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2002/03/04

　高橋源一郎「日本文学盛衰史」のパロディみたいなもので「世界文学崩壊史」っての作れば面白いなあと思った翌日に手に取った、最近の高橋氏の作風の元祖のような気もしないではない山田風太郎故氏の作品。
　作者がダンテ「神曲」を読んでいたらふと光に包まれて、出会ったのはダンテその人。「世界が滅んだ瞬間に神曲を読んでいたため」元祖神曲さながらに山田風太郎がダンテ師を道案内にしての地獄巡り。文士革命家役者大名とにかく歴史上の人物が地獄でのたうち回る様を描き出していて、やっぱり面白いのは文士の人達。いろいろ面白い場面があるのだけれど、それをここに書いても、どうも書く目的とは違ってくるな。
　ダンテのオリジナルにしても、同時代に生きていなけりゃ面白さは半減するだろうし。そういや永井豪の漫画では読んだけど、神曲自体は最初の数章で止まったままだ。面白いんだけど、長くて脚注が多くて先のことを考えるとうんざりしてしまった。その点山田風太郎バージョンの神曲はすらすら読める。山田という名前のフリーターはあだ名に不自由しないんだろうな。

山田風太郎「神曲崩壊」（朝日文庫）

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