森でのんびり

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October 10, 2006

チューリップの球根

(4)

テーマ：種から蒔く楽しみ(1410)

カテゴリ：季節を感じて

前から買っておいたチューリップの球根を

おばあちゃんは、女の子に見せてくれました。

女の子は、チューリップのお花が好きで

花壇の絵には、よくチューリップのお花を描いていました。

初めてみるチューリップの球根は、

大きいし、ずっしりとしていてびっくりしました。

朝顔の種とは、大違いでした。

球根には、一つひとつ色とりどりのテープが巻かれていました。

「テープのお色のお花が咲くのよ。」

女の子は、黄色、紫、白、赤、桃色、色とりどりの

テープの巻かれた球根を並べて比べっこをしてみました。

じぃーっと眺めても、何色のお花が咲くのか、

テープの色の違い以外は、女の子にはその差がわかりません。

みんなそっくりです。

「どうして、この球根を作った人は、

何色のお花が咲くのかわかったのかなぁ。

本当にこのテープの色のお花が咲くのかなぁ。」

おばあちゃんは、ニコニコしながら

「そうだね。不思議だねぇ。」

と答えました。

女の子は、もう一度、

本当にその色が咲くのか、おばあちゃんに訊ねると

おばあちゃんは、ニコニコしながらうなづいてくれました。

「どれが何色になるかは、

　おばあちゃんにも球根を見ただけではわからないわ。」

ともおばあちゃんは言っていました。

それでも、どうしてこのテープを巻いた人は、

色を間違えないのか、不思議で仕方がありません。

“大人になったら、わかるかしら。”

“もっとたくさん育てたら、わかるかしら。”

「チューリップの球根の植え方を教えてあげましょう。」

おばあちゃんは、

「球根３個分の深さの穴を掘って、

球根のとんがった部分を上向きに置いて、

やさしく土をかけてあげるのよ」

と女の子に教えてくれました。

「どうして、とんがった部分を上にするの。」

「ここから芽が出るからよ。」

とんがった部分を指差して教えてくれました。

“土の中で育つのに、

どうしてここから芽が出ることを

おばあちゃんは知っているのかしら。”

おばあちゃんは、不思議です。

女の子の知らないことばかりを教えてくれるので

この世をつかさどる天の神様のお話みたいで

おばあちゃんといるのが、女の子は大好きでした。

女の子は、今習ったばかりのやり方でおばあちゃんと一緒に

チューリップの植え付けをしました。

二人でどこに植えようか、相談しながらお庭を歩きました。

「ここには何色のチューリップを植えましょうか。」

おばあちゃんは、女の子に聞いてくれました。

女の子が「ここにはピンクのお花がいいなぁ」と言うと

おばあちゃんは「素敵ね。」とほめてくれます。

女の子はうれしくなりました。

「こっちは何色がいいかしら。」

「ここは、黄色がいいと思うの。」

「そうね。黄色がいいわね。素敵ね。」

おばあちゃんは、ほめ上手です。

女の子もおばあちゃんもニコニコしながら、球根を植えました。

女の子は、たくさんの不思議が出来ました。

「チューリップは、球根から育つけど、種はできないのかしら。」

「種は、“蒔く”けど、球根は“植える”のは、なんでなのかしら。」

「朝顔は、春に蒔くけど、チューリップは、秋に植えるのは、

なんでなのかしら。寒い冬はどうしているのかしら。」

「夏や冬に植えたり、蒔いたりする植物もあるのかしら。」

「蒔いたり植えたりしないで育つ植物もあるのかしら。」

「種や球根の形はどうして、

　同じ種類のものは、同じ形をしているのかしら。」

チューリップの植え付けをしたら、

お訊ねしたくなることでいっぱいになりました。

一番の不思議は、

“何色のお花が咲くのか、

　どうして球根を見るだけでわかるのか。”

ということでした。

“春になったら、植え付けしたチューリップが何色で咲くのか、

　本当にその色で咲くのか”

女の子は、早く知りたい気持ちで

春になるのが楽しみになりました。

昨シーズンのブログから『チューリップの球根』を再掲載してみました。
チューリップの球根を植え付けするたびに毎年毎年同じことを思い出します。

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