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「このところ地震が頻発している。元々わが日本は地震列島であるから、少々のことでは驚かない。それにしても昨今は地震が多くて、・・・・中略・・・・それで最近は、新分野テレビだけでなく、これまでは無縁と思われていた娯楽的な週刊誌まで、地震の予知や対策についての記事が載るようになった。いつかも、あるテレビが夜八時台のゴールデンタイムで、巨大地震のXデー? つぎは東京だ? 富士山噴火だ? などと「超能力者」の予言なるものをまじえて延々とやっていた。」この文章は、『津波の恐怖 -三陸津波伝承録-』山下文男著 東北大学出版会(2005年3月10日発行)からの一部分の抜粋である。本書の発行に注目して欲しい。何気なく読み流してみると、2012年の文章のことのように思えそうであるものの、今からちょうど7年前に書かれた著書だ。本書を読んでの率直な感想を挙げれば、「歴史は繰り返す」、「集団・組織の合意形成は困難」、「伝承の重要性と風化の恐ろしさ」などがすぐに思い浮かぶ。本書を読み歴史的文脈を振り返れば、災害復興をどうするべきなのか、どうあるべきなのか、100年、200年単位の超長期的かつ最適なシナリオが導出されてもおかしくない気がした。しかしながら、「災害発生サイクルのスパン」と「人間ひとりの人生のスパン」との大きな乖離の存在が、災害伝承の風化を招き、個人と集団、あるいは個人と組織の間の利害一致における合意形成を難しくしていることがよく分かった。先日、NHK報道番組で、高台移転プロジェクトの特集を見た。驚くべきことに、当該プロジェクトにおける高台移転推進上のさまざまな問題や困難は、過去の災害においても昔の方々が同様のことを経験しているということが本書に記録されている。興味のある方は、ぜひ、本書を手に取って読んでいただきたい。人間が持つ特性。記憶。解釈。伝承。繁栄。・・・同じ人間として非常に考えさせられる本である。このような課題は、ある意味で企業経営にも直結していると考えられる。でも、明確な正解は導出できないだろう。もしかすると、このようなことを深く考えつづけ、悩みながら前進していき、後世へ教訓を正しい情報でつなげていくことが、ただただ重要なことなのかもしれない。
2012.03.18
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