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バーナンキ議長が米下院予算委員会で、以下のような証言 Bernanke Issues Deficit Warning 米経済は今年3から4%の成長を予測。財政支援がなくとも回復していくだろうしかし、雇用の回復はゆっくりであり、景気回復の足取りもゆっくりしたものにならざるを得ないEUの状況は米国経済に与えるインパクトはある程度影響があるが、エネルギー価格や低金利をもたらすため景気刺激にもなるため、全体では大きく足を引っ張らない。ユーロについてはEU各国の結束を見守る。米国の財政は向こう数年間で改善するだろうが、足元の景気回復がスローペースなので、依然債務水準は高いままである点を議員は留意する必要がある。(これだけ失業率の悪化が継続しても3%から4%成長できる点にややびっくり)中国の輸出統計もよかったこともあり、S&P500は深夜2時現在、1%程度上昇中。バーナンキさんは2日連続で株式市場にインパクトある発言。個人的には「米国の財政もよいわけではない」、と言っているにもかかわらず、株が反発している点はやや意外。今のところは買戻し理由を探す勢いが強いのでしょうか? 米中欧の「3強」のうち、米中の足取りを再チェック。欧もドイツの輸出は好調。 日本の機械統計も好調だったが、東京市場では無視された。悲しい日本市場。 けど最近のNY市場はラスト2時間で逆転サヨナラ負けやサヨナラ勝ちが連発する不安定な取引なので、朝起きて違った結果だったらごめんなさい。 応援よろしくお願いします。
2010/06/10
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S&P500は3.5%、ダウ平均は3.2%、コカコーラもP&Gも下落してダウは30銘柄が全面安でした。抑えの切り札と思っていた雇用統計でしたが、あっさり打たれてしまいました。またハンガリーの債務危機のニュースにも反応したようです。まだ調整は終わっていないようです。政府支援を続けると財政問題が噴出します。一方、このような雇用統計結果に終わると、政府支援がなければどうなるんだ、という議論が出てくるので、まるで世界沈没の様相ですね。 計画通りバンクオブアメリカを買い増ししましたが、やっぱり早すぎかな。6月は今後企業からの下方修正予想なども出るかもしれないので、ダウ9500ドルラインを防衛できるかという感じになってきました。 しかし、昨日の下げは大きすぎる気もします。あのクライスラーですら、雇用を再開していたので(このエコカー時代に「ジープ・チェロキー」の増産のために雇用を拡大するという記事に目を丸くした)結構楽観していたのですが。中小企業の雇用が増えないのが原因とも言われています。 昨年も11月に増加して、その翌月は減少したこともあるので不安定な指標であることも事実ですし、ショート・インベスターにとってはよい1日だったかもしれません。 さらに我慢の日々が続きそうです。悲観の極みに達するのはまだ早そう。 応援よろしくお願いします。
2010/06/05
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深夜現在、ニューヨーク証券取引所は反発しています。ユーロも上がり、原油も上がり、円安になっています。いよいよ怒涛のショートカバー・ラリーが始まるのでしょうか?(深夜零時現在、ダウ+2.1%、原油73.8ドル、円90.80円前後) ただ、野球で言えば10連敗の後、先発全員安打でエースが10奪三振で完投勝ち、スコアが10対0の圧勝するぐらいのスカッとした締めくくりでなければ、連敗脱出の糸口がつかめないのと同様、これまでの売られ過ぎ相場からすれば、一気に3~5%ぐらいダウ平均がアップしないと、という気持ちはあります。 従いまして、まだ少し引っかかりは残ります。特にラスト20分ぐらいで一気に形勢逆転する傾向がここ数日見られるので...。朝起きたら3%急落だったりして。 今日の反発が「連敗脱出」になった場合、最優秀選手賞は、ガイトナーさんか、中国と言うことになりそうですね。このユーロ危機にアメリカの大臣は雁首そろって「中国参り」かよ~ って思っていたら、 中国は北朝鮮には厳しい姿勢で臨むユーロを支援する などという約束をしていたようですね。(その代わりドル国債の価値を維持するという取り決めもあったようです。元切り上げどうするのでしょう?) もっとも中国は手持ちのユーロの値下がりがいやなので、ポジショントークに過ぎないかもしれません。 一方、バーナンキ議長と比較して、存在感がすっかり薄れたガイトナー米財務長官は、中国から即欧州に飛んで、空売り規制とかわがまま言っているドイツをけん制し、ユーロが結束して市場の混乱を収めろ、と檄を飛ばしたそうですね。 単にタイミングが良かったのか、アメリカの言葉として響いたのか、こちらは「初ヒット」ぐらいの感じでしょうか?ガイトナーさんはこれまで、議員や金融機関に舐められているとまでは言わないものの、影が薄かった。クビ説もあったが? 案外「売り飽き」たので、買い戻しのタイミングを図っていただけかも?中国でもカタールでも何でもよかったのかもしれません。 一方、「中国参り」のついでに日本に来たクリントン国務長官等に辺野古を約束されてしまった日本。「対等外交」には程遠い。米国に対する中国の存在感は日本とのGDPの差以上に見せ付けられたような気がします。外交面では自民党時代の植民地感覚が抜けていませんのでガックリ。 応援よろしくお願いします。
2010/05/28
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一気に弱気色が強くなってきましたね。米国経済の経済指標も強弱入り乱れていますので、まさに一喜一憂の感じ。 金曜日のニューヨーク株式市場は上げましたが、ショートカバーの域を出ていません。まだ本格的な反発というには弱く、来週もジットリとした印象を受けざるを得ません。 私自身のPFも株安で円高とくればマイナスになってしまう構造上、年初来マイナスとなっています。1ドル90円を割るとややきついですね。ダウケミカル34%、フィリップモリス68%、フォード32% これは私の米国株PFトップ3の全売上高に対する欧州の比率です(ただし、フィリップモリスはユーロ圏外、たとえばロシア、等での売り上げもあるので、ユーロ比率は50%以下だと思う)。 個別銘柄はずいぶん安くなっていますので、バーゲンハンティングは継続していきたいと思います。S&P500の予想PERは13.9倍、ダウは同13.1倍まで来ました(もっとも業績が下方修正されれば無意味ですね)。業績がしっかりしている好配当銘柄と、株価がすっかり元の木阿弥となってしまった米銀に魅力度が増しています。といえど相場全体の流れに勝てるはずもなく、下げ止まり感が出てほしいところです。 下げ要因1:米欧の政治要因ユーロ危機に対するユーロ圏内国家が市場反応を見誤る。日欧の政治家はいつも市場を甘く見る。米国は大事にしすぎた。この距離感は世界中でも難しそうですね。米国金融規制改革法案これらは出尽くし感ありますね。格付け機関がポルトガルかスペイン国債の格下げ等があれば一波乱か?中国の景気過熱化(ユーロ安で輸出減速すれば土地バブルも鎮静化するか?) 2:米国経済指標とりあえず月の最終週は住宅関連指標。これも強いとも弱いとも読める。強い場合は住宅税控除の駆け込み需要で追い風参考記録。弱い場合は、不良債権の最終処理が進んでいると前向きに読める。すなわち、年末ごろから、競売をいったん止めて(シャドウストック等言われている)いたのですが、景気回復とともにそういった物件を売りに出しているといわれています。競売や任売物件増加による価格下落の可能性。また、競売等の物件も前半戦はいわゆるサブプライム層の低価格住宅が売却の中心で、今は売却の中心が高級物件に変わってきている。高額物件は値引き額が大きいので、住宅価格の平均値に与えるインパクトが大きく、指数が弱含む、とも言われています。ただし、今の株式相場がそこまで織り込んでいるとは思えないので、弱い住宅指数は株安要因になりやすいのでは? 来月初めの雇用統計。これが当面の 「防衛ライン」 でしょう。先月はあえなく 「突破」 されましたが、弱気一辺倒で迎えた場合の再来週の金曜日、注目どころでしょう。雇用統計が大魔神となってくれるか。 個人的には政治的な下げ材料は出尽くし感があると思いますので、米経済の指標がさらに弱気に触れるともう少し下がる可能性もありますね。その時は南無阿弥陀仏。ダウ9000ドル割れもありか? そうなればまた米国債不安にでもなるのでしょうかね。 また、ユーロ相場に対する売り圧力が再開すれば株式相場にも弱気要因でしょう(それは欧州の国債価格次第だろうか?)。 上げ要因米国のインフレ懸念が遠のく。利上げも遠のく。米住宅ローン金利は5%割れの継続期待大。(日米とも)資源エネルギー価格が安定化するため、低コストの生産が維持できるし、自動車などの消費にもプラス環境。ただし、効果が出るのは数か月先でしょう。 企業の状態は現時点では、改善途上で良い状態と思います。フィリップモリスのIR説明会では面白いことにユーロ経済の見通しよりも日本の消費者動向を気にしていました(デフレの中で値上げすることの影響が読み切れないと)。確かこの秋のタバコ値上げ前に任意で20円値上げするといっていましたが、直前で辞めてしまいました。日本市場を読み切れないようです。公共の場でタバコを吸ってはいけないという議論の真っ最中にタバコだけ値上げした場合の世論の反応はきつそうですね。アボットラボは21日、約3,500億円でインドの地元企業を買収してしまいました。インドのマーケットシェアトップに立つそうです。アボット社はリーマンショック以来実に1.5兆円以上を投入して企業買収を行っています。バイオ、ジェネリック、冠動脈、眼科等幅広く買収中。「脱ヒュミラ」に忙しそう。 フォードは予想通り、欧州販売が減少し(補助金が切れたから)、中国・ブラジル・インド等の新興国の増加と相殺できるかといったところ。欧州ナンバーワンカーである小型車フィエスタ(トヨタ:ヴイッツ、ホンダ:フィットに対抗できるハッチバックタイプ)は間もなく米国で再デビュー。デトロイト3の生まれ変わった姿を見せつけられるか。今回は増加するヒスパニッシュ向けのマーケティングを施すようです。インドで新車フィーゴも受注は好調です。 こんな時は経営者の景気見通しに対するコメントをよく聞いておくなどできることをやっておくことだと思っています。相場全体も大事でしょうが、それ以上に個別企業の動向の方に注意していくつもりです。そのために業績がしっかりした信頼できる企業を選んでいるのですから。 応援よろしくお願いします。
2010/05/23
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ユーロ危機は相場上では一段落のようで、規制関連に目移りしていますね。アメリカのデリバティブ規制クレジットカードの手数料規制サーキットブレーカー導入例の急落相場の原因がSECもわからない。 そしてドイツの現物手当てのない国債空売り規制 一方、FRBは米国のGDP成長率を上方修正し、日本も年換算率4.9%の回復(予想よりちょっと弱い)を示し、EUは先日お伝えした通り。ただ、失業保険申請者数が予想外の増加で、ニューヨーク相場は一気にダウン。 アメリカの金融規制法案の方向性が出るのが早いのか、ダウ平均が1万ドルを割って、先日の急落時点まで落ちるのか、腹の探り合いでしょうか? 何らかの規制(というか透明性と公平性のあるルールといった方がベターか?)は必要なので、建設的な議論をしてほしいものです。 応援よろしくお願いします。
2010/05/21
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冷静に考えると、単に購買力平価水準に戻っただけだと考えるようになりました。 国際通貨研究所のユーロドル相場の購買力平価のページ午前1時現在、1ユーロ:1.2354ドル付近で取引中。ドルキャリーが巻戻っているのでしょうか?米国経済はファンダメンタルズは少しずつしっかりしてきました。何かネタがないと引き揚げられないのでPIIGSを責めたとか。ドバイショックも今は昔。 ポルトガルやイタリアは健闘。スペインもプラス圏内です、ユーロ経済。 ドイツ経済に追い風が吹いていることはよく言われています。通貨安で金利安。日本人から見ればうらやましい? アメリカより時間がかかっても、ゆっくり回復に向かうのでしょう。 そして安定したドイツ経済に吸い寄せられるようにユーロも高くなるかもしれない。(目先のユーロ相場は全くわかりませんが) 応援よろしくお願いします。
2010/05/19
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副社長兼経理部長(菅財務相) 「来年度の国債発行を44兆円以下に抑えないとマーケットの信頼をなくす」経営企画部長(仙石戦略相)「日本が明日のギリシャになってはならぬ」社長(鳩山首相) 「俺はまだ国債発行額を決めたわけじゃない」(趣旨)株主(国民)「しら~」(消費税の増税機運が腰折れ) 沖縄問題、財政問題とも孤立? パッといたしません。 結局、次期「衆議院」選挙(普通に考えるとまだ3年先)の時に消費税増税を国民に投げかけたいという党の意見も「もっと議論が必要だ」という声の前にうやむやになっています。 決め手に欠けるのはサッカー日本代表のゴールだけではなかった。 以下のグラフをみて、消費税増税の議論の時期が早いか遅いか...。皆さんの良識にお任せいたします。 グラフ1 グラフ2 グラフ1は税収が伸びないのに歳出が増加する、Gapは赤字国債で穴埋めするというグラフ(ちなみに、日本の名目GDPの増減イメージが税収に似ている)グラフ2は国債が棒グラフ、赤い折れ線が国債金利、黒い折れ線が国債の利払い額を示す。2つのグラフからは多重債務者の金融支援と同じ構図。支払利息は同じだが、借入金額は着実に増加。確か多重債務者撲滅とか言って、金利上限法を厳しくし、ローン審査も厳しくして多くのノンバンクが苦境に立たされています。うーむ、意味深だ。 これはいずれも「バリュー株トレーディング、レンジ相場で勝つ」(パンローリング)の著者、ビタリー・カツェネルソン氏のHPから拝借いたしました。Japan - Past the Point of No Return うーん、ついに悪い意味でルピコン川を渡ったのでしょかね。良識派のエコノミストからも、立て直しにはラストチャンスの声が多い今の日本財政。 しかし、不景気のたびに減税・赤字国債発行で消費意欲を掻き立てたものの、増えたのは借金だけでGDPが全然増えていない、おまけに得意技の貯蓄率まで減少している、と指摘されています。(当然財務省でも同じ議論が起こっていますのでご安心)日本の財政関係資料 カツェネルソン氏については、こちらのブログでも紹介。彼自身はバリュー投資系のファンドマネージャーのはずですが、国債ショートをするかもしれませんね。日本の少子高齢化はアメリカ経済の敵か? 2009/10/4 今の鳩山内閣(彼は4年間消費税増税を凍結宣言をした)では議論が進まない、4年後で大丈夫か? 「風が吹けば桶屋が儲かる」的発想だと 日本国債の消化が難しくなる → 日本の金利が上がる → 財政のために米国債も売るという議論が出てくる(正確にはひも付きの債務があるので売っても一般会計に寄与しない。しかし外為特別会計の準備金を活用しろという議論が出てくるぐらい) → (実際に日本政府が売却しなくても)米国債金利が上がる → 米国で利上げ・インフレ懸念が巻き起こる → 中国も怒る(米国債の価値が下がるから) → 日本は米中にボコボコにされる → 財政再建にやっと重い腰を上げる米国債も結構やばい状況ですので、その火種が日本だと米中が神経質になりやしないか?中国も日本が原因で国債価値が毀損するとなると責めやすい? うーん、要するにガイアツですね(完全な内政干渉ですけど背に腹変えられない)。日本を憂う財務官僚がアメリカに仕掛けるか?(最近アメリカ外交も、「アメリカを押し付ける」タイプから、相手をよく見る方式に変わってきているようにも思いますが、果たして) しかし、現時点ではアメリカでも、「カリフォルニアはアメリカのギリシャだ」という議論が勃発して、シュワ知事も大変でしょうね(したがって日本を気にする余裕がない)。 過去の消費税中曽根康弘元首相 導入失敗 故竹下登元首相 導入成功 退陣故橋本竜太郎元首相 5%引き上げ成功、しかし退陣 よく考ええると、「カネと政治」でおなじみの?旧田中派の重鎮でしか成し遂げられていませんね。「目には目を」の論理で行くと、今消費税引き上げができるのは、旧田中派のミスター剛腕のあの方???(国民受けが悪すぎる。かれは増税に消極的) 橋本さんは税制、沖縄問題、財政等いろいろご活躍されたのですね。私はあの「流し目」が「上から目線」のようであまり好きではありませんでした。 日本の金利がどの程度上がるのかによりますが、マイルドな上昇の場合(例5~6%)、心地よい円安?(1ドル120円程度まで)をもたらし、輸出競争力が増す、という意見はあまり見られませんが、いかがでしょう輸出競争力が増し、国内消費が活性化され、結果的に税収にも恩恵が来る...。甘いし、それを期待するわけにもいきませんね。?(原材料値上げもあるから同じかな?) やっぱりガイアツ? 今度は米中挟み撃ち? 子供に借金を押し付けるのも嫌だし、自分たちの老後も心配であるというのが率直な気持ち。 応援よろしくお願いします。
2010/05/16
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ロイターの記事抜粋 [東京 14日 ロイター] NTT(9432.T: 株価, ニュース, レポート)は14日、保有する自社株2億5092万株の全てを消却すると発表した。今後、2年間で2分の1ずつ消却する予定で、1回目は今年中、2回目は来年度に行う。消却株数は発行済み株式の15.9%に相当し、14日終値ベースで約9300億円の規模。法律で政府は3分の1以上のNTT株の保有が義務付けられているが、NTTが保有自社株の全てを消却することで、政府の持ち株比率は40.1%に引き上がる見通し。これにより、政府側に9000万株弱・約3300億円の売却余地が生まれることになる。記者会見した三浦惺社長は「仮に政府が売り出しをするなら、われわれは自社株買いをしたい」との方針を示した。抜粋終わり 政府が3300億円分を売却すれば、ちょっとは国家財政の足しになる(焼け石に水のような金額だが、事業仕訳で喧々諤々やるよりいいと思う)。自社株買いするといえばあと200億円ぐらい上がらないか? もし、埋蔵金捻出のための自社株消却なら、民主党政権として、スマッシュヒット。投資家も喜ぶし、国民も納得。メガバンクがまた増資するらしいので需給の改善にも寄与する話。 JTも4.1%自社株を持っている(1000億円か)。医薬品事業にムダ金使うならこういうことをやってくれてもいいと株主ながらに思う。 応援よろしくお願いします。
2010/05/15
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今、ETFに関する本を読んでいます。 これまでは、ETFに対して漠然といつでも買える投資信託で、ファンドマネージャーがいないインデックス投資商品、という程度で見ていました。 私は現在MSCIコクサイ(積立投信)REIT-ETF NEXT FUNDWTI原油価格連動型上場投信(ほんのちょっとだけ) を保有しています。それ以上は特に興味がありませんでしたが、Firstrade証券を紹介してもらったHPの管理人さんから、「あなたのスタイルなら、iShares S&P GLOBAL CONSUMERS STAPLES SECTOR (KXI)(生活必需品セクター) がいいのでは」 とアドバイスをいただき、調べると、 P&G、ネスレ、ウォルマート、フィリップモリス、ユニリーバなど、日本企業でもJT、花王、アサヒビールなど確かに欲しそうな銘柄が上位を占めていて(結構持ち株と重複するんですが)、かつ、FirstradeはETFでも分配金再投資の設定が可能ということもあり、もっとETFを勉強してみることにしました。 さらに楽天証券をよく見てみると db x トラッカーズCSI300中国A株医薬品インデックスETFという中国大陸A株(上海、シンセン)の医薬品セクター連動ETFがあることを知り、自分の勉強不足を恥じる思いです。これは私のニーズにぴったりです(配当金再投資ができませんが)。本来は社会主義国家である中国の高齢化に向けた社会保障が整備されつつあるので、ずっとどのように攻めたらいいのか、考えておりました。(もっとも産業の成長と株価の成長が一致するかは別問題ですが) また、「ETF 世界を舞台にした金融商品」(浅川夏樹著 パンローリング)では、為替やショートETFもあるなど「なんでもあり」のような品揃えです。 しかし、現状の投資計画では 既存銘柄の押し目買い米国銀行株の買いその他ウオッチング中の株をいいタイミングで下値狙い これが今年の3大テーマで個別銘柄中心です。 したがって、中国の医薬品セクターと上記の生活必需品セクターまたはダウジョーンズの優良配当株の2つぐらいを狙ってみようと思っています(この辺律儀に規律を守っちゃうんですよね)。 ただし、あくまで私見ですがETFの留意点として「欲しくない銘柄」も仕方なく買ってしまう。セクター丸ごとだと「負け組」や「嫌いな」企業にも一定の投資がされてしまう。具体的にいうと日本の小売1位、2位の企業が生活必需品セクターにある。 株式投資の基本である、企業分析がおざなりになってしまわないか心配。マクロ経済ももちろん大事だが、本来はミクロ経済の分析がより重要のはず。何となく、鉛筆で作文できないのに、ワープロで文章を書くため、漢字が正しく使えなくなるのでは?とかオートマの車になれるとマニュアル車が運転できなくなるのでは?とか下積み生活を知らずに成功をおさめたスターのような苦労知らずになるのでは?とかカメではなくウサギ、ありではなくキリギリスになるのでは?とか思ってしまいます。 要するに 「初めは楽してリターンが上がるがそのうち堕落する」 のではと心配してしまいます。(もちろん、ショートETFや通貨ETF等の商品を組み合わせて投資するには、それなりに経済見通しがないといけないので、ETFを使いこなすためには、下積みがみっちり必要な気がしています。私はまだまだ下積み中の身分です。結局できる人には最大限活用できるように設計されているものと言えるのでしょう)物事なんでも費やした時間分上達するものだ(個人差はある)と信じておりますので。私には現段階ではサテライト的に活用するのがあっていそうだ。応援よろしくお願いします。
2010/05/13
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雇用統計は非農業部門雇用者数が+29万人のポジティブサプライズで、思わず「オーッ!」と思いました。国勢調査員って確か7万人程度ですから、それを除いても+20万人以上の計算になります。これは本格的な数字。私はこの時期、失業率は半ば無視していますが(働きたいと思う人が増加したのはいいこと)、悪化したのでまたゴールドマンに対する風当たりが強くなるのでは、イコール金融株が安い という点を気にしています。シティの株を少しでも高く売った方がいいのでしょうが、選挙前の人気取りが優先されるのでしょうね。 しかし、今日のNYはそれでも、ものすごいシーソー相場です(当然マイナス圏内)。何度も上昇を試みては跳ね返される、これはここ数日同じパターン、展開です。 こういう時は何もしないに限るのか、そろそろ潮時か、見極めるのが難しいのですが、計画通りに買うべき銘柄を拾っていくことにしました。昨年の3月の反省を生かせるか? ただし、既存のポートフォリオは破壊的な打撃を受けており、自分自身の恐怖指数も最高潮に達しつつあります。昨年3月はまさにその局面が反転だった。 4月末日時点の株価と今の株価の比較。たった1週間でこの暴落ぶり...。 ダウケミカル$30.83 → $26.41 ▲16.7% 原油価格の下落も重なっている。今1バレル$75ドル!決算はEPSで$0.10以上予想を上回ったのに・・・。 フォードモーター$13.02 → $11.61 ▲12.14% 4月の米国の販売台数は前年比+25%だったのに...。 フィリップモリス$49.08 → $46.22 ▲6.2% まさしくユーロ安が直撃!欧州でのマルボロ販売が主体の当社はきつい局面。 アボットラボラトリーズ$51.16 → $48.72 ▲4.7% 今期もEPS10%成長は為替に関係なくいけそう。「ヒュミラ」の米国内販売が回復。「ヒュミラ」はファイザーの「リピトール」の特許が切れた後、世界最大のブロックバスターになるとの声も出ている。「ザイエンス」も世界第二位の薬剤ステント市場である日本で初登場第一位の売り上げ実績だった。私見では業績絶好調。むしろいかに「ヒュミラ」への業績依存度合いを薄めるかに苦心する皮肉な結果になっている。「ヒュミラ」が売り上げの30%にも達する。 米国株の上位4銘柄がこの状況で、ドルベースでの年初来の貯金を使い果たし、為替ベースでも円高でトータルでもマイナスに沈んでしまいました。 今日はこの中でアボットラボを落ちるナイフかどうかわかりませんが、どうせ夏には10%程度増配が確実な勢いでもあるため、買いに出ました(取得平均株価ベースの配当利回りがたぶん4%ぐらいになるはず)。今年の第一目標は配当株の押し目買い。第二目標は米銀株の買い。後は祈るばかり...。運が良ければ月末はもうちょっとましな数字になるでしょう。結局最後は運任せ。 応援よろしくお願いします。
2010/05/07
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4月30日付でTOBにかかってしまった、ユニチャームペットケアを早速売却しました。3815円で、TOB価格3825円より10円安い(約0.3%安値)価格で、応募ではなく、市中売却しました。4000円以下では安すぎる、と思っていましたが(自分の評価軸では、4000円~4500円が妥当)、持ってても時間の無駄であり、合理的に行動することとしました。 本来なら株式交換すべきだと思う(そうすれば安い交換比率でも将来のアップサイドを親会社株主と共有できるから。また親会社側の発行すべき株数も少なくて済む)。投資家は皆、親子とも成長余地があると見ているはず。 平均取得単価2705円でしたので、+41%のリターンでした。投資ストーリー通りの業績の推移をしながら、100%以下のリターンで売却するのは正直残念です。 しかし、今日のような天の恵みの調整局面ではキャッシュを持っていることが最大の強みである、という点を優先させることにしました。 このように考えると、「運がよい」 と前向きに考えることとしました。 これが2005年~2007年の天井だったらもっと真剣に、価格を考えたかもしれません(考えてもどうにもならないだろうが)。 早速、ツムラ、花王、参天製薬に買いを入れ、分散させましたが、もともとディフェンシブな銘柄ばかりで、日経平均ほど下げ幅は大きくなかったようです。花王以外、買うことはできなかった。 贔屓だった、久光製薬は結構高くなってしまった。 ベネッセは異常に高い。特段ユニチャームへ復讐などという気はないのですが、前から配当株コレクターとしては定番商品ですので花王は長期保有を前提とした場合、持っていて損はない(リターンも大きく期待できないが)。 20期連続増配への経営陣の投資家に対するメッセージを買った。今期はエコナ処理もなく、化粧品・海外がどこまで盛り返すかと言う点が課題だが、そう簡単に解決しなさそうです。 コーポレートガバナンスについて私のような投資家が、本件のような激安TOBの成立を増やすのでしょうか?日本のTOB制度に文句はいっぱいあるものの、個人の利益としては今回の行動は正しいと思います。 DCF以前に、経営者の事業見通しが保守的すぎることが問題で、第三者委員会はその辺をきちっとチェックしたのか疑問。元々当社の業績予想は保守的すぎることで市場では有名でしょ。二神社長は国内市場中心に10年で売上高倍増と言っていましたが・・・。今回海外進出するのですよね。親会社の子会社株主への配慮もゼロに等しい。通常のM&Aだと将来のシナジーの一部をプレミアムに乗せるし、実質親会社とはいえ、完全コントロールできるプレミアムも必要なはず。 DCFという評価方法自身も割引率やら資本構成(借入金を増やすと資本コストが下がる)やら、割引率の前提となる類似会社(ベータ値の採取)などテクニカルには恣意性の入る余地は十分ある。 シティグループのユニチャームのアナリストレポートに今回のTOB価格が 「高い価格」 と記載されてあったが、1年前の景気のドン底状態で、同じ会社がユニチャームペットケアの目標株価を4000円とアナリストレポートでは評価していたので、「何言ってんねん!」 という感じですよ。 (今日、ユニチャームの株価は日経平均が3.3%も下げる暴落相場の中、4.7%も上がっていたことが、割安な買い物であった何よりの証拠。普通、TOBの買い手の株は下がるもの) 実に不愉快だが今日を持ってマインドをリセットしよう。 話変わってマクロ経済。マクロ的には、現在の局面では、見るべき指標としては米雇用統計が依然本命だと思う。PIIGSなんてまだ脇役にすぎない。PIIGSが良くないことは1年前もよくなかったし、今急に悪くなった話ではないはず。何をいまさらという感じ。私はJTやフィリップモリスのホルダーですので、南欧・東欧の経済・財政状態は企業の説明からある程度推測ができます。要するに、財政が悪い国ほど、たばこ税を上げたがる(したがってフィリップモリス株は今よくない)。そこに、立場を守りたいS&Pやムーディーズがトドメの一撃を見舞ったまで。格下げになる前から悪かった。 しかし、ドル高ユーロ安が進むことは、以前にも書いたが米国企業業績にマイナス。一方、ドル高は資源・エネルギー価格の安定化には効果が大きい(メキシコ湾原油流出事故にも関わらず、1バレル80ドルを切った!)。1ドル95円程度なら日本には好都合。ガソリンが1リットル130円台はちょっときついです。 現在の混乱は1~3か月かかっても、どこかで一定の決着をみるだろうから、そうなるとユーロ売りの買い戻しが猛然と入る可能性もあるため、結局1ユーロ1.30から1.35に落ち着くと見ているが...。時間がかかるがドイツやフランスの輸出が伸びれば、やっぱりユーロ高になりますし。中国の金利動向はダークホースかもしれない。ただし、雇用統計の結果を受けても、相場が戻らない場合も考えてキャッシュを持っておくことは重要かもしれない。非農業部門の雇用増加は既定路線かもしれない。その場合は米国株の買いチャンスが到来する。 応援よろしくお願いします。
2010/05/07
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日中は日経新聞の観測記事でしたが、夜改めてプレミアのHPを見ると、取締役会が決議したとリリースがありました。 これで、私の保有するJ-REIT3銘柄は全て再編に絡むことになります。アドバンスレジデンス → 民事再生したニューシティレジデンス日本レジデンシャルを新設合併という珍しい形態で買収。MIDリート → 関西電力がMID(旧松下興産)を買収。もれなくMIDリートの運営会社のスポンサーもオマケつき。プレミア → 運営会社の大株主、中央三井信託とケンコーポレーション保有株他をNTT都市開発が買収 アドバンス(伊藤忠)は規模拡大、残り2社はスポンサーがB級からA級に格上げといった感じ。 ただし、野村不動産や森ビルといったA級スポンサーでもコンプライアンスはC級なリートもあるから用心しないといけないが、さすがに関西電力やNTTがこのような姑息な利益相反はしないだろう。ホルダーとしてはこれ以上望むべくもない。会社の信用力なら日本1位、関西1位のスポンサーが保有REITに就いたことを素直に歓迎したい。 ただし、REITは現時点で売却する予定は全くないので、含み益より分配金の増強策(バリューアップ)により注目しています。 アドバンスレジデンスは具体的な動きはまだなさそうですが、負の暖簾を生かし、物件売却損を相殺できるので、ポートフォリオの入れ替えが進みそうです。ニューシティの物件を安めで買ったので借入金返済に充ててほしいです。 MIDリートは、銀行団に差し入れていた不動産物件担保の全件解除に成功しました。どうせなら担保に入れたまま、銀行にスプレッド引き下げを要求してもらった方がホルダーへの利益になっただろうが、金利はなかなか下げなかったのだろう。資金調達は安定化した。関西電力の存在感をやっと示した。 プレミアは今年、投資法人債150億円の償還が課題でした。従来、75億円は物件売却による返済、残り75億円は銀行団から調達するということで、中央三井アセットマネジメントの社長がプレミア運営会社社長に就任した、と理解していましたが、中央三井信託は住友信託に買収されますので、住信側のご意向に合わなかったのでしょうか???そういえば日興アセットもプレミアの運用会社株主のようでした。住信としては親のご威光を示したかったのか??? NTT都市開発は第3者割当で30億円拠出する、と言っている。使途は新規物件の買収資金の自己資金のようです。割当価格34万円はPBR1倍割れなので、30億円程度で済ましてほしいなあ。新規物件の取得なので、分配金の希薄化が起こるか起こらないか、複雑な心境ですね。ホルダーとしては、投資法人債のリファイナンスを「NTT」のご威光で乗り切ってほしいものです。そしたら携帯をKDDIからドコモに変更しよう(なーんちゃって)。30億円は物件取得に使うんですよね?プレミアリートの価格は1日で15%もJump up していました。 応援よろしくお願いします。
2010/04/27
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配当金再投資制度(Divided Re-Investment Program;DRIP)とは、企業の配当金をそのまま同じ企業の株に投資するものです。 端株でも買いつけてくれます。配当から税金控除された金額で買い付けます。日本ではこのような制度はなく、米国で盛んです(ETFや投資信託で再投資できるが個別銘柄はないはず)。私は米国のオンライン証券である、Firstrade証券に口座を開設して、株を買いました。 なぜDRIPなのか?ジェレミー・シーゲル教授の「株式投資の未来」(日経BP)に記載されています。その威力が。この本は私の株式投資のバイブルのような本でして、私の投資方針の半分近くはこの本をヒントにしています。「配当は大いにものをいう」と記載されています。再投資で買い付ける株は手数料が無料であること、投資先企業が増配を繰り返すと、再投資資金となる配当にも複利効果が働くことなどが挙げられます。とくに2008~9年にかけた時期ですら、増配を行っているような企業へ投資すると、株価下落局面においては買い付け株数が増加するため、ディフェンシブ銘柄でも株価上昇期には大きなリターンが見込めます。一種のドルコスト平均的な考え方ですね。極めて低コストですが。 DRIPに向いている銘柄(私見)相対的な配当利回りが高い企業頻繁に増配を実施し、減配の心配がない企業でしょう。株価下落局面では、配当利回りの大きさが株価下落のクッションになります(あまり大きく株価を下げない)。ただし、不況で減配、となると話は別ですので、減配の心配がない(小さい)企業であることが重要です。 米国S&P500銘柄の約1割に当たる50~55社程度が、過去20年以上連続増配を行っていると言われています。プロクターアンドギャンブル...54年連続増配ジョンソンアンドジョンソン...47年連続増配 の両ダウ銘柄がその筆頭です。日本で有名なアフラックやウオルマートも20年以上の増配実績があります。第一生命も努力するのかな?(ちなみに第一生命の時価総額は1.6兆円、アフラックは時価総額2.5兆円) したがって、製品(あるいは商品・サービスの)単価が小さく、顧客が多数分散されており、市場シェアが高い企業で、利益率の高い企業、固定費が小さい企業で大きな設備投資の必要のない企業(設備投資は「資本を食う豚」、もちろん配当には熱心な企業、したがって業績のボラティリティの小さい企業、がDRIPに向いている企業と私は考えます。 日本でも花王・武田薬品工業やエーザイなどの企業が10年前後連続増配を実施していますが、武田やエーザイは主力製品の特許切れもあり、(減配の心配はそれほど大きくなさそうですが)増配記録は途絶えそうです。P&GやJNJのすごさがわかると思います。 私は何に投資したのか?フィリップモリスインターナショナル(PM)です。 買値50.75ドル、過去12ヵ月EPSベースのPERは15.7倍、経営者の2010年の見込みEPSベースのPERは13.3~13.5倍です。今の相場や過去のPER水準と比較しても、高くもなく安くもない水準ですね。おおむね今のS&P500の予想PER(NTM)の水準とイーブンだと思います。既に楽天で保有している株数と合わせると、平均取得株価は43.1ドルになります。配当利回りは平均取得株価ベースで5.38%です(今年増配すると6%近くになるはず)。 なぜPMなのか「バイブル」、をお読みになられるとわかります。また、私が個人的に最も信頼できる企業の一つでもあります。もちろん過去のPMとこれからのPMでは、事業ドメインやリスクや規制など全く展望が違いますが、切り札マールボロは永遠に不滅だと思っています。この数週間、ギリシャ問題で南欧から東欧にかけた地域の売り上げが芳しくないことと、ドル高ユーロ安で株価を下げていましたので、ゲットに向かいました。この株は、たぶん 「塩漬け」 になると思います(バイ&ホールドの予定) Firstrade証券についてはまた機会を設けて書きたいと思います。 応援よろしくお願いします。
2010/04/24
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表題は20日の日経新聞夕刊1面の記事です。 内容は、日本の年金基金の半数以上が新興国への資金配分を増やす方針と回答したとのことで、JPモルガンアセットマネジメントが131基金にこの3から4月に聞き取り調査したそうな。131基金のうち、2010年度は52.9%が新興国株を、26.7%が新興国債券を増やすと回答したそうです。ちなみに新興国債券を減らすと回答した基金はゼロだったそうです。一方、2009年度の実績で外国株の運用を増やした基金は23.1%で減らした基金も23.1%だったようです。2010年度以降に、日本株式を増やすと回答した基金は3.3%で減らすと回答した基金は32.8%に上ったそうです。 感想うーん。日本の年金基金運用者の方は金融リテラシーが乏しいのか、私の知識が浅薄過ぎて彼らの深謀には及ばないのか? ふつう、金利が低下するところでリスク意欲が高まって株価が上昇する、と言われています。金利が上昇する局面では、債券に投資妙味が働くため、株式から債券に資金が流れやすいといわれています。一方、債券(たぶん国債だろう)は金利が継続的に上昇すると価格が下落するため、含み損を抱えやすくなります。つまり、金利上昇が見込まれる市場には投資妙味はあまり大きくありません。金利低下が見込まれつつあるときに債券に投資することはタイミングが良いと思います。景気が下火な時に株式投資をするとちょうど良い。 私が銀行員1年生で勉強した金利と株式・債券の基本的な関係でした。 今起こっていることは、新興国、つまり中国利上げ懸念増大、インドも少しずつ切り上げています。さらに、連日報道されるPIIGS関連のソブリンリスク。 いや~、大事な基金の運用担当者としては「灯台下暗し」という言葉を知らないのかなあ?世界中のアナリストは2010年、「オーバーウエイトジャパン」と言っているのに。 この記事を読んだとき、自分の退職金はJALのような運命に逢うのか、と考えないだろうか? 幸い?私には退職金制度はない。 もっともこういった基金が10年以上どっしり腰を据えてその新興国に投資するなら別ですが、仮に長期スタンスを貫けないのなら、日本の優良企業で配当利回りが2.5%以上の銘柄にでも投資した方が、よほど年金資産が健全に保てそうに私は思いますし、自らの保身にもつながる。 たとえばインドのIT企業に不正事件があったとしてムンバイ市場が暴落した場合と、日本の花王とか武田薬品に投資して、インド株のインデックスの半分のリターンしかなくとも、複雑な為替リスクもなく、しっかり配当をゲットしているのとどちらが保身につながるか、とか私なら考えますね。 一方、国内株式に人気がない、というのは、日本株が過小評価されるきっかけにもなるか、ますます外国人投資家に蹂躙されてしまうかのいずれかになるのでしょうか? 応援よろしくお願いします。
2010/04/20
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ゴールドマン・サックス(GS)のCDO販売時における情報開示が不十分だとしてSECが訴訟した、としてニューヨーク相場は大きく下げました。(大きく下げた、といってもダウ平均で1.1%、S&P500で1.6%程度ですが)CDOを金融機関に利回りの高い商品として売る一方、その商品を空売りするヘッジファンドがいた、という事実を隠していたというもの。ヘッジファンドとはポールソンという今やジョージ・ソロス並みの資金量を誇るヘッジファンドオーナーで、サブプライムバブル崩壊時に大儲けをした人として、有名な人です。 意味することは政治的に金融機関を追い詰めることができなかったが、ついに「鬼の首をとった」という象徴的事件。サブプライムの勝ち組で、ライバルがいなくなったので独り勝ち状態だったGSを追い詰めた。かつ、前財務長官もGS出身者だったというキナ臭い面も断罪できそう? つまり、政治ショー。この後の金融機関制度改革等の法案を有利に進めやすい。出すぎた杭は打たれるのですな。中間選挙もありますし。 仮にGSがやっていた、となれば、モルガンスタンレー、バンクオブアメリカ(メリルリンチが吸収されている)、シティーグループ他もあるのではないか、つまり二次事件の発生可能性。 単純に、利益確定したいと投資家が思っていたところに、都合の良い売り材料があった、という市場心理。 などが考えられます。私自身は、住宅取得のための税控除が切れる来月以降には住宅指数関連が軟調になることが予想される、ドルの対ユーロでの上昇スピードが速すぎる(ギリシャショックが尾を引いている)、などで、どこかで市場が落ち着きから下落に行ってほしいと思っていた最中の出来事。 ただ、景気回復による企業利益の回復は予想をやや上回るスピードのようですし、投資家心理もかなり強気に思います。したがって私の上記のメインシナリオでは乗り遅れそうです。目当て企業の決算発表を見て、行動を起こす可能性も十分でてきました。GS関連記事の広がりと企業決算内容の双方で買い付け目標株価を下回ってくれれば、と思います。GSショックをネタに買い時を探る、という感じですが、私の考えは(これまでを振り返った場合)市場の平均的なものに過ぎないので、ワークするのか心配です。 応援よろしくお願いします。
2010/04/17
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選挙の票集めのため、というシンプルな理由がもっとも似合います。 以下矛盾点の羅列 中小零細企業やその勤務者を救いたい、はずの政権、政治家。しかしゆうちょ銀肥大化は地域中小金融機関の弱体化を招く可能性がある 集まった資金の運用方法、中小企業融資と言っています。余計にそういった金融機関と競合する。 そもそも中小企業には「前向き」な資金需要は少ない貸出ノウハウが難しい、そのくせ、儲からない 国債運用にさらに傾倒すれば、「分散投資」の原則を大きく逸脱する。 え? そもそもなぜ金利0.1%にも満たない預貯金にお金が集まるのか、という推理が働く、自分が最も矛盾している??? →親方日の丸だから安心だろ その日の丸の台所事情や信用状況が怪しいから限度額を拡大しているのじゃなかろうか? 冷静に考えれば、集めた金の使い方を縛られた(たとえ自由化されてもヘタクソの可能性が高い)資金運用者にお金が集中することが市場原理から矛盾しています。 応援よろしくお願いします。
2010/04/07
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久々に投資の話です。独断と偏見が満載です。 やや脈絡のない文章ですが、安全投資のパラドックスと「長期的視点」で経営したいコーポレートガバナンス保守派の経営者にとってはますます肩身の狭い世の中になっていく、という結論です。 国内では公的年金も企業年金も株式による運用に及び腰になりつつある報道が相変わらず多いように思います。 欧米の年金基金は 「長期的な」 運用拡大を目的としているため、株式への運用配分は日本の年金に比較すると多い割合で保有しています。様々な論文上では、株式で運用することが、20年~30年スパンでみた場合、最も有利な運用先であることは解明されています。カルパースもノルウエーのSWFもこのバブル崩壊で大きな痛手を受けてしまいましたが、だからと言って、株式市場の重要性を否定しているわけではありません。 要するに、1個人ベースで紐付けした場合、年金は掛け金を支払って、実際受け取るのには平均でも20~30年単位(仮に25歳で初めて掛け金を払い、55歳で完了し、65歳給付だとした場合、55歳のときに拠出したお金でも10年間寝かせていることになる)の長い視点で物事を考えることが出来るため、年金は長期的運用が出来る、というのがロジックの源になっていたと思います(当然この長期間のインフレをヘッジしなければならない)。 これを忠実に展開しているのが、先進諸国の年金運用のスタンダードだと思います。 ただし、日本では80年代末の株式バブルがあまりにも行き過ぎていたことと長引くデフレのため、このようなグローバルスタンダードが信用できない悲観状況に陥っており、株式投資は単なるバクチという発想で債券が中心的運用商品という考えが、「常識人」の中でデファクトスタンダード化してしまいました。(なぜか投資の入門書には、「プロの解説者」により、よりボラティリティの大きい日本株よりも、過去安定的に上昇している外国株式の方が高リスクと紹介されている。私にはまったく理解不能である。為替差損以上に株式リターンが出ているはずだ)。 さらに、「長期的発想」が得意な 「はず」 の日本人はどういうわけか、目先の運用成績の巧拙にとらわれており、株式市場で運用した損を過大に取り上げ、日本国債を中心とした安全運転(のつもり。万が一国債金利が暴騰したらどうするのだ?)にこだわっているところも私には理解が出来ません。 最近でもGPIFの運用損失が大きかったことに国民の預かり金でバクチをしているかのように殊更大きく報じられています(原口積極運用派と長妻消極運用派の対立軸が報道されていますが、「バクチはやめて」というメッセージがお茶の間に伝わる報道ぶりが多い)。長期的な物事が考えられるのなら、今まで以上に株式市場でどっしり構えて運用できるはずだと思います。株は配当だって生み出すので、馬鹿な国の国債のクーポンより有利なはずです。 ここまでは年金基金のお話。安全投資しているつもりで、それで本当にいいのか?という話。 さらに、「いつか来た道」である持ち合い株式の解消による売りが3月の株価上昇の重荷であると言われていました。事業会社・銀行等が2005年~2007年ごろの高値で買った株をこのどん底で損切りしているとのことです。国際会計基準という「制度変更」を悪者に仕立て上げ、かつての「血の交わり」のような資本提携の大義名分は、あっさり否定されそうです。 株を持ち合うことで、「長期的な取引を優先し、経営を安定化させること」が持ち合いの大義名分であったにもかかわらず、短期的なバブル崩壊による株価暴落による大量損失を恥じ、国際会計基準・金融制度改革という単なる会計上の「アヤ」で、かつて持ち合いに踏み切ったその 「中長期経営の精神」 の象徴があっけなく崩壊するとは、ブラックユーモアも甚だしい。 個人投資家は冷静になっているのかわかりませんが、日本株より新興国の株式投資に向かっていますが、相変わらずコストの高い証券会社のパッケージ投信(一任勘定に等しい)にお金をつぎ込むなど私には理解不能である。 最近はETFのようなわかりやすくコストの安い商品が出ているので、投信も必死となっていることだろう。ETFの方は私も持っているし、投資の透明性という観点において、投信より理解可能である。これは便利だ。 独立系投信もチラホラ出てきたが、どういうわけかリターンを追及しているというより、安易に「共感」を募ってお金を巻き上げ、結局狭い日本市場から抜け出せないというのも理解に苦しむ。 本当にリターンを追求するならグローバル投資は欠かせないことは、独立系投信のカリスマ経営者は知っているはず。彼らは海外での運用経験を持ち合わせているにもかかわらず。要するに安易にお金を募集することに主眼を置いたため、「共感」に力を入れたのでしょう。長期投資を標榜するならなぜ今海外企業の株もポートフォリオに入れないのか?それでリターンを追及していると言えるのか? お茶の間でも、日本市場に外国人が積極的に買いに来ていると聞いても、半信半疑で「なぜ 『こんな日本』にそれほど魅力があるの?」 という報道記事であふれている。 外資、国内を問わず、今年の日本株式市場はオーバーウエイトされていることは、昨年末から盛んに言われています。 結局、日本株に国内年金離れの懸念、株式投資バクチ論の再燃、持ち合いの解消、投信の様子見投資、日本人の新興国ブーム、外国人の日本株買い等、結果として外国人の持ち株割合がまた増える可能性がある。 日本企業は日本の風土に合わせた経営体制でいいではないか、という保守派の議論(要するに、私には単純に変化を拒んでいるだけにしか聞こえない)がまたそのうち勃発して、買収防衛策のようなおかしな制度が出来上がるのだろう。 それもこれも目先の株価にまどわされた短期的なモノの見方から端を発している可能性が十分にある。長期的に本当に経営できているのなら、いまさら「グローバル展開がカギ」なんて言葉は出てこないはず(私の就職活動のときは「国際派」という言葉がはやっていた)。 キッコーマンは私の学生当時(1980年代後半)からアメリカで醤油を製造販売していました。東洋水産の「マルちゃん」アメリカのスーパーにあったような気がする。両社とも今はご覧の通りの「グローバル企業」(注:ただし、当時最も海外展開が進展していた小売業者「ヤオハン」はその後破綻した)。 このように日本の企業もグローバル化している企業はますますグローバル化し、田舎議論でお茶を濁す3流企業との「格差」は一層大きくなっていくことでしょう。 結果的にこういった株式離れ(株式市場に背を向けたガバナンスを含む)がますます外国人比率を高め、結果的に経営者に「開国」を迫るプレッシャーになっていく、というパラドックス。国民の多くはこのようなシナリオを本当に望んでいるとは思えないが、ゆっくりと時間をかけて実現に向かっているように思います。 応援よろしくお願いします。
2010/03/30
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米国では、巨大金融機関に対し結局「大きすぎて潰せない」という議論が再燃しており、ボルカールールにより、大きくならないような規制をかけようとして、迷走中となっています。しかし、サブプライムバブルののち、米地銀や小さい信組は100以上の金融機関が破たんしています。 対岸の出来事をみて、「米国金融帝国の復活は道遠し」というエコノミストやマスコミがたくさんいます。いつも思うのだが、こういった人々はまたバブルを繰り返したいのだろうかと思ってしまいます。論調はおおむね「(2007年ごろの)絶頂期と比べれば、今は全く駄目だ」という感じ。 話は変わって、おひざ元の日本では、小さくとも潰せない状況にあります。いまさらペイオフにおびえている人や金融危機再燃になるとも思えない。しかし、いろいろ法律を作ってゾンビ銀行を生き延びさせているのも実際の話。すべてを調査していませんが、日銀・旧大蔵天下り先の銀行もたくさんあるように思います。 動物は子供をたくさん産んでも、生き延びるためにはたくましくなくてはなりません。白熊も鳥もすべての子供を養う能力がないので、弱い子供はあえて積極的に育てようとしませんが、それが種が生き残る道だと本能で理解しています。 21世紀でも護送船団方式を継続していてはどうにもなりません。こういった金融機関に預金をしている人の運用先も国債だったりするからか、天下り先確保のためか、騒ぐ人がない中で仕分けすべきことがまだあるように思います。生き延びるべき金融機関もやがて細っていくでしょう。オーバーバンキングは今に言われていることではありません。 応援よろしくお願いします。
2010/03/17
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シティ・グループ パンディットCEO 米国政府の支援により、何とか一命と取り留めた金融機関の株が急騰しています。バンクオブアメリカとシティ・グループ。サブプライム後の強気相場1周年記念という面もあります。 株価はそれぞれ年初来11.9%($15.05→16.85)、16.7%($3.40→3.97)と好調です。私は1Q、2Qはまだ不良債権処理が残っているので、年後半が勝負だろうと思っていましたが、こんなに早く投資家が殺到するとは意外でした。 米銀に強気になる理由はほかにもあります。CNBCの人気コメンテーター、ジム・クレイマーの解説がわかりやすい。 1:不良債権処理のピークアウト2:金融制度改革(ボルカールール)の限界3:シティのパンディットCEOの強気発言(冒頭写真)4:資本増強の完了(規制対策、株価の希薄化がない)5:配当再開期待6:商業不動産相場のボトムアウト7:差し押さえ?(Forecloseの間違い?)の減少8:銀行セクターはずっとアンダーパフォームしている9:消費の回復10:雇用の増加 一言でいえば、米国経済の持続的な回復期待感が強くなってきた、ということにつきます。 あまり楽観的になりすぎてもいけませんので、付け加えると不良債権処理がピークアウトしたというには早すぎますが、前回の決算の一部の指標やクレジットカードの延滞率などはピークアウトの傾向を見せています。しかし、住宅ローンはそろそろピークだろうという推測ができますが、はっきりと数字に表れるにはもう半年から1年程度かかると思います。しかし、不良債権がピークアウトを迎える先行指標が雇用と消費者動向ですので、こちらが先に建設的な動きがあることが不良債権ピークアウト期待を呼んでいるといえましょう。商業不動産はここ2から3か月、価格が下げ止まりつつあります。米国のファンドマネージャーはホテル等の不動産株を推奨しています(広瀬隆雄さんも昨年末ごろからスターウッドあたりを推奨されていました)。しかし、住宅税制支援が切れると、元の木阿弥という説も依然捨てきれません。 ボルカールールの限界は結局、極端な規制を敷くことはできないだろうという面が最近では出つつあります。医療制度改革もかなり後退していますし、日本と違い米国では、市場ルールを規制する動きは歓迎されないようです。 シティ・グループのパンディットCEOはこれ以上の景気悪化が起こらない前提で「Citigroup is well-positioned to return to sustained profitability」とIRで宣言し、最悪期を脱して次のステージに向かっていると自信を示しました。2012年に資産収益率を1.5%に改善するといいました。WSJの試算では、達成できればEPSは0.66になるそうです。仮にPERが15倍とした場合、株価は$9.90になり、現在の約2.5倍に達します。ジム・クレイマーは12ドルになるといっています(注:彼はCNBCのコメンテーターなので、嘘はつかないですが、やや株式相場には強気な発言が多い)。 一方でシティの株価に強気になるためには、1:政府保有の27%の株の放出、2:決算で実際に不良債権処理が改善していることを2四半期程度示す必要がある、との慎重な見方もあります。 決算を待ってから買うべきか、今買うべきか、これが勝負の分かれ道?住宅取得税制支援の終わりが4月にあります。ここで弱気派が勢いを増す可能性もあります。夏ごろの住宅価格や中古住宅販売動向がカギでしょうか(当然に雇用の改善を前提としている)。 日本の税金で救出した企業に外資が資本参加すると、「外資に買い叩かれた」 という情緒論が飛び交います。なぜ日本人の血税を入れた会社を外資にもうけさせるのだ、と。 そういう御仁、今あなたも外資を 「買い叩く」 チャンスがゴロゴロ転がっているのですぞ。自分が儲け損なったことで、他人が儲けたことに文句を言うのはみっともない。 もっとも「買い叩いた」と言えるのは、スーパーリターンを出した後に振り返って、「あの時の安値」 という具合に言われるので、今外資を買い叩いても、1:そもそもリターンが出るのか、2:まだ数年先の話 という点で気の早い議論です。 私自身はシティ、バンカメはジャブを打った程度の投資額ですが、それでもポートフォリオをけん引しています。機会損失をぼやくのか、喜ぶべきか。 おっと、米国債の第二位の債権者は日本でした。シティやバンカメ、AIG、フレディマック、ファニーメイ等に注入されたのは間接的にはわれわれの「血税」だった可能性もありますね。 フレディやファニーは米国政府の潰さないお墨付き(2012年までは債務超過にならないよう全面的な資本支援を約束)があるので、これは日本政府が旧長銀に付けた「瑕疵担保責任条項」と性質的には同じだと思います。 応援よろしくお願いします。
2010/03/14
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あまり大した話題でもないですが、最近思うことを羅列。 PIIGSだ、出口戦略だ、デフレだ、と相場を脅かす話題に事欠きません。先週は一気にラリーが続き、少し拍子抜けの感がありますが、個人的にはまだまだ強気です。下がれば絶好の買い場です(といいつつ、1円でも安く買いたいので、タイミングを逸しがちですが)。 CNBCあたりでも、多くの投資家やストラテジストは、10%程度の調整の後は強気相場が再開されるという人が多く、長期的に投資を考える人は今がチャンスだ、という意見が多かった(特に米国の大企業)。 ただし、株式相場にお金が来るほうが利益になる人たちの意見ですので、割り引かねばなりませんが、私は彼らに同感です(しかし、皆が同じ考えだと、それが一番危なかったりして)。 世界の30%弱を占める米国経済、米国経済の70%を占める個人消費、つまり米国個人消費は世界の20%弱を占める計算になります。これが世界経済の一大ドライバーであることは、まだ当面変わりない事実です。昨年夏ごろから、すこしずつ個人消費の源泉である米国雇用が回復傾向にあることは間違いありません。 米国の経済指標もおおむね回復傾向を示していますし、企業決算も強く、自社株買いや増配の声も出ています。失業率は、「求職をあきらめた人」が求職を再開するため、分子が増えるという計算上のアヤがあるものの、就業者数はジリジリ増加していきます。 最大のポイントは、就業者数の増加により、住宅ローンやクレジットカードの延滞率がピークアウトし、住宅価格の安定感が出ることですが、下落懸念があるうちは物価の上昇も期待できず(したがって低金利を余儀なくされる)、緩やかな景気回復が持続されると期待します。住宅価格は一応、4月の税控除終了ののちは、住宅購入シーズンに入ることもあり、ある程度持ちこたえそうですが、若干の下げを経験したのちは、再び緩やかに増加するというのがコンセンサス。仮にダメな場合は、追加の刺激策を検討中。これは米政府も腫れ物に触るように取り扱っていますね。 米国の個人消費も、消費警戒感から貯蓄率が上がるとの意見がありますが、すこしずつは改善していくでしょう(1から2年はかかりそう)。短期的にはトヨタ問題が長引くと、消費に影響が出るかもしれません。 トヨタには、製品だけでなく、経営もグローバル化するための試練と思って、踏ん張りどころだと思います。こいと言われなくとも、自ら米国に乗り込んで、消費者や労働者に語りかける度量がほしいものです。米国人雇用者も立派なトヨタ社員のはずです。 アメリカ社会が荒れないか(犯罪など)心配ですが(米国に住むわけではないので、余計な心配ですが)、ジョブレスリカバリーが2011年も継続せざるを得ない可能性はありますね。アメリカという国は、時々こういった過ちを犯してしまいますが、時間をかけてそれをはねのけて次の成長につなげるたくましさがあるので、今回も数年かかっても、結局復活すると思います(基軸通貨ドル安という、ボーナスがありますが)。 この辺が中国やインドとの経済政策の場数の違いかもしれません。 米国債の大量発行の継続、FRBのMBS債買い取り終了など今後も市場を脅かすネタが出てきそうですが、米国の金利を引き上げ、PIIGS議論でユーロから資金を引き揚げ、中国景気過熱感など結局、米国債にお金が集まるネタが続きそうな気配です。PIIGS議論も米国に資金回帰させるための遠謀だとすれば、ガイトナー君、あんたはすごい! 米国債のAAA陥落説がありますが、短期的なマグネチュードは大きいかもしれませんが、中長期的なインパクトはどうなんでしょうかね? 企業の場合、ゼネラルエレクトリック、ファイザー、バークシャー・ハザウエイが昨年、AAAから落ちました。しかし、落ちた時はいろいろ騒がれましたが、今大きく困っていることはありません。バークシャーはAAになってから鉄道会社を買収しました。 日本も「ボツワナ並み」、「勝手格付け、余計なお世話」 と騒がれましたが、低金利が継続しています。 米国の場合、AAになると、政治的ダメージが計り知れないという議論がありますが、では、中国、日本、米国機関投資家・年金基金等が一斉に米国債を売るのか、といえば「NO」のはずです。これらが売却に動けば、自殺行為です(売却が価値の下落を加速化する)。中国が、文句を言うでしょうが。 したがって、米国債空売り行為のマグネチュードだけが心配です。 米国債には亀井郵政担当大臣という、強力な助っ人もいますしね。ゆうちょ銀の資金、米国債で運用も 亀井大臣が見解asahi.com 外為特別会計の議論の本質を菅さんは大臣になるまで知らなかったらしい。相当の経済音痴としか言いようのない。政治家(民主党)の経済認識レベルに愕然。外為特会の積立金活用、前向きにとらえたいが議論必要=菅財務相(ロイター) ご参考それでも為替介入をお望みですか? 09/12/3応援よろしくお願いします。
2010/02/22
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昨年は、損失を繰り越しただけでしたので、郵送で済ませましたが、今年は税務署で申告しました。 還付金が受けられることになりました。子供手当てが満額出た場合の、1ヶ月弱程度ですが。 今年は、20年の繰損21年の国内株式の譲渡損21年の外国株式の譲渡益21年の国内株式の配当21年の外国株式の配当 を損益通算しさらに 外国株式の外国税額控除 があるという複雑さ。さしずめ、「確定申告 複合」(ノルディック複合に引っ掛けて)といったところ。譲渡損益は派手に利益が出たり、損失が出るのでジャンプ、配当はコツコツ型なのでクロスカントリーといった感じかな?(ついでに言えば投資国も日米なので、クロスしている) 20年の損切りと21年初頭の損切りで、大きくK点を越える損失を出してしまったので、21年のジャンプとクロスカントリーの追い上げむなしく、まだ 繰損貯金? が残っています。 損益通算はさほど難しくないのですが、外国税額控除が本を読んでもわかりにくいので、税務署に行きました。結局、職員さん(外国税額控除のことを知っている職員さんも気をつけないと少数派の可能性がある)の言うとおりパソコンで入力しただけで、来年自宅で出来るのか不安ですが、配当金の明細(配当額、外国税、日本の所得税・地方税)をしっかり作っておけば、さほど難しくなく、還付額は自動計算されてしまいます。 要するに、日本の証券会社で米国の課税と日本の課税の二重で源泉徴収されるため、米国課税の一部を支払った所得税を基礎に控除しましょうということです。 また、注意が必要なのは、外国株式の譲渡益課税。楽天証券では明細を作成してくれませんので、自分で計算しなければなりません。明細は、「実現損益」の画面に日付け指定をして、計算されたものに、12月末の為替レートを利用して計算しましたが、これでいいのか、職員さんにはそこまで聞けませんでした。 職員さんお疲れ様です。 相当混雑していましたので、職員さんも大変そうでした。外国株式の場合、譲渡所得程度の知識はお持ちですが、外国税額控除となると、最初の2人は知らないので、3人目の人に代わってもらいましたが、彼は間違っていた。最後4人目に30~40代ぐらいの手慣れた女性職員に聞きましたが、彼女は電光石火の如く、入力してくれ、「詳細は検算しますが、今日はこれで提出してください」とテキパキと裁いてくれました。これで還付額がアップしたので、彼女が女神に見えました。 税務職員の人も、それがプロ、といってしまえば身もふたもないのですが、いろんな人がいろんな税控除の相談をあちこちからかけられて(私の近所には、医療控除、住宅取得控除、私のような株に関する控除と様々)、即座に回答していました。さすが。 しかし、税ってのは慣れてくると、政治家の票集めもあって、税法改正でまた一からやり直し、になるので、大変ですね。一番ドタバタするのは職員さん。お疲れ様です。がんばってください。
2010/02/21
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キリン側の発表 加藤社長「統合比率を詰める以前に、上場企業として独立・透明性を維持する上で考え方が一致しなかった」 サントリー側の発表 佐治社長「断念の理由は統合比率。日本で大きなシェアを確保して海外に余力を振り向ける考えだったので、今後の事業に影響がないとは言えない」 あれれ??? これぞ「ザ・企業文化?」の違いか? それとも上場非上場の違い? 一方、ライバルアサヒビールは奇しくも、この日泉谷直木専務の新社長の就任会見だったが、キリン-サントリーの件についての感想攻めにあっていました。こちら側は、「(キリン-サントリーに関係なく)成長は海外戦略しかない」と言い切りました。昨年、中国の青島ビールに出資した際、先方のCEOから、アサヒを選んだ理由は?と聞かれて、「アサヒはグローバルじゃないから」といわれてしまいました。 この海外戦略はキリンもサントリーも両社長さんは口にしていました。 忘れかけていたもう1社。相変わらず株主さんとコミュニケーションが良くないようですね。米スティール、サッポロHDに取締役10人の選任を株主提案 (ロイター1月22日) 以下省略 4社4様で、どうなることやら。 私の保有する食品・生活必需品セクターの銘柄に、フィリップモリス・インターナショナル&アルトリアグループがあります(元々1つの会社でした。08年に分社化しただけです)。このフィリップモリスは元々タバコをメインにした一大食品コングロマリットを形成していました。ミラービール、ゼネラルフーズ、クラフトフーヅ、ナビスコを傘下に持っていました。1990年ごろ、より統一感を持たせるために、フィリップモリス社はゼネラルフーズ出身者をCEOに据えました。 米銀JPモルガンの現CEO、ジェイミー・ダイモン氏は元々保険会社トラベラーズグループ出身で、シティグループの次期CEOレースに破れ、地銀でCEOをやっていたところ、当該地銀をJPMが買収しました。その後、ダイモン氏は親会社JPMのCEOになって今日に至っています。 あのゴールドマンサックスも、ブランクファイン氏は買収先から発掘されています。 必ずしも、買収先の者が上り詰めるわけでなく、生え抜き主体の企業(GEやP&G)やCEO決定時に外部招聘する企業(業績不振で、変革を必要とする場合に多い)、買収先から抜擢する企業等、要は社長が次の社長を決めるのではなく、取締役会でその時点のベストチョイスを行っているのですね。 海外で互角に競争したいのなら、それなりの覚悟が必要に感じました。特に後追いの日本企業にははっきりした危機意識と変革が海外の先行企業以上に必要ではないでしょうか? 最近の日本からは、何かを変えなければいけないが、うまくいかない、そんな空回りが伝わってきます。政治でも経済でも。残念ですね。それとも、もうひと踏ん張りでしょうか。 もちろんアメリカの企業も初めからうまく行っていたわけではなく、フィリップモリスも1970年代は買収後の統合で結構苦労や失敗をしていましたし、今回もウォールストリート神話が崩壊する等、たくさん失敗しています。 しかし、何かをやって失敗して、次に学んでいる点と、何もやらずに何も学ばなかったのとでは、積み重ねが大きな差になっているように思います。何もやらないリスク。今のアメリカの経済政策は1929年の大恐慌と日本のデフレから学ぼうとし、実践していますね。 統合比率や人事など基本的な枠組みはトップ同士で(ある程度)握るなど、学べそうなものはありますね。「日本だから仕方ない」、ではさびしいな。そういうことを言う企業ほど、「グローバルに成長」と言ったりしますね。 個人的には、佐治社長のご発言が、スーパードライ以上に切れ味抜群だったというのが感想。サントリーはまだ何かやりそうな感じがしました。 応援よろしくお願いします。
2010/02/08
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と言っても子供名義の口座です。 同社は 「親権者の同意」 があれば未成年(小学生2人)でも口座開設を認可します。わが楽天証券では未成年はお断り。 以前から子供名義で貯金していたお金がありました(親戚のお祝いとか将来のためにとっておいた)。25%は個人向け変動金利国債、25%簡保、残りは定額貯金としていました。 国債はとりあえず残し、簡保は「簡保の宿」宿泊のために残してあると言った感じです。 定額貯金部分は、このまま寝かしていても 「死に金」 に近いので、運用をしようと考えた次第です(また民主党の政策に反対の意を唱える観点もあった)。 子供といえども、「進研ゼミ」(親子2代で受講)の年間購読料とかスイミングスクールの月謝とか結構な金額になりますし、請求書がまとめてくると心理的にも、「本当に役立っているのか」 と妻に問いただしてしまいたくなります。(悪い癖で、投資効果をすぐ思い浮かべてしまう) そこで、「子供の費用は子供が稼ぐ」 という原則を思いついた次第です。 運用対象は、私も保有しているJ-REITのETF(1343)と配当株(プラネット、2391)でとりあえずスタートさせました。REITのETFは今の時期からですと、恐らく今後10年間で税引き前6から7%程度のインカムゲインが期待できますし、プラネットのような優良企業(規模は小さいですけど)だと、「擬似債券」のような運用が出来るだろうと考えています(現在の配当利回りは約4%で、社長さんは増配に強いこだわりがありますし、十分可能なビジネスモデルと財務内容)。ダウンサイドは10年単位で考えると小さい(下がったらナンピン買いを積極検討)。 まだ、予算の4割程度しか使っていませんが、今後半年から1年程度で、下値を拾って、彼らが成人した時にはいくらになるのか、非常に楽しみです。(成人すると、当然に本人のものになりますし、色々お金がいるだろう) 運用対象はREITのETFとプラネットに似たような増配志向の株になると思います。自分が投資していて、かつ、「カタイ」先になりますね。 相場のほうは調整局面のようになってきましたね。業績も経済指標も悪くないが景気見通しが弱くなるのはある程度織り込まないと仕方ないのかもしれません。財政出動が小さくなってきますから。ドル・ユーロ相場でドル高に戻ってきている(欧州のソブリンリスクだと思うのですが)のがちょっと時期が早いかもしれない。中国発、円高相場は頭の片隅にありましたが、早くドル金利上昇の経済前提が整わないかと、やきもき、します。 応援よろしくお願いします。
2010/01/27
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私の今週の最大の関心ごとです。GDP速報値が29日発表になります。第3四半期が結局2.2%だったのに対し、第4四半期は一気に5%台(年率換算)の高い水準が見込まれています。 在庫投資の期ズレによるものだそうです。自動車買い替え支援の後を受けた自動車の増産の影響などが大きい模様です。その次の週はまた雇用統計ですね。12月のリバウンドが期待できるかといった点が注目されます。このGDP成長率5%のインパクトが市場にどう反映されるのか、とずっと期待していたのですが、今週は、「オバマ対ウォール街」を引きずるのかなあ。医療制度改革を表明してから、ヘルスケアセクターのパフォーマンスは良くなかった。金融制度改革を表明すれば、金融セクターのパフォーマンスは悪くなるのか?これまでは全セクターに影響が出ていますね。 このGDP成長率、比較的慎重なゴールドマンサックスの予想では(GSは5.8%の予想)、2010年第一四半期以降、勢いは低下(1Q予想は2.5%と半分以下)していくと見られています。在庫投資は一過性であり、その後の消費はまた小さい回復にとどまる。ジョブレスリカバリーが継続する(根拠は景気の回復と雇用の回復の相関性は歴史的に徐々に小さくなっており、景気回復初期の雇用回復スピードは落ちているという分析結果がある。特にITの発達で生産性がさらに改善している可能性が高いとのこと)。消費者の貯蓄意識が高まる。商業ビルの空室率、差し押さえ物件の増加等、民間投資が抑制される材料に欠かない。貸し渋りが継続しそうである。財政出動が尽きる。 といったポイントが上げられています。しかしながら景気循環的な需要も強いため、差し引きすると当然プラス成長になると予想しています。(モルガンスタンレーはもっと強気な予想でしたが) 「オバマ対ウォール街」を市場が引きずった場合、相場は軟調な予想が出来ますが、CNBCのインタビューとか見ても、大きく調整されれば買う、というファンドマネージャーも結構いましたので、大統領が市場を挑発するような発言がどこまで続くかという点が反発ポイントを見る上で重要でしょうか?大統領も、あまり引きずると、経済に悪影響を与え、結局政権のクビを占めることになることぐらいは先刻承知でしょうから。 私は思わぬ下落に、今年最初の出動機会を伺うことになりそうです。中国要因は念頭にはありますが、利上げ又は通貨の切り上げは、避けて通れない関門であることは承知ですから、ゆっくり眺めておきます。 日本は相変わらず、100兆円近い国家予算より、悲惨なハイチの状況より、4億円程度のことで大騒ぎなんでしょうかね。「地震先進国」の貢献度合いよりも、ボロ雑巾のような政治とカネで世論をあおるつもりなんでしょう。アメリカが国家総出でハイチを救済するのは政治的な側面がアリアリですが、阪神大震災15周年を記念するなら、そういった支援を行っている日本ももっとPRされてしかるべきですし、鳩山さんも演出が下手。マスコミは論外。残念なことです。自分たちのことで精一杯で国際貢献に手が回らないという風に見えてしまった。 検察の記者会見はないのでしょうかね。(拷問のような尋問の末に)自白のリークで逮捕に持っていくような感じですが、早く民主党さんも、自白の全容をビデオ撮影する法案を可決させるよう努力してください。検察側の拷問は人権侵害に価するという話もあるではないか。 地検特捜部の状況についてはダイヤモンドオンラインの上杉隆氏のコラムにすごいことが記載されています。要するに地検側は証拠不十分だから、世論を使って逮捕劇に持ち込むと。上杉氏の言い分が本当なら、地検特捜部自体を瓦解させねばならないだろう(もちろん政治と金がよいと思っているわけでもありませんが、少なくともこの時期でなくてもいいと思う)。小沢問題で検察リークに踊らされるメディアへの危惧(私は既存マスコミに非常に懐疑的な目で見ている一人として、彼のコラムは毎週楽しみにしています) 今の民主党から小沢さんを抜いてしまうと、中田英寿氏抜きにワールドカップに出る今のサッカー日本代表と同じぐらい党が腑抜けになってしまいそう。 応援よろしくお願いします。
2010/01/25
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企業収益よし、経済指標はまずまず、政策が? といった感じですね。相場に急ブレーキをかけるような格好となってしまいましたが、言い換えれば押し目買いのチャンスが来たかもしれませんね。 かつて、ジョージ・ブッシュ大統領(お父さんの方ですね)は、湾岸戦争で「砂漠の狐作戦」を成功させ、当時のイラク大統領だったフセインに一泡吹かせました。彼の支持率は上昇しましたが、翌年戦費などによりアメリカは不況に陥り、ビル・クリントンに大統領の座を追われる羽目になってしまいました。クリントン大統領は、第一期はスキャンダルだらけで、第二期も不倫騒動など決して政権運営はうまくなかったのですが、経済が絶好調だったために2期8年を勤め上げました。金の切れ目は縁の切れ目なのかもしれません。失業率が10%を超える可能性は大統領就任時からオバマ大統領は言及していました。マサチューセッツ州でJFKの弟、故エドワード・ケネディの補欠選挙で民主党が議席を失うというのは、日本の民主党で岩手県(小沢さん)で議席を失うぐらい政権や政党にとって痛手だったのでしょう。 バーナンキ議長を辞めさせた場合、経済政策が連続しないので、その場合は本当の2番底も想定されます。 仮に、こういった市場の反応が全て計算ずくだとすれば、オバマさんはすごい人だ。 日経平均も思わぬ円高もあり、続落しそうですね。信越化学工業が決算内容が良くなかったため、6%も下落しました。シメシメと思うのは私だけではないと思います。
2010/01/23
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インフレ予想派の人々は商品投資を勧めますね。ジム・ロジャーズが筆頭でしょうか。 かれは需給の原則から発言していますが、私はそれ以外にも、ドル相場(ドルが安くなると相対的にドル建ての商品価格が釣り上がる)にも影響があると思います。ジムは米ドルをこきおろしていますね(注:私は彼の著作「商品の時代」を立ち読みした程度ですが)。穀物編の状況を調べようと思ったきっかけは、モンサントカンパニー(米:遺伝子組み換え種子の開発生産)への投資準備のためと、ユニチャームペットケアのリスク要因だからです。過去約40年はこんな感じ(農林水産省のデータより) 過去約40年間、生産量は1079百万トンから2197百万トンへと103.6%増加、需要量も1108百万トンから2184百万トンへと97%増加と生産が需要を上回っています。生産、需要とも年率約1.7~1.8%の増加率で推移しています。一方、期末在庫率の安全水準が17~18%と言われ、1970年代と2000年代初めにその水準に抵触していることがわかります。ただし、その時期以外の在庫率は比較的良好な水準に保たれています。最近の穀物騒動は中国の需要増加に加え、農業国における干ばつなどが原因だったと思われます。 これでは穀物危機なのか何なのかさっぱりわかりませんので、穀物の価格の推移を見てみることにしました。 農林水産省のデータをグラフ化してみました。左軸はトン当たり相場(ドル)で、右軸が主要穀物の在庫率となります。このグラフからは、在庫率が下落すると穀物価格が相対的に上昇し、在庫率が高くなると相場に一服感が出ることがわかります。前年の在庫率が低水準だと、翌年の相場が上昇しやすくなります。さらに、これに気候変動が加わると相場かく乱要因で、2008年は米国の利下げに伴ったドル安に乗じた投機資金などで相場が沸騰しましたが、2009年12月中旬ごろまでの価格はそれでも過去比較高めになっています。3つの商品の過去40年間のトン当たり価格上昇率は年率平均でトウモロコシが2.6%で大豆が3.4%、小麦は3.1%という計算になりました(1970年代中盤から2006年ごろまではほとんど変動差がなかったと思うが・・・。価格の変動のもっとも大きな部分は2000年代から)。参考までに長期で見た株式相場で得られる期待リターンはおおむね国債10年物金利+5~6%でしたよね。ちなみに、日本と米国の長期金利の金利差は過去20年程度だと3%で、ドル=円相場もその程度毎年円高になっているということのようです(国際通貨研究所等の書物によると)。米国の過去のインフレ平均率も、ざっくりですが、2%後半から3%台といわれていますので、穀物の価値は変化がなかったということでしょう(よく考えると、需要増加分だけ供給が行われていたのだから、当たり前のような気がする)。 過去のことを語っても未来はわかりません。未来はどうなるのでしょうか? 農林水産政策研究所の「2018年における世界の食料需給見見通し」で、世界食料需給モデルによる試算を行っていますので、それを参考にしましょう。ずばり、こんな感じ 基礎前提条件はこんな感じ 期末在庫率が少なくなるので、やはり需給はひっ迫する印象が強いのですが、名目価格でみた場合、なんとなくなだらかな増加に見えます。ちなみに、2006年の価格と2018年の価格を比較した年率増加率は小麦2.2%、コメ2.8%、トウモロコシ2.5%の名目上昇率となっているようで、過去の推移と大きく代わり映えしません(もちろん12年後には名目で30%以上のアップとなっていますが)。ちなみに、1970年からバブル発生前の2006年までの穀物の名目価格の上昇率は小麦2.5%、トウモロコシ1.7%、大豆2.1%でしたので、小麦で0.3%、トウモロコシで0.8%の年率アップは確実に高めに感じるでしょうね。 ただし、農林水産省では、これらの将来予想は、供給サイドでは単収(面積等単位当たり生産量のこと)の増加が今後も緩やかに増加することを見込んでいるのに対し(まさに、遺伝子組み換え種子等の技術普及を前提としており、モンサントへの投資を考える前提になっています)、リスク面として地球温暖化等に端を発する気候変動や土壌劣化などの環境面の影響はそれほど織り込まれていないようです。また、生産は予想全年で平年作を予想しています。したがって異常気象時等が発生すると穀物相場の変動要因といえそうです。したがって農林水産省では、この予測を過信しないよう記載していますので、悪しからず。 事実をまとめると、2018年までは需要と供給は、平時を想定すればややひっ迫するものの、なんとか平衡を保持している。今後10年の年率の価格上昇率は、これまでよりも高めで推移しそうである、しかし、3%以内である。気候変動等よほどのことがない限り、過去実績よりもやや高めで推移するが、仮に将来も円高が継続すれば、実質的に円ベースの価格の影響はさほど大きくはない模様。 これらから得られる投資のインプリケーションは穀物への長期投資は株式リターンを大いに下回る予想となりそうである(金利も配当もない)。アメリカの(平時の)インフレ並みの価格予想となっている。アメリカで大インフレが来れば当たり。来なければはずれ。インフレが来て価格がたとえ暴騰しても、需給の関係をみればバブルの可能性が高い(と思う。70年代の相場を見た場合)。あくまで分散投資の一つとしてのリスクヘッジにはなりうる程度かなあ? ということは穀物に限れば、商品の時代は来ない??? 来るとすればバブル期待?農家の生産も、売れそうなら増産し、売れなさそうなら減産するという姿勢で過去40年間は推移していました。 ただし、ジム・ロジャーズが著書で示唆している商品投資は鉱物資源や石油および砂糖、コーヒーで主要穀物は大豆程度しか触れていなかった気がします。彼のような投資実績のある投資家が分析調査したことと、私のような新米投資家の分析では説得力が全く違ってきますね(私は彼の得意な現地調査なんてやってませんし)。 少なくとも、投資リスクとして、無防備はよくないかもしれませんが、過敏になる必要性もなさそうです。アメリカの景気や金利、ドル相場の変動をウオッチしていくことで乗り切れそうな気がしたので、トウモロコシ相場の上昇に弱いといわれていた、ユニチャームペットケアを安心して買った次第です。 気象予報が得意な人はやってみる価値があるのかも?応援よろしくお願いします。にほんブログ村
2010/01/12
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前回の10周年講習会に続く出席となりました。楽天証券 サービス開始10周年記念投資セミナー 雑感 09/7/12 今回は前回より公演者の質的充実があったように思いました。今回の目玉は伊藤元重東京大学院教授でしたが、竹中平蔵氏やおなじみ堀古氏も公演してくれました。 基本的にこの3人が聞きたい人だったので、この時点で帰ってきました。3者3様のモノの見方でしたが、前回の榊原英輔さんや森永卓郎さんより質的な内容は充実していたと思います。大雑把な公演の解釈は独断と偏見が混じりますが、 全体的な論点では竹中氏と伊藤氏は食い違った日本のマクロ経済観があったのは驚き。3人ともテレビで見るよりはるかに生き生きとした表情で持論を展開されていた点はナマで見てよかった点(言い換えるとテレビではいいたいことを言っていないということですね)。 初めに、(証券会社の講演会ですから、割り引かなければいけませんが)3人とも共通する表現がありました。「何もしないのが最大のリスク」という点ですね。自分の意見に一番近かったのが伊藤教授だったので、感想は完全な独断ですね。 竹中平蔵氏基本的には本やTVと同じで、日本の経済はこれだけ政治政策がひどくてもこの程度で済んでいるのだから、そこが正しい方向を向けば、その潜在能力は高いはずだという感じ。変化を受け入れることの出来ない日本の社会(直接的には族議員と官僚組織)に警笛を鳴らす。中国経済はひずみが来るだろうと言っていました。いまや日本と同じGDPの国が10%前後も成長するのは常道を逸していると。上海万博以降は要注意とのこと。民主党の政策はバッサリ。民主党はいずれ市場と向き合う政策を採らざるを得ないはずだと(納得感あり)。景況感は夏以降に要注意といった感じ。需給ギャップは景気が回復すれば自然と治癒されるので、財政出動が必要で、その規模は数兆円単位とほのめかす。W型回復論者ですが、悪材料出尽くし感がないことが根拠のようです。 堀古氏おおむねこれまでの議論どおり。かつてトリプルAのものは大半が破綻や格下になった。米国債が格下されないリスクがない、とは言い切れない。金に投資しているといっていましたね。それはお金の印刷競争がまだ続くからですね。しかし、あれだけアメリカ経済に否定的なのに、なぜ年後半にダウ平均が反発すると言っているのか質問できればと思ったが、時間がなかった。 伊藤氏少しだけ日本経済について言及がありましたが、バブル崩壊以降、GDP需要ギャップはずっと存在していた、2004年から2006年ごろに初めてこれが解消されただけで、このデフレーター部分は根雪に近いものであり、これを除去しなければデフレは解消しないとのこと。私もこの意見に賛成です(解消は非常に難しいですけど)。竹中さんは景気がよくなれば解消するとご発言。世界のお金の流れは、先進国の富が新興国や商品に向かうのは今後もトレンドであるだろうと。世界経済についてはそれほど目新しいことはなかった。アメリカ経済の本質的な強さとアジア経済の復興にうまく乗っかっていくことに注目すべきという感じ。短期的なバブルの崩壊については、あるけど大きく気にする必要がないだろうと。アメリカ経済の本質的強さについては、企業が既にグローバルな点で各産業のリーダー的存在が多いこと、人口は毎年300万人程度の増加が見込まれること、これらは有色人種(ヒスパニッシュと移民)によってもたらされるが、移民の中には各国最高の頭脳を持ったものが大挙やってくるので、競争力がますます強くなるだろうと。これが、中国やインドよりも、もっと可能性を秘めた「新興国」だという意見(agree)。 竹中・堀古ご両氏は2番底懸念論者で、伊藤氏は取りこし苦労になる可能性を言及されていました。 まあ、いろんなご意見がありますが、物事を捉える時間軸を長めに取っておくと、世界経済全体はそんなに悲観する必要がないと思っています。日本経済はいかにおこぼれに授かるか、という見方は皆同じようですね。竹中・伊藤ご両人とも、マスコミや専門家の中身をよく選んで情報収集しろとアドバイスがありました。私はこのご両人は、多分大丈夫だと思いますが、果たして。 楽天なんだから、広瀬さんのご登場もお願いしたかったところ。
2010/01/10
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非農業部門雇用者数は8万5千人も減っちゃいましたね。まあ、とりあえずは想定の範囲内を少しオーバーしました。しかし、11月は実は1000人の増加だったという修正結果があり、曲がりなりにもプラスを経験したことも意義はあったように思いました。専門職やサービス業の増加が見られた一方、製造業では引き続き減少のようで、米国の製造業離れが進んでいるのでしょうか?ロイターの記事抜粋******************ただ12月は雇用が増加した部門もみられた。専門職は5万人、教育・医療サービスは3万5000人、それぞれ増加。人材派遣は4万7000人増加した。 製造業は2万7000人減少したものの、減少幅は前月の3万5000人から縮小。一方、建設は5万3000人減と、前月の2万7000人から減少幅が拡大した。サービス部門は4000人減と、前月の6万2000人増から減少に転じた。 12月の平均週間労働時間は33.2時間と前月と変わらず。時間当たり賃金平均は18.80ドルと、前月の18.77ドルから若干上昇した。抜粋終わり****************************一説には、12月は多くの企業の会計年度の終了時期で、「雇用渋り」があったとも言われています。1月にはこれらの分がまた増えるのでしょうかね。 投資家的には、1月底入れ、2月ごろから回復基調が従来路線だったので、今月はまだ許容範囲だと思います。市場もそれほど大きな反応を示しませんでした。大きなトレンドはゆっくりと確実にあるべき方向に進んでいます(ただし、財政出動期間が切れる前に片付けたい課題でもある)。S&P500はひょっとして低金利持続期待で下げ渋っていたりして(深夜現在NASDAQはプラス圏内)。来週から始まる4Q決算は、コストカットは当たり前だが(雇用が増加しないので当然でしょうね)、売上高が期待はずれ(これも雇用が増加しないので当然か?)になりそうで、2010年OUTLOOKのニュアンスに注目が集まりそうですね。円高に振れていますが、これも許容範囲内でしょう。ただし、ちょっと期待したので残念。中村俊輔がゴール前20メートル程度のフリーキックをはずし、結果的に勝てる相手にスコアレスドローになった日本代表の試合を見た気分(要するに決定力がなく歯がゆい)。しかし、あんまり急激に上がってもらっても追加投資できなくなるので、実は投資家は皆同じことを思っていたりして。
2010/01/09
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あー言えば、こー言う の典型か? 藤井前財務相のときは円高容認発言はケシカランといい、菅氏になるとうかつに為替に口出しするなという。多分、うかつに言わないほうがいいというのが正論だと思います。 しかし、当面の為替動向は、今夜の米雇用統計に神経が集中していると思います。これがポジティブだと95円ぐらい行っちゃうのではないか? 菅さんの発言なんて、目先の為替ディーラーにはかく乱要因でしょうが、経済界的にはまあ、リップサービス程度のものでしょうね。為替介入なんて、やっても意味がない。行き過ぎた円高のときにやれば外貨資産運用になるかも?(しかし、運用している場合の国家財政ではない)税金や日銀を使わずに円安に持っていったのであれば、とりあえず日本の現状を考えるとよかったのではないか?残念ながら国内の情勢よりも米国経済動向、金利動向が為替を左右している大きなトレンドを逃してはいけません。 仮に雇用統計の結果が落胆するもので、円高になってもそれは(数か月程度)我慢するしかないと思います。(個人的には、期待するものの、極端な円高にはもやはこの局面では起こらないように思うが) マスコミがおおげさに騒ぐその手に乗ったのかもしれませんね。「口先介入」。これは何回もやるとオオカミ少年になってしまいますが。さらに国債金利が高くなるリスクもあるので、今回限りがいいのではないかと思います。 菅さんには、かつての厚生大臣時代のような官僚改革に期待しましょう(けど、財務省だから、簡単ではないでしょうね。岡田外相の情報公開のようにうまくやってくれることを期待)。重鎮が重責にドンと居座って、政権も少し落ち着きがほしいですね(しかし、首相のコメントはまったく食い違っていたが・・・)。 通貨安売り競争について アメリカ 当然のごとくドル安是認 まあ、これまで世界各国はアメリカ人の借金で潤ったのだから各国とも容認せざるを得ないのか? EU サルコジが相変わらず、ユーロ過大評価は容認できないとの発言。スペイン、ギリシャ等そのうち叩き売りに合うので、心配なく?中国 元高は絶対にいやとの立場を崩さず。ほとんど為替操作状態。インフレにご用心を。韓国 漁夫の利とはまさにこのこと。ウォン安でサムソン、ヒュンダイほか韓国企業が大躍進(大躍進は通貨以外にも要因はあると思うが)。ウォン高になるともはや為替介入。日本 ついに円安期待を発言。ソニー、トヨタほかの復活なくして、モノづくり日本の再来なし? 相変わらずくすぶる為替介入議論。スイス 為替介入実施。ある程度財政が健全なら是認余地あり。 一方でアメリカ 基軸通貨の座は揺るぎそうにないし、各国ともドルは簡単に手放せない。 EU 米ドルをこきおろしている。ユーロこそが信頼できる通貨とか・・・。中国 密かに基軸通貨の座を狙っているらしい(正反対の行動をとっているが)日本 円高をある程度維持しないと、資源がなく食料自給率が低い日本には調達面で不利になる。悪夢のガソリン1リットル180円が再来か? 経済の回復とともにドル高に向かえばベターなのですね。ただし、ゆっくり回復しないと金利政策が大変なように思います。とにかく住宅バブルの傷が癒えるまでは。 JALの会社更生法適用は望ましい形になりつつある。民主党らしい透明性のある再建手法の活用はいいことだ。更生法を適用しても、飛行機は空を飛べるはずだ(誰があんな大きいものを物理的に差し押さえるのだろうか? 今こそDIPファイナンスが活躍できる。これならDBJは乗りやすいはず)。更生法を適用し、外資を活用し、税金と国益のバランスを取ってほしい。
2010/01/08
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株価が停滞すると決まっていわれる外国人の投資行動。特に最近では 「民主党の政策リスクを嫌った」といわれていましたね。 一方、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)が巨額の運用損を出すと、 国民の将来の年金を株式のようなギャンブル性の高い資産で運用していいのか?企業年金も株式のようなリスクの高い資産で運用するのを控えよう など、特に3月ごろは新聞でも大々的に損失額が報じられていました。 実際のところ、どうなんでしょうか? 果たして当の外国人は本当に民主党政権をリスクと思ったのだろうか?(私は思ってしまったが)。年金資金は運用が下手なのか? 12月上旬に「みんなの株式」が主催する東洋経済四季報セミナーがあり出席しましたが、その時に、配布された資料を元に(少し修正しています)、レッツ分析!リーマンショック後の限られた時間軸ですが、以下の通りとなります。 東証1部におけるいわゆる部門別売買の集計表で、マイナスは売り越しでプラスは買い越しで単位は億円です。私は部門別売買について基礎知識しか持ち合わせておりませんが、ざっくり、信託銀行=年金、自己=証券会社ぐらいしか認識しておりませんので、分析が大雑把かもしれません。 この時期に限って見ますと、信託銀行が買い越すと、外国人が売り越していますね。唯一9月だけが両者とも売り越しに転じました(個人がその分買い越ししている)。 2月から3月、日経平均ベースでは7000円前後うろついていた時期がありましたが、「年金の買いが入った」と言っていましたが、彼らの投資動向を見ていると、見事な逆張りと言えると思います。GPIFなどがよく、数兆円の運用損を出したといって叩かれていますが、トンデモナイ。確かリバランスの買いなどとも言われていましたが、年金の存在がなかりせば、日経平均は本当に5000円割れだった可能性もあります。あの2008年10月、11月に1兆円以上で買い越ししていました。 一方、外国人は3月頃まで、日本から逃げたように売り越していますが、その後世界株式市場が底値を打った4月頃から俄然攻勢に転じており、9月に売り越がありますが、それ以外は買い越しで終わっています。10月は今年2番目の買い越し。4~11月で約3兆円の買い越し! 11月だけを取り出しますと、さすがに外国人も第3週でモヤモヤが出てきた時に一気に売り越していますが、すかさず年金がほぼ同額分カバーしています。年金さんって株式投資うまいじゃん! そうです、年金と外国人はほとんど反対の取引をしているため、結果的には彼らのマーケットに及ぼす影響はリーマンショック後からドバイショック後の通算ではポジティブです。 したがって、リーマンショック後には、年金も外国人(3月以降)も日本市場には積極的だったと言えそうです。 特に9月以降の民主党政権に対する不信任からの売り、というのが外国人によるものではなかったことがわかります。一方、この秋口に売りを一生懸命やっていたのは証券会社の自己部門ですね。あんたら・・・・。証券会社が政治を動かす??? (その程度で動いてくれるのなら、むしろいいか)GPIFが実際にどの時期に投資判断をしているのかわかりませんが、我々は外国人よりも年金に学ぶ必要性があるのでは? と考えてしまいます。参考までに、シティグループのまとめた年別部門別売買動向を これを見ても年金と外国人の投資行動はかなり逆を行ってますね。証券会社のまとめた資料なので、自己部門の動向がわかりません。これをもってGPIFの運用が下手とも言えそうにないと思うのですが...。むしろ上げ相場でうまく売っていると感じました。 ただし、海外から、 デフレ、少子化、財政悪化という大前提があるにもかかわらず、危機意識が希薄な日本政府と国民意識 というのはしばし聞かれる話で 最近ではJapan Still Lacking Sense of Crisis, Says Asia Society's ParkerYahoo! Finance USAのtech tickerというコーナーでありました。ジム・ロジャーズがいっていることに近いですね。 株式相場にも中期的な影響をリスクと考えておく必要性は頭に入れておかなければいけないでしょうね。プロ野球、Jリーグ、大相撲そして株式相場も、最終的には 「外国人頼み」 が日本の実態。なんだか寂しいですが...。
2009/12/27
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最近読んだ野村とゴールドマンサックスの分析および楽天証券の堀古氏のダウ平均ETFネット講演から。 はじめにお断りいたしますが、証券会社の予想は、その時々ですぐに変わりますので、下記の各社の意見が当該企業の以後の予想で金科玉条にはならない点を留意しておいてください。プロ野球の優勝予想でも、ひどい人なんてゴールデンウイーク過ぎると変わっちゃう人もいますしね(笑)。軽い読み物という位置づけということにしてください。12月14日付 野村證券(グローバルストラテジーウイークリー)米国 18%日本 22% 12月11日付 ゴールドマンサックス(「US Weekly Kickstart」より)S&P500 13% → 1250 それぞれプラスだと言っています(上昇率の起点がレポート発表の前日終値)。 一方、楽天証券で解説した堀古氏は終焉近い株価回復局面ダウ平均にネガティブな予想をされています(数値予想はなかった)。彼の2010年悲観論は首尾一貫しています。 一応、野村証券は日米欧のアナリストがそれぞれ分析しています。(今回の一連の増資引き受けの大半の幹事になっていることは留意する必要性がある) 野村とGSは株価のバリュエーションは、予想PERベースでは水準並み(以前ダウ平均で見ましたが、私も従来からそう思う)と言う前提に立っています。 GSのレポートからS&P500の12か月予想PER (NTM P/E)、と12か月実績PBR(LTM P/B)のヒストリカル推移。強気予想の前提は企業のEPSは20~30%の増益が見込まれる(野村の日本企業予想は+44%)株価は適正な値付けがされている(米国の)資産デフレスパイラルは終焉している年間通じての低金利政策の継続が確実業績回復と低金利が主要根拠。Jobless Recoveryを示唆。 一方、堀古氏の悲観前提は資産デフレはこれから本格化(住宅価格と商業用不動産)リストラ頼みの企業収益は限界がある。雇用回復が必須2010年後半は財政支出の息切れ金利はもう下げ止まり。むしろインフレ懸念。GSと堀古氏は、年前半はポジティブですが、後半以降はやや弱気です。GSのS&P500指数の2010年予想は、年前半には1300に達し(+17~18%)、後半はFRB利上げ観測懸念から1250ぐらいまで戻すと予測しています。着地+13%アップ。 野村の予想は、米国の場合、おおむねS&P500レベルで1300を示唆しますので、GSの後半の下げがないケースに近いイメージですね。GSは+13%の上昇率は1928年以来、61番目の水準だとのこと(そんなにアグレッシブな数字ではないと言いたいのだろうか?)。ちなみに、野村は景気循環株に弱気で、ヘルスケアに強気ですが、GSは正反対でした。 GSの予想PERから察するに、米国株は2010年を通しても適正なバリュエーション(予想PER15倍前後)が維持される予定です。S&P500が1300の場合、15.8x、1250だと13.7xと言っています(当然企業収益が市場予想通りに推移する前提です)。 さらに2011年もEPSの増益を見込んでいます。したがって2011年も強気相場が継続するとみているようです。業績相場ということでしょう。2011年のEPSは2007年2Qに限りなく近づくそうです。サブプライムバブル期に戻るはずだと(本当ならすごいことだ!)。GSの向こう12か月間のS&P500予想(下記EPSは営業利益ベースとのことですが)。2010年に$90は2011年のミスプリだと思います。野村は景気循環株にはもう好材料が織り込まれている、と言いながら日本株に強気な結論は、円安の影響を織り込んでいますが、ちょっと矛盾あり。(米国の)ヘルスケアは医療制度改革があったりして、十分低いバリュエーションだと思いますが、GSが弱気なのもなぜだと感じました。ただし、予想PERと株価のトレンドについては納得感あり(私の個別ポートフォリオの予想PERも似たような感じ)。堀古氏の弱気予想は、2010年は米国の中間選挙という点を考慮していないことと(追加刺激策も辞さないと思う)、金利下げ止まりの場合、資産価格にはむしろプラスに作用するのでは、という疑問が残りました(彼はスタグフレーションを気にしていた)。けど弱気派の意見は常に引っかかるんですよね。頭のどこかに。3者に共通するのは、来年末には米国の金融緩和策のEXITが近いという前提です。 堀古氏の弱気論は多少マクロすぎて具体性に欠けるきらいがありますが、プロ野球解説者が「来年もペナントレースは盛りだくさんです」と言わないと盛り上がらないのと同様、マーケットの「プロ」も来年は盛りだくさんといっているのか、と思いますが、かといって、今やリーマンの知能を吸収した日本最強の野村と世界最強証券会社のGSさんの意見も無視できない、結局どっちやねんって感じ。が、個人的なファンダメンタルズ重視感覚からいくと、GS・野村よりな見方をメインシナリオと思っています。 尚、日本株を語る上で、必須な為替は、GSは2010年末に105円、モルスタは100円(フェルドマン氏)と予想し、野村もレートこそ記載がないものの、いくらかの円安を期待しているようです。野村の日本株強気論は円安に支えられています。潮目は円安に向かっています。これらは、年後半の米国の利上げ観測と日銀の追加緩和策を前提としているようです。が、為替や株式の相場予想は、竹中正治氏の 「相場予想庁」 パラドックス(ジョージソロスの理論に近いと思う)の例もありますので、みなが上がる、と考えるとその逆を突かれる可能性も残ります。特に日本の相場はそもそも業績予測が難しい業種が多い。野村さんのおかげで株式の需給という問題もある(だから余計ラッパを吹いているといううがった見方も否定できない)。鬼だけが笑う結果は避けたいなあ。(注:投資判断は各自でお願いします) 【ご参考】GSの米国経済のマクロ前提をご紹介 2010年の右肩下がりのイメージは堀古氏のイメージに近いと思う(これたぶん名目GDPだと思う) 一気に円安に振れますね。円が105円で原油が95ドルだと、ガソリンはまたレギュラー1リットル180円とかになるのでしょうか? 銅も金も高い(ドルが高くなって金も高くなるイメージが私には湧かない)。2011年の失業率10.7%!! でGDP2.4%成長は正直実感できない・・・。2010年の10.3%でS&P500が1250に達するというのも、株価と景気の「体感温度」差が大きいなあ。住宅投資がすごい伸び。GSさん秘策があるのかな?金利上がりませんね。が、もし2ケタ失業率でS&P500が1200を超えるのなら、米国企業の生産性や競争力はより一層強化されることを意味しますので、怖いですね(もっともGSはBRICs市場に強い、高いCF創出力のある企業への投資を勧めています)。仮に2011年のEPSも予想通りに推移すれば、これ即ち、奇跡的な 「100年に一度のV字型回復」 になってしまいます。その場合、雇用急回復局面が自然と発生するような気がします。2010年を乗り越えると、2011年はインフレなく体感可能な景気回復が待っているのでしょうか?それとも 「ニューノーマル」?
2009/12/20
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何でもドバイショック前は3兆円が目標だった予算きりつめが7,000億円弱にしかならないらしい。ふと考えると、この7,000億円という数字はJALに必要とされる公的資金に限りなく近いので、仮にこちらに流れた場合、結局何も切り詰めることが出来なかったことになるのではないだろうか???あの事業仕分け作業は何だったんだろう? 識者の人も2度と協力する気がなくなってしまわないかが心配。ドバイで議論されているのは金融債権のはずで、ゼネコン等の一般債権の回収不足が表面化したわけではないし、仮に貸し倒れた場合、それは当該企業の与信管理ミスに過ぎない話です。 かつ、しっかりした情報を収集すれば、それほどあわてなくともいいと思う。米国の景気回復感と経常赤字縮小、家計のバランスシート調整の進展等、米利上げ観測が盛り上がってきたので(実際の利上げは遠いと思いますが、投機に歯止めがかかってきて、底が見えつつあるというはポジティブと考えます。例えば80円台前半はかなり難しくなったと思う)、にわかにドル高・円安に傾きつつあります。これは民主党さんの待望の状況ではないでしょうか? 藤井財務大臣 円高はある程度やむをえないし、将来の商品価格高騰の際には円高の方がいい。菅副総理 もっと円安になって欲しい。 あれ? 44兆円も同じような感じでしたね。戦略なき、場当たり的議論が続いている。 ドバイについてはこのような分析がある。「ドバイショックの背景と今後」国際通貨研究所あの仙石氏でも、このザマ。霞ヶ関に徐々に手玉に取られつつある民主党。やっぱり、記者クラブを潰せなかった内閣府と首相自身の献金(贈与?)問題などが躓きの原因。 企業の予算で考えると、売上高予想を先にやってトップダウンで数値目標を各部署に示して、後は現場と企画セクションで議論するのがフツーの状態。先に現場から、「これだけ必要だから、足りない分は借金してくれ」 「わかった借金する」 などと言う経営者の存在する企業なんてあるのかな?ストレスの溜まる社会ですが、風向きが徐々にいい感じになってきています。
2009/12/12
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コップに水が半分はいっていたとします。A:たった半分しかないB:半分も入っている 皆さんはどう思いますか? 【以下引用】 [ボストン 8日 ロイター] 米国大手企業の最高経営責任者(CEO)が参加する経済団体のビジネス・ラウンドテーブルが8日発表した調査で、米国のCEOの経済見通しが第4・四半期に改善したことが分かった。ただし大半の会員企業には、まだ採用拡大や設備投資増額の用意が整っていない。 調査回答企業の68%は今後半年間に売上高が増加すると見込んでいる。しかし増収見通しを直ちに投資に結び付ける意向はなく、今後6カ月間に国内設備投資拡大を見込んでいる企業は40%にとどまった。31%は国内での人員削減を予想した。【引用終わり】ビジネスラウンド・テーブルのホームページ これがサーベイの結果の抜粋です。第3四半期 → 第4四半期 売上高増加を見込む人 51% → 68%設備投資増加の見通し 21% → 40%雇用を増やす見込み 13% → 19%雇用を減らすと答えた人 40% → 31%もっともプレッシャーのかかるコストは? ヘルスケア 要するに社会保険料。オバマさんの支持率が低下。 このサーベイに回答したEOはベライゾン、ゴールドマンサックス、AT&T、IBM、フェデラルエキスプレスといった大企業が含まれているらしい。 設備投資意欲が芽生えつつある(繰り延べしていて我慢に限界があるのだろう)、雇用も増やしたいという気持ちが芽生えつつある、という風にも考えられます。千里の道も一歩から。 設備投資を増やそうと考えているCEOが増えるということは、日本のモノ作り系企業も、本当の底が見えつつあるかもしれません。円高もそろそろ底が見えてきたかもしれません(バーナンキさんがドル高に冷や水を浴びせましたが)。円高の再進行と日経平均の下落、次の底は最後の底?
2009/12/10
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米雇用統計はポジティブサプライズ! 'Numbers Are Almost Too Good to Be True'(CNBCの記事のタイトル) が、ここでは弱気派の発想で考えてみることとする。ひっきりなしに言われる2番底懸念。2010年の株式投資を考える前に、まず、2番底とはどのような状況を指すのだろうか??? それは株価の下落・急落だろう。それが一番怖いから。とにかく株価が大きく下落・急落しないと株式投資家としては2番底とみなせないと思います(急落でない底は株式投資家から見れば底とは感じないと思う。単なる調整)。ダウ平均が7000~8000ドル台に落ち込むことを2番底と仮定してみよう。おおむね現在の値から25~30%の下落。 ここでは、米国のダウ平均で考えて見ます。日経平均が世界に先駆けて急落するリスクよりも、ダウ平均が急落して、その影響を受けると考えるのが筋。デフレ・円高や民主党の政策リスクは結構織り込まれている(ここ2・3日で急騰したが、一時的だろう)。 ダウ急落の仮想原因は? 投資家の意表を突く出来事である必要性がある。サブプライムもジワリと下落し、リーマンブラザーズの破たんの後、金融機関に公的資金支援を議会が一度は拒否したことが元凶だった。実体経済の悪化で下落したのではなく流動性リスクで下落したのだった(実態経済は2008年8月頃すでに自動車販売が対前年比マイナス30%とか言っていたが株価は大きく反応していなかったはず)。 今想定できる2010年のワーストシナリオ1:金融危機の再来シティグループやAIGがチャプターイレブンにでもならない限りあり得ないだろう。政府が深く関与しているこれらの金融機関は、「潰さない」 と約束したようなものだ。公的資金を入れるのかは微妙だが、債務保証などの策を講じる可能性はある。むしろバンカメが増資により公的資金を返済するといったモードになっている。可能性は大きくはない。米国に資金還流する仕組みを米国が放棄するのは米国の国益に反する行動です。 2:新興国リスクドバイショックならぬ新興国発の経済危機は意表を突く可能性がある。中国辺りは要注意かもしれない。過熱化する中国景気が破綻すれば、商品価格の急落を意味するため、一気にロンドン・ニューヨークに飛び火する。中国の国内金利引き上げ・元のドルレート引き上げが吉と出るか凶と出るか、私にはわかりません(元高・ドル安→円高? ドル安だと幾分商品価格急落も和らぐはず?)。ありうるシナリオ。 3:最大公約数的なシナリオA:雇用回復進まず、B:長続きする高失業率のおかげで、C:消費が失速する、D:住宅ローン延滞率が高止まりする、E:このため競売物件の増加、F:強いては住宅価格の下落、G:デフレに陥ってしまう、H:不良債権処理が続かず信用危機となる、と言った感じでしょう。これらの結果、GDPやマクロ指標が芳しくなく、投資家が嫌気を指すという感じか?しかし、デフレ対策?のためのドル安、低金利・流動性大量供給という側面もあるのでは?雇用は12月に一気に盛り返し気味になってきた。今の現実論は、2010年の見通しとして、GDP2%前半台、失業率9%台、延滞率のピークが夏ごろといったシナリオなので、弱気派の言い分をマーケットはある程度、織り込んでいると思われます。したがって想定の範囲内。 4:インフレリスク国債増発懸念、財政規律派の意見ですね。中国が元レートを維持したい場合、ドルを何で運用するのかという問題もついでに関連する。政治密約があったんじゃなかったか? 2010年で発生する可能性は小さいのでは? 仮に米国発世界インフレが起こると、ダウ平均はかなり影響を受けるだろう。「出口戦略」 とあわせて考えなければいけない問題。 しかし、疑問に思うのが消費。マクロな消費がよくないのは上述の通りなのですが、ぜいたく品に回復の兆しがあるのです(しつこく言っていますが)。11月のトヨタレクサスブランドの売上高は前年同月比何とプラス14%だった、とWSJは報じています。金融状況がタイトなこの時期にレクサスを買える人は即金で車が買える金持ちで、金持ちは金を使い始めている。オバマ政権の富裕層向け減税の廃止・実質増税は気になる。 したがって、新興国リスクが最悪シナリオかもしれない。次にインフレシナリオ。が、この想定する2シナリオは全く相反する経済インパクトをもたらす。 参考までにダウ平均構成30社のPERによる株価水準を考えてみる。 2010年にEPSベース38%増益という高いハードルになっていますが、09年の1Q、2Qに赤字だった企業もあり、やや異常値とも言えるボーイング、アメックス、バンカメ、シェブロン、インテルなど50%以上増益する企業を除くと12.3%増となる(注バンカメは増資するためEPSが希薄化される可能性が高い)。1929年~2000年までのS&P500のEPS平均成長率は5.6%。配当利回りは3.7%(ただし、1982年以降は3.0%)。これまで2009年2Q、3Q、4QのS&P500の各社がアナリストの予想利益に打ち勝っている確率は70%以上あります。単純平均ベースですが、予想PER14.2倍かつ、予想配当利回り2.6%のダウ平均に30%もの下落リスクが、どの程度あるのだろうか?ちなみに、ゼネラルエレクトリック、ファイザーや銀行は昨年減配を実行済みであり、現状大きく減配の心配のある企業も見当たらない。3%以上の配当率ある企業は、大きな下落の心配はないだろう。 今の株価水準が「歴史的に高値」という根拠がわかりません。確かに実績PER25.7倍(2008年実績)は高い水準ですが、これとて、バンカメ、アメックス、JPモルガンの金融勢とデュポン、インテルなど08年4Qに大幅に赤字転落した企業を除外すると16.6倍にまで落ち着きます。即ち、今は景気の大激変期であり、巡航速度ベースの物差しで測定することに無理があります(S&P500の過去100年の平均実績PERは15.8倍)。 結論としては、ノーマルな景気減速の場合、株式投資家はせいぜい10~15%程度のマイナスを覚悟すればよいということではないだろうか?(甘いかな? このくらいの下落は株式投資家なら、常に意識しているような気もする) むしろ私は年間で見た場合5~10%の平均的な上昇の方が確率が高そうな気がしています。比較的収益が安定している、コカコーラは予想PER16.8倍、配当利回り2.9%、ジョンソンエンドジョンソン13.05倍、3.1%、P&G15.5倍、2.8%、インテルの配当利回りも2.8%もありますね。「値がさ株」のIBMの予想PERは9.89倍、世界最大時価総額企業のエクソンモービルも12.7倍、で配当利回りが2.2%です。 もちろんPERや配当利回りに関係なく落ちるときは落ちるんでしょうが、ダウ平均がグングン上がるという事象だけを持って、 「バブル」 とか 「上がりすぎ」 と判断するのも早計であるような気がいたします。特に日経新聞の論調がブルームバーグやWSJ等と比較すると慎重すぎるような気がします。 さらに、雇用統計の回復基調を受けて、投機資金が株式市場から抜けてくれれば、本格的な業績相場の様相を呈してくるはずです。その場合でも今のダウ平均は結構いい水準であるような気がします。投資家の期待値が中国での業績拡大に依存していることを除けば。 日経平均は中国リスクの場合、電子関連が直撃弾を食らう可能性がある。また、ダウ平均が15%程度下落した場合、日経平均がそれ以上下落しそうな脆弱性を備えている可能性も高い。この場合、日経平均の2番底は視野に入る。要するに日経平均は米中に振り回される展開で、その意味では政治も経済も 「貴方任せ」 の日本の構図は悲しいですね。 「曇り時々晴れ・所により一時雨」 の天気予報に長靴やカッパを着て外出することもないと思います。もちろんそういうリスクを完全否定するつもりもなく、非常食と折りたたみの傘を持っていく程度の用心は必要でしょうね。投資を前提にすれば、自宅待機が最大のリスクかも?
2009/12/06
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個人的には円安になると、盆と正月がいっぺんに来たような感じになってハッピーだ(ドル資産の円換算ベースの上昇と日本株の上昇で資産運用利回りが大幅改善するから)。 しかしながら、それでも尚、円売りドル買い介入はやめた方がいいと思う。仮に介入するとすれば、その本質的な意義や目的をもつべきだと思う。たとえば95円ぐらいまで押し戻して、その間企業には再編を促して、輸出ドライブと事業再編で税金をたくさん払ってもらえる企業を作り、歳入を増やすなど。貿易黒字が増えても企業黒字が増えなければ国家財政には意味がないはず。テレビを作るメーカーは国内で3からせいぜい4社で十分だ。現在の為替介入議論は、地方が不況に陥ったら(無駄な)公共工事をやれと言っているレベルとさほど変わらないと思う。株式市場で苦しんでいるブローカーたちが「公共工事」を催促している。いや、公共工事は建築物という立派なコンクリートが残るが為替介入は何も残らないのではないか?借金以外。竹中正治氏他国際通貨研究所の方々の購買力平価を前提にすると今後とも緩やかな円高は不可避の流れであると考えられるからである。それと前回の介入時点と外部環境が違っている。米国経済は「治療中」でモノを買ってくれる体力が乏しい。それよりも、米国消費に依存しない世界経済の成長をこの前G7だったか20で話し合ったはずだと思う。なぜ為替介入がよくないのか?1年以上前のこんな記事がある。以下引用2008年10月29日[東京 29日 ロイター] 財務省は29日、外国為替資金特別会計の評価損が急速な円高進行で23.9兆円に上ったことを明らかにした。1ドル95円で算出したという。円高が進行すると外為特会が保有している外貨資産の評価損が増えるため。これに対して、外為特会の剰余金の積立金については19.6兆円とした。 中川昭一財務・金融担当相は、為替市場の動向について「ここ数日の間に急激に円高になった。大きな変化は実体経済に影響を与える」とした。含み損を抱える外為特会のリスク管理については「細心の注意を払う」と述べた。衆院財務金融委員会で民主党の階猛(しな・たけし)議員の質問に答えた。引用終わり 日本の外貨準備金は中国に次いで世界2位の水準にあると言われていますが、それは総資産だけを語る企業財務の様なものでして、調達原資のことを考えなければならないと思います。かつて邦銀の強さを総資産や預金だけで比べて、世界トップ水準だと喜んでいたのと同じレベルの話。これは財務省の外国為替特別会計に関する概念図を引用しています。PLだけを考えると、外貨の運用(米国債の金利と考えていいと思う)から政府短期証券等の利払いを差し引きしたものですが、良く考えると、為替介入する際には政府短期証券という借金をしているのです。為券を発行し、円を調達し、その円でドルを買って円を売る。上記ロイターの記事はBSサイドの側面を当時の国会答弁で言っており、95円で24兆円の評価損だとすれば85円だとどうなるのだろう??? 火曜日のワールドビジネスサテライトでは1円の円高で1兆円の評価損が発生すると堀古氏は言っていた。膨大な評価損と言わねばならない。今、事業仕分けや八ツ場ダム等で1000億円、1兆円単位の予算切り詰め議論がなされている中、国家予算の数分の1の金額が、あれよあれよで飛んでいくのである。事業仕分け(特にその方法論)など枝葉末節の議論に聞こえる。 再び財務省から17年度末の外貨準備金特別会計のPL、BSを抜粋しました。このBSを見て財務分析のイロハがわかる人は、え? と思うに違いありません。平成21年度末は為替換算差損益がどうなるのか怖くて見られません。資産サイドは平成16年度か17年度以降、為替介入がないので、円ベースでは大きく資産が増加する要因がないはずです。たぶん評価差損の金額が劇的に変わっていると思います。日本総研が2007年に試算したところによると、外貨準備金で運用する外貨の「損益分岐点為替レート」は1ドル122円とのこと。為替差損分の為券は永久に(ひも付きの)返済原資を喪失することになります。したがって為替介入を仮に肯定する場合、その目的をはっきりしないとだらだら公共工事と同じ効果を生みかねません。為替介入により、輸出企業が潤い、税収が増えるというシナリオを描く場合、今のドングリの背比べの様な企業をもっと効率化して強くて利益がいっぱい稼げる企業に集約しないと費用対効果が乏しい結果になりかねません。電器メーカーを例にとった場合、上場大手数社全部合わせてもサムソン1社の営業利益に届かない現状の方が問題だと思います(あちらはウオン安という追い風があるが)。 理論的には (輸出企業の)中期的な税収+米国債金利収入>利払い+予想評価損 でなければペイしません。電機・自動車の産業はすでにエコカー・エコポイント減税の恩恵に国家から授かっています。さらに帰ってこない「補助金?」(自動車メーカーからは返ってくる可能性あり)のような為替介入は現在の前提条件では大義名分が立たないのではないでしょうか? 米ドルに対しては円高かもしれませんが他通貨には決して米ドルほど円高に振れているわけでもありません。今、米国消費に依存しないで経済成長を遂げることが課題とされています。 中国がドル高にしろと言っているのは結局この為替差損を国家財政の損失と言っており、その記事を大々的に報じながら、こっちの記事はひっそりして為替介入をあおるマスコミにも問題があるような気がします(そりゃ、為替介入は広告主寄りの意見だから広告主には喜ばれると思うけど)。ただし、火曜日のワールドビジネスサテライトに出演した堀古氏は見事に為替介入が難しい理由をこれと同様に指摘されていました。 政府も為替介入ができない本当の理由をはっきり言うべきだと思います。藤井財務大臣は確か主計局出身でしたので、この問題をしっかり認識していると思います(答弁がバカ正直ですが)。 外貨準備金は(元金ゼロの)究極のレバレッジ投資なのです。さらに、円に換えるとさらに円高が進むというジレンマがあり、為替介入は将来の蟻地獄化を悪化させる可能性があります。 短期的な企業業績や雇用問題という面と中長期的な産業構造改革と言う側面、非常に難しい問題ですが、日本人が本当に長期志向型の頭の持ち主であれば(長期的な経営をすることが日本企業の特徴じゃなかったんですかね)、個人的には供給過剰な今の状況を集約し、キリン-サントリー型の経営統合があっちこっちの業界で起こって、もっと利益率の良い企業が残ることが、結局税収にもよいと考えます。その時点で法人税率を引き下げも視野に入るでしょう。すなわち中長期的な日本経済の成長シナリオを描くなどの期待感がないといけない。デフレ脱却には需要に応じた供給という側面が非常に大きい。どこかで痛みを伴わないと産業の構造改革はできないので、こういう時でないと進まないのかなあと思います。景気が良い時は、ブルドックソースの敵対的TOB事件の判例の様な厚顔無恥なことを裁判所・政府・国会議員・経済界・識者までも言う始末で何も進まないと思います。が、日本郵政を見ていると民主党に多くを期待しても、やっぱり無駄かもしれない。
2009/12/03
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ドバイワールドおよびあの不動産会社ナキールが5兆円以上の債務のリスケを求めているという話があり、欧州株式市場が暴落しています。デービッド・ベッカムも買ったやしの木の形をした別荘アイランドや現代版バビルの塔はどうなってしまうのだろうか? ドバイでは一時世界のクレーンの30%が集結しているといわれた建設ラッシュが話題となっていたが、なぜあんなに派手に金が使えるのかわからなかった。レバレッジをガンガンに賭けていたんだなあ。しかし、貸した銀行も石油や政府のCF又は保証のようなものをもらっていたのではなかったのだろうか???やっぱり現代版、アラビアンナイトはバブルだったのか? 円高が急進しています。円安バブルにとどめを刺すかのようです。 上海でも政府が資産取得規制強化に乗り出すといって株価が急落しました。中国もやや景気が過熱化してバブル気味とも指摘されています。 くら~い話題が続き、東京やニューヨークでも被害を避けるのは難しそう。今日の東証とNYSEはいや~な予感。 持ち株でもあるHSBCあたりの中東向けエクスポージャーが気になります。やっとサブプライムが終わったのに。
2009/11/27
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日本株 相当ディフェンシブな陣容で固めていても、毎日コロコロ落ちていくように感じます。日経平均のような滞留水準にありません。朝日インテックのような決算好調銘柄でも利益確定が大きく、決算前の株価水準に逆戻り。山積されている増資案件が、「成長資金」 と言う名の 「共同募金」 であることは何となく投資家のコンセンサス? あるいは増資銘柄への空売り攻勢か?言いかえれば買い時とも言えますが、どこまで落ちるのか様子見です。すでに出撃準備は整っていますが、長期投資といっても買ってすぐ落ちると、いや~な気分になりますので。 米国株米国株はこんなに調子良くて大丈夫か? と思うぐらいのパフォーマンス。日本のGDP成長率が市場予想を上回ったことも、上昇材料にされていました。日本じゃ無反応・・・悲しい。オバマ政権の景気刺激策は2010年までの2年間で組まれているので、現時点では経済が弱ることはないと思われます。住宅取得税制の延長も大きい。GMのヘンダーソンCEOも自動車業界とGMの将来に強気コメントが出ていました。(なんだかんだ言ってもGMのニュースは華になる。公的資金返済開始は政治的パフォーマンスだろう。返済原資も政府借入枠を見込んでいるとか) 米国株価水準の正当性まあ、金利が低いため、仮に株式価値をDCFで計算した場合、WACCが下がることを意味しますので、その分株価の現在価値が上がってもおかしくない。将来CFの合計価値100の企業の現在価値を、大雑把に8%で永久還元した値と7%にした値では8%・・・12507%・・・1428その差約14%も上乗せ余地が出ます。歴史的低金利水準の継続が確実な情勢です。(DCFと言ってもターミナルバリューが80%以上占めますので、単純な永久還元でもえい、やっ、で言えば大差ないと考えます)さらにドル安で、仮にドルが主としてユーロに10%下落したとした場合で、当該企業のドル以外の売上高比率が50%の場合(CFも50%がドル以外と仮定)1499(50÷7% +50×110% ÷7%)DCFの予想利益計算の出発点が上方修正されると、さらにアップされます(基本的に発射台となる今期や来期の見込みが上方修正されると、そのまま階段的に毎年のCF水準が切りあがるというロジックが働く)。将来CFの合計100が102となれば、1529企業価値の変数である、業績シナリオ、金利水準、為替水準・・・の変数は密接に連関しますが、総じてそれぞれに相乗効果をもたらしています。唯一業績見通しが失業率フィルターで視界不良な面が残っています(高級ワイン、レクサス、ベンツ等ぜいたく品の売れ行きは底打ち気味。個人的には、まず金持ちが金を使わないと、消費が上向かないような気がする。金持ちはそうでない人の倍以上の消費額の絶対値があるはず。GSさんもボーナスもらったら、潔くパアッと使って国民の義務を果たせば、恨まれなくとも済むのではないか???このように考えると、現在の米国株の株価水準はある程度正当化される可能性もあります。ただし、相場なのでエコノミスト諸先生のおっしゃるような効率的な値付けはされていないと思いますが。 ちなみに予想PER水準で考えますと、P&Gの予想PERは15.4x(ヤフーファイナンス、以下同じ)、ユニチャームは26.7x(日興コーディアル、以下同じ)となっています。アボットラボラトリーズの予想PERは何と12.92x、テルモは26.1xです。さらに景気循環銘柄であるダウケミカルの予想PERは21.87xであり、住友化学は55.1xです。ちなみにフォードは22x。SP500平均で19.84x要するに米国企業はきちんと儲かっているということか? 予想EPSの水準も切りあがっていく。しかし、短期間で急上昇していることに違いなく、ちょっと高所恐怖症。ジョージソロスがフォード株を大量保有しているというのは喜ぶべきか、警戒すべきか・・・。
2009/11/17
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日本株式市場が盛り上がりに欠けています。私のPFも 「事業仕分け」 でやられているのがあります(医薬品)。 しかし、IRも大きな差があるように思いました。多分ずっと今までも同じだったのでしょうが、改めて決算発表方法など見ると、プロダクトアウト型(日本)とマーケットイン型(米国)と感じました。 今日、日本は三菱を除き、主要銀行の決算発表がありました。金曜日の取引終了後でした。 米国の場合1:はやい!JPモルガン、シティ、バンクオブアメリカの主要米銀はもう約1ヶ月前に発表を終えています。 2:うまい!いずれも朝7時~8時に発表、その日の相場の材料になりますし、市場が活気付きます(ハイテク系は引け後がメイン)。 3:易い!発表はテレカンがメイン。皆仕事場で作業が出来て効率的です。記者会見などいたしません。早い、うまい、易い(安い)は吉野家の牛丼のキャッチフレーズでしたが、これは顧客ニーズに合わせた同社の戦略の柱でした。競合先はマクドナルドと言ってましたね。あちらの決算発表も投資家目線といえそうです。 それ以外にも、早い は注目です。米銀に限らず、大半の企業は決算発表が早いのです。もちろん未監査ですので、SEC届出と多少のGapは出るケースもありますが、投資家は速く知りたいのです。巨大米企業だと、決算説明の単位はBillion (10億ドル;900億円)単位で動きを説明していますが、私も含めて企業の戦略と業績の連関や業界動向が知れればいいのです。もっと重要なことがあります。早く決算発表するためにはどうすればいいか? これは経営管理がきちっとできてないと出来ない芸当ではないでしょうか? レポートラインが整備されている。私のこれまでの経験でも、決算の早い企業はおおむね優良な企業が多かった。 うまい も。日本の場合は月末31日に一斉にドバッと出す企業が多く、「赤信号みんなでわたれば・・・」 的なイメージなのか、市場が一つ一つを噛み砕くまもなく、あっという間に山が過ぎてしまいます。これでは市場が活気付きません。楽しみは少しずつ(下落局面は恐ろしいですが)。 もちろん日本の株式市場は時間が短い、昼休みがあるなど、メリハリがあっていいとおもうのですが、決算発表一つとっても、誰に何を知らせている目的の場なのか、という原則に立って行う、等すれば市場の活気も違ったものになるかもしれません。 せめて国を代表する企業の決算は締め日から1ヶ月程度で発表して欲しい。 いずれにせよ、日本株式市場は 「持たざるリスク」 とか何とか言って、注目が集まるときが必ず来ると思っています。企業業績は、もう大体わかっていますが、「思ったほど悪くなかったし、個別に探せば買い時」という状況になってきました。ただし、いつ反転するのかはもう少し待つのかなあ。デフレ、ボーナスカット、円高、鳩山チグハグ政権、JALの年金カットも! くら~。それでも株価は上がる。米国だって、不良債権、失業率、巨大インサイダー取引、貿易赤字拡大とかマイナス面は一杯あるけど、コロンビア大学MBA生が未来に楽観的と7割が答えたそうな(バフェットとゲイツの話を聞いたらそう思うのかなあ)。国民性の違いといえばそれまでだが・・・。大きな差だ。 追記;大事なことを付け加えますと(意外と早くに達成した)失業率10%超えにもかかわらず、一気に大型買収に踏み切ったバフェットのような投資家の存在の有無は、日米の決定的な違いでしょうか?
2009/11/14
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フレディマックは金曜日第三四半期決算を発表しました。四半期の純損失は50億ドル(約4500億円、3ヶ月です!!)、公的資金優先株に対する配当が11億ドル(1000億円!)を支払い、合計61億ドルの赤字となりました。 しかし、保有有価証券の評価益を82億ドルを加え、純資産は100億ドルをキープし、2期連続追加支援を要請せずに済みました。木曜日に兄貴分のファニーメイが決算発表をしましたが、もっとひどく、188億ドルの赤字で、新たに150億ドルの政府支援を要請していました。 債権の質がフレディの方がよいことが幸いしているようです。私はオーストラリアのヘッジファンドマネージャーJohn Hempton氏の分析に同意して、フレディ株を打診買いしています。彼の分析はThe Street comのコラムをお読み下さい。Watching Fannie and Freddie (Part1~8)銀行決算の基本がわかれば、ある程度理解できると思います。 フレディの過去の業績悪化はもちろん信用コスト(貸倒損失+貸倒引当金;貸倒損失はその会計期間に実際に実現した損失、引当金は将来の貸倒損失に備えるための準備金のような性質)の拡大によるものも重要ですが、2008年に発生した金利以外の損失も見逃せません。ここにはデリバティブの時価評価とサブプライム関連証券の時価評価損が入っています。 フレディマック、ファニーメイは銀行や住宅ローン会社が保有する住宅ローン債権を買い取ったり、保証したりして、ひとまとめにして証券化し、投資家に転売することを業としています。単純な保証のみならず、売買をする点がポイントで、債権の保有の際、調達資金が必要となります。資金調達は市場から社債などを発行するのですが、住宅ローン市場の円滑化を大義名分とした企業であることから、米国政府が暗黙の保証をしているといわれていました(今は暗黙ではなくなっている)。したがって、GSE(Government Support Enterprise、政府支援機構)と呼ばれています。昨年のフィナンシャルアルマゲドン(ブルームバーグではリーマンショックのことをこんな形容をしていました)のときに、政府は流動化危機を食い止めるため、GSEを政府保護下においてしまいました。今では2社合計で1000億ドル(90兆円)の公的資金を優先株形式で注入して経営を支えています(ただし、上記の通りきっちり10%の配当金は政府に支払っている)。 しかし状況は悪化の一途をたどっているように一見感じられます。失業率や延滞債権比率は上昇の一途です。また、政府支援の下、差し押さえ回避支援プログラムが組まれており、GSEが保証あるいは保有する住宅ローン債務者は最大限融資割合125%(現在の時価評価)で低い金利の住宅ローンに借り換えを支援したり、全ての住宅ローン債務者に対して、ローン元利金支払いが収入の31%までになるような支援(金利低下、支払期限延長、返済を最終期限に後寄せするなど)を行っています。米政府はこの夏から「モラトリアム政策」を実行しています。鳩山政権はこれに倣ったのでしょう。 米国の場合は借り手には、家を手放さなくともよいメリットが、貸し手には差し押さえ、競売を急いでせっかくの不動産価値を必要以上に下落させなくともよい、というメリットがあります。 ファニーメイの決算時に、なんと、差し押さえとなった物件に対し、所有者(既に金融機関に移転)に対して 「家賃」(付近相場並み)を支払えば、そのまま継続して家を占有できるというプログラムを立ち上げる、と発表しました。差し押さえ・競売急増回避策も来るところまで来てしまいました。モラルハザードにならなければいいが・・・。実際アリゾナ等価格急落地域では家賃支払いがローン支払いを下回るらしいです。 さて、この米国住宅市場、泥沼説とバラ色説が入り混じるようになりました。泥沼説は想像に難くありません。ばら色説は、8000ドルの一次所有者減税がインセンティブとなり、中古競売物件の奪い合いが始まっているといいます。減税を受けられるのは「はじめて家を買う人」なのですが、とてもはじめてではない、あるいは初めてであっても、子供とか不正申請が相次いで、モラルが狂っているという情報がAP通信の記事でありました。 しかし、それでも、安定化しつつある住宅価格や景気底入れ感あるいは、逆風の失業率悪化などに押されて住宅取得減税は2010年4月まで延期されました。 にわかに、ばら色説は信じ難いでしょうが、フレディマックのREOコストがプラスに転じてしまいました(REO:Real Estate Ownで、差し押さえ物件の保有を意味。物件を差し押さえ、代物弁済で所有権が移転します。通常、時価で保有しますが、価格下落局面が継続し、物件メンテナンスコストなどで評価減を伴うのですが、これが最近の地価下落下げ止まりのなか、プラスとなったことを意味しています。ただし、現実の競落価格はそれ以下になりますので、それは貸倒損失を認識することになるようです。やや推測があります)。 失業率の上昇、延滞債権比率の上昇、差し押さえ物件の大放出による住宅価格の下落懸念、政府以外に誰が当該MBSを買う投資家がいるのか、など解決すべき点はたくさんあります。しかし、損益計算の純金利収支(ローン等の受取利息-社債発行などに対する支払利息)は過去最高水準を更新しています。当たり前ですが、いまやGSEを抜きにして米国住宅ローンは語れません。銀行は住宅ローンを実行しても、みずからの資金調達に苦しんでいますので、保有できないため債権売却を余儀なくされます。従来はベアスターンズやリーマンブラザーズのようなGSE以外の企業がMBSを作ってくれましたがいまや、その存在はありません。独占的地位にあります。また歴史的超低金利ですので、資金調達コストはきわめて低レートです。一方の住宅ローン金利は5%前後をうろうろしています。フレディのネットスプレッドは実に2%もあります。また、貸倒引当金水準もかなり積極的?に積んでいます。毎期20億ドル程度の損失に備えるために、既に296億ドルの引当金があります。Johnの分析だと、350億ドル程度が損失の全体だろうと言っていますので、あと70億ドル、1~2期あれば積み立て完了になります。 ジムロジャースは「大半の人が止めとけ、といった投資は必ず儲かる」と日経ヴェリタスの寄稿で言っていました。決算発表を受けて、フレディマックの株価はNYSEのAfter hour で+1.63%となっています。John Hemptonの分析は有名ですので、同じような投資家が世界中にいそうです。ただし、専門家は誰も推奨していません。 Worthless と言ったアナリストのおかげで10月は30%以上も下落を食らってしまいましたが、慎重かつ大胆に行きたいものです。 ジニーメイもGSEですので、いまや新規住宅ローンの90%はGSEが債権を保有または保証しているといっても過言ではありません。フレディの債権はこれでも優秀なのですよ。 有名なケースシラー住宅指標 全米の過去1年間の住宅価格の動向。-5.7%カリフォルニアには下げ止まりの兆し、フロリダは泥沼化。 ただし、10月の失業率悪化はちょっと先が思いやられそう。延滞債権比率のボトム時期が後寄せになるのかなあ。
2009/11/09
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2日、フォードの3Q決算がありました。4日、10月の米国自動車販売台数の結果がわかりました。 4日、バ-クシャー・ハサウェイが鉄道会社の買収を2.4兆円で合意に達しました。 バフェットの方がはるか将来を見据えているのでしょうね。私の自動車産業買い はしょせん 「シケモク」 か? フォードの決算は約900億円の黒字転換。地域別では北米を含む全地域での黒字を達成しました。なお、金融事業の黒字は約600億円(営業利益ベース)があり、良いスプレッド環境が後押しした感があります。 ホンダと比較してみましょう。 開示基準の相違により、パラレルでの比較は難しいものの、アジアで強いホンダと欧州で強いフォードという格好になります。フォードは欧米で 大いに補助金をテコに業績が改善した、とも言えそうです(が、2地域のシェアもアップしている!) これからを考えると、(シェアが同じで推移するとすれば、販売台数の増加が業績に与えるインパクトは)北米は互角、欧州の補助金も今年まで、ということになると、アジアに強いホンダが有利とも言えます。 しかし、一応、フォードもインドに450億円を投じて新工場を建設し、インド向けに フィーゴ という新車を2010年に投入すると発表。中国にも、3ライン増設を発表し、2012年にフィエスタを投入すると言っています。(赤字のボルボの売却話が本格化している面もポジティブ、売却撤回とか言わないでしょうね)これらアジア政策はマツダにも波及するはずです。 10月の米国の自動車販売台数は と1000万台基準を回復しています。これは補助金支援期間を除き、2009年で最高水準だということです。補助金がなくなるとしぼむ と言っていた人たちは、また新たな 「雑音」 を発しています(失業率だのいつものパターン)。 ネガティブな側面労組問題 フォードの米国の労働組合は、労働条件をGM、クライスラー並みにするという経営陣の提案を拒否しました。労働者側にしてみれば、「何で潰れた会社の待遇と同じに甘んじなければいけないのだ」 というロジックだそうです(その気持ちはわかる)。 経営者側にしてみれば、「GM、クライスラーは大幅債務カットを得ているので、コスト競争力が抜群に改善され、今後競争の足枷になるかもしれない」 とのことです。さらに、約2.3兆円の負債の返済という重たい課題があります。したがって、さらに3300億円レベルの増資を発表しました(転換社債約2300億円を含む)。これ以外にまだ増資するのかなあ?転換社債込だから、もうラストと信じたい。 事実、ゴールドマンサックスが買い推奨しても株価はパッとしません。したがって、好調な決算がもみ消しにあった気分であ~あ。 現実的に、この環境下でしっかり黒字化を 「達成してしまった」 ために、新たな頭痛のタネを抱えてしまいました。フォードのシェアアップは素直に クライスラー叩き と言えると思います。自分より弱いものを叩くのは世の常です。決して大きいものに挑んではいけません。今後、そのクライスラーやGMの捨て身の巻き返し、は日本メーカーにとっても脅威かもしれません。この捨て身の反撃こそが法的整理後の企業のメリットかもしれません。(政府も再生させないと、次の大統領選挙までに、様々な公的資金の投入は決して無駄ではなかったことを立証しなければならない) 業界の改善兆しは少しずつ出てきていますが、なんだかんだと言っても、自動車投資はなかなか、うまくいかないものです。じっと我慢で行きます。 10月の自動車販売台数現実的には営業日数が2009年は1日多かった。営業日数換算すれば、前年同月比減少といえる。2008年は1営業日あたり31,043台に対し、今年が29,933台である。 しかし、前年並みに戻ったとも言える。先は長い。その中でも増加していたのはGM、日産、ヒュンダイ、キア、ベンツ、フォルクスワーゲン、ボルボである。1月から10月までの累積販売台数の対前年比でヒュンダイ、キアは販売台数が著しく増加している。トヨタ、ホンダ、日産の日本勢は全体の落ち込み(△25.4%)程度の落ち込み。1月から10月までの累積シェアの前年対比では、GM、クライスラーが大きく減少(それぞれ22.1%→19.7%、11%→9%)。ただし、GMは10月に改善している。日本勢のシェアはホンダが少し伸ばしているがおおむね横ばい。シェアも小さいながらヒュンダイ、キアの伸びが大きい。韓国勢の圧勝、日本勢3社は市場平均並み、ドイツ車はBMW以外は根強い人気、米国勢はフォードが一人気を吐く格好。
2009/11/05
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米国株投資を行っているので(若干の香港ドル投資もある)、為替レートというのは気になります。為替レートは以前はどっちに転ぶか皆目検討がつかない、単純に日本経済が衰退するので円安かなあ、と思っていました。 しかし、賢い人の本を読んで、今の状態では長期円高が今後とも継続する、ということで今は腹落ちしております。 特に参考にしたのは2人の日本人です。 藤巻健史氏 竹中正治氏藤巻氏はあの有名な「伝説のトレーダー」として名をはせた方で、著書も多数あります。実弟はあの元福助の社長さんですね。一橋大、三井信託、JPモルガン銀行を経て現在独立されています。 竹中氏は現在、京都の竜谷大学の教授でエコノミストです。東大 東京銀行 東京三菱 国際通貨研究所 を経て現在大学教授をされています。 共通する点外為ディーラー(トレーダー)を経験。藤巻氏は説明の必要がないでしょう。竹中氏は東銀の為替ディーラー(東銀のディーラーということは、邦銀最先端のディーラー部隊の一員だった)という点、その後三菱と合併してもその道を歩んでおられます。ディーラー引退?後、経済調査を担当され、それが縁で、今の道に進まれていると推察します。 相違点藤巻氏は己の才覚を信じて、外銀へ転職。一気に花が開く。JPモルガン東京支店長退職後は長者番付に名が載ったらしい。当時米銀の支店長で日本人だったのは彼だけだったようだ。竹中氏は、大卒以来就職先で、正直 「肩たたき」 にあうまで同じ銀行に勤務。しかし、その能力の高さを買われ、今はエコノミスト(市場を知っているエコノミストとして存在価値は希少だと思う)。 人生(私の想像)藤巻氏は浮き沈みの激しい人生で、大勝利をおさめたモルガン時代とやや失敗の独立時代(リーマンショック時の大暴落)を持ちわあせる。竹中氏は、「日本の銀行マン」らしい? 着実な人生を歩んでおられる。形容すると「負けない人生」と言いましょうか? 出世はかなわなかったようですが、個人の能力は認められていますし、著作を拝見すると、投資の道でも確実な成果を上げておられる。 外為観?肝心の外国為替に対する考え方ですが、これを言及するために2人の特徴を申し上げたようなものです。 藤巻氏は、もう根っからの相場師といった感じです。経常収支説と経済力を反映したものが為替であるというのが主説と感じました。日本の経済力が衰退すると円高圧力が円安に代わってしまう、とする説です。ただし、彼は自らもその方向に投資していて、ポジショントークも混じっていることを素直に告白されています。今の円高が行き過ぎているとはっきり主張。為替は国の経済力を反映するため、ドル円は200円ぐらいでもおかしくないと(極端な気がする)。(今の)日本経済のためには円安がよいとも。 竹中氏は、やはりエコノミスト的切り口で、購買力平価を主説とされています。ただし、平価と言っても、基準を極端に外れることがあるのが相場であり、現在の円高は理論値からすれば、やや行き過ぎである、と述べられています。我々にうれしいのは、サラリーマン的視点での投資アドバイスが入っている点です。 藤巻氏の相場観はやや願望めいたものがあるし、やや短期的な視点が混じっている。昔は「俺がしゃべったとおりに為替が動いたものだ」と。竹中氏は逆に短期的には、どっちに転ぶかわからないが、長期的には購買力平価に基づき円高になるというもの。藤井財務相もこの路線を述べているものと推察されます。 その他経済観米国経済については、共通している。特に2人とも資産効果説(単純にいえば、株価や土地が値上がりすると、羽振りが良くなって景気が良くなる)を重視されており、米国の資産効果ダメージは過剰に悲観的であると述べています。アプローチの仕方は藤巻氏のそれは、ややアナログ的な面が否めないが、竹中氏は完璧な分析がある。2009年8月「米国経済の復活。過大評価されている家計のバランスシート調整のインパクト」 私も(継続調査中ながら)アメリカのサブプライムローン証券の減損は過剰減損ではないか、と感じる面が多い。 こういった意見を聞くと、米国株に強気になれる。 日本経済については、竹中氏の資料からはうかがい知れないがおおむね今の金融を悪とする意見には否定的で、これも同感。藤巻氏は日本国債バブル崩壊説で金利急騰、インフレ到来を予言?している。二人ともどちらかと言えば悲観的。やはり過少税収、過大予算という点に尽きる。 個人的な好き嫌い2人とも今現在は円高が進み過ぎており、いずれ揺り戻りがあるという点は共通。ただし、藤巻氏はやや極論的なところあり。竹中氏は非常に理路整然としていて、納得感がある。藤巻氏には、経済ニュースの読み方が非常に参考になる。ウラを読むとまではいかないが、しゃべった本人の都合をよく考えるべきだ、というのは納得感がある。100年に一度の経済危機からこんなに簡単に立ち直るのはおかしいですよね。2人とも自らポジションを取って投資を語る点は共感できる。リスクを取らない頭でっかちな評論家は政府の飼い犬に等しい。 結論一気に10%の円高ドル安になって、自らのドル資産が10%も毀損したと仮定しよう。しかし、その時は米国株式市場ではなく、日本株式市場が大混乱に陥っているので、日本株PFはたぶん10%の毀損で済まないと思います(今回のサブプライムバブルでは、ダウが14,000ドルから7,000ドル、日経平均は18,000円から7,000円ですからね)。ドル安になるということは、米国企業の輸出競争力が増すので、米国株に有利に働きます。インフレも同じことで、株式投資に有利になります(資産効果も出てくる)。 したがって、短期的な為替レートの変動を気にせず、ドル投資を行っていくつもりです。もちろん円が105円を超えるような羽目になってしまいますと、FXでドルの先物売りを噛ませてヘッジを行いますが、今はとことん円高につき合う予定です。この前、米国株投資を始めた2008年6月ごろからの通算した個人の総平均のドル換算レートは96.1円、2009年に入っても93.12円であった。この程度の円高であれば株高で充分おつりが来る。
2009/10/26
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日興シティ(私のメイン証券会社は日興コーディアル。楽天は米国株個別取引のみ)のストラテジスト藤田勉氏の10月19日付レポートでは、新聞各紙の支持率等から見て、 鳩山内閣への支持率が依然高率である点、貸し渋り防止法案、温室ガス削減案など株式市場でネガティブに考えられている政策への支持が高い、としている。 世論調査では、特に亀井大臣への政策評価が高いという点が興味深い。(高貴で華麗な鳩山夫妻と、亀井さんのオヤジキャラの組み合わせが、かえって国民に政権の親密さを醸し出しているのかもしれない、と思ったが亀井氏個人への支持率は低いとのこと、世論はわからん。銀行・金融を悪者にするのはいつものマスコミと政治家のパフォーマンス?)新聞社やTV局の調査では 貸し渋り防止法案 賛成 49% 反対29%(日経新聞)温室ガス削減 賛成 79% 反対17%(日経新聞)羽田空港ハブ化 賛成 70% 反対16%(日テレ)八場ダム建設中止 賛成 58% 反対36%(毎日新聞) となっているとのこと(羽田のハブ化の支持率はすごい) 一方、株式市場のコンセンサスでは、 貸し渋り法案では銀行経営に影響を及ぼすとして、銀行株はすでに弱含んでいます(これプラスJALへの公的資金問題で株価はボロボロ)。ダム中止等はゼネコン、地銀等にマイナス影響温室ガス削減は重厚長大系にマイナス影響 特に、財務相の円高容認発言(とあえて言葉尻を捕まえているように感じるが)を非難する声が多い。 以下は雑感 近頃の日本の株式市場は 株価が(諸外国と比較して) 「出遅れている」日本市場が米国、中国の経済・株式市場に 「翻弄」 されている政治家が金融・実態経済を迷走させる というイライラ感が、民主党政権リスクとなって株価が軟調という風に見えてしまう。 が、 「株価が出遅れている」 とはおかしな話で、特に月曜日の日経新聞の1面に、日経平均がインドやブラジルの年初来の株価上昇率に遠く及ばないような示唆をする記事がありましたが、比較対象が飛ぶ鳥を落とす勢いの新興国であり、ばかげているというのが一般投資家の印象でしょう。当たり前じゃないのか? 米国・中国市場に「翻弄」されている、というのは仮に成長シナリオの中心を外需依存度を高めることを軸とした場合、当然の帰結であり、日本が(これまでは)選んだ道であると思います。さらに、日本企業の株式を日本人が買わずに、外国人が出来高の過半数を占めるように自ら育成してしまい、その外国人の買いが今は少ないので、これまた当然です。(ついでに言えば、後ろ向きな増資話ばかりである点も罪が大きい) また、他の記事でも、日本の投資家には海外資産への投資商品を提供できなければ、営業できないという証券マンのコメントも多くなっています。要するに当の日本の投資家自身が、外国の方が成長しそう、と感じている、その思考プロセスに至った原因が一番の問題ですね(日本の将来を悲観している)。 日本の株式市場が世界にニュースを発信するのはトヨタ他10社程度のグローバル企業でしょう。アップルの業績発表にはIPhoneなどの個人消費の指標として受け止められるが、ソニーの業績発表は(たとえよくなくとも)ソニー自身の経営の問題と考えられてしまうでしょう(決して消費マインドが弱いとはもう誰も思わない)。したがって注目に値しなくなってしまう。今はJALのニュースなら、日本発のニュースだが、あちらでは航空会社の経営不振は普通のことでしょうから、単なるニュースとして考えているのでしょうし、目ざとい投資家は、JALを買って、銀行を空売りするなんてことをやるのでしょうね。(日本政府や日本人は金融投資家を小バカにしながら、投資家にこんなにおいしいごちそうを提供している) 私も米国株にかなり入れ込んでいるため、上記のような日本の投資家と同じような行動をとっていることになりますが、日本株を決して見損なっているわけでもありません。こうやって皆が買わなくなれば、買いたくなってくる、という感じです。そろそろ自動車関連銘柄は期が熟している感じがしております。メガバンクもひょっとして買い時期が来るかもしれない(銀行株を空売りしてるんですよね)。 外需依存の日本銘柄は先に海外景気の回復確認をまたないと、順番が回ってこないと思います。今の欧米人にキヤノンのデジカメやレクサスの買い替えやは優先事項ではないはずです。(ただし、9月の米国自動車販売で、補助金の出ない レクサス 、VWは前年同月比プラスだった!!!) ちなみにこの藤田氏、2008年年末に、2009年3月に株価は底を打つ、と「予言」 して、見事あてた人。私は彼のレポートを読んで、6~9月が底かなあ、と思っていました。よく、「エコノミスト」(毎日系)などに記事を寄稿しているが(好きでない記事が混じっているが)、この大底をあてたことで一気に見直しました。最近では、「亀井大臣の過激発言は、パフォーマンスであり、落とし所が必ずあるので銀行株の下落におびえるな」 と言っていました。落とし所はあったけど株価は下がっちゃった(笑)。
2009/10/21
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ダウ平均は1万ドルを割れてしまいました。 個人的にはバンクオブアメリカ(BAC)、シティ(C)の決算内容以上にGEの決算内容に失望してしまいました。GEの工業部門も売上が伸び悩んでいたようです。 さて、銀行収益の行方はわからなくなってきたように思います。今回のサブプライムローン問題で、最も問題が多いといわれているのは、ローンの実行が2006年、2007年のものだといわれています。下記はフレディマック(FRE:米国連邦住宅金融抵当公庫:日本の住宅支援機構のようなもので上場している)のローン債権の組成年代別のデフォルト発生率のグラフです。 これを見ると、2006、7年ごろの住宅ローン組成内容のひどさが際立っています。また、現時点(09年6月)時点では、デフォルトは峠を越したとも言えません。まだ1~2年、デフォルト債権は増加を続けそうです。(デフォルト予備軍である)延滞債権残高のピークは失業率のピークと同じと言われていることから、2010年1Q~2Q、つまりあと1年程度かけないと落ち着きそうにないといえそうです。 さて、下に、BAC、C、FRE(注09年2Qまで)の決算のサマリーをまとめてみました。 まず、FREは主として、各金融機関や住宅ローン会社が貸付した住宅ローン債権を購入して、モーゲージ証券を組成します(MBS)。そのMBSを投資家に転売しますが、その証券の支払いを保証します。また、MBSをそのまま保有したり、住宅ローン関連証券(サブプライムローンもある)に投資して投資収益を稼ぎます。したがって、ほぼ個人ローンだけの収支である点が、BACやCと大きく違いますが、米国の住宅ローン市場を見る上では、ファニーメイとともに、重要な指標になると思われます。 BACから見ますと、メリルリンチの買収は実は現時点においては正解だった可能性があります(それでもルイスCEOは退任に追いやられた)。買収効果が出始めた09年2Q以降、業務純益(粗金利収支と投資銀行部門の収益)が倍増しています。この投資銀行部門収支でせっせと与信コスト(将来の貸し倒れ損失に備えるための貸倒引当金と、当期の貸し倒れ損失)を捻出していた構図です。09年3Qになって、金利収入と投資銀行収入の双方に伸び悩みが見られます。与信コストはピークアウトしたのかな? Cは08年4Qにおそらくサブプライム関連の投資有価証券の減損を行ったのでしょう。それ以降の推移はBACと同じような推移をしていると思います。 最後にFRE。こちらは投資銀行部門といっても、アドバイザリーや引受けをするわけではありませんので、2009年1Qまでの赤字は、保有有価証券の減損やデリバティブの時価評価損(資金調達は全て市場金融で短期から長期までデューレーションが多様である一方、保有するMBSは30年金利固定が6割以上を占めるため、金利スワップを複雑に多用していた)が大半を占めます。しかし、BACやCと一つ違うところがあります。金利収入が増加しています。これは長短金利スプレッドが歴史的に取れていることが原因と思われます(アメリカも短期はゼロ金利政策ですよね)。なぜBACやCではスプレッドが利益に貢献していないのかはわかりません。また、与信コストも上記2行と規模では圧倒的に違うものの、かなり前倒しで貸倒引当金を積んでいます(BACやCの貸倒損失等にはクレジットカードがあるがFREは純粋に住宅ローン関連だけという違いもある)。大量の市場取引部門の減損や時価評価損とかなり前倒しの貸し倒れ引き当てのおかげで、2008年に大赤字となって、世間を震撼させ、結局は政府管理下に今はおかれています(しかし上場は維持されている)。公的資金は約500億ドル(45兆円!)投入されています。 以下はBAC、C、およびFREの貸倒引当金(Provision)と貸し倒れ損失(Charge-off)の関係を掲載してみました。BAC(貸し倒れ損失と貸倒引当金の増加) 青が貸倒損失で黄色が引当金。つまり、翌期の損失への備え。青と黄色を足すと与信コストになります。ちなみに、09年2Qの損失(青)が$8.7B(10億ドル)、引当金(黄色)が$4.7B、同3Qの青が9.6と2.1です。今後損失見通しが低いのなら黄色が小さくとも正当化されるでしょうが、果たして?決算推移を見ても引当金の設定次第で純利益の行方が決まってしまいますね。 次はCです。 大半が個人向けです。CイメージもBACと同じです。 Cの住宅ローンの延滞債権額の推移です。09年3Qでもさらに増加しています。残念ながら90日以上の債権額が増加してしまいました。たった8億ドルの引当金では心細い限りです。 そして最後にFRE 緑が翌期以降の貸倒損失に備えた引当金残高です。灰色は当期に繰り入れた引当金の額です。青色が当期に発生した貸倒損失です。注目すべきは緑と青のギャップです。09年2Qでは、引当金残高(緑)が$25Bに対して、損失(青)がたったの$2Bしかありません。また、損失が2だったのに、5.2を新規積み立てしました。想定されることは、FREは将来、延滞債権が差し押さえに移行し、競売となって回収漏れ(これが貸倒損失になる)が飛躍的に拡大すると見込んでいることになります。 では、FREの保証住宅ローン(又は保有MBS)はボロボロなのでしょうか? 実はそんなことは全くありません。全米の住宅ローンの平均なんかより遥かに良質なのです。上記グラフはMBA(抵当銀行協会)の平均的な90日以上延滞債権率は5.4%に達するのに対し、FREは2.78%で収まっています。それもそのはずで、FREは一定の頭金や個人信用スコアリング以上の債権を買収したり保証したりすることが任務ですので、当然の結果です。 以上をまとめますと、 BACとCの将来収益(特に次の2~4四半期)は暗雲が立ち込めている可能性がある。収入は大きく伸びそうにない。金利収入は伸び悩み(ひょっとしたらスプレッドが改善する可能性もあるが3Qでは結果が出ていない)。また、迂闊に資産を増加できない(貸倒損失で自己資本が毀損する可能性を考える=貸し渋り)。投資銀行部門は、難問だ。信用を落とすと(引受け部門など)顧客の声がかかりにくい(シティのコメント)、金融市場も落ち着きを見せてしまった。プレーヤーも減ったがパイも減っている(GSのコメント)、そして、世間体が仮にあれば、ボーナスを弾みにくい(人材確保が出来るか)など、課題が大きい。 コスト面では与信コストは下げ止まらない。したがって赤字転落になりやすい。しかし、確か自己資本はある程度余裕があったし、TARP資金も余っている。したがって危機には陥らないと思う。 一方、FREは金利収支がかつてないほど好調。時価評価関連は一過性。貸倒が続発してもある程度引当金で吸収できる。したがって、後どれだけ引当金を積む必要性があるかわからないが、これ以上のお化けは潜んでいそうにない。(しかし、本質的に政府が資金調達の面倒を見てくれて、新規に発行するMBSm政府が買い上げている状況なので、政府次第である点が最大の弱点) これを見て単純に、日本と同じだ、という人もいるかもしれませんが、米国では差し押さえ、競売、回収のプロセス・市場が確立されているので、即ち債権や住宅売買のセカンダリー市場は確立されていますので、一定の地価下落はあるかもしれませんが、大きく地価下落を促し、底なしに危機的状況になるとまでは行かないと思います。何に対してでも商売できる人が揃っている国です。来年前半に銀行決算がきつくなって実態経済がどれだけインパクトを受けるのか、という点で見ていこうと思います。 政府引受けの優先株って配当は10%だったと思います。米国債は10年物が4%前後のはず。ひょっとして最後に笑うのは実はTaxpayerだったりして・・・。ただし、ジム・クレーマーを始め、米国の市場関係者はこれまでは米銀にかなり強気でした。最後までお読みいただき、大変恐縮ですが、あちらには銀行株には強気な人たちが多数いることをお忘れなく。また投資は自己責任でお願いします。
2009/10/19
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1:JALについてもう、5年以上前からJALの債務免除は避けて通れない関門と思っていました。枠組みが法的整理が私的整理かという点は私もわかりませんでしたが、私的整理で臨みますか・・・。 元産業再生機構の幹部なので、私的整理路線は読める筋だったと思います。私的整理だと銀行さんかわいそう。 あれだけ、政府が後押しすると言っているから、融資したのに(と銀行は内心思っているはず)、自分たちだけ免除しろ、って金輪際、政府や地方自治体の後ろ盾の情実融資は通らないでしょう(地銀でも)。政治族議員圧力銘柄とか、銀行団にも、「言いたくとも言えないこと」 が沢山あるでしょうね。 法的整理なら、貸し手も「仕方ない」というあきらめがつきやすかったと思う(債権者は銀行も業者も皆、裁判所の下で平等に扱われるから)。株主責任もしかり。日本の産業界から「カンパ」したような増資もあったなあ。まずは株主から傷をぬぐえ、という点をどうするかという問題。まさか「上場維持」 なんて奇策はやめてほしいなあ。 前向きに考えると、JALの件で、銀行側と融資される側の政治臭いウエットな関係が完全に断たれ、純粋な民間原則の緊張感が醸成されれば、長い目で見て日本経済にとってプラスになるでしょう。民主党があるべき姿に戻してくれた、ということでしょうか(半導体の会社はタッチの差で間に合わなかったということか?)。 法的整理をするとブランドが毀損するという意見がありますが、すでにいく度とお騒がせして、ブランドは傷がついています。マスコミ君が冷静に対処すればいいだけじゃないでしょうか?DIPファイナンスをしっかり組んで、法的整理に臨めば、法的整理直後でも羽田から、飛行機は飛ばせます。私的整理にする理由をブランド毀損だけでは説明不足ではないでしょうか?JALがなぜそこまで特別なのか、明確な説明が求められます。政治的に未だに特別なのであれば、銀行団がちょっとかわいそうだし、国営化にもどせばいい。政治と民間経済の線引きが未だ曖昧に思えます。 過去の産業再生機構案件を見ていると、引きうけ手がなかった案件を除いて、EXITは大半がM&Aじゃなかったでしょうか? 「JALは特別」なんで自力再生でしょうか(前原氏は就任早々自力再生と明言していた)。2:モラトリアム法案亀井さんの過激発言は、最終的には信用保証協会の枠の拡充で解決するそうです。亀井さんらしい、パフォーマンスだ。私が銀行員時代に取引のあった中小企業の多くは、 「1円でも税金を納めずに、自分の懐が1円でも大きくなるにはどうしたらいいのか?」 ということを日夜考えているオーナーが70%を超えていたような気がする。そのままでもたくさんの中小企業税制で優遇されていながら、それでも払おうとしないのは腑に落ちませんでしたが、あえて税金を払いたくない企業は決算書がよく見えないため、融資額に限度がありました(社長から、「この決算書はうちの会社の実力じゃなくて、税金をあまり払わなくするため、こうなったんだ。」という説明を幾度と受けました(当然、銀行員は決算書を信じるより他はない)。こういった不誠実なオーナーにまで、救済の余地はないと思うのですが、現在の議論は誰でも救済する、ということに聞こえますが、日ごろからきちんと法人所得税を納入(つまり益税)していた企業で、たまたま金融不況で資金繰りに一時的に困っているケースに限定してもらいたいものです。日ごろから誠実に経営、納税されているオーナーは、そもそも借入金の水準が低いはずですし、資金繰りも潤沢なはずです。そして、持ち合い株式のときもそうだったが、対処療法に終われずに、次回同じようになったときの救済基準とか、しっかり示して、我々サラリーマンにも納得ある形の緊急支援のあり方、というものを議論して欲しい。結局、JALにしろ中小企業にしろ不良債権、又は銀行の資金効率の悪化を招き、増資となれば株式投資家にも影響が出てきますし、国民全員で(株式の場合はなぜか外国人まで巻き込んで)、貧乏くじを引いているような気分はよくない。
2009/10/15
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やっぱり買っとけばよかった。 アルコア(米国:本社はG7があったばかりのピッツバーグ)が黒字決算のサプライズ。株価はジャンプしました。しかし、これはある程度予想できたこと・・・。 同社は夏にロシアで、比較的需要が回復していることを示唆しており、9月下旬に主力製品の値上げを発表。 9月下旬のMad Money でジム・クレーマ-も「20ドル近くまで行ってもおかしくない」 とコメントさらに、ドイツ証券は目標株価を20ドルに引き上げました。 しかし、私は値上げ発表時点で買い増しを考えていましたが、中国需要が実需なのか、「戦略的備蓄」(日本が石油を備蓄するようなもの)なのか調査不足のため、様子見をしておりました。アルコアの現CEOはドイツ人なので、ドイツ証券が当社を持ち上げるのは、「報知新聞が巨人の優勝を予想するようなもの」 と思って慎重姿勢を崩しませんでした。さらに好決算を期待した銘柄を4半期決算直前で買うことは、これまで勝率が低かったので、自信もなかった。 あーあ。 CEOはCNBCとのインタビューで That pretty much comes when you look at the end markets, comes from all across end markets, from automotive, from trucks and trailers, from building and construction as well as from packaging. (That(=売上増加)はすべての市場から来ている。注:航空産業とガス産業を除くと次の文で述べる)when you look at it from a regional perspective, China clearly is back very, and back very strong and pulling some off the Asian markets with them. (地域的には中国の回復がとても強い)In the U.S., we clearly see stabilization in the U.S. (米国でも安定化が明確に見える) インタビューはこちら 2Q決算時点では、今年いっぱいは、現金をしっかりためて、生き残ることをプライオリティーに言っていたCEOの発言とは思えません。 やはり銘柄を絞るべきなのかなあ。手が回らない。 しかし、これで3Q決算も強気モードが一気にヒートアップしてきました。今回はフォードの決算が楽しみです。一段と自動車セクターに強気になってきました。アルコアの自動車向け出荷は2Q比較で13%増と言っていました。ピーターリンチではありませんが、「アメリカ人は自動車を買わなければならない」のです。 アルコアの好決算で欧州株も強気モード(特にロンドンはグローバルな資源会社が多く、金属・鉱物の取引所は世界髄一)。よい波状効果が生まれてきそうです。 日経平均は 「出遅れ感」 が出ていますが、これは短期売買のトレーダーの方の立場で、長期投資の立場だと、チャンスかもしれませんね(8日の東証が 「空振り」 だったのは不思議でなりません。デフレとか増資乱発とか要因はありますが)。世界経済の回復期待感が高まっているのなら、輸出依存度の高い日本企業の出番は必ず回ってくるからです。ある程度時間がたてば円高弊害も癒されてきます。 ただし、(主力銘柄の)日本企業の製品は総じて、自称 「高級品」 で、属性が耐久消費財(およびそれを支える部品、素材、製造装置・機械など)がメインですので、ある程度世界の人々の財布が潤ってこないと需要回復とはいきません。しかし、その時は景気が腰折れしなければいずれ巡ってくるでしょう。(注:投資は自己責任でお願いします)
2009/10/09
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円高が進行しています。世界的には円高というよりドル安というのが妥当な見方。 マスコミは当初、円高を民主党の責任であるかのような演出をしていましたが、それも沈静化しつつあります。9月末に為替とレーダーのコメントを引用し、「大臣の発言のインパクトの大きさを自覚して欲しい」などというコメントを載せ、「市場を知らない民主党」を各紙は読者に植え付けましたが、意訳すると、「単に期末なので、かく乱要因は自分の成績が乱れるので困った」 と市場さんは言っただけなのじゃないのでしょうか?ナベツネ氏など、自民党の大物と一緒に出世した人たちがマスコミの経営幹部に多いというのもありますし。本質を欠いた目先の報道が大きく取り上げられ、本質的な報道は小さく(あるいは紙面の後ろの方に)掲載されますね。ドル安は結局、現在の日本経済にも恩恵をもたらすのではないでしょうか?米国経常赤字の縮小が考えられます。消費不振による輸入減少とドル安による米輸出企業の業績改善です。これは私の主要ポートフォリオ企業の地域別の売上高です。ちなみにここには掲載していないフィリップモリスは全額米国外の売上です(当然ですが)。アフラックも3/4は米国外です。(アボットは米国と米国以外しかわからず)これだけの米国外依存度が高いと、当然ドル安の恩恵を受けるはずです。企業収益が回復しますと、失業に歯止めがかかり、消費が促進され、新たな雇用が生まれます。そうなると金利引き上げの「出口戦略」がささやかれるので、その時に一気にドル高-円安に収斂されるのではと」考えています。 円安になると、日経平均も上がりますね(その勢いがどれぐらいかはわかりませんが)。そんなことよりも、少子高齢化対策が打てない中、過剰設備の削減がもっと進んで欲しいと思います。新日本石油-新日鉱やキリン-サントリーなどの再編がもっと進むことを期待していますし、外資企業の買収も期待したいところですが、こっちは可能性が低そう。人口問題にも必至に取り組むか、インフレターゲット政策でも取り入れない限り、長期的な円高はずっと続きます。内需拡大による景気刺激での利上げというのも本流的な考え方ですが、時間がかかりそうですね。目先の円高に目を奪われていると、果実を取りのがすことが考えられますし、「人がおびえているときに貪欲になる」とバフェットさんも言っていましたね。個人的には年内は米国株、来年以降に日本株を漠然と考えています。ただし、米国住宅価格には要注意ですね(下げ止まったように思えるが)。
2009/10/08
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アメリカで興味深い議論がなされています。結論を先に申し上げますと、こんな感じです。日本が高齢化に向かい、貯蓄を取り崩すと、アメリカが高インフレに陥る。「日本からの新手の脅威」と題するこのビデオ(楽天はビデオの貼り付けも出来ず不憫ですが・・・こんな感じです) アメリカ国債の最大債権者はいまや中国です。しかし、そのわずかすぐ後に日本がいます。MAJOR FOREIGN HOLDERS OF TREASURY SECURITIES日本はアメリカ合衆国の第二の債権者です。しかし、アメリカ国債の発行総額はGDP約70%です、まだ現状では。一方、日本自身はというと、国債の発行残高はGDPの170%(Debt to GDP)に達しており、国家はアメリカ以上の膨大な借金を抱えていることになります。しかしながら、日本の「お偉い」経済評論家の先生方は、日本の国債は約90%が国内の投資家に保有されており、米国のように外国人が買い支えることはない。日本の国債が国内で消化されているうちはそれほど騒ぎ立てることでもない。つまり、これまで貯蓄が美徳とされ、投資は邪悪という価値観があった日本では、郵便貯金、銀行預金などに大半の人々は余剰資金を運用しています。その行き場のない現金が国債で運用されていることになり、国家の富が国内で循環しているというものです(CNBCのビデオでも同様の解説あり)。しかし、高齢化が進むと、日本人の貯蓄率が減少に向かい(老齢者の生活資金の取り崩し)、国債の消化が容易ではなくなる局面が起こりうる。その場合、日本国家は国債金利の切り上げ、即ち利上げに踏み切るかもしれない。なぜなら、国債の買い意欲がなくなってくるから。その場合、対抗上米国も金利を引き上げる必要性が出てくる。さらに日本も不足資金を米国債から取り崩さねばならないかもしれない。そうすると米国金利は・・・。という議論です。今回米政府は、70兆円にも上る景気刺激策を国債で賄うとき、ガイトナー財務長官は北京とメッカ(サウジ)に行きました。日本は為替介入に否定的です(為替介入で買ったドルで米国債を買うということはなさそうだ)。また、ここ数年は日本の米国債の購入スピードが明らかに鈍化しているようにも思えます。米国は将来をにらんで調達の多様化を図っているのでしょうか。日本に頼っていると危ないと。将来、日本経済復興のために日本の移民政策が外圧で導入されるのでしょうかね(個人的には肯定的)。ドル安も貿易赤字解消の一政策でしょうね。3Q決算からドル安効果は出てくるでしょうか?翻って日本人として。仮に、貯蓄率低下のせいで国債金利を引き上げなければならない局面がきた場合、中国や米国が日本国債を買ってくれる可能性はこれまでのその 「へたくそな」 外資招聘政策から考えると非常に低いのかなあと(米国人は自分の国債に害が及ぶとなると、日本にも何か手を打ってくるかなあ。やはり移民開放政策の圧力をかけるのでしょうか)。高齢化が米国経済の敵となるならば、それは日本経済に跳ね返ってきますね。子供手当てだと遅すぎないか? 少子高齢化を危ぶんでいるのは日本人だけではないというのも、日本が国際経済の責任を全うしていない、なーんてマスコミは言い出すのでしょうね。 最期に、このビデオに出ている、ビタリー・カツエネルソンはパンローリングから出ている「バリュー株トレーディングレンジ相場で勝つ」の著者です。彼の「レンジ相場論」はなかなか説得力があって、この本は参考になりました。やっぱりPERは大事だなあと。彼によると、まだこの先10年近くはレンジ相場でアップダウンをS&P500は繰り返すと説いています。その事例をウォルマートの株価の推移を使ってわかりやすく例示しています。しかし、今回のサブプライムバブル崩壊でウォルマート、コカコーラ、マイクロソフト、インテル、ゼネラルエレクトリックといったダウ工業30種銘柄で、EPSの成長はしっかりしていたものの、PERの下落が原因で相対的に(ITバブル崩壊以降は)株価がぱっとしなかった超一流企業も自らのEPSの成長率並みに今は評価されているようにも思えます。ということは新たなブルマーケットが到来するのかなあ、と甘い期待を抱いてみたりもします。
2009/10/04
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ご参考 国内REIT、初のM&Aか? アドバンスレジデンス投資法人の買収なるのか? 09/07/27アドバンスレジデンス、合併の基本合意 どうする投資法人債? シナジーは? 09/08/109月25日、ついに合併契約が締結されました。11月30日の投資法人主総会で可決されれば、来年3月に合併される運びとなっています。 合併スキームは意外にも新設合併とのことです。全く新しい受け皿会社に各々の資産・負債をぶち込んで、その新会社の株式(投資口)をアドバンス、日本レジデンシャルの各投資主に分配するようです。合併比率の1対0.66は当然不変のため、アドバンスレジデンス側の投資口主(株主)である私には、新会社の投資口が3口割り当てられます。日本レジデンシャル側の投資口主には2口割り当てられます。端数がなくすっきりします。 ここまでは、まあ、前回とスキーム以外に特段進展がないのですが(私は投資口が1から3に増えて機動的な売買が可能になるがその可能性は現状低い)、ここから先も進展がないというか後退しているような気がする(Valuationは如何にも精緻にやったように書いてあるが、所詮は先に価格ありきで後寄せのロジックで作ったものだろう。ADRのアドバイザーがみずほ証券というのは、伊藤忠とみずほの関係を考えると、ほとんど親戚に等しく、真の意味での「独立性」と言えるのか?)。 新法人は第2期以降、長期安定的に1口4500~5000円の分配金を行う、と言っています。これは、3口分配のある私には、1口13,500円~15,000円ということになります。この会社の目標値は赤の四角で囲った程度であります。7期、8期はややこの水準を下回ってしまいましたが、それ以前はおおむねこの水準を上回っていました(4期はちょっとミスですね。すみません)。 え?これじゃあ、その・あの、M&Aには付き物の「シナジー」ってのはどこへいったのでしょうか???これまでは日本レジデンシャルの物件がなくとも平時は13500円をキープできたんじゃなかったでしょうか???もっと「シナジー」が出せるような、チャレンジングな目標を掲げてくださいな。それとも高値つかみか?日本レジデンシャルの投資口主になぜそんないい条件を出さなければならないのでしょうか??? それともう一つの課題である借入金の返済方針の言及が全くない。 日本レジデンシャルの物件を時価で取得するので、負ののれんが計上されますので、買収物件をじゃんじゃん売却して、借入金の返済に充てるのじゃないのか? ADRの投資主としては説明不足であるような気がします。証券アナリストやREIT専門家の方はポジティブといっていますが、それは業界が一時的に活気付くからであって、長期的な個別の投資口主の利益にならない限り、業界が活気付かないことをもっとはっきり言ってほしい(彼らも、REIT業界が成長しないと出番がないので、本件を賞賛したくなる気持ちは理解できますが、中立に応えてほしいなあ)。 現状のADR投資主たる私の率直な感想は、資産総額はでっかくなりますが、分配金は変わらないし、借金不安が増大しております。年収が変わらないのに、ワンクラス上の家を買って多大な住宅ローンを抱えても見栄を張っているような感じがいたします。 一方、アメリカでは、私のPPのアボットラボラトリーズもベルギーのソルベイ社の医薬品事業の買収を発表しています。総額約$6.6B(約6,000億円)。オールキャッシュディールで、借入金は伴わないそうです、さすが。(ちなみにアボット社の時価総額は約6.5兆円で、NTTドコモの6.2兆円より大きいのです。武田薬品工業は2.9兆円)。 しっかり、今回の買収効果はEPSベースで2012年の合併後の巡航速度ベースで0.2ドル寄与すると見通しを立てています。これは現状のアボットのEPSを約6%程度アップさせてくれます。 株主にとってどんなメリットがあるのか、シンプルかつ明確に答えてくださいな。それが出来ないM&Aは経営者の単なるエゴです。
2009/09/29
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S&P500、NYダウは9月に入りまったりした感じがします。利益確定売りが出ると思いましたが、経済指標がよいこととドル安のためか、買いが継続しています。現状3%のプラスできているようです(8月31日に少し下げたが)。一方日経平均は弱含み。 正直、9~10月中旬にかけてダウ平均が9000ドル割れぐらいまで調整してくるという期待(?)があったので、現状はやや拍子抜けで相場を見ているところです。売り込まれるネタ(残された不良債権問題)はまだありますので。 しかし、この間、調整した株価の間を縫って、フォードモーターの買い増しとアフラックへの新規参戦をしました。フォードは2012~13年に向けて株価が20~30ドル付近までカムバックするという基本シナリオを下に時間分散で買い集めている最中(過去10年間の最高益から△20%程度の純利益を株数で割って13倍程度にするとこの辺のはず)。クランカーズプログラムが終わって、需要反動が出るとマスコミは脅かしていますが、米国の自動車市場は買い替えだけでも年間1200万台の需要があるのに対し、09年は全部で1000万台前後の見通しですし、人口も増加中ですので、そのうち年間1200~1400万台程度の販売レベルに戻るはずです。市場はピーターリンチが自動車株を買い集めた1982年当時と状況が似ています。しかし、当時との違いは、1:日本車・韓国車のプレゼンスがさらに大きくなっていること(小型車・エコカー指向がさらに強くなっている)、2:米国人の財布の紐も固くなってしまったこと(家計のバランスシート調整)、3:ガソリン価格が予想できないこと(ピックアップトラックに影響する)、4:買い替えサイクルも長期化していることなどがあり、従来の回復局面とは違うと、「専門家」 の方はのたまっております。(2番底懸念も気になる)もう一点私が気になるのは、EU経済の回復力です。フォードはEUでもシェア3位を持っている重要市場です。現在、中小型車フォーカス、フュージョンといった車種が好調ですが、利益率がイマイチで業績ドライバーにはインパクトが小さいようです。したがって、トーラス2010のヒットが期待されます。ちなみにフォードはピックアップトラック市場では他社を圧倒するシェアがあるし、トラックの方が利益率がよい(細かい品質をそれほど気にしない)。金融市場はやや緩和されており、先日金融子会社フォードモータークレジットは社債約1500億円相当を発行し、ムーディーズからも格上げのありがたいお墨付きを得ました(それでもCaa1と「投機的水準」)。しかし、それでもリスクテイクする価値はあると感じております。過去10年にない 「競争できる体制」 がフォードに仕上がっていると見ているからです。けど結局は、フォードに投資するというよりむしろ米経済に投資するようなものですが・・・(米国経済の復活がないとトヨタもホンダも復活しないと思うのですが、それでも日本人ははアメリカ経済は間違いだ、という記事が好きですね。私にはその一貫性のない主張が不思議です)。 一方、アフラック(AFL:アメリカンファミリー生命)はフォードと180度違う事業環境で生きる企業です。同社は本社が米国ジョージア州にあり、NYSE上場のれっきとした米国企業ながら、収入の3/4は日本という日本偏重の収益構造が特徴です。収益構造だけを見ると米国企業というより米国に進出する日本企業といった感じです。業績はご存知、がん保険や医療保険の販売が日本で好調で、着実な成長を続けています。また、配当も20年以上連続増配中とまさしく私の投資方針に合致します。日本で稼いだ円は基本的に日本で資産運用する政策を採用しており、最大の資産運用は日本国債という堅実?振りです。 今後の成長戦略は日米とも、政府の保健保障は小さくならざるを得ないため(注:米国も無保険者をなくすといっているだけで中間層の保健が手厚くなるわけではない)、がん保険のようなニッチ商品や医療保険など自分自身で万一に備える傾向が強くなるといわれています。こういったニーズに売り込むようです。販売戦略は日米で特徴があります。日本では銀行窓口での保険販売解禁がスタートし、AFLではこのチャネルに気合を入れているようです。郵便局ともがん保険の販売提携を結びました。一方、米国ではこの大失業時代を逆手にとって、販売特約員を大量採用し、直接販売員による営業強化を行う模様です。正反対の営業戦略といえます。なぜ日本市場が米国市場を凌駕するのか、といえば、保険料の口座自動引き落としの制度や日本人の国民性ではないかといわれています。米国人は保険の継続率が50%強程度ですが、日本人は90%を超えるようです。なんとなく納得感があります。 (2004年のアフラックJapanの経常収益と日本生命保険協会の会員企業の経常収益を1とした場合の経常収益額の成長性を指数で表す。AFLは成熟感のある日本の生保マーケットでも着実に成長している)肝心のこの時期の資産運用ですが、AFLでは円収入は円建て、ドル収入はドル建て運用を基本としているようです。円建ては日本国債、金融機関の劣後債や優先株又は海外企業のサムライ債が中心です。米ドル建ては各種米国企業の社債です。残念ながら今は保有有価証券の減損で価値毀損を起こしていますが、致命的な損害は避けている模様です。格付けがBBB以上のもので満期保有債権は会計基準緩和のため、減損していない模様です。投機的水準の格付けのものは減損しています。最大の投機的水準の有価証券は「フォードモータークレジット」でした(苦笑)。投資先内容も邦訳アニュアルレポートで開示されていますので、わかりやすくなっています。要するに業績ドライバーや事業内容がわかりやすい点とガバナンスが米国企業で安心感がある点、そして円高為替対策になる点なども投資評価として加点しています。ただし、日本人の保険契約数の増加も景気に影響がある(即ち、日本の景気は中国向けにしろ何にしろ耐久消費財を中心とした米国向け輸出に依存している)とすれば、実はフォードもアフラックも同じ業績ドライバーなんでしょうかね?(注:個人的見解ですので投資判断は自己責任でお願いします)
2009/09/14
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米FRBのバーナンキ議長は 「短期的」 な回復見通しに楽観的な発言をした、と報じられています。短期的ってのが引っかかります。 多くのエコノミストが楽観論に傾き始めたら・・・。確かに、自動車、住宅販売、クレジットカードの延滞率、失業者数などどれも底入れの兆しを見せ始めました。一方、8月13日付のウォール・ストリート・ジャーナルのコラムでは、不動産価格の下落を尚、心配しています。不動産価格が下落し続け、住宅ローン負債が住宅の時価を上回ってしまう「Under Water」(要するに債務超過ということ)が発生すると、そういった層は合理的に住宅ローンを踏み倒す可能性があるといっています。楽天証券でも堀古氏が同様の見解を従来からしています(彼の発言は後から振り返ると結構当たっている)。S&Pケースシラー住宅指数。6月末現在。今週新しい情報が発表されるはず。 下落率に歯止めがかかっているが、既に頭金2割を割り込んでいる人たちも結構な数になりつつあると思われる。合理的な判断だろうが、日本人的感覚からすれば、罪悪感はないのだろうか? 日本的な「借りたものは返す」という倫理観にとらわれますね(私は銀行員だったから、やや債権者よりの見方があるかもしれない)。 なんだか、まだ悪材料出尽し感に確信が持てない状況ですが(ヤラセ的な要素が強かったストレステストとその後に不良債権買取プログラムが不発になっているところがどうしても引っかかる)、だからといって、企業業績は底打ち感が大きく、徐々にこちらの方がストレスを感じるようになって来ました。 ただし、多くの乗り遅れ気味の投資家はもう一回下落すれば・・・、と思っているでしょうから、たとえ調整しても押し目買いのような感じになりやすいのでしょうね。 個人的には今後の米国自動車業界、医療制度改革と来年の米国税制の行方に関心が移りつつあります。東証の最近の動向は、朝は米国、昼は中国に翻弄されて、主体的な動きがないなあ。民主党政権は明らかにバブル評価をされている。株式にたとえるとPER50倍ぐらいあるんじゃないか? 無責任な自民党(中でも麻生氏が一番無責任)よりはマシに見えるが・・・。政権奪取後のゴタゴタで政治混乱を反映して株価も下落するんじゃないか、と思いたくもなるが、日本の事情で株価が動くのか、という本質的な寂しい疑問も感じます。しかし、民主党バブルが崩壊して株価が調整しても経済のファンダメンタルズを反映しないような感じなのでさほど影響がないのだろう。一人一ヶ月23千円ももらったら、20千円ぐらい、子供名義で積み立て投信を始めようかと考えてしまうこれは株価の上昇要因ですな)。ガキのうちから積み立てると、結婚でもするときには一財産になっていないかなあ。
2009/08/24
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