まいかのあーだこーだ

まいかのあーだこーだ

2024.11.25
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冬ざれの砂丘踏む音や置き土産 成績表眺める祖母や冬ぬくし 土産持つ両手塞がる秋の海 甥っ子がまんじゅうくれた雪の球 家苞物笑顔溢れる冬苺 一升瓶マフラー包んでリュックから 初霜の駅土産なしの帰郷 祖母当ての大谷グッズ詰める除夜
11月21日のプレバト俳句。
お題は「お土産」。




三宅香帆。
冬ざれの砂丘踏む音 や 置き土産
冬ざれの砂丘 すな踏む音残し
(添削後)

これが今週の1位でしたが…

下五の「置き土産」の意味が分からない。
どこに?誰に?何を??

砂丘に音を置いてきた…という意味なら、
それはいわば "砂丘の擬人化" ですが、
読み手には伝わりません。

作者の話によれば、
《持って帰れないもの》という意味らしいけど、
それは「置き土産」の本義とは違います。

まあ、
兼題に寄せて無理やり使った言葉なのでしょうね。



MIU。
成績表眺める祖母や 冬ぬくし
成績表持って祖母んち 冬休み
(添削後)

1位の作品に比べて、
句材の独創性に欠けるかもしれませんが、
大きな欠点はないし、
個人的には、こちらが1位でも悪くない。

凡人ワードの「眺める」は、
一人称の句で使うのは避けるべきだけど、
これは三人称の句なので許容範囲かなと思う。

かたや添削句のほうは、
《幼い孫の立場で詠むなら子供らしい語彙で書くべき》
という意図なのでしょうが、
「おばあちゃんち」ならともかく、
「祖母んち」が子供らしいかどうかはビミョーw



Aぇ!小島健。
土産持つ両手塞がる 秋の海
土産持つ両手や 秋の海の駅
(添削後)

作者によれば、
下五の「秋の海」は紅葉の比喩らしいけど、
読み手には伝わりようもありません。

原句には動詞が2つあって、
「持つ」が連体形で「塞がる」が終止形です。
誤読の惧れはありませんが、ちょっと煩わしい。

たとえば、
三日目は両手に土産 紅葉山

のように書けば、動詞はひとつも要りません。



みやぞん。
甥っ子がまんじゅうくれた 雪の球
おまんじゅうあげると雪玉をくすくす
(添削後)
おまんじゅうあげると雪玉をぶつける (添削後)

原句は、形式的に二句一章ですが、
かりに中七で場面が変わると考えたら、
後段は雪合戦の描写に見えてしまいます。

まだしも、
甥っ子がくれるまんじゅう雪の玉

と書いたほうが、
一句一章の内容と理解してもらえるかも。


添削句のほうは、
18音の字余りなうえに、
「雪玉をくすくす」は意味不明だし、
「雪玉をぶつける」は改作だし、
いまいち納得感の乏しい出来です。

17音でも、
甥っ子が饅頭だよと雪の玉

のように書けるし、

甥と限定せずに共感性を広げるなら、
「おまんじゅうあげる」と小 さき雪の玉

のように書くことも可能です。



清水アナ。
祖母宛ての大谷グッズ詰める除夜


みやぞんの句から「甥」の情報を消したように、
この句でも「祖母」の情報を消すほうが共感性が広がる、
…というのが先生の考えのようです。

のみならず、
「母」が凡人ワードなのと同じように、
「祖母」も凡人ワードと言えなくはない、
ってこともある気はします。

ただ、この句の場合、
「祖母」と「大谷グッズ」のミスマッチこそが、
面白さのキモになってるわけだから、
その情報を消してしまったら、
野球好きの少年への贈り物と解釈されるのがオチ。
かえってつまらなくなりそうです。

なお、調べとしては、
祖母に宛て大谷グッズ詰める除夜

と書くほうが滑らかかもしれません。





薬丸裕英。
家苞物 みやげもの 笑顔溢れる 冬苺
子ら待つや 冬の苺を家苞 いえづと
(添削後)

これが今週の最下位。

欠点はおもに3つ。
・内容は一句一章なのに三段切れ。
・お土産を貰って笑わない家族がいたら持って来い!
・温室栽培の「冬の苺」と野生の「冬苺」は別物。

添削については、
家苞の冬の苺を子らが待つ

と書くほうが個人的にはいいと思います。



蓮見翔。
一升瓶 マフラー包んでリュックから
マフラーに包む酒瓶リュックから
(添削後)

これはひどい…。
だから特待生にするのは早すぎだと言ったのです。

平場の句と比べても見劣りがする。
現状維持じゃなくて降格にすべきでしょ。
炎帝戦は本当に実力だったのかしら??

語順もひどいけど、
いちばんひどいのは助詞の省略。
「マフラー包む」は、
「マフラーを包む」の省略ではありえても、
「マフラーに包む」の省略ではありえない。

そんなことを講釈されなくとも、
気鋭の劇作家なら百も承知かもしれませんが、
じゃあ、ちゃんと書けよ!!…って話。

せめて中八でも、
リュックからマフラー包みの一升瓶

と書くべきでしょう。



まあ、
たしかに句材の面白さはありますけどね。

ただ、
形式ばらない贈答の場面を描くのに、
「リュック」と「マフラー」は重複ともいえるので、
どちらか一方を書けば十分だろうし、

自分のための買い物でなく、
贈答の場面であることを明示するなら、
ご祝儀はマフラーぐるみの一升瓶

あるいは、
襟巻に酒瓶包み心付け

のように書けるかと思います。



フジモン。
初霜の駅 土産なしの帰郷
初霜の駅や 土産のなき帰郷
(添削後)

原句と添削句のどちらがいいか、
ちょっと判断しがたいです。

おそらくフジモンは、
まともに書けば添削のようになるのは承知の上で、
あえてネガティブな心情を強調するために、
字足らずの破調にしたのだろうから。
(それと同じことは先週の村上にもいえるかも)



▽過去の記事はこちら
https://plaza.rakuten.co.jp/maika888/diary/ctgylist/?ctgy=12




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最終更新日  2024.11.28 14:06:43


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