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2026.04.24
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カテゴリ: 考古学
 インドネシア、スラウェシ島という従来の研究者たちの旧石器人観からすれば、辺境の孤島の先に現れた古い壁画、それはどのような方法で年代測定されたのか。伝統的な放射性炭素年代法では測定限界を超える。

◎洞窟内で形成された壁画上の方解石を測定
 研究チームが手形ステンシルの年代測定に用いた新しい手法は「レーザーアブレーション・ウラン系列年代測定法」という方法だ。
 これは、論文の最終著者であるオーベール博士らが得意とする手法で、顔料の層に形成されたわずかなカルシウム炭酸塩(方解石)の含有物をレーザーで採取・分析することで、黄土で描かれた壁画の年代を正確に測定できる。
 研究チームはオーストラリア、サザンクロス大学で年代測定を行い、鉤爪のような手形ステンシルの年代を7万5400~6万7800年前、もう1つの手形ステンシルを約6万0900年前と特定した。

◎実在しない動物、存在しない物を描いた
 インドネシアでは近年、初期人類の知性について新たな知見をもたらす洞窟壁画の発見が続いている。今回のムナ島( 地図 )での発見もその1つだ。



 オーベール博士とオクタビアナ博士は、2019年にも、獣人(動物の頭と尾を持つ人間)がイボイノシシやアノア(小型のスイギュウの仲間)を狩る様子を描いた洞窟壁画を発見したと報告している( 写真 )。後に5万1200年前に描かれたことが判明したこの物語的な場面は、インドネシアに住んでいた初期の人類が、実在しない動物を想像する能力をもっていたことを示している。



 今回新たに年代が特定されたムナ島の手形ステンシルも、これを描いた芸術家たちが同様の認知能力を備えていた証拠だと研究チームは主張している。
 動物の爪のように尖っている1本の指は、スラウェシでしか見られない芸術様式だと研究チームは言う。オーベール博士は、人間と動物との関係を表しているのではないかと推測している。
 古代の芸術家が手形ステンシルの指を筆で描き直すか、あるいはかぎ爪に見えるように加工した事実は、そこに「複雑な思考」があったことを示している、とオーベール博士は指摘する。彼らは実際には存在しない物を描いているのだ、と。

◎オーストラリアへの航行を可能にさせる知性を備えていた証拠
 古代インドネシアに高度な知性をもつ人々がいたことを示すこれらの証拠は、かつて考古学を支配していた「人類は西ヨーロッパに到達した時に初めて認知的に現代人となった」とするヨーロッパ中心の知性観に異議を唱えるものだ、と研究チームは主張する。このような見解が広まったのは、洞窟壁画の年代測定技術が十分に発達していなかったからだ、とオーベール博士は説明する。
 博士によれば、ヨーロッパで年代測定が行われた洞窟壁画のほとんどが木炭で描かれていたため、炭素年代測定が可能だった。一方、東南アジアの岩絵は主に、酸化鉄に由来する無機赤褐色顔料である黄土(オーカー)で描かれており、炭素年代測定は困難だった。
 著者らは、今回の新たな年代測定法により、現代人がヨーロッパに足を踏み入れるはるか以前から、知性を持つ人類がこの地域に生息していたことが示されたと述べている。
 著者らはまた、今回の発見は、この地域の初期の人類がオーストラリアへの航海を成功させるのに必要な知性も備えていた可能性の証拠でもあると主張する。

◎人類はどのルートでオーストラリアへ渡ったのか
 研究によれば、現生人類の一部は6万~9万年前にアフリカを離れ、中東と南アジアを経てスンダランドに到達した。彼らはそこから海を渡り、島から島へと移動してサフルランドに到達した。
 2つの領域の間に分布するスラウェシ島を初めとする熱帯の島々は、そのユニークな地質史と動植物相から「ワラセラ(ウォーラシア)」と呼ばれ、人類移動の壮大な物語を解くための重要な手がかりを隠し持っている。
 スラウェシ島では更新世の人類の化石がほとんど見つからないため、洞窟壁画は、この時代に人類がいたことを示す数少ない証拠の1つとなっている。
 オクタビアナ博士によれば、オーストラリア北部のマジェドベベにあるアボリジニの人々の岩壁画( 写真 )は、6万7800年前にインドネシアのムナ島に手形ステンシルを残した祖先から受け継がれた可能性が高いという。人類の化石の発掘には長い時間がかかるかもしれないが、「考古学が、この知識の空白を埋められるはずだ」と同博士は語る。



◎「南ルート」に探索の手も
 では、人々はどのルートでオーストラリアに到達したのだろうか?
 ムナ島での発見は、インドネシアのスラウェシ島、モルッカ諸島、ニューギニア島を跳び移る「北ルート」をたどった可能性を示唆している。しかしオクタビアナ博士は「南ルート」の可能性も否定できないと言う。それは、ホモ・フローレンシスのいた証拠をもたらしたフローレス島を含む小スンダ列島伝いだ。これは、従来から想定されていたルートだ。
 それらの島々には洞窟があり、そこにも岩壁画が人知れず眠っているかもしれない。
 考古学者たちは、新たにその地域にも探索の目を向けつつある。

昨年の今日の日記 :「イギリスのスタートアップが核融合エンジンロケット構想を発表、4カ月で火星到達」https://plaza.rakuten.co.jp/libpubli2/diary/202504240000/





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Last updated  2026.04.24 01:58:43


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