憶がいけないのよ。。。 と思いつつも、そんなのありかよ!? って、あれよあれよな展開はさすがコメディアン。でも、本当にこの人たちは捨て身の演技ですよね。 よくやるな。。。笑いを前面に出しつつも、根底にあるのは、夫婦関係の揺らぎです。フィオナがいなくなったことに誰ひとり気がつかず、そして訳を尋ねようともしない。この空気感に耐えられなくなるのも無理はないでしょう。シュールな問題を示しつつも、ラストで登場するイヌイットの女性の屈託のない野性的な表情を見ただけで、日常の細かいことなど全てどうでもよくなってしまう。 それだけの力があの女性にはありました。つまんないことなんてどうでもいいじゃない? そんなおおらかさやパワーを感じた作品です。 アベル&ゴードンたちにいつの間にか圧倒されているんですよね。今日の評価 : ★★★★ 4/5点
2010.08.12
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原題: INCEPTION監督 : クリストファー・ノーラン 出演 : レオナルド・ディカプリオ 、 渡辺謙 、 エレン・ペイジ 、 マリアン・コティアール 、 ジョゼフ・ゴードン=レヴィット 、 トム・ハーディ 試写会場 : 東京国際フォーラム公式サイトはこちら。<Story>ドム・コブ(レオナルド・ディカプリオ)は、人が一番無防備になる状態-夢に入っている時に潜在意識の奥底まで潜り込み、他人のアイデアを盗み出すという、危険極まりない犯罪分野において最高の技術を持つスペシャリスト。コブが備えもつ類稀な才能はこの業界でトップレベルであり、裏切りに満ちた企業スパイの世界において引っ張りだこの存在となっていた。だがその才能ゆえ、彼は最愛のものを失い、国際指名手配犯となってしまう。そんな彼に絶好のチャンスが訪れる。彼が最後の仕事と決めたミッションを果たすことさえできれば、かつての幸せな人生を取り戻せるかもしれないのだ。だがその任務はほぼ不可能に近い「インセプション」と呼ばれるものだった。それは彼が得意とするアイデアを盗み取るミッションではなく、他人の潜在意識に入り込み、ある考えを“植えつける”という最高難度のミッションだった。だが、最高の技術を持ち、細心の注意を払って準備を行ったが、予測していなかった展開が待ち受けていた…。[ 2010年7月23日公開 ]インセプション - goo 映画<感想>ジャパンプレミアに行ってきました。 前日に突然、神からのメールが! またしても降臨。。。「余ってるから行きませんか?」と何とうれしいお誘い☆前日のお誘いで、しかもこの日仕事でしたので、座席引き換えもお願いしてしまい、 今回も全く労せずして座席を確保。。。 当日は手荷物&ボディーチェックが入るというものものしさ。入場にとても時間がかかり大変でしたので、感謝感激雨あられでございます。 お礼に朝焼いたカンパーニュを差し上げたのですが写真撮るの忘れた。。。f^^;ホール内のRサイドのエスカレーターが開演前には動かしてなくて、全てLサイドからの入場になってました。私たちはRサイドのほぼ端っこだったんで、大回りさせられてしまった。R扉も全て締め切り。でもこの謎が舞台挨拶で解けます。プレミアのゲストは渡辺謙さん、何と私たちの座ってたすぐ後ろのドアから登場! だからRサイドを全て閉めて見せないようにしたんですね。謙さん、これがまた、超♪超♪カッコよすぎ。 ほんの数メートル先! すてき~通路側の皆様に握手しながら舞台に上がっておられました。「これって、どんな話ですか?」と誰かに訊かれたら、 「はぁ・・・」と困ってしまうようなお話です、 とのお言葉。 そして、ほとんどCG(グリーンスクリーン)を使わないでセットでの撮影だったそうです。なので撮影は大変でした、ということでした。観てみて納得。 これをセットでするというのは(特にホテル廊下のシーンなんかは)一体どうやって撮ったんだ? と思うものばかり。 凝ってます。人の脳内の、潜在意識の中に侵入してそれを盗む。 それがコブの仕事。 鎮静剤によってターゲットを眠らせて意識の中に入り込み、さらに深い深層心理の「階層」へと引き込み、今度は盗むのではなくインセプション=植えつける。 それが今回コブたちに課せられた指令。 一言で言って、とても映画自体を難解に感じます。もっともテーマ自体はそんなに難しくはないと思うんだけど。階層がいくつもいくつも登場して、 しかもそれが同時進行で話が進み、場面の転換で辛うじてどこからどこまでが同じ階層かが分かる仕組みです。 必ずその階層には、もとに戻れるように残留させる人間がいるのですが、これはパンフを読まないとハッキリ言って分からない。 説明などはあまりなく、またあったとしても一瞬でさささーっと終わりますので、集中力が少しでも欠けてしまうと物語が何となく流れていってしまう危険性があります。 頭の中に別の意識を植え付けられてしまう感覚。 例えば、何かにインスパイアされて、そう感じることもあるでしょう。 しかしその「影響されしもの」が誰かから意図的に仕組まれたものだったら? と仮定すると、この話は少しお分かりになるでしょうか。 普段ならそれを自分の意思で決定していると思いがちですが、 ここではその「意識」は、知らず知らずのうちに侵入させてしまっていることになる。 意識の中に軽く侵入されてしまうとやっぱり怖い、とは思います。 他人にたやすく自分を差し出してしまう訳ですから。 何のために彼らはそんなことをするのか? という疑問が湧いてきます。 実はこの動機こそ、この映画を読み解くカギなのかもしれません。 どうにも抑えがたい動機。 それは、他人の深層心理を操れるという優越感だったり面白さだったりするのではないだろうか。 設計師として雇われたアリアドネ(エレン・ペイジ)の脳内が再現されていく過程なども興味があります。 面白い。 その誘惑に抵抗しがたいものはあるのかもしれません。 ただし、それと裏腹な代償もそこにはある。夢と現実との境界が分からなくなってしまい、誤って現実の自分を消去してしまったり、更に深い階層へと落ちてしまって現実に戻れなくなってしまうパターンです。何が夢で何が現実なのか。その区別をするために、「トーテム」というアイテムが登場するのですが、できればこれが夢であってほしいと思うことは大抵現実で、現実として認識したいことが幻だったり。トーテムを通じて突きつけられる事実もまた残酷だったりします。とにかくいろんな意味で深い映画でした。 個人的にはこちらの方が『ダークナイト』よりも好きかもしれません。 複雑な方が面白いし。 ただその難解さがネックになっている感はあるかも。 もう2回くらい観るともっと分かるかもしれませんね。 キャストで印象に残ったのは、渡辺謙さんとジョゼフ・ゴードン=レヴィットくん。謙さんは堂々たる演技。 そしてジョゼフくんの身体能力の高さには驚きました。エレン・ペイジも大健闘でした。 ベテラン相手に一歩も引けを取ってない。そして、キックの音がこの音楽だったのは、マリオン・コティヤールが主演した、この映画でも彼女が歌っていたことに関連づけたのかしら?それとも単に歌詞が映画の内容に合っていたからでしょうか。「いいえ、私は後悔しない」 ・・・どんなことが起こってもそれはそれとして受け入れる。ここも面白い考察になりそうです。***********************************今日の評価 : ★★★★☆ 4.5/5点
2010.07.15
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原題: CAFE DE LOS MAESTOROS監督 : ミゲル・コアン 出演 : オラシオ・サルガン 、 レオポルド・フェデリコ 、 マリアーノ・モーレス 、 カルロス・ガルシーア 、 ホセ・“ペペ”・リベルテーラ 、 ビルヒニア・ルーケ 観賞劇場 : ル・シネマ公式サイトはこちら。<Story>2006年、ブエノスアイレスの最も古いレコーディングスタジオで、1940年代から50年代に活躍し、アルゼンチンタンゴの黄金時代を築いたスターたちが感動的な再会を果たした。彼らはアルバム「CAFE DE LOS MAESTROS」に収録する名曲を歌うためにこの場所にやって来たのだった。60~70年もの演奏歴を持ち、いまなお現役で輝き続ける、まさに国宝級とも言えるマエストロたち。時を重ね人生の深みを増した歌声が響く中、彼らは激動の歴史とともにアルゼンチンに脈々と生き続けてきた、タンゴの魅力と自らの思い出を語り始める。そして、タンゴの偉大なる巨匠たちがミラノ・スカラ座、パリ・オペラ座と並ぶ世界三大劇場のひとつであるコロン劇場で一堂に会した夜、二度とは観ることのできない奇跡のステージの幕が開く。アルゼンチンタンゴ 伝説のマエストロたち - goo 映画<感想>実はタンゴはそんなになじみではないのですが、音楽系なので一応押さえておこうと行ってきました。1940~50年代のご活躍の方々が、一同に集まって。。。 というドキュメントも同時進行。 ですので最初は少々退屈でした。 インタビュー中心だったので。中盤からのコンサートシーンは盛り上がりがありました。演奏だけでももちろんよいのですが、ブエノスアイレスの街角で、タンゴを踊る老若男女の姿がいい。やっぱりタンゴはおとなしく聴くものじゃなくて「踊るもの」ですよね。 それも思いっきり情熱的に。あの、男女が会話をしているようなダンスにこそ醍醐味があります。それを彩るのが曲。マエストロたちの円熟味がある演奏には凄みさえ感じられます。実体験を踏まえて歌う、演奏するものの中には、真実がある。喜びと哀しみと。。。 全てを乗り越えてきたもの。 それは確実に観客の胸を打ちます。いつの時代にも男女の愛は永遠の課題。。。そんな言葉さえ浮かんでくるようです。ところどころ入る、当時の録画と、若い人たちに自分たちの技術やスピリットを伝えようとするマエストロたちの情熱、そしてコンサートシーンとのバランスは良かったです。思わず踊ってみたくなる感覚に襲われます。終わった後にタンゴに酔いしれちゃいました。 大人の雰囲気で鑑賞してみるといいと思います。*********************************今日の評価 : ★★★ 3/5点
2010.07.13
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原題: THE LAST AIRBENDER監督・脚本・製作 : M.ナイト・シャマラン 出演 : ノア・リンガー 、 デヴ・パテル 、 ジャクソン・ラスボーン 試写会場 : スペースFS汐留公式サイトはこちら。<Story>かつて世界は、4つの王国-気、水、土、火-によって均衡を保っていた。各国には、それぞれ4つのエレメントを操る能力を持つ“ベンダー”が存在し、彼ら“ベンダー” の中で、すべてをマスターした者が“アバター”と呼ばれていた。その“アバター” によって世界の秩序は保たれ、人々は平和に暮らしていた。火の王国が反乱を起こすまでは……。世界に調和をもたらすことができる存在“アバター” になるべくこの世に生を受けた選ばれし者、それは、「気の王国」最後の生き残り、“エアベンダー” のアン(ノア・リンガー)だった。そして今、世界の命運をかけた壮大なトリロジーが始まる……。(作品資料より)[ 2010年7月17日公開 ]エアベンダー - goo 映画<感想>特別試写会に行ってきました。映画前のイベントがあるらしい。東京都理容生活衛生同業組合が協賛ということで、壇上にはドライヤーなどが用意してありました。みんなで、「これは絶対に、アンと同じ頭にするから、お笑い芸人さんが出てきてマルガリータになるに違いない!!」と言ってましたが、そんな安易な(笑)ものじゃなくって、ヨーロッパカップトーナメント・メンズ部門最優秀選手賞 第55代日本チャンピオンの飛田 恭志(とびた たかし) さん がゲストでした。アンの髪型じゃなくって、エアベンダーをイメージしたオリジナルの髪型を披露していただけるとのこと。ご本人も、ご自分のblogにお書きです。さてどんなヘアスタイルなんでしょ?Image125 posted by (C)rose_chocolatモデルさんは3名登場していました。 映画の宣伝の方もいたりして。Image128 posted by (C)rose_chocolat最後はみんなで記念撮影。こういうのにしては珍しく、イベント中は撮影が許可されていて(フォトセッション中は不可)、「カメラ持ってくればよかったね!」とみんなケータイでパチパチ。飛田さんは、「ボクらは『エアベンダー』ならぬ『ヘアベンダー』だから」と、場内を沸かせていました。3名のカットでしたけど手際よく、面白くショーが終わりました。ただの気取った有名人ゲストのトークショーよりも全然面白いよね。そして映画です。さすがに映像は美しいと思います。 2Dでしたがこれでも十分。 というか、3Dメガネが苦手で目が疲れてしまうので(3Dの時はたまにメガネ上げてメガネなしで鑑賞するくらいですから)。これが立体になったらかなりなボリュームになりそうです。4つの国の雰囲気がまるで違ってきますので、それを楽しむにはいいかも。アンくんのノア・リンガーは、目に力があってアクションもすごいです。単純に可愛いし力強い。だけど、子どもならではの未熟さもちゃんと残している脚本になってます。あまりにも子ども離れだとそれも不自然なので、これでいいように思う。水の国の兄妹は、『ナルニア』っぽさを思い出させましたが、私はむしろ、『スラムドック・ミリオネア』に出てきたデヴ・パテルくんが、ここで生まれ変わってたのがとてもgoodだったと思いました。見せ場があって、そして苦悩する部分もあり、今回いい役もらったと思います。まだ若いし、こういう役をステップアップにうまく使うといい感じですよね。あんまり話すとネタばれになるので書きませんが、これ絶対に続編ありますよね~♪というか、そうじゃないと、「?」で終わってしまう設定です。エンドロールのシルエットとかが微妙にこれから先の展開なのかも・・・ なので最後までいてもいいかもしれません。映画自体は、私はこれはこれでフツーに楽しかったです。 途中ちょっとダルいところもありましたが。 「見てないで何とかしなさい!」的なね(笑)エンタメとしては十分合格点だと思います。 次回作出たらたぶん観に行きたいですね。************************************今日の評価 : ★★ 2/5点
2010.07.09
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原題: LES AVENTURES EXTRAORDINAIRES D'ADELE BLANC-SEC/THE EXTRAODINARY ADVENTURES OF ADELE BLANC-SEC監督・脚本 : リュック・ベッソン出演 : ルイーズ・ブルゴワン 、 マチュー・アマルリック 、 フィリップ・ナオン 、 ジル・ルルーシュ 、 ジャッキー・ネルセシアン 、 ジャン=ポール・ルーヴ 、 ロール・ド・クレモン=トネール公式サイトはこちら。<Story>1911年。パリでは、博物館に展示されていた卵の化石から翼竜・プテロダクティルスが孵化し、人々を襲うという事件が勃発していた。ジュラ紀の専門家エスペランデュー教授(ジャッキー・ネルセシアン)が翼竜を甦らせてしまったのだ。その頃、ジャーナリストのアデル・ブラン=セック(ルイーズ・ブルゴワン)はエジプトの王家の谷にいた。仮死状態の妹・アガット(ロール・ド・クレモン=トネール)を救うため、王家に伝わる復活の秘薬を入手しようとしていたのだ。アデルは、発見した医師のミイラをフランスに持ち帰り…。アデル/ファラオと復活の秘薬 - goo 映画<感想>ほぼマチュー目当てで初日に行っちゃいました。 時間が合ったので。ポイントもやたら溜まりまくっておりますのでこういう時に消化、っと。ですが・・・ マチューがいない!どこ? どこですか~?と最後まで分からなかった。 エンドロールでもわからなくてサイトを見たら、ああ、あの役か・・・ とわかります。 出番そんなになかったので。これとにかく睡魔が来てました。いきなり始まっちゃってて、どういう相関があるのかがあまりわからず、それもあってかやっぱり劇中うつらうつら。。。アデルはとにかく綺麗な人で、いきなり突拍子もないアクションもしますということで、それはそれでいいのかもしれないんですが、動機づけが全て後からなんですよね。 なのでそれを考えている間に次に行ってしまう。。。 という繰り返しです。アデルが旅に出たりいろんなことするのも、ひとえに妹(→ 綺麗な人でしたね)の病気(っていうか事故?)を直すためなんですが、さすがにこの展開はあり得ないでしょう・・・? って思ったら野暮くさいのかしら。自分たちのためだけに、いろいろ周りを振り回していく態度には、共感しづらいものがあります。テイストとしては、ところどころ大人なシーン(まさか入浴シーンでああいう風にするとは思ってなかったけど)もあったりで、こういうところはフレンチテイストと言うべきか。あっさりしてますけど、逆に必要な情報もないままだったり、何かアドベンチャーものとしては辻褄が合ってない印象でした。ヒロインのルイーズ・ブルゴワンも、ただ綺麗で威勢がいいだけという印象で、似たような例で元気でインスピレーションを与えてくれたセシル・ド・フランスのデビューの時とはちょっと違ったかなと。 やっぱり彼女にとっては脚本がよくなかった!? 別のジャンルならたぶん輝く女優さんだと思いました。そして。。。 肝心のラスト5分間くらい、睡魔が来てしまって(苦笑) 大体型がついたらあとはもういっか、と思わせてしまう作りも正直ちょっと残念。エンドロールで大半のお客さんが席を立ちました。 日本人の感覚には馴染まない作風かもしれません。 もっともその後に数分映像がありましたので、それ観ないと料金分損かも。**********************************今日の評価 : ★★ 2/5点
2010.07.03
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原題: UN HOMME ET UNE FEMME/A MAN AND A WOMAN製作・監督・脚本・撮影 : クロード・ルルーシュ 脚本 : ピエール・ユイッテルヘーヴェン 出演 : アヌーク・エーメ 、 ジャン・ルイ・トランティニャン 、 ピエール・バルー 、 ヴァレリー・ラグランジュ TOHOシネマズ午前十時の映画祭『男と女』ページはこちら。<Story>アンヌ(アヌーク・エーメ)はパリで独り暮し。夫をなくして、娘はドービルにある寄宿舎にあずけてある。年はそろそろ30歳。その日曜日も、いつも楽しみにしている娘の面会で、つい長居してしまい、パリ行きの汽車を逃してしまった。そんなアンヌに声をかけたのはジャン・ルイ(ジャン・ルイ・トランティニャン)。彼も30前後で、息子を寄宿舎へ訪ねた帰りだった。彼の運転する車でパリへ向う途中、アンヌは夫のことばかり話しつづけた。その姿からは夫が死んでいるなどとは、とてもジャン・ルイには考えられなかった。男と女('66) - goo 映画<感想>存在こそ知っているけどなかなか観る機会がない、というか、観たいけど忘れてしまう映画ってあります。 これもそんな1本。貴重な機会なのでスクリーンで観てきました。いつの時代も男と女の関係は難しく、また悩み苦しむもの。この男女のように、一見障害がない恋のように見えたとしても、その裏側には計り知れない苦悩がある。それはまさに紆余曲折を経た人間だからこその苦悩である。そして紆余曲折を経た男女だからこそ輝きが増してくる。 深みがある。相手のほとばしるような情熱に応えたい。でもできない。そこに存在するためらいや戸惑いにこそ、同じように紆余曲折を経た人間たちは深く深く共感するのである。それでも人は人を愛さずにはいられない。愛がないと生きてはいけない。 その様々な想いがない交ぜになっているのに、それを越えて新しい一歩を踏み出そうとする。その力の源は、人は愛によって生かされているという本能かもしれない。さすがにフィルムが昔のものですので、音声面で少々耳に辛いものがありましたが、それを除けば十分堪能できます。アヌーク・エーメの美しさは永遠です。***********************************今日の評価 : ★★★★☆ 4.5/5点
2010.06.19
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原題: BRODRE/BROTHERS監督: スサンネ・ビア出演: コニー・ニールセン 、 ウルリク・トムセン 、ニコライ・リー・コース 、ベント・マイディング 、ソビョーリ・ホーフェルツ<感想>『マイ・ブラザー』(未見、早く行かないとな・・・)鑑賞に先だって、DVD鑑賞しました。 劇場公開時には行けなかった。家でDVDですととにかく集中できない環境ですので、多少なりとも余韻が残りにくい部分があります。しょっちゅうストップ掛けられてしまいますので。アフガン派兵後にミカエルの戦死が伝えられ、残された家族は彼のいない日々を送らないといけなくなる。ミカエルの弟・ヤニックは刑務所帰りの親不孝者、親族は顔も見たくないという心境だったが、夫亡き後、皮肉にも家族の心を支えたのはこの弟だった。しっかりとして律義なミカエルに比べると、粗野ではあるけれど、素朴なヤニックと触れ合っていくうちに遺された家族に笑顔が戻ってくる。その生活にも慣れた頃に突然帰還するミカエル。戦場での忌まわしい事件が、彼の記憶にこびりついて離れない。そのフラッシュバックが、ミカエルをさらに疑心暗鬼にさせていく。猜疑心というものは1度持ってしまうと際限なく膨らんでしまいます。自分の中でどうしても抱えきれない、しかしながら他者と共有することもできない。 自分の中で限界になりつつある時に、理解してくれる人がいないと自分が壊れてしまう。誰にも言えない過去を抱えたまま生きていかなくてはいけないこと自体がそもそも過酷なことなのに、それを知らないで普通に過ごす家族の何気ない仕草に猜疑心を掻き立てられる苦しみ。 ミカエルの精神は限界に来ていた。サラを突然襲ったミカエルの戦死。 その衝撃を和らげてくれたのは、時間の経過だったり、子どもたちやヤニックとの触れ合いだった。 少しづつその日々に慣れてきた頃に帰還してきたミカエルは、まるで別人になってしまっていた。その原因を知りたくても心を閉ざす夫。 その心がサラには開けない。行きつくところまで心を破壊せずにはいられなかったミカエルの苦悩が遠慮せずに描かれている。これは綺麗事ではなく、もしも愛する人の身に、その人の人格が完全に変わることが現実に起こってしまったら、私たちはどう対峙したらいいのだろうか。もしかしたら相手を信じられなくなってしまうかも知れない。 二度と愛せなくなってしまうかもしれない。それでもその人を救いたい、手を差し伸べたいという気持ちが残されているのだろうか。真摯にミカエルと向き合って歩いていこうとするサラの心からの優しさは、勇気ある行動でした。**********************************今日の評価 : ★★★★ 4/5点
2010.06.04
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原題: IRON MAN 2監督 : ジョン・ファヴロー出演 : ロバート・ダウニー・Jr. 、 グウィネス・パルトロウ 、 スカーレット・ヨハンソン 、 ミッキー・ローク 、 ドン・チードル 、 サム・ロックウェル 、 サミュエル・L・ジャクソン試写会場 : TOHOシネマズ日劇公式サイトはこちら。<Story>普段は普通の人間と同じ能力しか持たない天才科学者兼経営者トニー・スターク(ロバート・ダウニー・Jr.)。自ら開発した凄まじいパワーを発揮するパワード・スーツを身にまとい、いくつもの戦いを経て、メディアの前で自らが“アイアンマン”であることを明かしたトニー。そんな彼の前に、次なる試練が待ち構えていた。パワード・スーツの受け渡しを国家から命じられるが、トニーはこれを拒否したため、査問会へ出頭を命じられる。そんなトニー・スタークの存在に憧れながらも、同時に対抗心を燃やすウィップラッシュ(ミッキー・ローク)は、アイアンマンと同様の破壊力を身に付け、モナコGPに出場したトニーの前に現れる。その最大の武器である“エレクトリック・デス・ウィップ”は、一撃でF1カーを真っ二つにするほどの威力だった。さらに、次々と現れる正体不明の予期せぬ敵が、アイアンマンに襲いかかる…。[ 2010年6月11日公開 ]アイアンマン2 - goo 映画<プレミア&試写感想>この日のメイン?お誘いいただきまして、一足お先に鑑賞してきました。もともと、主要キャスト来日でのプレミアはなしと聞いてはいましたので、自分では試写会の応募もせず。。。 フツーに劇場公開で十分と思っていたのですが、天の声? 天からのメール? が参りました。 ありがとうございます。もう喜んで座席引き換えさせていただきました。主要キャスト来日なしのジャパン・プレミアっていうのが、果たしてそう呼んでいいのかがすごく???疑問。 普通に、「舞台挨拶つき試写会」と呼んで十分ではないの? ですけどそれでは前作の華々しさに負けてしまうんでしょうね。 この日の登壇者は「和製アイアンマン」こと中村獅童さん、「和製ウィップラッシュ」の蝶野正洋さん、そしてアイアンマンガールズ(でしたっけ?)のお姉さん10名。この日のプレミアは特にメモは取ってません(ほぼショーのみなので)。やっぱり、ロバートのイメージがあるが故に、最初プロモ画面に登場した獅童さんがちゃんとアイアンマンスーツを着用していた姿には参ってしまった。。。 やっぱり歌舞伎のお顔が収まっておりますのでね。 でもあのスーツ暑いんでしょうね。 お顔にピッタリ(ぱっつん?)してましたし、第一重たいでしょ。 舞台上でも短時間で汗がだらだら、お顔に入りそうなのがわかります。 真夏のプロモでなくて何よりです。いろんなところ行ったんですね。 北海道から九州まで。 ご苦労様です。それも全部この日のプレミアに向けてというのも涙ぐましい。。。そして蝶野さん。 彼はウィップラッシュに似てたので「おおっ!」と思いました。 しかし客席に登場してから舞台に上がるまでがやたら長い。。。 お客さんとの絡みも、あれはサクラさんなのか? まあそれはいいんですが。フォトセッションの時も、獅童さんは「早くして!」とカメラマンに言ってくれるなど(笑)、ツボはちゃんとおわかりのようで、結構あちこちにお気遣い大変なんだなあというのも多少は透けて見え。。。 和製アイアンマンお疲れさまでした。そして映画です。これは1鑑賞が大前提。 というのも、1のラストシーンからそんなに月日を置かないで始まるから。特に一切の説明もありませんので、細かいパーツなど、1を見ていないとたぶん意味が分からないと思います。【参考までに前作感想】『アイアンマン』1回目試写(中野サンプラザ)感想『アイアンマン』2回目試写(ジャパン・プレミア)感想前作がかなりあちこち広範囲にわたってアイアンマンが活躍したのに比べると、本作はほぼ活動範囲はアメリカといったところで、スケールがかなり狭まっている印象は否定できないんですよね。 モナコくらいでしょうか。 あとはウィップラッシュがロシア出身とかそのくらいです。そして、中盤、アイアンマンの危機くらいなどは正直展開がゆったりでして、一瞬記憶なくなってしまった(汗)トークタイムが多いと、この手の作品はどうしても緊張感とかリズムを保てなくなっちゃいますよね。そしてトニーの弱さというか、決して常に鉄人ではないんだという場面が今回は出てきた。 これも人間とアイアンマンを両立させるための試練なんでしょうね。今回楽しみにしてたドン・チードルとスカーレット・ヨハンソンですが、2人とも、「おお! そう来るか!?」的な使われ方をしてましたね。特にスカちゃんの髪の毛の色が素敵~。 ブロンドでもブルネットでもなく赤毛っぽいのがすっごく似合ってた。 そしてアクションもめちゃカッコいい。美味しいところ持ってったような。。。もう1人の美女、ペッパーとの関係は絶対に前作の方が持って行き方としてはドキドキしましたし、2作目ともなると何となくパターンがわかってしまうかなあ。。。 と、前作と比較してしまうといろいろとありますが、相対的には楽しめましたし、サントラのAC/DCも映像にピッタリで迫力ありました。普通にエンタメで鑑賞する分には全く問題ないです。スカちゃん加点で今日の評価 : ★★★☆ 3.5/5点とさせていただきます。劇場公開されたらパンフ買いに行かなくっちゃ。
2010.05.26
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原題: ALICE IN WONDERLAND監督 : ティム・バートン出演 : ミア・ワシコウスカ 、 ジョニー・デップ 、 ヘレナ・ボナム=カーター 、 アン・ハサウェイ鑑賞劇場 : 109シネマズMM横浜公式サイトはこちら。<Story>想像力豊かな19歳のアリス(ミア・ワシコウスカ)は、退屈な男ヘイミッシュから求婚され、困惑して逃げ出してしまう。すると彼女の前に懐中時計を持った白いうさぎ(マイケル・シーン)が現れる。うさぎのあとを追ったアリスは、あやまってうさぎの穴に転がり落ちてしまう。アリスがたどり着いた先は、アンダーランドと呼ばれるワンダーランド。その不思議な国は、独裁者・赤の女王(ヘレナ・ボナム=カーター)によって支配されており、そこに暮す奇妙な住民たちは暗黒時代を終わらせる救世主の登場を待ちわびていた。そして、彼等はアリスこそがその救世主だという…。アリス・イン・ワンダーランド 3D - goo 映画<感想>ちょうど時間が空いたので、『エンター・ザ・ボイド』に続いて3D鑑賞。たまたまエグゼシートも確保できましたので、とても快適に鑑賞できました。こういう作品はいい環境で観るに限る。 ただでさえ3Dで何となく眼が重たく感じるんで。あの、3Dメガネの重たささえどうにかなってくれたらといつも思います。バートン監督作品はそんなに観ていませんのであまり語れないですし、これもスルーしてしまおうかどうしようか迷ったんですが、仕事関係者がこの映画に少し携わっているから、できたら3Dで観ておいてほしいと上司に言われていたのを思い出してしまいました(苦笑赤の女王、白の女王も興味あったんで、時間あったら観るか・・・ というスタンスでしたけど、ちょうどよかったかな。ミア・ワシコウスカちゃん演じるアリスって、19世紀くらいのイギリスではすごく型破りな感じだったんだろうなと思います。まだまだ階級社会の色が濃いから、言われたことに反抗するなんて考えられない世界だったんだろうと思います。それでもアリスは、言われるままになることに疑問を持つ。みんながそうしているからそうするのが当然。 お姉さんも友達もそうしているし、そう言っているし。 アリスはそうは考えません。確信がないことには返事したくない。 どうしてしないといけないの?みんながそうじゃないと言ってるけど、私はそう感じるのに、何故それを口に出してはいけないの?アリスはずっとそう考えて生きてきたのかもしれません。幼いころに、夢の中でアンダーランドに来た記憶がなくても、住人達はアリスを覚えていて、そして彼女がお告げの人物であると確信する。そしてその期待にうまいこと応え・・・ という展開ではあります。この中で面白かったのはやはり赤の女王ですね。赤の女王の支配、それはひたすら白の女王に負けたくないという思いだったり、自分はこんなに恵まれないのになぜ妹ばかりが!? という僻みだったりが根底にある。コンプレックスの塊が彼女を動かしてしまっているんでしょうね。それにしてもこれがあのヘレナ・ボナム・カーターですか。。。? と言いたくなるくらいな変貌ぶり。 一応「午前十時の映画祭」で今年かかる予定の『眺めのいい部屋』は思い出の映画なんで観賞予定ですけど。。。 あの頃の清純さと、この役とを引き比べても仕方ないですが(笑)、よくここまでするかなとは思います。そして白の女王も、赤の女王に比べて出番は短いけどインパクトは十分ある。いちいち動作が大きいのも何か観ててウケるんですが。。。最後にマッド・ハッター。 これもやっぱり観ていて飽きなかった。 ジョニーはやっぱりジョニー・デップ以外の何者でもないっていうくらいの見事な役者ぶりのように思いました。ただ観てて感じたのは、あくまでもオーソドックスな展開であるということ。 先が読めてしまうし原作もありますからこれは崩せないんでしょうね。それでも、映像の美しさなどは本当にこのアリスの世界に入り込んだという感覚が残りました。**********************************今日の評価 : ★★★ 3/5点
2010.05.19
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原題: ENTER THE VOID監督・脚本 : ギャスパー・ノエ出演 : ナサニエル・ブラウン 、 パス・デ・ラ・ウエルタ 、 シリル・ロイ 、 オリー・アレクサンダー 、 サラ・ストックブリッジ 、 エド・スピアー 、 丹野雅仁鑑賞劇場 : 109シネマズMM横浜公式サイトはこちら。<Story>日本にやって来たオスカー(ナサニエル・ブラウン)は、東京の繁華街にアパートを見つけ、最愛の妹・リンダ(パス・デ・ラ・ウエルタ)を呼び寄せた。しかし、オスカーは定職も持たず、ドラッグに溺れ、ドラッグ売買にも手を出し始める。リンダはストリップ・バーでポール・ダンサーとして働き始める。ある日、友人にドラッグを渡すために入ったバーで警察の手入れにあい、銃で撃たれてしまう。オスカーの魂は体を離れ、これまでの人生をフラッシュバックしながら東京の街を彷徨う…。エンター・ザ・ボイド - goo 映画<感想>今年のフランス映画祭でかかっていて観賞したかったんですが、どうしても終映時刻すぐに出て六本木駅に走っても、終電間に合うかギリギリ・・・ って時間だったのでやむなくあきらめた作品。案外早く一般公開だったのでよかった。内容的にも思いっきりアート系?いかにも、観る人を選びます的な匂いがぷんぷんしてて、こういうの好き。・・・ と思ったらこれR-18なんですね。道理で場内女性が少なかった訳で。オスカーとリンダの兄妹の行動の原点となっている悲劇。 そこへと物語は回顧して行きながら、現在を描く。と同時に、オスカーの魂は肉体を離れて、自身にまつわる様々なことを巡りながら浮遊して行く。この浮遊の仕方が、東京の街を俯瞰していくような映像になっている。アレックスの同居人の部屋いっぱいに繰り広げられる模型そっくりの光を放つ「TOKYO」の姿。 誰も頼れない街、一歩中に入ると悪魔のような人にしか出会えなかったTOKYO。 それでもその光に吸い寄せられるように集まってくる人々は、この街に何を求めているのだろうか。 成功や名声を求めたとしても、真っ当な方法でそれを手にすることは、見かけほど容易ではないのに。一見破天荒に見える人の裏側というか本質には、ものすごく単純な幸福、ありふれた幸せ、満たされた愛情だけがあればいいというメッセージが隠されていることが少なくない。本作の、オスカーとリンダも恐らくそうなのではないか。幼くして生きていく術を失った2人。 誰も頼れない中、お互いの存在だけが支えだったのに、異国での生活はどこを見渡しても地獄ばかり。こんなはずではなかったのに・・・ と思っても、特に卓越した才能がある訳じゃない外国人が日本で高収入を上げようと思ったら、やっぱりillegalなことしかないのだろうか。 それが手っ取り早いからなんだろうなとは思うんだけど、他に生きる道を探せなかったのか。リンダが悪魔たちに出会ってしまったからというのを差し引いても、大事な、自分の分身でもある妹に辛い思いをさせるっていうのも少々気の毒すぎるような気もする。しかしながら、分身であるからこそ、自分と同じように地獄に堕ちていくんじゃないかという見方もできるかもしれないけど。「あなたたちへの愛と、パパへの愛はまるで違う種類のものなのよ」と言った兄妹の母。この2つの愛は、人が生きていくうえでなくてはならないものであり、どちらかが欠けてしまうとバランスが取れなくなる。与えられるべき愛を失った2人は、互いの中に絆を作り、補おうとする。そして、片方は救われない地獄の中で生きながらも、もう片方は肉体が魂から分離してまでもなお、自分で探すべき愛を求めていく。どこまでも果てなく続く、愛情の探求。 見つかるまで永遠にオスカーは浮遊し続けるのだろうか。そしれリンダには愛は訪れるのだろうか。設定的に、キャストに共感できそうな要素が少なめですので、そこを受け入れられるかどうかが、この映画を好きになれるかなれないかの境目だと思います。そして東京という都市への憧憬とか、オマージュも薄めなので、そこを期待し過ぎると違うかな。 日本人キャストたちにほとんど感情が込められてないですから、そこではなくて、主人公たちの「浮遊感」を味わう作品でした。************************************今日の評価 : ★★★☆ 3.5/5点
2010.05.19
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原題: CASSANDRA'S DREAM監督・脚本 : ウディ・アレン出演 : ユアン・マクレガー 、 コリン・ファレル 、 ヘイリー・アトウェル 、 サリー・ホーキンス 、 トム・ウィルキンソン鑑賞劇場 : 恵比寿ガーデンシネマ公式サイトはこちら。<Story>きらびやかなビジネスの世界で成功を夢見るイアン(ユアン・マクレガー)と、酒とギャンブルの退廃した日々にもそれなりの充足感を得ているテリー(コリン・ファレル)。そんな兄弟は、格安で売りに出されていた小型クルーザーを購入し“カサンドラズ・ドリーム号”と名付けた。ある日、イアンは美しい舞台女優アンジェラと運命的に出会い、彼女との優雅な新生活を夢見るが、一方のテリーはポーカーで惨敗し、巨額の借金を背負うハメになってしまう…。ウディ・アレンの夢と犯罪 - goo 映画<感想>全くの単館上映なのですが上映は5月7日まで、という作品。 行こう行こうと思いながらも予定が合わなくてずれ込んじゃいましたが、どうにか間に合いました。多くの方が指摘されているようですけど、邦題=原題の方がいいですよね。この邦題、揃えたいのか知らないけど、映画の意味が全然出てない。 味も素っ気もない邦題。ストーリーについてはあまり語らない方がいいだろう。 予告で大体のことはわかるし、その通りに進む。結局、自分のことだけ考えて、人は生きている。 自分が一番可愛いから。イアンはテリーのために一肌脱いだと思っているんだろうけど、結局それは砂上の楼閣で、自分が最優先ということがわかる。テリーはテリーで、事の発端は自分なのに、いざとなるとできない・・ と言いだしたり。 自分のために起こっていることという認識が薄そうな感じではある。2人の両親に至っては、誰か頼れる人がいるなら頼って当然という認識で生きてきたんじゃなかろうか。もちろんそんな両親に育てられて、2人の兄弟たちも、何かと言えば人を簡単に頼るような思考回路になっている。 すぐ途方もなく、一足飛びに成功することしか考えられないのだろう。 浅い人間たちの集まり。そもそも、Cassandraとは、ギリシャ神話に出てくるトロイ王女かつ、予言者の名前である。凶事の預言しても誰にも信じてもらえない境遇で、それを知ってか知らずかそんな名前をつけてしまったクルーザーで兄弟は夢を見る。船の元の持ち主の境遇も聞いていたはずなんですけどね。観終わってみて、ひょっとして、叔父さんはこの結末を期待していたのではないだろうか? とも思ってしまう。「自分がやって当然」と思い、図々しくもたかりに来る知己たち。 もしかして、アレン自身がこのような目に遭ってきているから、デフォルメして映画にしたのでは? と勘ぐってしまいたくなるが。。。どうしようもない話を、実にあっさりと淡々と、たたみかけるように、まるで教訓のように映画を作っていく様子は、ウディ・アレンの得意技とも言える。『マッチ・ポイント』『タロットカード殺人事件』とならんで3部作と言われるようですね。 見比べてみても面白いと思います。***********************************今日の評価 : ★★★☆ 3.5/5点
2010.05.01
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原題: SOMEWHERE IN TIME監督 : ジャノー・シュワーク出演 : クリストファー・リーヴ 、 ジェーン・シーモア 、 クリストファー・プラマー 、 テレサ・ライト 、 ビル・アーウィンTOHOシネマズ 午前十時の映画祭『ある日どこかで』ページはこちら。 <Story>1972年。劇作家を志すミルフォード大学の学生リチャード(クリストファー・リーヴ)の処女作が初演され大成功をおさめた後のパーティで、彼は見知らぬ老婦人から声をかけられた。彼女はリチャードに美しい金時計を渡し「私のところへ戻って来て」と告げるとその場を去り、大学から近いグランド・ホテルに帰って行った。それから8年の歳月が流れ、劇作家として名を成したリチャードはスランプに陥っており、気ばらしにあてのない旅に出た。いつの間にか懐かしいミルフォードに来ていた彼は、グランド・ホテルに宿をとった。アーサーという年老いたボーイの案内で部屋に落ちついた彼はホテルの史料展示室を見物し、そこで1枚の美しい女性のポートレートに目を奪われる。アーサーからその女性がエリーズ・マッケナ(ジェーン・シーモア)という当時の人気女優であることを聞き出したリチャードは、町の図書館で彼女についての記録を見つけ、彼女が8年前の老婦人であることを確認する。ある日どこかで - goo 映画<感想>広告で気になっていた作品。 クリストファー・リーブは、こういう作品にも出ていたのかというのも大変興味がありました。というのも、この映画があるということ自体を知りませんでして。。。 公開当時はあまりヒットしなかったようです。その後じわじわとこの映画の良さが広まっていったようですね。普通に考えたらこの設定も「あり得ない」の一言で済ませることはできるかもしれない。ただ、それを言ってしまうのか、それともこの世界に身を委ねてみるのか。その姿勢の違いによっても、本作の感想は大きく分かれるところでしょうか。時間を超えた移動が可能かどうか。ここは現実的に考えてもいいんですが、そうではないのがこの映画の設定。エリーズの最終的な形に出会い、写真で出会い、そして想いを募らせていくリチャード。その、架空かもしれない人物をひたすら想い、そして逢おうとする試み。それが無謀と言われようが、実現不可能と言われようが、そんなことはどうでもいい。逢いたいという気持ちだけが全てなのだから。エリーズにしても、リチャードの出現は彼女の人生を大きく変えてしまった訳で、その想いはリチャードと同じ。時を超えて出会う恋人たちは、時によって制限を受け、そしていつの日か還っていく。一生のうちの一体何日間、ともに過ごしたのだろうか。 そう考えると胸が引き裂かれそうな悲しみを抱えながら生きないといけないけど、いつか2人は一緒になれる。"Come back to me," というエリーズの言葉だけを支えにして、リチャードは生きていけるのだろうか。あるいは彼女とともに去るのだろうか。この映画は当時、「カルト映画」として広まったらしく、確かにそんな要素も満載なのですが(笑)、恋愛映画としても立派なものだと感じます。ここまで純粋な想いっていうのも、なかなかないですし、それを幻想的に描くことに専念しているところにも好感が持てます。クリストファー・リーブは残念ながら2004年に逝去されましたが、今、こうして日本で彼の『スーパーマン』シリーズ以外の作品がクローズアップされて、多くの人に懐かしがられて喜んでもらえているのを知ったなら、天国からでも喜んでくれるでしょうか。彼の新たな一面を感慨深く鑑賞することができました。***********************************今日の評価 : ★★★★ 4/5点
2010.03.28
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原題:LE PERE DE MES ENFANTS監督・脚本:ミア・ハンセン=ラブ出演:キアラ・カゼッリ、ルイ=ドー・ド・ランクザン、アリス・ド・ランクザン鑑賞劇場 : TOHOシネマズ六本木ヒルズ2009年カンヌ国際映画祭《ある視点部門》審査員特別賞『あの夏の子供たち』 公式サイトはこちら。「フランス映画祭2010」 公式サイトはこちら。<Story>パリの街を携帯電話を片手に足早で歩く、映画プロデューサーのグレゴワール・カンヴェル(ルイ=ドー・ド・ランクザン)。映画製作会社ムーン・フィルムを経営する、映画愛とユーモアに満ちた魅力ある彼は、殺人的な仕事量さえも楽しんでいるかのようだった。仕事にも情熱を注ぎながらも、家に帰れば家族を愛する良き父親であるグレゴワールは、週末は妻シルヴィア(キアラ・カゼッリ)と3人の娘たちと共にパリ近郊の別荘で過ごしていた。思春期の長女クレマンス(アリス・ド・ランクザン)、父親譲りのユーモアを持つ次女のヴァランティーヌ(アリス・ゴーティエ)、末娘のビリー(マネル・ドリス)。今週末も一家は幸せなときを過ごしていた。 (公式サイトより)(初夏、恵比寿ガーデンシネマにてロードショー)<感想>これが今年のフランス映画祭最後に鑑賞した作品です。ミア・ハンセン=ラブ監督は、オリヴィエ・アサイヤス監督作品『8月の終わり、9月の初め』(98)で女優デビュー、のちに監督業に進出。 アサイヤス監督との間に昨年1児を設けている。DSC03679 posted by (C)rose_chocolatタイトルの『あの夏の子供たち』っていうのがあまりにもほのぼのとして幸福な家族のイメージなのですが、待ち受けている現実は本当にシュールでした。この映画のモデルが実際に監督の周囲にいるそうです。現実として、映画界も不況の影響をまともに受けているので、かなり考えさせられてしまいます。家族の思い出。 家族で一緒に行った夏の水辺の映像があまりにも楽しそうで、それから暗転した後のシーンとの対比が際立ちます。一体この子たちはこれからどうやって暮らしていくんだろう? 残された現実はあまりにも過酷なことばかりなのだけど、それを知らない子どもたちは無邪気に振舞います。それでも、何も分からない末っ子のビリーとは違い、年長のクレマンスはさすがに現実の厳しさというものについて考えています。そして映画のラストに流れるのが、有名な "Que Sera, Sera "の曲。幼い日に、何になるんだろう?楽しみだな・・・そうやって夢を描いているのに、待ち受けている現実は、苦しいことや悲しいことの方が圧倒的に多い。それを知らずに育つ幼児期の子ども、そして薄々現実に気がつき始める思春期の子ども。それぞれの年齢でとらえ方は違うかもしれないけど、待っていることのシュールさ、辛辣さ、残酷さを思うと、観ているこちら側の胸が痛くなって来ます。本作は、夢見るようなお話ばかりではないのですが、それでもあくまでもスタイルとしては、さらりと軽い感覚で描いています。 お涙頂戴とか感傷的には描いていない。「それがかえって感情を高める効果をもたらしています」と、トークショーでは監督が仰せでした。映画を見ながら、この着地点って一体どこなんだろうと考えていましたが、最後に「ケ・セラ・セラ」を持ってくることによって、一気に映画が動き出し、命が再度吹きこまれるような感覚にとらわれてきました。それまでのあらすじを反芻しながら、最後にこの曲の意味を深く考えていくことによって、観客はこの家族の行く末をぼんやりと想像するとともに、現実の、自分たちの人生の行く先までにも思いを馳せることができるような気がします。トークショーには監督が登場。女優出身だけあってさすがに美しい方です。以下要旨。キャスティングに関して。グレゴワールはもうルイ=ドー・ド・ランクザンしかなかった。 彼にはどことなく貴族的な雰囲気があり、そのことが、ただ単に精力的に仕事をしているプロデューサーという位置づけだけではなく、雰囲気を持たせていた。そして長女のクレマンスには、ルイ=ドー・ド・ランクザンの実の娘であるアリス・ド・ランクザンを起用した。 彼女は昔から知っていたけど、彼女の成熟した落ち着きのある雰囲気を見て、これはクレマンスに必要な要素と感じて依頼した。いつも映画の音楽にはあいまいな曲を使用していますが、今回は人気の高い「ケ・セラ・セラ」を使用しました。自分の人生観として、「自分の運命を受け入れる、そしてそれを好きになっていく」というものがあり、この曲を起用することで訴えたいことがよりはっきりして来るように感じました。家族が集う水辺は、トスカーナ地方の硫黄泉があるような場所でした。タルコフスキーの「ノスタルジア」に出てくる場所の雰囲気に似ています。 時の流れを表しているような雰囲気を目指しました。決して家族のほのぼのさや、そこから暗転する事態への慟哭だけを声高に主張はせず、あくまで客観的な目線でとらえていく手法。なので観客は話にのめりこみ過ぎず、そして映画の余韻をじっくりと味わえる。派手さはないですが、積み上げたモチーフがじんわりと胸を打ってくるような1本でした。***********************************今日の評価 : ★★★★☆ 4.5/5点
2010.03.21
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原題:UN PROPHETE監督:ジャック・オディアール出演:タハール・ラヒム、ニエル・アレストリュプ製作:ローランヌ・ブラショ、マルティーヌ・カシネッリ、マルコ・チェルキ撮影:ステファンヌ・フォンテーヌ鑑賞劇場 : TOHOシネマズ六本木ヒルズ「フランス映画祭2010」 公式サイトはこちら。カンヌ国際映画祭2009グランプリ受賞 英国アカデミー賞2010外国語部門受賞 第35回セザール賞史上最多9部門受賞 (作品賞、監督賞、主演男優賞、助演男優賞、新人男優賞、脚本賞、撮影賞、編集賞、美術賞) 米国アカデミー賞2010外国語部門ノミネーション<Story>六年の刑に処された19歳のアラブ青年マリクは、年も若く、読み書きもできず、刑務所ではまったく無力の存在だった。 たちまち所内を取り仕切るコルシカ人グループのいいなりになってしまうが、与えられた「仕事」をこなすうちに、刑務所での生き方を覚え、 仲間たちの信頼を勝ち取ることに成功する。そして今度は持てる限りの知恵を使い、自分のためのネットワークを張り巡らせてゆく。(日本公開未定)<感想>ずいぶんと多くの賞に輝いている本作。 また、今年のアカデミー外国語部門にもノミネートされていました。日本公開未定ということで、これが鑑賞の貴重なチャンスであることは間違いありません。DSC03680 posted by (C)rose_chocolatあらすじにもありますが完全にギャング系。 ということはバイオレンスなシーンも割とあります。血が苦手な人には少々辛いシーンあり。日本公開されるとしたらR-15くらいでしょうか。ギャングものはほとんど鑑賞しないので何とも言えないんですが、普通のギャングものと明らかに違うことは、物語のほとんどが刑務所内で展開されていくこと。刑務所の内部ってどこもこんなものなんだろうか。 看守は買収され、受刑者はやりたい放題。 携帯からドラッグまで手に入る。マリクの服役中の6年間。 おとなしく刑務所内で過ごさせてもらえると思ったのもつかの間、否応なしに巻き込まれていく抗争。だがその抗争こそがマリクを這いあがらせるきっかけとなる訳です。コルシカ側のボスから依頼を受けたマリクは、それをきっかけにコルシカ系囚人の派閥に入るが、あくまでも彼はアラブ系。それはアラブ系囚人たちからの反発を招く訳です。ところがマリクは、彼独自のやり方でアラブ系にも借りを作り、双方にとって有益な存在になっていく。ストーリー背景として浮かんでくるのは、フランスの移民問題、人種差別。アラブ系住民が増えていることへの反発もあったり、コルシカ島出身ということも微妙にフランス社会では関係してくるのでしょうか。その中でアウトサイダーでな存在のマリクは、自分がいかにしてのし上がれるかを考えて行動していく。彼は何にも考えていないようなふりをして、実は用意周到であったり、その逆に突然間が抜けたことをしているのも妙にアンバランスだった。ただし1度した失敗から彼は確実に学んでいる。 どうしたらうまくいくか、どうしたらヤバいか、誰と誰がどうなのか。 彼にはその観察眼があった。民族同士のバランスの撮り具合をうまく利用して、自分がアラブ系であることも逆手に取っていく度胸の良さ。いちかばちか賭けに出るところがないと人生は這いあがれない。 孤児として育った彼にはそのことは痛いほど身に沁みていいたのだろう。しんどい場面ばかりではなく、ふとした時に仲間に見せる温かい部分もまた、支持されるにふさわしい部分であった。徹底して抗争がベースとなっており、服役中というのがほとんどの設定なので、総じて雰囲気は陰惨。ギャング系なら『ジャック・メスリーヌ』は好きな作品ですけど、その華やかさとは一線を画す。話はかなり複雑で登場人物も多く、誰が誰の観方で敵で裏切って工作して・・・ と考えていくと、かなり体力を消耗してしまう。 おまけに上映時間が2時間半くらいあり、中身はほぼ闘いだけに、同じような感覚がずっと続いてしまうのは少々忍耐は必要かも。日本公開は未定ということですが、各賞に輝いた本作ですので、この手の作品を期待する向きにとっては大いに食指をそそるであろう。**********************************今日の評価 : ★★★☆ 3.5/5点
2010.03.19
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原題: LE CONCERT監督 : ラデュ・ミヘイレアニュ出演 : アレクセイ・グシュコブ 、 メラニー・ロラン 、 フランソワ・ベルレアン鑑賞劇場 : TOHOシネマズ六本木ヒルズ映画『オーケストラ!』公式サイトはこちら。「フランス映画祭2010」 公式サイトはこちら。<Story>かつてロシア・ボリショイ交響楽団で天才指揮者と呼ばれたアンドレ(アレクセイ・グシュコブ)は、今やさえない劇場清掃員。ある日、劇場に届いた「出演できなくなった楽団の代わりのオーケストラを探している」というFAXを目にした彼は、とんでもないことを思いつく。それは彼と同じく、いまや落ちぶれてしまった、かつてのオーケストラ仲間を集め、ボリショイの代表としてこのコンサートに出場するというものだった…!(作品資料より)[ 2010年4月17日公開 ]オーケストラ! - goo 映画<感想>この日2本目は、昨年の『イングロリアス・バスターズ』でもクールな演技をしていたメラニー・ロランの新作。 来月公開ということでぼちぼちレビューも散見されます。 一足お先にフランス映画祭にかかるので押さえました。DSC03676 posted by (C)rose_chocolat1970~80年代のブレジネフ政権下のソ連とフランスが舞台。 ということでこの時代背景を軽く思い出しておいた方が本作は頭の中でスムーズに展開する。「ソ連知識階級のユダヤ人弾圧」が本作の背景にあります。 第二次世界大戦後かなりの年月が経っていたにも関わらず行われていた訳で、歴史の暗部と言えよう。 そんな訳で映画はどちらかというと重ためな空気で始まる。過去30年間、中断されてしまったオーケストラの記憶を引きずって生きてきた男。 そのアンドレが思いついたアイデア。 本当にそんなことは可能なのか? と思わせる展開なのですが、思うにこの映画自体が壮大な1つのファンタジーなのだろう。 リアルだったら絶対に実現しないから。予告で流れているので、もうそれだけでこの映画の展開は予想されがちだが、音楽面においては予測している以上のドラマを感じさせてくれた。 すなわち、30年ぶりの寄せ集め楽団が最初に奏でる音と、クライマックスのチャイコフスキーの音との違いなんかもそう。 そしてソリストのアンヌ=マリー・ジャケが奏でる音色が何とも切なく悲しげで、しかも心を震わせてくる。この最後の曲と同時に展開される歴史的背景と、人物たちに隠された悲しい過去。時は流れ、それらを打ち消すがごとく集まった彼らの想いというものに観客は圧倒されていく。ラデュ監督の言葉から引用させていただくと、「歴史や政治がつく嘘はは時に人間の運命を破壊する。そしてそのような不可抗力によって破壊された人間たちもまた、小さな嘘をつくことによって、自分たちが失ってしまった幸福を取り戻していく。」ということになるのだろうか。望んでも叶わない、またある時は生まれながらにして持っていないものが人間にはどうしてもある。それがもしも他者の手によって歪められたものであったとしたら。もはや完全に修復することは不可能かもしれない。 けれどせめて、そこに自分が取り戻せるものがあるとするのなら、それに向かってひたすら進んでいく。 そのためにつく小さな嘘は願わくば許されてほしい。小さな嘘を発展させて行く過程で出てくる無茶ぶりもどこか可笑しく、ほほえましく許せるものだし、その面白さの裏側で静かに露見する残酷さも観客はしっかりと受け止めることができる。そして、メラニー・ロランはまさにそれを体現していく象徴として、美しく力強く存在している。 これも間違いなく彼女の代表作となるだろう。上映後のトークショーのお話をします。登壇者はラデュ・ミヘイレアニュ監督、主演のアレクセイ・グシュコブ氏、そしてゲストにシャンソン歌手のクミコさん。いきなりカメラを持って現れた監督は、会場をパチパチ撮り始め、そして司会やゲストさんや通訳さんともツーショットを撮る茶目っ気たっぷり。監督:この映画は、人間の尊厳を取り戻すという意図を持って作りました。悲劇と困難を経験した人は幸福を探していくように思います。 1人の人間の中にも必ず栄光があり、それを引き出していくのが我々の仕事のように感じます。 アレクセイ:(レストランのシーンで、上着がブカブカであったという要素に関しての質問に対して)ロシアのありのままの姿を観ていただくということです。 こういったこと1つ取っても、本作ではロシアは大きな愛を持って描かれています。人間の喜びや悲しみは国を超えたものであると思っています。監督:チャイコフスキーを選んだ理由ですが、まず「ロシアらしい」ということ。そしてクレッシェンドしていく楽曲であるということです。希望を持って立ち向かえる曲がここには必要でした。そしてそれとは裏腹に、ソロのアンヌ=マリー・ジャケが奏でる、引き裂かれるような悲しみの2つの要素が対話している曲はと考えるともうこれしかなかった。リズム感(一体感という意味?)としても、ロックコンサートのように盛り上がるようにしていきたかった。監督はルーマニア出身。80年に亡命、ユダヤ人ジャーナリストの息子としてイスラエルの保護下に入りのちに渡仏という経歴の持ち主。この映画の根底には、こうした彼の人生観が色濃く表れている。彼が今まで作った映画の中には必ず「なりすまし」という要素が入っています。「なりすます」ことによって、本来手にするはずであった幸福を取り戻す。 それは恐らく、彼の生き方そのものでしょう。実際お目にかかった時のひょうきんさとは裏腹の人生を知るにつけ、そう感じます。今後も彼の作品が楽しみになりました。*********************************今日の評価 : ★★★★★ 5/5点
2010.03.19
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原題: DID YOU HEAR ABOUT THE MORGANS?監督 : マーク・ローレンス 出演 : ヒュー・グラント 、 サラ・ジェシカ・パーカー 、 エリザベス・モス 、サム・エリオット 、メアリー・スティーンバージェン公式サイトはこちら。<Story>ニューヨークの人気弁護士ポール・モーガン(ヒュー・グラント)は、一度の浮気に怒った妻に家を追い出され、3ヶ月もホテル暮らしを余儀なくされていた。セレブ相手の不動産業を営んでいる妻・メリル(サラ・ジェシカ・パーカー)は電話にも出てくれず、プレゼント攻撃も効き目なし。しかしある日、夫婦揃って歩いていた所、殺人事件を目撃してしまう。犯人の顔を見た二人は命を狙われ、FBIの証人保護プログラムにより、何もないワイオミング州・レイで暮らす羽目になる…。噂のモーガン夫妻 - goo 映画<感想>ラブコメって公開週に観ないと見逃してしまうことが多く(『あなたは私の婿になる』とかがそう)、時間あったらさっさと行く癖をつけてます。 これもそう。ヒュー様はジャックマンよりもグラントの方が好きなので(すいませんね~)、彼のコメディも楽しみにしていました。サラ・ジェシカ・パーカーのイメージとして、観客の絶対に脳裏にあるものは『SATC』であり、それをうまく利用して、「NYじゃないとイヤ!」と言わせていて、だったら『SATC』と一体何が違う? って思いかけたところで、あり得ない展開、それまでの彼女が住む世界とは180度違う場所に連れていくのが面白い。中途半端な女優じゃなくて、彼女であるというところが見せどころ。携帯ない、連絡手段ない、そこでいちいち起こる出来事への彼女の反応ですよね。映画としては予定調和と言いますか、何となく先が読めちゃう感じなんですけど、わかってても最後まで引き付けちゃうところはやっぱり主役2名の力なんでしょうね。実際にこんなことが起こったらかなり笑えないはずなんですが、そこはセレブという設定で全て解決してしまったり・・・ 笑お金持ちはスケール違いますから~。ワイオミングの保安官夫妻? がカッコよく、いい味出してました。お気軽に楽しめた作品です。*********************************今日の評価 : ★★☆ 2.5/5点
2010.03.14
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原題: NORDWAND監督・脚本 : フィリップ・シュテルツェル出演 : ベンノ・フュルマン 、 フロリアン・ルーカス 、 ヨハンナ・ヴォカレク 、 ウルリッヒ・トゥクール 、 ジーモン・シュヴァルツ 、 ゲオルク・フリードリヒ試写会場 : よみうりホール映画『アイガー北壁』公式HPはこちら。映画『アイガー北壁』公式ツイッターはこちら。<Story>ベルリン・オリンピック開幕直前の1936年・夏。ナチス政府は国家の優位性を世界に誇示するため、アルプスの名峰アイガー北壁のドイツ人初登頂を強く望み、成功者にはオリンピック金メダルの授与を約束していた。山岳猟兵のトニー(ベンノ・フュルマン)とアンディ(フロリアン・ルーカス)は、難攻不落の山を次々と踏破し、優秀な登山家として知られ始めていた。2人は世間の盛り上がりに戸惑いながらも、“殺人の壁”と恐れられていたアイガー北壁への挑戦を決意する。麓には、初登頂を目指す各国からの登山家や、世紀の瞬間を見届けようという報道関係者や見物客が集まってきていた。その中にはトニーのかつての恋人で、新聞記者をしているルイーゼ(ヨハンナ・ヴォカレク)の姿もあった。天候を待つこと数日。ある晩、トニーとアンディは北壁への登攀(とうはん)を開始する。彼らのすぐ後をオーストリア隊が追い、4人は快調に高度を上げていくが、メンバーの負傷や急な悪天候に見舞われ、彼らは想像を絶する状況へと追い込まれていく…。[ 2010年3月20日公開 ]アイガー北壁 - goo 映画<感想>mont-bell×テレビ朝日の共同主催の試写会に行ってきました。開場がいつもより早い17時30分。普通の勤め人には厳しい時間である。葉書には何も書いていませんが、何かあるのか・・? と思っていたら、案の定映画の前にトークショーがありました。司会はテレビ朝日の久保田直子アナ。 そしてゲストはmont-bell創業者にして会長の辰野勇氏。トークを抜粋しますと、「ほとんどCGはない。 今までの山岳映画には、作りものっぽい部分が多分にありましたが、今回の北壁の部分は、本当にそこに北壁があるかのような、まるで自分が登っているかのような臨場感があります」ということ。 この手の作品においてそれは非常に重要なことでしたので、大いに期待する。舞台は1936年、ベルリン五輪開幕直前の夏。この五輪に対しては様々なエピソードがありますが、そういったことに関して派生する話ですとか、政治的なあれこれに関しては本作はあまり触れず、本筋の登頂に関することを進めていきます。ここはシンプルに収まっていてよかった。 あまりにも手を広げすぎると何がメインかわからなくなりますので。フィルムの色の全体的な褪せ加減も、当時の雰囲気を出しています。そして物語は進みます。どうして彼らが登頂を決意したのかということですが、ここがこの映画の中では非常に動機づけが薄かったように感じました。 政治的な締め付けはなく、ただ登頂した者に対して金メダルを与えるということだけで挑戦していく者たちという位置づけだけに、その動機があまり前面に出ていなかったのはどうかな? と思いました。 最初トニーは反対気味だっただけに余計そう思えちゃったかな。映画には日付が出ており、夏の出来事(7月)なのだけど、とてもそうとは思えないくらいの過酷な山の天候を目の当たりにしてしまう。 これではまるで冬山登山のようなものである。とは言っても山の天候なので予測はつかない。 そして今は地球温暖化が進んでいるけど、当時はまだまだそうでもなかったと思うので、人間に牙を剥いた山の厳しさを観客は知ることになる。自然を相手にするということはこれほど意のままにならないものであるのか、ということを見せつけられる。そしてライバル隊の存在。登山には入念な準備があり、計画があり、想定があったとしても、それを上回る想定外があるとすれば、それはまさしく彼らの存在だったのだろう。同じ登山家であるならば、妥協をするべきではなかったし、毅然とするべきだった。 しかし人としての情も持ち合わせている以上、そこまで冷酷にもなりきれないのだろう。 ましてやそれがもたらす結末までは予測できるはずもなく。この話を展開させるポイントとなるのはルイーゼの存在だと思うんですが、彼ら、特にトニーの頭の中にはルイーゼのことがあり、また彼女も仕事を超えて彼らを見守っていってしまう。壮絶な登山中の彼らと、地上の彼女という対比は映画にメリハリをつける役割をしている。当時の特殊な政治事情の中で新聞記者たちが感じていた制約とともに、現代にも通じる報道人と1人の人間との間で感じる矛盾・・・すなわちスクープ記事を書くことへの熱望と良心の痛みと・・・に揺れる人間の心を描いているのも、物語を進めていく要素となっていた。報道よりも人道を取るというのは、もしかしたら現代ではマスコミ人失格要因となるのかもしれないだけに、これは今の報道過熱気味のマスコミに対してのささやかなアンチテーゼとも言えるのかもしれない。映画としては、一体どこまでが本当のロケなのか? と思わせるくらいの迫力のシーンが展開されていく。CGはそんなにないのだろうか。 トークショーでも強調されていましたが臨場感はあります。映画鑑賞中には、その迫力とあらすじに圧倒されてしまうが、観終わってよくよく考えると、それはそうじゃないのでは? と感じる部分も少なからずあったように思う。最後などは本当にあのシチュエーションで終了したのだろうか。 たしかにドラマチックだけど、この部分は多分に脚色なんだろうなとも感じてしまう。 「人を本気で愛したことが、生きること」という言葉の重さも十分伝わったけど、そこに全てを収束させてしまったのは少し惜しい気もする。いずれにしても史実でもあるので、映画を堪能したければ、鑑賞前にアイガー北壁登頂に関することは検索しない方がよいでしょう。 山が好きな人にも満足してもらえる要素はあると思います。 お勧めです。***********************************今日の評価 : ★★★★ 4/5点
2010.03.03
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原題: LAST CHANCE HARVEY監督 : ジョエル・ホプキンス 出演 : ダスティン・ホフマン 、 エマ・トンプソン 、 アイリーン・アトキンス 、 キャシー・ベイカー 、 リアン・バラバン 、 ジェームズ・ブローリン 、 リチャード・シフ 、 ブロナー・ギャラガー観賞劇場 : TOHOシネマズシャンテ公式サイトはこちら。<Story>NY在住のCM作曲家ハーヴェイ(ダスティン・ホフマン)は、一人娘スーザンの結婚式に出席するためロンドンへ向かう。離婚以来久々に家族が揃うのを期待していたが、花嫁の父の役割はすでに元妻(キャシー・ベイカー)の再婚相手(ジェームズ・ブローリン)に委ねられていた。追い討ちをかけるようにNYの上司(リチャード・シフ)からはクビを宣告する電話が。所在なく落ち込むハーヴェイは、空港のバーで白ワイン片手にひっそりと読書をするケイト(エマ・トンプソン)と知りあう。孤独を抱えた2人はいつしか会話を弾ませるのだった。新しい人生のはじめかた - goo 映画<感想>予告で、悲しそうにしている主役2人の表情がものすごく気になって、観賞したいと思った作品です。シャンテでの単館上映とあって混み合っていました。ダスティン・ホフマンは久しぶりなんですけど、ずいぶん歳を取ったんだなあと思ってしまいました。 でもそれもそのはず、72歳なんですね。エマ・トンプソンがちょうど50歳。映画よりはちょっと年上同士のお話です。この2人を結び付けているのは、「疎外感」なんだなあ・・・ と思った。何となく、みんなの流れに乗っていけない、ついていけない。 みんなが行こうとしている、いわゆる「普通の幸せ」は、自分にはないとお互いそう思っている。真面目にひたむきに人生を送ってきたはずなのに、今、自分が手にしているものは、どれだけ価値があるものなんだろうか。気がつくと取り残されているのは自分だけ。必要な人、愛する人には受け入れられず、自分ばかりが損をしている。 生きている以上、時折どうしようもなく襲ってくる想いと闘いながら毎日を送っている。そして年月の経過とともに、いつしか闘うことに疲れてしまい、あきらめて生きる方が楽・・・という流れに自分を持っていってしまっている2人。でも、人生には遅すぎたり、勝手にやめてしまったりする必要はないのかもしれません。常に自分の気持さえ柔らかくなっていれば、今までの思い込みなど、関係ない。相手と同じ目線になれさえすれば。年齢を重ねた2人の、抑え気味の演技が素敵な1本でした。********************************今日の評価 : ★★★☆ 3.5/5点
2010.02.14
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原題: INVICTUS監督・製作 : クリント・イーストウッド 原作 : ジョン・カーリン 出演 : モーガン・フリーマン 、 マット・デイモン 、 トニー・キゴロギ 、 パトリック・モフォケン 、 マット・スターン 試写会場 : 科学技術館サイエンスホール公式サイトはこちら。<Story>1994年、南アフリカ共和国初の黒人大統領に就任したネルソン・マンデラ(モーガン・フリーマン)だが、新生国家の船出には多くの問題があった。ある日、ラグビー南ア代表の試合を観戦したマンデラの頭の中で何かが閃いた。南アではラグビーは白人が愛好するスポーツで、黒人にとってはアパルトヘイトの象徴。しかし、1年後に南アで開催されるラグビーのワールドカップで南アのチームが勝てば、それが人種間の和解につながるかもしれない…と。[ 2010年2月5日公開 ]インビクタス/負けざる者たち - goo 映画<感想>昨年は『チェンジリング』、『グラン・トリノ』の2作品を公開して話題をさらったクリント・イーストウッド監督作品30作目とくれば、これはいやが上でも期待値高まります。しかも前評判もよさそうですし、ヒューマン系らしいし。アパルトヘイトを取り扱った映画で最近観たものは、『マンデラの名もなき看守』 。マンデラがロベン島で過ごした日々や苦悩、当時の社会情勢が織り込まれています。そして本作は、『マンデラの名もなき看守』 の少し後を描いていて、マンデラが大統領になった後の南アが舞台です。ようやく黒人大統領が誕生したと言えども、白人と黒人の間の、根深い日常的な対立や偏見がすぐになくなる訳はなく。当時の人たちの意識レベルでの差別というものが、随所に表れています。約50年間にわたったアパルトヘイトの爪跡はそうそう簡単になくなるものではなく、マンデラが大統領になった直後も様々な混乱が見られた。今まで虐げられていた黒人たちが、白人やアフリカーナーに対して、反撃したいと思うのは致し方のないところだろう。 政治のような表だけではなくて、日常生活の裏側や細部に至るまでそれは存在した。 白人が好むものの正反対を黒人は応援する。 その1つが南ア代表ラグビーチーム。 自国代表なのに選手は白人が大多数、それは最早代表ではないと、黒人たちは自分たちの国の代表を応援せず、敵国を応援する習慣すらついていた。 「国の恥」と言われたチームを、新政府の委員会ではすっかり別の組織に変えてしまおうとした時、マンデラがそれに敢然と反対した。 憎しみのシンボルであるはずのチームなど、この世から抹殺したいくらい憎いはずなのに。 だがマンデラは違った。彼の心にあったのは「赦し」。立場が逆転したからといって、それまでの支配者と同じことをしていては、それまでと何も変わらない。先にこちらから赦すのだ、と。赦すことができれば悩まないに決まっている。それをしなさいとマンデラは説く。「我々から変わろう」と。彼の側近たちにも、肌の色で躊躇することなく力を貸してほしいと懇願し、まずは自分の身近から「赦し」を実践させる姿勢。人々はそんなマンデラの姿勢に心打たれるのだろう。ロベン島の過酷な日々の中で、彼が支えにした言葉が「インビクタス」。「私が我が魂の指揮官」・・・ 自分の自由な心を支配できるのは、自分だけという発想は、『潜水服は蝶の夢を見る』を思い出させる。どうしようもない状態、希望も見出せない現実であったとしても、心だけは唯一想いのままになるものだから。その信念で投獄時代を生き抜いたマンデラにとっては、自分たちがされてきた時代を立場を変えて再現することは絶対にしたくなかったのだろう。そんなことができる彼だからこそ人が集まるような気がしてならない。対するラグビーチームの選手たち。彼らの対応に、当時の白人たちの観念も表れている。黒人との垣根を取り払おうなどとは考えたこともなく、またそれは不可能だと頭から決めていた。 だがしかしマンデラの考えに触れているうちに、彼らの中にも変革への自覚が生まれてくる。ほんの些細なこと。 そこを一歩進んでいくきっかけや勇気があるならば、困難に思われていても、小さなことから変革は可能なのである。1995年のラグビーW杯については検索すれば結果が出てきてしまうが、本作を観る前にはこれはしないほうが楽しめる。史実である以上そこはフィクションは挟みにくいし、筋書きが決まっているのでどうしてもそこから逸脱はしにくい部分がある。テーマがオリジナルなのか実話ベースなのか、昨年の2作品と違うのはそこ。 どうしても事実なので、昨年2作品と比べると、小さめにまとまってしまった印象が残る。それを差し引いてもテーマとしては素晴らしいし、余分な説明や場面もあまりない。 シンプルにまとめているけど、2作品を超える印象がないのはそのせいだろうか。映画としてのレベルも高く、感動を観客に与える役割は十分しているものの、イーストウッド監督が自分で設定したハードルがあまりにも高過ぎるが故の現象だろう。随所にイーストウッド監督らしく、温かみのあるエピソードがある。 SPたちの変化、ピナール家族とお手伝いさんの交流、ラグビーを教わる子どもたちの反応など、微笑ましくなる要素は多い。*********************************今日の評価 : ★★★★
2010.01.27
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原題: OCEANS監督 : ジャック・ペラン 、 ジャック・クルーゾーナビゲーター : 宮沢りえ 公式サイトはこちら。<Story>画期的な映像システム(猛スピードで泳ぐ魚たちをまったくブレずに撮影できる、世界に一台しかないステディカム)を駆使して、北極海から南極海、サンゴ礁に彩られる美しい海に、冷たい氷で覆われた海など、世界各地の海にいる生物たちの姿をとらえる。猛スピードで泳ぎ、ジャンプするイルカ、ゆっくりと海の底へと沈んでいくマンタ。光のない海底にまで、そこで生きる命は存在している。オーシャンズ - goo 映画<感想>お子様は500円で鑑賞できるとあり、これは土日に行ったらとんでもないことになると予測し、公開日に観賞することに。スクリーンはまあまあ客層は落ち着いていました。『WATARIDORI』の監督であるジャック・ペランが制作ということで、映像はさすがに美しいです。冒頭のシーンなんかは、ずーっと追いかけて行くところなども、よくこれを追えるんだなといつも感心します。ただこれ眠かった。。。この前にもう1本観ているのもあるんですが(あとで書きます)、やっぱりヒーリング効果? 眠気との闘いですね。印象に残ったシーンは、・蟹が山盛りになって脱皮するところ・ウミガメの赤ちゃん・イルカとアジ、クジラのコラボシーンなどですね。大群で織りなす世界はさすがに美しい。ただ・・・帰宅して読んだ、平成22年1月22日付読売新聞夕刊(2版13面)に、このようなことが書かれていました。「高級食材フカヒレにするヒレを切り取られるヨシキリザメは、撮影用のロボット。全てが本物でない点にご留意を。」そーだったのか!それはねえ。。。ロボットとは興醒めです。道理で、たたみかけるようなまとめ方への納得がいきました。そして私、エンドロールを見ていると、ちょっと恐ろしい文字を発見してしまいました。ここでは書きませんが。もしかしたらこれはプロパガンダかも、と思った瞬間です。これからご覧になる皆さんは、それぞれ捉え方があると思うのですが、その可能性があることは念頭に置いた方がいいのかもしれませんね。とりあえず、環境系の映画では繰り返し言われていることがテーマではあります。『アース』でも十分に見せていただきましたので、多少かぶっているというのは残念ながら否定はできませんが、海に特化するのなら悪くはないのでは?**********************************今日の評価 : ★★
2010.01.22
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原題: THE INFORMANT!監督 : スティーブン・ソダーバーグ 出演 : マット・デイモン 、 スコット・バクラ 、 ジョエル・マクヘイル 、 メラニー・リンスキー 観賞劇場 : 恵比寿ガーデンシネマ公式サイトはこちら。<Story>1992年、イリノイ州にある大企業で働くウィテカー(マット・デイモン)は順風満帆だった。33歳にして重役、工場をまかされ、家庭も円満。ところがある日、工場でウィルスが発生。日本企業のスパイから脅迫を受けたと報告した事から、FBIが介入。しかしなぜか録音機を取り付けに来た捜査官に、ウィテカーは会社が違法な価格協定を行っていると告白。その日以来、ウィテカーは巨大企業の内部告発者になるのだが、彼には「隠しごと」があった。インフォーマント! - goo 映画<感想>この日のラスト。 DVDスルーかな? とも思ったんですが、ちょうどよく観れそうだったので急いで移動して観賞。スクリーン、予想よりも人が多かったです。企業ものって社会派映画の一環なんで、決して嫌いじゃないんですが、冒頭眠かった(笑ちょっと最初の工場ウイルスの場面が飛んでます(笑でもこのマット・デイモンはちょっとやばいんでない? ってくらい丸々としちゃってて、お腹のベルトの上に乗ってる肉がかなり多かったのにはぎょっとしました。 まあ、他の役が来たら戻すんでしょうけど。。。アメリカの大企業で私腹を肥やす人っていう意味では、逆にピッタリなのかもしれないですけど。最初は企業告発ものなのかと思って観ているんだけど、そのうち着地点がどうも違うようだと(笑)結局、企業も悪いのですが、それ以上にウィテカーもヤバかった、ということ。それにしてもどうして次から次へと嘘なんでしょうかね。 それが病気なので仕方ないと言えば仕方ないけど。。周囲の人間は気の毒です。自分の妄想がそのまま正しい認識としてインプットされ、真実になってしまうのも、自分はいいんですがネタにされた方はたまらんです。正しい認識ができないもんだから、捜査の基本、というか信頼関係の基本を彼は破るんですよね。 それで自分で自分の首絞めて。 自業自得。。。 しかしそれすら我々傍観者にしてみれば笑えます。それにしても次から次へと明らかになる彼の嘘履歴? には笑っちゃいました。 そしてそれをさらに笑わせてくれたのはバックに流れる音楽。 これがまた人を食ったようなサウンド(笑)で、通しで観ているとまるでドリフのコントみたい。 自分は結構こういうシニカルな笑いは大好きでした。まあ、笑いとして観ている分には全然問題ないです。 こういう人に遭遇しませんように。。。 って祈るしかないですね。 彼を最後までフォローしている奥さん(→ 彼女も実は相当胡散臭いけど)がちょっぴり哀れ。 でも自分だっていい思いしたんだから。。。と思うと、どっちもどっちかな。この映画でもう1つ笑えたのがFBI。 あんなに心優しく(?)いい加減なFBIもいるなんて、親近感湧いてきちゃうくらいでした(笑最初にウィテカーに会ったのが運のツキ(笑それでも彼にちょっぴり人間的な扱いをするあの2人、FBIにするにはきっと優しすぎたんでしょうね。確かにしゃべり方なんかは早口だし、しっかりと観てないと分からなくなってしまいますが、こういうタッチの作品は割と好き。 ウィテカーがブツブツとつぶやく独り言? も面白かったですし。あんなに頭の回転が速いんなら、間抜け(→ ホントに、あり得ないくらい初歩的なミスが多いんだよね)じゃなかったらきっとそれ相応の地位にいたのになあ。大企業の巨悪が薄まってしまいましたが、それと両輪で、1人の人間の闇をえぐり出し尽くして、振り回されたことを描いた、という感じでした。***********************************今日の評価 : ★★★☆これで本年の映画観賞は終わりです。ふぅ、やっと全て書けました。間に合ったら年間ランキングしたいと思います。コメント・TBのお返しは遅くなりますのでどうぞ悪しからず。。
2009.12.30
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原題: THE YOUNG VICTORIA監督 : ジャン=マルク・ヴァレ 出演 : エミリー・ブラント 、 ルパート・フレンド 、 ミランダ・リチャードソン 、 ポール・ベタニー 、 ジム・ブロードベント 観賞劇場 : TOHOシネマズシャンテ公式サイトはこちら。<Story>18世紀の英国。ウィリアム王の姪ヴィクトリア(エミリー・ブラント)は王位継承者として権力争いの真っ只中にいた。実母であるケント公爵夫人(ミランダ・リチャードソン)でさえ、野望を抱く愛人のコンロイ(マーク・ストロング)と共に娘を操ろうとするが、ヴィクトリアは断固として摂政政治を拒否する。18歳で即位した年若い新女王が頼りにしたのは首相のメルバーン卿(ポール・ベタニー)だった。さらに、政略結婚を企むベルギー国王(トーマス・クレッチマン)が従弟のアルバート(ルパート・フレンド)を送り込むが、2人は互いに一目で恋に落ちるのだった。ヴィクトリア女王 世紀の愛 - goo 映画<感想>仕事納めになり、学校も終業式で家族が家にいると、実に映画に出にくく、30日がレディースデーなので、結構無理無理に(笑)3本(そんなに観るなよ。。。苦笑)観賞させてもらっちゃいました。今日観賞した分で今年の映画観賞は閉めます。 急いで書かないとなー。これはその1本目。シャンテ前は、朝も早よから大行列! でして、開映に間に合うか冷や冷やしましたが、どうしてもこれは観ておきたかったので頑張って並びました。エミリー・ブラントはこれで3作品目の観賞です。『ジェイン・オースティンの読書会』、『サンシャイン・クリーニング』と観てきて、それぞれの役に応じて個性をきちんと出せる女優さんという印象です。可愛らしいかと思えばコケティッシュでもあり、それでいて地に足がついたイメージも出せる。この3作品を見ただけでも全く違うだけに、彼女の幅広さが買われているように思いました。そんな彼女が今回はヴィクトリア女王の役。 この映画では、彼女が戴冠し、アルバート公との結婚生活のエピソードのいくつかを描いている。 どちらかと言うと恋愛映画の要素が強く、いわゆる植民地時代、イギリス帝国の絶頂期であるヴィクトリア朝の統治そのもののことは本作にはない。 とにかく後継者争いは血生臭い経緯をたどってきたイギリスだけに、ただ単に王位継承者と言うだけですんなりと王冠がやってくるとは限らない。まして女王、それも年若いとなるとなおさらのこと。 側近や親族が彼女を想っての行動というのが実は彼女を利用するだけだったり、女王にならないことを願ったり、反対に女王になったらなったでどういう風に食い物にしようかと画策したり。 王室メンバーと政治家はまるで違う目的なのに、政治家の後ろ盾がないと実に不安定な女王の座であることを観客は知ることになります。(C)2008GKFilms,LLCAllRightsReserved 周囲の言いなりにならない信念を持って女王の座に就いたヴィクトリア。 しかしそこはまだ若い身空故に、周囲に流されたり経験不足があったことは否めない。本当の意味での支えが欲しいとアルバートを迎えたのに、真に自分を導いてくれる人物がすぐには見分けられない。 自分の役割に介入してくるだけの人間としかアルバートを見れないうちは恐らく、真のパートナーシップが築けていなかったのだろう。しかし互いを一目で好きになったと言われる2人のこと、その関係が次第に強固になっていく様子は微笑ましい。動かされる駒ではなく、自分たちで勝てる法則を見つけ出して行こうという彼らの目論見。 それは、絶対的に自由でありながらも責任は計り知れないほど重く、また孤独である2人の共通項が生み出した、同志としての考えだったに違いない。お互いがお互いを必要として支え合って、そこに共通の認識があるカップルは強いですね。彼らが9人の子を成し、幸福な結婚生活を送ったことは、チェスの駒のように伴侶を与えられる身分にあっては本当に幸せなことであり、イギリスの一時代を築き上げていくにふさわしい、最強カップルであったのだろう。エミリー・ブラントは、若い女王を一心に演じていた。 恐らく彼女にとっても本作は大役であっただろうし、それと若くして女王の座に就くヴィクトリアの戸惑いとが重なりあったようで、少し不安げな表情はぴったりであった。 それでいて女王の威厳も保ちながら、若いカップルの躍動感も出さなくてはならず、難しい役だったけど好感を与えることには成功したように思う。彼女の衣装も、ほぼ毎回違っており、これも観賞の楽しみの1つかもしれない。ルパート・フレンドも、少し控え目にしないといけない求婚者から、「女王の夫」という立場まで、微妙な立ち位置を演じることになった。 女王よりも前に出過ぎてはいけないし、彼女を助ける必要もある。 その中でも彼女への愛を不器用ながらも表現していたのは爽やかだった。コンロイ役のマーク・ストロングは『ワールド・オブ・ライズ』 『ロックンローラ』、コンロイの政敵の首相・メルバーン卿役のポール・ベタニーは『クリエイション ダーウィンの幻想』 で十分に演技を観ているだけに、彼らの男っぷりを観るのも楽しかった(笑やっぱり単純にカッコいい。。。 ^^メルバーン卿は最後あんなに物分かりがよかったのかはわからないけど、当時のイギリス議会での駆け引きに一役買っていた事情を観るのは面白い。 そしてコンロイとケント公爵夫人とのいきさつが説明されてなかったのは残念だけど、まっすぐなマークの表情は個人的に好きです(笑欲を言えばヴィクトリア朝の統治時代の様々なことがあると、もっと面白かったかもしれないですが、ヴィクトリア女王の若き日々、彼女の基盤が作られた時代の話としては興味深く観賞できた。 主演の2人の演技が好感が持てるし、話もオーソドックスなので、難しい知識がそんなになくてもすんなりと入って行ける歴史物。 豪華絢爛な宮殿内部や衣装も、目を楽しませてくれる。*********************************今日の評価 : ★★★
2009.12.30
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原題: AVATAR監督・製作・脚本 : ジェームズ・キャメロン 出演 : サム・ワーシントン 、 ゾーイ・サルダナ 、 シガーニー・ウィーバー 、 ミシェル・ロドリゲス 、 ジョヴァンニ・リビシ 、 スティーヴン・ラング 公式サイトはこちら。<Story>元海兵隊員のジェイク(サム・ワーシントン)は、遥か彼方の衛星パンドラで実行される“アバター・プログラム”への参加を要請された。パンドラの住人と人間の遺伝子から造られた肉体に意識を送り込むことで、息をのむほどに美しいその星に入り込むことができるのだ。そこで様ざまな発見と思いがけない愛を経験した彼は、やがて一つの文明を救うための戦いに身を投じていく…。アバター - goo 映画<感想>さっき観てきました(笑) 3D字幕版。帰ってきたばっかりですが、記憶があるうちに書いとこっ。前の『サヨナライツカ』との間に3本観てますが、記事すっ飛ばします(笑ちょうど暇そうにしてた長男と一緒に行ってきました。 感想。。。 素晴らしかった。とにかく、ジェイクのリーダーシップと、カリスマっぽさに素直に引き込まれてしまいました。ナヴィを思いやったり外敵と闘ったりする勇気なんかはよかったなあ。そして、ネイティリを演じたゾーイ・サルタナの身体能力の高さが印象に残りました。軽い身のこなし、元ダンサーの経歴が見事に生きています。ナヴィたちもみんなさすがのアクロバット的な感じで、一般のナヴィも、1人1人が逃げ方ですらひょいひょいっていろんなものをかわしますし、エキストラ的役割だったとしても、これはリアリティある選び方でした。パンドラに生息する生き物たちも、1つ1つが工夫を凝らされてて見応えある。 奇異な感じはするけど迫力があって、親しみすら湧いてくる。イクラン(ナヴィが乗って空を飛ぶ鳥、そんな名前でしたっけ?)などが迫力ありましたね。あと、聖なる木の精などの表現の仕方も、心が通っているという雰囲気が出ていました。この世界に浸っているだけでもこの映画を観る価値はあるし、3Dでじっくり味わう方がお得感あるんですよね。(C) 2009 Twentieth Century Fox. All rights reserved.最後は絆だよ・・・ というメッセージが素敵。自分が相手を選び、そして相手も自分を選ぶ。。。 何かを選ぶときでさえ、結婚にも似た儀式が日常で行われる。 本当はそれだけ1つ1つのものを丁重に考えないといけないはず。 1つ1つを軽んじているから、自分のことしか見えなくなってしまう人間たちになってしまった。 本来は人間だってナヴィのように自然と共存していたはずなのに、今では人間の感覚自体がおかしくなってしまっている。絆があってこそ、周りのものと連携していけるし、自然界だってそれに応えてくれるという考え方、世界観にはもともと賛成なので、このテーマはすとんと入ってきました。人間側が、調査と言う名目のもとに行う破壊などは、たぶん現在の人類への警鐘ですけど、まるでこちらがエイリアンかのように思わせるところはなるほどと。 「スカイ・ピープル」と人間は呼ばれますが、地球を自分たちで環境破壊している現実を考えると、そのとらえ方は正解なんでしょうね。細かいこと考えないで、早く劇場に行って、感動してください! としか書けないっ。 ^^**********************************今日の評価 : ★★★★
2009.12.23
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原題: INGLOURIOUS BASTERDS監督・脚本 : クエンティン・タランティーノ 出演 : ブラッド・ピット 、 メラニー・ロラン 、 クリストフ・ヴァルツ 、 ダニエル・ブリュール 、 イーライ・ロス 、 ダイアン・クルーガー 、 ジュリー・ドレフュス 鑑賞劇場 : TOHOシネマズ日劇(TOHOシネマズ1か月フリーパス鑑賞 5本目)公式サイトはこちら。<Story>1944年6月、ドイツ占領下のフランス。映画館主のミミュー(メラニー・ロラン)はドイツ軍の英雄フレデリック(ダニエル・ブリュール)に言い寄られ、挙げ句にナチスのプロパガンダ映画をプレミア上映させられることになった。その事実をつかんだイギリス軍はナチス諸共映画館を爆破すべくアルド中尉(ブラッド・ピット)率いる“イングロリアス・バスターズ”を動員し、スパイのブリジッドと接触を図らせる。一方ナチスでは“ユダヤ・ハンター”の異名をとるランダ大佐(クリストフ・ヴァルツ)が動き出し…。イングロリアス・バスターズ - goo 映画<感想>タランティーノ作品はどっちかというと苦手なジャンルなんですが、やはりどうしてもブラピに惹かれてしまいました(笑) 友人たちとワイワイ鑑賞。 土曜にそんなことは珍しいんですが。。。公開初日から4日間、1時間以上鑑賞して面白くなかったら全額返金します、なんて前代未聞?の企画なんかも、相当自信ありそうとも思いましたしね。 もっともフリーパスなんで私はもともとタダですが。。。これ、もしかして私があんまり好きじゃない、「ヨーロッパ舞台なのに全編英語なハリウッド映画」なパターンかと思ったらそうじゃないんですね。 ちゃんと独・仏・伊語も使用。 これはよさそう! と思いました。 そういうところがきちっとしていないとリアリティ出ませんから。とは言っても設定はたぶんありえなくて、8名のナチのバスターズだったら、たぶんこんなに活躍する前に壊滅されてしまいそうなのですが、そこは置いといて。。。ただし全員が(アパッチはちょっと不明でしたが)ユダヤ系であったり、ゲシュタポに恨みを持っている設定というのはうまいと思います。 このあたりの伏線はちゃんと張られてるんですよね。映画は3時間弱というかなりな長丁場、第5章にまで分かれているんですが、そのどれをも丁寧に描いていくことによって、クライマックスに全部つながってくるんですね。 初めのドレフュスの悲劇なども、一体これがどうして・・・? とも思わせるんですが、それだけじゃない、全てのシーンの長さが無駄じゃない。第1章もそうですが、地下の居酒屋のまったりとしたカードゲームなんかも、人物たちの内面のイライラや、これから何か起こりそうな不穏で不気味な空気を焦らすように出して来てて、観客もその中に引き込む効果が出ている。(C) 2009 Universal Studios. ALL RIGHTS RESERVED.月並みな表現ですが、登場人物たちはすごくみんなよかった! 中でも私が好きなのはメラニー・ロラン。 彼女の内なる闘志が、美しさにうまく紛れてしまって敵を欺くのなんてよかったなー。 殺風景な中に鮮やかな赤いドレス、赤いルージュ。 視覚効果もよいんですよね。フレデリックみたいなのにしつこく言われるなんて絶対彼女にとっては論外なんだと思うんだけど、それを引っ張ってリベンジに利用するところもわかるなあ。そして、カンヌで見事主演男優賞に輝いたクリストフ・ヴァルツ(ランダ大佐)の器用な悪役ぶりも凄かった。 何よりも語学が堪能っていうのがいいじゃないですか。 ちゃんとイタリア語はペラペラなところなんかも笑わせてくれるし、そうかと思えば隙のないナチの非道ぶりもあり、間抜けなビンゴもありと、ベテランの多才さを見せつけてくれたように思います。肝心の(笑)ブラピ。 彼の出番はどっちかというと少なかったですが、それでもインパクトで持って行ったように思います。 脇が甘いところなんかは『バーン・アフター・リーディング』のお笑い系を彷彿とさせますね。 でもやっぱり彼は観ているだけで楽しいし華やかだし。他にもダイアン・クルーガーはさすがのスター女優って感じでしたし、ダニエル・ブリュールのウザくて自信過剰な「勘違いちっくな英雄」も、こっちを充分イラつかせてくれて(笑)よかった。ストーリー的には架空なんだけど、こういう展開ってナチスに恨みがある人たちにとってはかなり溜飲を下げることができるんじゃないでしょうか。 人道にもとる罪は永遠に消えない、その認識を痛烈に見せつける本作、こういう風にしてほしかったと思ってしまう人は多いかもしれません。 映画でならそれは可能だし、その想いをブラックコメディに乗せてちゃんと再現したということで、タランティーノ監督の凄さを改めて感じました。*********************************今日の評価 : ★★★★★
2009.11.21
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