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ある夏の日に 並列東京へ 3
広い、などという言葉ではとても言い表せない・・・
ここから見える・・あの星まで光の速さでさえ何年かかるのだろう
そんなことが勇一の脳裏をよぎったとき、目の前の宇宙が動いた!
(そんなことが・・あるのか!?宇宙が全部同時に動くって・・・・・
そうか、異なる時空に俺の生まれた世界の常識は当てはまらない・・どの時
空でもいい、東京にもどれるなら・・・)
ん!?この感覚は・・・振り返ってみた。右も左も、そして上下・・・計り知れない数の星々が勇一の背中を避けて広がっていく!!
つまり俺を先頭にしてこの宇宙は進んでいると?!そういえばこの感じ
船の舳先(へさき 船の前の部分)で進行方向に背を向けて立つ、あれだ
あの感覚だ!・・・俺がこの宇宙の先頭に立って移動してんのか!?
「大丈夫か俺の頭!もう何が何だかわかんねえよー!」
やけになった勇一は、大きく息を吸い、腹をくくった。
「何しろ相手は宇宙だ、俺に抗する力も知恵もなにもないし、下手に逆らっ
て外に放り出されたりしたら・・・外は真空の世界、やばいなんてもんじゃ
ない・・・」
想像したくもない光景を一瞬想い浮かべてしまった勇一は、ぶるっと全身を
震わせ小刻みに頭を振った。何もかもが未曾有でしかも魂まで震わせる出来
事が続いた。ここまで見事に耐え抜いた勇一の張りつめた緊張の糸もついに
解けていく。膝から力が抜けていくのを感じながら勇一の意識は薄れていっ
た。
片方の人差し指で閉じた瞼をこすりながら勇一のもう一方の目が開いた。指を離し両の目を瞬かせて我に返った。
「寝てたのか俺は?・・・」
空に星の姿は無く、人のわざでは創り出せない天然の色、それは日常の晴天
の空であり、確かめるまでもなく勇一の目が眩まない角度の上空に太陽が輝いているのが分かった。
それにしても、一体何がどうなってんだ・・・?
「ん?」いつ移動を終えたのか? そしていつ横になったのか?これで何度目なのか、もう覚えきれない疑問符・・・
三方を海に囲まれた漁師町に生まれた勇一は、潮の匂いに包まれて育った。
ならばこそ、我を忘れている今この時も海を渡る風を感じ、潮の匂いを容易
く嗅ぎ分ける。
浜辺の潮・・・干潮に置き去りにされた磯の岩場の潮溜まりの匂い、そして
沖合の潮、違うことなく嗅ぎ分ける。
時空の波に翻弄されて、疲れ果てたはずの勇一の目が大きく見開かれ、鼻が瞬時にスッと息を吸った。
「この匂い!」
勇一は、ここが沖合であり、船の舳先に背をあずけて脚を伸ばしているのだと知った。
今日の好きな曲は、The Fifth Dimension -「Aquarius」です♪
Upして頂いた coto.pops musicさま、本当にありがとうございます。
いつも応援ポチを有難うございます。
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