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2016.10.13
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カテゴリ: SF小説





俺たちはヨーコの部屋にいて、缶ビールを軽く合わせて乾杯をした。
交替でシャワーを浴びてスッキリしたところだ。

「さあ、例の話、聞かせて」
ヨーコが350mlの缶ビールを一息ついただけで、飲み干して言っ
た。いい飲みっぷりだ。

「そうだな・・・初めての?な体験は、小2・・いや小3の時だった
な。たぶんその頃。で、ある日家の近くにある児童公園に行くと、見
たことのないヨッパライのおっさんが、1頭の犬を蹴とばしていた。

そのヨッパライは足元がふらついていたし、犬は大型犬だったから、
そんなにダメージは無かったのかも知れないけど、子供だった俺は、
何故犬が逃げようとしないのか不思議に思って、少し近づいてみた」

「うん、うん・・・」
「そしたら見えたんだ。その大型犬の後ろに年取ったおばあさんがし
ゃがみ込んでいて、こわくて身を縮めている様子だった」
「わかった!そのワンちゃん、おばあさんを守ろうとして、蹴とばさ
れても逃げなかったのね!」
「ああ、俺もそう感じた。だから放っとけなかった」
「エライ!小3なのに勇一偉かったね!・・・それで、それで?」

ヨーコの目が、大きく開き、テーブルに手をつき前のめりになった。

「あの時、周りに誰もいなかったから、怖かったけど『おじさんやめ
て!』って言えた。俺しかいなかったから・・・そしたらそのオヤジ、 
振り向いて『うるせぇ!』って怒鳴り散らした。その時、あの犬と目  
が合ったような気がした・・・次の瞬間、ひとりの警察官の顔が頭に  
浮かんだ」

「頭に浮かんだ・・・やっぱり」
「え?」
「何でもない、続けて」

「その警察の人が大の犬好きだったのを思い出したんだ。で、交番に  
駆けこんで訳を話したら、そのお巡りさん、凄い勢いで公園へ駆けて
った」

「それで、おばあちゃん達は?どうなったの?」
「俺が走って公園に着いたときには、ヨッパライはお巡りさんに𠮟り
つけられてて、すいませんって謝ってばかり、おばあちゃんと犬が近
づいてきて『ありがとう』って何度も礼を言ってくれて、あの犬もし
っぽを振って俺の顔を何度も舐めるんだ、くすぐったかったなあ・・
・」

顔を上げた勇一の目は、ヨーコの顔も部屋の壁さえも映していない。
どこか遠くを見ているようだ。今、彼の精神世界は第3の目を通して
時空を超えているのだろうか。

「勇一・・・」 
「・・・・・・」
「勇一!・・・」

名前を呼ぶ声が次第に大きくなってくる。

「勇一!・・・」

やっと声が届いて勇一の目にヨーコの顔が映った。

「なに?」
「何じゃないよ、遠くに行っちゃったような目をしちゃって・・・
話の続きがあるでしょ、待ってるんだけど・・・」
「・・・そうだったね、ごめん。・・・そうそう、それから何日か過
ぎた暑い日に・・・あの頃俺たち近所の古くて使ってない貯水タンク
をプール替りにして遊んでたんだけど、俺、幅が10センチくらいしか
ないタンクの縁に上がろうとして足を滑らせてね、頭から地面に落ち
たんだ」

えー!と言ったヨーコが口を手で塞いだ。

「タンクの高さは1mそこそこなんだけど、地面はコンクリートで固
めてあった」
「それ、相当ヤバいじゃん!まだ小3だったんでしょ!?」
「そうなんだけど、無傷で済んだし痛くもなかった」
「うそー!」

「それが嘘じゃないから不思議だったんじゃないか・・・」









今日の好きな曲は、稲垣潤一さんの「夏のクラクション」
毎年この季節に聴くと、クラクションを鳴らしたくなるのです。
夏が帰ってくる、そんな気がするのは僕だけでしょうか。
いくつになっても夏は、終わる頃になってから恋しくなる。
何故でしょう・・・よろしかったらお聴きください。
chiinei3997さま、Upして頂き有難うございます。








今回もよろしくお願いします♪


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最終更新日  2016.10.13 05:00:54
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