マックの文弊録

マックの文弊録

2006.01.01
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◇1月1日(日曜日); 旧師走二日 庚寅; 元旦

ムクロジ(木).JPG
よいよ西暦2006年、平成十八年 丙戌(ひのえ ゐぬ)の年が明けた。
関東地方太平洋側は、東北・北陸や山陰地方の連日の大雪を尻目に、大晦日までは意地みたいにピーカンの日が続いていたのに、年が明けたら一転うそ寒い曇天に変ってしまった。元旦はやはり晴れてくれないと、新玉の年の晴れがましさも二等くらい減じてしまう。

ミサンが「お酒のおつまみが無いから買ってきて」とのたまうものだから、「元旦に開いている店なんてあるのかい?」と聞いたら馬鹿にされた。今時は、大抵の店は元旦から開いているのだそうだ。そういってカミサンは今朝とどいた分厚い新聞から、何枚も何枚もチラシを取り出し、「ほら、あのスーパーもやってる。このスーパーも。○△■寿司もやってるよ。ほら靴屋もやってるから、靴買えるよ。洋服も買える。電気屋もやっているから、パソコンも買えるよ・・・・」と際限も無い。「久しぶりに我が家でのお正月だから、分からないのでしょう。岐阜の田舎と較べたら駄目なんだから。」と。

なんだこれは!
子供の頃、元旦と云えば閉じた鎧戸に新年の挨拶を貼り付け、どの店も押しなべてお休みしていたものだ。初詣に向かう道すがら、ひっそり閑として前日までの喧騒が嘘のような商店街を抜けていくと、お正月は非日常的な「ハレの日」であることがしみじみと実感でき、おろしたての着物の感触と共に、新鮮な気持ちになったものだ。
学生時代、帰省をしないお正月などは、暮れの内に食料を買い込むのを忘れると、随分ひもじい思いをした。それが、この頃はコンビニが方々にあって、これは24時間365日営業している。でも、未だコンビにならお正月に営業していても許せる。元々コンビニはそういう趣旨で作られた店だ。
しかるに、巷のスーパーや靴屋や洋服屋までもが、何が悲しくて元旦から営業しなきゃいけないのだ。元旦は、あまねく静かに休んで新玉の年を言祝ぐ日なのだ。初売りは三日か、せいぜい二日からやるものだろうに。第一つい昨日までは、「お正月の準備は出来ましたか?」と騒ぎたててものを買わせていたのだ。それが一夜明けて今度は越天楽を店中に流し、「おめでとうございます」で初売りかい?どの道売っているのは、晦日以前に仕入れたものだろう。
これじゃぁ、静粛なるお正月気分など有ったものではないな。

の近くの禅寺の庭には、ムクロジの木が植えられてある。随分背の高い木である。
ムクロジは秋になると実をつける。寒くなって葉が皆落ちてしまっても、青空を背景にして高い枝に実が付いている様は中々良いものだ。ムクロジの実は徒党を組まない。一個一個がそれぞれに枝の先を占領している。それが、更に時が経つと、地面にコロコロ落ちてくる。

ムクロジの実
クロジの学名はSapindus mukurossiという。Sapindusは、Sapo + Indus。SapoはSoapと同じ言葉で、サポ→サボン→シャボン。つまりは石鹸と言う意味だ。
ムクロジの学名は「インドの石鹸」という意味である。ムクロジの果実の果肉の部分にはサポニンという、これもシャボンと同源の名前の配糖体が含まれていて、これが石鹸と同じ界面活性の性質を持っている。それで、百年くらい前まではムクロジの実は本当に石鹸として使われていたのだそうだ。

クロジの実は真っ黒で硬い。これを錘にして、羽根を縫いつけたのが追羽根の羽根になる。昔は元旦と言えば、珍しくも家族が顔を並べ、炬燵で蜜柑を食べながらすごろくをしたり、トランプをしたものだ。普段は子供の相手などする気遣いもない父親が、珍しくもぎごちなく「おい、百人一首でもするかい。」などと混じってくるものだから、子供心にも気を遣って「微笑ましい親子ごっこ」に付き合ったものである。
外には近所の女の子同士が追羽根を突く、カンカンという高い音も聞こえていた。あのカンカンというのは厄除けの音であると共に、ムクロジを錘にした羽根はトンボの象徴だったそうだ。羽子板に突かれた追羽根が、カンカンと空中を行きつ戻りつする様は、トンボが田の害虫を捕らえて食べてくれるのに似て、その年の豊作を祈願する意味があったのだという。
ところが昨今の少子化の影響が我が家の周辺にも及んだのだろうか、今では近所に追羽根の音など聞かれなくなってしまった。





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最終更新日  2006.01.02 17:34:18
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