地を這う虫

2024/03/17
XML
カテゴリ: 映画
JAZZとJAZZ Muscianの成長、精進、苦悩、葛藤etc をテーマにした小学館「ビッグコミック」連載の漫画が原作のアニメ映画です。バンドのライブ(生演奏)場面では実写映像と見紛うシーンが結構あったんですが、エンドロールではCG担当の会社、スタッフ名がたくさん流れていたので、私が実写かいな?と思ったところはCGだったようです。なお、私は原作漫画を全く読んでおりません。

映画の詳細、ストーリーは以下の公式サイトを参照ください。

映画『BLUE GIANT』公式サイト

予告編は↓です。

"2月17(金)公開|映画『BLUE GIANT』予告編"



映画の出来は素晴らしいと思います。音楽に興味のない方でも十分楽しめる映画だと思います。音楽に興味のある方なら、なおのこと楽しめると思います。そして、Jazzファンなら凄く楽しめると確信します。
学生時代、下手くそ5流ドラマーでバンドの足を引っ張り続けた私は大学のサッカー同好会の温さ、緩さに我慢ならず、全く未経験なのにいきなりJazz Drummerを目指す主人公・宮本大の高校時代からの友人・玉田俊二の存在は大きかったです。いくつかの場面で落涙しますた。。。

音楽は上原ひろみです。彼女の名前は昔から知っていますが、その演奏・音楽はほとんど聴いていません。多分、NHK-BSで以前放送されていた「TOKYO JAZZ」に出演してる映像・音楽を聴いたくらいだと思います。いわゆる現代的な、主流・本流スタイルの演奏だったと記憶します。私は1950年代~1980年代くらいまで録音されたJAZZが好みなので、正直あんまピンとこない演奏でした。

この映画の中で流れるJazzについては、John Coltrane(Tenor Sax奏者)の「Impressions」とSonny Stitt(Alto Sax奏者)の何かの曲以外は全て上原ひろみの作曲のようです。昨日観た映画のエンドロールではそうだったと思います。データの詳細確認していないので、間違ってるかもしれませんけど・・・。劇中でのピアノ演奏も全て上原ひろみだと思います。

アニメの演奏シーンとシンクロして流れる上原ひろみのピアノは相当いい感じです。主人公のTenor Sax奏者宮本大のTenor Saxは馬場智章、Drumer玉田俊二のDrumsは石若駿が演奏しています。皆さんバリバリのプロなので勿論めっちゃ上手いです。ただまあ、映像なし、ドラマなしで純粋に音楽だけで聴いたら印象はかなり変る可能性はあると思います。この二人については、私はこれまで全く知らない人です。私は今現在の日本はもちろん世界のJazz Musicianに興味がほとんどないので。

"FIRST NOTE"


Drumer玉田俊二はDrumsを始めて1年未満なんですが、映画のクライマックスの日本最高のJAZZ CLUBでの初出演で、不測の事態からTenor SaxとDrumsという変則Duoで耳の肥えた客相手に演奏せざるを得ないシチェーションになります。SaxとBassのDuo、PianoとBassのDuoはレコードに数限りなく記録されております。Blue NoteのElvin Jones(Drummer)のレコードにはTenor Sax、Bass、DrumsというPiano LessのTrio演奏が2枚以上あります。この編成ではSonny Rollinsにも数枚ありますな。

このTenor SaxとDrumsのDuo場面でのDrums(演奏は石若駿)、なかなかよかですわ。Elvin Jonesばりのポリリズミックな演奏で2人しかいない演奏を観客に飽きさせない名演だと思います。まぁ、現代のPro Jazz Drummerなら、これくらいの演奏は出来て当たり前なのかしれませんけど・・・。と、ここまで書いたとこで、以下でその曲を映像抜きで聴きました。↓のYouTube音源で。

映画で聴いた際の印象とは相当異なりますな(苦笑)。上で「Elvin Jonesばりの・・・」って書いてますが、Elvin Jonesとは月とスッポンですな。バスドラやバスタム等を多用してドコドコドコドコやってる部分が多いのですが、日本人ドラマーの性というか血というか、ドコドコしてるとこにビート感が薄いんですな~~~(涙)。勿論Bass Lessという非常に難しい編成なのも影響しているのだとは思います。だけど、全盛期のElvin Jonesがこの場面でもし演奏したら、彼一人で強烈なビート感を創出することはほぼ間違いないです。人種差別的発言と誤解されかねない発言ですが、超一流黒人Drummerにしか出せないビート、リズムがあると私は確信しております。

"WE WILL"   Tenor SaxとDrumsのDuo演奏


で、、、、
この映画の最後の方、上述した日本最高のJazz ClubでPiano Lessで演奏せざるを得なくなる事情についてです。映画の冒頭に伏線に近いものが嵌めこまれているのですが、私はそこまで気は回っておりませんでした。
Pianistに起こった不測の事態については、それが起こる5~10秒くらい前に「先読み」できてしまいました。こうなるんじゃね~~?、と思ったらその通りの展開ですた(苦笑)。最近、amazon prime videoで邦画や日本のTVドラマをよく観ていますが、こういう無理筋、発生確率0.01%くらいことが実によく起きます。ストーリー展開上、安易な手だと言わざるをえません。まぁ、原作漫画がそうなっているので、映画の監督や脚本家の責任ではありませんけどね。

で、、、、(2回目)

↓のYouTube動画で若いプロジャズピアニストも語っておることですが、この映画の主人公+二人のバンド「JASS」にはBassがいません。Bassを入れないとバンドにならない!、てな話、話題は誰からも全く出ません。3人の周辺の彼らを応援する、サポートするJazz Barのママ、出演したJazz Clubのマネージャー、オーナーあたりからも「うん? 君らのバンド、Bassいないの? なんで??」みたいな話も一切でません(苦笑
ここも原作漫画通りなんでしょうが、なぜそういう設定なのかは謎です。Drums LessやPiano Lessのバンド・録音はいくらでもありますが、Bass Lessは純粋なSolo演奏以外ほとんど記憶がないです。JazzのPiano Soloはめっちゃたくさんあるし、SaxのSoloアルバムも数枚程度ではなく数十枚くらいは多分あるでしょう。
SaxとDrumsのDuoで記憶にあるのは、Lee Konitzの名作「Duets」(Milestone)の中の曲くらいですね。


"ジャズ素人騙すな! 映画「BLUE GIANT」ブルージャイアント(音楽:上原ひろみ)をプロジャズピアニストがレビュー"


で、、、、(3回目)

この映画の私の評価は★★★★★にしておきましょう。予想できてしまうベタな展開や途中で挿入される過去を振り返る関係者の思い出話(ビデオ録画中の「REC」マークが画面右上部分に表示されます)の位置づけが理解しづらいとか、不満点はありますが、それらは★一つ減ずるほどの問題ではありません。
音楽に興味のある方、若者の人生かけた戦い・奮闘・努力・精進・苦悩などに興味ある方は必見の映画だと思います。Jazzに興味のある方なら観ない選択肢はないでせう。amazon prime会員なら追加料金なしで今は観られますよ。


"ジャズ喫茶バリレラ オススメジャズBOOK No.10 『Blue Giant』"





Lee Konitzのアルバム「Duets」(Milestone)のA面3~7の"Alone Together"↓
Konitzはamplified Alto Saxを吹いています。電気的に ハーモニクス ハーモニーを付与してるようです。
1曲目はKonitzのSolo、2曲目がElvin JonesのDrumsとのDuoです。Konitzは基本クール派のSax奏者なのでElvin Jonesはやりにくそうです(苦笑)。正直あまりいい出来の演奏とは思いませんな。あ~~~、このレコードはUS盤で持っています。ジャケットは水濡れ影響でかなりボロボロです(涙

"Variations On ALONE TOGETHER"









お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  2024/03/25 12:52:08 AM
コメント(0) | コメントを書く


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x

Keyword Search

▼キーワード検索

Comments


© Rakuten Group, Inc.
Create a Mobile Website
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: