安心生活研究室

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2007年04月18日
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合成洗剤と石けんどちらが環境に良いのか?

私は粉石けんを使っていますが、私に合成洗剤の問題点を教え、手づくり石けんをプレゼントしてくれた友人は、格安の合成洗剤を使っています。

なぜか?

彼女が言うには、やはり石けんでは白くならないから。

今日は、合成洗剤と石けんを比較して考える時の視点についてお話します。


1.人体への影響

合成洗剤が危険だというイメージは、合成界面活性剤にABSが使われた時代にできたものです。

主婦湿疹や布おむつ時のおむつかぶれ等が問題になり、合成洗剤中毒で死亡した事件もあったため、世の中に広く合成洗剤が人体へ悪影響を及ぼすと思われるようになりました。

その後、ABSからLASや非イオン系へ合成界面活性剤の主成分が変わり、危険性は低くなったといわれています。

人体への毒性を考える時、純石けんでも大量に摂取すれば、死亡する危険はあります。

誤飲という観点から考えれば、致死量が5倍以上多い石けんの方が安全性が高く感じますが、実際に洗濯などに使用する観点で考えれば、今の合成洗剤は使用する絶対量が石けんの半分以下と言われているので、最終的な洗濯物に付着した分に関する毒性はあまり差がなくなるといえます。

しかし、科学的データーと現実では、実際に異なることが多々あります。

また、私達が日常生活で問題にするのは致死量ではなく、通常使用で覚える不快感ではないでしょうか?

私は合成洗剤(合成界面活性剤を添加してある化粧石けんも含む)を使用すると、洗顔時ならばすぐに赤くなったり、ひりひりしたり、洗い物時なら、指先に湿疹ができてしまいます。

私の周りでも、合成洗剤を使わなくなってから主婦湿疹が治った人はたくさんいます。

この問題に関しては、とくに台所の水仕事の場合、合成洗剤をわざわざ希釈するときに計ってしないため、濃い濃度で使用しがちであること、、、固形石けんの場合は、液体の合成洗剤のようにスポンジにしみこまないため、少量でも沢山付着しているようにみえるので、結果的な使用量が少なくなること、、、なども考慮に入れる必要があると思います。

そして、後で詳しく述べますが、合成洗剤で無添加のものは少ないため、合成洗剤に反応しているわけではなく、合成洗剤に添加されている物質に対して反応している可能性も考える必要があると思います。


2.水中生物への影響

合成洗剤は水中の金属と結合しないため、バクテリアや魚などの餌になりにくく、また界面活性能力が衰えにくいので、魚などの呼吸の妨げになると言われています。

逆に、石けんは、水中の金属と簡単に結びついて金属石けん(石けんかす)になるため、魚の餌になり、えら呼吸を妨げたりする危険性は低いのですが、多すぎると富栄養化の問題があり、またさらに金属石けん(石けんかす)になってしまうとバクテリアによる生分解性が低くなるという問題があります。

以前、ABSが使用されていたときには、泡公害が問題になりましたが、LASに変わってからは、大きな問題にはならなくなりました。

むしろ、海面に浮かぶ固まった油脂の正体が石けんによるものではないかという疑いもあるようです。


3.原材料の問題

石けんの原材料がパーム(アブラヤシ)油であることが問題視されています。

熱帯雨林を焼き払ってアブラヤシのプランテーションを作ることによる生態系の破壊だけでなく、住民の自給能力を奪うことや、子どもを重労働に使うことなども問題になっています。

しかし、調べてみたところ、昔から純石けんを作っている会社では、パームヤシではなく、ココヤシが原材料として使われているそうです。

つまり、海岸に線上に栽培されるココヤシを利用しているので、今問題にされているような自然破壊には加担していないようなのです。

では、誰がパーム油を使って石けんを作っているのでしょうか?

実は、「植物が原料」「ヤシから生まれた」といううたい文句の合成洗剤や、それらの合成洗剤を生産しているメーカーが石けんを作るときに使用しているようなのです。

そのため、石けんを購入する時には、環境負荷の少ない原材料を使用している老舗のメーカーを選ぶ必要があります。

老舗の石けんメーカーの中には、パーム油を使用しているところもないわけではありませんが、その場合でも、ゴムのプランテーションの跡地を利用した栽培をするなどして、環境破壊を最小限にとどめる努力をしているようです。

逆に、「天然の植物が原材料」といっても、必ずしも、環境に良いわけではないということに気をつける必要があるのです。

また、工業用食塩を精製する際に塩素と苛性ソーダができ、その苛性ソーダを石けんの加工に使用していますが、原材料にこだわるならば、苛性ソーダも昔から使用されていた天然のものを探すこともできます。

副産物なら積極的に利用した方がよいという考えももちろんあります。


4.表示の問題

1つの合成界面活性剤がいつくもの別の呼び方で呼ばれていることがあります。

また、家庭用品品質表示法関連の洗濯用洗剤や台所用洗剤では、純石けんと合成洗剤の区別がありますが、薬事法関連の化粧石けんやシャンプーでは石けんと合成洗剤の違いがないので、記載されている成分をチェックしないといけません。

また成分だけでは、合成なのか、天然の植物から抽出しただけなのかわからないこともあります。


5.添加物の問題

石けんを使ったのに顔が赤くなった、、、

固形石けんであっても、純石けんではないことがあります。

また、純石けんであっても、無添加ではないことがあります。

肌の敏感な人は、界面活性剤ではなく、香料や保存料に反応していることの方が多いのかもしれません。

また、特に洗濯用の合成洗剤の場合、一般的には泡立ちを良くさせるために起泡剤、こすり落とすためのゼオライト、ゼオライトによって傷ついた表面を取り繕うための柔軟剤、きれいに汚れが落ちたようにみせるための蛍光塗料や蛍光増白剤、洗濯物の匂いをごまかすための合成香料が添加されています。

蛍光塗料や蛍光増白剤は製品としての新生児の肌着やガーゼや布巾に使用することは禁止されていますが、家庭でそれらが添加されている洗剤を使っては元も子もありません。

特に、肌の敏感な方の場合、必ず付着したままになる(残留しないと意味がない)蛍光塗料や蛍光増白剤、柔軟剤、香料に反応することがあるので、気をつける必要があると思います。


6.使用感の問題

私は、皮膚が敏感なため、蛍光塗料や柔軟剤が残っているものよりも、多少色が冴えなくても、余分なものが付着していないものを身につけたいと思っていますが、白いものは真っ白でないと嫌、、、という方もいると思います。

たいていの汚れは手洗いで落ちてしまいますし、白いシャツも、汚れてから長時間放置せずに、ぬるま湯と石けんか重曹を使えば、十分綺麗になります。

石けんを使うと黄ばむというのは、石けんが多いか、すすぎが不十分なためなので、それは洗い方を工夫すれば防げます。

柔軟剤を使うとどうしても吸水性が悪くなるので、実用的ではありませんが、ごわごわしたよりふんわりした方が良いにきまっています。

その場合、合成洗剤で、ゼオライトと柔軟剤が無添加のものを選ぶことは可能なはずです。

また、粉石けんで洗ってふんわり感を出すためには、粉石けんを多めに使ったり、仕上げに酢を入れて水に溶けた粉石けんを再び脂肪酸にして付着させる必要があるのですが、私は、それもやはりわざわざしたいとは思えません。

同様に、石けんシャンプーを使って1ヶ月ほどたつと、ごわごわしていた髪がしっとりしてくるというのは、リンスを仕上げに使うことで残っていた石けんが再び脂肪酸に変わり髪に浸透またはコーティングしているからだという説もあります。

ちなみに、私はリンスは使用しませんが、石けんを使った日でも、ごわごわすることはありません。

髪に関しては問題は無いと思いますが、脂肪酸が頭皮に付着すると、地肌がべたべたになったり、ふけの原因になったりするので、気をつける必要があります。

市販の化粧品でメイクをすると、どうしても石けんでは何度も洗わないとすっきりしないと思います。

それなのに、合成洗剤のメイク落としなら、1回できれいになるというのは、どういうことなのか。。。

合成洗剤で洗うと、なぜ肌がつっぱるのか。。。

どのような使用感が良いと感じるのは人それぞれですが、それが本当に体に良いことなのかどうか、なぜそのような使用感が生まれるのかを考えることも、合成洗剤と石けんのどちらを選ぶかという問題の解決の糸口になると思います。

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私は今回の記事では、合成洗剤が悪であるとか、石けんが絶対だと言うことは言いませんでした。

なぜなら、どちらが良いかと言うのはケースバイケースであって、使用目的、使用条件、使用量、使用頻度、その他の要因で結論が変わってくると思うからです。

しかし、どうしても純石けんは嫌、、、という方、どうしても合成洗剤の方が良いという方も、ぜひ、健康のためには、合成保存料や合成香料、柔軟剤や蛍光塗料、蛍光増白剤、抗菌剤を不使用の製品を選んでいただきたいと思います。



この製品は合成洗剤の中では添加物が少ないという点で掲載しましたが、原料がヤシ油であることから、環境意識の高い方にはお勧めできませんし、保存料がわりであっても香料として精油が添加されていることから、皮膚が敏感な方にもおすすめできません。

それでも、オーガニック合成洗剤というものが日本の中からも生まれてきたというのは、選択肢が広がった点からは喜ばしいことだと思います。

次回は結局なぜ我が家では粉石けんなのか、、、についてお話します☆





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最終更新日  2007年04月19日 00時26分59秒
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