音楽雑記帳+ クラシック・ジャズ・吹奏楽

音楽雑記帳+ クラシック・ジャズ・吹奏楽

PR

Keyword Search

▼キーワード検索

Calendar

Profile

bunakishike

bunakishike

2019年07月20日
XML
カテゴリ: クラシック音楽

ユダヤ人作曲家によるキャバレーソングをもとにした作品集。
spotifyで試聴してなかなか面白かったのでeclassicalから入手。
小粒な作品ばかりだが、なかなかしゃれた味わいがいい。
ここで演奏しているエルサレム弦楽四重奏団は去年リリースされたハルミニア・ムンディのドビュッシーとラヴェルのCDで名前を知ったばかりだったが、1993年の創立でかなり有名なイスラエルの団体だそうだ。
全体にクールな雰囲気で、ユダヤ音楽の鬱陶しさが薄まっているのは、評価が分かれるところだろう。
各奏者の力量が高く、各パートのバランスがいい。
決して重厚ではないが、その透明で艶やかなサウンドは大変魅力的だ。
このアルバムが作られたいきさつは、「ちょっと変わっていながら、聴き手の興味をひくものに挑戦してみては?」とハルモニア・ムンディから勧められて実現したルーツ捜し音楽集とのこと。
殆どが聞いたことのない音楽だったが、つまらない音楽は一つもなく楽しく聴けた。
ただ、キャバレー音楽を感じさせるのは委嘱作品であるデシャトニコフ作の「イディッシュ」(世界初録音)のみ。
ちょっと上品すぎるし、ユダヤ音楽特有の癖もあまり感じられない。
こういう個性的な作品には適不適があるだろうが、もう少しえげつなく?演ってもらいたかった。
旋律そのものが柔和なものばかりというのも、物足りなく感じる理由だ。
その中ではタンゴ風の「Yosl un Sore-Dvoshe」がなかなか気取っている。
最後の「Ikh vel shoyn mer nit ganvenen」のバックコーラスのすっとぼけた味わいも面白い。
この曲で共演しているイスラエル出身のソプラノの Hila Baggeo (ヒラ・バッジオ)は表現がストレートすぎて、味わいに欠ける。
こういう歌は人生を知り尽くした年増の歌手に限る?
他の作品は「イディッシュ」の縁取りを明瞭にするために選ばれたもので、ナチによって退廃音楽と認定された作品。
コルンゴルトは彼が映画音楽の仕事で初めてアメリカに渡った年の作品。
ウイーンの香りが感じられ、特にワルツは聴いていると、聴衆の心をくすぐる技を発揮していてニヤリとさせられる。
エルサレム弦楽四重奏団の演奏はそれほど濃厚ではなく、今の時代に相応しいすっきりとした表現。
チェコの作曲家エルヴィン・シュルホフの「弦楽四重奏のための5つの小品」は3つの作品の中では最も真面目?な音楽。
シュルホフの音楽は第一次世界大戦の前後で大きく異なり、大戦前はブラームス、シュトラウス、ドビュッシーなどの影響があり、大戦後はヨーロッパで初めてジャズを取り入れたり、ダダイズムに影響された作品なども作曲している。
「弦楽四重奏のための5つの小品」は第一次世界大戦後の作品で」バロック時代の舞曲の型式による小品集。
雰囲気は暗いが、バラエティに富んで飽きさせない。
第4曲のAlla Tango milonga (andante)は題名通りタンゴの一種としてのミロンガ風の作品でエキゾチックなムードが心地よい。
ということで、当ブログとしては珍重すべき録音だと思うが、一般受けするとは思えない。

Jerusalem Quartet:The Yiddish Cabaret

1.Korngold: String Quartet No. 2, Op. 26
5.Schulhoff: Five Pieces for String Quartet
10.Desyatnikov: Yiddish- 5 Songs for Voice and String Quartet *

* World Premiere Recording

Hila Baggio (s track 10-14)
Jerusalem Quartet

Recorded December 2018, Teldex Studio Berlin





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  2019年07月20日 22時26分16秒
コメント(0) | コメントを書く
[クラシック音楽] カテゴリの最新記事


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

© Rakuten Group, Inc.
X
Create a Mobile Website
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: