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誘惑の落陽 (7)
「電話番号、忘れたのかよ」
このたった一行のメッセージを見て、佑は全身に冷水を浴びたようにぞっとした。
人の目には見えなくても、佑は瞬間的にホテルの床から30センチは跳びあがった・・・
重力に逆らって彼の身体は床を離れたのだ!その感触さえあったのだ、例え八重山
諸島全住民のブーイングを受けようと、彼は「いや!確かに跳んだよ!」と言うつもりだ・・・
(とにかく電話だ、うんそれがいい、しかも直ぐにだ!)
カウンターで部屋のキーを受け取り、ダッシュ!
決して忘れてたわけではない・・・そう自分に言い聞かせながらホテルの交換に
マキの電話番号を告げる、ここはまだ直で市外には繋がらないのだ。
今日がオフなのか?だとしても留守録がある・・・
本人に出て欲しいような、そうでないような複雑な気持ちで呼び出し音の回数を
頭で数える・・・1・・・2・・・3・・・4・・・5・・・
「はい、朝川です。」
「あ、マキ?・・・」
「・・・・・・・・・・・・」
「もしもし、聴こえてる?・・俺だよ」
「どちらの俺さまでしょうか・・・」
怒ってる!かなり怒ってる!どおスベエ・・・
「あの、あれだよ別に電話番号忘れたわけじゃなくて・・・」
「言い訳してんじゃねえよ!この唐変木!」
「そこまで言うか?仕事で来てんだよ遊びじゃないんだから・・・」
「・・・言い訳はそっちで直接聞くから・・・」
佑の心音が明らかに乱れた、跳ねたな、声の高さも同じくらい。
「そっちって、沖縄に来るってことか?」
「嫌なのかあたしが行っちゃ」
「そ、そんなんじゃ・・・」
「なら、心配すんな。最近忙しかったから、骨休みしといでって五日間オフくれた」
「そうか・・・それは良かったな」
「ふん、どうだかな・・・今度のデルモはかなりの美人だっていう話だからな・・・
鼻の下伸ばしてられんのも今のうちだ。明日の朝一で羽田を発つから」
「そんな、俺が鼻の下伸ばしてる・・・・・」
切れた・・・
受話器を置くと
「佑さんどうかしました、顔色悪いっすよ」
カメラマンの秋穂が開け放したドアの前で心配そうな顔して立っていた。
俺、ドア閉めるの忘れてたのか・・・・・・
この曲はマキの想いと同じではないでしょうか
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