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10日の東京株式市場で日経平均株価は急反発し、前日からの上げ幅は一時2800円を超えた。トランプ米大統領は相互関税の上乗せ部分について90日間の一時停止を許可すると発表。関税の応酬に伴う過度な景気減速懸念がひとまず和らぎ、主力株を中心に買い戻す動きが広がった。相場下落を見込んで空売りの持ち高を形成していた投資家が想定外の相場急上昇で「踏み上げ」(損失覚悟の買い戻し)を迫られた。 午前終値は前日比2639円14銭(8.3%)高の3万4353円17銭だった。午前9時の取引開始から5分ほどは多くの銘柄が「買い気配」状態の異様な光景となった。電線大手のフジクラは買い気配のまま午前の取引を終えた。日経平均が一時3万4000円台を回復するのは約1週間ぶりだ。 前日とは打って変わって主力株が軒並み急反発した。日立製作所や川崎重工業は一時制限値幅の上限(ストップ高水準)まで上昇したほか、アドバンテストは前日比14%高、東京エレクトロンは12%高で午前の取引を終えた。ここ数日売り込まれてきた安川電機やファナックも1割を超える上げ幅となった。 市場の悲観ムードを一変させたのはまたもトランプ氏だった。9日午後、発動したばかりの相互関税の上乗せ部分について、一部の国・地域に90日間の一時停止を許可すると公表した。日本に対しても即時実施することが明らかになった。 トランプ氏の変心の背景には、米国株安やドル安に加えて、9日にはトランプ政権が重視している米10年物国債利回りが急上昇(価格は急落)し、トリプル安に見舞われたことがある。 急な方針転換に投資家は慌てて買い戻した。東海東京インテリジェンス・ラボの仙石誠シニアエクイティマーケットアナリストは「貿易戦争になって関税率がどんどん引き上げられていく最悪シナリオの可能性が低下した」と分析する。 米ゴールドマン・サックスは9日付で、米経済が後退局面(リセッション)入りするとの見通しを撤回した。2025年の国内総生産(GDP)伸び率は0.5%、今後1年でリセッション入りする確率は45%との従来予想に戻した。 この日、市場関係者が注目したのは東証の1日の売却代金のうち、空売り(信用売り)した代金の比率「空売り比率」だ。9日時点で東証合計の空売り比率は47%と、年初からの平均(41%)を大きく上回っていた。空売りは先に売って後で買い戻す取引で、この水準が高い場合は相場の下落を見込む市場参加者が多いことを意味する。 市場では、こうした売り方の買い戻し(ショートカバー)主導で株価上昇に弾みがついたとの見方があった。米景気の先行きに立ち込める「霧」が深まる中で、相場が短期的に下落する方向に賭けた投資家は多かったとみられる。想定外の株価反発に買い戻しを迫られた形だ。 ただ、トランプ氏の発言や姿勢はこれまでも二転三転している。アセットマネジメントOneの浅岡均シニアストラテジストは「投資家の警戒感は十分残っている」と指摘する。 三菱UFJアセットマネジメントの徳岡祥一チーフファンドマネジャーも「景気後退の可能性はいったんは低下したものの、米国のスタグフレーション(物価高と景気後退の併存)リスクは依然残る。株式の比率は引き続き落としていかなければいけない」と話す。 米政権は報復措置を打ち出した中国に対しては、関税を125%に引き上げる方針を明らかにしている。野村総合研究所の木内登英エグゼクティブ・エコノミストは「中国に対してとんでもない関税をかけていること自体、グローバル景気にマイナスだ」と警鐘を鳴らす。 木内氏は「中国に対して125%の関税が維持される一方、他国に対しては交渉を経て、上乗せ関税分が平均で5ポイント軽減される」ことをメインシナリオとした上で、米国のGDPは約2.4%、日本のGDPは約1.2%の押し下げにつながると試算する。投資家の不安心理は依然としてくすぶっている。 (大久保希美、犬嶋瑛)