裏読書日記

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2008年05月23日
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29歳の時に交通事故で下半身の自由を失った(対麻痺と言うそうだ)マルク・メルジェさんの自伝です。婚約者とのデートという幸せの絶頂の瞬間に事故にあって、地獄に突き落とされたようなショックを味わったものの、婚約者ヴェロニックの愛は揺らぐことなく2人は結婚。手と手を取りあって不自由な車椅子暮らしをしていくのでした・・・

というのがホンの序盤のお話。彼の人生のもうひとつの大きな物語は、とあるインプラント手術という事なのです。マルクの病状というのは、脳の信号を下肢に伝える神経繊維が切断されたというもので、筋肉はいたって健康(弱ってはいますが)なのです。手術でワイヤーと外からの指令を受け取ることの出来るインプラントを埋め込んで、電流を流すことで筋肉を動かそう!というのがこの手術。マルクは開発者であるラビジョン博士と手を組んで、このプロジェクトの最初の被験者となることを決意します。

下肢の神経部分は全て人の手によるものになるわけですから、不安も大きく失敗もさけられません。マルク本人よりも妻の不安の方がより大きかったようです。事故の瞬間から手術によって刻んだ一歩まで、刻々とその時の状況が語られています。いつもからそれほどノンフィクションを読むわけではないので一概には言えませんが、感動を増幅されるような大袈裟な記述があまりなく、かなり淡々とページがすすみました。小説を読み慣れている私には、瞬間瞬間にあっただろう感動の伝わり方が緩かったためちょっと物足りなさがあります。そうはいってもどんな大事件が起こっても時の歩みは変わらないのですから、人生を語るということにおいてはこのやり方が正しいんでしょうね。

人の命をも科学と医療で作り出せるだけの技術がある世の中で、「こんなに簡単に人は死んじゃうの?」と思うことも沢山あります。しかし、体に自由を取り戻すという事に懸けている科学者・医学者たちの存在がこれだけあることと、熱い想いがあることを知ったということだけでもこの本を読む価値はあります。難しい専門用語がないのでスラスラ読めるところも良いところです。この技術、これからメディアを騒がせる予感がしませんか?(2002/8/2掲載)





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Last updated  2008年05月23日 08時15分43秒
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