Atelier Mashenka

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2005.05.20
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テーマ: 感じたこと(2903)
カテゴリ: 思索・読書
先日久しぶりに 療養中の友人、Kちゃん から電話があり、話した。
彼女は手術を受けて長く入院していたが、
昨年末退院して、自宅療養中だ。

メールしても返事がなかったので
また体調がひどいのかと心配していたが、
少しずつではあるがよくなっているらしい。
体を動かすこともしているらしいし、
テレビを2時間見れるようになったので、だいぶいい。

そして今後自分はどうやっていくかを考えるとき、
いつも私のことを思い浮かべると言う。

彼女と私は大学で哲学科のクラスメイトで、
会ったその日から意気投合した、貴重な友人だ。
仲はいいけどあまり似ていない、
どちらかというと「鍵と鍵穴」のような関係だと昔から感じていた。

文化的・芸術的なこと、言葉や思考、人間関係などについて話すのが
お互いとても好きだし、共通点ではあるが、
性格や価値観などはずいぶん違うと思う。
2人の違い、また共通点、そうした話はいつも興味深い。

彼女が私のことを評するときよく出てくるのは
「いつも変わろう、変わろうとしてるところがすごい」。
しかし、彼女には自分を変える必要を感じないほど
満たされた人生だったのだろうと思っていた。
私はいつでも自分に不満だらけで、貧乏性なだけではないか、と。

最近はやっとそんな卑屈なふうには考えなくなって
私にパワーがあるとすれば、自分自身に対するパワーだけなので
そんなナルシストでエゴイストな姿が
逆に彼女にパワーを与えているのであれば、
彼女自身の志向性を探るのに役に立てればいいなと思う。

電話で話していて、2人の本質の違いについて
ぱっと浮かんだイメージを話した。

同じ街を歩いているとしよう。
彼女は、街並みの美しさ、ちょっとした鉢植えの花、
わき道にいる子猫、晴れ上がった空、きれいな門の風合い、
そんな小さな身近なものすべてを味わいながら歩いていく。
生活のうるおい、豊かさ、美しさをいつでも感じ、尊び
大事に大事に丁寧に生活していく。

私は、と言えば同じ街を歩いていても
そこはグレーの街で、
もうひとりの私が頭上を飛んでいて同じように進んでいる。
空からは地上の美しさがよく見える。よくわかる。

そして地上の私は、
本当の自分は空にいて、豊かさも美しさもよく知っているから、
地上の街はグレーでもかまわないと思っている。
現実を生きて地道に歩いてはいるけれど、
心が飛んでいれば、それでなんとかやっていける。
だから、平気。
幸福といってもいい。

しかし、心が飛べない時期、空から失墜してしまったとき、
地上の自分だけになってしまって
グレーに塗りこまれてしまっているときは
ひどくつらく、不幸な状態だと感じる。
大人になったら、日々耐える術もだいぶ身についてきたけれど。

彼女からすると、普段の私が日常に対し、
あまりにがさつ・無神経なので、日常の美しさ、楽しさ、喜びを
もっと知れば幸せなのに・・と思っているかもしれない。

そんな、2つに分かれてしまってる自分が
幸福なのか不幸なのかはわからない。
ただ私の感じ方はそうなのだ。
そんなふうにイメージと言葉を明確にして改めて気づく。
でもそのイメージはなぜかしらちょっと哀しいイメージで、
言葉にしてしまってから胸がつまった。

しかし、ときどき両方の私が1つになる瞬間がある。
そのとき世界はいきなりどっと色を帯び、
網膜がおかしくなったのかと思うほどすべてのものが美しく見え、
すべてが自分の居場所で、
すべてが自分のものだと感じられ、
光の中にたゆたうような至福感を味わう。

そのとき街はグレーの街ではなくなり、
みずみずしい光と風をはらんだ色彩豊かな街に変貌する。
そうしたときは、地上にいながらも自分は飛んでいるのだろう。
シャガールの絵の世界のよう。

それは年に何回かしかない。200%、いや1000%の幸福感。
それはきっと脳の、ある状態によるんだろうな・・・
そして、Kちゃんはもしかしたらいつでもそんな至福状態で
いられるのかもしれない。

そういえば彼女は一種の「快」のトランス状態に
しょっちゅう入れると言っていた。
彼女の場合は、表だっては理解されなかったが、
昔から病気で体に常に変調をきたしていたから
そういうトランス状態に入って「快」の脳内物質を
あびなければ、日々やって来れなかったのかもしれない。

そしてその状態は
創作活動には断然必要な、ある創作の沸いてくる状態と一緒のような気がする。
舞台の脚本を書く友人も「神様が降りてきたーー!」と言ったりする。
芝居をやってる友人も訓練して、
それと似た状態に稽古のときほぼ毎回入れるようになったと言っていた。

私も芝居をやってたときは、たまにしかそんな状態に入れなかったが、
歌のとき、文を書いてるとき、ぱちんとスイッチがはいるときがある。
絵を描いてるときはあまりない。
だから絵を描くのは私にとってつらい作業なのかもしれない。
絵や絵本のイメージを自由に浮かべてるときのほうがよほど
その状態に近い。

パソコンのゲームのときもたまにある。
ものすごい集中してるけど、リラックスした状態で
意識してないのに最高記録が出てたりする。

人の感覚を感じることはできないので
すべてがそっくり同じとは言い切れないが、
基本的には同じのような気がする。

Kちゃんは、病気が少しずつでも治ると、
その特殊な状態も必要なくなり、感じなくなるんだろうか。
それとも一度獲得したその能力は、失われることはないのだろうか。
病気が治ったときの、彼女が発するであろう能力は
そら恐ろしいものがあるような予感がする。

それに比べると、年に何回かしかトランス状態に入れてない自分は
なんて凡人なんだろう、とちょっと淋しくなる。
でも芝居をやってる友人が訓練して
その能力をある程度意識的に獲得できたのだから、
希望は捨てずに望み続けてみよう。
能力の発揮。
ああ、なんだか最初の話からだいぶそれてしまった・・・

ちなみにこのブログは、空を飛んでるほうの自分の見る世界が強い。
地べたにいる私は飛ぶ早さについていくのが大変・・
ほどほどにしないと、飛んでるほうの私も失墜してしまうね・・






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Last updated  2005.05.20 22:51:46
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mashenka @ Re[1]:生誕120年 棟方志功展(11/12) 一村雨さんへ お久しぶりです! 私もうな…
一村雨 @ Re:生誕120年 棟方志功展(11/12) お久しぶりです。 この展覧会、棟方志功の…
mashenka @ Re[1]:サントリー美術館「京都・智積院の名宝」(01/21) 一村雨さんへ 素晴らしい障壁画でしたね…
一村雨 @ Re:サントリー美術館「京都・智積院の名宝」(01/21) 安部龍太郎の「等伯」を読んで、この親子…
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