今が生死

今が生死

2008.02.16
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カテゴリ: 教育
医者の悪筆はよく知れ渡っている。私を含め、私の知ってる医者の殆どは字が下手で、読むのに苦労する。(但し女性医師は別できちんとした字を書く人が多い)

カルテはその下手な日本語とドイツ語、英語がまざり、さらに略語などがあり、一般の人は勿論医師が見ても読めないことが多い。看護記録はきちんと読める日本語で書かれているので、医師は必ず読んで参考にするが医師のそれは読めないので始めから無視されている。

日本には江戸時代に長崎の出島を通じてオランダ医学が入ってきた。明治になり、ドイツ医学が入ってきて、教科書などもドイツ語(クレンペラー)だったのでカルテもドイツ語交じりで書くことが多かった。数十年前からはアメリカ医学が世界を席捲し、ドイツ語に代わって英語が幅を利かすようになってきた。

従って古い医師はドイツ語を用い、最近の医師は英語を用いるようになってきた。昔は医師に特権意識があり、患者や他の者にカルテに書いてあることを分かってもらう必要はなかった。分からないからご利益があるのだの風潮があり、ドイツ語にしろ英語にしろ、日本語にしろ、ぐちゃぐちゃと書いて、わざと分からないように書いているのではないかと思われるような節もあった。

しかし最近、求められたらカルテを開示する義務が決められた。開示しても読めないのでは意味がない。また昔と違って医師一人で治療しているのではない。看護、薬剤、検査、栄養、リハビリ、ケースワーカー全ての職種が協力して一人の患者を診ているのである。情報交換するのに一職種だけ読めない字を書いていたのでは診療にさしつかえる。従って医師もカルテは日本語で分かり易く書くことになった。

大変いいことである。診療内容がだれが見ても分かるようになれば、診療内容そのものも透明になり、レベルも上がってくることが期待される。今は、分からない字を書いて、患者や他職種を煙に巻いていた時代ではない。

今日は医師国家試験の日である。合格者は医籍に登録される。国家試験問題は4択とか5択で4つの中から正しいのはどれかとか間違っているのはどれかなどを選ばせる問題が殆どだ。カルテを日本語できちんと書ける力がなくても合格できる。それではだめだと思う。マルバツや選択問題もあってもいいが、日本語で課題患者の既往歴や現症、検査結果、治療方針等をきちんと書かせて、日本語でカルテが書ける力があうかどうかを合否の基準に含めてもらいたいと思う。

今日は試験日で合格発表はまだ先になるが、合格して医師の仲間に入る諸君はあくまでも謙虚に、病者のために自分の全てを捧げ、他の職種と力を合わせ、患者の健康回復に尽力してもらいたいと願う。





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Last updated  2008.02.17 10:05:27
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