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cozycoach @ Re:徳川忠長 兄家光の苦悩、将軍家の悲劇(感想)(11/20) いつも興味深い書物のまとめ・ご意見など…
2019.11.02
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カテゴリ: カテゴリ未分類
 かつての日本は、加工貿易を得意としてきました。

 加工貿易は、原材料や半製品を他国から輸入し、それを加工してできた製品や半製品を輸出する貿易の形です。

 戦後の日本は、貿易立国を合言葉に経済発展を遂げてきました。

 “新貿易立国論”(2018年5月 文藝春秋社刊 大泉 啓一郎著)を読みました。

 もはや輸出大国ではなくなった日本について、グローバルな視点で現実を直視し日本経済復活のための新たなモデルを示そうとしています。

 貿易立国は、資源の乏しい国が外国から原油・鉱石等の鉱産物、また原材料の類を輸入して国内で加工し、製品を輸出して得た利益で国の経済を維持することです。

 日本はついには、アジアで真っ先に先進国入りを果たしましたが。いま発展の原動力となった輸出が不振です。

 大泉啓一郎さんは1963年大阪生まれ、1986年に京都府立大学農学部を卒業し、1988年に京都大学大学院農学研究科修士課程を修了しました。

 その後、東レ・ダウコーニングに就職し、1990に三井銀総合研究所、現・日本総合研究所に入所し、2012年に京都大学博士(地域研究)となりました。

 現在、日本総合研究所調査部環太平洋戦略研究センター主任研究員、法政大学経済学部非常勤講師、JICA社会保障課題別支援委員会委員を務めています。

 アジアの人口変化と経済発展、アジアの都市化を巡る経済社会問題、アジアの経済統合・イノベーションなどの調査・研究に取り組んでいます。

 日本は、これまでリードしてきた工業製品の優位性が揺らぎ、かつては世界の10%ちかくを占めてきた日本の貿易シェアは低下する一方です。

 貿易立国というこの国のかたちが、危機に瀕しています。

 経済のグローバル化、技術のデジタル化という、かつてとは大きく異なる環境を背景に、新興国・途上国が台頭し、日本を含めた先進国の地位が低下しています。

 貿易立国と呼ばれる代表的な国は、その国の輸出依存度を見ることで把握することができます。

 この依存度は国民ひとりあたりの国内総生産または国民所得に対する輸出入額の比率のことを指します。

 輸出依存型経済は、自国の市場だけですべての産業を自給自足的に成立させることが難しく、国外市場への輸出や国外供給地からの輸入に頼らざるを得ない経済状況です。

 一般的に国内総生産が小さい国であるほど、輸出依存度が大きいといわれています。

 この観点から、現在、貿易立国と呼ばれる代表的な国は、輸出依存度66%のオランダ、58.8%の台湾、57.8%のアイルランド、45.7%のスイス、43.9%の韓国などです。

 これに対して、日本の輸出依存度は15.2%となっており、実際には内需依存型の経済です。

 内需依存型経済は、自国の市場の中で産業を自給自足できる経済状況をいい、日本では、高度成長期時代に内需依存型経済の代表的な傾向が見られました。

 1980年代に米国との貿易摩擦が起こり、1980年代半ばから輸出依存度が低くなっていますが、1980年代前半も輸出依存度は15%を下回っていました。

 日本は、もともと輸出依存型ではなく、内需依存型の構造になっていたのです。

 しばしば日本は貿易立国と言われますが、実際は世界的に見ると輸出依存型ではなく、長期にわたり内需依存型の経済を維持してきました。

 しかし、1980年以降の日本人の消費性の傾向は年々変化し、国内市場のみを意識して産業を発展させていくことは難しい状況です。

 かつて、人口規模では世界の3%に満たない日本が、1980年代半ばには世界貿易の輸出シェアが10%台に迫っていました。

 工業製品に限れば約15%でした。

 しかし、2016年度には4%にまで低下しています。

 貿易収支は2011年には、東日本大震災の影響もあって、31年ぶりに赤字に転落しました。

 現在は黒字を回復しましたが、黒字幅は震災前の半分程度です。

 また、自動車を中心とする輸送機器や生産機械などの一般機器、電気機器、化学品の黒字がいずれも縮小傾向にあります。

 米国の輸入全体における日本のシェアは、1986年の22%から30年後の2016年には6%まで縮小しています。

 1985年から1992年までは米国最大の輸入国は日本でしたが、2016年では、中国、メキシコ、カナダに次ぐ第4位となっています。

 日本製品の競争力低下の原因は、経済のグローバル化を背景にした中国などの新興国、途上国の台頭です。

 中国の対米輸出額は2016年で4820億ドルと、日本の3倍以上であり、貿易黒字も3660億ドルで5倍以上となっています。

 長期的なトレンドで、中国向け輸出の主力である中間財や資本財が減少しています。

 中国の技術水準が高まり、日本からの輸入に頼っていたのが、中国国内で生産することが可能になったのでしょう。

 自由貿易協定(FTA)や経済連携協定(EPA)、米国を除く環太平洋経済連携協定(TPP)参加11カ国の新協定TPP11などの、関税の撤廃や規制緩和は、もはや特効薬にはなりません。

 スマートフォンやパソコン、液晶パネルや半導体などの電子電機部門は、韓国や台湾に圧倒されています。

 新興国では、デジタル技術を活用したビジネスが次々に立ち上がりつつあります。

 したがって、日本製品の技術力は高くブランド力もあり、関税引き下げで価格競争力が高まれば、貿易大国に復活できるとは言えなくなっています。

 購買力の平価ベースのGDPでは、新興国・途上国の経済規模はすでに先進国を追い越しています。

 アジア開発銀行は、世界におけるアジアのシェアは、2010年の27%から2050年には52%にまで上昇するという見通しを示しています。

 地理的な場所にこだわらず、日本の生産力を生かすメイド・バイ・ジャパンを追求する時期にきています。

 日本が復活するためにはどうすればいいのでしょうか。

 著者は、成長トレンドにあって、日本国内の工業地帯に匹敵するほど大きな、日本企業の集積地があるASEANとの連携を提唱します。

 その上で、国内で開発・生産するメイド・イン・ジャパン戦略と、新興国・途上国へ生産拠点を移すメイド・バイ・ジャパン戦略の使い分けを説きます。

 私たちの目は先進国との競争に向きがちですが、いま求められているのはライバルであり、パートナーでもある新興国・途上国の潜在力を客観的に評価し、新しい事業モデルを検討することです。

 日本が貿易立国であり続けるためには、新興国・途上国経済の台頭のダイナミズムを理解し、対応することが重要です。

 序章では、日本は輸出を梃子にアジアで真っ先に先進国入りを果たし、貿易立国を成し遂げましたが、輸出が1990年代以降振るわず、もはや貿易大国ではなく黄昏を迎えているようにみえると言います。

 第1章では、世界貿易において日本のプレゼンスが低ドしていることを確認します。

 第2章では、新興国・途上国経済か台頭してきた背景や特徴について考察します。

 第3章では、新興国・途上国経済か台頭する時代において、ASEANと日本の関係も急速に変化していことを指摘します。

 第4章では、ASEANから中国やインドなどの新興国を狙うというメイド・バイ・ジャパン幟略を検討します。

 第5章では、中長期的なASEANとの連携強化の方向性を、ともに成長するをキーワードに検討します。

 第6章では、拡大する富裕層をターゲットにして、日本の輸出拡大を狙うメイド・イン・ジャパン戦略を検討します。

 第7章では、日本の競争力を高めるための視点を提示します。

序章 貿易立国の復活に向けて/第1章 変わる日本の立ち位置/第2章 新興国・途上国の台頭/第3章 「アジアと日本」から「アジアのなかの日本」へ/第4章 ASEANから新興国・途上国を開拓するーメイド・バイ・ジャパン戦略/第5章 新興国・途上国とともに成長する/第6章 日本から富裕層マーケットに切り込むーメイド・イン・ジャパン戦略/第7章 日本の競争力をいかに高めるか







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Last updated  2019.11.02 07:28:49
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