Cymruのお喋り

Cymruのお喋り

2011年06月02日
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カテゴリ: 思いのままに
震災のあの日、
目の前に突きつけられた現実に
言葉を見つけることが出来ませんでした。

言葉の無力さを呪いました。

でも・・・

あの日から必死で探し続けておりました。

言葉は失われたわけではありません。
私のあまりに乏しい語彙では見つけられなかった言葉を
見つけました。



  (前略)

  地の下には少しまぬけな配達夫がいて
  帽子をあみだにペダルをふんでいるのだろう
  かれらは伝える 根から根へ
  逝きやすい季節のこころを

  世界中の桃の木に 世界中のレモンの木に
  すべての植物たちのもとへ
  どっさりの手紙 どっさりの指令
  かれらもまごつく とりわけ春と秋には

  (中略)

  秋のしだいに深まってゆく朝
  いちぢくをもいでいると
  古参の配達夫に叱られている
  へまなアルバイト達の気配があった

  (中略)

  地の上にも国籍不明の郵便局があって
  見えない配達夫がとても律儀に走っている
  かれらは伝える ひとびとへ
  逝きやすい時代のこころを

  世界中の窓々に 世界中の扉々に
  すべての民族の朝と夜とに
  どっさりの暗示 どっさりの警告
  かれらもまごつく 大戦の後や荒廃の地では

  (中略)

  未知の年があける朝
  じっとまぶたをあわせると
  虚無を肥料に咲き出ようとする
  人間たちの花々もあった


      茨木のり子・詩集「おんなのことば」(1994年)所収


「どっさり」のものがあまりに多すぎて
「へまなアルバイト」さんたちも
「古参の配達夫」の方々も
大混乱なさっていらっしゃるようですが 

私たちは知っております。

「国籍不明の郵便局があって
 見えない配達夫がとても律儀に走っている
 かれらは伝える ひとびとへ
 逝きやすい時代のこころを」

世界中から届いた想いを・・・

「かれらもまごつく 大戦の後や荒廃の地では」

これだけの震災でございます。
復旧復興には長い長い時間がかかること
覚悟しなければなりません。

あの日の衝撃を決して忘れることなく
それぞれが自分の出来ることをやり続ける。

「虚無を肥料に咲き出ようとする
 人間たちの花々もあった」

という言葉を抱きしめて・・・


この方の言葉にいつもいつも救われております。
この方の言葉に出会わなければ
文章を書くこと、書き続けること
とうの昔に諦めてしまっていたことでしょう。
言葉には想いを宿すことが出来ます。
言葉には想いを伝える力があります。



新刊本屋さんで
古本屋さんで
図書館で
茨木のり子様の作品と出会う機会があれば
是非、手に取り
珠玉の言霊たちをご堪能下さいませ。

この「見えない配達夫」の全文も是非ともご高覧下さいませ。


Cymru拝







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最終更新日  2011年06月02日 20時39分27秒
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