マックス爺のエッセイ風日記

マックス爺のエッセイ風日記

2011.09.11
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カテゴリ: 人生論
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バスを降りると音楽が聞こえて来た。それは外資系のホテルが入っている高層ビルの方向だ。ビルの前には人だかり。テーブルではビールを飲む人も。そして仮設ステージでは男女のギタリストが外国の曲を弾いていた。今日はジャズフェスティバル。街中の至る所でミュージシャン達が代わる代わる演奏している。

時間が気になったが、椅子に座って音楽を聴いた。若い男女が、馴染みのあるビバルディーの曲や、どこか物悲しいルーマニアの民謡を弾いている。クラシックギターだが、マイクで拾われた音は意外と高い。ギターの音に混じって、傍を通る車の音や風の音も時々聞こえて来る。そして強い風が悪戯して、ギタリスト達の譜面をめくる。

豊かな気持ちになってそこから離れた。横断歩道を渡り、向かい側のビルへ急ぐ。ホテルのロビーでクラス会の会場を確認すると3階の部屋だった。受付に何人かの級友がいる。挨拶をして先ずトイレを済ます。室内には3つの丸テーブルがあり、それぞれ6席ずつ設けられていた。そして真ん中のテーブルには恩師の笑顔が待っていた。

恩師、親しかった級友に挨拶し、自分の席に落ち着く。席順は無く、早く来た順番に座るようだ。右手は長年県庁に勤務した級友で、左手はさるお寺の住職。彼とはKスタで一度会ったことがある。今日もわざわざ応援して来たとか。田中マー君と日ハム斉藤の元高校球児対決は、楽天が4対1で勝った由。5年目の田中が、新人に負ける訳がない。

その彼が1枚の写真を私に見せた。仙台出身のお笑い芸人、サンドイッチマンが写っている。先日お寺に彼らが来た時のものらしい。顔と名前は知っていたが、まさかそれが級友の息子とは知らなかった。Dはお殿様の子孫で、地元銀行の支店長を務めた堅物。その息子が金色に髪を染めたあのお笑い芸人だったとは。

司会のAはクラス会の万年幹事役で、彼も地元銀行の支店長を務め、今でも仕事を続けているようだ。優しい人柄は幹事役にうってつけ。この日もちゃんとクラス名簿の最新版を用意してくれていた。先ず記念撮影。亡くなった級友の冥福を祈って黙祷した後、恩師の挨拶。担当は国語だったが、恩師が威張ったり怒った姿を見たことがない。この日も穏やかな口ぶりで、招待されたお礼を述べた。

乾杯の音頭を取ったのは、有名デパートに勤務していたI。彼は来月開催される同学年会の幹事で、実に真面目な男。私達の学年は、学年会とクラス会を隔年ごとに交互に開くほど熱心で結束が固い。2年前のクラス会は近郊の温泉に一泊してのものだったが、あれからわずか2年しか経ってないとは思えない。もう3、4年前の遠い思い出のような気がしていた。

飲み放題の安い店とは異なり、出される料理は良かった。部屋の大きさもマイクの調子も、何よりクラスの雰囲気がとても良かった。飲むほどに酔い、昔話や今の話に花が咲いた。幹事からは参加出来なかった級友からのメッセージが紹介された。

奥さんが亡くなった級友、津波で自宅が全壊した級友、病気で入院中の級友。この2年の間に級友達の身には色んなことが起きたようだ。その紹介を聞きながら、1人1人の顔を思い出していた。転勤のため31年もの間仙台を離れていた私の脳裏に浮かぶのは、まだ17、8の高校生だったころの若々しい顔だ。<続く>





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Last updated  2011.09.11 18:30:25
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