山行・水行・書筺 (小野寺秀也)

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小野寺秀也

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2024.05.17
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カテゴリ: 山歩き

​「登山」と呼べるような山歩きは2018年7月31日の泉ヶ岳が最後だったのだが、低山とはいえ頂上まで登ることになれば、松倉山でも登山と呼んでもいいだろうと思った。とはいえ、6年ぶりのことである。単にブランクがあったというだけではない。70代の6年は体力の衰えという点では実に深刻なのである。とにかく無理はしない、年齢相応に、山の花の写真を撮ることを主な目的の山歩きであれば十分などと考えて家を出たのである。​


松倉山(右)


 小さな花もきちんと写すためにマクロレンズとコンパクト三脚もザックに入れてきたのだが、1枚目の松倉山の山容を撮った時、カメラの電池が切れかかっているのに気づいた。慌ててザックのなかを探したが予備の電地は持ってきていなかった。しょうがない、撮れるだけ撮って、あとはスマホのカメラでと思いなおして歩き出した。
 10年以上も前にこの山には2度ほど登っているが、山裾の林の中にはいろんな花が咲いていた記憶があって、その写真を撮りたいと思ったのだが、少し季節がずれていてほとんど花を見ることができなかった。春になると始まる私の山登りは、低山から始めて雪が消えるのに合わせて山の標高を上げていくので、たぶん松倉山は4月初旬に歩いたのではないかと思う。その時に見て感動した花たちの花期はとうに終わっていたのである。かろうじて見ることができたのはマムシグサ、シャク、咲き残りのオドリコソウぐらいでだった。
 花がないのでマクロレンズも三脚も必要がなくなったのだが、電池のなくなったカメラも必要がないということで、マイナスが二乗して何となく収まってしまった。私の失敗のためにできることもできなくなった、というわけではないのである。


急坂とロープ

 見つからない花を探しながら沢沿いの道を登って行くと、突然「松倉山登山口」という標識が現れて、急坂が始まった。花のことは思い出したが、この急坂のことはすっかり忘れていた。夜から朝にかけて降った雨で斜面は濡れていていっそう登りづらくなっていた。登山道のほとんどにロープが張られていて、そのロープにつかまりながらかろうじて登山道を辿ることができた。さほど息が切れるわけでもないのにちょっと登っては一息入れ、また登っては一息という繰り返しになった。急坂とはいえわずかな高低差なのに、2回ほど腰を掛けての休憩が入った。
 頂上尾根に着くと左に行けば三角点のある頂上、右は薬師如来の祀ってある頂上という三差路に出る。三角点のある頂上には1mほどの山ツツジがあってパラパラと4,5輪の花が咲いていた。一方の山頂には高さ60cmほどのずんぐりした石仏が据えられていて、薬師如来像ということである。


 さて、下りはいくぶん楽だろうと思っていたが、雨に降られた粘土質の登山道は立っていられないほど滑るので、結局は下りの道もロープだよりでなかなか距離を稼げないのだった。隣接する大倉山にも登れるなら登ろうと計画していたのだが、途中まで登ってから遊歩道へ下るコースを選んだ。12年に来た時には、松倉山の次に撫倉山(354m)に登り、次いで大倉山(327m)を辿るコースだったのだが、60代後半と70代後半の年齢差を考えれば、まぁ当たり前といえば当たり前だと自分を慰めながらアップダウンの道を ゆっくりと歩いてきた。
 登山道も終わりに近づいた頃、きれいなマムシグサを見つけた。たった1本だけ生えていて、電池切れのカメラに代えてスマホで写真を撮ろうとしたらこちらも電池切れになっていた。こっちは大容量バッテリーをザックに入れてきたので大丈夫と高を括っていたのだが、こっちも充電切れで全く役に立たなくなっていた。登山用のとソーラーモバイルバッテリーなのだが、こちらも6年のブランクでメインテナンスをおろそかになっていたのだった。

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Last updated  2024.05.24 10:42:52
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