マックス爺のエッセイ風日記

マックス爺のエッセイ風日記

2010.10.14
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カテゴリ: スポーツ関係
 倒れる 

 下りの須川コースの状態は登りの東栗駒コースほど悪くはなかった。それでも泥道はぬかるみ、注意を要した。頂上からどれくらい下りた頃か、昭和湖の白濁した湖面が見え出した。ここは昭和に入ってから爆発した新しい火口とのこと。強い硫黄臭を放つ湖は、コバルトブルーの不思議な色合いをしていた。

 ここでトイレ休憩になった。湖の端にあるトイレに急いで駆け込む。2時間ほど苦しんだ下腹部の具合が、これで一挙に解決。再び泥道を下りる。沢が白く濁っている。ガイドさんの説明によれば、昭和湖の湖水が混じっているとのこと。さらに30分ほど下ると、寂しい湿原に出た。ここが名残ケ原。湿原の「なれの果て」と言った感じ。久しぶりに木道を歩く。

 ゴールの須川温泉が近いせいか、風に乗って強い硫黄臭がして来る。やがて栗駒山荘や須川温泉の建物が見え出す。登山道の直ぐ傍に温泉の源泉があり、大勢の人が見物していた。温泉の裏では足湯に浸かる人達も。私達はバスが待つ駐車場へ行き、リュックを下ろした。5時間半近くかかった縦走を終え、全員でストレッチ体操。これで翌日の筋肉痛が和らぐ由。

 荷物を整理し、洗面具と着替えを持って温泉へ。建物に入る前に、泥だらけのシューズを洗う。湯船に浸かる前に頭と体を洗う。空腹が激しかったため、入浴は短時間で済ませた。硫黄臭の強い温泉は人気が高く、中には泊っている湯治客もいる。財布を取りにバスに戻り、売店でパンと牛乳を購入して空腹を満たす。

 その時、緊急放送。何と私の名を呼んでいる。急いでフロントへ行くと、妻が倒れた由。今は安定を取り戻し、ゆっくり着替えをしているとか。慌てて女湯の前に行き、中の様子を地元の小母さんに聞いてもらった。かなり回復して間もなく出て来るとのこと。妻の話では、「湯当たり」と低血圧だろうとのこと。私は空腹による低血糖と硫黄などの臭いも関係したのと思う。

 妻のためにパンと牛乳を買い、バスに戻ろうとすると大粒の雨。バスの外で待っていた添乗員さんにことの顛末を報告。妻が倒れた時に借りた手ぬぐいの主を尋ねると、7月の末に参加した八幡平登山で一緒だった女性とその友達だった。誰に介抱してもらったか記憶の無い妻に代わってお礼を言う。

 その後、私の財布が見当たらなかったり、妻のデジカメが見当たらなかったりとゴタゴタが続いたが、それらもちゃんと見つかった。もう外は黄昏。バスは一関市経由で東北道へ出た。その途中、2年前の岩手・宮城内陸地震で真っ二つに折れた「まつるべ大橋」が、暗闇の中で幽かに見えた。

 水浸しの登山道、スリルに満ちた沢登り、全山を埋め尽くす紅葉、ガスの切れ目から観えた下界、そして妻が倒れた須川温泉。まあ色んなことが起きた今回の登山だったが、それだけに良い思い出になると思う。次に私が登るのはもっと厳しい中級コースの山。初心者の中高年登山だが、また新たな経験が出来るのではないかと期待している。





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Last updated  2010.10.14 19:20:36
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