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革人形の夢工房さんCategory
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夕べ、早速と早寝する直前。
なにげなくTVをつけたら、池波正太郎さんが愛したお蕎麦屋さんが映っていて、つかの間、息をつめ、しばし固まって見入ってしまいました。
くもが尤も敬愛した小説家さんは、池波正太郎さんでございます。
時代劇ものの小説が特に好きなわけでもなかったし、そもそも溺愛した小説もあまりない。
一時的には、猛烈に読みふけったモノなら、いくつかございますけれども。
けれども、数年を経て何度も読み返したいのは、池波正太郎さんの三大人気作、──『仕事人梅安』『鬼平犯科帖』『剣客商売』。
池波正太郎さんの文章はたいそう読みやすい。
いえ、読みやすくするために極限までその身をそぎ落とすようにして、文字を削り込む。
まるで抜き身の命を削り落とすような推敲の末、あのやさしい文体を会得なされたのだろうと愚考する次第。
そして場面場面にさりげなく配置される食べ物の記述。
ふろふき大根や、一本うどん、しゃも鍋──。
読みふける度に、それが夜中であろうと食後であろうと、たちまち口の中に唾液が一杯になってしまうという、恐ろしい記述ぶり(^_^;
最初くもが読み出し、次いでオカンへ横流しし、最後には兄夫婦まで一気に巻き込み、風々堂内、大ブームになってしまったのは、後にも先にも池波正太郎さんの小説だけでした。
池波さんによると、あちこちへ挿入されている美味しそうな食べ物の話は、すべて季節感を出すために記述するのだそうな。
そんな池波さんのお宅には、押し入れ一杯、江戸期の資料が詰まっていて。江戸学の学者さんですら驚く量に蓄積されていた、とも聞き及ぶ。
なのに、そんな山なす資料なぞひけらかす素振りもみせず、あのスタイリッシュなほどにとぎすまされた文体の行間にそうっと隠し込み、ただ善人も悪人もなく、なべての人の奥底にある、優しさももろさも、ほの暗さも異常さも、するりと透明に見据えておられた──。
大好きな池波正太郎さん。
──1990年、5月3日死去。
訃報を知らせる朝刊に、手が震え、涙がでた。未だ70代に達せぬまま。
早すぎるとも思う反面、池波さんのあの文体ならば、とも思った。
大好きなルイス・ブニュエル監督や、マストロヤンニさんが亡くなったと知ったときもこれほど衝撃を受けなかったのに。後にも先にも著名人の訃報で泣いたのは、このときだけでした。
久しぶりに、押し入れの奥の埃だらけの『剣客商売』を読み返そうか。
数年ごとにそう思う。
くもが大好きでたまらない、池波正太郎さん──
へこんだときに、へうげもの! 2011.07.22 コメント(2)
ねつれつどくしょちゅう 2010.01.31 コメント(2)
秋なので爆読中 2009.11.12