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2023年03月18日
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カテゴリ: 病院
おはようございます



今日はMSWの仕事の「決断」に関する話をさせてもらいます




今週に実際にあったケースですが、 「SWとしての決断が人の命を奪ってしまう事さえある」 という危険性とその責任の重さについてを改めて考えさせられることがありました





80代の患者さんで食事が摂れずに病院を受診したところ今回初めて食道がんが見つかって、既に手術も抗がん剤も出来ない状態となった患者さんがいました





高齢ではありますが入院する前は身の周りのことは自分で出来ており、ご飯は奥さんが作っていましたが食事も歩行も入浴も基本的には自分で出来ていて、頭もとてもしっかりされている患者さんでした




入院してからがんに対する治療は出来ないので、食事形態を五分がゆのミキサー食に変更して食事はとれており、エンシュアと言う高カロリーの飲み物を摂取してもったり





奥さんに対して栄養指導という管理栄養士から食事の作り方の説明や注意点に関しての説明を実施していました





医師からの病状説明では治療は出来ないこと、今後起こりうる様々な病状の変化に対応するために介護保険の申請や訪問看護の導入が必要な事を説明されて、ソーシャルワーカーとして制度の説明と訪問看護の導入(医療での訪問看護)目的で関わっていました





初回の面談をさせてもらったのは病状説明のあとで、患者さんと奥さんと一緒に話をさせてもらいました




病状説明の中で治療法がない事や介護、訪問看護が必要と聞いていたので患者さんからは「介護保険でどんなサービスが利用できるのか」「ゆくゆく動けなくなった時に施設などを申し込むことも考えているが、介護保険が無いと入れないのか」「訪問看護は何をしてくれるのか、どのくらいの頻度で入ってくれるのか」など多くの疑問点をぶつけてくれました




奥さんからは施設に関することや介護保険の手続きに関することなどの質問があったのと「本人の方がしっかりしていて、私はよくわからないんだよね」と患者さんに任せているような印象がありました




ご自身の体のことに関しては「食事や水分が食道の辺りで使える感じがする」と言う所を除けば、体はしっかりしており杖なども使わずに歩行も出来て、薬の管理も元々自分で行っており今後も自分で出来る状況で、患者さん自身としても「今すぐに介護や何かは必要だと思わないが、訪問看護は相談してもらいたい」との希望もありました




今回介護保険の申請はそこまで急がないので妻自ら行うと言う事になり、訪問看護は医療になるのでソーシャルワーカーにて調整をさせてもらうことになりました





急性期の病院で治療もやれることが無く、現状食事摂取も含めて体の状態的にも退院自体は出来る状況だったので訪問看護の調整のみ入院中に行い、退院前の訪問看護師さんとの情報共有(退院時共同指導)を行って退院することとしました





退院前の共同指導を予定して、翌日に自宅退院をする予定で患者さんと奥さんと相談して決めていたのですが






いざ訪問看護を呼んで共同指導を実施したところ、開口一番奥さんから「がんという重大な病気になったのだから長期入院させてくれる病院はないのか」という質問がありました




理由を尋ねてみると「東京に住む子供たちや近くに住む兄弟から、がんが治せないような重症なら病院へ入院させてもらった方が良いと言われたから」とのことでした





本人も特にその話は聞いていなかったようで、「ゆくゆく動けなくなったり食事が摂れなくなった時のことを心配していると思うので、そのあたりも教えて欲しい」と質問をされますが、現在の状況で医療的な処置も何もなく長期療養できる病院はない事、今後食事が摂れなくなったり痛み止めの麻薬を使ったりするような状況になった時には長期療養含めた転院も含めて相談に乗れることを説明し、今回は自宅を目指すと言う事で本人は納得、奥さんはしぶしぶ納得という状況でした




ただし奥さんとしては訪問看護が自宅へ来ることに関して強い拒否感を示しており、「プライバシーの問題もあるし、家の中に入ってこられるのが嫌だ」と強く訴えられて、訪問看護師からも病院からもこれからの病状の変化に伴う訪問看護の必要性と在宅での病院と患者さんを繋ぐ相談窓口としての役割を説明しますがどうにも「家に入られる」ことへの不安が強いようで




「病院に入院しなくても良いくらいの状況だと言うなら、訪問看護も頼らなくても良い」と言うのが奥さんの主張でした




患者さん自身は「訪問看護は絶対にあった方が良い。あとは妻の決断だけなんだぞ」と家族の中でも意向がまとまっていないようだったので、その日は訪問看護導入は見送って




一度家族だけで話をする機会を設けてもらい、話し合ってもらった結果を病棟の看護師へ伝えてもらう事としました(私は別の患者さんとの面談に入らなければいけなかった)





その後病棟から「本人と妻で話し合ってもらった結果、訪問看護には了承されたので予定通り明日は退院で訪問看護の利用の方向で進めて欲しい」と報告がありました




病棟看護師も患者さんと奥さんとの話し合いが終わってから奥さんの想いも色々と聞いてくれたようで、自宅の中が汚いからあまり人を家に入れたくない話や今後のことを考えると入れざるを得ないこともわかっていること等、話をしてもらったと看護師からも情報がありました




私も別の仕事が終わった後に妻へ電話で確認したところ、妻はまだあまり訪問看護の利用に関して納得していないような様子もあり、話を再度伺ってみた所「家の中を見られるのが本当にいやで、来客があっても玄関までにしてもらったり、子供たちですら何十年も家には入れていないんです」と話が合って




さらに話を聞いていくと実はうつ病で10年ほど病院へ通っていることもあったり、妻自身も訪問看護の必要性は理解して、実際にあった訪問看護師も悪い人ではないこともわかったが、どうしても人が入ることに対しての拒否感が出てしまうとのことだった




結局帰ってから患者さんとの二人だけで生活するという不安もあるし、患者さんも訪問看護には入ってもらわないといけないという話もあったので、仕方ないが訪問看護に来てもらうことで良いと返事をもらった




そして退院の当日になって退院の時間になっても奥さんは現れず、30分待ってみても来ないと病棟から連絡がありました




病棟から奥さんの携帯や自宅に連絡を取っても繋がらず、最悪昨日の話し合いで思い悩んで何かことを起こしてしまっているのではないかとの思いましたが





結局その後患者さんから連絡がついて、「退院時間を1時間間違えていた」とのことで無事に来院されて、昨日よりは少し顔のこわばりも取れており、最後にご挨拶をした時には




「昨日は私のわがままを聞いてもらってすみませんでした。またこれからもよろしくお願いします」と話されて、退院していきました




奥さんの不安や家に人を入れることが嫌な気持ちは、わがままでもなく持っても当たり前の気持ちであることは伝え、困った時はまた病院へも相談してほしいことはつたえたのですが





一歩間違えば奥さんが思い悩んで、家で…






なんていう事態も想定されたので、病棟とは奥さんが病院に来てくれた時には一安心でした





滅多にはないのですが 本当にごくまれに精神的に弱かったり病気を持っている人が、厳しめのICを受けた後に今後に対する不安から自ら命を絶ってしまったり するケースもあるので






病院と言う基本的にはずっとは暮らすことのできない環境ですが、患者さんの中にはずっと入院させてほしいと希望される方も少なくありません




そこのギャップがある中で普段から患者さんやご家族の思いを引き出して、病院側からの一方的な押し付けや強制にならないように最大限の配慮と注意を払いながら仕事をしていますが






時に 私達ソーシャルワーカーの決断一つで命を絶ってしまうほどの重大な事態に陥ってしまうこともある と再認識させられるケースでした






「そんな大げさなこと」「話を飛躍させすぎだ」 と思われる方もいるかもしれませんが、実際に起こりうる可能性のあること、特に 人命に関することであればなおさらその「万が一」を起こさないようにする 姿勢は必要だと思います





特に病院と言う場所においては余計に命の重みに触れる機会が多い場所なので、病院で働くMSWを始め、医療職を目指す方には特に知っておいてほしいことだと思います





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最終更新日  2023年03月18日 06時55分59秒
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