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2006年11月02日
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前回に引き続き、ゲルマン人が信じていた神様についてご紹介していきます。

古代ローマの歴史家タキトゥスの記述によれば、下記の三柱の神様が特に重要だったようです。

メリクリウス (ローマ神話の商業の神様で、のちにギリシア神話のヘルメス神とごっちゃにされました)
ヘルクレス (怪力で知られる、もとはギリシア神話の英雄。巨大な水蛇を倒したり、ライオン退治に出かけたりと12の難題を成し遂げるものの、猛毒のぬられた服をうっかり着てしまい、もだえ苦しんだ末、みずから炎の中にとびこんで自殺。これじゃあんまりだという事で?後にゼウスのはからいにより、神様のメンバー入りを果たしました)
マルス (ローマ神話の軍神)

今回はヘルクレス、マルスがゲルマンのどんな神様に該当するのか見てみましょう♪

ヘルクレス=トール
トールがどのような神様だったのかヘルクレスの特徴から想起してみると、まずは 怪力 であること、そして北欧神話(ゲルマン神話を源流とする地域的神話)ではトールが行った戦いや冒険が色々残されている事から、両者とも 「ファイトー!いっぱあつ!!」をほうふつとさせる(?)冒険野郎で共通 していたのかもしれません。

ちなみに、前回登場したオーディンとこのトール、どっちが偉かったのかというのは諸説分かれるようですが、 トールの名前にちなんだ木曜日(Thursday)が、ゲルマン人の間ではもっとも神聖な曜日とされていた事 などから、 トールが一番! という意見もあるそうです(ただし北欧神話ではオーディンの下位に置かれてしまっています)。

トールについてもっと詳しく知るには、やはり北欧神話しかないのですが、ここでは 彼は怪力の戦神で、顔いちめんに赤いひげをはやしており、身体は山のように大きい とされています。同じ戦いの神でも、オーディンは策略でもって戦いを勝利に導く頭脳タイプ、トールはみずから先頭にたってガチンコ勝負をいどむ猛将タイプと、まったく対照的な二人だったりします。
あとは雷の神様としても有名で、 「かれが外へ出かける時は、よく二頭のたくましい山羊がひく車にのって行きますが、その車はすさまじい音をたてます。それがつまり雷鳴だとされ、いまでも北欧の人びとは、雷が鳴ると、トール神が車で出かけるのだ」 (山室静『北欧の神話』より抜粋)というそうで、そう思えば、雷のとどろきにもいくばくかのロマンを感じられるかも??(でも果たしてそんな余裕があるだろーか^ ^;)。
彼のもつ武器、<ミョルニルの槌>もまた雷と結び付けられました。 青白い雷が空を切り裂いてバリバリと落ちる、それはトールがすさまじい破壊力を誇るミョルニルの槌を投げたからに他ならない と北欧の人々は考えていたのです。

今を生きる私たちは、雷が鳴った、落ちた、怖かった~とただそれだけなので、どこまでもふくらんでいくその想像力が、うらやましくもあり、少し寂しかったりします(仮に何かを想像しても、私はもう純粋にそれを信じることができないのですから)。
でもまあ別の考え方をしてみると、ただでさえ雷はコワイのに、おっかない神様がドカドカバリバリ!と武器を投げつけてると思うと、身がすくむどころの話ではなかったりして……^ ^;

トールに関するデータは、 ウィキペディアのトールの項目 を参考にして下さい。


では最後はマルスです。
マルスに当たるゲルマンの神は テュール といいますが( この名前はTuesdayのもとにもなっています )、他の神話に出てくる天空の神(デイヤウス、ゼウス、ユピテル)と語源を同じにするらしく(すみません、ここらへんは言語学の分野なのでチンプンカンプンです)、ゆえに テュールも天空をつかさどる神様 だったと考えられています。
天空神といえば何とも壮大な感じだし、ゼウスやユピテルもいっちゃん偉い神様ですから、もしかしたらこのテュールが最高位についていたのかもしれませんが、タキトゥスはかれを軍神マルスにあてているので、その頃には属性も変わり、地位も転落していたのかもしれません。お気の毒です……。

北欧神話ではさらに影が薄くなり、エピソードもほとんど残っていません。 <片手の神> と呼ばれるようになったいきさつがかろうじて語られる程度で、浮き沈みは世の常とは言え、大富豪からいっきに大貧民まで落ちぶれたような感じですわ~~(って何か違いますね^ ^;)。
ちなみに、<片手の神>のエピソードは、 ウィキペディアのテュールの項目 にありますので、興味をもたれた方は読んでみて下さい★


北欧神話はこの後、オーディンもトールもテュールもはたまた他の神々も、巨人との最終戦争に巻き込まれ、次々に死んでいきます。 神々と世界が滅びる運命の日 、これを ラグナロク (ワーグナーが「神々の黄昏」と訳したことでも有名ですね)と呼んでいます。神話としてはかなり異様で、悲惨な終わり方ですよね……もっとも最後には、希望が語られるんですが、だからと言ってショックが薄まるワケでなし。
個人的には、富野アニメの「聖戦士ダンバイン」のラストを彷彿とさせますね~。北欧神話へのオマージュもあるのかな?
(ラグナロクについてはこちら→ ウィキペディアのラグナロクの項目

まだまだ書き足らないトコロもあるのですが、ゲルマン★レポートはいったんここで筆をおきたいと思います。ではまた!







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最終更新日  2006年11月02日 23時16分58秒
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