2002/03/03
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2002/02/16(土) 饒舌古本屋と盲目の老犬 に書いた古本屋と、場所は違えど似たような店構え、雰囲気の店に、確か石川淳の「夷斎なんとか」が高くもなく在ったはず、と久し振りに行ってみると、若々しいというよりはぶりっこな声で話すおばちゃん、むしろおばあちゃん、と店主がパソコンに向かって「ここをダブルクリックするとな、ほら、値段が、これは2000円や」などと語らっている。
 先客が美術・洋書の棚を「ないなあ、どこ行ったんやろ」とあさり探し廻っている。私も石川淳を探すが見当たらない。
「これは今まで売れへんのがおかしかったんやな、いる人はいるもんやし」店主の声を聞くに、ネットオークションに本を出し始めたらしい。いくつか目を付けていた本が消えている、気がした。あちらは老衰老犬、こちらはパソコン、となにやら感慨深いものがあった。夫婦仲はどちらも良さそうだった。

 この本に出てくる「頓狂連」のメンバーとして、解説に書かれている知っている名前でモデルのアタリがつくのは分かりやすい筒井康隆と多分後藤明生だろうなというくらいしかない。たいていは保坂(野坂)氏の性欲空回りに終始する話。
 氏の作品に同じ思い出同じテーマ焼跡近親相姦同工異曲が多い理由を「月に五、六百枚もつづけて書いていると、自分では気づかないが、まったく同じことを、したり気に二度三度くりかえしていて、たまに古い作品を読みかえし、赤面することがある。常套文句のようなものも、目立つのだ」と言い訳しておられる。当時氏は売れに売れており、その発表・仕事の場としての小説誌も氾濫していたのだ。今とは違う。日産二十枚を、習作でなく全て作品として発表して続けるパワーとはもの凄いものだろう。
 氏は根っこが冷めてるから、現在まで無事生き残って書いてこられたんだろうな、と。

野坂昭如「好色覚え帳」(新潮文庫 在庫切れ)





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Last updated  2002/10/23 12:52:24 AM
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