梅林庵

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2020年03月23日

今日も野良仕事

(4)

カテゴリ：野良仕事

Monday, March 24, 2020
　午前4時起床。晴れ。日中は20℃位まで上昇しましたが、北風が強く、肌寒さを覚えました。
　写真は夜明け前に読んだ本、保阪正康「昭和戦後史の死角」朝日文庫です。内容はともかく、タイトルに使われている「死角」という文字に少しの違和感を覚えました。この言葉、私、普段、「急所」「不備」「疵」「弱点」といった「物事の弱い部分」を指す意で用います。昭和戦後史の弱い部分？しっくりきませんでした。広辞苑を引いてみました。そこにその説明はなく、「銃砲の射程内であるが、地物の障害または銃砲自身の構造上、どうしても射撃し得ない区域。ある角度から見ることが出来ない地点・範囲」とだけ書いてありました。得心がいきました。保阪氏の意図は広辞苑の通りでした。昭和戦後史のそれぞれの事件、出来事、人物に関し、今を生きる私たちに見えない「本質」があり、それを「死角」と表現、検証し、つまびらかに、という思いを持たせたタイトルなのでした。

　さても、その内容です。20の項目で構成されています。殆どが1990年代に月刊誌掲載のもの。「言わねばならぬこと、論ぜねばならぬこと」「日教組にかけている自己批判」「朝鮮戦争をどう見るか」「松前重義の『伝説』」「有事法制関連三法案を論じる前に」・・・どれも「死角」を暴いて目から鱗です。中でも「戦後50年で露顕した死者三百十万人の『断層』」には深く頑首。「せめて一万人が生きていたら」という小見出しで始まるそれが出色。文庫本にして僅か20頁足らずですが、今の日本の本質を喝破する内容でした。
　午前9時を過ぎて作業着に。薪作り。小型のチェーンソーを持って2時間、一心不乱でした。割らずにすむものは、全部始末を終えました。後は発電機の到着を待つばかりです。昼をした後は生姜を植える準備。花の咲き始めたパクチーを処分、そこに草木灰を鋤込むことにしました。写真は闌けたそれです。引き抜く折り、匂いがプンプン。

　これが花です。何とも小さい。

　ついでなので、植わった人参と春菊も収穫。そこに灰を撒いて耕運機。始末を終えて、ん？カラスノエンドウが伸びたな。よし、梅林下の草を刈ろう。草刈り機を背負いました。2時間ノンストップ。綺麗になりました。写真はその端に植わる山桜桃（ユスラウメ）です。咲き始めました。可憐です。花の後、小さな赤い実を付けます。熟れると甘酸っぱく、病みつきになります。

　午後5時半、地下足袋を脱ぎました。走ろうか迷いました。結局折れて、今日もランシューズを履かず。
　夜のお勤め、今夜の当ては牡丹肉の塩麹漬けを焼いたものです。思いのほか柔らかい。地鶏の炭火焼きよりもソフトに仕上がりました。塩麹の効能、いい感じです。

　こちらは白和えです。妻は、同じものを父母に届けました。スープの冷めない距離、彼女はほぼ毎日、何かしら、1品2品のおかずを、なのです。有り難いことです。しかし、曰く
「持って行った食べ物はお父さんが先に殆どを食べてしまうの。気まぐれなのよ。お母さんと一緒に頂きますができないの。昔気質の唯我独尊だわ。そのお母さんもお母さんよ。私が2人のためにこさえたものを、お客さんがみえたらすぐに出すのよ。自分たちの食べる物がそれのみの時もよ。今日の白和えも、お父さんの懇意にしているKさんが来て、早速だったわ。こんな日、お客さんの帰った後に行ってみると、御飯と漬物で済まそうとしているの。私、料理を誰のために作っているのか、そんな2人の食卓を見ると、なんだか悲しくなってくるわ。」
　うーん、どう応じてよいものか。

　ほろ酔い気分で音楽を。今夜のNHKFM、ベストオブクラシックは読響でした。ベートーベンの英雄を聴きました。ホルンの富成さん、どうしているのかな。まだ現役かな。
　ついでCDを幾枚か。ベームの古い録音を引っ張り出しました。ブルックナーのロマンテック、続いてブラームスのピアノコンチェルト2番。バックハウスの演奏でした。