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May 31, 2011
PTSDの対応
テーマ:
3.11災害を生きる(93)
カテゴリ:
カテゴリ未分類
1.話をよく聞いてあげる
(ただし、無理に聞きだそうとしない)
2.誰でも起きることで、必ずよくなる、と安心させる
3.話したい時はいつでも話をしていい、と伝える
3・11のような未曾有の災害に遭うと、
誰もが心理的に退行しやすくなる。
そして、不安を抱えて苦しむことになるが、
その不安を誰かに解ってもらいたい、
誰かと共有したい、と深層意識が働くものである。
ただ、3・11の場合、当該教師も養護教諭も被災者なので、
自らも不安や何らかの葛藤を抱えていると思う。
ことに、原発事故による放射能汚染で、
安心して職務を遂行できない、
という先生方が少なからず各校にいることを知っている。
しかし、例えるなら、教員の立場とは、
乱気流で不安に思う乗客に、
安心感・安全感・大丈夫感を提供する
キャビン・アテンダントのようなものである。
自らが不安がっていたのでは、
乗客を安心させることなぞは出来なかろう。
そこは、プロの笑顔で
「大丈夫ですから、シートベルトをお締めください」
と安心感を提供しなくてはならない。
「一所懸命」という言葉があるが、
それは、今ここで、我われは、
命懸けで職務を遂行しなくてはならない、
ということである。
1.話をよく聞いてあげる、というのは、
たやすいようで、なかなか難しいことである。
殊に、教師は、教えるのが商売だから、
つい何かを相手に言いたくなる。
かつては、生徒に延々と説教をしておいて、
「カウンセリングしています」という先生がいて、
驚いたことがあったが、さすがにSCが導入されてからは、
そのようなトンデモナイことは、なくなったようである。
カウンセリング用語に
「積極的傾聴(Active litening)」というのがあるが、
まさに、虚心坦懐にして相手の話を肯定も否定もせずに、
聴くことに徹するのである。
「聴く」というのは「聞こえる」の「聞く」より
アクティブな姿勢であることは了解できよう。
無理に聞き出そうというときは「訊問」の「訊く」になる。
日本語はちゃんと分類しているから大したものである。
「コップの理論」というのがある。
コップとは学者名ではなく、ガラスのコップのことである。
片方に満水のコップがあり、片方に空のコップがあるとする。
満水のコップとは、生徒の不安がいっぱいの状態とすると、
それを空のコップにいくらかでも移させてあげるのが、
傾聴の意味であり効果なのである。
説教したり、何かを教えよう、とするのは、
満水のコップにさらに水を継ぎ足そうとすることであり、
当然、あふれ出て入りようがない。
もっとも、聴く側のコップを空の状態にしておく、
ということは、現実には至難のことで、
仕事や雑務に追われ、家族のことで悶々としていては、
同じく水がいっぱいで、生徒からの水を移すべき
容量がないかもしれない。
じっくり人の話を聴く、というのは、
教師側に、ゆとりがなければ難しいのである。
また、幾人もの生徒の不安を聴いているうちに、
先生自身のコップが満杯になってしまって、
しかも、その水たるや黒々とした不安の塊なので、
その毒で中毒になることもある。
実際には体調を崩したり、家族に八つ当たりしたり、
ということが起こる。
そんな場合は、SCに相談したらいい。
2.このような非常時には、生徒は被暗示性が強いので、
自らの心身の異常にとらわれ、
さらに症状が悪化するという悪循環に陥りやすい。
それゆえ、そういうことが起こることが正常で、
健康な反応であること、誰でも起きることで、
必ずよくなる…と、暗示をかけるように
保証することが大切である。
このとき、教師自身にも不安があっては説得力がない。
それには、状況は必ずや好転する、復興する、
という自らに自己暗示をかけて、
それを強い信念としなければならないだろう。
かつて、新任教員研修会で、新卒の若い先生方に、
先述の例をあげて
「現場ではスチュワーデス・スマイルを忘れないで」
と檄をとばしたことがある。
(当時はまだCAという呼称がなかった)
3.話したい時は、いつでも話をしていい、
と伝えることも大切である。
この言葉は、生徒たちに安心感・安全感・大丈夫感を担保する。
と同時に、この言葉は教師に対する信頼感をも高めてくれる。
事例研究では、援助者との良好な関係が築けた場合には
不適応症状が減少するという報告がある。
1~3の他にも、重要なことは、
PTSD生徒の周りに、理解者のネットワークを作る
という環境調整である。
学校には、担任、顧問、教科担当、養護教諭、
教頭、校長、SCなどがいる。
生徒がもっとも安心して心を開きそうな相手を
コーディネートするということも大事な作業である。
そして、保護者にもPTSDの病理・心理を
充分に理解してもらわないと、
安易な叱咤激励をされて
「抑うつ」状態が悪化したりする場合もある。
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Last updated May 31, 2011 07:12:23 AM
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