ブログ・教育委員会!
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北海道滝川市で教育委員はどんな役割をしたのか。 「何をすべきか分からない。本当にいる意味があるのかな、とすら思う」 滝川市の教育委員の1人は、今もこんな思いを抱きながら委員を続けている。 人口約4万4000人の小都市の小学校で2005年9月9日、6年の女児(当時12歳)が、いじめを訴える遺書を残して自殺した。遺書の中身を本紙が報道するまでの1年余、いじめと自殺の関係は隠されたままだった。 複数の教育委員が「自分たちは教育の現場を知らない。教育長と事務局に任せてしまい、積極的にかかわらなかった」と反省の言葉を口にする。 女児の自殺後、最初の会議は9月27日だった。事務局は、カウンセラー派遣など、心のケア対策を説明したが、原因は究明中というだけだった。 教育委員による会議はほぼ毎月1回、月末にある。10月の会議では議題にならなかった。この月、遺族は学校を訪ね、7通の遺書のうちの2通を読み上げている。内容はすぐ教育委員会事務局に伝えられた。 しかし、11月下旬の市議会文教委員会や記者会見でも、11月30日の教育委員による会議でも、事務局は、「いじめを受けていたという事実は把握できていない。(遺書は)友人関係の好き嫌いを表現したもので、事故(自殺)に直接結びつくことは書かれていない」と説明した。 委員からは「保護者説明会ではどんな意見が出たか」「女児の母から話は聞けたのか」などと質問が出ただけだった。 意識不明だった女児は翌年1月に死亡。6月には、真相究明を求める遺族から、遺書のコピーが市教委に渡った。それでも、この月の教育委員の会議で、遺書のことが正式な議題に上ることはなかった。 会議後の非公式な場で、当時の安西輝恭(てるやす)教育長(68)が、他の4人の教育委員に内容を簡単に説明。道教委にも情報を上げたことに触れ、「個人名が多く載っていて公表できない」と話した。委員たちも「見ない方がいいのだな。道教委の判断を待とう」と感じ、追及しなかった。■結局、報道まで、委員に“真相”が伝わることはなかった。■ 市内でお茶の販売店を経営する当時の教育委員長、了輪隆氏(72)は「委員は出された議題を論じる。議題にならなければ、こちらも追及することはなかった」と弁明をする。 いじめ隠しの発覚で、了輪委員長と安西教育長は辞任した。残りの教育委員は、道内中堅クラスの建設会社で監査役を務める女性(70)、隣町のJAで監事を務める男性(59)、医院で事務長を務める女性(56)の3人。監査役の女性が了輪氏の後任委員長に就き、もう1人、委員が補充されたが、教育長は半年以上、空席のままだ。 委員の会議では「全員が辞任すべきだ」との議論もあった。委員からは「小中学生の子を持つ親がいれば、対応も変わっていたかも」という声もあがる。 先月の統一地方選で再選された田村弘市長(60)は「重要な時期だっただけに、教育委員会機能を空白にすることは別の意味で責任放棄になる。3人の委員は残ることで責任を果たすことを期待した。保護者を委員に加えたいが、すぐにはできない。国会審議の推移も見ながら決めたい」と答える。 教育委員の会議は、正式な会議後に座談会形式の「協議会」を設けた。堅苦しい空気の中では言いにくい意見や質問を率直にぶつけ合っているという。事務局も、教員経験者中心で対応した今回の反省に立って、人事を見直したという。 空白の1年で、同級生はいじめと向き合う指導を受けないまま中学に進んだ。中学では、作文で小学校時代を振り返らせたり、道徳などでいじめを題材に授業を試みたりしている。だが「当時の気持ちや記憶が薄れてしまっている。事件後、すぐやるべきだった」と教育効果を疑問視する声は市教委内部にさえある。 空白の時間を遺族の木幡幸雄さん(59)は「いじめても大人はかばうと、子供は思っただろう」と見る。「今も悲しみ、苦しみ、怒りが一日の中で何度も繰り返される。心からの謝罪が聞きたいが、聞いても心の空白が埋まるかは分からない」と嘆いた。(野口賢志)■「委員に保護者」義務化も■ 教育委員会は、自治体の首長が議会の同意を得て任命し、基本的に5人の委員で構成する。トップの教育委員長は教育委員の互選。事務局を指揮監督する教育長も教育委員で、制度上、教育委員会が任命する。専門家の独善を防ぐため、一般の人が合議で基本方針を決める「レイマン(素人)コントロール」が運営の基本だが、教育行政の専門家である教育長が、実質的トップのイメージが強い。 昨年は、いじめとの関連が疑われる子供の自殺が相次ぎ、教育委員会の対応の不手際に批判が集中した。教育委員会制度の見直しを求めた教育再生会議の提言を受け、現在国会で審議中の地方教育行政法改正案には、委員に保護者を含めることの義務化も含まれる。2005年の文部科学省調査では、市町村教育委員の平均年齢は61・7歳、保護者の割合は14・5%。■「キモイ」・・・つらい 女児の遺書■ 滝川市教委の調査報告書などによると、教室の教卓に残された女児の遺書には「5年生になって『キモイ』と言われてとてもつらくなりました」「私は、みんなに冷たくされているような気がしました。それは、とても悲しくて苦しくて、耐えられませんでした。なので私は自殺を考えました」などと記されていた。 席替えで女児の隣を「かわいそう」とする声に多くの同級生が同調、修学旅行では女児だけ部屋割りが決まらなかったことが、学校の調査からも確認された。旅行中には、宿泊先のホテルで、女児が「友だちがカギを持って行ったので、部屋のカギがない」と1人でエレベーターを昇降する姿も教員に目撃されていた。 担任は女児から「友だちから避けられているみたい」などと相談も受けたが、その都度相手の児童を指導して「解決した」として、他の教員への相談や家庭への連絡をしなかった。(2007年5月1日 読売新聞)
2007.05.01