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主治医には数値の意味であるとか、画像診断の細かいところとかを説明して貰えなくて不満だったようで、私がデータを事細かに説明したら、毎月、データを持って通われるようになった次第。
2ndラインも奏功し2023年の4月まではCEAは下降した。ただ6月から上昇に転じ、そのあたりから痩せが進みだした。7月に3 rdラインを開始したが、副作用が強くて今月は受けられなかったらしい。いつもは妻とふたりで来るのだが、今日は息子も一緒に来た。
息子は開口一番、父に抗がん剤をやめるよう説得してください、と。
息子にお父さんの気持ちは聞きましたか、と尋ねた。
「父は主治医が止めようと言ったら止める、というので、主治医のところにも行ってきました。主治医はお父さんが止めたいと言ったら止めます、と言うんです。父は生きている限り抗がん剤は続けたいと言う。どうしたらいいんですか?」
なぜ、お父さんは抗がん剤を続けたいのか、尋ねましたか?と息子に問うてみた。そしたら息子は父親の方に向き直って
「おとん、なんでや。なんで、身体がボロボロになっても抗がん剤打ちたいねん?」
父親がちょっと涙目で答えた。
「がんに負けたと思われるの、かなんやんか。」
息子が
「ボロボロになるまでやらんでもええやんか。今月、ちょっと調子ええやろ。それは抗がん剤中断してるからやで。主治医の先生も言うてはった。止めどきかも知れません、て。もうな、家族としてはみてるのが辛いねん。」
そしたら、父親が
「先生、わしには止めどきなんてこと言わはらへんかったで。しかも、お前、わしのことなんか知らんぷりやんか。」
息子、「俺が何を言うたかて聞かへんやん!」
父親、「お前が止めえ、言うなら止めるけどな。」
突然、息子が私の方を向いて「先生、抗がん剤止めたらすぐ死にますか?」
「止めてもすぐには死にません。暫くは元気に過ごせますよ。元気が無くなったらホスピスで面倒みますから。」
二人が「ほな、もう止めときます。しんどくなったら入院させてもらいますわ。」
こんなことも緩和ケア医の仕事なのである。
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