平成25年10月20日(日)
午前4時に目が醒めました。拙宅の未明も物音ひとつしませんが、ここの夜明け前は静寂の深さが違うようです。窓を開けてみると、たった一つある街灯が小糠雨に濡れぼそっていました。朝食の時刻まで文庫本を読みました。朝餉はこんな感じでした。ホテルバイキングの対極にあるの感です。
普段着の、女将と言うには少し無理のある女性、70を越えているような年齢ですが、味噌汁をよそおってくれながら曰く、もう旅館をやめようと思う、しかし近所の人たちに寂しくなるから続けてと言われ頑張っている、客は工事現場のあるときに多い、以外は閑散、近くにゲレンデがあるけれどスキー客は泊まらない、最近はほら、あれになって(壁のスキー場ポスターにあるスノーボードを指して)家族連れが減った、あれで滑る若者が多くあそこ(ゲレンデ)で雪遊びの子どもが危険だから、最近の若い者は貧乏だけれど車だけは立派、冬にチェーンを持たず立ち往生しているのを見かける、見かねた近所の人が泊めてやってと連れてくる、お金がないというけれど困ったときはお互い様、部屋に入れたら夕ご飯は要らないと言いカップラーメンを食べている、残り物とおにぎりを食べさせた、持ち合わせがないと言われお金は要らないと返したらしばらくして振り込んできた、律儀だ、昨夜は馳走を食べたか?ここは頼まれたらヤマメを焼いたり猪鍋を出す、谷の向こうに山があって日本最古の化石が出土する、年に1回東大の先生が学生を連れてくる、泊まって山の料理を褒めてくれる・・・。鍋物には惹かれますが、この先、このまちを通過することはあっても、ここに泊まることはないだろうな。
同僚に、このまちはホルモンが名物と聞いていました。宮部精肉店謹製。しかし、今日は第3日曜日。月一の定休日でした。幸いなことに、特産品販売所で売っていました。冷凍パックでした。話の種にと求めました。ここの店番は、唇の魅力的な若い女性でした。ホルモンの料理方法を説明してくれました。
店先に小さなイチゴを売っていました。熟れ具合がイマイチのようでした。味を問うと、袋の一つを開けてくれました。素朴な甘さと僅かの酸っぱさがありました。
帰りは六峰(ロッポウ)街道を通りました。五ヶ瀬から延岡へ通じる標高1,000mの尾根筋を行く林道です。1車線の狭い道でした。高度を稼ぐと、視界が開けました。車の通った形跡がほとんどありません。紅葉が始まり、雨に散ったモミジの葉が路面を覆っていました。藪の切れ切れから覗く景色は、雲海でした。まさに九州山地の山懐、深山幽谷とはこのことです。
諸塚山(1,342m)の頂上直下を北回りにかわしました。そこでニホンカモシカを見ました。天然記念物です。笑えない話があります。私のまちは九州一広い面積です。最西は九州山地の山懐です。猪、鹿猟が盛んです。罠にはニホンカモシカも掛かります。土地の人はイノシシが獲れたら「シシが獲れた」シカは「シカが獲れた」といいます。ニホンカモシカの場合は「肉が取れた」と言うそうです。実名を挙げたら、手が後ろに回るからだそうです。
閑話休題、そこからは下り。諸塚村に少し足を踏み入れた後、日之影町に下りました。五ヶ瀬川を渡り、せき止められたダム湖を右手に見ながら、県道237号を進みました。ダムのあるところで、中腹を走る日之影バイパスに戻りました。この間70kmくらいだったかな。やれやれでした。本流の左岸を下っていくと、対岸にこんなのがありました。鮎簗です。カラフルな、パチンコ屋が開店するときに並べる花輪なんぞが遠目に判りました。今日は日曜日です。昼からやっていました。突っ込みたかったです。
北方から無料の高速に乗りました。蒲江で降りました。ここに「リカーマート塩月」があります。日本酒が充実しています。2升買いました。山形の酒「米鶴」です。帰宅は午後2時前でした。シャワーを浴びて、ホルモンを焼いてもらいました。プルトップを引きました。疲れがどっと出ました。夜まで読書。
今日の一句
錦秋が山懐に忍び寄り
臓物を生業にして生きていく
熟柿あり主様も喰うたか山頭火
水青し流れて深く陸削る
ホルモンの精肉に勝つ土地がある
朝飯に箸のすすまぬ木賃宿
今日の写真は蒲江の酒舗、リカーマート塩月です。充実度が高い。
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