まいかのあーだこーだ

まいかのあーだこーだ

2021.02.06
XML
プレバト俳句。お題は「加湿器」。

「加湿器」が季語だとは知りませんでした!

今回も「異議あり!」ってほどのことじゃないけど、
個人的な感想です。



今週は、原句よりも、
むしろ先生の添削のほうが興味深かったです…(笑)


まずは、梅沢富美男。
みごと掲載決定になった句。

春の雪 まだ現役の 鯨尺

最初に読んだとき、
中七の「まだ」という副詞が、
ちょっと散文的な気もして引っかかりました。

先生は、
「まだ」は「なお」にしてもいいかもしれない、
と言い、梅沢もそれに同意していました。


「まだ」と「なお」のちがい。


辞書的な意味は同じです。
英訳すれば、どちらも「still」です。
でも、たしかにちょっとニュアンスに差が出ますね。

これは、たぶん散文と韻文の違いじゃなく、
意味合いの違いなのだと思います。

強いていうならば、
前者は「不足している」という消極的な意味合い、
後者は「過剰している」という積極的な意味合い、
って感じでしょうか?

この違いを発見できたのが面白かったです。



つぎに、貴島明日香の句。

冬の風 母の手憶う 指のシワ (添削前)
母の手を 憶う我が手や 冬の風 (添削後)

原句に対して、まず森口瑤子が、
「手」と「指」の重複がもったいない、と言いました。
さらに、梅沢富美男は、
「憶 おも う」なんて書くのは凡人だ、と言いました。

じつにセオリーどおりの指摘です。

ところが、先生は、
なぜか「憶う」をそのまま残しました。
さらに「手」と「手」を重複させました。
これは、ちょっと予想外の添削です!

その結果、原句とどう変わったのか。
いろいろ考えてみましたが、
おそらく「憶う」の主語が変わったのだと思います。

原句では、
「わたし」が (省略されてるけど) 実質的な主語です。
「わたしが母の手を憶っている」わけですね。
これは感情表現です。

一方、添削された句では、
主語が「我が手」に変わっています。
つまり、擬人化です。
「我が手が母の手を憶っている」となっている。
そして、これによって、
感情の表現が、映像の表現に変化しています。

これも、興味深い添削でした。



最後に、森口瑤子の句。

加湿器の 給水せよに 起こさるる

これを見るなり、まず梅沢が、
中七の助詞は「に」じゃなくて「と」の方がよい、
と言いました。

たしかに「に」のままだと、
映像描写なのか、擬人化表現なのか、曖昧です。
これを「と」に直せば、明確な擬人化表現になります。

本来なら、
安易な擬人化は避けたほうがいいはずだけど、

作者いわく、
「夜中に加湿器に起こされてイライラした」
とのことですから、
その時点で加湿器のことを擬人化していたわけだし、
だったら、それをそのまま表現するしかないですね。

その場合、
「目が覚める」のような自動詞だと擬人化にならないので、
「起こす/起こされる」のような他動詞を使うほうがいい。
そのうえで、
助詞の「に」を「と」に変えれば、完全な擬人化になります。

加湿器が 給水せよと 吾を起こす (添削後1)

他方で、
このような擬人化を避けるのであれば、
給水ランプという映像を描写するか、
もしくは「給水せよ」という情報 (警報) を描写することになります。

加湿器の 給水ランプに 起こさるる (添削後2)
加湿器の「給水せよ」に 起こさるる (添削後3)

ただし、この場合でも、
「起こさるる」という他動詞には擬人化の要素が残ります。



ちなみに、厳密にいえば、
作者が夜中に目覚めてしまったのは、
「給水ランプ」の点滅のせいじゃなくて、
「給水ブザー」(空焚きブザー)の音のせいですよね。
光の点滅ぐらいじゃ、ふつうは起きないと思います。



ここからは、わたしの考えですが、
「いかに夜中のブザー音がうるさいのか」を言えば、
擬人化の表現をまったく使わずに、
主人公のイライラを表現することは可能じゃないかと思う。

加湿器の 空焚きブザー 夜半に鳴る

あるいは、
思い切って感情語を用いて、

加湿器の 空焚きブザー 夜半に憂し

としてもいいのかなと思いました。




にほんブログ村 テレビブログへ





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2021.12.31 18:27:50


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

PR

キーワードサーチ

▼キーワード検索


© Rakuten Group, Inc.
X
Create a Mobile Website
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: