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日曜日の午後。本屋に向かう。11月末なのに日差しがとても暖かいので、歩いていくことにする。《咲花》には、まだ行けてない。学校で、渡良瀬とも話をしない。担任でもない俺とは特に話もないけど。”喜春ちゃんに本気になるって事は、夏恋も引き受けるって事だ。”《雪丸》のご主人の言葉が、校庭で授業で渡良瀬を見かけるたび頭を走る。《咲花》が近づいてくる・・・。 緊張する。ただ、店の前を横切るだけなのに。早歩きで通り過ぎようとした時、どこからかシャボン玉が降ってくる・・・。空を見上げると、ベランダでいすに座って、喜春さんがシャボン玉を吹いていた。「―――― 喜春さん!」俺は思い切って下から喜春さんの名を呼ぶ。喜春さんがベランダの格子から俺を見下ろす。「・・・喜春さん。」もう目が合って気がついているのに、名前を呼んだ。喜春さんはそのまま返事もせず、ガラス戸を開けて部屋に入ってしまった。”嫌われた”・・・みたいだ。・・・でもこれで、あきらめもつく。もう一度、空を見上げて歩き出す。「―――― 先生。」振り返ると、《咲花》の入り口から喜春さんが呼んでくれた。肩より長い髪、白のハイネックにベージュの薄い素材のカーディガンを羽織りデニムのロングスカートをはいている。振り返った俺に、喜春さんは少し笑いかけてくれた。俺の足が《咲花》に向かう。俺の心が喜春さんに躍る。喜春さんが《咲花》に招き入れてくれる――――。************************シャボン玉を吹く、儚げな喜春ママ・・・。先生の切ない気持ちのフレームでのぞいたら、なんだか私もキュンとしてしまったのです。大好きなシーンです。絵が上手かったら描きたいくらい!(あんまり好きなんで、実際に描こうとしましたが~見事玉砕しました。(><)誰か助けて!)あの一件があってから、初めて喜春ママに会うのがこのシーンじゃ・・・”またまた、惚れてまうやろーーーっっ!!!”って。先生の気持ちを代弁してみました。(^^;)さて、二人の会話は次回のお楽しみに・・・♪emyちゃんにはチビスイカとメロンを届けましたからきっと夏の暑さにも負けず続きを頑張ってくれることでしょう!頼むね~~(^0^)baco
Aug 12, 2010
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「ご主人、僕ね・・・喜春さんから”ガキのくせに。。。”って言われたことにどうしてもこだわってしまって。・・・27歳はガキですか?」「男はいくつになっても女から見たらガキだよ。ガキでいいじゃない。無理に大人ぶって、行儀良くまとまっちゃうことないよ。」「そうかなぁ・・。私は大人ぶって背伸びする男のヤセ我慢って好きよ。」ボクちゃんがカウンター席から振り返り、私に身体を向ける。「もう、どうしたらいいか分からないですね。」「そうねぇ、何でもいいんじゃない?キスでもしちゃえば?」「キス?・・していいのかなぁ。」「そんなこと自分で考えなよ。ボクちゃん、2:00になるけど。明日学校なんじゃない?」「あ!すいません、帰ります。今日はありがとうございました。」ボクちゃんが《雪丸》を後にする。調理場の掃除を始める恋相棒に話しかける。「ボクちゃんの応援、するの?」「喜春ちゃんを板さんに任せられるか?優しいっちゃ聞こえはいいが、気が弱くってダメだ。俺はあの若先生が喜春ちゃん抱きしめたって聞いた時そういうこと板さんにはできないだろうなって思った。本能的に行動しちゃってさ、後で我に返って落ち込んでそういうの、若いから許せるのかな。可愛い奴じゃない。まっ、そのうちまた何かやらかすか、喜春ちゃんにこっぴどく振られるかするだろう。どっちにしても、俺は楽しみだなぁ。」******************言うね、大将!「どっちにしても楽しみ」だなんて!さて、あっという間に8月!もう~、またこんなに更新あいちゃってごめんなさい。(><)(こればっか・・・)気を取り直して?!次回から手代木先生のお話が始まります。予告なんて珍しいでしょ。だって・・・次は私の大好きなシーンがあるんですよ!!もう珠玉の!emyちゃんのこういうシーンが私は大好物なんです。パァーっと脳裏に瑞々しく映画のシーンのように浮かぶのです。ちょっと涼しくなるかも???だから・・・楽しみにしててくださいね~。-aco-
Aug 4, 2010
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「・・・チラッと聞こえた話で、気になったんだけど、先生は喜春ちゃんに幸せになってもらいたいの?それとも先生が幸せにしたいの?・・・渡良瀬さんは喜春ちゃんを全力で守ってたよ。喜春ちゃんも、渡良瀬さんにくるまれて幸せそうだった。本当につつましくて、ほほえましい夫婦だったよ。年の差があったから、渡良瀬さんは常に心配だったんだろうな。酒に酔うといつも、俺が死んだらハルちゃんを頼むって言ってた。だから、俺達仲間は喜春ちゃんをみんなで守っていきたいと思ってる。だからそのマスクで誘って、一回くらいやっちゃおうかって思ってる程度なら、もう《咲花》にも行かないで欲しい。喜春ちゃんみたいな女は、男がたまんなくなる女なんだよ。特に喜春ちゃんはきれいだし、どっか儚げで頼りなくて、なのに一歩踏み込むと、凛として近寄れないようなところもあって。俺達だっていまだにドキドキさせられる時がある。先生が喜春ちゃんに夢中になったとしても無理ないよ。でもね、仮に喜春ちゃんとどーにかなったにしても、1番にはなれない。渡良瀬さんを抜いて先生を1番好きになる可能性は0%に近いよ。先生はそれに耐えられるか?プラス、喜春ちゃんに本気になるってことは、夏恋も引き受けるって事だ。」「・・・。」「先生、アンタはまだ若いしカッコイイから、他に女なんかいくらでも出来るよ。」「・・・。」「よく考えて、それでも喜春ちゃんに本気なら俺も先生を応援するし、逆に、降りても責めないよ。」「・・・はい。」「ボクちゃん、全部この人の言うとおり。ただ、ずいぶん喜春のことほめてて、なんだか面白くないけど・・・。」「ご主人、僕ね・・・。」ボクちゃんは、もう私ではなく恋相棒に相談し始めている。なので私は店内を片付けながら、2人の会話に聞き耳を立てる―――。---------------------------------ふむむ・・・さすが大人のオトコ。懐の深さを感じます。それにしても、なんてハードルの高い人に恋しちゃったんでしょうね!先生の喜春さんに対する気持ちが試される時が、遠からず来るのでしょうか・・・。今夜はちょっと寒いけど(もうすぐ6月なのに!)お膝の上だけはキララの温もりで温かいです♪みなさんも寒暖の差の激しい日々にはお気をつけて・・・。
May 30, 2010
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今度はウーロン茶を片手に、ボクちゃんの隣に座る。「何かもう一杯飲む?」「じゃ、生ビール、おかわりします。」私は恋相棒にカウンター席から生ビールを頼む。「で、続きだけど・・・」「俺がガキだって話ですよね。」「そう、自分の感情のままに、まっすぐ喜春を抱きしめちゃうところがさ。夏恋の前では”やっちまった”だね。でもそのまっすぐさが、ガキの魅力でもあるんだよ。」「・・・。」「ところでボクちゃんは、この先喜春とはどうなりたいの?」「---初ちゃん、頼む。」恋相棒がレジのほうを見る。商店街のグループの会計。「初ちゃん、イケメンにばっかサービスかよ。」「今夜はねぇ~。」「初ちゃん、俺たちだって10年前は髪だっていっぱいあってさ、スマップと間違えちゃうくらいだったよ。」”ぜぇ~ったい間違えない!”「初ちゃん--。」「板さん、また来てね。」会計が済んで、最後のお客様たちが店を出た。0:30、いつもより30分早いが暖簾をしまった。私は再びボクちゃんの隣に座る。「《咲花》には行ってないの?」「・・・行ってないです。っていうか、なんかいけなくて。」「このまま《咲花》に行かなくなるのならそれもいい。なんにもなかったような顔をして、ただお客様として《咲花》に行くのもいい。喜春に会いたいと思うなら、素直に会いに行けばいい。でも、その時には夏恋にボクちゃんから話して欲しい。夏恋はもう、分かってるとは思うけど・・・。夏恋は今年受験だし、勉強に集中しなくちゃいけない。とにかく、夏恋が淡い期待を抱くような言動は絶対やめて。」「はい。その通りだと思います。」「俺からもひとついい?」”まさか恋相棒から--- ??”--------------------------みなさま、お疲れ様です♪今日は真夏日!30度超えたってぇ?!猫たちはフリーリングや階段でダラけきっております。。。春が短いよなあ・・・。さて、大人のオトコ、初子さんの恋相棒からの一言とは・・・・?次回をお楽しみに~~(^-^)
May 21, 2010
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テーブルを片付けていると、商店街の仲間と飲んでいる板倉さんに話しかけられる。ボクちゃんの事が気になるようだ。「うちはいつでも誰でも飲みに来ていいの。」板倉さんを少し突き放すような口調で返す。テーブルを片付けながら、板倉さんを遠くから見る。ビジュアル面では圧倒的にボクちゃんだけど、確かに男は顔じゃない。・・・とは言っても、板倉さんは野菜を見る目以外は何ともピンと来ない男だ。女を引っ張ってってくれるようなたくましさもなければ、包容力も無い。当然、色気なんかこれっぽっちも感じられない。”やっぱ、板さんよりボクちゃんかなあ――。”********************************みなさん、ご無沙汰してすみません(>
May 17, 2010
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「高校生の女の子にしてみたら、ボクちゃんみたいな男の子でも、 落ち着いた、しかも経験豊富な大人の男性に見えるよ。ボクちゃんは夏恋にとって到底手が届かない男。自分は恋愛対象として相手にされないこと分かってる。だから、夏恋はボクちゃんを、クラスの女の子達とまるでアイドルを応援するような気持ちになって、現実の気持ちをごまかそうと頑張ってる。それと、夏恋と仲のいい・・・」「――本庄ですか。」「そうそう。本庄さんの好きな柏田君が夏恋と付き合ってる優越感と本庄さんにはかなわないって気持ちが現実のボクちゃんへの思いとつじつまを合わせようとしているような・・・。」「渡良瀬が・・・。そうかなぁ・・・。」「じゃ、嘘でも、夏恋に告ってごらん。即効でコロちゃんと別れてボクちゃんのところに来るから。」「・・・。」「そんな憧れのボクちゃんが、よりによってどうして夏恋のママなの、って話なのよ。自分の惚れた男が、人の気も知らないで目の前で女を抱きしめた。だけでもショックなのに、それが自分の母親だったら、どんだけびっくりするって。」「・・・。」「夏恋だって、ボクちゃんが喜春に好意を持ってることは薄々分かってたと思うの。でも,現実目の当たりにするのとは違うからね・・・。」「・・・だって喜春さん、すごく泣いてて、身体が震えてて、本当に旦那さんの事好きだったんだなって。悲しすぎて見てられなくて・・・。」「分かってる。・・・よく分かってる。私はボクちゃんを責めてるんじゃないんだよ・・・。 ――ボクちゃん、ちょっと私もボクちゃんも、一旦冷静になろう。」そう言うと初子さんは立ち上がり、店内のテーブルの空いた皿を片付け始める。俺は生ビールを飲み干した―――。---------------------------------皆様、今年も一年お疲れ様でした。また、私達にお付き合いいただきましてありがとうございました。今年もあまりにマイペースな更新となってしまいました(><)emyちゃんにもacoにも色々なことがあった2009年でしたが1月の「藍紅」で始まり12月の「片想~」まで無事何とか続けることができました。私達も会える時間が少なくなったものの、会えば相変わらず濃い時間をすごす事ができました。来年もその先もずっとこんな風に細く長く良い関係を、そしてブログを続けていけるように頑張ろうね~!それから、私達が続けていける一番の原動力は楽しみにしてくださってるたパソコンの向こうのあなたやアナタや貴方の、支えのおかげです。本当にありがとうございました!!これが年内最後の更新となりますが、来年もなにとぞよろしくお願いいたしま~~す!皆様にとりまして、幸多き新年になりますよう、心から祈っています。
Dec 28, 2009
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「ありがとう。」「―――えっ。」「うまく泣かせてくれて、ありがとう。喜春は本当に、渡良瀬先生だけを頼りにしてたから。悲しすぎて、現実を受け入れるのに時間がかかりすぎちゃって・・・。それと、夏恋の前で泣いたら夏恋が不安がるからって、気丈に頑張りすぎて、泣くタイミング逃しちゃったのよ。私も仲間も近くにいたのに・・・喜春の核心に触れないようにして、泣かせてあげなかった。本当は、ボクちゃんみたいに厳しく優しい言葉、掛けてあげなきゃいけなかったね・・・。ボクちゃんのおかげで、やっと泣けた・・・。」「それなら・・・それで、良かったです。」「ぶんなぐられた甲斐もあったって事だ。」「・・・そうですね。」「喜春のことは?・・・好きなの?」この質問は俺の顔を見ないようにして問う。俺も、少し考えて答える。「正直、よく分からないんです。」「・・・。」「ただ、会いたいです。会って、今日の喜春さんが幸せだったかを確認するような・・・。これって、好きってのとは違いますよね?」「年上ってのは気になる?」「年は気にならないです。でも、生徒の母親っていうのは気になります。」「夏恋の事は? どう思う?」「どうって? ・・・特にどうとも・・・。」「夏恋がボクちゃんを好きなのは? 分かる?」「えっ?俺? だって柏田は?」「コロちゃんは・・・あっ、コロちゃんて柏田って子。コロちゃんは彼氏という名の『友達』。ボクちゃんはあこがれという名の『本命』。」「・・・。」------------------------------------------おまたせしました~!みなさんお元気でしたか?初子さんみたいなセリフ、年下男子に言ってみたいわぁ・・・。それには何事も経験しないとね!!しかし、手代木先生、その若さでそんな穏やかな想い方でいいの??まさか、渡良瀬先生が天国から帰されて乗り移ってるんじゃあ・・・なんて、一気にファンタジーに・・・なるわけないね(^^;)先生には若くて熱い情熱で、喜春ママの堅いドアをこじ開けてほしい~けど・・・「北風と太陽」の例えもあるし・・・ああ!続きが気になる~~!!すっかり寒さも本格的になって、気が付けば今年もあと11日?!年末って何でこんなに気ぜわしいんでしょう!去年の今頃は大好きなオジの入院騒ぎで不安と忙しさでパニクってたような・・・そのオジも今年は前の倍くらい元気になって、嬉しいけどびっくりです。しかもこの年末に福引で料亭の高級お節、4人前を当てたそうな!お正月は一緒に過ごすので、すんごい楽しみです・・・お節が!皆さんにもラッキーがきっとありますように♪♪素敵なクリスマスをおすごしください・・・。-aco-
Dec 20, 2009
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「片想いの体温」~手代木先生の話~以前に谷川先生と望月先生と来た時とまるで変わらない店内なのに、1人で来ると全く違った雰囲気に飲み込まれる。”俺、かなり緊張してる?”この前の《咲花》での行動。この初子さんは俺を叱るだろうか。でも、叱られたかった。叱られて、楽になりたくてここに来た。もうどうして良いか分からない自分をぶちまけたい。今日の本庄功介のように・・・。俺はイカゲソの唐揚げを目の前に、生ビールに口をつける。見回すと、空いている店内に知った顔があった。”何て言ったっけ。渡良瀬の言うエロオヤジ。”向こうも気が付いているかもしれないが、あえてこっちから目を合わせないようにする。空いている店内のわりに初子さんはまめまめしく働いている。”もう帰ろう、座っていられない・・・。”結局ビールも半分しか飲まなかった。立ち上がろうとした時、「――さて先生、聞かせてもらおうか。」初子さんが隣に座る。片手にラムネのビンを持ちながら。「お店、大丈夫なんですか。」「だって、混んでないもん。」「・・・。」隣に座られても、いざとなると、何をどう話してよいのか分からない。喜春さんに渡良瀬氏の死に意見して、顔を叩かれた話からすればいいのか。泣いた喜春さんを思わず抱きしめてしまった事を話せばいいのか。それを見た渡良瀬について話せばいいのか。それとも、あの日以来気まずくて《咲花》に行けない事を話せばいいのか。だいたい俺は何に罪悪感を持って《咲花》に行けないのか。そしてこれは、喜春さんと渡良瀬と俺の事なのに、なぜ何一つ関係ない初子さんに叱られると思うのか。どうして叱られたら楽になると思うのか。「聞きたい事って何ですか?」俺は少しぶっきらぼうに話す。「ボクちゃん、喜春にほっぺぶたれたって。」「・・・喜春さんが渡良瀬先生が死んだのは自分のせいだって、あんまり自分を責めるから・・・。残る可能性が高い強い後遺症の世話をさせる事無く死んでいった渡良瀬先生は喜春さん孝行だって・・・こういうあきらめ方もあるって。。。でも、悪い意味で言ったんじゃ無くて・・・。」「・・・分かってるよ。」「そしたら、ガキのくせに知った口きくなって。そう言いながら、喜春さん泣き出して・・・すごくすごーく泣いて・・・その姿があんまり悲しくて、俺思わず・・・。」「ありがとう。」「―――えっ。」------------------------皆さんこんにちは。朝晩かなり冷え込んできましたね(><)!寒がりの私は早速今年も生姜のはちみつ漬けを作り始めました。これ、薄切り生姜を漬けるだけで2~3日でジンジャーシロップに出来上がり。レモン汁加えてお湯で割ったり、ホットミルクに入れたり。美味しくて体が温まります。(^-^)♪さてさて、手代木先生ってば、叱られると思ったら初子さんから出たのは感謝の言葉?!初子さんの想いは・・・。次回をお楽しみに♪みなさんも風邪ひかないように、たくさんビタミンとってくださいね!*aco*
Nov 22, 2009
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皆さんこんにちは!寒さが厳しい日が続いたと思ったら、昨夜はけっこう暖かくて立冬の今日も、日差しが穏やかで気持ちいいですね。先日更新作業中に、パソコンのトラブルで打ち込んだ原稿がぜ~んぶ消えてから脱力してしまって・・・あっという間に1ヶ月以上経ってしまった!!気温が下がると冬眠モードのように動作が遅くなるaco許してください。。。では早速始めます!----------------------------------『片想いの体温』~初子さんの話~《雪丸》の戸が開いて、珍しいお客様が来店する。店内の様子を戸惑うように伺っている。「いらっしゃい! ―――先生、カウンターでいい?」「はい。」ボクちゃんをカウンターの、あえて一番端の席に座らせる。私は恋相棒に紹介する。「夏恋の先生。」「いらっしゃい。」「こんばんは。」諸事情を知っている恋相棒。でももちろん少しも顔に出さない。「先生、何にしましょうか。」「生ビールを中ジョッキでください。」「はい。」少し間をおいて、「初ちゃん、ちょっと。」恋相棒、私にカウンターに入るように目で合図する。ボクちゃんから自然に見えるよう、私は流しの皿を洗い始める。「・・・初ちゃん、今日板さん来てるよ。」夏恋が泣きながら《雪丸》に来たのは板倉さんも知っている。板倉さんがどこまで知っているのか・・。「もしかして修羅場かな。」「うちでやるなよ。」――確かに。《咲花》の面倒を《雪丸》に持ち込まれるのは困る。でも、それ以上に、面白い事になるかもとワクワクする。それに、私もボクちゃんの口からあの日の事を聞きたい。「・・・ところでさ、カッコイイでしょ。」「そうだな。これは俺、板さんを応援しないとな。」「勝率は?」「男は顔じゃない。」「そうだ!先生。」カウンターからボクちゃんに声を掛ける。「イカゲソの唐揚げ食べる?」----手代木先生の話へつづく----イカゲソの唐揚げ、おいしそう・・・。寒い日に、暖かい場所であったかい人たちと飲むビールもいいですよね!私が頼むのは鳥軟骨の唐揚げ!やっぱコラーゲンでしょ!!コラーゲン鍋もお気に入りです。(^-^)♪皆さんも、お肌も心も乾燥に注意して、秋冬暖かくお過ごしくださいね♪-aco-
Nov 7, 2009
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めっきり秋らしくなってきましたね。acoです。皆様お変わりありませんか?新型インフルエンザの流行で外出も気が進まないときは、おうちの中でじっくり物語を読むのもいいものでは・・・。てなわけで、ぜひ再開する『片想いの体温』をお楽しみいただければと思います♪振り返ってみたら、もらっていた原稿の「手代木先生の話」の、ずいぶんと中途半端なところまでしか更新していなかったことがわかって(><)・・・失礼しました。なので、その回の始めからきちんと載せさせていただきます。その分ちょっと・・だいぶ長めですが、ご容赦くださいませ。お話の続きは・・《咲花》で泣いた喜春ママを抱きしめてしまった手代木先生、それを目撃してしまった夏恋ちゃん、柏田君に告白されて揺れるルミちゃんやその弟の功介クンの複雑な姉に対する想いが交錯している辺りから始まります・・・************************************『片想いの体温』~手代木先生の話~本庄が目の前で涙をふいているけど、抱きしめたいとは思わなかった・・・。もしも、本庄が僕に抱きついてきたら「えらかったよ。」とでも言って、頭をなでてやるくらいの事は喜んでしたと思う。「・・・先生。 柏田君はずるいよね。」泣き止もうとする明るい声。「うん・・・。正直、俺は男だから、 柏田の気持ち、分かっちゃうところあるんだよな。 でも、柏田だけじゃない。男はみんなずるいよ。」「ふ~ん・・・。男はみんなずるいんだ。」「でも、女はそれ以上にしたたかだよ。」「・・・。」「そこが恋愛の醍醐味なのよ。」「・・・先生は、好きな人いる?」「えっ!」本庄宅の玄関前に着く。「そんなに驚く質問ですか? 彼女いるんですか?」「今はいないよ。」「・・・嘘つき。」本庄の泣いた瞳がふざけたようににらむ。「嘘じゃないよ。俺は正直者だぜ。」――玄関の扉が開く。本庄の高校生の弟だろうか?背は180cm位だろうか。目線の高さが僕と同じ位。さすが本庄の弟。モテそうな、イイ顔をしている。「――どうしたの?」「・・・笑い声、聞こえたから。」「笑い声聞こえたからって・・変なの。 先生、弟の功介(コウスケ)です。 ――こちら、手代木先生。」「・・・こんばんは。」気のせいだろうか。弟の目が一瞬鋭く見えた。「・・・。」「功ちゃん、どうしたの?」「どうして先生が家まで来るの?」「志望校の事とか、相談に乗ってもらって、送ってくれたの。 ――先生、今日はありがとうございました。」玄関に近づく本庄の顔が、明かりにさらされる。「――じゃ、明日。」自転車に乗ろうとした時、「先生、今日は本当にありがとうございました。 バレー部の男子にも・・・。」「はい、伝えておきます。」見送られて、自転車を走らせる。3分くらい走って、商店街に入ろうとした時、「手代木先生!」呼ばれて振り返ると―――本庄の弟が自転車で追ってきていた。自転車を止めて待つ。 追いついた弟は、かなり息を弾ませて「先生、ちょっといいですか?」と、やっと言葉に出す。”ん?”2人で自転車を走らせ、商店街を抜けて少し離れたファミリーレストランに入る。オーダーを頼む。「コーヒ-。」「僕も。」「腹減ってるだろう。なんか食えば。」「先生も食べてください。」店員を待たせたままメニューを開く。急いで、なんだか気取った名前のカレーライスを注文する。「僕も同じで。」店員がはずしても、何も話さない。”しかたない・・・。”「どこの高校なの?」「F私大の付属です。」”すごいっ。”「頭、いいんだな。」「・・・別に。母がF私大だったから。」息を弾ませて追ってきた割には、ぶっきらぼうで話しにくい。「・・・で、何?」「・・・帰宅した姉の顔が、泣いていたようだったから。」「へぇー、ずいぶんお姉さん想いだな。」「・・・何の話をしたんですか。」「大学の話とか、志望大学を変えるかもって相談とか――。」「どうしてですか? 都内の大学に行かないんですか? あなたがいるからですか? 先生が引きとめたのですか?」カレーライスが運ばれて、少しの間、話が途切れる。店員がはずすといきなり、「姉を引き止めないで下さい! 姉はやっと家を出られるんです! ・・・ずっと友達とも遊ばず、部活もやらないで、 僕たちを見てくれたんです。」”何を興奮してんだか。”「とにかく、冷めないうちに食おう。」「・・・姉に何も言わずに来ました。メール送ってもいいですか。」ことわりを入れてからメールを打つのは、本庄が教えた礼儀なのだろうか。弟が携帯をテーブルに置き、カレーを食べ始める。何も話さず、ガツガツと・・・。「・・・さっきの大学の話だけど、具体的な話は何もしてないよ。」「・・・先生は姉の事、どう思っているんですか?」「本庄みたいないい女を、どうとも思わない男はいないだろ。」「・・卒業したら、姉と付き合うんですか?」「さぁ、どうかな。」「・・・姉に、都内の大学を勧めてください。」「それは、俺がどうこう言う事じゃないよ。 本庄が決める事だろ。」「・・・。」「それに、本庄の好きな男は俺じゃないよ。」「じゃ、誰なんですか? 知ってるんですか?」「さぁ・・? ただ、俺じゃない。」「・・・。」僕の答えがかなり意外だって顔をした後、考え込むように黙った。「本庄が自分でこっちの大学選んだら――」「だから、それじゃ困るんです!!」一瞬、時が止まるような大きな声で言い放つ。周りのテーブルの人が、覗き込むようにこっちを見る。「・・・すみません。」「・・・。」「・・・姉が家を出てくれないと、困るんです。」先の勢いはどうしたのか、今度は僕と目を合わさないよう下を向いたまま、小さい声で話し出す。「僕は、姉が―――、 姉が・・・、 好きなんです。」――最初は僕を”先生”と呼び、そのうち”あなた”に変わる。”どんな奴”とも言われてしまった。誰にも打ち明ける事を許されない、姉への想いが溢れ出てしまって、もう冷静ではいられないのだろう。下を向いて口唇を震わせる彼に、もちろんこの状況の分からない店員がコーヒーのおかわりを聞いてくる。「お願いします。」僕が代わりに答える。男兄弟で育った僕には、姉への想いは正直よく分からない。ただ、彼が大人なら、コーヒーより酒を飲ませてやりたい。素面だと質問するほうも答えるほうも切なくきついが、もう少し吐き出させて楽にしてやりたい。「立ち入って聞くけど・・・、いつごろから好きなの?」「・・・子供の頃から頭がよくて綺麗な姉が自慢でした。 2年位前だったかな・・・。 中学生の弟が、姉と一緒に風呂に入った一番下の弟を からかったんです。『まだ姉ちゃんと風呂入ってんのか、 姉ちゃんおっぱいでっかいだろ』って。 僕はそのやり取りを聞いて頭がカーッと来て、 中学生の弟をブン殴りました。 その後は男3人、もうメチャクチャで・・・。」男3人の兄弟げんかはどんなものか、僕にもよく分かる。「――その夜、姉から『学校で友達に意地悪言われて泣いて帰宅したの。 だから少し甘えさせてあげようと一緒にお風呂に入ったのよ。 私の胸の話は、笑わせようとした冗談じゃないの』 って・・・。 でも・・・、僕にとってはこの冗談がきっかけで 姉を意識するようになってしまって―――。」・・・僕は、どんな顔をしてこの話を聞いていたのか。「すみません、こんな話をして・・・。」急に我に返ったように謝ってきた。「・・・それで?」「それで――。」「その大好きなお姉さんが、高校を卒業したら 俺と付き合うって話になって、”どんな奴”か顔を見てやろうって? なのに、姉さんの想いは俺じゃないって聞いて 今度は気持ちをぶちまけたくなったか。」「・・・すみません。 八つ当たりかな。」「いいよ。気持ちは分かる。 俺だってついこの間、感情が抑えられなくて、 やっちまった事あるんだから。」「――後悔してますか?」「・・後悔はしてないよ。ただ、迷ってる。」「僕も・・・ こんな話、先生にしてよかったのか迷ってます。 誰にも言わないで下さい。」「誰にも言わないよ。」「・・・姉が家を出なかったら、どうしよう。」「マジな話、そうなったら、お父さんだけに 本当の想いを話して、お前が家を出ろ。」功介の顔が、晴れたような表情になる。たった一つでも逃げ道が出来て、ホッとしたのだろう。ファミリーレストランを出る。自転車置き場で、功介が自転車のスタンドを上げながら僕に聞こえるように、独り言をつぶやく。「やっぱ・・柏田先輩なのかな。」「少なくとも、俺と君じゃない。もう追求は止めろ。 相手が誰だって、気に入らないんだから。」「・・・はい。先生、ごちそう様でした。ありがとうございました。」そう言うと、心の内を話す前とは別人のような顔で自転車を走らせて行った。そうなると、僕も誰かに心を軽くしてもらいたかった。あの日から《咲花》には行っていない・・・。喜春さんには会いたい。でも、渡良瀬を変に刺激するのも嫌だった。自転車を走らせ、帰宅の途中《雪丸》が目に入る。初子さんの『・・・喜春は、正直難しいよ。知れば知るほど。』を思い出す。『ボクちゃん』と呼ぶのが気に入らない。”入ろうか・・・。”実際、酒も飲みたかった。ただ、僕は1人で居酒屋に入った事がない。緊張する。それに、本当に仕事中の初子さんが僕の話を聞けるのだろうか。しかし、このままでは《咲花》への解決策も見つからない。”1時間だけ。・・・いや、入ってすぐ出てもいい。”僕は《雪丸》に自転車を止める―――。『初子さんの話』へつづく・・・。------------------------------お疲れ様でした~~。久しぶりに読んでいただいて、ありがとうございました!皆さんの脳裏に『片想いの体温』の色々なシーンが蘇っていたなら幸いです。私はemyちゃんにもらった新しい原稿を一足お先に読みながら、展開にワクワク!どんどん載せていきますので、どうぞ次回をお楽しみに♪♪♪(^-^)
Sep 26, 2009
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藍の言いなり 紅のぬくもり**Scene 7-5** ------------------------------20:25 Y駅に着く。「Y駅に着きました。」「西口の改札抜けて。」Y駅はどの電車も乗り換え駅で、改札も多くて分かりにくい。近いのに苦手で、あまり降りたことが無い。西口改札にたどり着く。メールを打ってるのか、携帯操作中の三村の姿が見える。今気がついたけど、化粧も直していない。孝夫との待ち合わせではありえない。すでに里美と飲んだ中ジョッキ2杯の入った顔。私は改札を出て、三村に近づく。「三村さん。」三村は私を見ると、少し笑った。「ごきげんな顔だな。安心した。・・・さて、静かに飲みたい?大騒ぎしたい?」可笑しい。三村が里美と同じ事聞くなんて。「――― 大騒ぎで。」---------------------------------------------------------「藍の言いなり 紅のぬくもり」第一部~完~(第二部に続く)---------------------------------------------------------:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::~EMYからの伝言~いつもお読みいただきまして、ありがとうございます!突然ですがこのたび、「藍の言いなり 紅のぬくもり」を一度お休みさせていただくことにしました。前回、中編の「ビロードの背中」続行中に、短編の「束縛」を入れてみたのは、読者様の中編を読み続ける緊張を少しといてホッとしてもらおうと考えたものでした。また、今回も同様「片想いの体温」続行中に・・・と考えて「藍の~」をアップしてきました。先日、acoさんと話して、「藍の~」は続行途中に入れるにしては内容が重くイラッとする。(このストーリーはイラッとしてもらえたら正解です。)それなら「片想いの体温」を終わらせて新たにスタートしたほうが良いのでは・・・という結論になりました。まことに勝手ながら、次回から「片想いの体温」の初子さんの話から、続けさせていただきます。そして「藍の言いなり 紅のぬくもり」は、より良い作品になるよう、練り直して再びアップいたします。「片想い~」を、もうすっかり忘れている方、お時間のある方は、ほんの少し前から読み直していただけると嬉しいです。また、深く読み込むのではなく、おやすみ前にさらっと読んでくださいませ・・・。これからも相変わらず、aco&emyを応援していただけると上しいです!よろしくお願いします。~EMY~・・・と、いうわけで!ちょっと急なのですが・・「藍紅」ファンの皆さんにはちょっとお休みをいただいて・・・。三村さんと真純さん、初めて素直な気持ちで向かい合える時間になるのでしょうか?連載再開をお待ちください!そして・・「片想い」ファンの皆様、お待たせしました♪次回より連載再開です!思えば、手代木先生と最後に会ったのは・・・、私がウェイトレスのバイトしてたファミレスに、突然先生がルミちゃんの弟のコウスケ君と一緒にやって来た時だったなあ・・・。あ、私、バイトなんてしてなかったっけ。でももししてたら、悩める美少年VSこげ茶の瞳の美青年の会話に目が釘付けで、絶対何回もお水のお代わりにいきますね!皆さんもどんなシーンか思い出してきましたか~?お時間のある方はフリーページのお好きなところから振り返ってみてくださいね♪甘酸っぱい気持ちがよみがえってくるのではないでしょうか。。。では、また!(aco)
Aug 16, 2009
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「藍の言いなり 紅のぬくもり」**Scene 7-4** ”大丈夫? メシ食った?”里美が半分怒ったように私を見ている。「三村さんからだった。」私は里美に受信メールを見せた。「なんで? なんで三村さんからメールが来るの?」里美の表情と口調がグッと明るく変わる。「前に里美とご飯食べて帰った時に、駅のホームで会って・・・。」私は先日の話してよさそうな箇所をつなぎ合わせた。私が三村を誘惑するような行動とか、三村が私とスル気で自宅に入れたとか、三村の部屋で食事したとか、三村の鎖骨のホクロとか、三村の電話の声は心地よかったとか・・・9割方端折った。なんだか赤裸々には話せなかった。里美には、何ともお行儀の良い2人のメルアド交換に伝わっただろう。「へぇ~。真純はヴィジュアル系に好かれるんだ~。」「里美、桐原さんは嫌いでしょ。」「嫌いよ、でも見た目はカッコいいじゃない。 それは事実として認めてる。 あの、自信過剰な勘違い性格は大嫌いだけど。 真純の事だってどっぷり自分好みに作り変えて、 しかも二股・・・悪い奴だよ。 ・・・しかし、いつの間に三村さんまで? 三村さん、経理課でも人気高いよ。 あのぶっきらぼうで冷たい感じが、若い子にウケるらしいよ。 ・・でも、このメールは真純を心配してる・・・。 三村さんて、下の名前は・・・」「カヅキ。」「ふ~ん。で、どうするの?メールの返信。」「里美と食事した、って・・・。」「ばか!今から会いたいって、送信して!」「でも・・・。」「私はもう帰る。まだ19:50だよ。 今から会いな。あって三村さんとヤッちゃいな。 桐原なんか、どーでもいいよ。」「・・・。」里美は私の携帯を取り上げると、送信を打ち始めた。”三村さん、今どこ?”返信が来る。”もうすぐ乗り換えのY駅に着く。””じゃ、そこで待ってて。””了解。”「――真純、帰ろう。」会計を済ませて、駅に向かう。「・・・私さっき、三村さんとヤッちゃえって言ったけど、 ヤッちゃダメだよ。 今日みたいな日はヤケになっちゃって、 そんな気分かもしれないけど、 そんなときこそ、冷静にね。」「大丈夫。ありがとう・・・。 それに三村さん、彼女いるし。」「そっかあ・・・そうなんだ。 でも、友達として飲むくらい、いいじゃん!」------------------------------------------みなさんコンニチハ♪いつもありがとうございます。真純さん、この辺でドS桐原?に見切りをつけて新しい爽やかな恋に駆け出してほしいもんです。あっでも、三村さん彼女持ち・・・。爽やかに始まる訳ないか・・・。きゃ~~!もうすぐ7月も終わりじゃないですか!でも、ここら辺は都会と言われる街なので、セミの声を先週初めて聞きました。年々少なくなってる気がするなあ・・・。我が家の猫たちは伸びきってだらけきってます。板が涼しいのか階段を2匹で2段陣取ってるから、家族が降りるとき踏みそうでアブナイったらありゃしない!次回はemyちゃんからメッセージがあるかも。。。お楽しみに♪
Jul 29, 2009
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「藍の言いなり 紅のぬくもり」**Scene 7-3** 会社から少し離れたチェーン店の焼き鳥屋に入る。18:20 ギリギリで2人のテーブル席に座れた。「いらっしゃいませ。お飲み物からどうぞ。」20代前半位のハーフのような顔立ちの男の子。「私はウーロン茶。真純は?」「中ジョッキ。」運ばれてきたビール、里美とグラスを合わせた後、私は2/3を一気に飲んだ。注文した焼き鳥を食べながら、他愛ない世間話を少しして、核心に触れてきたのは里美のほうだった。「・・・ついにこの日が来たか。」「ついにこの日が来た。」「いい機会じゃない。あんな男とは別れたほうがいい。」「そうね・・・。」「奴から何か言って来た?」私の心中を察してか、里美は孝夫を”奴”と表現する。「今までと変わらないからって・・・。」「はあ? それだけ?!」「・・・。」「って事は、婚約しても、真純と付き合うつもりでいるの?」「・・・。」「あきれた。・・・で、真純はどうするの?」「・・・。」何も答えられなかった。こんな状況に成り下がっても、私はやっぱり孝夫が好き。また、孝夫のいない生活が考えられなかった。「―――はいはい。前から真純にもあきれてたけどね。・・・今まで、何があっても私は真純の味方して来たつもり。これからも、何があっても真純の友達でいたい。だから・・・、愛人はだめだよ。誰かを泣かせるような恋愛はだめだよ。真純は、ピュアで素直で・・・私、真純のそういうところ大好き。だけどもっと賢くならなきゃ。桐原さんはズルいよ。ズルい男だよ!」その時、私の携帯のメール音がなった。熱くなりかけた里美が冷静になる。「・・・真純、電話鳴ってる。」私は、メールだから後ででも・・・と思いながら”孝夫かも”と期待する。「メール、桐原さんじゃないの?」私は携帯をカバンから取り出し、画面を開く。―――三村からだった。-----------------------------------------関東地方も梅雨があけました!後半はほとんど降ってなくて、暑い日ばかりだった気がする・・・。青森に親戚がいるので、毎年水不足が大変と聞いています。降るべき時にじっくり降るのも、きっと大切な自然の循環なんですよね。今年の夏は水不足大丈夫かなあ・・・。ともあれ、夏!真純ちゃんの恋愛も、雨模様はそろそろ終わってカラッと晴れた夏の空みたいにパァー!!っと明るく行ってほしいもんです!あっ、そうだ!先日お話しした、私が気になる焼き鳥屋さん。仕事がたまたま早く終わった日に閉店間際で寄れたんです!念願の焼き鳥を早速購入&持ち帰って食べました。美味しかった~~!特に手羽先!!絶対また買いに行くぞ~~!小さなご褒美が、日々の元気の源なんです♪おまけ:「片思いの体温」ファンの皆様・・というか手代木先生びいきの方?にもうすぐ嬉しいお知らせが届くかもしれませんので、お楽しみに~!
Jul 15, 2009
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今日は小説はちょっと休憩・・・acoのダイアリーをお送りします。毎日暑い日が続いて、血圧が88/48なんていう低血圧の私は立ちくらみが結構頻繁におこってしまうのですが、検査しても鉄分は足りてるし異常なし。それでもクラつく私の強い味方をご紹介します!今日は仕事の合間にキッチンに立って、我が家秘伝の赤ジソジュースを作りました!赤紫蘇をよく水洗いしたものを20分ほど煮出した液にクエン酸かレモン汁と砂糖を加えただけのシンプルなもの。でも、とてもきれいなルビー色で、氷をたくさん入れて割って飲むと甘酸っぱさがたまらなく美味しい! 夏のだるさが吹き飛びますよ~。お砂糖をオリゴ糖や蜂蜜・黒糖に変えると味に深みが出てまた違った感じで良いです。焼酎割りもいける~~♪暑い外から帰って氷をいっぱい浮かべたシソジュースをク~~~ッッ!血が隅々まで巡る感じで、生き返ります!そしてたまらないこの風味。余計な添加物一切なしで、シソが好きな方には本当にお勧めです♪話はまったく変わりますが・・・だいぶ前に放送したドラマで野島作品の「世紀末の詩」ってご覧になってた方いるかな?先日急にストーリーを見返したくなって、ネットで調べたらビデオやノベライズ本が出てたので図書館で借りてみました。主人公は落ちぶれた教授に導かれ、「愛とは・・、愛のカタチとは・・」出会う人達との触れ合いの中で悩みながら何かを学んでいく、というような一話完結で、現代の寓話のような不思議なお話です。好き嫌いは分かれると思いますが、数年たってまた触れてみて、やっぱり好きでした。人間の滑稽さや純粋さがちょっと切なくて。ドラマでは最後に流れるジョンレノンさんの曲「Love」と「ハローベイピー」で始まる短い詩もとても印象的でした・・・。心が疲れたときなどに、また読み返したい作品です。<中古ビデオ>野島伸司世紀末の詩 全4巻竹野内豊/山崎努/吉川ひなの
Jul 11, 2009
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「藍の言いなり 紅のぬくもり」**Scene 7-2** とりあえず、歩き出す。すれ違う社員たちが、皆 私を笑ってるように哀れんでいるように見えて、視線が痛い。営業から、途中帰社した三村が見える。私は目を合わせないよう、下を向いて早歩きで、備品倉庫室に非難する。ひんやりと冷たい・・・。5分くらいは経っただろうか。孝夫からメールが届く。私にどんな話をするのだろう。メールを読むのが楽しみ。私に言い訳などするはずないか・・・。メールを読むのが悔しい。どっちにしても、早く返信しなければ怒らせてしまう。メールを開く。”今までと変わらない。”すぐ返信する。”はい。”送信しようとした。――しかし、”はい。今日、会いたい。”と送信した。返答を着信する。”NG””はい。”私は倉庫室を出て、秘書室に戻る。気が重い。秘書室は先のどよめきが嘘のように、皆仕事を始めている。この課の人達は人間レベルが高い、と思う。年齢からも、恋愛は日常から切り離せない。社内恋愛希望者は、この課の誰よりもいい男をハンティングできるか、また仕事では、社長・重役等、誰の秘書につくか、より高度な秘書としての資格を取得するか・・・水面下ではギラギラしている。鈍な私でさえ、それを感じる。しかし表面でそれを顔や態度に表す人は1人もいない。意地悪や嫌味を言ったりする人も。それを、無関心を装ったドライな人間関係で保っている。しかし、この、嫌いな人もいなければ親しい人もできない人間関係を私は寂しいと感じている・・・。社報の孝夫の婚約だって、私の他にも心中穏やかでない人はいるはず。――― 違う。孝夫と私が付き合ってると知った時、穏やかでなくて、孝夫の婚約が決まった今、私にざまあみろと思っている人がいるはず。だから、今日に限っては、この人間関係に感謝している――。私は仕事をしながらも、心のどこかで孝夫からの連絡を待っていた。孝夫に私のご機嫌を伺うような、言い訳の電話やメールが欲しかった。18:00 退社する。とうとう孝夫からのメールは来なかった。会社のロビーに藤坂里美の姿が見える。里美の前に立つ。「里美・・・、待っててくれたの?」「待ってたの。桐原孝夫、殺してやろうと思って。」里美はふざけて私の両肩に手を置き、背伸びして孝夫を探してるように見回す。「・・・。」「真純、飲みに行こうよ。私は飲めないけど。」「藤坂さんは大丈夫なの?」「今日は藤坂より、真純な気分なの!」里美・・・ありがとう。会社を出て2人で歩き始める。「今日はオシャレに飲みたい? 大騒ぎしたい?」「大騒ぎできないけど、気分は大声で叫びたい。」「よし。だったら焼き鳥にしようよ!」----------------------------------みなさんこんにちは。今週はこちらでは夜になるとよく雨が降ります。日中はといえば、晴れてるともいえない中途半端な空の白さ。あつくてジメッとしてるし、爽やかな風が懐かしいです。真純さんの恋愛は、ますます雨模様になりそうで・・・焼き鳥屋さんのアツアツ焼き鳥とビールですっきりして欲しいです!私も仕事帰りに気になる焼き鳥屋さんがあるんです。駐車場に停めたバンの中でオヤジさんが焼いていて、持ち帰り専門なんですがいつも周りに人がたくさんいて。美味しそうな匂いに、これから出勤なのにフラフラ行ってしまいそうなのをグッと我慢して・・・でも帰りには閉まってるんですよね。いつか絶対買って食べるぞ~!
Jul 5, 2009
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「藍の言いなり 紅のぬくもり」**Scene 7-1** 月刊の社報誌が配布された。秘書課の席で、中を開く。毎月表紙の裏から見開きで、社長の話が掲載されている。内容は、先月の営業実績や今月の目標など、面白くない記事。その内容の一部、一行に、娘の結納を某ホテルで行ったと記載されていた。たった一行のわずかな情報。この日の事、孝夫から聞かされてはいなかった。孝夫にフィアンセがいるのは、百も承知のはず。いつかはこの日が来ることも知っていた。事前に話したら、私がヒステリックに泣くと思ったのだろうか。泣かないのに・・・。孝夫は、泣く女が嫌いだから。それとも、先に耳に入れる必要が無いくらい、私の存在は軽いのかもしれない。・・少しぼんやりしてしまった。席の内線TELが鳴る。経理課からだ。受話器を取る。「――真純? 社報読んだけど・・・大丈夫?」「・・・。」「私、ほんのちょっと、秘書課に行こうか?」ダメ・・・今、里美の顔見たら・・・。「ありがとう。でも、いま忙しいから――。」受話器を置く。と同時に、「名倉さん。」今年入社の新人秘書が、私に話しかける。「私、桐原さんは名倉さんと付き合ってるのかと思ってました。 S街で2人で歩いてるの見たことあって ・・・えっ?」先輩秘書が、彼女に目配せする。新人秘書は、半分分からない様な、半分気まずいような顔をして口をつぐむ。私は秘書室を出る。その方がいい。私の為にも、新人秘書の為にも。秘書室を出て、ドアの隣に立ってみる。ほんの少しすると、どよめき始めた。みんな、私と孝夫のことは知っていた様子。どこまでかは知らないけど。例えば不倫の仲。それを、本人たちは誰にも知られていないと思っているけど、実はお見通しな社員たち。ただ、当事者の前では誤魔化されてる振りしてたり、あえて口にして触れないだけ・・・なんて事は、会社内でよくある事。私が孝夫と付き合ってた事を、面白くないと思っている人の方が多いはず。孝夫みたいな男が、秘書らしい仕事も任せてもらえない、社交的でもない私を選んだのか、不思議だと思うだろう。でも、応えはまさにそれ。私はバカで、誰からも軽く見られている。だから、ほんの少し優しく相手してあげれば言いなりになる。現に、私は孝夫に従順だ。秘書室の外に出たはいいが、行く所が無い。どんな状況でも勤務時間なので、長く席をはずすことはできない。私にもそれなりに、あまり重要でない誰にでもできる仕事が待っている・・・。とりあえず歩き出す―――。 -------------------------------------みなさん、こんにちは!おととい、違うブログ用の内容をここにアップしちゃって、気づいてあわてて削除したのですが、コメントいただいた小山さん、他の皆さま、すみませんでした~(><)
Jun 26, 2009
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ドアを閉めて、振り向かず早足で立ち去る。三村のその気になられても大変だ。やはり、ビビってるのは私。孝夫を裏切らなくて良かった。でも・・・三村になら抱かれても・・と思う気持ちも本当だ。――― 家に着き、携帯を開く。三村佳月のTEL番号とメールアドレス。帰宅コールしたほうがいいのか・・・。――彼女でもないのに?もう、寝てるかもしれないし。・・・でも。もしも――、もしも到着TELを待ってるとしたら・・・。迷いながら電話を耳に当てる。呼び出しコールに緊張する。「・・・もしもし、名倉です。 家に着きました。」「・・・夜中、歩くの怖かったろ。」優しい口調。心がほぐれる。「・・・少し、怖かったです。」「じゃ、おやすみ。切るぞ。」「――はい。」電話が切れる。心のかたまりが、じんわりと溶ける・・・。-------------------------------お待たせしました。ひさしぶりにemyちゃんの小説更新できました♪私はだんぜん三村さんのほうが男として好きだなあ。なんて。まだまだ中身はわかりませんけどね。今週店長から「おもしろいよ~」って、本をすすめられました。杉本彩さんの、【いい男の愛し方】読もうと思えば一晩でよめちゃうよ、とのことだったのでさっそくトライ。読みながら睡魔に勝てず・・・。(お子ちゃまか!!)翌日合間を縫って読み進め、3日目に読了。確かにサラリと読めます。でも、よく言葉を反芻すると奥がふか~い。愛とエロスの伝道師なんて枕詞を付けられることもあるけど素敵に頭の良い方なんだな~と思いました。この方のようにはいかなくても、実践できるヒントもあるのでなかなかためになりました!名倉真純さんにも、ぜひ、読んで欲しいな!!!いい男の愛し方
Jun 19, 2009
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皆さんお元気でしたか?なんだかこのブログから、とても長く離れていたような気がします。周りでいろいろなことが起こって、好奇心とか、やる気の充電池が消耗して、言いたい事がいえない苦しさにどんどんパワーダウンして・・前に進めなくなっちゃって・・・なので思い切って心の旅?に出ていました。そして帰ってきました。ぐるっと回ってまた元の位置にいるようでも、相変わらずの私でも、少しだけ充電して、ちょっとだけ前に進めたかな・・・?emyちゃんにも心配掛けてごめんなさい。見守ってくれてありがとう・・・。気に掛けてくださった皆さんも、ご心配ありがとう!また新たな気持ちで、「継続は力なり」を胸に進んで行こうと思いますのでどうぞよろしくお願いします。(^-^)!-aco-
Jun 14, 2009
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「藍の言いなり 紅のぬくもり」**Scene 6-8**二人で自動車に乗り込む。・・・男性に自動車で送ってもらうのも初めてだ。街灯が頼りの、薄暗い車内。運転席の三村の横顔が近い。”桐原は、名倉さんのどこがよくて付き合ってるんだろ。”耳から離れない。頭の中をグルグル回る。悔しくて、泣きそう―――。でも泣かない。孝夫が泣く女が嫌いだから。自動車を発進させようとした時、メロディーが鳴る。三村の携帯。こんな非常識な時間は、彼女に決まっている。三村が電話に出る。隣にいるのだから、絶対聞こえるけど、あえて聞き耳を立てる。「――うん、まだ起きてたよ。・・・うん。・・・うん。・・・明日?うん、いいよ。・・じゃ、待ってる。おやすみ。」三村が電話を切る。自動車を発進させる。”いいよ、待ってる。”の”いいよ”の口調が、無理をねだられて、でもそれを優しく許した様に聞こえた。私が的外れながらぼんやりと三村に求めたものを、目の前で三村の彼女が簡単に受け取る。三村の彼女がねだるワガママを許すのは、彼の自由だ。なのに私が腹が立つ。身体が熱くなり、湯気が出そうになる。「まずはM駅に向かうから、そこからナビして。」「はい。」感情を抑えて返事する。電話は、いわゆる普通の恋人同士のやり取り。なぜ私が熱くなる?私は孝夫の彼女。なのにどうして、三村が気になる?”桐原は、名倉さんのどこがよくて付き合ってるんだろ。”の言葉を気にしているから?いつも孝夫の言うことを聞き、望むとおりに行動している私が、三村にあんな言い方される事はない。それに孝夫は私を充分に分かってくれている。関係ない三村に、分かってもらう必要などない。だいたい三村の彼女だって、こんな非常識な時間にTELしてきて、しかも自分本位な事・・・聞いたわけじゃないけど。―――分かっている。私は三村の彼女がうらやましくて・・許せない。私はまたまた、的外れな八つ当たりを三村に向ける。「電話、彼女からですか。」ダークな気持ちとは裏腹に、明るい声で聞く。「そ。」三村の電話の対応からして、ずっと年下のように感じた。「彼女、いくつなんですか?」「23?かな。」「あっ、もしかして去年入社の子かな。若い子好きか。」「・・・。」三村は何も返答しない。沈黙が続く・・・。M駅のロータリーに近づく。「ここから、どう行けばいいの?」M駅の時計。街灯を兼ねてる大きな文字盤が2:20AMを差して、まぶしく光っている。「駅で降ります。」「・・家まで送るよ。」「本当に、ここでいいです。」三村が自動車を誰もいない駅のロータリーに止める。「ここで降ろせる訳ないだろ――」「三村さん。」私は三村の話をさえぎる。「三村さんは、彼女のどこが良くて付き合ってるんですか?」三村は前を見たまま黙って、私を見ない。私はシートベルトをはずしながら、今日一連のお礼を教科書を読むように言った。「――待って、携帯出して。」言われた通りにする。三村は自分の携帯と私の携帯を操作し、「俺の番号送ったから、無事家着いたら鳴らして。」「分かりました。 それと・・・、孝夫が私のどこが好きか答えます。 ・・・私、孝夫に会うまで男性と二人で お茶を飲んだ事すらありませんでした。 初めて孝夫に食事に誘われた時はもう夢のようで。 いまの私の髪型、髪の色、洋服、下着、ネイルとか、 外見はもちろん―― 本とか映画とか、孝夫の薦めてくれたものは全部見る。 そういうの、私すんなり出来ちゃうから。」「・・・。」三村が少し驚いたような、考え込むような顔をして私を見ている。この表情も初めて見る顔・・・。あのテレて困ったような表情には出来ないけど。なんだか嬉しいような、勝ったような気分。私は調子に乗って、大嘘を言ってみる事にする。「私、今日、三村さんとならしてもいいなって思ってマンションまで行ったのに・・・。三村さん、一方的に色々話して結論出して。」私は急いで自動車から降りる。そして度を閉める前に一言。「――ビビっちゃったのかな?」ドアを閉めて、振り向かず早足で立ち去る。三村のその気になられても大変だ。やはり、ビビってるのは私。孝夫を裏切らなくて良かった。でも・・・三村になら抱かれても・・と思う気持ちも本当だ。-------------------------------------------!!!???こんな二人がどうやってああなっていくの??続きをお楽しみに・・・。
Apr 4, 2009
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「藍の言いなり 紅のぬくもり」**Scene 6-7** 三村は席を立ち、自分の食べた皿を持ってキッチンに入る。「そこ、座ったら。 今、コーヒーいれてやるから。」私は三村が座っていたカウンターの丸いすに座る。コーヒーをいれてくれるなんて・・・。三村にいちいち驚き感激する。コーヒー豆の香ばしい深い香りにうっとりする。コーヒー豆をミルミキサーで一気にひく音。湯が沸くのを待つ。三村が部屋の明かりを消す。キッチンカウンターの、細く短い蛍光灯だけの明かりになる。青白くて冷たい光・・・。三村は何もしゃべらず、簡単な首のストレッチをしている。私はそんな三村を見ている・・・。三村の、ボタンを留めてない白のポロシャツ。ストレッチで襟がはだけた時、左側の鎖骨にほくろを見つけた。襟がはだけた時だけ。襟が直れば、ほくろは服に隠れてしまう。その見え隠れするほくろをじっと目で追っているうちに、口で強く吸ってみたくなる。私は孝夫の鎖骨を強く吸った事はない。だって、それは許されないし。三村の彼女は、三村の鎖骨のほくろを吸った事があるのだろうか。三村はそれを許す男なのだろうか。私は本当に今夜三村とセックスするのか・・・孝夫は・・・三村がコーヒーの周りからゆっくりお湯をかける。コーヒーをゆっくり蒸らしながら、少しずつ湯を注ぎ、コーヒーを落とす。私も、落ちるコーヒーを見ている。――青白く冷たい光と、沈黙。三村が大きめのマグカップにコーヒーを注いで、私に渡してくれた。一口飲む。インスタントとは全く違う。「美味しい。」三村はキッチンの壁に寄りかかりながら、コーヒーを飲んでいる。「名倉さん、これ飲んだら・・・しよっか。」「・・・。」私の心臓がドキンと飛び上がる。孝夫が悪い。今日の里美との会話は他愛のないものだったけど、藤坂に守られて、赤ちゃんを心待ちにする喜びが表情に表れていた。孝夫に私もこんな顔で誰かに話できるようにして欲しい。昼間手をつないで街を歩いてみたい。私の話を真剣に聞いてくれて、ねだれば忙しくても1時間だけでも会いに来てくれる日もあって。いつも私の隣にいてくれて、私だけの孝夫で・・・。人の気配や温もり、そして心の抱擁。それが私の欲しいもの。それを的外れな三村に求めてしまった。たった一度、駅でジュースを買ってくれて、一緒に電車を待ってくれた三村に。私は孝夫を裏切りたいんじゃない。ほんの少し反抗してみたかった。しかし三村は違う。今夜三村が欲しいのは私の身体。もう自宅までついて来てしまったし、食事も食べてしまったし、コーヒーもいれてもらってしまった。人恋しさは満たしてもらった事になるのだろうか。次は三村の望むものを・・・。でも・・・今はポロシャツの襟元からは、あのほくろは見えない。「・・・もう黙るなよ。 あのさ、冗談とかで切り返して来てくれない?」「・・・。」三村の顔を見る。「もう、そんな顔するなよ。 分かってるよ、桐原と付き合ってるんでしょ。 安心して、俺、そこまで節操なくないから。」「・・・。」私は今、どんな表情で三村を見ているのだろう。「あの桐原が気に入ったくらいだから、名倉さん、本当はギリギリの駆け引き上手いのかなって、期待してたのに。」一番言われたくない事を言われた。会話さえ続かない私が、ギリギリの駆け引きなんて――――。三村が大きくため息をつく。「桐原は、名倉さんのどこが良くてつきあってんだろ。」そう独り言のように言うと、一気にコーヒーを飲み干した。「――クルマで送っていくよ。 下、ジーパンに履き替えてくるから。」そう言うと、キッチンを出て行った。シラけたから帰れって事だ・・。私はもう、コーヒーを飲めなかった。---------------------------------------------三村さん、キッツ~!!このくだり読んで最初に思ったこと。そして・・・色々考えちゃいました。皆さんはどんなこと考えたかな。ではまた次回をお楽しみに!
Mar 29, 2009
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「藍の言いなり 紅のぬくもり」**Scene 6-6** 私はカウンターから料理を覗き込む。チャーハン。むきえび、チャーシュー、わけぎ、玉子、具がたっぷり入っている。あまりのいい香りに夕食は食べてきたのに食欲がわく。私は家庭のキッチンで男性が料理するのを見たのは初めてだった。私の父は家で料理をする人ではない。――孝夫も。三村が皿を2枚用意してチャーハンを盛る。私の分も作ってくれた?チャーハンを盛ったさらにスプーンをのせて、グラスに麦茶をつぐと私に渡す。「そっちで食べて。」部屋の中央のテーブルを目で示す。私は受け取るとテーブルに着く。三村の分はカウンターに用意し、丸いすに座る。仕事の書類を読みながら、食べ始めている。「・・・いただきます。」私は小さく言うと、チャーハンを一口食べる。・・・美味しい。あくまでついでだと思う。でも、三村が私にチャーハンを作ってくれた事・・・実に驚き、胸に熱くこみ上げてくる。こういう状況は初めてなので、どうしてよいのか分からない。三村に何か言いたい。三村にこれ以上ない言葉。どう表現したら・・・。迷っているうち、三村から「スーツ、掛けといてくれてありがとう。」三村は書類から目を離さず、背中を向けたまま言う。孝夫の脱いだスーツをハンガーに掛けるのは当然のこと。お礼を言われるなんて、考えた事もない。なのに、三村は私にお礼を言ってくれた。”ありがとう”が心の中に深く染みてくる。救われたような歓喜に満たされる。私からも「チャーハン美味しい」と、料理をほめよう。「家に帰ってまで仕事なんて大変ね。」と労をねぎらって、「一緒に食べよう。」って甘えてみようか。三村にも言いたい。三村の心を満たす言葉。「・・・チャーハン美味しい。 私、男の人に料理作ってもらったのって初めてなの。」少しはしゃぐように言ってみる。「――そう。」書類から目を離さない。会話終了。私は再びチャーハンをほおばる。もう、そうするしかないから――。静まり返った空気の中、食べ終えたお皿をキッチンで洗う。それから一度カウンター側に出て、三村の空いた皿に手を掛ける。「・・・ナグラさん、名前なんていうの?」「・・・。」「これからさ――。」三村が書類から顔を上げる。「これからするのに、名前も知らないのもどうかなって思って。」・・・もうその話はナシなのかと思った。でも確かに、チャーハンだけ食べて帰宅という事はないか。三村はどうしてラブホじゃなくて自宅マンションに私を通したのか。ペアカップのある、かすかに彼女の色のある部屋に。「――あの、その前に、 三村さん、彼女いるんじゃないですか?」「いるよ。」「なのに、どうして。」「誘われたから、ナグラさんに。」「私は――、」思わず声が大きくなる。今更ながら、誘ってしまったかもしれない恥ずかしさと、本当はセックスを誘ったのではない言い訳と。「・・・ナクラです。濁らないの。 『ナクラ マスミ』。 字は真実の真に純粋の純。」「俺はカヅキ。字は・・・」近くの鉛筆をつかむと、読んでいた書類の端に書く。「三村佳月。三村の家は男にみんな月の字を入れるんだ。なんでだかは知らないけど。・・女みたいでしょ。」「・・・でも、きれいな名前。」三村の目が少し笑う―――。--------------------------------------------こんばんは!東京では開花宣言が出されましたね。桜の季節・・・私の大好きな季節です。(これで花粉が飛ばなかったなら。。。)三村さんのチャーハンは美味しかったようですね♪チャーハンを上手に作るとはたいしたもんです!男の料理はけっこうボリューム大な可能性が。。。私はお腹が満たされると人に優しくなれる気がします。・・・食欲と性欲って、確か反比例するんじゃなかった?デザート(?)は、別バラかもしれませんね。次回をお楽しみに!!
Mar 21, 2009
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「藍の言いなり 紅のぬくもり」**Scene 6-5** 再び三村の背中を追うのか・・・そしたら私は本当に孝夫を裏切る事になるかもしれない。正直、そんな覚悟もないくせに。でも、この自動ドアが目の前で閉まり、知らない町を1人でT駅に向かって引き返すのが怖かった。前に進む――。2人を待っていたかのように、エレベーターの扉が開く。―――4階の角部屋。407号室。玄関を上がり、短い廊下を進むと畳にして12畳位のワンルームのフローリングの部屋が広がる。左に対面のカウンターキッチン、真ん中に木製のテーブル、右にベッドが見える。ベッドの横にまだ開けてない引越しのダンボールが積んであった。三村はまるで私がいないかのようにスーツを脱ぎ、Yシャツとパンツと靴下という、なんとも恥ずかしくみじめな格好で部屋を出る。そのまま廊下の左ドアに入った。私はベッドの上の脱ぎ投げられたスーツをハンガーにかける。掛け終わると、ふと三村のスーツだったことに気づく。いつも孝夫のスーツをハンガーに掛けるので、条件反射かもしれない。ハンガーをフックに掛け、部屋の中をもう一度ゆっくり歩く。外側のキッチンのカウンターから中を見る。食器棚のガラス扉越しに、白地に赤の柄と青の柄のペアカップが見える。また、デニム生地にオレンジのギンガムチェックのポケットの付いたエプロンが、丸めるようにたたまれて電子レンジの上においてある。――女の影。三村に女性がいても、なんら不思議ではない。なぜか少しがっかりする。三村がぬれた髪を拭きながら部屋に入ってくる。短い時間だったから、シャワーを浴び髪だけ洗ってきたのかもしれない。スポーツメーカーのロゴの入ったスウェットパンツと白のポロシャツを着ている。三村はキッチンに入り、冷蔵庫を開けペットボトルの水を飲むと料理を始めた。炒め物のフライパンと熱い油の音がする。まるで私がいないかのように行動する三村。私の事は見えていない?私は透明?「――座れば。」・・・見えていたらしい。----------------------------皆さん今日もお越しいただきありがとうございます♪料理ができる男性は素敵ですね。特に男性が作ったカレーとかチャーハンとかヤキソバは自分が作ったのより美味しい気がする。(私が下手なだけかもしれませんが)いまはモテる男性の条件にも入ってるというし。次回は三村さんのお味見を・・・・・お楽しみに!
Mar 8, 2009
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「藍の言いなり 紅のぬくもり」**Scene 6-4** 私が先に、続けて三村が改札を抜ける。たった2つ手前の駅だけど、降りた事がない。見たこともない風景に不安を感じる・・・。「こっち。」今度は三村が私の前を歩く。振り向く事もなければ、話しかける事もない。私は三村の背中を追いながら、繁華街を歩く。私はラブホテルに行った事がない。孝夫は・・・あると思う。フィアンセとは利用しているかもしれない。あくまで想像だけど、ホテルに行く前の男性はパートナーの女性にもっと優しい言葉とか、その気にさせるような心地よいジョークとか腕を組んだり、手をつないだり・・・上手く言えないけど少なくとも前を歩く彼を彼女が追うのではない気がする・・・。だいたい私は三村について来て、本当にどうするのだろう。――よく知らない男なのに。繁華街を抜けると商店街に入る。22:00を過ぎた店はシャッターが下りて、静まりかえっている。この道に三村と私しかいない。孝夫とこういう関係になる前に、私は孝夫の何を知っていたのだろう。私が会社に入社し、一目で孝夫に憧れた。4ヶ月くらいたった頃、孝夫からスペイン料理のレストランに誘われた。過去一度もデートなどした事ない私が、憧れの・・・私だけじゃない、秘書課の女性たち憧れの孝夫から。私は舞い上がった。今思い出せば、あのレストランでの会話はデートというより面接試験に似ていたかもしれない。私は目の前の孝夫に、これ以上無いくらいのぼせ上がってしまった。孝夫の優しい口調の質問に、大人の男女の駆け引きなど微塵もなく赤裸々に答えていた――。三村の背中を追いながら住宅街に入る。街灯だけで、青黒く静まりかえっている・・・。とてもこの先ラブホテルがあるとは思えない。三村が振り向く。「――ここ。」ふと見上げると5階建てのマンションの前。三村は大きなガラス扉を開くと中に入り、5、6歩進むとオートロックに鍵を差し込む。自動ドアが開き、三村が迷うことなく前に進む。私も置いていかれては・・・再び、三村の背中を追うのか―――。------------------------------------皆さんお待たせしました~~。さあ、このあと二人はどうなるのでしょう??次回をお楽しみに!!2月からは花粉の季節ですね。素敵なラブシーンも、二人が花粉症だったら大変かもね、なんて、くしゃみのし過ぎで腹筋が筋肉痛の私は想像するのでした。どうも納豆が良いらしいですよ!私は今年箱買いしちゃって毎日食べてます。(シーズン前から食べておくんだった・・)花粉症の皆様、今年もめげずに頑張って乗り切りましょう!そうでない方、いつまでもならないよう祈ってます!aco
Feb 20, 2009
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三村の住むT駅ホームに電車が滑り込む。別れの挨拶はしたほうがいい。三村をチラッと見上げ、「お疲れ様でした。」――これでいい。三村に何を期待していたのだろう。私は三村に会いたかった。・・・会えた。だから、これでいい。これで終わりでいい。――ところが意外にも、三村が私に電車を降りるよう、目で合図する。私もT駅のホームに降りる。ホームの時計が21:40をさしている。電車が出発し、ホームも人影がまばらになる。三村が口を開く。「ホテル・・・行く?」「・・・。」「それとも俺の全く勘違い? だったら、次の電車で帰って。」三村の目が私をまっすぐ見る。私はどうして、こんなに三村に会いたかったのだろう。あの日――。初対面なのに、ホームで愚痴を聞いてくれたのも、ジュースを買ってきてくれて、一緒に次の電車を待ってくれたのも、長く付き合ってる孝夫にも、してもらった事がない。三村の顔や姿も悪くない。体型はスリムなのに、男性的で魅力的だ。近くに感じる体温も、少し浅黒い肌も、冷たい口調も孝夫とは全く違うタイプの男性。私は三村にも惹かれている・・。――とにかく、早く返事しなければならない。三村ともっと話したい。三村をもっと知りたい。正直、三村になら抱かれてもいいと思う。しかしそれは、今日ホテルという話ではない。何より孝夫に背く事はできない。三村と関係を持ったとしたら、私は殺されるだろうか。なかなか答えを出さない私に、「さて、じゃ気をつけて帰ってね。」三村が少しホッとしたような笑みを浮かべる。――その表情が、気に入らない。私は、三村の困ったような軽く追い詰められたような表情がどうしても見たい。今日の里美は幸せそうでうらやましかった。憎らしかった。里美にぞっこんの藤坂さんと、待ち望む赤ちゃんの誕生。それに・・・、私の全てを注いでいる孝夫をあっさりと嫌いだと言い、特に深く考えた訳でもない一言で、この三村にあの表情をさせる事ができる。私はT駅の改札口に向かってホームの階段をのぼる。私は何を意地になっているのか、もう、分からない・・・。--------------------------------う~ん。名倉さんは、自分がやってることが自分でもよく分からなくなってるようですね~。昔読んだ話にこんなかんじの台詞がありました。澄んだように見える湖の水底にもよどんだ澱が沈んでいるように、人の心がひとつの思いだけになることなんて絶対にないのよ・・って最近、学生時代に好きだったストーリーをもう一度読みたい!って突然思うことがあります。「このせりふは何だったかなぁ~」なんて、頭をひねってちょっとした脳トレ?emyちゃんの作品も、印象的な台詞がけっこうあるのでは?皆さんも思い出してみてはいかがでしょう・・・♪私がもし老後、老人ホームに入るなら、図書室(漫画も含む!)があるホームが良いな~、それまで目を大切にしなきゃ、なんて本気で考えた事があります。だって~、懐メロもボケ防止いいっていうし、懐かしい本たちだってきっとなるんじゃないかな??あれ?変な話になっちゃってすみません。(^^;)ではまた♪-aco-
Feb 6, 2009
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「藍の言いなり 紅のぬくもり」**Scene 6-2**私は右手で三村のスーツの胸の辺りに手を置く。三村が私を見下ろす。私は視線をはずす――。今度はスーツの胸から手を入れ、Yシャツの上から触る。心臓の鼓動が右手に伝わる。私は再び三村を見上げる。「・・・生きてる。」「そりゃ、そうでしょ。」あの表情にはならない。「――ちょっと、やめて。」耳元で小声でささやかれて我に返り、慌てて右手を引っ込める。なんて恥ずかしい。なんて惨め。顔が熱く赤くなる。私も里美のようになれるかも・・・、話術は無理だけど、いつも孝夫に触るようにすれば私でも三村をあの時の困った表情にできると思った。私も小悪魔になれるかも、と・・・。大失敗。でも、このまま沈黙が続いたら涙がこぼれてしまいそう。私は気丈に顔を上げて、まるで懲りてないように明るく「せっかく会えたし、これから飲みましょうか。」なんて・・・冗談のように、本音をもらす。「俺、疲れてるから。」即答。断られた。もう三村の顔を見ることはできない。どうしてよいか分からず、電車内を見回す。私は、三村に会いたかった。しかし、三村は私の名前さえも覚えていない・・・。話も面白くない、ビジュアルも好みで無いとすれば、眼中に無い。私は自分を忘れてしまっていた。ふと、孝夫の顔が浮かぶ。私を相手にしてくれるのは、孝夫だけ。孝夫の言う通りにしていればいいはずの私が、男を望むなんて、なんて身の程知らずなのだろう。私の思いなど、この世界のどこにもいらない―――。--------------------------------------「藍の言いなり 紅のぬくもり」を楽しみにしてくださっている皆様へ、一月ぶりの更新で、しかも新年初めてのブログです!(><)続きを楽しみにしてくださってた方々、お待たせしてホントにすみません~~。・・って、最近こればかりでもう反省のacoです。遅ればせながら、今年も「おやすみ前に読む物語」をどうぞよろしくお願いいたします。インフルエンザもまだまだ流行っているようなので、皆様もどうぞお気をつけて!
Jan 30, 2009
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「藍の言いなり 紅のぬくもり」**Scene 6-1**金曜日の夜、偶然だが退社時の駅のホームで三村を見つける。私は里美と夕食を食べて、1人ホームに下りる。三村は残業後、退社時の駅のホームだろう。三村はT駅、私はそこから2つ先のM駅を下車する。私は三村の会いたかった。あの歓送迎会の日から、1ヶ月以上が過ぎていた。「――― 三村さん。」私から背中の声を掛ける。私とは思えないくらい大胆な行動。三村が振り返る。「あっ・・・、えっと、秘書課の・・・。」「名倉です。」名前、忘れられていた。いつもなら、話しかけて良かったのかさえ分からなくなり、下を向く。なのに、今日の私は違う。「・・・先日の歓送迎会の日は、 お酒を飲む飲まないで愚痴を言ってしまって。 初対面だったのに、失礼しました。・・本当にごめんなさい。」「ああ・・、いいよ。」どうでもいいように答える。電車がホームに入ってくる。今日は私が先に乗り、三村が後から私の隣に来る。退社ラッシュだろうか。この時間なのに電車が混んでいる。あの日と同じ、三村の体温を間近に感じる。三村と向き合う私の目線の先に、アゴと首が見える。・・・孝夫より肌が浅黒い。私は、三村に会いたかった。でもそれは・・・あの日のお礼が言いたかったから、だけではないことに気づく。今も電車で向かい合っている私に話しかけても来ない。目線を上げると、相変わらず無表情のまま、遠くを見るような顔がある。私は以前、歓送迎会の里美の質問、”最近のキスはいつ?” の時の、困ったような表情がどうしても見たくなる。自分でも驚くほど大胆になる。私は右手で、三村のスーツの胸の辺りに手を置く。三村が私を見下ろす――。 -----------------------------ひゃ~~!ずいぶん間があいてしまって、お待たせしていた皆さん、本当にすみません。emyちゃんも心配させちゃったね。ごめんなさい。。。この冬は、身内が救急車で運ばれ、生まれて初めて「救急救命センター」、俗に言うER? に足を踏み入れました。様々な手続きに奔走し、何枚もの「承諾書」にサインを書かされたのも初めてで・・・正直言って、自分の名前を書くのが少し怖かったです。クリスマスの飾り付けをしなかったのも、そういえば初めてで・・・病院のクリスマスツリーとイルミネーションを見て、「ああそう言えば」って。。でも蔭様で、今は家族も元気を取り戻し、みんな笑って年が越せそうです。(^-^)周りの人の健康に感謝し、自分の元気な体にも感謝しながら、新年を迎えたいと思います。皆様もどうぞお体には気をつけて!!!年内もう一回アップを目指してがんばりま~す。(aco)
Dec 28, 2008
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11月13日でemy&acoのブログも3周年を迎えました!!応援してくださった皆様、本当にありがとうございました。これからも細々とではありますが、長~く続けて行きたいと思いますのでお付き合いよろしくお願いします。では今日もはりっきって行ってみよう!・・って、そうゆーテンションのお話じゃないか・・・(^^;)-------------------------------------「藍の言いなり 紅のぬくもり」 **Scene 5-1** 月に4~日位、孝夫と会う。孝夫は”明日会おう”とメールを送信して来る。いつ入るか分からない。だから私は私の予定を入れない。前日は忙しい。すぐにエステを予約して、仕事の後全身エステで肌を柔らかくする。デパートの地価で孝夫の好きなお酒を購入する。また、孝夫に急に来られてもいいようにきちんと掃除しているがベッドルームはもう一度確認する。当日はもっと忙しい。孝夫に指定された服とかばんと靴で通勤する。会社の昼休み、美容院で髪をブローしてもらう。仕事の後、ネイルサロンに行って、孝夫の好む程よく長く四角のカットの爪になるようヤスリをかけてもらい、薄いオレンジのマニキュアをしてもらって、孝夫の指定した場所で待ち合わせをする。―――孝夫に会う。頭から足の先まで見て、孝夫が微笑んでくれれば合格だ。合格したら、呼び方が会社での”桐原さん”から”孝夫”に変わる。ここからレストランまで歩く道のり、レストランで食事をしている時、、帰宅するまで・・・私は孝夫を引き立てるアクセサリーになる。―――そしてどんな時も孝夫の話に逆らってはいけない。孝夫は私に意見など求めてはいない。タクシーで家まで移動する。家に着いたらすぐシャワーの用意をする。孝夫がシャワーを浴びている間に、私はベッドの枕元にシルクの手袋と避妊の用意をする。シルクの手袋はセックスの時、孝夫の体に傷を付けない為に。孝夫の背中に手を回した時。孝夫の体を愛撫する時。孝夫の体は私のものではない。だから絶対に許されない。孝夫の顔も体も愛おしくて、強くキスをすることも。我を見失うくらい興奮して体を噛むことも。頭がおかしくなるくらい高まって、背中に爪あとを残す事も。私が孝夫の素肌に直接触わる事も、あとを残す事も許されない。避妊は大人のルールの為めではない。孝夫は私との間に子供なんて望まない。孝夫が私とのセックスで人生を狂わすような事など、あってはならない。私とのセックスの、すべては孝夫の為に。すべては孝夫の望む通りに―――。---------------------------------------さっき「ネイルサロン」で、すごく恥ずかしい変換ミスしちゃってました。読んだ方、雰囲気壊してごめんなさい!!・・・・では、続きをおたのしみに・・・。
Nov 14, 2008
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「藍の言いなり 紅のぬくもり」 **Scene 4-3** 「三村さん―――。」三村が振り返る。私を見て、よく状況が飲み込めないような、表情をしている。「私・・・。」私は言葉があふれ出す。「私・・・お酒は好き。 だから今日も2次会に行きたかったの。 でも、誰からも誘われないの。 だって私――、会話続かないし、つまんないし。 里美も藤坂さんと帰ったから、私も桐原さんに お酒飲もうって誘ったら、家に帰れって。」「・・・。」「だから、そういう事だから――。 私、次の電車で帰ります。お疲れ様でした。」惨めで涙が出そうになる。――泣かない。孝夫は泣く女が嫌いだ。気丈に線路に目を向ける。2分くらい経ったろうか。「ナグラさん、大丈夫?」三村の声に顔を上げる。自動販売機のジュースを買って、私の隣に戻ってきたらしい。カルピスソーダを私に渡す。「・・次の電車が来るまで。」それだけ言うと、隣に立つ。何も話さない。何も話さないけど・・・心の硬いものが溶かされる。電車がホームに滑り込む。電車に乗り込み発車するまで、三村が見送ってくれる・・・。その後しばらく、三村と話す機会はなかった。日中のほとんど営業に出ている三村に、秘書室に閉じこもってただの雑用をこなす私が会うはずもなかった。また、社内で三村とすれ違い立ち話をしているのを孝夫に見られるのも面倒だ。会社の重役と話しているのなら仕事の話だと思うだろうけど、三村と話している私を見て、孝夫がどう出るか予想がつかない。でも、歓送迎会の日の、一方的かつ攻撃的な私を黙って見送ってくれた三村に、何か・・・言いたかった。------------------------------ストーリーの続きを楽しみにしてくださってる皆さん、お待たせしました!!もう街はクリスマスツリーが飾り付けられ、テレビでは年賀状のCMも流れて年末の気ぜわしさを煽られてるようで、なんとなくあせっちゃうのは私だけ?気持ちばかりあせって、何から手を付けていいのやら・・・いつもこの時期はそんな感じで、バタバタ過ごしてしまいます。仕事の帰りがとても遅くなる事もあって、駅から自宅に向かう道で頑張った自分へのご褒美に自販機のジュースを買うことが結構あります。なんて安いご褒美かって?! でも、99ショップやスーパーで買うよりも、自販機で定価で買うちょっと珍しいジュースや新発売のリッチなココアなんかは私にとってプチ贅沢なんです。「あ~、このビタミンCの酸っぱさ!クエン酸が疲れを取ってくれるに違いない」とか、「このココアポリフェノールに癒される~」とか、その気になってるとちょっと疲れが軽くなるんです。主人公が三村さんからもらったカルピスソーダは、きっと家へ1人で帰る勇気をくれたんじゃないかな?知り合ったばかりの彼女へ何を選ぶか、自販機前でちょっとだけ悩む三村さんが浮かびました。ではまた~~!(^0^)/~aco
Nov 7, 2008
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「・・2次会、行かなかったんですか? 営業課は三村さんの歓迎会でしょう。」 「――苦手。」「そうなんですか。」「・・・。」・・・やっぱり会話が続かない。私は里美のように出来ない。 沈黙が続く。電車が来るまであと5分くらい。「――俺、群れるの苦手なの。飲み会も苦手。 だから逃げてきた。」”逃げたんだ・・。”「・・悪い子ですね。」「そうかな。早い帰宅、良い子だよ。」電車が到着する。――金曜の夜。車内は思いの外込んでいる。三村が先に乗り込む。私が乗る。すぐ近くに、三村の体温を感じる――。再びの長い沈黙。「・・ナグラさんは酒飲まないの?」どうしようもない空気を払うように、三村が口を開く。「・・お酒、好きよ。」「・・・。」「お酒、好きだけど・・・。」「じゃ、2次会行けばよかったのに。桐原も行ったでしょ。」「・・・。」電車に乗って15分。T駅に着く。「――俺、ここだから。」電車の扉が開く。私の横を抜けて行く。”・・・ イヤ!”体温を追うように、私も三村と同じホームに降り立つ――。--------------------------------------いつもお読みいただきありがとうございます。(^―^)♪(^▽^)皆さんはお酒、好きですか?acoは好きです。(即答!!)だって母が酒どころ新潟出身で、家族みんながお酒好きでしたし子供の頃、実家では自家製梅酒に漬けた梅が「おかず」として食卓に普通に出ていたから、もうDNAのせいですよ~。みんなでワイワイも好きだけど、秋の夜長なら寝る前に、温めたハチミツ梅酒とか、ホットミルクにちょっとブランデーとか・・。ほっこりあったまりますよね♪emyちゃんはあんまり飲めないんだよね~。でも雰囲気に酔ってくれるから、2人で飲むとめちゃ楽しいよね!あ~~~。また行きたいね!せっかくの長い秋の夜、皆さんも美味しいお酒を飲んでくださいね~♪
Oct 18, 2008
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私は1人、駅のホームに立っていた。前の電車が行ってしまったばかりで、次の電車まで15分待つ事になる。孝夫に、帰りはどうするのか聞いた。孝夫は営業の同僚と数人の女子社員たちと2次会に出かけて行く。私も一緒に行きたいとお願いしたが、家に帰れと耳打ちされた。そう言われる事は分かっていた。だったら他の人と飲みに行ってもいい?・・って、聞いてみたかったけど、私を誘ってくれる男性社員もいない。確かに見た目は美しく華やかであっても、会話の続かないつまらない女を、お酒の席に誘ってくれるはずもない。また、誘ってもらっても、一緒に出かける事を孝夫が許すはずもなかった。ふと、ホームに下りる階段を見上げると三村が階段を下りてくる。目が合わないように前向きに直る。そうはしながらも、ホームに降り歩く三村を横目に追う・・・。私には全く気がついていない。でもどうして?孝夫は2次会に行ったのに、同じ営業の三村は?私は、私でも全く予想外の行動に出た。三村に近づく。「――三村さん。」話しかけた。どうしてだろう。孝夫もだけど、秘書課の同僚たちもたぶん、その後お茶くらいはして帰っただろう。私は人恋しかったのかもしれない。冷たくされてもいい。三村の体温を感じたかった・・・。--------------------------------秋ってどうしてこう、人恋しくなるんでしょうね。いや、肌寒さにぬくもりが欲しくなるだけなのかしら?猫たちに布団に入ってきて欲しいのに、2晩続けてふられてます。あ~あ・・・。皆様もお風邪を召しませんように!
Oct 8, 2008
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皆さんこんにちは! 急に寒くなりましたね~(ΘoΘ;) そのせいなのか、仕事が多忙のせいなのか(店長が大阪に一週間出張していて今週はしんどかった!)夕方から急に首がいたくなって…(>0
Sep 28, 2008
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「藍の言いなり 紅のぬくもり」 **Scene 3-4**「一番最近のキスはいつ?」「――えっ。」 初めて三村の顔に表情らしきものが出る。「あらっ、この質問は即答じゃないの?」里美はいたずらな上目遣いを三村に向ける。「・・ちょっと思い出すの難しいかも。」「嘘つき。」今の会話でほぐれたのか、三村の顔に笑みが浮かぶ。「あら?笑うと素敵じゃない。俳優の~~さんに似てるわ。」「それ、たまに言われる。」――私は里美がうらやましい。頭の回転が速くて、誰にでも物怖じしない。自分の意見や考えを表現するのも上手で、自信に満ちている。最近の言葉で表現するなら、里美は負ける気がしない。実際、藤坂もそんな里美にぞっこんで、頼み込むようにプロポーズしたらしい。現に今だって、三村の表情は柔らかい。いつも いつも いつも―――、里美にはスポットライトが当たっている・・・。『宴たけなわでは~~~・・』――この会が終わる。みんな2次会に出かけるだろう。里美は妊娠していることもあり、藤坂と帰宅する。”孝夫は――?”孝夫の答えは分かっている。でも、里美と藤坂のように、一緒に帰りたかった。だから、孝夫を探し声をかけた・・・。----------------------------みなさんこんにちは!関西のほうは台風の被害が大変だったようで(><)心よりお見舞い申し上げます。こっちは台風がそれたおかげで、朝になったらピーカンでちょっとびっくりしました。ところでみなさんは、「芸能人の誰かに似ているね」といわれたことはありますか?私は時々言われるのですが、それが・・・どう反応していいのか困るような。以前は「斉藤由貴」、「熊谷真美」、(ムーミンの「ミィ」ってのもありました)一番最近は知り合いの子供に「エドはるみ」って・・。なんだかどれも微妙です。(エドはるみさんは好きですけど♪)さて、三村さんは誰に似てるんでしょうね?お好きな人を「~~」にいれて読んでみると、よりいっそう楽しんでいただけるのでは?私が誰の名前を入れたかというと・・・内緒で~す。(^―^)♪ではまた、次回をお楽しみに~!
Sep 20, 2008
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皆様こんにちはo(^o^)o 今日は9月最初の更新なので連載の中休み~といった感じで趣向を変えてウチ猫通信をお送りしますo(^o^)o飼い主バカに免じてお付き合いください~!え~、acoの家に猫たちが来てから2ヶ月が経ちました。 猫って昼間は本当によく寝るんですね。 子猫はなんと16時間以上寝るそうな。でもって寝る子は育つ。よく食べる!姉猫きららはじゃらしても飽きるとドテッと横になって、すっかり貫禄充分みたいな…。妹猫ココアはスリムだけとご飯の催促がすごい! ニャア~~~~~~~~~~~~~がやたら長いです。息が何秒続くのか計りたいくらいです。でも寝顔や触り心地に毎日癒されてます(*^_^*) 動き回る2匹の写真はなかなか良いのが撮れない中で まあまあかなってのをご紹介します♪成長順に・・まずは最初の頃の2匹はこんな感じでした~。(o^-')/
Sep 7, 2008
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昨日更新した内容に一部かけている部分がありました!すみません~~~(><)改めて更新いたします。-----------------------------「――真純。」救い人の声 里美が、庶務課の係長がトイレにでも立ったか空いた38番席に座ってくれる。後ろに里美の夫・藤坂が立っていた。「名倉さん、お世話になりました。 明日から、東京第二支社だから。」「こちらこそ、お世話になりました。」私は藤坂の世話などしていない。藤坂だけじゃない。今回異動するする人の誰の世話もしていない。誰も私を頼りになどしていない。藤坂がこう言ってくれるのは私が里美の友達だから。「里美、子供が産まれても働くって言ってるから これからもよろしくね。」そう言うと、去っていった。周囲を見回すと席の番号は乱れ、みんな思い思いの席に座り、パーティーを楽しんでいる。私と三村だけが、席から動いてなかったのかもしれない。「――藤坂です。」里美が三村に話しかける。「三村です。」私は席から孝夫を捜す。「どこからですか?」「横浜支社からです。」「どこの課ですか?」「営業です。」「私は経理課なの。 三村さん、誰か同期の方いますか?」「同じ営業の桐原とか、人事課の関田とか。」孝夫を見つける。女性社員たちと笑っていた。「真純、桐原さんの同期だって。」「うん、さっき聞いたの。桐原さんから。」「あっそ。桐原さんとは仲いいの?」里美は次々と質問する。「べつに・・・。」三村も営業マンとは思えないような、ぶっきらぼうな答え方を繰り返す。「そう。 私、桐原さんて嫌いなの。」三村がほんの少し驚いた表情で私を見る。私もどういう顔をしてよいか分からず、中途半端な笑顔を三村に返す。「三村さんて、結婚してるの?」孝夫の同期と言えば今年31歳だ。結婚をしてる事だってある。さっきは独身だと思い込んでいて、1人暮らしか聞いたけどって言うか、話題に困って聞いたけど。「独身。」「一番最近のキスはいつ?」「――えっ。」-------------------------------みなさん、emyちゃんの部屋からコンニチハ!今日は、acoの家のインターネットが数日不通になってしまったのでストーリィの作者、emyちゃんのパソコンを借りて更新しています。打ちながら、今やってるドラマ「魔王」の大野君(嵐)の話題で盛り上がっちゃいました。打ち間違いがあったら、そのせいです。ごめんなさい(><)!それでは・・・お休み前に読む昼ドラをめざす?「藍&紅」次回をおたのしみに!
Aug 31, 2008
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私も席を探す・・・。39番。「名倉真純さん、何番?」振り返ると孝夫が立っている。「―― 39番。・・・桐原さんは?」「63番。 39番はこっちだよ。」そう言うと、隣を並んで歩く。『・・・真純が一番きれいだ。その服もよく似合ってる・・。でも、――脱がせたい。"と、耳元でささやく。チラッと横目で孝夫を見上げる。”孝夫こそ、素敵。”孝夫と一緒に39番の席を見つける。40番の席に、始めてみる男が座っていた。「――おっ、三村、久しぶり。」孝夫が声をかける。「久しぶり。横浜から本社に来た。」三村が答える。孝夫が私と三村、お互いを紹介してくれる。「三村とは、同期なんだ。」パーティーが始まるマイクが入り、孝夫は自分の席に戻っていった。パーティーが進み、歓談の時間になる。私は人見知りする。38番は庶務課の係長。40番は三村。困ってしまった。41、42番の席の女の子たちが積極的に三村に話しかけているので、私もその話を聞いていた。「――ナグラさんはどこの課なの?」三村が私に話しかけたので、41,42の彼女たちはあからさまにしらけた顔を、三村の背中越しに私だけに見せた。「・・・秘書課です。」私は誰にでも好かれる人ではない。というより、私は印象に残らない。たぶん、学校でもクラスで私を覚えてる人は少ないと思う。それが、なぜ桐原の目に留まったのか―――。私は磨かれた。私は作られた。桐原の手で厳しく、そして丁寧に・・・。あの頃に比べたら――、この会社の女性社員に比べたら――、私は周囲の目を引くほどに美しい・・・。しかし・・・人見知りは相変わらず。そのせいで、会話も続かない。”どうしよう・・・。”「あの・・・、一人暮らしですか?」「そう。」三村はコース料理のデザート、チョコレートケーキを口に運びながら、こちらを見ずに答える・・・。----------------------------------------------こんばんは!acoです。約束どおり間をおかずアップできてほっとしています。なんだか急に涼しくなって、秋の気配を感じますネ。夏の暑さはきつくてイヤだったけど、夏が終わっちゃうとなんだか寂しいような・・・。っって、わがまま?!皆様も、気温の変化に体調を崩されませんように・・・。ではまた!(^-^)/~
Aug 23, 2008
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皆様お久しぶりです!&大変お待たせいたしました・・・m( _ _;)m本日はお詫びがてら、登場人物紹介から・・・。「藍の言いなり 紅のぬくもり」☆名倉真純(ナグラ マスミ)主人公。同僚の三村と結婚し、息子(祐月・ユヅキ)が一人。以前は桐原孝夫と付き合っており、彼の事を”孝夫”と呼ぶことをただ一人許されていた。息子は実はどちらの男性の子供か本人もわからない。現在は桐原がよこした弁護士に息子のDNA鑑定を迫られ・・・過去のことを思い出している。☆桐原孝夫(キリハラ タカオ)真純の会社のエリート社員。真純の初めての男性で、彼女を自分好みの女として磨き上げた。現在は社長の娘と結婚しているが、子供が授からず、祐月が自分の子ではないかと・・・?☆三村(ミムラ)横浜から本社に移動してきた孝夫の同期。現在は真純と結婚している。☆藤坂里美(フジサカ サトミ)真純の友達で秘書課の同僚。☆三村祐月(ミムラ ユヅキ)真純と三村の子供・・・?----------------------------------------”もしも祐月が孝夫の子供だったら・・・。”私は、孝夫も三村も手に入れたような気がした。ふと喫茶店の窓に目を向けると、雪が降り始めている。”どうりで寒いと思った。”外の冬景色を見ながら、私はあの頃を思い出していた―――。「藍の言いなり 紅のぬくもり」 **Scene 3-1**今年の春の移動で本社の営業課に3名の男性が着任した。また、経理・庶務など他の課も大々的な移動があり1週間後の今日、業後歓送迎会が開かれた。100人を超える人数なので、ホテルの通常は結婚式などで使われる広いフロアーでパーティーが行われる。私もパーティー開始の19:00に間に合うように、秘書課の同期・藤坂里美と会場に向かう。「真純、今日の洋服も素敵。」私が身につけているもの全て、孝夫が選んだ物。もっと言えば・・・髪形、髪の色、メイク、ネイルも全て孝夫の好み。言われたとおりにしている。私に私の主張など無い。私の主張など孝夫には必要ない――。パーティー会場の扉の前で、庶務課の2人が席のくじ引きを担当している。「立食じゃないんだ。よかった。」里美が思いがけないラッキーを喜んだ。里美は今妊娠4ヶ月。立食は辛いだろう。2人でくじを引く。「39番。」私が言うと「私は72番。」と里美が笑う。「さて、うちのダーリンは何番かな。」里美のご主人も今回本社から東京第二支社に移動する。席に着かず入り口付近に2人で立っていると孝夫の姿が見えた。通じ合うように孝夫も私を見て、こちらに近づいてくる。そしてゆっくり通りすがりに ”素敵だ。”と耳打ちする。「何言ってんだか。あ~いうのが桐原の嫌いなとこ。」里美は私と桐原の奇妙な関係を知っている数少ない者の1人だ。里美は桐原が嫌いだ。私との事を知って、ますます嫌いになったらしい。「別れな、あんな奴! ・・・じゃ、私も席に着こうっと。」そう言って、半ば不機嫌に席に向かった。”里美だって、この服素敵だって言ってくれたじゃない。”私は孝夫に従わなくてはいけない。言い返してはいけない。里美には違う。でも、里美にまで言い返すことができない・・・。----------------------------------------------8月も半分過ぎてしまいましたが、皆様いかがお過ごしですか?今回またまたとぉ~っても更新が遅れましてお詫び申し上げます。子猫が来たことで生活リズムが激変したのですが、プラス色々重なって調子を崩しまして、大腸間質炎とかゆーよくわからない病気で高熱やら激痛やらで、私ともあろうものが珍しく食事がのどを通らなくなっちゃって。すっかり元気になってからも暑さのせいかパソコンに向かう気力が萎えてしまって、いつの間にかこんなにたっちゃいました。ごめんなさいです~~(><)コンスタントに更新できるようがんばります。emyちゃんにも迷惑かけちゃって、ごめんね!助けてくれてありがとうね!!アレレ、いつの間に5万ヒット超えてました?!ぐあ~。喜びのタイミングを逃しちゃった。ぐすん。でも今日は50505番目を自分で踏んで、「GO!GO!GO!だ♪」なんて勝手に喜んでしまいました。縁起良しとしよう!ではまた次回をお楽しみに♪PS:本当に猫たちはかわいいです♪♪写真いっぱい撮ってるのですが、なかなかかわいく撮れない!撮れるのはジ~ッとしている寝姿ばかり・・。いつかベストショットをお見せできたらなと思います。(aco)
Aug 17, 2008
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emyでございます。猛暑いかがお過しでしょうか。”藍の~”最後のアップから月日が...たちすぎちゃいました。誠にSorryでございます。物語は順調に進んでおります。私の頭な中だけで。書き下ろしがまだ...。acoさん宅の猫ちゃんはめっちゃ可愛いです。あっ!話をそらしてはいけません。”継続は力なり”より面白いもの、これからも書き続けます。ここまでお待たせしましたが引き続き読んでいただけると嬉しいです。重ねてaco emy応援もよろしくお願いします。(更新お待たせしてごめんなさい(><)まもなく再開予定です-aco-)
Aug 10, 2008
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「――祐月は三村の子供です。 三村家の決まりに従い、三村が祐月と名づけました。」「でも、それは認知の問題で、実際には・・・。」若い弁護士をさえぎるように、もう1人が話しに入る。「・・・実は桐原さんの奥さん、つまり社長のお嬢さんの体は 妊娠するのが非常に難しい。 このままだと会社を受け継ぐ者がいない。 そこで、桐原さんよりこの話が・・。」「・・・孝夫からの話なの?」「しかし社長のお嬢さんが妊娠する可能性はゼロではないです。 ただ、DNA鑑定をして、桐原さんの子供であることが証明できれば 何かと祐月君に有利かと・・・。」 この話の続きは会社の後継ぎとか財産とかいう話だろう。でも私にとっては、そんな事はどうでもよかったし、耳にも入って来なかった。”もしも祐月が孝夫の子供だったら・・・。”私は、孝夫も三村も手に入れたような気がした。ふと喫茶店の窓に目を向けると、雪が降り始めている。”どうりで寒いと思った。”外の冬景色を見ながら、私はあの頃を思い出していた―――。---------------------------------------お待たせしました!楽しみにしてくださってる皆様、ちょっと間があいてしまってすみません。このところ6月も終わりというのにちょっと涼しいような。しかも夜中から今朝にかけてかなり大雨でしたね。体調も崩しやすい季節ですので、皆さんもお気をつけて!
Jun 29, 2008
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ストーリーとまったく関係ない話で恐縮ですが・・・我が家の大ニュース!こどもの日にacoの実家で子猫が四匹生まれました。母猫との出会いは4月でした。春前にそれまで飼ってた猫と犬を立て続けに病気でなくし、傷心の父がたまたま散歩中にいじめられていた野良猫を助けたら、家までついてきてそのままうちの子「トラちゃん」になったのです。気がつかなかったのですが、実はそのときトラちゃんは妊娠していました。実家の父母は最初どうしたものかと悩んでいましたが、日に日にお腹は大きくなるしなついたトラちゃんはけなげで愛くるしいし、子猫が生まれてしまえばその可愛さにノックアウトされ、「捨てるなんて絶対できない!」と飼う決心をしたそうです。でも全部で5匹はちょっと苦しいので、2匹残し、あと2匹はacoの家の大家さんに頼み込んでacoの家で飼えることになりました♪里親のことも考えましたが、以前買っていた犬のジュン君を紹介してもらった里親掲示板を見てみたら・・・まだまだ飼い主さんが見つからない子達が何てたくさん!!せめてうちの子達だけでもがんばって一生面倒見ようと思いました。そしてたぶん、私たち自身も猫たちに助けられると思うのです。皆さんの中でもし、可愛い家族がほしいな、愛を求めてる子達を迎え入れたいな、と思ってる方がいましたらペットショップに行く前にぜひこちらの掲示板をちょっとでもいいのでのぞいてみてください。もしかしたら運命の出会いがあるかもしれませんから!
Jun 18, 2008
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「祐月(ユヅキ)君のDNA鑑定をさせていただけないでしょうか。」喫茶店で、2人の男の年配のほうがそう言った。渡された2枚の名刺。2人とも弁護士と書かれている。3歳の祐月をママ友達に預けてまでここに出掛けて来たのは、一週間前の電話の男が"桐原孝夫"の名前を出したから。「祐月君は桐原さんの子供か、三村さんの子供か、 本当はわからないんじゃないですか?」2人の男の若い方が、若さゆえなのか失礼な質問で切り込んでくる。この男のは、弁護士事務所の名前も書かれている。私は返事も反論もせず、2人を見る。相手はプロだ。余計な事は言わない方がいい。私は、自分の意見や考えを口にしないで飲み込む事も、怒りなどの負の感情を面に表すこともないよう、孝夫から徹底的に叩き込まれた。若い弁護士は、私を怒らせるような発言をわざとしたのだろう。このくらいの言葉では、私は少しも乱れない。――それに、祐月の事は本当だ。孝夫の子か三村の子か、分からない・・・。---------------------------------------お読みいただいている皆様、いつもありがとうございます♪前回のプロローグから時間軸が飛んでの急展開?!子供って?三村って??と思われた方はつづきをお楽しみに!ところで昨日の東北の地震!驚きました。職場の同僚がお父さんの入院のため実家の仙台に行っていてちょうど帰る予定の朝に起こったものですから!連絡がついたら怪我は無いようでほっとしましたが立っていられない程の揺れで、本当に怖かったそうです。(><)被災した皆様には心からお見舞い申し上げます・・。(aco)
Jun 15, 2008
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えっと、先日目撃いたしましたemyちゃんの新しい子供・・・じゃなかった、届きました新しい作品がこちらです!過去の作品や「片想い~」同様、心を込めて更新していきますので、お付き合いをよろしくお願いいたします。m(_ _)m「片想い~」の更新は不定期となりますが、どうぞacoと一緒に気長に・・でもご期待して待っててください!--------------------------------------------藍の言いなり 紅のぬくもり<*** Scene1***>この世界に、孝夫以上の男はいない。あれから4年たっても、”桐原孝夫”の名前を聞くと心臓がドキンと鳴り、体中が熱くなる。・・・孝夫は、私の初めての男。誰の手にも触られていない無垢の私に『男は俺が教えてやるよ。』と。私は孝夫の言いつけをきちんと守り、決して逆らわなかった。孝夫が望むとおりになるよう、努力も惜しまなかった。たっぷりと時間をかけて・・・私は孝夫好みの女になっていった。―――だから、私だけに許してくれた。”孝夫 ”と呼ぶことを。世間で言う、エリート会社の本社営業に籍を置く孝夫。背が高く、賢くて少々神経質そうな顔をしている。営業成績もトップクラスの孝夫に憧れる女は少なくない。私の所属する秘書課の女達も、孝夫の名を口にしない日はない。当然”桐原さん”と呼ぶ。孝夫の婚約者でさえ”孝夫さん”と呼んでいるらしい。・・・そして、”孝夫”と呼ぶ私のポジションは―――?----------------------------------------------------------emyちゃんの新作をお読みいただいてありがとうございます!・・・いかがでしたか?「片想い~」より大人の香りがして、私はこちらも好きになりました。新作を書くという刺激が、もうひとつの作品にもきっといい影響を与えるのではと想像して、なんだかわくわくします♪しっとりさんが書き込んでくれたように、そういえば「ビロード」の時も「束縛」に浮気したんだったよね?・・・常習犯、決定だね!(たまにはemyちゃんいじめちゃお♪)それで、そのあと書き続けてくれた「ビロード」のラストは今も私の胸をぎゅっとつかんで放さないんだから。今度も私は期待してますよ~。(って、今度はプレッシャーかけちゃお♪最近のacoは"S子"なのだ。)読者の皆さんも、emyちゃんにハッパかけちゃってくださいね! 他の大変なことぜ~んぶ忘れるくらいに!ではでは、次回もお楽しみに・・・。S・acoでした。(こっちが本性かも。)
Jun 6, 2008
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友達のお菓子教室のHPのお知らせです。(acoが作成を手伝いました)先日やっとオープンしたので、お菓子がお好きな方は良かったらぜひ見てくださいまし♪『つるの小さなお菓子教室~チュイル~』http://www14.ocn.ne.jp/~tuile/4人の子供外ながら趣味に仕事に精を出すパワフルママです。小さいころからお菓子作りが大好きだったそうで、素人でもブログのキャラクターデコレーションケーキはビックリものです。希望があればめちゃウマ手作りお菓子をとってもリーズナブルな価格で引き取りまたは宅配で提供してくれますがホームページの「まいすぃーつ」に入るにはパスワードが必要なので、見てみたい方はacoに言ってくださいね~♪え?そんなことよりemyのストーリーを載せろ?ハイハイ!もちろん、準備してますので!!今週中アップ予定ですのでお楽しみに!!
Jun 4, 2008
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皆さん、大変お待たせいたしました!!emyちゃんが原稿を持って夜中に飛んできました~~~!!!わ~~い!これで『片想いの体温』の続きが読める!載せられるぅ!!・・・・って、え?!これ・・・・って・・・何?この原稿って・・・emyちゃんの浮気の証拠を目の当たりに!!え~、それでは、本人の弁明をお聞きください。『突然ですが・・・新作を書いてしまいました。 acoさんは目を丸くして私をじっと見ました。「手代木先生は・・・?」「あの~・・・手代木先生は――― 私、浮気してしまいました!」そして強引に新作を押し付けました。新作のタイトルは・・・【藍の言いなり、紅(あか)のぬくもり】です。微妙な三角関係をお楽しみください。「片想い~」も書きますので、新作も読んでください!!』・・・・・だそうです!コラァ!!! ・・でも新作は別腹!!早速いただきま~~~~す♪♪♪皆さんにもすぐお届けしますので、お楽しみに!!!もちろん、「片想い~」もハッパかけますからご安心を!私だって手代木先生ファンですからね。でも・・・・たまにはヨソ見もしていいよね?私も頑張って平行して載せていきますので、よろしくお願いします!!ではでは・・・・・・乞うご期待!
May 31, 2008
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「それで――。」「その大好きなお姉さんが、高校を卒業したら 俺と付き合うって話になって、”どんな奴”か 顔を見てやろうって? なのに、姉さんの想いは俺じゃないって聞いて 今度は気持ちをぶちまけたくなったか。」「・・・すみません。 八つ当たりかな。」「いいよ。気持ちは分かる。 俺だってついこの間、感情が抑えられなくて、 やっちまった事あるんだから。」「――後悔してますか?」「・・後悔はしてないよ。 ただ、迷ってる。」「僕も・・・ こんな話、先生にしてよかったのか迷ってます。 誰にも言わないで下さい。」「誰にも言わないよ。」「・・・姉が家を出なかったら、どうしよう。」「マジな話、そうなったら、お父さんだけに 本当の思いを話して、お前が家を出ろ。」功介の顔が、晴れたような表情になる。たった一つでも逃げ道が出来て、ホッとしたのだろう。ファミリーレストランを出る。自転車置き場で、功介が自転車のスタンドを上げながら僕に聞こえるように、独り言をつぶやく。「やっぱ・・柏田先輩なのかな。」「少なくとも、俺と君じゃない。 もう追求は止めろ。 相手が誰だって、気に入らないんだから。」「――はい。先生、ごちそう様でした。 ありがとうございました。」そう言うと、心の内を話す前とは別人のような顔で自転車を走らせて行った。そうなると、僕も誰かに心を軽くしてもらいたかった。あの日から《咲花》には行っていない・・・。喜春さんには会いたい。でも、渡良瀬を変に刺激するのも嫌だった。自転車を走らせ、帰宅の途中《雪丸》が目に入る。初子さんの『・・・喜春は、正直難しいよ。知れば知るほど。』を思い出す。”ボクちゃん”と呼ぶのが気に入らない。”入ろうか・・・。”実際、酒も飲みたかった。ただ、僕は1人で居酒屋に入った事がない。緊張する。それに、本当に仕事中の初子さんが僕の話を聞けるのだろうか―――。 ―つづく―お読みいただきありがとうございます。誰かに気持ちを聞いてもらうと、楽になる事ありますよね。誰にもいえない悩みならなおさら・・・。あの『初子さん』に聞いてもらいたいって、それはいじめられたいってこと?先生ちょっと・・・”M”?でも美青年っていじめたくなるかも・・・。もちろん愛情の裏返しです♪
Apr 20, 2008
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――最初は僕を”先生”と呼び、そのうち”あなた”に変わる。”どんな奴”とも言われてしまった。誰にも打ち明ける事を許されない、姉への想いが溢れ出てしまって、もう冷静ではいられないのだろう。下を向いて口唇を震わせる彼に、もちろんこの状況の分からない店員がコーヒーのおかわりを聞いてくる。「お願いします。」僕が代わりに答える。男兄弟で育った僕には、姉への想いは正直よく分からない。ただ、彼が大人なら、コーヒーより酒を飲ませてやりたい。素面だと質問するほうも答えるほうも切なくきついが、もう少し吐き出させて楽にしてやりたい。「立ち入って聞くけど・・・、いつごろから好きなの?」「・・・子供の頃から頭がよくて綺麗な姉が自慢でした。 2年位前だったかな・・・。 中学生の弟が、姉と一緒に風呂に入った一番下の弟を からかったんです。『まだ姉ちゃんと風呂入ってんのか、 姉ちゃんおっぱいでっかいだろ』って。 僕はそのやり取りを聞いて頭がカーッと来て、 中学生の弟をブン殴りました。 その後は男3人、もうメチャクチャで・・・。」男3人の兄弟げんかはどんなものか、僕にもよく分かる。「――その夜、姉から『学校で友達に意地悪言われて泣いて帰宅したの。 だから少し甘えさせてあげようと一緒にお風呂に入ったのよ。 私の胸の話は、笑わせようとした冗談じゃないの』 って・・・。 でも・・・、僕にとってはこの冗談がきっかけで 姉を意識するようになってしまって―――。」・・・僕は、どんな顔をしてこの話を聞いていたのか。「すみません、こんな話をして・・・。」急に我に返ったように謝ってきた。「・・・それで?」 ―つづく―本日もお読みいただきありがとうございます!前回からちょっと間があいてしまって・・(><)コウスケ君の告白を楽しみにしてた方、お待たせしました!誰でも一度は欲しいと思った事、あるんじゃないかな?”綺麗で優しいお姉さん”や”かっこよくて優しいお兄さん”!私は姉しかいないので、一時期と~ってもお兄ちゃんにあこがれました。みなさんは、どうでしょう・・・。ちなみに・・・手代木先生へ。女のきょうだい喧嘩も、相~当~凄まじいですよ!!(アレ?・・・うちだけ???でも、今は超仲良しです♪)
Apr 13, 2008
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「・・・さっきの大学の話だけど、 具体的な話は何もしてないよ。」「先生は姉の事、どう思っているんですか?」「本庄みたいないい女を、どうとも思わない男はいないだろ。」「・・卒業したら、姉と付き合うんですか?」「さぁ、どうかな。」「・・・姉に、都内の大学を勧めてください。」「それは、俺がどうこう言う事じゃないよ。 本庄が決める事だろ。」「・・・。」「それに、本庄の好きな男は俺じゃないよ。」「じゃ、誰なんですか? 知ってるんですか?」「さぁ・・? ただ、俺じゃない。」「・・・。」僕の答えがかなり意外だって顔をした後、考え込むように黙った。「本庄が自分でこっちの大学選んだら――」「だから、それじゃ困るんです!!」一瞬、時が止まるような大きな声で言い放つ。周りのテーブルの人が、覗き込むようにこっちを見る。「・・・すみません。」「・・・。」「・・・姉が家を出てくれないと、困るんです。」先の勢いはどうしたのか、今度は僕と目を合わさないよう下を向いたまま、小さい声で話し出す。「僕は、姉が―――、 姉が・・・、 好きなんです。」―つづく― 魚魚!!(ギョギョ!!)・・・次回をお楽しみに!!
Mar 22, 2008
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「手代木先生!」――呼ばれて振り返ると、本庄の弟が自転車で追ってきていた。自転車を止めて待つ。 追いついた弟は、かなり息を弾ませて「先生、ちょっといいですか?」と、やっと言葉に出す。”ん?”2人で自転車を走らせ、商店街を抜けて少し離れたファミリーレストランに入る。オーダーを頼む。「コーヒ-。」「僕も。」「腹減ってるだろう。なんか食えば。」「先生も食べてください。」店員を待たせたままメニューを開く。急いで、なんだか気取った名前のカレーライスを注文する。「僕も同じで。」店員がはずしても、何も話さない。”しかたない・・・。”「どこの高校なの?」「F私大の付属です。」”すごいっ。”「頭、いいんだな。」「・・・別に。母がF私大だったから。」息を弾ませて追ってきた割には、ぶっきらぼうで話しにくい。「・・・で、何?」「・・・帰宅した姉の顔が、泣いていたようだったから。」「へぇー、ずいぶんお姉さん想いだな。」「・・・何の話をしたんですか。」「大学の話とか、志望大学を変えるかもって相談とか――。」「どうしてですか? 都内の大学に行かないんですか? あなたがいるからですか? 先生が引きとめたのですか?」カレーライスが運ばれて、少しの間、話が途切れる。店員がはずすといきなり、「姉を引き止めないで下さい! 姉はやっと家を出られるんです! ・・・ずっと友達とも遊ばず、部活もやらないで、 僕たちを見てくれたんです。」”何を興奮してんだか。”「とにかく、冷めないうちに食おう。」「・・・姉に何も言わずに来ました。 メール送ってもいいですか。」ことわりを入れてからメールを打つのは、本庄が教えた礼儀なのだろうか。弟が携帯をテーブルに置き、カレーを食べ始める。何も話さず、ガツガツと・・・。―つづく―今日もお読みいただきありがとう!追いかけてきたのはコウスケ君でしたね。(みんな予想していたかな?)ルミちゃんがお母さん代わりに弟たちの面倒を見るのを一番近くで一番長く見てきたわけだから、ルミちゃんの大変さを一番分かってる彼だから、姉を思う気持ちも人一倍なのかな。それとも・・・?わたしは・・・そのファミレスの店員になりたいよ~!サービスしちゃうのに・・・。ではまた、次回の展開をお楽しみに!
Mar 8, 2008
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本庄が目の前で涙をふいているけど、抱きしめたいとは思わなかった・・・。もしも、本庄が僕に抱きついてきたら「えらかったよ。」とでも言って、頭をなでてやるくらいの事は喜んでしたと思う。「・・・先生。 柏田君はずるいよね。」泣き止もうとする明るい声。「うん・・・。正直、俺は男だから、 柏田の気持ち、分かっちゃうところあるんだよな。 でも、柏田だけじゃない。 男はみんなずるいよ。」「ふ~ん・・・。男はみんなずるいんだ。」「でも、女はそれ以上にしたたかだよ。」「・・・。」「そこが恋愛の醍醐味なのよ。」「・・・先生は、好きな人いる?」「えっ!」本庄宅の玄関前に着く。「そんなに驚く質問ですか? 彼女いるんですか?」「今はいないよ。」「・・・嘘つき。」本庄の泣いた瞳がふざけたようににらむ。「嘘じゃないよ。俺は正直者だぜ。」――玄関の扉が開く。本庄の高校生の弟だろうか?背は180cm位だろうか。目線の高さが僕と同じ位。さすが本庄の弟。モテそうな、イイ顔をしている。「――どうしたの?」「・・・笑い声、聞こえたから。」「笑い声聞こえたからって・・変なの。 先生、弟の功介(コウスケ)です。 ――こちら、手代木先生。」「こんばんは。」気のせいだろうか。弟の目が一瞬鋭く見えた。「・・・。」「功ちゃん、どうしたの?」「どうして先生が家まで来るの?」「志望校の事とか、相談に乗ってもらって、 送ってくれたの。 ――先生、今日はありがとうございました。」玄関に近づく本庄の顔が、明かりにさらされる。「――じゃ、明日。」自転車に乗ろうとした時、「先生、今日は本当にありがとうございました。 バレー部の男子にも・・・。」「はい、伝えておきます。」見送られて、自転車を走らせる。3分くらい走って、商店街に入ろうとした時、「手代木先生!」呼ばれて振り返ると―――。―つづく―はい、お疲れ様でした!いつもお読みいただきありがとうございます。(^-^)ルミちゃんちの前で手代木先生 VS 功介クン。つまり美青年 VS 美少年ね!ああっ!妄想族にはたまりません。さて、夕暮れの商店街で、先生を呼び止めたのは・・?次回もお楽しみに~♪
Mar 2, 2008
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「――天宮先生、理科室借ります。」手代木先生が理科室の扉を開ける。科学部の生徒が一斉に私たちを見た。「――あっ、本庄。」天宮先生が声にする。「――そうだ、この時間は部活中ですよね。 すみません、失礼しました。」手代木先生が謝ると、天宮先生が扉に近づいてきた。「本庄、手代木先生に相談事か。 たまには僕にも相談に来てよ。 美味いコーヒーいれてやるから。」そう言うと前に立っている手代木先生に手を伸ばし、お尻をつねるように掴んだ。手代木先生の顔が一瞬ゆがむ。「すみません。」天宮先生はほんの少し手代木先生をにらむように笑い、お尻から手を離すと理科室の扉を閉める。2人で校門を出る。「本庄の家まで送ってくよ。」先生が自転車を転がし、私の横を歩く。「3日か4日位前、夏恋が昼休み先生の所へ行ったでしょ。・・・柏田君の話?」「違うよ。」「・・・。」「柏田が、どうかしたの?」「・・・先生、私、柏田君から――」私は、柏田君が夜、家の前に来てくれた時の話をした。「・・・でも、夏恋には何も話してないみたいで。」続けて、夏恋とマックでの話をする。「・・・先生は、どう思いますか?」「・・・。」「私・・・、すごく嬉しかった。大学に2人で受かったら、柏田君と付き合えるかも・・・。」「・・・。」「夏恋なんか、どうでもいいって思った・・・。」「・・・。」「でも・・・。 3、4日前のランチの時、夏恋がいなくて思い出したの。 中学の、独りぼっちだったころの事。 高校で夏恋と友達になって、夏恋のお陰でグループにも入れてもらえた。 ・・・夏恋は友達なの。 グループにいても、夏恋だけが私の友達なの。 だから・・・。」泣くつもりじゃないのに、目に涙が盛り上がってくる。”どうしよう。一回でもまばたきしたら、涙が落ちる。”「だから・・・柏田君とは付き合わないの。」涙声になり、涙が頬に落ちてしまった。「志望校変えるかも。 ・・・もっとも、大学なんてどこでもいいし。 柏田君と付き合ったら、夏恋とは友達でいられないもの。 夏恋とは友達でいたいの。 ・・・先生は、どう思う?」「迷ってないんだろう。 本庄の決めた事を応援するよ。」「先生、私、一人で考えて決めたの。 ――えらいでしょ。」「えらいよ。・・・辛い選択だもんな。」 ―つづく―皆さん、いつもお読みいただきありがとうございます!『恋愛か?友情か?』思春期の乙女がぶつかる究極の選択(?)かも。「あ~じれったい!ルミちゃんの恋が叶うチャンスなのに!」と思いつつ、私はたぶん、はっきりと『友達』を優先してしまう子でした。恋愛の微熱より、友情の温もりの方が居心地よかったし、大切だったし、・・つまりは怖がりだったって事かも。・・・皆さんはどうかな?
Feb 17, 2008
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手代木先生と話したくて、放課後の体育館を探す。バレー部の男子と先生の準備運動中の姿を見つけた。近づいていくとバレー部の男子たちの口から「――本庄さんだ。」って、口々に喜ぶようなささやくような声がもれる。悪い気はしない。先生と目が合う。少し恥ずかしいけど、大声を出す。「練習、見ててもいいですか。」先生は返事の代わりに、両手で大きくマルを作る。練習を見ながら、あの頃の柏田君を思い出す。夏恋と2人で、何度も試合を見た。夏恋と2人で柏田君を応援した。引退試合の日の柏田君は、目に焼きついている。アタックを打つ体のしなりは美しいとさえ感じた。”柏田君・・・。”1年生にボールを拾わせ、2年生がアタックの連打を始めた時、先生が私に近づいて来る。「――どうした? 本庄が来たから、生徒が張り切っちゃってるよ。 単純だろ?」「・・・。」「体が止まると汗が冷えるから、着替えていい?」私が何も答える前から、白の長袖シャツを脱ぐ。”えっ・・・”顔をそむける前に脱がれてしまって。初めて見る先生の裸の身体――。男の裸なんて、弟たちや父親で見慣れてるはずなのに。・・・全く違う。毎日の運動で鍛えられた大人の男の身体。「先生ぇー!脱いでんじゃねーよ!!」「本当、わざとらしいよ。スケベ教師!」先生への親しみを込めたヤジが飛ぶ。先生は半そでT シャツにジャージを羽織ると「本庄、何か話があってきたんだろう。」体育館の明かりのせいか、先生の目が緑色に見える。「先生、部活いいんですか?」先生は私に答える代わりにバレー部員たちに叫ぶ。「――俺、帰るから。」先生が脱いで丸めたTシャツを片手に持ち、私の前を歩く。背中にバレー部員のブーイングがささる――。 ―つづく―みなさま、いつもお読みいただきありがとうございます!昨日は首都圏にこの冬3度目(かな?)の雪が降りました。それが昨夜は今までのより大きな固まりで振ってきたので雪の結晶大好きな私は、より大きなのを掴もうと手を伸ばしていました。ふんわりした固まりの中に六角形のアートが~。ほんとにきれい・・。雪の結晶は『儚いからこそ美しい』、それの最たるものかもしれませんね。初恋も憧れも、儚いからこそ胸に残る・・・ってことかな?な~んてきれいにまとめてみましたが、ほんとは昨日、「温泉で雪見酒でも飲みみたいよ~!」と叫んでた私です。ハハハ。皆さんも、あったかくしててくださいね!(aco)
Feb 10, 2008
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