安心生活研究室

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2006年08月29日
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カテゴリ: 農業
自然農を実践している人が、必ず読んでいる本。

それは、福岡正信氏のこの本です。

自然農法わら一本の革命新版

この本によると、自然農とは、「耕さず、無農薬、無肥料、草や虫を敵とせず、自然の理に沿った農」ということになります。

*自然農法:自然農を実践するための方法論
 自然農:自然と共生をする農業哲学のこと

「耕さない」には「無肥料」が前提となります。

自然の状態で、栄養がある土は、有機質がたっぷりふくまれていて、土壌中の微生物によって土がふかふかになっています。

見栄えを良くするために農薬を使うと、土中の微生物も殺すこともあり、結果として栄養が損なわれ、化学肥料に頼ることになります。

化学肥料は栄養が雨で流されてしまいやすく、また微生物が活動しにくいので、土は固くなり、耕す必要がでてきます。

そのため、大型機械を使って深く耕すと、ふたたび土の中の生態系が壊され、微生物のバランスが崩れ、さらに栄養を作り出す能力が落ちる上、その重さゆえ、より土を固くしてしまいます。

栄養がたりないので、化学肥料を足す、、、悪循環が始まります。

慣行農業を実践する農家は、化学肥料を使わないと作物はできないと言いますが、確かに、一度化学合成農薬と化学肥料を使う農業を始めてしまうと、その循環を断ち切るのは困難です。


化学肥料を使わないと、植物は自分で必要な栄養を吸収するために、深く広く根を張ろうとします。

そのため、雑草に負けずに成長できます。

また、富栄養よりも、貧栄養の方が、小ぶりでも栄養価が高くなり、味が濃いだけでなく、栄養分が濃くなると、外敵から身を守る効果もあるので、必然的に農薬を使わなくても、栽培できるのです。

(山菜を思い出してください。味が濃く、虫もついていませんよね?)


雑草も、刈り取って、その場に捨てると栄養になりますし、マルチの役割にもなります。

(栽培するものによっては、まったく刈り取らない場合もあります。)

野菜の成長とともに、再び雑草も生えてきますが、雑草があるから、虫も野菜だけを食べようとしたりしません。

そして、草があると、植生が豊かになり、集まる生物の数も増え、害虫に対する天敵(昆虫・鳥・蜘蛛等)も集まってきます。

そのように生態系のバランスが取れると、人間が手を出さなくても、作物は実るようになるそうです。

著者の福岡氏は、自然を観察して、この理にたどり着きました。

天然の枇杷やかんきつ類、柿や栗が何もしなくて豊作になるのだし、おいしい山菜も手入れをしなくても毎年ちゃんと生えてくるのだから、自然にまかせておいても、その土地にあったものなら、、、単一作物だけ育てようとしなければ、、、大丈夫。

自然農では、冬にトマトを作ったり、とうもろこしだけ何ヘクタールも作ったりしません。

その点では、 マクロビオティック を実践する人に、自然農を理解したり実践する人が多いのは納得がいきますが、一般農家には受けないというのもわかります。

しかし、家庭菜園で実践するのにはむいていそうです。

特に、週末菜園のように、手間をかけられない方には。。。

また、自然農で混植すると、連作障害がないそうです。

自然界には連作障害は存在しないですものね。


実は、福岡氏の著書は各国語に訳されたため、日本で自然農をしている人よりも、外国で自然農を実践している農家の方が多いのです。

外国で、「Mr. FUKUOKAを知っているか?」と聞かれたら、福岡正信氏のことです。

日本では、すでに化学肥料や化学合成農薬を使用する慣行農法が確立されていて、自然農法の入り込む余地がありませんでしたが、外国では、まだ、選択の余地があったからです。


有機農法と自然農法の大きな違いは、有機農法は、「耕すこと、肥料が必要、農薬は安全な天然由来のもので」という考えなので、どちらかというと、慣行農法の延長線上であるということです。

慣行農法の危険性に気がついたから出てきた、有機農法。

自然農では、雑草がない・虫がつかない、というのは不自然である、という認識に基づいていて、除草や駆除はしない方が良い、と考えています。

耕さない、除草や駆除をしなければ、自然の山や森と同じように、何もしなくても実りができる、という考えです。

だから、有機農法と自然農法では、まったく発想が異なるのです。

そして、できる作物の性質も大きくことなります。

そのことについては、「なぜ葉物は湯でこぼすのか」の話の時に詳しく説明します。

慣行農法が西洋医学における対症療法だとすると、有機農法は漢方薬、自然農法は、自然治癒力を高めるために毎日の食事を気をつけること(食事療法)ということになるでしょうか。


慣行農法は、石油に依存した農法です。

また、生産するために、生態系を破壊するだけでなく、大量の農業廃棄物を出します。

より安く、より見栄えのよいものを求めたために、味が薄く栄養価の低い野菜が大量生産されるようになりました。

健康、環境への配慮を考えると、 LOHAS と相容れない農法になります。

有機農法も、かかる労力を考えると、より環境に優しく、安全で栄養価の高い農産物を生産しているとしても、大型機械を利用したり、農業資材を利用しないと経営的には難しいそうです。

自然農法は、究極の「持続性」を持った農法ですが、慣行農法から転向するためには、土地から農薬が抜け、自然の力で土力を回復するまで待つには、とても時間がかかります。

そして、手を加えない、、、というのは、思うより大変なことです。

病気の子どもを前に、自然治癒力を信じて薬をあたえないというのは、とても勇気のいることです。

それは信念だけでなく、本当に見極めるだけの、知識と、観察力と、判断力がないとできないことです。

そうではあっても、作物ならやり直しがききます。

せめて「家庭菜園なら、自然農」という考えが広まると嬉しいですね。


自然農に興味があるが、難しい理論はちょっと、、、という方には、福岡氏の考えをもとに、独自に自然農を追究している川口由一氏の本をおすすめします。

自然農

私はこの本を先に読みましたが、実践が中心、対談もあり、とても読みやすいのに、自然農の本質がよくわかりました。

慣行農法をして自身の体調を崩し、周りの偏見の目に耐えて、無収穫の何年もの間を耐えて確立した、人間と自然に優しい自然農法。

淡々とした語り口の中に、その芯の強さがうかがわれます。





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最終更新日  2006年08月29日 06時17分38秒
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Re:自然農は理想にすぎない?   
福岡さんの本は本当にびっくりしました。
そして凄く納得でしたよ。
でも誰に話しても信じてもらえませんが。。。
川口由一氏の自然農読んでみたいのですが、
図書館に入っていないんですよねえ。

インゲンまめの味噌、ちゃんと味噌になるかもしれないんですね!
来年は試してみようかな? (2006年08月29日 15時25分45秒)

ゆっきい1104さんへ  
LIBRO  さん
自然農は、実践して、証明するしかなさそうですね。
川口氏の本はリクエストしてみたらいかがでしょうか?

インゲンマメの味噌、、、ヒヨコマメがOKなら大丈夫そうですよね。
ぜひ試していただいて、結果を教えていただきたいです☆ (2006年08月29日 21時42分36秒)

Re:自然農は理想にすぎない?(08/29)  
私も福岡さんの本を読んだときはビックリしました^^
そして、それを実践している川口さんの講義を賢治の学校で聞いたとき、やってみたいと素直に思ったのを記憶しています。私が借りている農園は雑草を取らないとヒンシュクをかってしまいます。自然農の道は遠い? (2006年08月31日 16時12分25秒)

Re:自然農は理想にすぎない?(08/29)  
つぶ子♪  さん
実は、うちのお隣に福岡さんちで何年か自然農の勉強をした方が住んでいて
野菜作りで分からないことは教えてもらっています^^
いつも言われるのは「ま、種まけばいいんだよ」ですが^^;

自然農法で作った野菜は本当に野生のままの味がしておいしいですよね☆
確かに無収穫に終わってしまう野菜もあって残念なことも多いですが・・・
特に、慣行栽培では多肥料を好むと言われる野菜類は作るのが本当に難しいです。

私はまだ見ていませんが、川口さん出演の自然農のドキュメンタリー映画
友人が見てとてもよかったと言っていました!

そう言えば、庭のコスモスのまわりに雑草が茂りすぎだろ~・・・と思って
雑草をきれいに抜いたら、支えを失ったコスモスが倒れてしました。
雑草と共存していたんだなあ・・・と、そのとき気づき
でも時すでに遅し。
コスモスさんゴメン。。
雑草は決して悪者ではないと知った出来事でした。
(2006年08月31日 16時17分24秒)

風のココペリさんへ  
LIBRO  さん
川口さんの講義を賢治の学校で聞いたのですか?時期によっては、私の友人も一緒に聞いていたかもしれません。私はその友人にすすめられて、これらの本を読みました。

市民農園での自然農、、、私は引っ越してしまったその友人の意志をついで、実践しました!しかし風当たりも強かった。。。虫は発生しなかったのですが、隣の区域に雑草が侵入しないように、必死で境界線上の草を抜かないといけませんでした(^_^;) (2006年09月02日 00時34分14秒)

つぶ子♪さんへ  
LIBRO  さん
幸運なめぐり合わせですね!!
その方も、つぶ子♪さんのような理解者がお隣にいることが、とても嬉しいのではないでしょうか。

自然農法の野菜は、野菜ごとの味がはっきりしている気がします。それぞれの野菜が、自力で、自分の必要とする栄養をかき集めているからでしょうか?

川口さんのドキュメンタリー映画、、、私も見たいです!でも田舎まで巡回には来てくれないのかしら?自分で自主映画会を開くしかないですね。この土地でやろうと思ったら、村八分を覚悟しないといけませんが。。。

コスモスと雑草、、、とても貴重な経験をなさいましたね。そういう形で自然界の複雑な共存関係を学べるというのは、子どもにとって幸せですね☆ (2006年09月02日 00時41分16秒)

う~ん・・・  
とまと さん
>雑草がない・虫がつかない、というのは不自然である

雑草や虫がつくのはしょうがないってことですよね?
本当にしょうがないんでしょうか?

私はナチュラル・ハーモニー
http://www.naturalharmony.co.jp/trust/
という自然栽培(無農薬無肥料)の野菜を知っていますが、
この場合、何故虫、病気、雑草が出るのか?この原因を考えることが重要だと思います。福岡さんも、川口さんも知ってますが実際どうなの?という内容です。

私は千葉で30年自然栽培に取り組む高橋博さんをお薦めします。本はありませんが・・・
(2006年09月03日 19時37分09秒)

とまとさんへ  
LIBRO  さん
貴重な情報をどうもありがとうございます。
>雑草や虫がつくのはしょうがないってことですよね?
私の書き方が誤解を生んでしまったようで申し訳ありません。
作物以外の植生や、虫が共存できるような環境、、、自然界のようなバランスをとれば、雑草に負けてしまったり、特定の虫だけが増えてしまうということもない、ということをお伝えしたかったのです。しかし、教えていただいた高橋博さんのなさる自然農を調べて、その事実に非常に驚きました。。。もっと勉強して、ぜひ記事にして皆さんに紹介したいと思います。コメントをしていただき、ありがとうございました☆ (2006年09月03日 21時27分15秒)

Re:とまとさんへ(08/29)  
とまと さん
返答ありがとうございます。

私は両者の本を読んだことがないのですが、この本を読んで始めたって人は知っています。行き詰っていました。

現在、自然農法・自然栽培と呼ばれるものがたくさんあります。有機農法と一口に言ってもピンからキリまであることはわかってきたことです。
この自然農法にも同じことが言えるのではないかと思います。
創始者岡田茂吉が提唱してから何十年経った今、何故この普及率か?
もちろん時代背景もあるでしょう。しかし、それより何より野菜が取れなかった。断固たるマニュアルがなかった。始めは野菜が出来てたのにいきなり取れなくなった。よくお聞きします。
それは、なぜか?その答えはここでは言いませんが高橋さんは見つけました。

今度この本を読むつもりですが、どれだけの責任を持ってこの本を出したのか。本当に行き着いたうえでの出版か?聞いた話では液肥を入れているらしいですね。
なんか、批判になっちゃいましたがただ自然農法が広まることを願っています。そして消費者もしっかり不自然なところはないか見抜く力を。 (2006年09月05日 12時40分15秒)

とまとさんへ  
LIBRO  さん
とまとさん、わざわざお返事をありがとうございます!

福岡氏と川口氏の著書は趣旨も内容も異なるので、とても面白いです。自然農法

と言っても、いろいろあるのだ、ということを感じました。高橋さんの農法を知

って、さらにその思いは深まりました。

言葉の定義は難しい問題ですよね。自然農法を実践していても無農薬でないこと

があったり、有機栽培でも、実際は自然農法であったり。。。

慣行農法から自然農法への切り替え、、、この実践法を示してくれる点で、高橋さんの農法はすばらしいですね。日本の真の自給率を高めるためには、高橋さんの実践する農法がきっと役に立つと、私も思いました。

有機農法を批判する立場の永田農法では液肥を使うようですね。福岡氏・川口氏が液肥を使うとは聞いたことがないのですが、両氏の教えを守りながらでも、誘惑に負けて、液肥や「堆肥」を使って栽培する人はいるのかもしれません。本物を見極める力を消費者がもつことは、本当に大切ですね☆ (2006年09月06日 07時18分15秒)

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