Atelier Mashenka

Atelier Mashenka

2006.07.22
XML
カテゴリ: アート

とびきり楽しみにしていた第4期。
第2期のとき 図説で見た伊藤若冲「旭日鳳凰図」、
今回はそれが見られるということで、わくわくしながら向かう。



伊藤若冲「旭日鳳凰図」



つややかで華麗、極彩色の鳳凰が2羽。
粘着性の感じられる白波、波に洗われた古木に止まっている。
どんな構造なのかよくわからない、不可思議な古木には
緑に光る苔、細い若竹がぞろぞろと生えている。

もくもくした雲から昇る朝日。
地平線も水平線もない、海(とおぼしき水)と空が混濁とし、
1つになっているように見える。
この2羽は、何故か太陽よりも高い位置にいるようにも見えてしまう。

長い艶やかな尾で邪気を吹き払い、一掃しているようだ。

ここはいったいどこだ?
この世ではないのかもしれない。

ノアの大洪水後の世界のようでもある。
大海にぽつんと、岩のような木に残された2羽。
世の始まりを告げ、世の終末を告げている。
しかしこの2羽は、どこへでも飛んでいけるのだろう、太陽よりも高く─



伊藤若冲の「動物綵絵(どうしょくさいえ)」にも
今回は、私がこの中で一番見たかった鳳凰図があった。

「老松白鳳図」、つやめいた目つき、
尾の先には鮮やかな赤と緑、それぞれのハート模様が
ほのかにエロティックな雰囲気を漂わせつつも、
金を帯びた白い羽毛が、全体をひきしめ気高い印象を与える。

裏彩色の手法を用いた、この美しいレース編みのように繊細な白は、
何度見てもため息が出る。
(裏彩色のことは 第1期 に説明があります)

江戸時代にはハートの形に特別な認識はなかっただろうけど
白い羽毛の中で、あまりにも赤と緑が美しく象徴的かつ官能的で
何ものかの発露を想像させる。


「向日葵雄鶏図」、朝顔の紺と白、
鶏の尾の白と黒、羽毛の白と茶、ツートンの不規則なボーダーが
呼応しあっているのが印象的。
ひまわりはかなり渋い色づかいで、鶏の鮮やかさが際立っている。


「大鶏雌雄図」、交差し振り向きあっている雌雄の鶏、
色鮮やかな雄に比べ、雌は黒一色できりっとしている。
マットな黒があいかわらず端正で上品で美しい。
若冲の黒は本当に好きだ。

この作品は「動物綵絵」の中では珍しく背景はなく、
いや、すっと一本斜め下から地面の線が入っているだけで
通常描かれる植物や月や他の動物などがまったく描かれていない。
こうした極限まで背景を省き、しかし無背景にせず一本ラインを入れる手法は
私好みだなあ。


また、今回は酒井抱一の「花鳥十二ヶ月」12枚も一挙に見られ、
とてもよかった。
先日の 「プライスコレクション」 でも同名同様式の作品があったが、
月ごとに描かれている花鳥は多少異なっていたりして
こちらもじっくり堪能した。

春から夏へかけての花々、桜、かきつばた、立葵、あじさいなど
すっくりして気品があり、美しい。
10月の柿の実と小禽の絵がプライスコレクションと同様、非常によかった。
かわいい鳥のしぐさや表情と、柿の実の充実した色つやがなんとも言えず魅力的。

こうした酒井抱一の味わい深い作品を見ると、なぜかとてもほっとし、
日本人でよかった、と思う。
環境は変わっても、こうした精神風土の中に
今なお生きていることを感じる。


第4期はやはり、1点1点質が高く、とても充実していて大満足だった。
このあと、友人の出るミュージカルの舞台を見に吉祥寺へ。


「花鳥~愛でる心、彩る技」第4期は
皇居東御苑内・三の丸尚蔵館にて、7月8日(土)~8月6日(日)まで。

その後展示替えして8月12日(土)~9月10日(日)まで第5期が開催されます。
入場無料なので、ぜひ足を運んでみてください!
第4期は特におすすめです!






お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  2017.02.15 22:21:24
コメント(4) | コメントを書く
[アート] カテゴリの最新記事


■コメント

お名前
タイトル
メッセージ
画像認証
上の画像で表示されている数字を入力して下さい。


利用規約 に同意してコメントを
※コメントに関するよくある質問は、 こちら をご確認ください。


花鳥十二ヶ月  
はろるど さん
mashenkaさん、こんばんは。
やはりこの第4期が一番ですよね。
旭日鳳凰図と花鳥十二ヶ月の対決なんてたまりません!

>大海にぽつんと、岩のような木に残された2羽。

足元に迫る波の表現を見ると、
本当に彼らだけが取り残されたように見えます。不思議でした。

>先日の「プライスコレクション」でも同名同様式の作品

プライスコレクションと見比べられるというのも贅沢ですよね。
この尚蔵館の花鳥十二ヶ月は特に素晴らしかったと思います。
宮内庁所蔵でなかったら国宝ですよね?!(と、勝手に認定したくらいでした…。もちろん動物綵絵も!) (2006.07.31 02:39:49)

Re:「花鳥~愛でる心、彩る技<若冲を中心に>」第4期(07/22)  
一村雨  さん
三の丸の若冲も、残すところもあと一期。
プライス展もあとひと月。
今年いちばんの楽しみももうすぐ終わって
しまうと思うとさびしいです。 (2006.07.31 07:45:50)

Re:花鳥十二ヶ月(07/22)  
mashenka  さん
はろるどさん、こんにちは。
ばたばたしており、お返事遅くなりました、ゴメンナサイ!

>やはりこの第4期が一番ですよね。
>旭日鳳凰図と花鳥十二ヶ月の対決なんてたまりません!

本当、そうですね~
展示数は少ないけど、かえって質が高い気がしました。

>足元に迫る波の表現を見ると、
>本当に彼らだけが取り残されたように見えます。不思議でした。

不思議な場所に見えました。
遭難してるんでしょうか(^^;)

>プライスコレクションと見比べられるというのも贅沢ですよね。
>この尚蔵館の花鳥十二ヶ月は特に素晴らしかったと思います。
>宮内庁所蔵でなかったら国宝ですよね?!(と、勝手に認定したくらいでした…。もちろん動物綵絵も!)

はっ!
そんなこと考えたことなかったですが、
これらの作品は、宮内庁が価値を認めて大事に持っている割には、
国宝ではないんですね?!
それも不思議な気がします・・
(2006.08.03 14:31:40)

Re[1]:「花鳥~愛でる心、彩る技<若冲を中心に>」第4期(07/22)  
mashenka  さん
一村雨さん、こんにちは。
お返事が遅くなり、すみません・・<(_)>

>三の丸の若冲も、残すところもあと一期。
>プライス展もあとひと月。
>今年いちばんの楽しみももうすぐ終わって
>しまうと思うとさびしいです。

第5期はきっとまた、感慨深いことと思います・・
今年は特に若冲の当たり年でしたね(^^)
来年は気が抜けたりして・・・
(2006.08.03 14:34:22)

【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

PR

×

Profile

mashenka

mashenka

Favorite Blog

4月の読書 一村雨さん

ブログは移動しまし… コヨーテ3377さん
happy-happy happy-tamachanさん
take it easy!! 【masashi】さん
松峰な世界 松峰さん
ロルファーサイトウ… M Saitoさん
reichel!の美味しい… reichel!さん
地方暮らしが変える1… かじけいこさん
お気楽! 幸せの種… れおなるど21さん
クサノタヨリ すもも5970さん

Comments

mashenka @ Re[1]:生誕120年 棟方志功展(11/12) 一村雨さんへ お久しぶりです! 私もうな…
一村雨 @ Re:生誕120年 棟方志功展(11/12) お久しぶりです。 この展覧会、棟方志功の…
mashenka @ Re[1]:サントリー美術館「京都・智積院の名宝」(01/21) 一村雨さんへ 素晴らしい障壁画でしたね…
一村雨 @ Re:サントリー美術館「京都・智積院の名宝」(01/21) 安部龍太郎の「等伯」を読んで、この親子…
mashenka @ Re[1]:横山操「ウォール街」(10/31) 一村雨さんへ 横山操の手にかかるとNYの…

Freepage List

Calendar

Archives

2026.06
2026.05
2026.04
2026.03
2026.02

© Rakuten Group, Inc.
Create a Mobile Website
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: