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次に、高橋町長の発言を拾っていきましょう。 「「ふるさと銀河線」の廃止から9年、影響は本別町内にもボディーブローのように効いてきました。」 その「ボディーブロー」の一例として、帯広まで出るのに鉄道と比べてバスが2倍以上の時間がかかることから、子供のいる家族や高齢者が、学校や病院に近い帯広市内に移住する例が目立ってきたことを掲げています。 今、手元ですぐ見られる統計で調べたものですが、平成17年(ふるさと銀河線廃止前年)と平成26年との人口を比較しますと、全道の人口は約4%の減ですが、本別町は約14%の減となっています。銀河線の廃止だけが理由ではないと思いますが、お子さんの進学を機に、本別から帯広に移住された方を、私も存じ上げておりますので、根拠のない分析とは言い切れないでしょう。 「JR北海道は今、利用者の少ないローカル線の廃止を進めようとしていますが、鉄路がなくなれば、田舎に人は住めなくなってしまう。吹雪や台風の中でも乗客を安全に輸送する鉄路の信頼感は、他の交通機関では補いきれません。」 この指摘に対しては、近年の様々な事例を捉えて、鉄道は安全ではない、悪天候で鉄道が止まってもクルマは走る、定時性も危ういという反論が出されるでしょう。 そもそも鉄道と、例えば道路交通との安全の捉え方、考え方には、大きな差があります。絶対的な安全を守るため、危ないときはまず「止める」発想の鉄道と、ドライバーの裁量に大幅に委ね、「自己責任」的部分も含んだ中で安全行動を取る道路交通とでは、安全に対する「本質」が異なっています。道路交通における事故は、数としては減っているものの、ドライバーの質の低下、道路交通の高速化、異常気象の頻発に伴い、1件当たりの事故の悲惨性(事故による人的物的ダメージ)は、むしろ増えている気がします。鉄道と道路とでは、インフラ更新への投資に圧倒的な差があること(不当に鉄道が古いままで残されている)、道路交通のインフラが整備されればされるほど、新たな形の危険(例えば高規格道路での正面衝突、積雪時の玉突き衝突や立ち往生)が発生することも、見逃せません。このように考えると、鉄道そのものが持つ安全性、安定性は、決して色あせてはいないものです。 「地域の願いを振り切って鉄路を切るようでは、鉄道が果たすべき本来の役割や使命を忘れたのではないかと感じます。」 このことも、日本における公共交通の維持存続問題で、繰り返し議論されることです。公共交通維持の責務は、運営事業者が負うべきものなのか。運営事業者は、自身の経営収支のみ責任を負い、公共の福祉にまで責任を負う必要はないのか。さらにこの後の発言を見てみましょう。 「ただ、交通網の維持はJRだけの責任ではありません。道内の交通網を考える上で、道の役割は重要です。」「JRも道も、「お金がない」という理由で鉄路廃止を進めれば、道内のほとんどの路線がなくなってしまうと危惧しています。」 もちろん、国も自治体も、出せる資金に限りがあることは当然のことです。にもかかわらず、道路への投資と鉄道への投資が、なぜこれほどまでに格差があるのでしょう。なぜ鉄道ばかりが、運営事業者の収支均衡に拘束されなければならないのか。「鉄道の赤字補てんによって、将来の世代に負担を負わすな」との主張が声高に言われるのに、鉄道がなくなるような人口減少地域に、建設にも維持にも経費がかかり、しかも受益者負担が少ない高規格道路がぐんぐん延伸していく事実を、どのように説明すればいいのでしょうか。 「一方で、沿線住民の交通網に対する意識も変えねばなりません。旧池北線は三セク化で存続されたため、町民は安心してしまいました。」 「しかし、帯広まで行くにはJRの初乗り料金が余計に必要になり、池田駅の銀河線ホームはJR線から遠く離れた場所に置かれたため、不便になって乗らなくなるという負のスパイラルに陥ったのです。」 銀河線の実例を基に、利用者である沿線住民の意識、公共交通の利便性を向上させる工夫の必要性を、端的に主張されています。帯広直通の初乗り運賃の二重負担、池田駅4番線ホーム(銀河線専用)の、乗り換え、下車共に不便極まりない配置、さらに踏切作動への不安という理由で、CR型車両単独のJR線乗り入れの拒否(JR線上は必ずJR車両と連結)による効率的な車両運用の阻害。いずれも、銀河線への沿線住民の信頼を、失わせるのに十分なものでした。 このような利用者の利便性を妨げる要素、運営事業者が自らの都合ばかりを優先し顧客主義を全く考えないことに対して、利用者が冷静に異議を唱えることは、必要なことであります。 「再生提言書」を読むと、新聞紙上での国広氏の主張と同じ内容が、あちこちに見られます。一方で、明らかに国広氏の主張と正反対の考え方、例えば「その際JR北海道は、安易な路線の休廃止は進めるべきではない。」(提言書30ページ)も記載され、委員の中でも完全な意見の一致が見られず、両論併記と捉えられる表現も見られます。 しかし、「提言書」にも記載され、国広氏、高橋氏双方の主張に共通する事項があります。「状況を丁寧に説明し、地域と一緒に考えていくことが求められています。」(国広氏)「JRがローカル線見直しを表明した今こそ、道が音頭を取り、沿線住民とJRとともに交通網の将来を考える時だと思います。」(高橋氏) 今こそ、沿線住民が関係者とともに、公共交通のあり方を真剣に考える時だと思います。
2015/09/16
閑話休題。 毎年夏になると、私は楽しみにしていることがあります。 ここ数年、JR東日本管内の駅構内で展開するキヨスクと、コンビニエンスストアであるNEWDAYSにおいて、道産の飲み物食べ物を扱うキャンペーンを実施しています。ナツキタ2015 夏の北海道キャンペーンhttp://www.j-retail.jp/natsukita2015/ 例えば、普段は道内でしか買うことができない「サッポロクラシック(生ビール)」や「マルちゃんやきそば弁当(カップ焼きそば)」などが、毎日通る駅構内で、買うことができるのです。http://www.sapporobeer.jp/classic/http://www.maruchan.co.jp/cupyakisoba/detail03.html さらに、道産食材を用いた限定商品が並ぶのも、楽しいものです。http://store.shopping.yahoo.co.jp/946kitchen/susukino-wasabi.html 本当に、これが置いてありました。これって、道内限定品…? そして猛暑の7月8月も、我が家は北海道気分に浸ることができました。 手前左側は、オホーツクの塩を使った塩キャラメル入りのパン、同じく右側は、本別町産の黒豆「キレイマメ」を使ったクリームパンです。 ビールのつまみに菓子パンは合いませんが… キャンペーンは終了していますが、サッポロクラシックは継続販売されています。 いつでも売っているとなると、うれしさ半分残念さ半分でもあります。
2015/09/15
「このまま多額の税金を使って鉄道を維持すべきか、あるいは資金を使うならもっと使い勝手のいい交通機関にできないか、」 「例えば、鉄道に比べて、バスは学校や病院の目の前に立ち寄るなどこまめに運行でき、本数も増やせるので、地域住民の利便性が増すこともあるでしょう。」 「普段は利用していないが地域の象徴だから廃止してはならない-という情緒的な議論は避けるべきです。」 これらの主張は、既に当ブログで、何度も取り上げてきたところです。 「バスが○○の近くを通るようになったから(鉄道より)便利になった」このような声も、多様な交通需要の中では当然出てきますし、否定するつもりはありません。各地の事例、特に鉄道からバスに転換した地域を見てみると、バスが病院なり学校なり、主要な地域の施設に立ち寄ることにより、所要時間が大幅に長くなった例が見られます。そもそも、商店も含めた地域の方が利用する公共施設の配置が、中心市街地を外れた場所に配置されている事例が増えています。駅を中心とした場所にコンパクトになぜ配置されなかったのか。バスは路線の開設も廃止も容易に見えますが、実際は、廃止が許可制から届出制になったことにより、容易な廃止だけが進んでいます。ハードやソフト面での「まちづくり」と連動させて、しっかりした筋のある公共交通機関を構築し、そこから派生する二次交通を充実させる。これが公共交通の利便性向上と、まちの発展につながることになるでしょう。「筋のある公共交通機関」として、既存の鉄道を最大限利用しない手はありません。 もう一点、もう30年以上前になりますか、国鉄赤字ローカル線廃止問題が浮上した際、「時刻表から私たちの街が消える」との廃止反対スローガンに対して、「情緒的な反対はすべきでない」「鉄道のない街に対して失礼だ」との反論が寄せられていました。「地域の象徴」とか「時刻表に載る」ということが「情緒的」かどうかはわかりませんが、鉄道が地域のアイデンティティになり得ること、地域の名前とそこまでの行き方を、全国的な媒体に明確に掲載、PRされる広告効果、これらは決して馬鹿にできないものと考えます。地域が鉄道を利用しない理由と「情緒的」ということとは、別の問題です。前者は、「乗る仕組みづくり」を地域で(あるいは地域外の人と一緒に)考え実践していく。後者は、地域の鉄道に抱くアイデンティティを、「見える化」(金銭価値への変換)した上で、「乗る仕組みづくり」や「まちづくり」と連動した展開を積極的に行えば、「情緒的」であるとの指摘は、むしろ地域活性化へのプラスになります。「路線別の利用状況などの情報提供を日ごろから積極的に行う必要があります。」 鉄道運行に関する情報の地域への開示は、まさにその通りだと思います。しかし、国鉄赤字ローカル線廃止問題の際にさんざんやり玉に挙げられた、路線別収支係数のような、幹線とローカル線との収入の分配方法でいくらでも数値が変えられるようなデータの出し方は、線区の存廃について誤った判断を招きます。このときは、収支係数の発表が赤字線廃止の世論形成に大きな役割を果たしましたが、実は、国が路線存廃を判断した根拠に、収支係数は使われていません(特定地方交通線の選定は、輸送密度が判断基準となりました)。現在、特定地方交通線の選定基準(4,000人/キロ/日)に満たない輸送密度の線区は、JR北海道営業距離の内、75%を占めるに至っています。(「提言書」別紙44ページ) 「乗る仕組みづくり」「稼ぐ姿勢」を持ち続けることを大前提として、地方において鉄道が存在する意義は、少子高齢化が進み、コンパクトシティあるいは地方への投資が「選択と集中」といわれる中で、鉄道の存在がいかに地域経済に効果を与えるかを重視すべきで、輸送密度だけが存廃の判断基準ではなくなってきています。このことは、指摘しておきたいと思います。 全体的に、国広氏の論調は、会社の不備や問題点を厳しく指摘しているように見えて、会社が負うべき鉄道運行の義務を縮小するという、鉄道会社側の思惑に立脚している点で、企業防衛的な視点を感じずにはいられません。(続く)
2015/09/15
こんばんは。 JR北海道再生推進会議が、去る6月に発表した「JR北海道再生のための提言書」について、その内容を詳しく検討し、当ブログで発表しようと考えていました。 8月10日付け北海道新聞朝刊の「月曜討論」というコーナーの記事が、「提言書」の内容と問題点を簡潔かつ的確に表していることに気づき、この記事を引用しながら、「提言書」の問題点と道内公共交通を考えていく「視点」を提示していきたいと思います。 「月曜討論」は、ひとつのテーマに対して主張の異なる論者2人の考え方を並列して紹介するコーナーで、「JR再生と赤字路線廃止」というテーマが与えられています。論者の一人は、再生推進会議のメンバーである、国広 正氏です。弁護士で、危機管理やコンプライアンスが専門とのこと。もう一人の論者は、銀河線沿線にあたる本別町の町長である高橋 正夫氏です。銀河線廃止の際も、町長として対応にあたっていました。元国鉄職員です。 では、まず国広氏の発言で注目すべき点を、記事から拾っていきましょう。 「これまでのJR北海道は、高速化への投資など華がある施策を進め、全方向に「よい顔」ばかりをしてきました。」 このことにより、地道な安全投資がおろそかになり、事故やトラブルの続発を招いたと主張しています。まず、この過去の分析に疑問があります。 JRが進めた「高速化」は、国鉄分割民営化以後急速に進められた、高速道路(高規格道路を含む)の整備に対抗して、輸送シェアを守るためやらざるを得なかった部分です。JRの投資、特に旅客サービスに直接関わる部分(車両、ダイヤ等)を見ると、行き当たりばったり的な感は否めないにせよ、決して総花的に行ったものではありません。それが証拠に、普通列車の時刻や駅の整備に関して、札幌圏は別として、現在でも概ね分割民営化直前に定められたダイヤ、整備された駅施設を踏襲し、そこから合理化、削減を進めています。観光用車両に関しても、ほとんどが在来車両のリニューアルであり、コンセプトが弱い点も含めて、決して華があるとは言えません。 今までのJR北海道の施策(特に営業面)は、「全方位にいい顔」ではなく、ネットワークとしての鉄道の魅力と可能性を活用せず、目立つ部分に対症療法的な施策を行ってきたものであり、そのツケが、人口減以上の、利用客減を生んでいると考えるべきです。 「赤字ローカル線といえども、すべての線区で安全基準を満たさなければなりません。その一方、「大量高速輸送」という鉄道の特性を発揮できないような、利用客の少ない路線に多額のコストを振り向け続ければ、遠からずJR北海道自体が破綻します。」 「そうなれば、かえって多くの路線が運行できなくなり、北海道経済に重大なダメージを及ぼすことになるでしょう。」 ここで主張されているのは、安全の絶対性と、安全と路線別収支のバーター関係です。いずれも、ローカル線廃止問題の中では、廃止賛成論者から必ず出される主張です。 JR北海道の一連の事件・事故が発生した場所は、圧倒的に幹線に関わるものが多くなっています。そもそも、地理的条件や経済的条件によって、路線別に安全基準が変わってくるのは当然のことです。ローカル線に新幹線同様の60Kgレールを使う必要はありません。すべての線区で満たすべき「安全基準」とは、例えば基本動作や作業手順の正確な励行であり、合理的な個別の安全基準の制定とその遵守であります。それらがおろそかになったことと、故意に踏みにじられていたことが、今回の「不祥事」を生み出しています。ここでは、守るべき「安全基準」の意味合いを、混同しているように聞こえます。 もう一点、国広氏の主張に一貫しているのは、安全投資と会社収支との関係を、「バーター」で捉えていることです。一般的な企業で、しかも他の企業との間に資本関係のないのであれば、それは正しいでしょう。会社としてのJR北海道は、企業単体では確実に赤字が出ることを前提としている、国(独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構)が100パーセント株式を保有する、極めて特殊な会社であることです。そして運輸収入だけでは赤字にしかなりようがない会社に対して、経営安定基金による運用益を以て充当することになっています。運用益の金利、国からの支援、これらの「お金」がいくら渡されるかは、人為的に決定されるものです。さらに加えるならば、鉄道のインフラ維持(線路等)は鉄道運営事業者が負担しているのに対し、自家用車所有者やバス事業者が、自分が道路を利用した分の道路維持のコストを負担しているでしょうか。答えはノーです。道路利用者は明らかに「下駄」を履いていて、鉄道との比較において、インフラコストの負担が軽いという点で、極めて有利な状況となっています。 JR北海道の会社収支と、高速道路、高規格道路をはじめとする北海道の道路への投資と鉄道への投資との比較を考えると、現状として「バーター」ではないし、不公平な競争の中で、JR北海道にのみ、バーターを前提とした安全投資しか認めず、公的資金投入を否定的に捉えることは、おかしいと考えます。(続く)
2015/09/15
こんばんは。 去る8月10日、留萌本線の内、末端区間である留萌~増毛間について、鉄道事業を廃止したい旨、JR北海道社長から沿線2自治体(留萌市、増毛町)に対して説明が行われたとの報道がありました。http://dd.hokkaido-np.co.jp/news/economy/economy/1-0167080.htmlhttp://www.jrhokkaido.co.jp/press/2015/150810-2.pdf JR北海道のホームページでは、あたかも鉄道事業廃止が既成事実化したかのような印象を受けますが、鉄道事業者が地元自治体へ説明を行った段階であり、鉄道事業法に基づく廃止届出はこれからです。 行き止まり線の末端区間の利用者が少ないのは当然なのに、それを廃止の根拠のひとつとすることには、非常に抵抗感があります。一方、当該区間固有の問題として、雪や大雨による土砂崩れが非常に多く、長期にわたる運休があったことが掲げられます。 本年6月に、JR北海道再生推進会議から出された「JR北海道再生のための提言書」をもう一度読み直しましょう。32ページに「総合的な交通ネットワークを検討する会議体の設置について」というタイトルで、会議体の設置を求める提言がなされています。http://www.jrhokkaido.co.jp/press/2015/150626-3.pdf これは、単に鉄道廃止の是非や事後策を、鉄道事業者や自治体だけで話し合う従来の会議体ではなく、地域の実情に合わせた(広く意見を聴取・反映する)会議体を設置し、あらゆる公共交通手段を総合的に再検討し、広く関係者が認識を共有しながら、持続可能な公共交通網を整備していく趣旨です。JRとしては、一刻も早く当該区間を廃止したいと考えているようですが、JR北海道再生会議の提言内容を無視するように、この区間だけを捉えて代替交通云々と言うのは、おかしな話です。 ここで安易に廃止に応じてしまうと、JRの独走を許してしまい、それは深川~留萌間の存廃問題にも影響を及ぼします。それ以上に大きな問題は、地域が公共交通を関係者とともに真剣に考え、組み立てるという絶好の機会を、みすみす潰すことになることです。そしてそれは、同じ問題を抱える全道各地に、悪い影響を及ぼすことになるでしょう。 このようなお願いの仕方になることをお許しください。留萌本線沿線(全線です)の自治体関係者、議会の皆様は、「提言書」が示す会議体が創設されるまで、当該区間の廃止を容認する態度を決して示さないように、お願いいたします。
2015/08/16
こんばんは。 これも、もっと早くお伝えしなければならない情報でした。 石北本線の美幌駅から北見相生駅まで36.8kmを結んでいた国鉄相生線が廃止されて30年になるのを記念して、津別のまちづくり団体が、当時の写真を集めた写真展を開催しています。 8月8日、9日は旧北見相生駅舎内で開催し、11日から16日まで津別町の中央公民館で開催されています。http://denshobato.com/BD/N/page.php?id=87868 津別町中央公民館http://www.town.tsubetsu.hokkaido.jp/03shisetsu/10koukyou/2007-1026-1023-2.html 旧北見相生駅は、駅舎だけでなく多くの車両、線路、ターンテーブルの遺構等が残されているのに加えて、長屋造りの鉄道官舎が2棟あり、駅を中心とした鉄道員の仕事と生活が垣間見れる、全国的に見ても極めて珍しい鉄道遺産です。この地で相生線をしのぶ写真展が開催された意義は、非常に大きいと思います。 残念なのは、旧北見相生駅まで行く公共交通機関が限られていることです。津別町役場から相生までは、町営のバスしかありません。一部の便で電話予約が必要、しかも日曜日は全便運休です。津別までは、北見から開成経由と美幌経由の、北海道北見バスが走っています。津別町営バスhttp://www.town.tsubetsu.hokkaido.jp/02kurashi/40kankyo/douro_kasen_kankyou/files/bus_27_8_1.pdf北海道北見バスhttp://www.h-kitamibus.co.jp/ 旧 北見相生駅舎です。
2015/08/11
銀河線沿線および近隣のイベントについては、このブログでも可能な限り御伝えしていこうと考えています。しかし、事前周知が間に合わず、事後報告になるものが増えています。伝えたい側、知りたい側双方の皆様に対し、大変申し訳なく思っています。 このイベントは、銀河線沿線を応援する立場から、是非お伝えしなければならないものと考えています。かねてから、北見の旧銀河線検修庫脇に保存されている旧国鉄車両について、その利活用方法や修繕方法等が検討されてきました。利活用方法について結論はまだ出ていませんが保存されている車両の一部について、塗装を行うことが決定し、作業に入っています。 塗装作業は、まずラッセル車のキ100と、ジョルダン型雪かき車のキ750について、塗装作業を行います。塗装は基本的に業者が行いますが、市民参加の日も設けられていて、募集を行っています。 詳細はこちら http://blogs.yahoo.co.jp/gingasen_net 9月以降にも、市民参加の日程が組まれています。http://blogs.yahoo.co.jp/gingasen_net/folder/1113125.html 大好きな鉄道車両と1日を過ごす。自分の頑張りが、車両を美しくしていく。大変な作業もあると思いますが、きっと充実した時間を過ごせることと思います。皆様の参加をお待ちしております。 8月9日撮影。錆、落とされていますね。
2015/08/09
こんばんは。 去る8月1日に、石北本線下白滝~丸瀬布間で発生した土砂崩れにより、同線の上川~遠軽間と特急オホーツク号の前便が運休となりました。http://www.jrhokkaido.co.jp/press/2015/150803-5.pdfhttp://dd.hokkaido-np.co.jp/news/society/society/1-0166421.html その後の復旧作業により、8月8日午後から同区間は運転を再開し、オホーツク号、特快きたみ号も運転を再開しました。 列車運休中は、8月4日から復旧直前の8日午前まで、札幌~旭川間に臨時特急2往復(オホーツク1、5、4、8号のダイヤ)と、旭川~網走間に代行バス2往復、旭川~生田原間に代行バス1往復が運行されました。http://www.jrhokkaido.co.jp/press/2015/150806-2.pdf 写真で見る現場は、沢のような地形の切込みが入ったその上を、線路の築堤が跨いでいるような場所です。復旧まで長期化しそうに見えましたが、JR北海道は早い段階から早期の復旧を示唆し、お盆休みの多客期に間に合わせるとしていました。その話のとおり、8月8日の復旧に至ったわけです。 まず、早期復旧させたJRの努力は、賞賛したいと思います。その上で、復旧後の乗客が思ったほど増えていないとの報道があります。鉄道復旧の事実が利用者に十分伝わっていないこと、同じ区間を走る都市間バスの予約を今更変えたくないという乗客が、かなりいたと考えられること、そして一連のJR北海道不祥事のイメージが、利用者に浸透しJR離れを起こしていると推察されること、これらが、復旧後のJR利用の伸び悩みにつながっていると考えられます。 一度離れた顧客に戻ってきてもらうのは、並大抵のことではありません。 復旧直後に列車内から見た、災害現場の状況です。
2015/08/09
こんばんは。 JR北海道再生推進会議が「JR北海道再生のための提言書」を発表後、JRから駅の廃止あるいは無人化に関する提案が、地元自治体になされています。 これは、6月30日に政府がJRに対し1200億円の財政支援を決定したのを受け、同日のJR島田社長の会見において、利用が少ない数十ほどの無人駅を、3年かけて廃止するという方針発表に対応した動きと見られます。http://dd.hokkaido-np.co.jp/news/economy/economy/1-0151776.html 今のところ廃止の俎上に上がっているのは、石北本線の金華、上白滝、旧白滝、下白滝、室蘭本線の小幌の各駅です。また、駅の無人化が発表されたのは、石北本線の留辺蘂、根室本線の芦別、赤平、函館本線の奈井江、上幌向の各駅です。無人化方針が発表された駅の中には、みどりの窓口を有する駅も多数あり、地域への影響は少なからざるものがあります。http://dd.hokkaido-np.co.jp/news/area/doo/1-0154633.htmlhttp://dd.hokkaido-np.co.jp/news/area/dohoku/1-0157129.htmlhttp://dd.hokkaido-np.co.jp/news/society/society/1-0159320.html この内、本年10月の廃止を地元に打診した小幌駅に関しては、駅に通じる道路がなく、近隣に民家もないことから「秘境駅」と呼ばれ、鉄道ファンだけでなく旅行者に人気の駅として、近年有名になりました。 小幌駅に関して、非常に興味深いことがあります。まず、小幌駅の廃止について、7月17日の島田社長の会見の中で触れられていることです。社長曰く、「マニアの方々のためにコストをかけて維持していくべきなのか。」「(小幌駅は)保守が非常に困難。(廃止駅は)利用実績ゼロの場所に絞り込むことはない」と発言しています。利用の少ないといわれる、しかも無人駅に関して、社長自ら会見で述べるのは、異例という印象を受けます。同じ会見の場で、札幌駅の新幹線ホームの位置に関する件や、北海道新幹線工事に伴う青函トンネル通過列車の元日全面運休の件について説明があったことを考えると、なおのこと奇妙な違和感を感じます。 もう一点ですが、この記事が北海道新聞の全道版最終面に掲載され、しかも一面掲載のヘッドラインにまで登場していることです。駅の廃止は決して小さくない話題ですが、ネットならばともかく、ブロック紙における紙面での大きな扱いも、異例といえば異例です。http://dd.hokkaido-np.co.jp/news/society/society/1-0158186.html 小幌駅の廃止にまつわるこれらの動きから、JR北海道が大事故や不祥事を頻発し、事業改善命令・監督命令を受けるに至った大きな理由を、見て取ることができます。 それは、「稼ぐ」という視点の欠落です。 1日何人も乗降しない駅、しかも会社が存続の危機に立たされている時に、「マニアの方々のために…」という説明は、これ以上ない説得力を持つでしょう。極めて反論しにくい。 しかし、鉄道をはじめとする公共交通を必要とする理由が、単に地元の乗客を運ぶだけでなく、交流人口を増やし地域を経済的にも文化的にも元気にする役割を負うとするならば、見方はガラッと変わります。 「秘境駅」であったとしても(だからこそ)、それが地域の「光」を「観(しめ)す」コンテンツだとすれば、そのコンテンツを最大限に活用してきたのだろうか?「マニアの方々のために…」の発言の中に、JRとして乗客を増やす努力や、地域との連携を怠り、極めて官僚的な経営に終始してきた会社の本質が見えてくるのです。 社長発言の「秘境駅」を「観光資源」に、「マニア」を「観光客」と置き換えれば、わかりやすくその「本質」が見えてくると思います。観光客なんて、まさに不要不急の乗客そのものになるでしょう。 北海道新聞が、小さな無人駅の廃止について、敢えてここまで大きく取り上げたのは、「提言書」を錦の御旗に、合理化姿勢を見せなければ国の理解が得られないとばかりに、遮二無二「廃止」「縮小」に突っ走るJRの姿勢に、民間企業と思えない官僚的態度を見て取ったからかもしれません。面白いことに、国側の当事者である北海道運輸局長は、JR側の留萌本線廃止の動きに対して、地域の交通網の在り方検討を並行して進めるようにと、JRにくぎを刺す発言をしています。 個々の駅の存廃や人員配置について、JRが検討することを否定はしません。しかし、本物の役所以上にお役所的な姿勢での合理化の行き着く果ては、さらなるJRの弱体化ではないでしょうか。 乗客を増やす努力を続けなければ、安全は守れません。
2015/07/28
こんばんは。 既にご存知のことと思いますが、去る6月27日、JR北海道再生推進会議は、JR北海道島田社長に対し、「JR北海道再生のための提言書」を手渡しました。http://www.jrhokkaido.co.jp/corporate/safe/index.html#kaigi この件に関する報道の論調は、提言書の中に「選択と集中」と称して「線区の廃止を含めた見直し」という文言が入ったこと、それに関連して7区間8線区を「利用の少ない線区」として例示したことから、JRローカル線の廃止が加速するとの見方が、強く打ち出されています。http://dd.hokkaido-np.co.jp/news/society/society/1-0151312.html 加えて、例示された線区の内、留萌本線に関して、既にJR幹部が関係自治体に、廃止を前提としたと受け止められる態度で説明に入ったとする報道もなされ、当該線区の地元では、反発よりも「あきらめ」の空気が漂っていると伝えられています。http://dd.hokkaido-np.co.jp/news/society/society/1-0150654.html 提言書の詳細に関する検討は、後へ譲るとして、ここでは一点だけ、提言書の本質の部分であり、画期的な記述である部分を紹介したいと思います。http://www.jrhokkaido.co.jp/press/2015/150626-3.pdf それは、本文32ページ「総合的な交通ネットワークを検討する会議態の設置について」です。 JR北海道が直面するさまざまな問題は、将来日本全体が直面する問題だと捉え、JR路線(の存廃等)だけを議論するのではなく、地方公共団体が先頭に立って、公共交通事業者(鉄道だけでない)、住民、利用者等が集い、地域の交通体系をどうするか、目指す姿の検討の場を作ることを求めています。 これは、地域公共交通活性化法が狙うところと同じであり、砕けた申し上げ方をすれば、「高速道路ができたからもういいや」ではなく、「俺は車に乗っているから関係ない」でもなく、みんなで地域の公共交通を真剣に考えていかなくてはならない、と説いていると私は捉えます。 この手の会議体は、行政や事業者が思うように進める(鉄道廃止?)ためのアリバイ作りに過ぎない。このような意見もあるかと思います。しかし、そもそも公共交通事業者同士の横のつながりが希薄で、加えて交通は「お上」がやっていることという意識が強いと考えられる北海道で、例えば地域住民からのボトムアップで、地域全体の公共交通が、ネットワークとして利便性が向上したという事例を、あまり聞いたことがありません。 提言書では、「北海道モデル」を打ち出すことを期待すると、極めて高い理想を掲げています。一方でJRは、提言書の内容の一部を「錦の御旗」として、駅の廃止や無人化を進めようとしています。路線廃止も、照準に入れているでしょう。ステークホルダーである地域住民が、どこまで地域の公共交通が持つ役割、意味を真剣に考えていくか。路線存廃の今後の動向は、そこにかかってくると思います。
2015/07/17
「いま」と言うには、少し古くなってしまいましたが。 5月の連休の際、銀河線の高島駅跡に立ち寄りました。 駅舎が撤去された後、しばらく更地のままでしたが、駅舎跡地にモニュメントが整備されました。 駅舎の真ん前にある大木(ヤマモミジだそうです)も、そのまま?残されています。 ちょっと、雰囲気が違うな。こんなに斜めじゃなかったはず…老木ゆえ、剪定されたようです。写真のとおり、現在も枝が折れたり、支柱で支えたりと、やや痛々しい印象です。 高島嘉右衛門が農場を開き、現在も池田町の核のひとつである高島地区も、寂しくなった感は否めません。 あの駅舎を取り壊したのは、今でも非常にもったいないと思っています。ですがこのように、駅の歴史を形でとどめていただいたのは、とてもありがたい事です。
2015/07/12
こんばんは。 道内が、想定通り?大変な事態になっていますが、そのことに触れる前に、いくつか押さえておきたいことがあります。 和歌山電鐵貴志川線の貴志駅で、長年「駅長」として任務にあたってきた猫の「たま」が、6月22日に亡くなりました。http://www.wakayama-dentetsu.co.jp/president/150628.html 一方、フラワー長井線を運行する山形鉄道の公募社長である野村浩志氏が、健康上の理由により、6月29日の任期満了を以て退任されました。http://yamagata-np.jp/news/201506/17/kj_2015061700406.phphttp://www.asahi.com/articles/ASH6Y2H4XH6YUZHB001.html 猫の死と社長の交代。同列で扱うのは失礼かもしれません。しかし、公共交通活性化の視点で申し上げれば、お二人(敢えてそう申し上げます)は間違いなく功労者であったと思います。その共通する功績は、「発信力」です。 意表を突く仕掛けと、広報にストーリー性を持たせながら、常に鉄道とその沿線の魅力をセットにして発信し続ける。これは今までの公共交通活性化にはなかった動きだと思います。 猫に会うために電車に乗る。駅舎を改築する。鉄道好きの視点で企画をこしらえる。これって、公共交通のあり方と違うのでは?そんな批判は今でもあると思います。しかし、人や物を運ぶ本来の役割を超えて、鉄道が地域を元気にするツールであると捉えれば、決して誤った方向性ではなかったと思います。 たま亡き後の和歌山電鐵は、経営的に苦しくなるのでは。野村社長だって、利用者減を止められなかったじゃないか。仮にこれらの指摘が正しいとしても、列車の本数が減り乗客が離れ、駅前が寂れていくような合理化の結果の収支改善が、本当に地域を元気にするか?と考えると、お二人の活躍は、決して無駄ではなかったと思います。 野村様の健康が回復し、再びご活躍されることを願っております。
2015/07/12
今年の2月14日のことです。 所用で小樽へ行くことになっていました。 午前中のAIR DO便に乗るつもりでしたが、新千歳空港付近の降雪により、欠航となってしまいました。 欠航が決まってすぐさま、モノレールの駅へ向かい、浜松町駅でJRのきっぷを購入、陸路北海道へ向かいました。 新幹線からスーパー白鳥に乗り換えて到着した、青森駅。 隣の番線に、見慣れない列車が止まっています。 「ありゃ、トワイライトエクスプレスだ。」 日中、このあたりにいるということは、かなり遅れが出ているようです。 「そういえば先日も、大幅遅れで乗ってた人が得をしたとか言ってたな…」 ところが、この列車が25時間の大幅遅れとなり、車内でさまざまなドラマが生まれ、この列車の寝台券がプレミアムとなり、一般のニュースにも大々的に報じられようとは…http://matome.naver.jp/odai/2142401594804922001 貴重な一枚となりました。
2015/05/23
JR北海道の一連の重大事故と、それに伴う安全対策最優先の経営施策が、鉄道サービスの面に様々な影響を及ぼしています。 そのひとつが、客室乗務員による車内サービスの見直し、すなわち車内販売の廃止です。 道内では、スーパーカムイなどの電車特急を除いた特急列車において、JR職員である客室乗務員が、車内販売やグリーン車乗客への特別サービスを実施していました。既に昨年12月に、スーパーとかち号全列車の車内販売を廃止し、本年3月いっぱいで、オホーツク号全列車、スーパー宗谷号をはじめとする稚内方面全列車、北斗・スーパー北斗号、スーパーおおぞら号の一部列車についても終了しました。http://www.jrhokkaido.co.jp/press/2015/150212-1.pdf さらに、オホーツク号に駅弁を供給していた遠軽駅の販売業者が、車内販売廃止により販路が絶たれたという理由で、廃業することとなってしまいました。北海道ならではの駅弁を提供していた業者の廃業は、地域の資源を失ったという意味でも、大きなショックです。http://response.jp/article/2015/03/13/246466.html 今回の見直しの理由としてJRは、コンビニエンスストアやペットボトルの普及により、車内販売の利用が年々減少していることを挙げています。車内販売の中止は全国のJRに及んでいて、東海道新幹線でさえも、こだま号では車内販売を実施していません。 確かに、乗る前に飲み物食べ物を購入する乗客が、近年増えているのは事実です。道内に限っても、特急停車駅の駅近くに、コンビニエンスストアはほぼ確実にありますし、駅構内ならば飲み物の自動販売機は確実にあります。これらは車内で購入するよりも安い値段で提供されています。私自身、旅行の際、乗車前に飲み物食べ物を購入する習慣になっています。 先日、函館から苫小牧まで、夕方の北斗号に乗車しました。この列車は、車内販売が行われていました。よく見ると、意外と車内販売が売れているのです。もちろん、ほとんどの人が、乗車前に飲み物食べ物を購入しています。しかし、函館~札幌約3時間半の乗車時間では、足りない、欲しいと感じるものも多いようです。特に、アルコール類や豆から淹れるコーヒーは、多量に持ち込みづらいことから、多く売れているようでした。また、客室乗務員と乗客とのコミュニケーションも、乗客にとってある意味、いい思い出として印象付けられるようでした。(ここでは、酔っ払いオヤジが絡んでるなどという、野暮な言い方は止めておきます。)こうして見ると、従来の車内販売についても、列車種別や走行区間によっては、まだ必要性はあると考えられます。 さらに、車内販売という「場」を、地域の文化を発信し堪能してもらう最前線と位置づけ、今までとは異なるコンセプトとスキームで運営するという方法もあると思います。 近年、地方私鉄で増えているアテンダントが、今申し上げた新しい車内販売の形態に近いと考えます。 例えば秋田内陸縦貫鉄道では、沿線の商工会が雇用したアテンダントを列車に乗車させ、沿線案内を行うとともに、バター餅など沿線の特産品を販売しています。列車で通り過ぎる乗客にも沿線をしっかりPRできれば、次来るときは降りてみよう、という気にさせることができます。 オホーツク号においても、旭川又は上川あたりから網走まで区間を分けて、地域で運営し雇用したアテンダントを乗車させれば、鉄道だけでなく地域全体に、新しい付加価値を加えることができると思います。 ただしJRの場合、車内で食品を販売することについて、非常に厳しい制約を課していると聞いています。車内販売に関するクレームが、販売会社ではなくJRに行ってしまうからだそうです。食堂車に比べれば、実現のハードルは低いと思うのですが… オホーツク号の車販準備室です。オープンカウンターになっています。
2015/05/23
また、書き込みが遅くなってしまいました。ごめんなさい。去 る1月8日、日高本線厚賀~大狩部間の海岸線に面する線路において、護岸内側の盛土が高波により流出し、車両の運行が困難な状態となりました。現在、日高本線は苫小牧~鵡川間30.5kmで折り返し運転、鵡川~様似間116kmの区間で、バス代行輸送を行っています。http://www.jrhokkaido.co.jp/press/2015/150113-3.pdf 復旧に関して、JR北海道は4月末にようやく災害対策に必要な工費試算と工期を発表しました。それによると、必要な経費として57億円と28億円の2つの試算を出した上で、完成までに約4年の年月がかかるとしました。 さらに、この費用負担についてJR北海道は、事前準備等に要する1億円を除き、捻出できないとの考えを示しました。http://www.jrhokkaido.co.jp/press/2015/150428-1.pdf 長期にわたるバス代行輸送では、バスの手配が追い付かず、鵡川以南が全線バス代行に移行した2月28日時点で、鵡川~静内間が4.5往復(列車平日7.5往復)、静内~様似間が4往復(列車7往復)と大幅減となりました。(6月1日からは、鵡川~静内が7往復+区間運転下り1本、静内~様似が5.5往復+区間運転下り1本に増便予定。)http://www.jrhokkaido.co.jp/press/2015/150514-3.pdf 日高本線不通については、代行バスの本数や時刻のため、高校生の通学に影響が及んでいます。また、復旧費用や復旧期間について、地元自治体から経費負担や長期工事への不安の声が上がっています。http://dd.hokkaido-np.co.jp/news/society/society/1-0128658.html 日高本線には、並行して国道235号線と、日高門別まで高規格道の日高自動車道が並走します。また、都市間バスとして、札幌~静内~浦河間に高速ペガサス号が7往復走るほか、複数の路線が運行されています。 私は、日高本線を、道内で最も「勿体ない」路線だと考えてきました。新千歳空港や札幌市内からの近さ、太平洋を望む風光明媚な沿線風景、馬産地やえりも岬へのアプローチとしての豊富な観光資源、どれを取っても恵まれた、ポテンシャルの高い路線といえます。「ななつ星in九州」のようなクルーズトレインを道内に走らせるとすればうってつけの路線でしょう。 現在、日高本線は普通列車のみの運行です。札幌方面から直通する定期列車はなく、しかも、札幌方面との接続は決して良くありません。これは、国鉄時代末期の合理化により、列車交換設備を整理してしまい、大幅な列車ダイヤの改善や、新しいダイヤを引く余地がなくなったことによるようです。現に、日高本線に復活運転のSLは、一度も運転されていません。 日高本線の活性化は、北海道へ観光客を呼び込み受け止める、仕組みづくりをするための試金石となります。JR北海道にとっても、安全対策への投資だけが安全を担保するのではなく、利用者の増加と鉄道を支える国民、道民の「気持ち」こそが安全を担保すると認識し、日高本線を鉄道利用促進のための重要なコンテンツと捉え直して、復旧へ取り組んでほしいと思います。これは、道や地元自治体も同じであり、負担額のみの議論に終始せず、鉄路をどう生かすか、そのために地域としてどのように取り組むかを、まず考えなければなりません。 もう一点。今回路盤が流出した区間は、以前から度々がけ崩れを起こしてきた区間です。しかし、今回このような大きなダメージを負った遠因は、東日本大震災による海岸線の潮流の変化によるものだとも言われています。一時期、国の災害復旧予算が、被災地と遠く離れた場所で使われることに、大きな批判が出ました。私は、国土復興の一環として、支援のスキームはどうであれ、日高本線の復旧に対し、国の負担はあって然りだと思います。
2015/05/23
3月18日の未明、陸別にある名古屋大学の観測所で、低緯度オーロラが観測されました。http://dd.hokkaido-np.co.jp/news/area/doto/1-0113460.html 「オーロラの見える街」陸別でさえも、10年ぶりの観測だそうです。 一度、見てみたい…
2015/03/20
JR北海道は、連続して発生した事故や不祥事に対し、国土交通大臣が行った事業改善命令・監督命令に基づき、会社が行う安全対策等に、第三者による監視、助言及び提案を行う組織として、JR北海道再生推進会議を設置しました。 平成26年6月12日に第1回会合が開かれ、これまでに合計5回開催されています。 この会議の中で、会社側が、路線廃止を示唆するとも取れる発言を行ったことから、一部でJR路線の廃止が続くとの報道もなされています。 そもそも、再生会議において、どのような議論がなされてきたのか。会社の受け止め方。そして再生推進会議としての動きは本当にこれでよいのか。議事録から読み解いていきたいと思います。http://www.jrhokkaido.co.jp/corporate/safe/index.html 再生推進会議は、各回以下のテーマで行われました。第1回 安全確保に関する一般的な議論第2回 事業改善命令・監督命令に対する会社の取組みについて第3回 安全投資と修繕に関する5年間計画と、事業改善命令・監督命令に対する会社の取組み(進捗状況等)について第4回 事業改善命令・監督命令に対する会社の取組み(更なる取り組み)についてと、再生推進会議としての意見書策定について第5回 再生会議の提言書(意見書)についてと、会議前夜開催の雪害対策視察について こうして各回のテーマを並べてみますと、まず、JRが策定した取組みの報告と、それに対する意見に費やされている時間が、多いような気がします。その一方で、現在も安全に関わる様々な問題が発生していることから、会議が、通り一遍の報告を聞いて通り一遍の意見を言う場になりはしないか、不安が残ります。第5回に関連して、委員が冬季夜間の除雪作業等を見学したようですが、それだけではなく、会議独自の判断でテーマを絞り込み、自ら現場に飛び込んで、部外者の視点で問題点を考える。第三者機関が真に役割を担うならば、このような思い切った動きが必要だと思います。 例えばコンプライアンスの問題で、精神論とシステム論と両方の意見があり、委員の中でも議論がかみ合っていない印象を受けます。コンプライアンスにとって、精神論もシステム論もどちらも大事であり、両方の視点からどのように進めていくかを具体的に考えるには、とにかく現場に飛び込むしかないと、私は考えます。 次に、安全投資に対する経費の考え方で、安全投資を増やすならば他の部分(例えば乗客サービス)の経費を抑えるべきという意見と、安全対策の名のもとに乗客サービスにしわ寄せが行ってはならないという意見と、大きく2つに分かれていると見て取れます。 この議論の延長線上として、会社側からは、安全対策をすべて実施すると大幅な資金ショートが発生する(第3回)、そして輸送密度2,000人未満の線区について、江差線木古内~江差間の廃止を例に出しながら、廃止を示唆したとも取れる発言(第4回)を行っています。 JR北海道が現在の事態に至った背景には、「国鉄改革」のスキームのひとつである、経営安定基金の運用益による事業赤字の穴埋めが、早期に行き詰ったにもかかわらず、それを続けてきたことにあります。国によって作られる金利のパーセンテージで、会社の収支はいくらでも変わってしまう。このことが、会社としての安全投資を抑制させる方向に向かわせたのではないでしょうか。加えて、公共側の投資が、高速道や高規格道をはじめとする道路整備に偏ったため、極端に道路交通が優遇される事態となり、これもJR北海道を経営的に追い詰めています。 委員の中には、経営安定基金のことについて発言している方もいます(第3回)。一方で、路線ごとの収支の開示を求め、廃止路線の取捨選択を求めるとも取れる発言も見られます(第3回)。鉄道が利用される、乗客が増えることも、実は鉄道の安全を守る大きな要素となります。 すべての投資を会社に押し付け、安全と利便性がバーターと捉えられては、鉄道が「良くなった」という実感を、利用者は得られないでしょう。その先にあるのは、北海道の鉄道の更なる「先細り」です。観光や6次産業による地域活性化、そしてコンパクトシティ化を考えると、ネットワークとしての道内鉄道の維持は絶対必要です。収支計算の前提でいくらでも変わる、収支係数による路線単位の存廃の議論は、もう終止符を打たればなりません。 三点目に、委員の意見に対するJR北海道の答弁です。全体的に、自身の会社の危機を他人事のように考えている、と受け止められかねない印象です。それは、安全投資を試算通り行うと資金ショートするという発言が2回も見られるところから(第2回、第3回)、感じられるのかもしれません。実施前からさじを投げている、あるいは他人に頼る。それはトップの姿勢なのか。会社の体質なのか。それとも「官依存」といわれる北海道民の気質なのか。 私は、JR北海道を取り巻く様々な「仕組み」の問題が、根底にあると考えます。経営安定基金の問題、高速道路網の急速な整備など、いわば「出来レース」をさせられている中で、形だけ民営化、競争といっても、将来への展望は見出せません。一次産品や鉱業の生産など、日本の政治や経済に振り回されてきた北海道の歴史と重ね合わせると、トップの姿勢のみ責めても、根本の解決にはならないでしょう。 第三者委員会として再生推進会議が機能するためには、1 外部の視点で現場に入り、厳しくとも現場が前向きになるアドバイスを行うこと。2 現在の道内鉄道ネットワークは道民・国民の財産であるという認識の下、利用され活用される鉄道を再生する中で、安全性をしっかり確保する方向性での提言を行うこと。3 JR北海道を取り巻く「仕組み」に光を当て、再生と発展が可能な会社、そして鉄道の新たな運営システムを提言すること。この3点がが必要と考えます。 再生推進会議が打ち出す提言が、経営理念の順番を変えさせただけで終わることの無いように、取り組んでほしいと思います。
2015/03/20
以前、このブログで、地方におけるレンタカーと公共交通との利便性や経済性の比較を行い、その結果を踏まえた上で、なお公共交通が持つ役割や魅力を考えてみました。今回は、都市部における交通を考えた時に、レンタカーと公共交通をどのように捉えるか、考えてみたいと思います。 現在、私の生活圏である東京、そしてその周辺では、カーシェアリングというシステムが普及しつつあります。これは、時間貸し駐車場の一角に貸出し用の自動車を停めておき、会員登録した利用者が、事前にネット予約した自動車を、電子キーを兼ねた会員証で開錠して利用するもので、レンタカーの一形態と見ることができます。(使用する自動車も、いわゆる「わ」ナンバーで、レンタ カーと同じ仲間です。) 例えば、カーシェアリング最大手のこの会社。自社で展開する駐車場にカーシェアリング車両を置くことで、より利用者に身近に、貸出し車両を提供することができるようになりました。わざわざレンタカーの営業所まで行かなくても、近所の駐車場に行けば自動車が借りられる。確かに便利に見えます。タイムズカープラスhttp://plus.timescar.jp/ また、カーシェアリングを都市交通の一端として位置づけ、自治体と自動車メーカーが、国(国土交通省)の支援を受け、実証実験という形で行われているカーシェアリングがあります。チョイモビhttp://www.choi-mobi.com/ 利用者は、2人乗りで簡易な屋根しかついていない、超小型の電気自動車をシェアします。370万人の人口を抱える都市の都心部において、数キロの移動を行うことを前提に考えられたシステムだとのことです。今まで、徒歩、自転車あるいは公共交通が担っていた都市部の移動が、カーシェアリングされた超小型電気自動車に取って代わられるのでしょうか。 都市部におけるカーシェアリングを考える時、2つの視点が必要になります。ひとつは、自動車の所有をやめ共有にすることによるコスト削減。もう一点は、共有自動車が身近で借りられることによる、都市交通の利便性向上とコスト削減です。 自動車の共有化によって、特に自動車の使用頻度が少ない利用者にとっては、自動車の所有による維持費分のコストを、大きく削減できるでしょう。 都市交通の視点で見ると、公共交通ネットワークが整備されていない、あるいは衰退している地域において、カーシェアリングを整備することにより、公共交通を維持するよりも安いコストで、交通手段を確保できると期待されている節があります。例えば、コミュニティバス1台に乗客1人よりも、チョイモビに2人乗ってもらったほうが、はるかに安いコストで運営できる。そう思われているのでしょう。 私は、都市部における移動手段の選択肢に、カーシェアリングはあっていいと思います。しかし、都市が空間的にどんどん膨張していく。それに伴い道路が際限なく整備され維持されている。そんな時代が終わりを告げ、コンパクトシティ化が必須となった現代においては、都市を構成する施設(企業、商業、官公庁等)、居住地、これらを結ぶ公共交通の配置が、一体的かつ計画的に整備されなければなりません。すなわち、公共交通が一定程度成り立つような都市施設の配置が必要であり、カーシェアリングが公共交通に取って代わるという考え方は、交通確保のコストが仮に減ったとしても、別の部分のコスト(道路をはじめ都市機能の維持コスト)が大きくなる危険性をはらんでいます。
2015/03/15
1月末に、陸別町を訪問された方から、写真を提供していただきました。 旧ふるさと銀河線の分線~川上間については、動態保存鉄道としての復活が予定され、線路や橋梁がそのまま残されていました。しかし、陸別町の方針変更により復活は断念、線路の撤去に続いて橋梁の撤去が始まっています。 実際に経費を負担する地元自治体の決断ですので、最終的には尊重するべきことだと思います。しかし、残念でなりません。 鉄道に限らず、今あるものを残すには、それを未来に向かって活かす視点が不可欠です。CR車両のような実際の鉄道車両の乗り入れが難しくても、異なる展開での活用方法が考えられなかったのか。秋田県の旧小坂鉄道の動きを見ると、陸別でももう一工夫できなかったのか。それは、多少なりとも銀河線沿線活性化に関わった自分自身に対しても、大きな反省点として感じているところです。 パナソニック エボルタチャレンジ2014 http://panasonic.jp/battery/drycell/evolta/challenge/2014/ 今週末、陸別では恒例のしばれフェスティバルが開催されます。協賛行事として、りくべつ鉄道の臨時運行も行われます。 第34回しばれフェスティバル http://www10.ocn.ne.jp/~shibare/index.html しばれフェスティバル臨時運行 http://www10.ocn.ne.jp/~shibare/img/rikubetsutetudou34.pdf あと3か月で、平成27年度の定期運行が始まります。小さな町の大きな夢と希望を持つプロジェクトとして始まった、ふるさと銀河線りくべつ鉄道。8年目の運行に突入するりくべつ鉄道が、いかに新たな町の魅力を発信していくか。チャレンジは続きます。
2015/02/05
昨年12月20日に発生した、東京駅100周年記念Suica発売を巡る混乱は、鉄道会社と顧客との関係を考える、格好の機会と材料を提供してくれたと考えます。 報道から、東京駅100周年記念Suica発売の状況をまとめると、以下のようになります。 ・記念Suicaは12月20日午前8時から、東京駅窓口において1万5千枚限定で直接販売することとした。 ・前日から並んでの購入は禁止されていたが、実際には多数の購入希望者が、泊まり込みで並んでいた。 ・発売当日、発売開始時間を繰り上げたにもかかわらず長蛇の列ができ、そこに横入りなどが入り混乱に拍車がかかった。 ・購入希望者が駅前にあふれ、警官が整理に出動し、これ以上の発売継続は危険と判断したJR東日本は、午前9時40分に発売を中止した。 ・発売中止後の対応について、駅から十分な説明がされなかったこともあいまって、購入希望者から駅員に対して多くの罵声が浴びせられた。 ・後日、JR東日本は、インターネット及び郵便による申し込みにより、希望者全員が購入できる措置を取った。 http://www.jreast.co.jp/suica100/ ここからは私の勝手な推測ですが、今までのJR各社の経営に対する姿勢を考えると、大きく誤った推測ではないと考えています。 ・JR東日本は、東京駅100周年を、企業イメージの向上と東京駅及びその周辺の集客力向上に結び付けたかった。 ・よって、東京駅100周年に関するマスコミへの露出を、極力増やそうと考えた。実際、12月20日前後にマスコミで取り上げられた東京駅100周年の話題は、相当な回数に上る。 ・記念Suicaに関しても、限定品とすることで、Suica販売による利益以上に、いわば客寄せ的な位置づけで企画したのではないか。 ・記念Suicaを購入する客は、東京駅100年を盛り上げるためのキャストであり、踊ってもらって話題づくりに貢献してくれればOK。そこに転売目的の輩がいても、それはそれで話題作りのひとつとしか捉えていなかった。 私は以前から、時として利用客を「マス」と捉え、それをコントロールせざるを得ない状況が発生する公共交通事業者こそ、ひとりひとりの利用者を大切にする「顧客主義」の考え方が必要だと考えていました。分割民営、一部の会社は完全民営化を果たしたJR各社が、国鉄末期と比べ官僚的体質がかえって強まっているように、私は感じています。それは、国民が国鉄改革に最も期待していたこと、すなわち私たち利用者を大切にしてほしいという願いが、忘れ去られているからではないかと思うのです。 日本の歴史における東京駅100年の持つ意味、あるいは重みは、JR関係者が思う以上にあると考えられます。日本国民のアイデンティティとしての国鉄・JR路線網。その中心に位置する東京駅。そこには、自分が日本の歴史とともに生きてきたこととオーバーラップする何かが、存在すると思うのです。 東京駅に思い入れを持つ人たちは、ほぼ例外なくJR利用者です。顔のわからない「その他大勢」という対応ではなく、手間はかかるが、ひとりひとり顔の見える関係を構築する努力を怠らなければ、それは必ず、企業価値の向上という形で還元されることでしょう。 記念Suicaは、予約による希望者全員販売に変更した結果、約143万件の申し込み、申し込み枚数は316万枚に達しています。いろいろな見方があると思いますが、私は、JR東日本が顧客の立場に立った丁寧な対応に転換した結果だと捉えています。「顧客主義」の視点から、今回の騒動の教訓を汲み取ってもらうことを期待しています。 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150204-00000029-asahi-soci
2015/02/04
皆様、新年あけましてあめでとうございます。本年もよろしくお願い申し上げます。 さて、9月以降更新が途絶えてしまい、申し訳なく思っております。言い訳になりますが、本業とプライベートの関係で、ブログを書く時間がますます減ってきていて、公共交通問題の発信以前に、情報収集さえままならない状況が続いています。 また、情報発信手段の主流が、ツイッターやフェイスブックに移ってしまった現在、ブログを続ける意味があるのかという指摘もあります。 しかし、ブログはブログなりの良さがあると私は考えます。それは、自分自身で調べ、考え、その結果を一定の長さの文書で表現できるからです。相手に伝えるために、文書は短く簡潔に。それは大事なことですが、相手を攻撃する目的で、必要以上に相手の感情を悪くさせることのみに傾倒したセンテンスで綴られた短文は、その主張がどうであれ、不愉快に感じてしまいます。駄文であっても、ほんのちょっとでも未来に向かって意義のある言葉を綴りたい。それが私の偽らざる願いです。 鉄道をはじめとする公共交通、特に北海道の状況については、触れなければならないことはたくさんあります。今年も、どこまで対応できるかわかりませんが、自分なりに考えたことを、自分の言葉で発信していきたいと思います。今後もお付き合いください。よろしくお願いいたします。
2015/01/05
最近、レンタカーが非常に安くなった気がします。 少し前ですと、小型車1台借りると1日1万円前後で、これにガソリン代がかかってくる。少しでもこすったりすると非常に厄介、といったイメージがありました。 それが、いわゆる格安系レンタカー会社で、1000ccクラスの車両ならば、オフシーズンの北海道で1日4千円台で借りられてしまいます。 例えば、女満別空港から陸別を目指すとしましょう。空港から北見までのバスが1,000円、北見から陸別までのバスが1,550円ですので、単純に往復するだけで、レンタカー代を超えてしまいます。 もうひとつ注目されるのは、レンタカー車両の燃費の良さです。道内は広く、車両のゴーストップが少ないことから、本州よりも燃費が良いといわれていますが、1000ccクラスの車両ならば、軽くリッター20kmを超える燃費で走ります。もちろん、ハイブリッド車ではありません。 おまけにレンタカーならば、貸出と返却の場所・時間以外に拘束されるものはありません。車道がある限り、どこでも行くことができます。 このままでは、観光における公共交通のシェアが、ますます減るのではないかと危惧する人もいます。私も、レンタカー格安化の恩恵を受けながら、公共交通に対する危機意識を持っています。 それでは、観光という領域で、公共交通が持つ魅力には、どのようなものがあるのでしょうか。 一点目はは、公共交通の場合、ルート、時刻に制約が在るゆえに、目的地までの行程、そして目的地における印象が、より強くなることにあると考えます。 もちろん、個々の事例がすべてそのようにあてはまるとは限りませんが、クルマは数多くの場所を回れることが、かえって個々の場所の印象を薄くしているように思えます。 二点目は、公共交通の場合、移動時間や移動空間そのものを、楽しむことができる可能性があることです。特別な列車でなくても、地元の人たちが乗る普通列車や路線バスの中にさえ、日常とは異なる異次元な空間を体験できることを、旅慣れた人たちは知っています。クルマは、自家用であれレンタカーであれ、車内にどこか自宅の雰囲気を持ち、どこへ行ってもその延長線上にあるという感覚が抜けません。 これらは、観念的な指摘に過ぎないとの批判もあるでしょう。しかし、人が所要以外で旅立つ、旅を楽しむ動機づけは、経済的な側面だけではないはずです。 三点目、これは実利的といえますが、自分で運転不要、飲んでも大丈夫というメリットがあります。飲酒運転への批判、取り締まりがかつてないほど高まっている中で、公共交通の存在が、免許を持っていない人たちだけのものではなくなってきていることも、紛れもない事実です。また、飲まないにしても、自身の体調、運転技術、目的地までの気象条件等から、気軽に公共交通を選択できる体制は、モータリゼーションが究極まで進んだ今だからこそ、必要なことです。 このように考えると、レンタカーにない魅力によって、観光目的にける公共交通が果たす役割は、まだまだ高いと考えてよいでしょう。もちろん、レンタカーより安い移動コストであれば、それに越したことはありません。 公共交通が、移動コスト以外の魅力をブラッシュアップしていくとすれば、「連携」がキーワードになるでしょう。公共交通どうしの接続改善、二次アクセスの整備、運賃体系の統一等々。そして公共交通と地域資源との連携も不可欠です。 観光を起点に地域活性化を図る際、最近は「道の駅」がその中心に据えられることが多くなっています。街道を走るクルマを道の駅に呼び込む。それも悪くはないですが、道の駅のその先にある地域の魅力。そこへ足を運ばせ経済効果を得る。そのためのツールとして公共交通は欠かせませんし、地域と公共交通との連携も大事だと思うのです。
2014/09/13
こんばんは。 以前、十勝バスが「日帰りバスパック」という既存路線バスを活用したパックツアーを展開していることを、ご紹介しました。 この動きが、他のバス会社、タクシー会社を巻き込んで、大きくなったようです。 十勝のバス・タクシー乗り継ぎ観光 http://www.travel-tokachi.jp/ 既存の資源(バス路線、タクシー)を活用したものですので、バスならば時刻の制約がありますし、タクシーならば割高感があるのは否めません。しかし、商品化して提供を始めたことに意義があります。 今後は、商品販売で得られた顧客ニーズを、どのようにフィードバックしていくかが課題となるでしょう。 個人的には、この2コースがおすすめです。 ナイタイ高原 http://www.travel-tokachi.jp/plan/kamishihoro002.html 神田日勝記念美術館、然別湖 http://www.travel-tokachi.jp/plan/shikaoi001.html おっと、これを忘れてはいけません。 りくべつ鉄道運転体験 http://www.travel-tokachi.jp/plan/rikubetsu001.html
2014/09/12
こんばんは。 去る5月8日、日本創成会議という有識者による政策発信組織から、日本の将来人口予測に対し、衝撃的な試算結果が発表されました。日本創成会議http://www.policycouncil.jp/ これは、同会議の人口減少問題検討分科会が取りまとめた提言「ストップ少子化・地方元気戦略」の中で触れられているものです。 この提言によりますと、国がまとめた将来推計人口のデータを基に、地方から都市部への人口流入が、今後も現在同様のペースで進むと仮定し、子供を産む20~30歳代の女性(若年女性)の数がどのように変化するかを予測しました。その結果、2040年に2010年と比較して若年女性の数が半分以下に減る(消滅可能性都市)が、全国の自治体の約半数(896)に上り、さらに523の自治体が、人口1万人を切るという予測結果が出されたのです。http://www.policycouncil.jp/pdf/prop03/prop03.pdfhttp://www.policycouncil.jp/pdf/prop03/prop03_1.pdf 「半分の市町村が消滅」という部分がクローズアップされ、相当ショッキングな受け止め方をされたり、逆に過剰な推計ではないかという反発も聞こえてきます。この推計は、子供を産むことができる世代の女性の数に着目し、その増減が子供の数、すなわち将来の人口増減につながるという考え方に基づいて、導き出されています。人口が社会の活力を規定するという前提も含めて、推計の考え方自体、極めて真っ当なものであると考えます。 推計の分析結果をごく簡単にまとめますと、若年女性が減る地域は人口が極端に減る。地方は東京などの大都市圏に若年女性を奪われていくので、さらなる過疎化が進む。したがって、落ち込んだ出生率を国民の「希望出生率」まで上げる施策、地方に若年女性をはじめとした人口が戻る施策、女性を人材活用していく施策、この3つが必要だと説いています。 出生率は、例えそれが上がったとしても、直ちに人口増に結びつくものではありません。死亡率との関係もあり、その効果が表れるには時間がかかります。しかし、2040年度を当面の最終目標に設定し、少しずつでも着実に出生率を上げていけば、人口にも目に見える効果が現れるでしょう。 この提言で問題としたいのは、地方から大都市への人口流入(東京一極集中)が続いていることに対する現状分析と、その対策についてです。提言では若者の大都市への流入と、大都市における子育てのしにくさ(保育園の入所待ち問題など)が、出生率の低下を招いていると説明しています。しかし、ネット環境の発達等による地域間の情報格差が少なくなる中で、子育てしにくい東京を、地方の若者はなぜ目指すのか。地方の雇用の受け皿だけの問題なのか。生活と雇用は密接に絡む問題ですが、戦後60数年間、人口の大都市流入が止まらない中で、今までと同じような対策だけでいいのか、という疑問は残ります。「地方に雇用を」のかけ声だけでは、地方への補助金で潤う勢力のプロパガンダだとの反発も生むでしょう。 若者を、そして40代を、地方で生活しようという気にさせるには、雇用の場、情報網の発達のほか、リアルな交流人口の増加が必要ではないかと考えます。地域の発展には、外からの知識的文化的な刺激、それも人と人どうしが直接出会うことで得られる刺激が不可欠です。また、交流人口の増加自体が、実体経済にも好影響を及ぼします。シビルミニマムの確保にとどまらない、交流人口を増やすツールとしての公共交通が、地方を元気にする。決して言い過ぎではないと思うのですが、いかがでしょうか。 今回の提言は、日本の今後を、足を地につけて議論していくために、良質な素材を提供してくれたと捉えています。
2014/09/01
こんばんは。 道内某駅に貼ってあったポスターです。 JR北海道の運行体制も、少しずつ元に戻りつつあります。 最高速度を落とす等の対策は、やむを得ないところでしょう。 http://www.jrhokkaido.co.jp/press/2014/140606-1.pdf http://www.jrhokkaido.co.jp/press/2014/140704-1.pdf 一方で、「事故」が根絶されたわけではありません。 http://www.jrhokkaido.co.jp/press/2014/140623-1.pdf 安全、安心に乗ることができる公共交通機関に戻ってほしい。切にそう願います。
2014/08/25
去る5月9日、JR北海道の2014年3月期決算が発表されました。http://www.hokkaido-np.co.jp/news/economic/538298.htmlhttp://www.jrhokkaido.co.jp/press/2014/140509-1.pdf これによると、鉄道事業は過去2番目に少ない鉄道運輸収入により、営業損失額が拡大したものの、関連会社の収益増、そして経営安定基金の運用益の増加で、何と会社発足以来、過去最高益を記録しました。 ご存知の通り、JR北海道は、一連の事故と不祥事により、稼ぎ頭の特急列車の本数が減り、所要時間も全体的に長くなっています。何よりも、失われた信頼は計り知れないものがあります。それを考えると、鉄道運輸収入の落ち込みは当然といえますが(それでもJR発足初年度のほうが低かった…)、それを十分補える収入があったからこそ、51億円もの当期純利益(連結)が出たわけです。 札幌駅にあるJRタワーの収入は、相変わらず好調のようです。しかしそれ以上に大きいのは、経営安定基金の運用益が大幅アップしたことと、北海道新幹線工事関連の売り上げが伸びたことが、非常に大きかったようです。 経営安定基金の運用益は、その時の景気や金利に左右されます。低金利が長年続いてきた中で、皮肉なことに経営安定基金は、経営の不安定化をもたらす要素となってしまいました。 ただし、運用益5%という数字も、市中金利からはかけ離れているわけで、政策的な要素が非常に大きいものです。 北海道新幹線建設も、多分に政策的なものです。今回の問題が発生したから、金利を上げたり発注を多くしたとまでは言いませんが。 国鉄改革を何としても「成功」させるためのスキームの一つが、3島会社の経営安定基金による支援だったわけですが、明らかに限界に来ていると思います。道路が、新直轄道路など収支が曖昧な形での整備が進められる中で、基本的に頭打ち(にさせられている)収入で、安全面も含めた費用をすべて賄えというのは、非合理なことです。 JR北海道を、安全、安定した利便性の高い鉄道に変えていくためにも、安定した収入、費用の分担を考えなければならないところです。
2014/05/25
福島県と新潟県を結ぶJR只見線は、平成23年に発生した集中豪雨により、会津若松~小出間135.2kmの内、会津川口~只見間27.6kmが不通のままです。 運営主体であるJR東日本は、同区間の復旧について正式に態度を表明しておらず、このままでは廃止になるのではという危機感が、地元を中心に上がっています。 只見線は、田園地帯から山深い渓谷、広いダム湖に至るまで、極めて風光明美な路線として有名で、鉄道ファンのみならず、広く人気のある観光路線です。しかし、国鉄時代、乗客数だけならば赤字ローカル線の廃止対象になっていたはずだったのが、並行する国道の未整備(冬季閉鎖)のために対象外となった、乗客数の少ない路線であることも事実です。 只見線には、集中豪雨による被害に加え、原発問題が横たわっていて、非常に厳しい状況があります。一方で、只見線を福島の観光の起爆剤にできるという可能性も秘めています。 そこで、福島県が行った施策は、只見線復旧に向けた寄付を募るというものでした。http://www.pref.fukushima.lg.jp/sec/16005d/tadamiline-donation-main.html そして今年度から新たに、只見線応援団の募集も開始しました。https://www.pref.fukushima.lg.jp/sec/16005d/tadamiline-ouendan.html 地方鉄道の存続は、地元の盛り上がりも当然必要ですが、外からの共感者をいかに取り込むかが重要です。それは、三陸鉄道の例を見れば明らかでしょう。クルマ社会が極限まで来た日本で、地方鉄道が走る価値を見出すとすれば、それは交流人口の増加であり、外部経済の流入促進でしょう。それは裏を返せば、地域の人たちが自分たちの地域の良さを発見し、地域を愛し動かす力につながっていきます。 福島県のこの取り組みには、県内自治体だけでなく、新潟県側も協力をしています。http://www.pref.niigata.lg.jp/koutsuseisaku/1356776527641.htmlhttp://www.city.uonuma.niigata.jp/modules/infotopic/index.php?content_id=1193 また、利用促進の取り組みも始まっています。http://www.yurutetsucp.com/ ここは首都圏から近くにもかかわらず、こんなところがあるのか!と驚く場所です。私も昔から「お世話になった」路線です。寄付金だけで復旧費用は賄えませんが、地元と関係者の「本気」を示すのには、最適なツールでしょう。 1日も早い復旧を願っています。
2014/05/25
十勝バス。道内帯広市を中心に、十勝地方に幅広く路線を広げる、間もなく創業100年を迎えるバス会社です。 札幌~帯広の都市間高速バス「ポテトライナー」、帯広空港連絡バスや、旧国鉄広尾線、士幌線の代替バス、そしてふるさと銀河線代替バス(帯広~陸別)などを運行しています。 銀河線沿線に行くことが多い私は、手元に回数券をストックしております(笑) この会社の四代目にあたる現社長が、なかなかのやり手という話は聞いていました。ところが最近になって、現社長の「サクセスストーリー」がミュージカルになったり、昨日は遂に民放テレビのバラエティー番組にまで取り上げられることとなりました。 ミュージカル KACHI BUShttp://www.duncan.co.jp/web/stage/kachibus/ 奇跡体験!アンビリバボーhttp://www.fujitv.co.jp/unb/contents/140306_2.html 最近の十勝バスを見ていると、確かに意欲的な取り組みを多く見かけます。既存バス路線を活用する「日帰りバスパック」、雨天時増発バス「あめバス」、「とかち2day乗放きっぷ」などの企画乗車券等、まめに細かくサービスの隙間を埋めようとしています。顧客を大事にしようとする姿勢に、非常に好感が持てます。 もちろん、すべてのサービスに満足しているわけではありません。ふるさと銀河線代替バスなど郊外線とJRとの接続、土曜休日運休バスの柔軟な運行等。やや疑問が残る接客態度の運転士もいます。ただ、トップをはじめ社内全体に前向きな姿勢が浸透してきているところが強みですし、将来性も感じます。 そして、来る3月10日から、会員制ポイントカードシステムを導入することとなりました。http://www.tokachibus.jp/2014/03/06/3784/ 十勝バスのこれからの動きに、注目です。
2014/03/07
滋賀県の信楽高原鐵道が、台風による橋脚流出の復旧費が捻出できず、廃止危機にさらされているという話題を、以前お伝えしました。 信楽高原鐵道は、昨年4月に上下分離方式に移行したばかりで、鉄道軌道整備法に基づく災害復旧事業費補助制度を活用すると、国4分の1、地方4分の1の補助割合となり、上下分離の「下」を所有する地元甲賀市は、単純合計で4分の3を負担しなければならないという事態になってしまいました。 甲賀市と滋賀県は当初、災害復旧の国庫負担を、道路や河川と同様に3分の2へ引き上げるよう、国に対して求めていました。しかし国はこれを拒否、代わりに既存の枠組みの中で努力すると回答していました。 今回決まった支援の枠組みを簡単に説明すると、鉄道軌道整備法に基づく災害復旧事業費補助制度を活用した上で、残りの地方負担部分には、従来から道路や河川などを対象として利用されてきた、災害復旧事業債を活用することとなりました。上下分離で運営する鉄道も、新たに災害復旧事業債の対象に加えることとなったようです。 地方自治体が災害復旧事業債を起債すると、起債額の内95%が地方交付税交付金により措置され、起債部分の地方側の負担は、5%まで圧縮されます。https://www.mlit.go.jp/river/hourei_tsutatsu/bousai/saigai/hukkyuu/ppt.pdf#search='%E7%81%BD%E5%AE%B3%E5%BE%A9%E6%97%A7%E4%BA%8B%E6%A5%AD%E5%82%B5' これらの制度の活用により、甲賀市の負担は2千万円から最大で1億円までの範囲で納まると見られていて、市財政の負担に耐えうるとの判断に至ったようです。http://www.kyoto-np.co.jp/politics/article/20131225000143http://response.jp/article/2014/01/17/215112.html まだまだ改善の余地はあるにせよ、災害で廃線の危機に瀕した鉄道を救う手段が見出せたことは、今後同様の事態が発生した際の、大きな援軍となることでしょう。 運行再開へ尽力されている関係者の皆様へ、敬意を表したいと思います。
2014/02/17
こんばんは。 先週末、そして今週末と、日本列島は大雪に見舞われています。 特に2月14日から15日にかけての積雪で、関東地方及びその周辺を中心に、大きな被害が出ています。 今回の大雪は、建物等への被害もさることながら、交通機関への打撃が非常に大きなものとなっています。http://www.sannichi.co.jp/local/news/2014/02/17/4.html トラックが道路に立ち往生し、それが食料品の配送を遅らせ、スーパーやコンビニエンスストアでの品不足を招いています。http://www.sannichi.co.jp/local/news/2014/02/17/3.html 鉄道に関しても、JR中央本線が、2月17日夜の段階で四方津~甲府間、小淵沢~茅野間が運転できず、未だ特急を各駅に止めたままの状態になっているほか、JR小海線が全区間、JR身延線も下部温泉~甲府間が運休。高速バスも全面運休で、甲府は事実上孤立状態です。 他にも、JR上越線等、多数区間が運休のままです。 かつて経験のなかった大雪だったと思います。我が家でも、雪の重みで物置の屋根が抜けそうになりました。15日朝の段階で、海に比較的近い自宅付近で、少なく見積もっても50cmの積雪はあったと思います。 天災は、避けられない側面を持っています。ですが、事前の準備で被害を軽くすることはできます。群馬県の碓氷バイパスをはじめ、各地の幹線道路で渋滞の長蛇の列ができたのは、雪道装備をしていない自動車のトラブルが引き金だったとも言われています。ホームセンターからは、スコップが消えてしまいました。せめて1本くらい家に常備して置くべきものでしょう。 そして道内でも、今日は大荒れとなっていて、明日にかけて悪天候が続く模様です。http://www.hokkaido-np.co.jp/news/donai/521690.htmlhttp://www.hokkaido-np.co.jp/news/donai/521741.html 「ホワイトアウト」という言葉も聞こえてきます。昨年の惨事も思い出されます。くれぐれもご用心を!http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140217-00000008-jct-soci
2014/02/17
今年最初のご紹介は、「北海道交通ネットワーク総合ビジョン改訂案 原案」へのパブリックコメントについてです。http://www.pref.hokkaido.lg.jp/ss/stk/H25_koutu-vision-kaitei_pubcomme.htm このビジョンは、北海道全体の交通基本計画とも言える位置づけのものと考えられます。 このビジョン自体は、平成21年3月に、道庁から発表されています。今回は、北海道新幹線札幌延伸決定などの状況変化を受けて、改定を行うものです。 内容は、以下のリンクからご覧いただききたいと思います。 概要版http://www.pref.hokkaido.lg.jp/ss/stk/pubcomme_genan_gaiyo.pdf 第1部基本構想編http://www.pref.hokkaido.lg.jp/ss/stk/pubcomme_genan_1.pdf 第2部施策編http://www.pref.hokkaido.lg.jp/ss/stk/pubcomme_genan_2.pdf パブリックコメント締め切りが1月15日で、もう時間がありません。ご紹介が遅れたこと、本当に申し訳ありません。 意見を道庁に提出するかはともかく、このビジョンの内容は、ぜひとも多くの人に目を通して欲しいと思います。 私の個人的な感想を、ごく簡単にまとめると、以下のようになります。・公共交通活性化への取り組みが中途半端。道内の交通シェアが自家用車でほとんどを占められている現状を踏まえつつ、このままでいいのか、公共交通へのシフトをどのように進めるかが曖昧。・特に鉄道への触れ方が弱い。今まで同様、道庁が逃げて済む問題ではない。経営の特に厳しいい一部JR線の上下分離による維持を考えるべきではないか。国は頑張るところを助ける姿勢。道の財政負担を過剰に恐れてはならない。・モーダルシフトの視点から、鉄道貨物輸送の問題にも関与が必要。安全性、利便性の確保に全力を。・まちづくりと公共交通の連携に関して触れていないのも問題。広い道内だからこそ、コンパクトシティへの転換と、まちを結ぶ公共交通の整備が必要。・北海道新幹線に浮かれてはならない。二次交通の整備、特に並行在来線の取り扱いについては、地元市町村の意向はもちろんのこと、鉄道ネットワークの広域性、人を呼ぶ力を十分考慮に入れた判断をすること。
2014/01/14
だいぶ遅くなりましたが、本年もよろしくお願いいたします。 2013年は、いろいろと考えさせられる年でした。なかなか進まない三陸地域の鉄道復興(三陸鉄道の奮闘は心強いですが)、JR北海道にまつわる数々の不祥事、そして全国のローカル鉄道事業者、バス事業者の苦闘…鉄道、バスにこだわる必要はない。そんな意見も聞こえてきます。しかし、鉄道が、バスが衰退する地域に、地域再生の機運は訪れていないとも言えます。地域活性化に公共交通が本当に役立っているのか。地域交通において自動車が圧倒的なシェアを占める中で、運行経費と比べて公共交通の存在価値はあるのか。そんな声も根強くあります。私のスタンスは、せっかくあるもの(公共交通)は有効に使おうよ。そして公共交通(特に鉄道)には、人を呼び集める力があるんだよ。この部分を今年も強調していきたいと思っています。 さて、このブログの運営に関してですが、年を追うごとにブログに書き込む時間が取れなくなってきています。書き込みが特定日に集中してしまうのは、そのためです。タイムリーな話題に反応することもできなくなっています。アクセス数を考えても、このブログの見直し時期に来ているのかなと考えています。一方で、このブログは自分の頭の中を整理することに役立っています。駄文を人前に晒すことで、文章の上達までは行かなくても、多少考えて書く癖をつけることには貢献しているのかなあとも感じています。さあ、どうしましょうか… 今年は、このブログの運営についても考えながら、時間の許す限り書き込んでいきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。 何の脈絡もなく、復元足寄駅舎を…
2014/01/14
最近、面白い記事を2本見つけました。 「重文388件が所在未確認」 ネット出品 家宝意識薄くhttp://sankei.jp.msn.com/life/news/131208/trd13120812340008-n1.htm 個人所有の重要文化財約800点のうち半数近くの所在が不明になっていることが、文化庁の調べで判明しました。所有者が代替わりし、家宝を末代まで引き継ぐという意識が薄れたため、文化財の保管がおろそかになったり、安易に売却しようとする動きもあるとのことです。立命館大学「ゲーム資料現物寄付」のページは、なぜ炎上してしまったかhttp://bylines.news.yahoo.co.jp/inoueakito/20131125-00030100/ ゲームソフトのアーカイブ作成を行ってきた立命館大学ゲーム研究センターに、テレビ番組での事業紹介をきっかけとして、大量のゲームソフトが送られてくるようになりました。大学としては、着払いの配送料、保管場所等の問題で困る事態が発生したため、センターのホームページに、現物寄付の際のルール(お願い)を掲載しました。ところが、そのホームページの内容に対する批判が殺到しました。 特に、送料を寄贈者が負担するようにと書いたことが、センター側があたかもタダで大量のゲームソフトを独り占めするという印象を与えてしまったようで、ホームページはいわゆる「炎上」状態となってしまいました。 重要文化財とゲームソフト、一見全く異なるジャンルですが、後世に伝えていく大切な「遺産」という点に、共通項が見えます。 そして、この二つの事件に共通するのは、「遺産の社会化」という課題です。 刀剣、美術品、ゲームソフト。これらはいずれも、その購入者の審美眼と熱い思いから、所有され、大切に保管されてきました。しかし時代の変化、特に少子高齢化の進行は、形ある歴史遺産を個人の思いと負担だけで維持していくことを困難にしています。家に保管する場所がない。保管に必要な環境が整えられない。これらの問題が一気に噴出するのが、相続の際なのではないでしょうか。そうでなくても、引越しとかがあれば、大切な物を手放さざるを得なくなるという事態は、いくらでもあります。 歴史遺産である家宝を継いでいくという個人の意識も必要ですが、それだけでは解決できないのではないでしょうか。 そこで考えていかなければならないのが、「遺産の社会化」です。歴史遺産は皆の財産という発想に立ち、歴史や地域の中での遺産としての位置づけを考え、研究機関、所有者個人や行政に任せきりにせず、市民(地域住民、あるいは当該ジャンルに関心を持つ者どうし)の主体的な関与で維持、活用していく。長期にわたって歴史遺産を伝えていくには、このような仕組みを構築していかなくてはならないのではないかと、私は考えています。 立命館大学の件について、センター側の「お願い」は、研究機関として妥当なことであり、やや言葉が足りなかったのかな、という印象を持っています。寄せられた批判に対応して、センター側も再度、公式見解を発表しています。http://www.rcgs.jp/p/option1.html
2013/12/28
こんばんは。 銀河線代替バスの年末年始運行情報が発表されています。 十勝バスhttp://www.tokachibus.jp/2013/12/11/3669/ 北海道北見バスhttp://www.tokachibus.jp/2013/12/11/3669/ 両社とも、銀河線代替バスの終日運休はありませんが、特に元日など、運行本数が大幅に減っています。また、同じ会社でも他の路線は運休、減便等がありますので、乗車される方はご注意願います。
2013/12/28
SLオホーツク号が最初に走ったのは、2011年でした。それ以前、石北本線内では「SL常紋号」として、復活運転の実績がありましたが、網走から釧網本線内に入り、オホーツク海をバックにSLが走ったのは、36年ぶりでした。http://abashiri.jp/tabinavi/00news/2011/2011-slohotukugou.html 以来、SLは3年連続で運行されてきました。 さて、年に一度、その地域にSLを走らせる意味は、どこにあるのでしょう。年に1回だけのSLなど不要、SLが来たって石北本線の客が増えるわけじゃない、そんな金があるなら普段の列車を増やせ、否鉄道の安全性を上げろ...批判があるのも事実です。 年間通じて定期的にSLが走る。確かにそれは大きな観光資源になります。しかし現実としては難しい。限られた車両を道内全域で走らせる現在の体制では、どんなに多くても年2~3回程度が限度でしょう。 SLオホーツク号の意義を見出すとすれば、SL運行というひとつの目標、あるいは行為に対して、地域の力が結集すること、その力の結集を通じて地域を見直すことにあると思います。 SLの魅力を地域の魅力(見どころ、知りどころ、食べどころ)とつなげる。地域の良さをアピールする。沿線が線的面的に連携する。そのアピールを次の展開につなげる。石北本線そのものの魅力、存在意義を考える機会にもなります。 JRが自らの営業施策として、長期間SLを走らせている路線もあります。そのような地域と比べると、SLが呼ぶ観光客の数自体は少ないかもしれません。しかし「観光」の真の意味...地域住民が誇りと思う事物を自信を持って示す...に立ち返れば、地域住民が地域の良さを感じるいい機会ではないかと思うのです。 来年度、SLオホーツク号は走らないのではないか?という憶測が流れています。JR北海道が不祥事を続けて起こし、SLどころではない、という見方です。JR北海道は今後どうすればいいのかについては、別の機会に譲りますが、SLが地域に導いたムーブメントを絶やさないような工夫を、今度は地域が主体となってレールの上で展開する、そんなことがあってもいいのではないかと考えています。
2013/12/19
北見駅近く、旧ふるさと銀河線検修庫跡地近くに残る旧国鉄の車両群について、SLオホーツク号運転に合わせる形で、6月22日と23日に車内公開を行いました。 今回は、正式にSLオホーツク号歓迎行事の一環として開催された、いわば「公式」の行事です。 SLに負けないくらい多くの来場者が訪れた...というわけにはまいりませんでしたが、乗車だけでない撮影だけでもない、鉄道と地域を多様に感じ取ろうとする方々の来場があり、実施した意義は非常に高かったと考えます。 車内の一般公開については、SLオホーツク号の後も実施され、10月14日(鉄道の日)には、郵便車両の中で映画上映会(内1本は鉄道郵便の取り扱いを記録した極めて貴重なもの)を行うなど、企画面でも少しずつ工夫をしてきました。また、あまりにも汚く今まで手をつけられなかった3両の内部清掃も行い、車内公開範囲の拡大や長期的な利活用への第一歩が踏み出せました。 地元では、これら車両群の認知度が少しずつ上がってきています。ですが、車両を残すことの意味、車両そのものの価値、車両と道内産業史とのつながり、さらにオホーツク地域の現代史への展開と考えていきますと、まだまだ捉え方、伝え方が足りないな、と感じています。また、本物の車両を間近で見られること、メカニック的な興味関心への対応も、これからの課題でしょう。今年は、北見工業大学の方々が多数、お手伝いに来てくださいました。彼らの知力をお借りしながら、新しい展開も考えていきたいです。 旧国鉄車両群は、12月1日に関係者によりシート掛けが行われ、「冬眠」に入りました。
2013/12/19
もうだいぶ経ってしまいましたが、SLオホーツク号関連行事について、ご紹介していきたいと思います。 SLオホーツク号の日程に合わせて、6月22日と23日の両日、「鉄道遺産を巡るセミナーツアー」がSL運行関連行事として開催されました。日帰りコースを2日間開催し、北見駅周辺の保存車両、佐呂間、計呂地の交通公園、温根湯森林鉄道の跡地、常紋トンネル殉職碑などを回るコースを設定しました。 このコースの中に、一見、鉄道と関係なさそうな見学ポイントがありました。 国道39号線端野から国道333号線に入り、仁頃の交差点を右に曲がって道道7号を常呂方向へ向かうと、途中に不思議な名前のバス停があります。 鉄山 周囲に民家がほとんどない、谷間の地に降り立って見ると、不思議な光景が目に入ります。 山が赤い。 地面も赤い。 ここが、かつて「国力鉱山」という鉄鉱石を産出する鉱山があった場所です。 この周辺には、マンガンを含む良質の鉄鉱石が埋蔵されていて、旧常呂町内では、国力の他に常呂、北見東亜、報国と計4つの鉱山が操業されていました。 当然、ここには鉄鉱石を産出するための設備があり、従業員がいて、住宅、商店などの施設がありました。しかし現在ここには、たった一軒の住宅しか残っていません。 その一軒の住宅に住む方から、お話しを聞くことができました。秘蔵の写真を見せていただきながら、この場所の栄枯盛衰に想いを馳せます。 もうひとつ、鉱山の存在を後世に残すものがありました。この鉱山の開祖とされる、芳川寛治の顕彰碑です。 国力鉱山が最盛期を向かえたのは、第二次世界大戦後です。産出した鉄鉱石の運搬手段に苦慮していましたが、1952(昭和27)年に湧網線(湧網西線)が常呂から浜佐呂間(下佐呂間)まで開通し、北見共立駅が開設されたことで、一気に生産量が上昇しました。湧網線延伸の最大の目的は、実は鉄鉱石の運搬だったと言っても過言ではないでしょう。 輸入される鉄鉱石に押されて、常呂の鉱山は次第に閉山に追い込まれます。 産業遺産が鉄道遺産と密接に関連している事例を見ると、現代史の奥の深さと、遺産を残し伝えていく努力の大切さを感じずににはいられません。 なお以前、「神のお告げ」で鉱床が見つかったとされる鉱山があると申し上げたのは、常呂鉱山のことのようです。
2013/12/19
こんばんは。 「信楽高原鐵道が廃線危機に」これは10月5日のYAHOOトップページの見出しです。 9月中旬に日本を通過した18号台風により、信楽高原鐵道は、橋脚1基橋桁2本の流出、路盤陥没、法面崩壊、土石流入等24か所の被害を受け、9月17日から全区間、バス代行輸送を行っています。http://www.biwa.ne.jp/skr/ この被害に対して、信楽高原鐵道の線路等の施設を所有する甲賀市の市長が、復旧に大きな経費がかかることを理由に廃線をほのめかす発言をしたことから、大きな騒動に発展したようです。 一方、10月7日には市長が滋賀県知事に対し、財政支援を求める要望書を提出。翌10月8日には、知事から政府各省庁へ提出した要望書の中に、信楽高原鐵道復旧への支援を求める一文が盛り込まれました。http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20131008-00000045-san-l25http://www.pref.shiga.lg.jp/bousai/files/07kokkousyo.pdf 支援の具体的内容はいずれも、鉄道災害復旧事業費補助制度の国支出分の嵩上げであり、従来の国2分の1を、国3分の2に引き上げて欲しいと言うものです。 「3分の2」とは、滋賀県からの要望書にも触れられていますが、公共土木施設(河川、道路、港湾等)を迅速復旧させるための制度「公共土木施設災害復旧事業」に適用されている補助率なのです。https://www.mlit.go.jp/river/hourei_tsutatsu/bousai/saigai/hukkyuu/ppt.pdf#search='%E5%85%AC%E5%85%B1%E5%9C%9F%E6%9C%A8%E6%96%BD%E8%A8%AD+%E7%81%BD%E5%AE%B3%E5%BE%A9%E6%97%A7+%E8%A3%9C%E5%8A%A9' 信楽高原鐵道は、鉄道用地やインフラの所有、保全ばかりでなく、車両の保有、維持管理まで自治体が行う「公有民営方式」を採用したばかりです。1991(平成3)年に死者42人の大惨事となった列車正面衝突事故を乗り越え、第3セクター鉄道へ転換後26年間、運行を続けてきました。 災害に対する補助率引き上げは、「上下分離」によるインフラの位置づけの変化、そして他の公共土木施設とのバランスを考慮しても、矛盾を生じるものではありません。市の試算では鉄道の被害額は3億5千万円(さらに上昇する可能性あり)に達します。これに対し平成25年度の市の一般会計予算が342億円。地域鉄道を安定的に維持発展させるための仕組みである上下分離が、何のための上下分離だったのかと言われないためにも、国に配慮を求めたいと思います。
2013/10/20
JR北海道に関しては、今年に入ってからも様々な「事件」(もはや事故の範疇を超えています)が発生したことから、紙媒体やネット上でも、数多くの意見が発表されています。 その中から、JR北海道について書いた、このブログに注目しました。http://hokkaido-shohousen.seesaa.net/archives/201202-1.html 昨年2月の書き込みですが、「事件」が増えたこと以外、状況の変化はないと思います。 前段では、JRと労働組合との複雑な関係について書かれています。これは、既に多くの人が指摘しているところです。その次に、北海道新幹線の経済効果について触れています。北海道新幹線に関しては、本州~北海道間に航空機路線が発達していることから、無駄な投資との意見も根強いです。しかしここでは、本州~北海道間の移動需要は観光目的が多いことから、函館~小樽~札幌の回遊性の点からも新幹線需要ありと分析しています。 その次に、北海道新幹線の経済効果が、「赤字」と言われる状況を解消する力を持っていると説いています。新幹線建設費の3分の1を負担する道庁は、2兆円の経済効果プラス雇用創出で、十分ペイできるとしています。さらに国にとっても、JR北海道に「貼り付けている」経営安定化基金7千億円を、会社の黒字化で引き上げることも可能となるだけでなく、新幹線への乗客シフトで、航空機需要の増加による羽田空港の「再拡張」に必要な経費も浮くので、推進しない手はない、と主張しています。 ここで触れられた個々の事項については、検証の余地はあるでしょう。押さえておきたい点は、鉄道運営会社の赤字黒字だけで損得勘定は考えない、大きな視点で考える必要がある、ということです。もちろん、どんぶり勘定ではいけませんが。 私が恐れているのは、以下のような記事が出て、赤字→税金投入→怪しからん→鉄道廃止してしまえ、と短絡的に捉えられることです。記事にあるとおり、経営安定化基金運用の貸付が4%というのは、本来はおかしな話です。記事全体の論調は間違っていないだけに、尚更怖いのです。http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130925-00000003-wordleaf-bus_all&p=1
2013/10/20
こんばんは。 ご紹介がやや遅きに失しましたが。 SLオホーツク号歓迎実行委員会が発展した団体「都市間連携市民会議」主催で、オホーツク圏の連携を土台とした観光まちづくりに関する連続講座が、只今開催中です。http://sky.geocities.yahoo.co.jp/gl/anofficejp/view/20130829/1377747399 4回連続の講座で、内2回を北見、2回を網走で開催します。講師は、前回当ブログでご紹介した6月21日のシンポジウムでコーディネーターを務めた清水 愼一氏で、毎回ゲストに地域のリーダーを呼ぶ、というものです。 既に第1回目は終了しました。このときのテーマが「石北本線の利用促進策について」。まさに直球のテーマです。http://sky.geocities.yahoo.co.jp/gl/anofficejp/view/201310 参加された方のレポートによりますと、清水氏は、観光による地域間の連携の主軸は鉄道であると指摘すると同時に、JR東日本の五能線や只見線に関与した経験から、JR任せではなく、自分たちが行動の主体となってJRに協力を頼む運動スタイルにすることが必要だと、訴えていたそうです。 次回、第2回目は10月25日(金)、18時15分から網走エコーセンター(北2条西3丁目)で開催です。テーマは女満別空港の利活用についてです。いつしか女満別空港のヘビーユーザーになってしまった(?)私にとっても、大変興味あるテーマです。
2013/10/19
こんばんは。 SLオホーツク号関連の情報発信が遅れてしまった間に、JR北海道がとんでもない事態になってしまいました。 鉄道の価値と魅力を発信し、地域の未来をつくるツールとして鉄道そして公共交通全般を活用してほしい。この趣旨で発信し続けてきた私にとって、昨今のJR北海道にまつわる「事件」に対して、非常に困惑すると同時に、打開策を考え続ける日々となっています。 JR北海道が引き起こした「事件」は、列車の安全運行に関することです。しかし、列車の安全運行を支えるには、安定した経営の仕組み、沿線地域への経済的貢献、そして鉄道運営会社の収入増があるべきです。 去る6月21日、北見市内で、北海道運輸局とSLオホーツク号歓迎北見実行委員会の主催で、「観光による地域活性化と鉄道」と銘打ったシンポジウムが開催されました。http://wwwtb.mlit.go.jp/hokkaido/kakusyu/kouhoushi/hokuto7/25_07/index.html#03 当日は、100人を越える参加者があり、会場もほぼ満員でした。 シンポジウムでは、まず最初に映画「鉄道王国 北海道 ~その隆盛と衰頽~」が上映された後、JR東海初代社長で現相談役の須田 寛さんの基調講演があり、その後北見・網走地域に関わりの深い4人のパネラーによるパネルディスカッションに移りました。 シンポジウムでの発言メモを読み返してみますと、明日のJR北海道、明日の北海道の鉄道を考える上で重要なポイントが、散りばめられていることに気づきました。 運輸局ホームページの記録とは異なる印象になるかもしれませんが、私の言葉で受け止めた「ポイント」を、箇条書きにしました。・オホーツク管内の人口は、2040年には現在の3分の2になる。交流人口の拡大による活性化が必要。・北海道の鉄道には、さまざまな先進性が見られる。・地元住民に役立つ鉄道、鉄道をまちづくりの中でどう捉えるか、それを住民自身が考える。このことでしか鉄道は生き残れない。・鉄道は、他の手段との連携でサービスを向上させる、システム産業である。鉄道のシステム産業化が鉄道再生のポイント。・(地域でスポーツ合宿誘致を進める意義)滞在型、リピーター型の観光客を誘致する必要がある。誘致に際しては、市民意識の向上(子供たちへの教育効果、市民への効果説明)、役所内での意識向上が不可欠。・(鉄道に関しては)移動時間の短縮ではなく、5時間半(札幌~網走)の時間を楽しむ考え方への発想の転換が必要。・交通手段そのものが観光資源になるのは鉄道しかない。在来線も、ちょっとした味付けで楽しくなる。・修学旅行を鉄道で誘致してほしい。東日本大震災の年は、札幌からの修学旅行生が増えた。しかし皆バスで来てしまった。・観光の正しい意味(を確認したい)。観光はただの遊びではない。人間どうしの交流、体験を指す。・(スポーツ合宿について)管内連携してやっていきたいという発言は、大変有難い。・鉄道の位置づけを、今の段階からしっかり考える。新幹線ができた、石北本線が危ない、となった段階では遅すぎる。 鉄道は、まず、人が乗ってなんぼ。もっと突き詰めれば、地域の役に立ってなんぼです。状況を革命的に変えることはできなくとも、まず、前向きな姿勢で一歩踏み出す。ステークホルダーと共に。あるいはステークホルダーに入れてもらえないような「外野」に位置する人たち(私のような)と共に。そんなことが、実は今いちばん必要だと感じています。
2013/10/12
引き続き。 10月14日は「鉄道の日」です。 というより、私の年代になると「鉄道記念日」のほうがしっくり来ます。 「鉄道の日」と呼ばれるようになってから、10月の3連休にイベントが集中するようになり、新暦1872年(明治5年)10月14日に、新橋(汐留)~横浜(桜木町)間に日本初の鉄道が正式開業したという本来の意味が、薄れてしまった気がします。 しかし今年は、10月14日が休日になっています。イベントも目白押しです。 「鉄道の街」北見でも、イベントが開催されます。 旧ふるさと銀河線検修庫近くで保存されている国鉄車両で、車内公開が行われます。 今回は、午前9時から11時まで、保存車両の車内清掃を行います。車内清掃は、今まで手がついていなかったキハ27、ヨ(車掌車)、ワフ(有蓋緩急車)で行います。(ご協力いただける方、汚れてもいい服装に軍手持参でお越しください。) 午後は、正午から2時まで車内公開、2時から3時までお子様向けお楽しみ映画会、そして3時から4時までの予定で、鉄道郵便の姿を捉えたDVDの上映会を行います。 そもそも鉄道郵便とは、国鉄分割民営化を控えた1986(昭和61)年を最後に幕を閉じた制度で、郵便局員が車両に乗務し、車内で郵便物の区分けも行っていました。その当時の映像は、車両が走行している写真こそ比較的多く残っているものの、車両の内側から、局員の乗務の様子を捉えたものは、私は他に見たことがありません。 映像は、道内のものではありませんが、鉄道郵便の実態をつぶさに捉えたものが、郵便車の車内で再現される意義は、極めて大きいと思います。道内で鉄道郵便に乗車されていた方の解説もあるそうです。 10月14日は、ぜひ北見にお越しください。北見駅から徒歩6~7分、北見ハッカ記念館を目標にお越しいただければ、すぐわかります。※10月13日、写真を追加しました。明日は晴れるかな…
2013/10/11
こんばんは。 皆さん、「MONTHLYかもつ」という雑誌をご存知でしょうか。 これは、公益社団法人鉄道貨物協会が発行している、協会会員向けの月刊誌です。鉄道貨物協会は、JR貨物を利用する荷主、通運事業者などを会員とする、JR貨物の「外郭」団体です。 一般には、というよりも鉄道ファンの中では、「貨物時刻表」を発行し続ける団体として有名です。 この鉄道貨物協会、数年前から、広く貨物鉄道の応援団を募るという趣旨から、業界団体の枠を超えて、一般の個人会員の募集も行ってっています。 さて、MONTHLYかもつの内容を見てみましょう。「第○理事会を開催」「本部委員会の審議内容」「○○地区利用促進会議」「政府等関係機関への要望書」など、記事の構成は、まさに業界団体の会報です。また、モーダルシフトを行った荷主企業、通運事業者とJR貨物との連携が紹介されたり(「モーダルシフト」)、主要ターミナルの仕事ぶりや改良の様子を紹介する連載記事(「貨物駅の仕事ガイド」)が、写真とともに目を引きます。 鉄道貨物協会は、一般の方や子供への鉄道貨物の普及啓発にも力を入れていて、どこのイベントにブースを出したとかいうニュースは、毎号掲載されています。鉄道貨物を積極的に利用している企業や商品に「エコレールマーク」の認定を行ったり(意外と認定商品、多いんですね)、マスコットキャラクターの「エコレールマークちゃん」の着ぐるみを、イベントへ出張させたりしています。好評の「エコレールマークちゃん」に2号機が登場...あ、この話は聞かなかったことに(笑) 製造や物流業に携わっていない人間から見ると、モーダルシフトという追い風を受けながら、なぜ鉄道貨物がブレイクしないのか、という疑問を持ってしまいます。制度の問題もあると思いますが、この雑誌を読むと、鉄道貨物が抱える様々な問題が、鉄道貨物を利用する側の声として浮かんできます。 例えば、トラックと異なる鉄道の揺れ方が、トラック輸送にはない荷痛みを発生させること。そんなことが、輸送品質を保つ大きな問題として、取り上げられているのです。 もっと大きな問題としては、現在主力の12フィートコンテナより大きい、長距離トラックと同じ量を運べる31フィートコンテナの普及、貨物駅と荷主とを結ぶトラックの走行距離が長くなることによる、所要時間の不安定化(列車はトラックを待ってくれない)、そして災害や事故による列車ダイヤの乱れの影響があります。荷主側に魅力のある鉄道貨物を実現するのは、なかなか難しいことだと感じています。 また、MONTHLYかもつからは、道内の貨物輸送に関する問題も、浮かび上がってきます。 石北本線貨物列車存続の問題では、「片荷」問題が以前から指摘されていました。北見→札幌又は本州の荷(農産物)があっても、その逆の荷がない、という問題です。ところがそれに加えて、あるいはそれ以上の問題として、閑散期対策があるというのです。道内貨物の閑散期とは、農産物の出荷が途切れる春~初夏の頃になるでしょうか。 気がつけば、モーダルシフトで最も遅れを取ってしまった道内鉄道貨物をどう盛り上げていくのか。人ごとでなく自分たちで考える資料のひとつとして、MONTHLYかもつは有効です。 普段触れることの少ない鉄道貨物輸送の実態を知る、格好の媒体だと思います。貨物時刻表購入の特典もあります。ぜひ入会...おっとこれでは、鉄道貨物協会の回し者ですね(笑)入会案内は以下にあります。興味があればぜひ。http://www.rfa.or.jp/admission/index.html
2013/10/11
おはようございます。 ここに、一編の報告書があります。 国土交通省鉄道局と観光庁が連名で発表した「地域鉄道の再生・活性化等研究会報告書」です。副題に「観光とみんなで支える地域鉄道」とあります。http://www.mlit.go.jp/common/001002354.pdf この報告書をまとめた研究会は、観光関係の研究者・実務者、元気な動きを見せる地域鉄道の事業者、地域鉄道が多く集まる団体等が、委員となっています 報告書の内容ですが、地方鉄道(ここでは「地域鉄道」という名称を用いていますので、この書き込み内も、以下「地域鉄道」に統一します。)の現状を踏まえた上で、観光の視点から地域鉄道の価値を捉え直し、モデル事業による取り組みを促すとともに、国や地方自治体との連携方策に触れています。 「この報告書は必読だよ」地域鉄道活性化に関わっているある方が、おっしゃっていました。またその方は、「地域鉄道の向かうべき方向性が書かれている」とも言っておられました。 遅まきながら私も報告書を読みました。もう少し読み込む必要はありそうですが、基本的には、今までこのブログで紹介してきた地域鉄道の価値、地域の中での活用方策等々が、網羅されているものだと感じました。報告書の中で地域鉄道を5つに類型化していますが、今まで何となく捉えていた、各地域鉄道それぞれの性格の違いを、わかりやすい形で示していると思います。地域鉄道を支援するメニューも、不十分ではありますが、これだけのものがあるということも、特に自治体関係者の方々には知っていて欲しいものです。 また、地域鉄道と地元産業界との連携、観光客だけでない地元住民が楽しめる工夫、「デザインは公共(地域鉄道)のために」のキーワードなどは、地域鉄道活性化の真の目的が、鉄道事業者の収支改善ではなく、地域、あるいは公共にいかに役に立つか、つまり地域社会全体で、定量的、定性的データが「黒字」になることが重要だと説いています。 残念ながら、会社の赤字、黒字だけで地域鉄道の価値が測られる考えは、まだまだ根強く残っています。(それこそ、地方の道路整備などは、まさしく大赤字になりますよね?)地域鉄道の価値と未来を理解していただくために、手元に置いておきたいアイテムだと思います。
2013/09/29
こんばんは。 ちょうど旧盆の時期で、今頃実家でゆっくりされているという方も多いのではないでしょうか。 ところで、今年はどんな交通手段で帰省されましたか? 8月1日から、いわゆる「高速ツアーバス」という制度が廃止され、定期路線バスの制度に一本化されました。高速ツアーバスは、定期路線バスよりも安価な運賃設定に人気があったのですが、このことが、人件費削減につながる過剰な労働を運転士に背負わせることとなり、過剰労働によると思われる死亡事故が発生したことから、高速ツアーバスの制度を廃止するに至ったものです。 高速ツアーバス廃止後、高速ツアーバスを営業していた全国約280社の内、定期路線バス移行への投資額が大きいなどの理由から、約200社が撤退し、定期路線バスへ移行した会社は80社にとどまりました。その移行した会社も、運賃面、あるいは義務化されたバス停留所の利便性の高い場所への設置が難しかったことなどから、営業的に苦戦している模様です。http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130810/k10013690571000.html 高速ツアーバスは、主に人件費削減や乗降場所の設置などに費用をかけないことで安価な運賃を提供していたわけで、そのこと自体に無理があったと思います。公共交通としてかけるべきコストをかけていなかった、ということです。 一方で、格安航空会社(LCC)が日本でも本格的に就航するようになり、区間によっては、バスは価格面でも航空会社と競争せざるを得なくなってきました。LCCは航空運賃の価格破壊には成功しましたが、わかりにくい運賃体系、予約のしづらさ、定時出航率の低さや欠航率の高さ、利用客があって当たり前と思っていたサービスがかなり省略されているなどの理由から、現時点では、思ったよりも伸び悩んでいるという印象です。 定期路線バスが、そのコストを下げるとすれば、4列シートの車両を導入し1台あたりの定員を増やす、補助席乗車分を思い切り安くする、繁忙期・閑散期の運賃設定をきめ細かく行う、といった施策のほうが、乗客も理解しやすいと考えます。私も愛用しているのですが、上野~弘前~青森のパンダ号(登場時から定期路線バスです)は、4列シート車両ですが、通常期4,500円という値段と天秤にかけると、非常にお得感が高いと考えます。標準よりも縦横に体格の大きい私でも、最新型の車両にあたった時は、古い3列シート車両より良く眠れます。車両にトイレがないので、サービスエリアで休憩があるのも、体が動かせるという点で、実は有り難かったりします。 さて、ここから鉄道の話です。 夜行列車はその人気の高まりとは裏腹に、年々衰退の一途をたどっています。その理由として、運賃面でバスとの競争に負けたといった指摘がなされています。私は、夜行列車の衰退の真の原因は、官僚的な体質を持つJR旅客会社の意識の中にある「面倒くささ」にあると考えます。JR旅客会社を2社以上またがる運行区間設定など、例えそこに需要があったとしても、徹底的に合理化したい部分なのでしょう。その一方で、クルーズ船のように最高級のサービスを提供しながら、何日も列車に乗り続ける専用列車の開発を行うJR旅客会社も出てきました。私が知る限りでは、これらの車両が他社の路線へ入るという話を聞いたことがありません。http://www.cruisetrain-sevenstars.jp/index.htmlhttp://www.jreast.co.jp/press/2013/20130603.pdf これらの列車のコンセプトは、鉄道を観光資源として活用するという意味で、選択肢のひとつではありますが、鉄道の魅力の一部分を捉えているに過ぎないと考えます。客単価の高い顧客だけを相手にしていては、実は利用客拡大の裾野は広がっていかないと思うのです。 汽車旅の魅力を存分に堪能できる区間設定で、多様な室内グレードの提供(例えばA個室からカーペットカー、あるいは座席車まで)による高いコストパフォーマンスを確保した車両を、JR各社が共同出資して、JR線とは異なる運賃体系で走らせる。運行を新たな第二種鉄道事業者に委ねるか、あるいはJR貨物に運行させる手もあります。短距離で需要の少ない区間なら、座席車に限定してもいいかもしれません。そんな夜行列車が全国各地に登場したら、日本の鉄道全体の魅力を底上げできる… などと、思っているのですが。 先程、パンダ号がいいと書きましたが、同じ区間を走る特急あけぼの号「ゴロンとシート」も、運賃料金に比べて「極楽」な居住空間と、鉄道ならではの旅情から、愛用しています。
2013/08/13
突然ですが、東京の地下鉄に関して。 「バカの壁」って、覚えていらっしゃるでしょうか。東京メトロ半蔵門線の九段下駅ホームと都営地下鉄新宿線の同駅ホームが、すぐ隣であるにもかかわらず、壁で遮っている。このことで、いちいち階段を上下し改札口を出て入らなければならず、利便性を著しく阻害している。こう主張したのは、現在東京都知事になった猪瀬直樹氏です。http://www.nikkeibp.co.jp/article/column/20120625/313749/?rt=nocnt 東京メトロ、都営が一体化した駅の供用開始が本年3月。「バカの壁」がなくなった駅はどのようになっているのだろうと、実際に見に行きました。 行ったのは本年7月のある土曜日日中です。 まず、図面で予習をしました。http://www.nikkeibp.co.jp/article/column/20120625/313749/?SS=imgview&FD=1741121414 確かに互いのホームはすぐ隣、一体の駅でもおかしくはなさそうです。 東京メトロ半蔵門線側から見た都営新宿線です。 「バカの壁」があった位置です。ホームは広く使えそうです。 ここで、ふと考えました。このホームに着く電車は、一体どこへ行くのか? 壁がなくなり乗換えがしやすくなったホームには、半蔵門線は渋谷から大手町、押上方面行き、新宿線は本八幡から新宿方面行きの電車が止まります。これは何を意味するか。渋谷方面からわざわざ九段下を経由して新宿方面へ行く人がどれだけいるか。あるいは森下とか馬喰横山あたりから、わざわざ九段下を経由して三越前とかへ行く人がどれだけいるか?もちろんゼロではないでしょう。しかし、他の地下鉄線やバス路線が発達していることから、ホームの壁が取れたことによる、乗り換えの利便性の向上範囲は、狭いと言わざるを得ないでしょう。 これは、改札階コンコースを、東京メトロ側から都営地下鉄側を見た写真です。 運営主体の異なる両線の乗換えが便利になったのは、間違いありません。2回分の改札通過が不要になったのですから。もっとも、東京メトロと都営地下鉄の改札口は、同じ階で数十メートルしか離れていませんが。 異なる会社間の運賃収受というのも、「壁」を作る要因になっていたと考えられます。日本の鉄道は、自社の運賃は自社で厳格に収受するという発想が強く、2社にまたがる連絡きっぷも、途中に改札を設けてチェックするのが当然、とされてきました。現在も基本的な考え方は変わりありませんが、自動改札機の普及、そしてICカードの普及によって、利用客側は自動改札にICカードをタッチさせるだけで通れてしまう。運賃を受け取る会社側も、磁気やICチップに記憶された情報で、かなり正確に運賃を収受できる。このようなことも、「壁」を壊す方向へ働いた理由のひとつではないでしょうか。現に九段下駅では、東京メトロ、都営どちらの改札口からも、どちらのキップあるいはICカードでも出入りができるようになっています。 猪瀬知事は、やりやすい場所やることで、その先にある究極の目標である、地下鉄の都営一元化へ弾みをつけたかったのでしょう。猪瀬知事に限らず、東京都は地下鉄が誕生した戦前から(この頃は東京市)、地下鉄の都営一元化を狙ってきました。地下鉄一元化の問題は、古くて新しい問題なのです。 詳しいことは省きますが、地下鉄の利便性を向上させる第一の方法は、運営主体の一元化よりも、共通運賃制の導入ではないかと思います。前述しましたが、日本において異なる運営会社間の運賃体系は、かなり厳格に分けられています。ヨーロッパなどでは、あるエリアの中の公共交通は、運営主体の別なく共通する運賃体系に置かれる例が多いようです。※内容を若干修正させていただきました。意図が伝わったでしょうか?なお、九段下駅の壁が撤去された状態で供用開始されたのは、本年3月16日からでした。お詫びして訂正いたします。(8月3日)
2013/08/03
「JR北海道最大の危機」 こんな見出しが、インターネット検索のヤフーに一面で載ったのは、確か7月15日のスーパーおおぞら号車両配電盤からの出火事故後だったと思います。 この見出しは結局削除されてしまいましたが、昨今の事故事件の連続から、安全性に対する信頼が揺らいでいるという点で、公共交通企業最大の危機であることは間違いありません。http://www.jrhokkaido.co.jp/press/2013/130708-1.pdfhttp://www.jrhokkaido.co.jp/press/2013/130715-1.pdfhttp://www.hokkaido-np.co.jp/news/donai/481031.htmlhttp://www.hokkaido-np.co.jp/news/donai/482313.html この他にも、運転士、車掌のミスによるトラブルが7月中だけで4件。さらに、事故にこそつながりませんでしたが、運転士が覚せい剤を使用したとして逮捕される事件も発生しました。http://www.hokkaido-np.co.jp/news/donai/482802.html 車両トラブルに関しては、人的ミスという見方が強くなっています。また、原因究明に必要な破損した部品を紛失するという事態も発生しています。http://www.hokkaido-np.co.jp/news/donai/483276.html 2011年5月の石勝線トンネル火災事故以来、会社としてもさまざまな対策を講じてきたはずです。にもかかわらず事故、事件が止まらない。これは、事件事故の直接の引き金が職員個人のミスであったとしても、会社組織の構造的な問題を考えざるを得ないと思います。 国鉄分割民営化前後の採用抑制による技術伝承の途絶。縦割り組織がもたらす風通しの悪さ。そして何より、JR運営への政治不介入という国鉄改革のスキームが、いつしか民間企業JRの「官僚化」をもたらし、利用者や沿線自治体の声を受け付けない独善的な運営になっていなかったか。 7月6日の北斗号出火事故以後にトラブルが集中していることから、職員の間に動揺が広がっていると見るべきだと思います。JR北海道は、北海道新幹線に関わる部分以外、ほぼ「孤立無援」、逆に高速道路・高規格道路の整備で、経営的に不利な状況を負わされ続けてきました。JR北海道に今必要なのは、会社として襟を正すことはもちろんですが、JR自身が孤立主義を捨てて外へ向かうこと、JR在来線に極端に冷たい北海道庁の姿勢の転換、そして道民の草の根レベルでの「支援」ではなかろうかと考えます。
2013/08/03
こんばんは。 SLオホーツク号の余韻が、まだ体から抜けません。 今年、動くSLそのものに会ったのは、北見駅での見送りと出迎えだけだったのですが。 しかし、SLオホーツク関連で、さまざまな体験をさせていただきました。 これらは追って、ブログにアップするとして… だいぶ時間が経過してしまいましたが、4月20日に行った、北見の「鉄道遺産」車両シート外しの模様を、ご報告します。 シートが外され、車両が陽の光を浴びる感じがいいですね。 丁寧にシートをたたんで… 終了後は豚汁で体を温めます。これがおいしいんだな。だいぶ傷みが進んでいますが、これからも大事にしていきたいと思います。
2013/07/12
ご紹介が遅れてしまいました。 本日(6月29日)、岩手県大船渡市で、「地域コミュニティの復興と鉄道」と題した講演会が開催されます。詳細は以下のページから。http://railway-s.net/20130629ogm.pdf
2013/06/28
SLオホーツク号歓迎行事の一環としまして、本日(6月21日)午後1時30分から、北見市民会館にてシンポジウム「観光による地域活性化と鉄道」と映画「鉄道王国北海道・その隆盛と衰頽」上映会が開催されます。皆様のお越しをお待ちしております。http://www.okhotsk.biz/sl_okhotsk/symposium.html 夜は、ぜひこちらにも。SLオホーツク号歓迎 北見じまん村祭りhttp://www.okhotsk.biz/sl_okhotsk/jimanmura.html
2013/06/21
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