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惑星群から成る一太陽系は万物とまったくよく似ています。
一定の期間を経て発達の極に達し、やがて分解し始めます。
私たちの太陽系が形成の過程にあるよりもずっと以前に、あなたがたが人類と呼ぶような人間のいた無数の惑星から成る多くの太陽系がありました。
当時もこんにちと同じように、各太陽系内や太陽系間の宇宙旅行が行われていましたが、その旅行のおもな目的は現在の私たちのそれと同じでした。
宇宙空間のあらゆる面における活動を研究するためです。
それで一太陽系で一個の新しい惑星が形成されているのが発見されますと、多くの惑星からやって来た旅行者によって観測され、綿密に研究されました。
新しい惑星が人間の居住に適した段階にまで発達したことがわかると -あらゆる惑星は早晩その段階に達するのですが- 旅行者たちはこの事実を他の惑星(複数)や別の太陽系(複数)の惑星群の住民たちに知らせます。
そして新世界へ進出して開拓をしようとする志願者が募集されます。
それから大母船団にこの志願者と必要な装備一切を積み込んで新惑星へ輸送します。
そのあともたびたびパイオニアーたちの装備や補給品を必要に応じて運びます。
そこへ行った人々は故郷の惑星へ訪問のために帰ることもできます。
このようにして表現の新しい経路が開かれ、同時に新しい世界が人間によって住まわれるようになるのです。
地球は人間の生命の維持可能な段階に達した惑星として、この太陽系では最も遅れた世界でした。
地球の初期の住民は他の惑星群から送られて来たのですが、まもなく地球の大気中に思いがけない事が起こり、移住民は数世紀もたたぬうちにこの惑星の生活条件が好ましくないものになることに気づいて、その結果、最初の住民は少数の者を除いて所有物をすべて宇宙船に積み込み、別な惑星へ向かって離れました。
残留を希望した少数の者はこの新世界のみずみずしく繁茂した美と裕福のさなかにあって堕落してしまい、それ以上のものを求めなくなりました。
次第に彼らは自然の洞窟の中に住んで満足するようになり、ついに記録から消えてしまったのです。
地球ではこの最初の住民の記録は存在しません。
ある種族の神話に残っているだけです。
この最初の文明の記憶はトリテリアの原始民族にちなんでトリトン神と呼ばれているものの中に保たれています。(トリトン神はギリシャ神話に出てくる半人半魚の海神)
宇宙のパイオニアーたちが去ってからまもなく、地球の表面には多くの自然の変化が起こりました。
海底深く沈下した大陸がありますし、反対に隆起したのもあります。
そのあとふたたびこの世界は人間の居住に適するようになりましたが、今度は大気中にまだ残っている諸条件のために、志願者は募集されませんでした。」(9)

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