マックス爺のエッセイ風日記

マックス爺のエッセイ風日記

2016.07.09
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カテゴリ: 文化論
 <恐山ってどんなとこ?(2)>

境内8.jpg

 さて皆さんは「恐山」と聞いて、一体何を思い出すだろう。恐らくは不気味で暗くて怖いイメージがあるのではないか。有名なのは「イタコの口寄せ」。つまり死者の霊を呼び起こして、その声を聴くと言う不思議な風習だ。私自身もそんな不気味な印象を、ここ恐山に対して抱いていた。


境内40重罪地獄☆.jpg

 私は恐山に来たいと思ったことが2度あった。最初の時は夏の大祭へのバスツアー。例の「口寄せ」が見られると思って申し込んだのだが、私以外は全部女性だったようで、ツーリストに断られた。車内泊の弾丸ツアーだったのである。

 2度目は東北の秘境を巡るバスツアー。秋田の男鹿半島、津軽半島の竜飛岬、そして下北半島の恐山などが行き先になっていた。これは良いと心が躍ったのだが、一緒に行こうとした妻に断られてあえなく断念。だから今度が3度目の正直。ようやく北東北の歴史を辿る一人旅で、長年の夢を実現出来たのだった。


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 「怖いもの見たさ」と言う言葉があるが、恐山に関してはそれが正直な気持ちだ。今回は自分の目で確かめ、自分の感覚で実感するのだ。荒涼たる北の大地に、一体何があるのか。

 この地方の人は遠い昔から、人が死んだら霊魂は恐山に帰ると信じていたようだ。そして夏の大祭には、亡くなった人の声をもう一度聞きたいと願う人々が全国から多数訪れることも事実だ。


恐14-2地蔵堂.jpg

 結論だけ先に言おう。わずか3時間ほどの滞在中に、仏教施設としての恐山、民間信仰としての恐山を知り、山から宇曽利湖までの広い広い境内を散策した。そして思いがけずイタコの女性と会って話もし、何と写真まで撮らせていただいた。それに硫黄臭の強い温泉へも入ることが出来たのだから、それ以上望むのはもう無理なほどだった。


境内11.jpg

 さて、どんな風に恐山を紹介すべきか迷っている。写真は100枚以上撮った。十分な数で、順番に載せたらここだけで4、5回かかると思う。そんな訳で、少し悩んでいた私だった。でもこんな風に少し写真を載せ、少し話をする。それだけでも恐山を語る良い「準備運動」になるような気がしている。


恐1境内図.jpg

 ちょっと分かり難いが、これが境内図。パンフレットから写させてもらった。主に寺院の施設が集中している部分(ここに入山した人のための温泉も3か所ある)と、いわゆる「地獄」と称する場所とがある。山の上には奥の院もあるようだが、そこまで行くだけの時間はなかった。昨日も言ったがここは火山地形そのもので、「地獄」では蒸気や噴煙を噴き上げている箇所も多い。


恐0-3慈覚大師座像自作.jpg

 これは恐山を開いたと伝えられる慈覚大師円仁自身が彫ったと言う座像。円仁は下野国(現在の栃木県)出身で、比叡山を開いた伝教大師最澄の弟子。唐に渡って仏教を学んだ高僧で、関東や東北一円の80近い古寺の開祖と伝わる人物だ。山形の山寺立石寺、岩手の平泉中尊寺、そして宮城の松島瑞巌寺も彼が開祖と言われている。だが疑い深い私は、それにも疑問を持っていた。


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 これは慈覚大師円仁が座禅を組んだと言われる石。これを境内の奥で観た私は、すぐさま疑念が湧いた。こんな傾斜のきつい石の上に座れる道理がない。たちまち体が苦しくなってしまうのが人間の体。それに禅宗が日本で起こったのは鎌倉時代だから、事実と異なるのではないか。罰当たりの私はそんな風に心の中で思っていたのだ。


境内2.jpg

 これが広い境内の一部で、この奥に座禅石がある。写真を見てもお分かりのように、もうもうと噴煙が上がっている。これは水蒸気や硫化ガス。風向きによっては危険な場所。地下を掘れば猛毒のヒ素や硫化水素が出る。ガスが発火しないよう、ここではろうそくや線香、煙草は厳禁とされている。

 80もの寺の開祖となったと言う円仁。だが80もの寺を建てた訳ではなく、こんな環境の厳しい各地の山奥で修行を重ねた聖人と考えたら頷ける。明日からは恐山の風景を順次紹介しよう。

今日は「チャリティーマラソン」参加のため朝から出かけ、帰宅は夕方になる予定です。いただいたコメントへの返事とブログ友の皆さんへの訪問は、それ以降になりますのでよろしくね。ではでは~♪





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Last updated  2016.07.09 05:45:26
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