梅林庵

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2019年06月19日

東京からお客様

(6)

カテゴリ：人

Wednesday,June 19,2019
　午前4時起床。晴れ。
　直ぐ書斎へ籠もりたかったのですが、その前に日課をこなさねば。トラへネコカリを与え、勝手口に居着いたチーズ(ネコの名前）に朝の挨拶、ポストに嵌まった新聞を抜いて深呼吸が儀式です。雨の日はそうもいきませんが、空の高い朝は清々しい。
　今日は東京からお客様がありました。お迎えの場所は佐伯市歴史資料館。午前9時過ぎ、其所を訪ねました。

　お客様はお二人、お一方は佐伯藩に使えた家臣の、もう一方は佐伯が誇る郷土の偉人・経国美談の矢野龍渓、それぞれ末裔の方です。来佐の目的は手元に残る歴史資料(古文書等）を資料館に寄贈と墓参りでした。私が現役の折り、佐伯出身で在京のAさんとHさんに紹介を頂いた経緯あり、資料館の学芸員Kさんがリタイアした私に気を遣い、声を掛けてくれたのでした。
　学芸員の部屋を訪ねるのは初めてでした。館の二階にそれはあります。吹き抜けがいい感じでした。

　部屋に入ると、壁の本棚に書籍が並んでいました。次の写真はその一部。いいなぁ、本に囲まれて。Kさんを羨ましく思いました。

　さて、お客様のお一人はSさん。先に書いた通り、彼の家は代々佐伯藩の藩士でした。明治維新、廃藩置県後、在郷役人のようなことをしていたようです。その後、一族上京。東京に根を下ろしました。ご本人は旧制中学から海軍経理学校、終戦は奈良・橿原で、だそうでした。その後、某工業大学に進学、通算技官を経て化学プラントメーカーで働かれた方です。江戸270年を使えたS家の文書が東京大空襲に焼けずに現存していることをして、その資料を、とのことでした。写真はその一部。巻物が沢山ありました。

こちらは三浦梅園の軸物。シメではないな。イカルの画でした。

　この席に、佐伯史談会の会長Sさんが同席。机にあれこれを広げ、Kさんと二人、貴重な資料だと大喜びしました。地元紙と某全国紙記者も取材に来ました。

　門外漢の杣夫です。私は古文書よりもSさんの人生に惹かれました。一通り、資料の説明と取材が終わった後、彼の来し方を伺いました。戦後、大学卒業後、通算技官となった、高度経済成長に併せ民間にトラバーユ、国内外のプラント建設に携わったこと、持たない国(非産油国)に植物由来のものを精製する技術を提供しようと目論んだこと(ケニア)、退職し、環境関連の技術士としてコンサルタント業務を営んだこと、などです。余談としてSさん曰く
「旧制中学の折り、同級生に不破哲三氏がいたよ」
この話には驚きました。続けて曰く
「転向せずに頑張って鉄鋼労連から共産党に三顧の礼で迎えられたことは、よく頑張った、仲間内で尊敬を集めた」
　閑話休題、昼を過ぎました。史談会会長の営む「番匠茶屋」で昼食を。次の写真は天下の清流番匠川、佐伯大橋袂にあるそれです。玄関にブーゲンビリアが咲いていました。

　この花、名を知りません。深みを感じさせてくれます。見るのは初めてでした。

　美味しい料理でした。その中からの1枚です。シシャモを天麩羅にしてありました。生中！といいたいところでしたが、今日はお客様あり、猫を被る必要あり。我慢しました。

　会長がこれを出し、皆に見せてくれました。矢野龍渓著「浮城物語」です。今日お見えの方、もう一人はMさん。龍渓直系の方です。墓参を兼ね、S氏さんに同行でした。本を手に取っての感慨は一入だったことでしょう。

　4冊のうち1冊は子ども向けに別人が改訂したもの。小説の舞台は明治中期。主人公は大分県豊後国南海部郡大入島出身。横浜で大志を抱く人物に出会い、東南アジアに航海、そこでオランダ艦隊と衝突、ボルネオの原住民ともあれこれの一大冒険小説です。

　余談です。本の中身より、史談会会長はこんな古いものを如何にして手に入れたんだろう、そちらが気になりました。本の中の1冊、裏表紙を捲ったら「日本の古本屋」というサイト名の入った領収書が挟んでありました。何とこのペラペラの古本が40ラーでした。

　これから墓地に行くというみなさんを見送り帰宅。早速今日のことを東京のAさん、Hさんへmailしました。夕刻、着替えてラン。今日はいいことがあったというか、遙かな話を沢山聞きました。充実感のある気分でした。よし、今日は頑張ってみよう。以下はカメランの写真です。小中尾集落の空が青い。

　ん？なんだ？道に黒い塊があるぞ。大きな毛虫かな。

　やっ、死んだ大ミミズに蟻が取り付くの図です。

　この時期、林道に此奴が這い出てきます。場所を取り違えると、日照りにお陀仏。その結果、上記のようなことになるのです。

　合歓木が満開になりつつあります。西日を受けていい感じです。

　おっ、ルーだ。頭を撫でようとして、飼い主MのM坊に止められました。
「Hちゃん(私のこと)、噛まるるぞ、噛まるるぞ！」
サッと手を引っ込めました。おい、ルー、そんなに吠えるなよ。

　向津留に廻りました。MのH坊が作るイチゴハウスは全部の水を切っていました。枯れたものを全部引き抜いていました。次の準備が始まるんだろうな。

　家に戻ってシャワー。
「あなた、これを食べていて。私は明日の準備があるの。プールよ。水着を探さなくっちゃ。嗚呼忙しいわ」
　明日は某小学校、新採用教師が研修で不在。代替に入るのだそうです。体育の授業が組み込まれているとのこと。水泳です。
「あなた、明日の午前、天気はどうなっているの？調べて頂戴」
　スマホで見たらカンカン照りです。その旨を伝えると、今度は鍔の広い帽子を探し始めました。グラサンを貸そうかというと、人の目があるからそんなのだめよ、と返されました。水着を試着し、鏡の前で気になる大根を恨めしそう。確かに60を前にしたおばさん、いや、おばあさんの水着姿ではあります。まあそれはそれとして、それでもプールに入ろうという意欲のあることだけは認めないわけにはいきません。カメラを向けたら目が三角になりました。その写真を載せたら大叱られです。代わりにこれ。先日、仕込んでおいた鰺です。南瓜や茄子と一緒に揚げてくれました。