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天気予報では7、8mの強風の予想で、テンカラ釣りで毛ばりを飛ばすのは無理だろうと諦めて、ひたすら芹と蕗を目的として入選したのだが、朝凪(海辺ではないが)というのだろうか、風がほとんど吹いていない。さっそく何ヶ月もかけて準備してしていた仕掛けを試すことにした。
テンカララインは2種類を用意していたのだが、昨日釣り道具入れの12段のケースを片っ端から調べていたら古いテンカララインが見つかった。以前にある釣り具メーカーのインストラクターをしていたのだが、その時そのメーカーの商品が送られてきた中に入っていたものらしい。少し武骨な感じのラインだったが、振ってみるとテンカラ初心者の私にも毛ばりをよく飛ばせるのだった。
毛ばりがよく飛ぶことに気をよくして、以前に実績のあった大渕への瀬落ちなど4ヵ所ほどのポイントを行きつ戻りつしてテンカラ竿を振った。初めは伝統的なテンカラ毛ばり(ウエットフライ)で表層付近を流し、次にニンフフライで沈めて流し(その時はインジケーターも使ってみた)、ドライフライを眼で追いながら流しても見た。
サングラスを外し、近眼鏡を老眼鏡に替え、のんびりと毛ばりを結び替えては、また近眼鏡を掛け、その上にオーバーサンガラスを掛け直して竿を何回か降る。その繰り返しがじつに楽しい。かつて競技のアユ釣りをしていたときはいかに短時間で仕掛けを用意したり交換したりするかに血道を上げていたのだが、いまはのんびりと仕掛けをいじっているのがとても楽しいのである。
楽しい、楽しいとワクワクしながら2時間ほど竿を振り続けて遊んでいたのだが、予想通りにヤマメは一度たりとも姿を現さなかった。釣れなくともよいと思って終活の釣りとしてほとんど経験のないテンカラ釣りを選んだので何の問題もないのだが、いずれ間違ってでも釣れることがあるかもしれないと考えるだけでまたワクワクするのである。
竿をザックにいれ、岸辺の岩に腰かけて朝飯を食べていると目の前にも芹が映えている。さっそくそこの芹を摘んで、次は蕗である。岸辺を歩きながら蕗を探す。スマホのカメラで花の写真も撮った。40年も昔のことだが、イワナ釣りの渓流で一眼レフを流れに入れてしまったことがあるので、川に入るときは防水ケースに入れたスマホしか持参しないのだが、まあそれなりに写っているのでいいことにしている(花は花で別立てのブログに写真を載せている)。
さて、かんじんの芹と蕗だがいくぶん季節遅れで完璧というわけにはいかなかったが、芹は漬物、蕗は煮びたしでおいしく食べられた。
二日後、朝目覚めて右手で起き上がろうとしたら肩に激痛が走った。テンカラ竿を右手で2時間ほど降り続けて三角筋を痛めてしまったらしい。降り方も下手なうえに筋力も年相応に弱っていたのだろう。楽しい、楽しいと夢中で遊び続けられる年齢ではないということか。これからの水行は竿なしということになってしまうのかどうか、しばらくはわが身に尋ねながら思案しなければならないようだ。
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