2207338

Nice One!!

Calendar

原題： A BRAND NEW LIFE

監督・脚本：ウニー・ルコント

出演：キム・セロン、パク・ドヨン、コ・アソン、パク・ミョンシン、ソル・ギョング

鑑賞劇場　：　岩波ホール

公式サイトはこちら。

＜Ｓｔｏｒｙ＞

1975年、ソウル近郊。
9歳のジニ（キム・セロン）は状況もわからないまま父親に連れられて、カトリックの児童養護施設に預けられる。

父（ソル・ギョング）のもとに帰りたいと願うジニは、院内の人々に反発を繰り返し、脱走も試みる。
そんなジニを気にかけるのは年上のスッキ（パク・ドヨン）だった。
2人は庭で傷ついた小鳥の世話を始める。
スッキはアメリカや遠い国への憧れをジニに語り、一緒に外国へ行こうと誘う。
かたくなだったジニの心も、少しずつ和らいでいくが…。

冬の小鳥?-?goo?映画

＜感想＞

前売り券を持っていたのに、いろいろと忙しく、
岩波ホールはロングランだからいつでも行ける・・・　と思っていたらもう終わりなんですね。
慌てて駆け込み鑑賞です。

これはほぼウニー・ルコント監督の自伝のようです。
監督自身がこの体験をして、実際に渡仏しています。
そこで幸せになれたから、今があるし、この映画を作ることにもなったのでしょうね。

この作品の１番の魅力は何と言っても主演のキム・セロンちゃん。
撮影開始2週間前に決まった主役の彼女、他メディアで演技はしているものの、
映画は本作が初めて。
黙っていても、どこか周りを惹きつける存在感は抜群でした。
そして透明感があるんですね。
2000年生まれだから現在10歳ですが、幼いながらにも自分の立ち位置をよくわかっている、
勘のいい子役さん。
成長したら韓国美人のいいところを取った感じの顔立ちになりそうです。

親に捨てられる子は韓国では多いのかどうかわかりませんが、
キリスト教が根付いている国ですから、日本よりは養子制度がしっかりしているのかもしれません。
児童養護施設というと、日本では施設内の虐待やいじめといったマイナスイメージが
大きいですが、この映画の中の施設では、事情があって養育できない家庭が、子どもを連れてきて、
しかるべき人のところに貰われて幸せになってほしいという目的があって、
運営されているような気がします。

それでも親に捨てられるということはもちろん大変な衝撃で、
ジニもそのことに絶望していきます。
こんなことを子どもが感じないといけないのは観ていて辛い。
ようやくその環境をジニが受け入れようと思えたのは、やはりスッキのせいでしょう。
ですけど、人は自分が幸せになりたいという気持ちが根底にあり、
それが人の幸せを願う気持ちよりもどうしても優先になる。
そうして裏切られてきたジニだから、父を恋しいと思いながら生きてきたけど、
スッキとの出来事や、寮母さんの様子などを垣間見て、
自分の心をいったん「葬り去った」のかもしれません。
あの儀式によって、彼女はそれまでの優しいだけの自分に区切りをつけて、
自分がどっちに行かないといけないのかを悟ったのでしょう。

施設から去っていく時に、残る人たちが歌う歌。
あの歌を歌っている時のみんなの胸中には一体何があるのでしょうか。
ただ単に、別れを惜しんではいなさそうです。
歌詞とは全く裏腹に、心にもないことを考えている子もいるだろうし、
去っていく方は去っていく方で、名残惜しいなどとはこれっぽっちも思わないでしょう。
その門を出て、どんな人生が待っているかはそれぞれですが、
幸せになれたからこそ、こうして振り返ることができるのではないでしょうか。
ルコント監督は、自伝でこれだけ出しきってしまった分、
次回作はどうなるのでしょう。　と思わなくもないですが、
それほど何もかもが自然だったように思いました。

今日の評価　：　★★★★　4/5点

お気に入りの記事を「いいね！」で応援しよう

Last updated 2010.12.03 02:26:05
コメント(8) | コメントを書く

[韓国映画] カテゴリの最新記事

『悪魔を見た』 (2010) / 韓国 2011.03.05 コメント(6)
『ハーモニー心をつなぐ歌』 (2010) / 韓… 2011.01.17 コメント(8)
『7級公務員』 (2009) / 韓国 2010.12.22 コメント(4)

■コメント

Re:『冬の小鳥』 (2009) / 韓国・フランス(11/30)

miyu♭ さん

ついに観たのね。
前売り買ってるって言ってたからいつ行くんやろ～
とﾚﾋﾞｭｰ待ってたん。

乾いたような懐かしい昔の写真のような色合いで
余計に辛い気持ちになる映画やったわ。

あら！ﾒｯｾｰｼﾞ，認証制にできるんや！知らなかった。→いつも遅れてるﾔﾂ (2010.12.03 09:14:15)

返事を書く

レオニーも見たい♪

latifa さん

roseさん、こんにちは！
そうかあ・・この時１０才だったのね？　将来が楽しみな女優さんだなー。全然話は違うけど、ダコタちゃんって、チェリーボンプ～！って女子バンドの映画の主役をやるんだってね？　ちらっと姿を見たら凄い大人になっていてびっくり。私が中１の時だったかな、そのバンドが人気あってね・・。
子役が大人になっても成功するのって難しいけれど、キム・セロンちゃんは、可愛いだけじゃない何かが有るような気がするな。 (2010.12.03 15:28:49)

返事を書く

miyu♭さん

rose_chocolat さん

こんばんは～

＞いつ行くんやろ～
＞とﾚﾋﾞｭｰ待ってたん。

すごい恐縮ですー。
映画、やたら本数が溜まっちゃって、日記にするのにオソロシク時間かかってます。
今やっと追い付いた。。。笑

この映像の雰囲気も好きだわあ。
キム・セロンちゃんの存在感もいいし。

＞あら！ﾒｯｾｰｼﾞ，認証制にできるんや！知らなかった。→いつも遅れてるﾔﾂ

あはは～　そういうmiyu♭さん好き～
ケータイからだと認証できるかわかんないけどね。。
(2010.12.04 02:10:29)

返事を書く

latifaさん

rose_chocolat さん

こんばんは～

キム・セロンちゃんよかったね。
美人さんになるんだろうな～。　楽しみ。
＞可愛いだけじゃない何かが有るような気がする
そうそう、それも感じる。　将来性あるよね。

ダコタちゃんも大人になるのは早いよね。
デート報道とかもされてるし・・・　うちの子よりも
ちょっと上か。　じゃあそれも自然だよね。

レオニー、あんな感じでした。　また観たら感想
教えてね～☆
(2010.12.04 02:17:11)

返事を書く

将来。

BC。さん

rose_chocolatさん、こんばんは。

>この映画の中の施設では、事情があって養育できない家庭が、子どもを連れてきて、
しかるべき人のところに貰われて幸せになってほしいという目的があって、
運営されているような気がします。

日本の施設は中学か高校を卒業するまで預かるという方針が多いような気もするけど、
韓国の施設では出来るだけ早いうちから将来への道筋をつけていく場という感じがします。

P.S.
今日、『黒く濁る村』観てきました。
ミステリーというよりも人間ドラマとして観ると普通に面白かった作品でした。 (2010.12.04 20:10:59)

返事を書く

BC。さん

rose_chocolat さん

こんばんは～

そうですよね。　韓国では小さい子を小さいうちに、
積極的に養子縁組しましょうという感じなんでしょうか。
それで幸せになれるなら、それもいいことですね。
(2010.12.05 02:45:55)

返事を書く

今晩は！

パピのママさん

それでも親に捨てられるということはもちろん大変な衝撃で＞そうなんですよね、やむにやまれぬ事情があって、子供を養護施設へ入れのでしょう。
子どもは、いつまでも父親が迎えに来るのをひたすら待つばかり。
それでも何年かすると、自分の置かれた立場が理解できて養子縁組の話を受け入れる。
現実の日本では、我が子を虐待死させたり、餓死させたりするニュースが報道されるたび、まだこのような受け入れる制度があるのは、子供にとっても生きる望みが出て幸せを掴めることでしょう。
邦題の付け方がいいですね。 (2010.12.16 16:57:07)

返事を書く

パピのママさん

rose_chocolat さん

こんばんは～

日本だとどうしても「施設で育てて社会に出して自立させる」って考えですけど、
韓国のように「別の人生を歩かせる」感覚の方が前向きだと思うんですけどね。
その方が子どもにとっても幸せになりやすいようにも思いますけど・・・。
(2010.12.17 02:16:14)

返事を書く