K-POP 0
全68件 (68件中 1-50件目)
終活の一分野として、25年間あまり積読放置してきたS-Fマガジン 読んでますがやっと1999年1月号に辿り着きましたが まだ36冊残っていて 間に合うのか終活という感じですだけど せっかく購入したから 読みたいです 実際 読んだら時代を感じることなく 面白いですから特集は「1998年度英米SF受賞作特集」ということで従来あった「ヒューゴー賞/ネビュラ賞特集」を 対象を12の賞に拡大したということです解説で 各賞の受賞作ならびに候補作のリストがありますが25年経過しても訳出されてない作品も多いですし たとえ翻訳出版されていても未読作品も多数で毎年のことなんですが ため息ついて空虚感につつまれてしまいますそんななかで掲載されたのが次の三作品 さすが受賞作だけあっていずれも面白かったです『軍用機』スティーヴン・バクスター/中村融 訳 アポロ11号の月面着陸失敗で幕をあけた 悪夢のような歴史 こんな歴史にならなくて幸運だったけど ひょっとしたら紙一重だったのかも『ストロベリー・フィールズにて』ジェイムズ・パトリック・ケリー/公手成幸 訳 一人暮らしの父親に 別れた母親から贈られた介護ロボットの姿は・・・ 年のせいもあって 心に滲みた作品でした『ヒンデンブルグ号、炎上せず』アレン・スティール/中原尚哉 訳 時間調査研究者と『Xファイル』の遭遇という感じで とても楽しかったです 読んでいる最中の脳裏には モルダーの姿が・・・連載では谷甲州&水樹和佳のビジュアル・ストーリーが新連載『果てなき蒼氓』第1話「星嵐」 宇宙の深遠に旅するイメージが 文章とイラストの相乗効果で 美しく展開されます これからの物語に期待大です神林長平《新・雪風シリーズ》第7話『戦意再考〈後篇〉』 このシリーズは次号で完結とのこと そしたら未読の『戦闘妖精・雪風』から読みます山田正紀『星砂、果つる汀』〈第12回〉 こちらもクライマックスが近付いている感じですね 本来まとめて読みたいところですが なぜか単著として出版されなかったようで 何故なの?
Jun 8, 2024
コメント(0)
特集は「BLとSF2」 2年前にも同じ特集が組まれたそうですが そちらは未読でしたそもそも LGBTQのジェンダー問題には 嫌悪感も拒否感もありませんがそもそも「BL」の起源となったという 少女小説やコミックスに関してはまったく触れてこなかったので この特集の解説やエッセイを読んでも頻出する「オメガバース」等の用語や概念については 初めて出会ったものばかりで読解するのにかなり手間取りましたが ひとつのジャンルの歴史として興味深かったですしかし 特集の読みきり小説5作品については いずれもBL系の作家さんということで初見の方ばかりでしたが 逆にBLというものを意識することなく思ったよりしっかりとしたSFになっていて 面白かったです『聖域 サンクチュアリ 』 榎田尤利 作 テクノロジーの発達により 快適な環境が保障された未来社会の とあるエピソード BLですけど ピュアなラブストーリーとして印象的でした こういう作品を読むと 人が人を愛するとは いったいどういうことなのか そこに 身体的な性別はどのように関係しているのか いろいろ考えてしまいます『ラブラブ☆ラフトーク』 竹田人造 作 こちらも 人生の全てに関してAIがおすすめしてくれる未来社会 そんななかで繰り広げられるのが シンデレラストーリー的なラブコメ 面白いですけど これが可能になる前提条件である 同姓婚が完全に認められる社会が はたして いつになったら成立するかが 現在の問題なのですけど『監禁』 莫晨歓 作 楊墨秋 訳 中華SF大好きだけど 中国に「BL」もあるんだという驚き 中国の小説投稿サイト発ということも驚きの でもこれは BL?ホラー?SF?『テセウスを殺す』 尾上与一 作 ジャンルSFの作家さんかと思ったほどの 上質なマインド・アップデータを深く考察し そこから 見事なサスペンスへと昇華させた 名作でした ただし これがBLである必然性を 逆に感じられなくなった気がします『一億年先にきみがいても』 樋口美沙緒 作 地球を捨てた人々が 宇宙に拡散した遥か未来の物語 変容するジェンダーを描いたという意味では 一番BL+SFなのでしょうか特集以外の読切短編小説は3作品『幽霊屋敷のオープンハウス』Opem House on Haunted Hill (2022) ジョン・ヲズウェル 作 鯨井久志 訳 ホラージャンルなんだけど やさしくて楽しい作品でした『さいはての美術館』 The Portraut of a Survivar,Observed from the Water ユキミ・オガワ 作 勝山海百合 訳 まず 日本人でありながら英語で作品を発表されていることに 驚きました 作品は いずことも知れない惑星の美術館で ただひとり美術品の修復を行い続けている ロボットと それを支援する謎の存在 不思議な感動でした『テーマ』 草上仁 作 VRが進化した未来社会 様々な情報が提示されるなかで 私たちが信じるべき真実とは何だろうとか 考えてしまいました連載小説で読んでいるのは 一回目から読むことができた『ヴェルト』吉上亮作のみですがこれまで いつになったら そしてどんなSFになるのかと やきもきしていましたが第一部完結という今回になって 壮大なSFの姿が現されましたここからどんな展開になるのか 楽しみでしかたありません連載の評論エッセイでは 偶然漫画家を扱った下記の2篇が面白かったです伴名練「戦後初期日本SF・女性小説家たちの足跡」第12回 レジェンド少女漫画家の小説世界 ― 萩尾望都長山靖生「SFのある文学誌」第九十三回 吾妻ひでお ― リアルと幻想のはざまに立って
May 28, 2024
コメント(0)
特集は「ミステリとSFの交差点」 なんでいまさらと思いますがそれより 問題作は 第11回ハヤカワSFコンテスト特別賞受賞作間宮改衣 作の『ここはすべての夜明けまえ』の 一挙掲載でした大賞受賞の矢野アロウ 作『ホライズン・ゲート 事象の狩人』とはまったくテイストの異なる作品ですが円城塔氏や酉島伝法氏につらなる 21世紀の日本SFなのかも知れませんね物語は ポスト・ヒューマンの翳りある未来を シニカルに描き出しますが本質的には そのような未来でも変わることのない家族というものの あからさまな姿を描きだすことにあるように読めてしまいました家族は素晴らしいとか 家族が一番というような 幻想ではなく児童虐待であったり 介護疲れからの殺人があったりする家族であるが故の苦難や苦痛が存在する現実を 直視する眼差しが感じられましたたんなる 誤読かも知れませんが・・・特集で掲載された短編は以下の4作品荻堂顕 作『detach』ゾンビものの変奏曲のようですが 主人公が魅力的で面白いと 思ったら 刊行予定の長編のプロローグなんですと! やられた!これは 刊行されたら直ちに読まないわけにはいきませんね 繰り返しになりますが やられた!芦沢央 作『魂婚心中』SFなのか幻想小説なのか よくわからない作品なんですがネットの配信で出会って 推して ガチ恋に至る過程が 今のリアルに感じられて恐ろしい主人公の心理を理解することはできませんが・・・大滝瓶太 作『恋は呪術師』元来SFは科学的なアイデアを 物語に落とし込むことによって成立するものでSF史の初期から アシモフなど ミステリの物語のうえにもSFは築かれてきたと思うそこには あくまで擬似的なものかもしれませんが リアルがあったからSFであり ミステリであったはずなのですが本作のように 天使が登場するファンタジーのうえに ミステリは存在できるのか本作を読む限りでは それは不可能な気がしました森晶麿 作『死人島の命題』そして ラストは 本格推理+特殊設置ミステリがきましたね絶海の孤島 不思議な館 謎めいた大量殺人事件 と 定番のシチュエイションそこに SF的な特殊設定と 不可思議な能力を持つ主人公と 正体不明の相棒本作を読んで気付いたことが二つ特殊設定と歌われていなくても そもそも 全ての本格推理小説そのものが特殊設定なんだなということ 作者の設定した特殊な世界での物語りという意味でそして 二つ目は やっぱり 私には 本格も特殊設定ミステリも 会わないという事実本格好きの読者さんとは 思考形態そのものが違っているのでしょうねいつものように 読んでいる連載小説は吉上亮 作『ヴェルト 第一部』が 第四章いつになったらSFになるの?と やきもきしながら読んでいますがすでに ソクラテスとプラトンの問答に 興味津々になっていますギリシヤ古代史には疎いので どこまで史実なのかもわかりませんが哲学的な会話そのものに 魅力を感じていますしかし この作品 ほんとに いつかSFになるのでしょうか そこにも興味津々ではあります評論・エッセイでは 大澤博隆氏のレポート 並びに 池澤春菜氏と大森望氏それぞれによる第81回世界SF大会<成都ワールドコン>の記事が 面白かったです最近中華SFにはまっていますが 中国が国家主導でSFを押し進めているのが韓国のK-POP戦略にも似たものを感じました それでは日本は・・・?
Mar 19, 2024
コメント(0)
終活としてやってる 未読積読蔵書解消活動なんですけどS-Fマガジンだけでもまだ30冊以上あるというのについつい 新刊に手が伸びてしまい なかなかすすみませんそれにしても SNSでよく見かける 積読書籍の量を誇るお写真読まれないで終わる本の行く末が気になりますということで 本号の巻頭には マイク・レズニック氏の名作『キリンヤガ』の第8話一挙掲載なのですが 私1-7話未読なので ここではスルー 1999年に一冊に出版されているのでそちらを読むことにします 近いうちに(たぶん・・・)なにしろ「SFが読みたい!」の記念すべき第1巻である2000年版の海外篇第4位にランクインした 名作ですから 読まずに済ますことはできません読切短編は以下の3作品殿谷みな子 著『空ガ墜チテクル』 都市に生きる女性の心の闇イアン・R・マクラウド 著『わが家のサッカーボール』 The Ramily Football (1991) 宮内もとこ 訳 人間があるきっかけで変身してしまう世界 母親がミツユビナマケモノに・・・エスター・M・フリースナー 著『すべての誓い』 All Vows (1992) 新藤純子 訳 幽霊譚なのですが ベトナム戦争の影がさすアメリカ社会の物語でもあるのかないずれも 不可思議な世界でした草上仁氏の「ショート・ショート・スペシャル」として以下の3作品『関係妄想』『ドンドコネズミの間引きサラダ』『ひとりぼっち』ということで本号で面白かったのは 連載長編の2作品山田正紀 著『星砂、果つる汀に』は第11回神林長平 著《新・雪風シリーズ》第7話『戦意再考』が前編雪風シリーズは 前著を未読なのに こうして読んでしまって大丈夫なんでしょうかあとコラムでは SFインターセクションが 第17回でゲストが高野文緒さん 当時出版され話題になった『ヴァスラフ』の話を中心でした以上 やっとこ1998年度分12冊読了 1999年度分はもっと早いペースで読まねば
Feb 22, 2024
コメント(0)
本号では珍しく特集がなく 雑多なコンテンツを詰め込んだ福袋みたいな内容でラッキーとアンラッキーが混在していましたラッキーのほうでは なんといっても グレッグ・イーガン氏の新作中篇140枚一挙掲載タイトルの『堅実性』SOLIDITY (2022) の意味がよくわからないまま読みはじめました最初は少年視点のホラーテイストの印象でしたが やっぱりイーガン流ハードSFが展開してとても面白かったです イーガンにしてはとても読み易かったですし訳者の山岸真氏が 解説で書いている「日本でもそろそろ新しい短編集を出せたらと思うのですが・・・・・・・・」のお言葉を信じて期待して待ちたいと思います 山岸氏の健康状態は気になるのですが・・・読切作品では 小野美由紀氏の『母と皮膚』が 素敵でした近未来の進化したテクノロジーと 社会や枠組みが変わっても 変わらない親子の情愛が美しいこれは 文庫で発売された短編集『ピュア』を読むしかありませんねまた小野氏の作品がイタリアで翻訳出版されたという訳者のアンナ・スペッキオ氏との対談も興味を惹かれました日本のカルチャーだとして漫画・アニメが海外で評価されていますがSF小説もこうして世界に広がっていくのは喜ばしいことだと思いました一方 アンラッキーだったのは 販売戦略のCMとして第11回ハヤカワSFコンテストの大賞受賞作『ホライズン・ゲート 事象の狩人』矢野アロウ 著 が 恒例(?)の冒頭掲載ちゃんと 単行本で読みますから こんなのは不要ですけど・・・同じく スタニスワフ・レム氏の『ソラリス』のコミカライズも1話と2話だけこちらは漫画が守備範囲外なので 影響はありませんがちらちら眺めた範囲では イメージが違うなという感想若い世代の作者 森泉岳土氏とは 感性が違うのでしょうか ところで これ連載なの?連載作品で唯一読んでいるの 吉上亮氏の『ヴェルト第一部』が第三章今回もソクラテスをめぐる古代ギリシア史劇ですが「神霊(ダイモーン)が囁んだ」というソクラテスの言葉はこの物語が 壮大なSFに向かっているという予告なのでしょうかその他の読切作品では十三不塔氏の『八は凶数、死して九天』が後編掲載で完結やっぱり 私はゲームとかギャンブルとかを理解し楽しむ能力が欠如しているのだろうと確認草上仁氏の『本性』は オチが予見できてしまったので・・・最後になりましたが 石川喬司氏の追悼文を巽孝之氏が著しています昨年末の豊田有恒氏の訃報も衝撃でしたが私の慣れ親しんだ 第一世代の作家さんや評論家諸氏との別れは 淋しさとともに時代を感じますSF作家さんだけでなく 同じく親しんできた芸能人の訃報も 毎月何人も目にする現状私の時代も終わろうとしている気が 強くしています
Jan 11, 2024
コメント(0)
特集は「SFをつくる新しい力」ということですが正直 趣旨や目的が いまいち理解できませんでしたSF読者の高齢化がすすみ 新しい若いSF読者を獲得しなければ・・・ということでもなさそうだし思えばSFマガジンが創刊された頃のSF黎明期から新規にSF読者を獲得するために さまざまな試みがなされてきたことと現在の 若者だけでなく 全世代での読書離れが進む状況においてSF読者SFファンを増やそうとすることに意味があるのかなそれよりも 世の中に読書好きのひとは沢山いるんだからそんな読書人が これはSFだからと敬遠するんではなくSFだけど面白かったという作品を 世に送り出してほしいとおもう書店員さんが お勧めする「本屋大賞」でも もっとSFを推薦してほしいですよねそれに「SFマガジン」も 唯一のSF専門誌という意識が高すぎて内容が高度で難解で 新しいSFファンが読めるものではなくなっている気がしますしかし 特集の小説3作品は どれも面白かったです。『マリのダンス』(2021) キム・チョヨプ 著/ユン・ジョン 訳 韓国SFの若手トップランナー描く 視知覚障碍者とインプラントが産み出した 新しい世界認識は興味深かったです 新作の短編集『この世界からは出て行くけれど』収録作品『隕時』(2022)王侃瑜 著/大久保洋子 訳 最近 何作も訳出されている 中国SFの新世代の作家さん 時間認識が早くなり効率が上がるという商品がもたらした破滅への道 中国SF界のレベルの高さを あらためて認識しました『孤独の治療法』(2023) M・ショウ 著/鯨井久志 訳 初訳出の作家さん パンデミックのさなか変異した植物によって・・・ ホラーというより 孤独にさいなまれ変異植物にとりこまれる幻想譚なのかなその他の読切り作品は・・・『カレー・コンピューティング計画』 草野原々 著 本号では池澤春菜さんが挑戦した AIノベリストコーナーの続きに掲載だったので その手の作品かと思ったら 最後に【免責事項】で・・・って 免責事項って何? 内容は おバカですねとしか 言えませんでした『八は凶数、死して九天』(前篇) 十三不塔 著 恥ずかしながら まだ読めていない作家さん 読みたいと思っているが順番が回ってこなくて・・・ 何だか不思議な中華ゲーム幻想譚?後篇を楽しみにしてますそして 連載小説で前号から読みはじめたのが『ヴェルト 第一部第二章』 吉上亮 著 第二章でも まだソクラテスとプラトンの物語 古代ギリシャの歴史は不勉強で これが どこまで歴史的な事実に基づいているのかわかりませんが 今のところは 歴史小説で 今後どのようにSFになるのか 楽しみでしかありませんそして 連載の評論で特に興味をひかれたのが伴名練氏の『戦後初期日本SF・女性小説家たちの足跡』【第九回】「稀代の幻想小説家とSF界をめぐって ― 山尾悠子」が力作でした山尾悠子氏とは同時代を生きてきたにもかかわらず 幻想小説は苦手だなと 一切読まずにきたことを本稿を読んで後悔しました とても重要な作品群を読み落としてしまったと今からでも 手に取るべきなのでしょうね
Nov 8, 2023
コメント(0)
いつもの未読在庫解消読書ですが 間に合うのでしょうか 命あるうちに・・・ということで 本号の特集は 「世界幻想文学大賞&ブラム・ストーカー賞特集」幻想文学とかホラーは あまり読まないジャンルだしな・・・と思ったのですが掲載の「既訳の受賞長編完全ガイド」を眺めて 驚きました掲載の28作品のうち なんと8作品をかつて読んでいるではないですかしかも ダン・シモンズやロバート・R・マキャモンをはじめとして熱中して読んだ 傑作ばかりじゃないですかおまけに 掲載されている短編賞受賞作品4作品 みんな面白かったしあれ? このジャンル 実は好きなのかなしかし この号から25年経過する中で どれだけ訳されたかわかりませんがそこに手を出してしまったら ただでさえ読みたい本が溢れているのにどうしましょということで 掲載の4作品『最後のクラス写真』ダン・シモンズ 著/嶋田洋一 訳 さすが シモンズ かなり捻ってるゾンビストーリーだけど 感動『月を愛した女』エリザベス・A・リン 著/佐田千織 訳 いつも読まないヒロイック・ファンタジーだけど たまにはいいかな ビジュアル的に鮮烈なイメージでした『ベルゼン急行』フリッツ・ライバー 著/金子浩 訳 戦後の話なのに ホロコーストの恐怖に囚われた男の 恐怖心がハンパない『十三の幻影』ジェイムズ・P・ブレイロック 著/中村融 著 有名SF雑誌がキーアイテムになったりする 時間SFじゃないのこれっていう 不思議なお話その他 読みきり作品は『イトノコ大隊』佐藤哲也 著 何このタイトルって思ったけど 戦争の愚かさが表現された 舞台を見てるようでした『ファントムの左手』藤田雅矢 著 3人の繋がる友情?愛情? あれ?これも幻想譚ですよね でも面白かった連載は 山田正紀 著『星砂、果つる汀に』は第10回 クライマックスに近付きつつある 神林長平 著《新・雪風シリーズ》第6話『戦略偵察・フェーズⅡ<後編>』 目次では なぜ読切なのかと思うけど
Oct 22, 2023
コメント(0)
特集は「《マルドゥック》シリーズ20周年」もうそんなになるんだという感慨と その間書き続けて燦然たる大河SFなんだという驚き私には 冲方丁氏は新人SF作家というイメージしかないのですがそれだけ私も年を取ったのかという感慨などとわかったようなこと書いてますが第一作の『マルドゥック・スクランブル』しか読んでいないのですけど・・・ここから追いかけるのは なかなか至難の業かもしれませんSFマガジンは 古いのばかり読んでいて 新規一転新しいのを読み始めたのは今年の2月号からなので連載小説は読まずにスルーしてきたのですが今月号から 吉上亮氏の『ヴェルト 第一部』がスタートして ついに連載小説読み始めました冒頭から ソクラテスやプラトンが登場する ギリシャ時代が舞台でSFとして ここからどう展開していくのか楽しみですなんとなく 光瀬龍氏の『百億の昼と千億の夜』を想起してしまいましたが どうなんでしょう読切短編は4作品『殺人端フジミバシの迷走』小川一水 著 現在『天冥の標』に夢中の作者の小品 怪獣の話と思いきやAIテーマで考えさせられました『筋肉の神に、敬語はいらない』ジョン・チュー 著 桐谷知未 訳 台湾出身でアメリカ在住の作家さん お初です これはちょっと変わったスーパーマン?『宇宙の底で鯨を切り裂く』 イザベル・J・キム 著 赤尾秀子 訳 こちらは韓国系アメリカ人作家さん お初です ミッションに失敗して乗員が死んでしまった 世代間宇宙船から資材などを漁る仕事という発想がすごいです しかし そんなハードな設定から ホッコリする物語が・・・『毒をもって・・・』 草上仁 著 作者らしい 小どんでん返しのショートショート こんな時代になりつつあるのかな連載中の「SF作家X小説生成AI」今月は 松崎有理氏の『超高速の遺言』やっぱり私にはAIの小説になじめません今月号の「SFのSは、ステキのS」での 池澤春菜氏のおことば「むしろわたしたちが絵を描いて歌って暮らすために、AIに面倒くさいことを 全部やっておいて欲しいのに。」に共感しちゃいました本号には高野史緒氏の『グラーフ・ツェッペリン 夏の飛行船』の冒頭150枚が試し読みパク・ハル氏の『蒸気駆動の男』から『魘魅蠱毒』を掲載どっちも先に読んだばっかりなんですけど・・・
Sep 14, 2023
コメント(0)
恒例の25年来の未読在庫解消の読書 終活の意味合いもあるのですが・・・特集は『海外SF雑誌特集②[アシモフ]誌』なんと 5篇の短編が訳載されていて豪華なんですが山岸真氏が編んだ「<アシモフ>誌が生んだ傑作群」を読めばまだまだ未訳の傑作短編が山積みで そのほとんどを読めないと思うと絶望しかないですねということで 掲載作品は『密告者』ナンシー・クレス著 田中一江訳 孤独なエイリアン さすがのミステリアスな雰囲気だけど 難解でした『中間管理職への出世戦略』アイリーン・ガン著 幹瑤子訳 出世のために遺伝子操作して昆虫の組織を導入しちゃって大騒動『夕方、はやく』イアン・ワトスン著 大森望訳 時間が奇妙なリプレイを繰り返す世界 想像つかないことを想像できるイアン・ワトスンはやっぱり凄過ぎ『地獄の黙示録』ジョン・G・マクデイド著 古沢嘉通訳 図書館の地下837.6kmに設置された公文書書庫に降りるAI搭載のエレベーターが目覚めた『月に生きる』トニー・ダニエル著 小野田和子訳 愛し合っている夫婦の奥さんが 月面都市の構築のため月へ向かうが・・・ いやいや 普通にラブストーリーでラストで感動しちゃいました読みきり短編はもう一篇 なんとなんと『クロマキー・ブルー』の川田武氏が23年ぶりの登場『ミステリチャンネルのミステリ』 コンテンツ放送業界でおきた謎の事件 今ならAIかな連載長編は2作品山田正紀著『星砂、果つる汀に』は第9回 なんだこのヒロイックファンタジー的な展開は?神林長平著「新・雪風シリーズ」は第6話 『戦略偵察・フェーズⅡ<前編>』 実は オリジナルシリーズ未読なんですけど 面白いです
Sep 4, 2023
コメント(0)
特集は「藤子・F・不二雄のSF短篇」なのですが子供のころは普通にマンガもアニメも大好きだったのですがいつの頃からか マンガ・アニメの世界から離れてしまったので藤子不二雄氏が ドラエモンなど SFマインドにあふれている漫画家さんだという認識はあるけど実際に作品に触れてこなかったので この特集は流し読みでした対して もうひとつの特集「グレッグ・ベア追悼」は『鏖戦/凍月』を読んで グレッグ・ベア氏を再発見したばかりなのでとても興味深く読ませていただきました特に 酒井昭伸氏のエッセイは 『鏖戦』の訳文の難解かつ独特の用語と文章の由来をその翻訳の苦労とともに知ることができて よかったですそして特集の短篇小説『タンジェント』(酒井昭伸氏訳)も次元を越える移動というものは 相変わらず難解でイメージを思い浮かべることはできないものの1986年の作品ながら 新鮮で強烈なインパクトがありあらためて グレッグ・ベア作品を読まねばと感じましたその他のフィクションとしては 短篇が一作品のみ『ムアッリム』 Muallim (2021) レイ・ネイラー 著 鳴庭真人 訳 ある限界集落支援のために送り込まれた 教師ロボット「ムアアリム」が直面した 先端技術が無力と思える現状 人類は進歩したはずなのに どこまでも残り続ける文明格差や地方格差に 無力感を感じてしまいます企画連載の「AIのべりすと」を使っての作品本号では 宮内悠介氏の『全ての記憶を燃やせ』ただでさえ難解な宮内作品とAIの組み合わせは 私の手には余りました宮内氏と「AIのべりすと]開発者のSta氏との対談を読んでも人類は「AI」を使いこなすことができるのだろうかという疑問だけが残りました伴名練氏の連載「戦後初期日本SF・女性小説家たちの足跡」は第八回 余りに早く駆け抜けた、愛に苛まれた作家 ― 鈴木いづみ私がSFを読み始めた頃 SFマガジン誌上でよくお見かけしましたがまだ ほんの子供だった私にはとうてい理解できない内容でしたでは 今読んだらどうでしょうか 相変わらず理解できないかもしれませんねここで語られた 鈴木いづみ氏の人生からすれば のほほんと生きている私には・・・
Jul 3, 2023
コメント(0)
引き続いての在庫未読S-Fマガジンの終活的読書です特集は「巨大怪獣の咆哮」 このころ公開されたハリウッド版『GODZILLA』に合わせたものです私もこの『GODZILLA』鑑賞しましたが 日本の「ゴジラ」とは発想が異なるし特撮も疑問で低い評価しかできませんでしたが この特集の評論やエッセイでも散々な扱いでしたねもっとも 私自身は『シン・ゴジラ』を含めた 東宝ゴジラシリーズ(他SF映画を含めて)には子供の頃は熱中しましたが 大人になってからは納得できない部分が多すぎて思い入れができずに低評価しかしていませんけどね。では 4作も掲載された短編小説というと 作者のラインアップからもわかるけど結局 怪獣はSFにはむかず ホラーや伝奇小説を含むダークファンタージーになってしまいますねもちろん そういうカテゴリーの中でいえば 4作とも面白かったです『脈打つ壁』 小林泰三 著 地方の山中にある謎の研究所を 苦情を告げるため訪れた役場職員の運命は・・・『地球最大の決戦 終末怪獣エビラビラ登場』 田中啓文 著 タイトルは正統派の怪獣ものと思わせますが 作者がそんな話を書くわけが無く 怪獣とウルトラヒーローの対決の結果は・・・・『ギガントマキア1945』 朝松健 著 本作も著者の本領発揮の怪作でした 敗戦を目前にして一隻のUボートに与えられた命令と 航海のさなかに遭遇した巨大な・・・『翁戦記』 牧野修 著 遥かな時を超えて現代に蘇ろうとしている悪しき存在 それを阻止するために同じく時を超えて 転生していた三人の勇者たち しかし彼らはすでに老人となっていた・・・連載作品は1作品 山田正紀著 『星砂、果つる汀に』が第8回 今回は ストーリーを離れて 今までの総括というか解説になっていて その中で 作者のウィルスや進化論 そしてバイオテクノロジー感が熱く語られています なぜここで?という感じはありましたが読切作品は2作品 といっても《新・雪風シリーズ》は読切って・・・『戦略偵察・フェーズⅠ〈後編〉』《新・雪風シリーズ》第5話 神林長平 著 引き続きジャム対策として 意識やAIについての論考がメインで これはまとめて読むべき作品なのでしょう『フォート・マクシー分館にて』 ジャック・マクデヴィット 著 浅倉久志 訳 The Fort Moxie Branch (1988) 片田舎の空き家に突然出現した図書館 そこに収蔵されていたのは・・・ 評価されることなく忘れられた作品へのオマージュが愛おしい
Jun 21, 2023
コメント(0)
未読在庫S-Fマガジンの終活的読書ですなにしろ25年間書棚を飾っていただけなので データとしては古くさいかもしれませんがSF小説は時代を超越していると思いますので 今でも面白く読めていますこの調子で 残り38冊と『SF JAPAN』3冊 死ぬまでに読まなければ・・・本号の特集は「ロシアSFの現在」最近でこそ 中華SFだの韓国SFだのと盛り上がっていますが昔は欧米SF以外といえば ロシア(ソ連時代のものも)が結構出版されていましたね特集の掲載短編小説は4編『ボナパルト某』(1989) アンドレイ・ストリャロフ 著 大野典宏 訳 遥か未来 人類は<汚物>と呼ばれる未知の生物との戦いの最中にあった そこで 過去の人物と入替る<リプレイ>という技術を使って歴史を改変しようとするが・・・『ミイラ』(1993) アンドレイ・ラザルチューク 著 大山博 訳 ソ連時代 小学生達がクレムリンを訪問するが そこは魔の巣窟と変貌を遂げていた『文化を担うもの』(1989) ヴァチェスラフ・ルィバコーフ 著 富田恵子 訳 未来のロシアでは知性を獲得したネズミとの戦闘が激化していた その戦闘の現場では ネズミは文化の担い手である人間を殺さないという噂が囁かれていた『未調理のフグ』(1994) セルゲイ・ルキヤネンコ 著 森田有紀・大野典宏 訳 日本に統治権を譲り併合されたロシアでは 日本文化に同化しようとするロシア人が そのあまりに大きなギャップに翻弄されていた・・・以上4編 解説を参考に理解できる範囲で書きましたが正直 どれも難解で理解できたとは言えません そもそもソ連からロシアへの激変の状況も理解しているとは思えず また 深遠なロシア文学には手も足も出ない私が気軽に楽しめるなんてありえないのかもしれませんその後 25年以上経過したロシアSFはどうなっているのでしょうか連載小説では山田正紀さんの『星砂、果つる汀に』が第7回バイオスフィアにたどり着いた卓也と美穂は ヘリコプターから銃撃を受けるが彼らの身体に異常が・・・そして 谷甲州さんの『エリコ』が題18回でついに最終回を迎えました連載小説を読みきったのは初めてですが どれだけ記憶できたかは不明で単行本を再読する必要があるかもミステリアス且つエロティックで楽しんできましたが ラストはあっさりでちょっと肩透かしかなそして 目次には読切とありますが神林長平さんの《新・雪風シリーズ》第5話『戦略偵察・フェーズⅠ』<前編>編集後記で今月号より7回連続で・・・とありますが それって連載とどう違うのでしょうか
May 28, 2023
コメント(0)
残念なことに 追悼特集がお二人という 本号お二人ともまだお若くて これからもまだまだご活躍が期待されていたのに残念です津原泰水氏の作品は S-Fマガジンやアンソロジーに掲載されていたものを数編読んだだけですが独特の研ぎ澄まされた世界が織りなす シュールな物語が印象的でしたこれから残された作品を 少しづつ読み進めていきたいと思います特集としては 短編小説が3編『イハイトの爪』 (1996)『Q市風説(斐坂ノート)』 (2004)『斜塔から来た少女』 (2011)ご自身で描かれた未発表のコミックが1編『パピヨン・ブラン』書き下ろしの童話が1編『おなかがいたいアナグマ』 (2021)私ごときが軽々しく感想を述べるなんて恐れおおいですが多才かつ多彩な作品に あらためて嫉妬すら覚えるほどでした鹿野司氏は S-Fマガジン連載の「サはサイエンスのサ」を楽しく読ませていただいていましたそこには 単なる科学情報だけでなく 氏のバランス感覚に基づく鋭い指摘が必ずあっていつも ハッとさせていただきました今回の追悼特集の傑作選も読んで あらためてそう思いましたまだ63歳だったということ 本当に残念です特集以外では 読み切りの海外短編が3編『タイムキーパーのシンフォニー』 (2022) ケン・リュウ 著 古沢嘉通 訳 時間に関するいくつかの物語が述べられ 時間とは結局何なのか 考えさせられました『魔女たる女王になる方法』 '2021) シオドラ・ゴス 著 原島文世 訳 魔女とか魔法とかは苦手のジャンルなのですが グリムの登場で俄然面白く読めました『はじまりの歯』 (2018) エマ・トルジュ 著 田辺千幸 訳 本作も苦手のジャンルかと思いましたが 身体の傷や欠損は再生できる女性達が なぜ出産すると死んでしまうのかという謎に引き込まれてしまいました やっぱり 私には(へ)理屈が必要なのでしょうねその他の評論・コラムでは伴名練氏の『戦後初期日本SF・女性小説家たちの足跡』第7回「革命・ソ連・エゾ共和国・失踪。謎多き闘争の作家―藤本泉」謎多きその生涯が不思議すぎて興味深かったです。
May 18, 2023
コメント(0)
あいもかわらず 積読在庫処分のための読書です本号の特集は「ラリイ・ニーヴン特集」以前『リングワールド』はじめ何冊か読んだはずですが なにぶん遥か昔のことで記憶が・・・掲載の著作目録眺めれば 未読作品も多数何しろ 掲載の短編『死線』が 名作『神の目の小さな塵』の幻の一節ということですがそれを未読という情けなさですから・・・この特集に刺激を受けて 『リングワールド』三部作の再読や 未読の名作を読みたくなったものの新作SF小説も ミステリ小説も 科学書などのノンフィクションも 読みたい本が多すぎる私の読書力と 限りある時間のなかでは はたしてどれだけ読めることでしょうか・・・特集以外の読切り小説は2作品北野勇作 著『虫歯治療』 そのイメージの 急流・濁流に 押し流され 沈没でした菅浩江 著『ラヴ・ソング 博物館惑星 9 』 変わることのない 芸術と AIと 宇宙生物学の みごとな融合による ファンタジックな世界が展開され とても エモーショルでした。連載小説も2作品山田正紀 著『星砂、果つる汀に』<第6回> 謎のウィルス感染症ははどめがかからず 未知の生物とリンクした死体が動き出す変異も・・・谷甲州 著『エリコ』<第17回> 弘田の追撃が迫る中 エリコと愛甲は互いに求め合って・・・次号完結そのほか連載コミック『おまかせ!レスキュー』横山えいじ作が スタート第1回から横山ツナミちゃんと 仲間達が大暴れです
Apr 19, 2023
コメント(0)
相変わらずの 未読S-Fマガジンの断捨離読書が続いておりますさて今号の特集は・・・って 何なの「特報」って?巻末の塩澤編集長さんの編集後記でも なんだか照れてるようなお言葉「UFO編隊、本誌編集部に襲来す!」ですから すべてがジョークなのでしょうかね最近 アメリカ軍と議会あたりで UFOの調査を・・・ なんてニュースが流れて驚きましたがSF界隈でも 一般マスコミでも UFOなんて言葉は とんと見かけなくなりましたね26年前も 状況的には今と変わらなかったのでしょうねしかし SF小説でも映画でも 地球外生命体のお話は 今でも数多く発表されていますから宇宙人による誘拐だとか アメリカ政府が宇宙人の遺体を秘匿しているとかの手垢がついたUFOのイメージから脱却し何段階もグレードアップしただけかもしれませんが特集の小説は3篇『バニー・スタイナーの誘拐』 The Abduction of Bunny Steiner,or a Shameless Life (1992) トーマス・M・ディッシュ 著 浅倉久志 訳 売れてないSF作家にUFO本の執筆依頼が舞い込み 架空の話を執筆したが その本に書かれたUFOに誘拐されたという少女が 現実にマスコミに登場し・・・ 『センス・オブ・ワンダー』 Sens of Wonder (1958) A・バートラム・チャンドラー 著 尾之上俊彦 訳 最近のSFから センスオブワンダーがなくなってしまったと嘆くSF作家が UFOに遭遇するが・・・ 1958年の昔も今も SFの変容を嘆く者が存在しているなんて SFって何でしょね?『フォレストプレインズの流星雨』 The Invasion (1995) ピーター・クラウザー 著 公手成幸 訳 アメリカの田舎町で ある夜流星雨が目撃され 住民達が不思議な経験を・・・ 宇宙人も登場しますが とてもエモーショナルな読後感でした連載小説は 山田正紀 著『星砂、果つる汀に』<第5回> CDCも注目し始めた感染症と 捕獲された謎の生物に関係が存在することが 谷甲州 著『エリコ』<第16回> 首尾よく弘田氏の息子のDNAを手に入れたエリコのまえに 警察を辞めた愛甲があらわれ 日本政府が主導する陰謀があきらかに・・・その他では 来日したグレッグ・ベア氏のインタビューが興味深く未読の作品を読みたくなりました大森望氏の「SFインターセクション」は 奥泉光氏のインタビュー氏の作品は 敷居が高くて未読ですが 文学のなかにあるSFを考えるには 読むしかないかな
Apr 4, 2023
コメント(0)
昨年から SF読書の波が来て 短篇集とかアンソロジーも何冊か読んだせいか短篇SFが 最近の個人的トレンドになっていますそこで最新のSF短篇小説も押さえておかないとと思って最新の「S-Fマガジン」を読もうと 短絡的に決心した次第ですというのも 我が家の在庫の未読「S-Fマガジン」は終活のために読み進めているのですがなにぶん 前世紀発行のものなので 古い短篇小説になってしまっているので・・・ただし さすがに連載小説は全作連載途中ですので読み切り短篇小説と コラム・エッセイだけ読みましたと簡単に書きましたが それだけでも結構なボリュームと情報量で すっかり満腹になりました特集は「AIとの距離感」で 短篇小説が7篇と「SF作家×小説生成AI」で2篇の掲載です 『純粋人間芸術』安野貴博 著 AIによる絵画制作があたりまえになった時代 ただひとり AIの影響を受けていない画家を守るために・・・ 『たべかたがきたない』斧田小夜 著 AIを使った絵画作成競技会に挑む若者達の青春群像・・・てとこかな 『仁義なきママ活bot』竹田人造 著 私のSNSが謎の美女たちからフォローされたり お誘いのURL付のメールがくるけど つまり こういうことなのね 『伝統的無限生成装置』品田遊 著 地球をはなれ新たな居住地の星を目指す世代宇宙船では 伝統的な日本文化を継承するため あのアニメが製作され続けていたが・・・ 『開かれた世界(オープンワールド)から有限宇宙へ』陸秋木差 著 阿井幸作 訳 IT難民かつゲーム未開人の私にはかなり難解なお話でしたが なんだろ この結末は? 『家だけじゃ居場所(ホーム)にならない』L・チャン 著 桐谷知未 訳 あるじが不在の家を守るAIがとった行動とは・・・ 『忘れられた聖櫃ーボットたちの叛乱ー』スザンヌ・パーマー 著 月岡小穂 訳 宇宙船で叛乱を起こしたボットたちと それを収めようとする1台のボットの戦い 本作は以前掲載された作品の続編とのことですが 未読なのはしかたがないけど 本作だけでも面白かったです ボットの「ダイ・ハード」として 『The Human Existence』柴田勝家+AI 著 『凍った心臓』小川哲+AI 著 この2作品は小説生成AIを使用したものとのことですが まだ習作のレベルかなと はたしてどこまで発達するのでしょうか近年 様々な分野でAIが使用され話題になっていますがそれが どこまで人間に近づけるというのでしょうか考えてみれば 「鉄腕アトム」だって「どらえもん」だってAI搭載のロボットでしょうから日本人にとっては 忌避感がないのかもしれません 欧米人に比較してその他に読み切り短篇が一作 『非可能犯罪捜査課 ゴッドハンド』草上仁 著 メスなしで心臓手術を行う医師の犯罪を裁く裁判 なんか懐かしいような超能力SF 最近はみかけなくなりましたね書評・エッセイ・コラムでは マキャモン好きでした・・・くらいであとはなかなか高度な内容が多くて 情報を処理しきれない感じでした
Mar 22, 2023
コメント(0)
断捨離というか終活というか とにかく読まれないまま本棚で埃をかぶっている28年前のS-Fマガジン 読み進めておりますいろいろ時代遅れの情報もありますが幸いなことにSFならではの古さは感じない読書ではあります本号の特集は「ロバート・A・ハインライン特集」『宇宙の戦士』を原作とする 米映画『スターシップトゥルーパーズ』公開にあわせた特集ですSFを読み始めたころ やっぱり ハインライン アシモフ クラークは全巻読まねばなるまいと思ったものですがハインライン→アシモフ→クラークの順に挫折したのも 今となっては懐かしい思い出です特集の小説は 1949年発表の「月面異常なし」 この時が初訳のジュブナイル作品ですボーイスカウトの訓練で(!)月面を探索していた少年二人がアクシデントに見舞われ必死のサバイバルを行うという 『火星の人』の少年版物語二人の友情を絡めた いいお話ではありましたその他 代表作再読エッセイや 《未来史》年表や著作目録など 充実の特集でした特集以外の読切り作品は神林長平氏の《新・雪風シリーズ》「戦闘意識」今読むと 雪風と深井零大尉とジャムの意識というものが 深く掘り下げられ興味深いです《雪風シリーズ》は今も第5部が連載中という 神林氏のライフワークになっていますからちゃんと読まなければならないなと あらためて感じました草上仁氏は マダム・フィグスの宇宙お料理教室②「ネバネバタケの残酷焼き」あきれるほどのばかばかしさに脱帽でしたそして スティーヴン・バクスター氏は「コロンビヤード」ヴェルヌの名作『月世界へ行く』の続編(?)あの 月へ行ったのと同様な砲弾で火星を目指した物語そんな無茶なというお話を いたって真面目に書いておられます 訳は中村融氏です連載は山田正紀氏『星砂、果つる汀に』第4回物語は一転 パンでミックの勃発か谷甲州氏『エリコ』第15回月面の研究都市に潜入したエリコが 寺尾医師の息子を男にしちゃいます かなり××イですそして 知らなかった松谷健二氏の追悼特集ローダンシリーズの訳者としか存じ上げていませんでしたが 博識の先生だったのですねまだ69歳だったとのこと あまりにも早すぎるご逝去が惜しまれます
Mar 9, 2023
コメント(0)
あいかわらず 死ぬまでに読まんといけん 本棚の飾りになってたS-Fマガジンということですそれにしても1998年4月号って 25年つまり4半世紀昔の雑誌に価値があるのか?ところがどっこい これが面白い SFだからかな本号の特集は「われ思う、されど脳ありー脳SF特集」短編小説が4作品と評論・エッセイが4本短編小説『エキストラ』 グレッグ・イーガン著/山岸真訳 富裕層が移植臓器のために 「エキストラ」と呼ばれる自分のクローンを作っている未来 人権問題をクリアするために クローンの脳は生物として生きる機能だけを残されていた 主人公は若い肉体に自分の脳の意識や人格・記憶を司る部分を移植するが・・・ さすがイーガンです 意表をつくアイデアに驚かされました『想い出に祈りを』 ナンシー・クレス著/宮内もと子約 ファンタジックな展開ですが 記憶をめぐる未来社会の家族の物語『ウォールデン・スリー』 マイクル・スワンウィック著/小川隆訳 地球を取り巻く軌道コロニーの住人達の意識はどのように操られているのか 難解でした『目覚めの前に』 キム・スタンリー・ロビンスン著/岡田靖史訳 全人類が 夢と現実の区別をつけられなくなった悪夢のような社会で その問題を解決しようと悪戦苦闘する主人公の運命は・・・評論では スティーブ・ケルナー氏の「SFと心理学のアナロジー」脳や意識・知性を扱った 名作SF小説にするどい突込みと解説がなされて 面白かったです特集外では 大森望氏の連載「SFインターセクション」が鈴木光司氏がゲストで「リング」「らせん」「ループ」の三部作が SFではないと言い張る鈴木氏に大森氏が それがいかにSFであるか突っ込んで 面白かった三部作は昔読みましたが また読みたくなってしまった 困ったものです連載小説は2作品山田正紀著 『星砂、果つる汀に』 第3回 記憶力に問題がある私は連載小説が苦手ですが 調べたら本作は単行本化されてないという非常事態が発覚 頑張って読まねば谷甲州著 『エリコ』 第14回 おっと 今回も月面の研究都市まで来て セクシー全開のエリコさん はやく続きを読まねばそして巻末には「追悼:星新一」1997年12月30日に逝去された星新一氏の 追悼特集牧眞司氏の評論と 親交の深かった14名の追悼文「さようなら、星さん」そして「全単行本リスト」は 星敬氏新井素子氏の追悼文にあるように 私も1970年代の中学生時代に星氏のショート・ショートの洗礼を受けましたがその後はそれほど良い読者ではなかったかもしれませんしかし 日本SFにおける 星氏の足跡を振り返るとその偉大さにあらためて気付かされます合掌
Jan 26, 2023
コメント(0)
あいかわらず 古い「S-Fマガジン」読んでますといっても再読ではなく 買ったまま読まずに書棚にならべてあったものの初読みですなので以下の内容は23年前の黴のはえたような 今さらなんの意味があるのというものですのでただただ 個人的な記録にすぎません あしからず特集は 例年1月号で掲載される「ヒューゴー/ネビュラ賞特集」です掲載作品は以下の2作品。例年3~4作品だったような気がしますから 少ないですねヒューゴー賞ノヴェレット部門受賞作『自転車修理人』 ブルース・スターリング 著 小川隆 訳 情報化が進んでいるが 同時に混乱と荒廃が進んでいる未来社会の1シーン 面白く読んだものの 個人的にはSFの面白さとは違うような気がしますヒューゴー賞ショートストーリー部門候補策『消えた』 ジョン・クロウリー 著 大森望 訳 ファーストコンタクトなのか 地球侵略のさきがけなのか 突如月軌道上に現れたマザーシップが 地球にばら撒いた謎の存在「エルマー」 各家庭を訪問し なにかお手伝いしましょうかと 善意の押し売りを・・・ 面白いけど 謎が解き明かされるわけでもなく これは謎のファンタシーなのか?読切作品は1篇『ナンブラーの不死身揚げ』 草上仁 著 サブタイトル(?)が「マダム・フィグスの宇宙お料理教室①」とあるので シリーズ化されるのかな? とにかく宇宙生物を料理して食べちゃおうという ハチャメチャ・コメディ・SF 美味しそうではありません連載作品は2作『星砂、果つる汀に』第2回 山田正紀 著 陰謀渦巻くスパイアクション系の話かと思っていたら いきなり火星探査機が火星生命体と接触なんてことが始まって 壮大な物語になりそうな予感『エリコ』第12回 谷甲州 著 毎回 エリコのセクシーさにドギマギしますが 今回も弘田夫人を凋落って・・・ この作品 まだ連載中なのに本号で発表された「SFマガジン読者賞」に選ばれましたが 結論もオチもわかってないのに評価するのは どうなのよそしてもう一つの特集が 『SFが読みたい!』創刊前の定番特集「1997年SF回顧」で恒例のベストSFの発表は海外部門1位 『火星夜想曲』 イアン・マクドナルド 著国内部門1位 『ライトジーンの遺産』 神林長平 著個人的には このころ海外SF離れでベスト10 1冊も読んでない国内SFは かろうじて半分読んでいる・・・と思う なにしろ内容の記憶が出てこないものでその他のコラムでは 大森望氏の「SFインターセクション」のゲストが恩田陸さんで作品成立の背景などなど 面白いインタビューでした
Nov 15, 2022
コメント(0)
24年前に購入したS-Fマガジン「創刊500号記念特大号PARTⅡ日本SF篇」圧巻の648ページ やっと読了しましたこのころ購入していた「S-Fマガジン」は 忙しさに追われて コラムを流し読みする程度でいつかちゃんと読むぞと心に秘めて たとえ引越ししても書棚に整列させていましたが短編14作品と連載長編2作品と充実の特集コラムを 遂についに読み終わったのですそして感じたことは 四半世紀も昔の作品ですがけっして古臭さを感じないのはSFのすごいところですね特に今回は全掲載作品を読んだので今まで「読まず嫌い」だった作家さんの作品も読むことでいろいろ発見があり その作家さんの作品を読んで来なかったことを悔やんだり反省したりしました特に高野史緒さんなんだかややこしそうな歴史小説かなと思って 一冊も読んでなかったのですが今回掲載の『ラー』を読んでぶっ飛びました すごい本格ハードSFだったからです読み初めは やっぱり古代エジプトの歴史小説なのかなと 期待できなかったのですがいきなり未来からの旅行者が登場して あれよあれよというまに壮大な物語に高野史緒さん ごめんなさい あなたのSFマインドを知らなくて・・・同じことが 森岡浩之さんにも・・・『星海の紋章』を 子供が主人公のラノベのスペオペでしょと切り捨てて敬遠したので今回掲載の『夜明けのテロリスト』を読んで 深く深く反省いたしましたこの号が発売された当時は 「クズSF」論争が勃発した頃で「SF冬の時代」などと呼ばれていた時代ですが掲載作品は 今では大ベテランになっている皆さんの秀作ばかりで 読み応えがあり本当に楽しい読書時間をいただきましたそして「’98オールタイム・ベストSF」の発表も変わりばえしないよねなどと嘯きながら 内心では未読作品の存在に心穏やかでなく既読の作品も 生きてるうちにもう一度読みたいと思いつつ次々と発表される 傑作の呼び声高い新刊との兼ね合いに読書力の貧弱な私の悩みはつきません【読切掲載作品】 『戦闘復帰《新・雪風シリーズ》』 神林長平 「雪風」シリーズのよい読者でなかったことを反省・・・ 『サイコサウンドマシン』 大原まり子 『暁の砦』 光瀬龍 やはり光瀬龍さんの未来叙事詩はスキ 『江里の”時”の時』 梶尾真治 時間SFの悲恋ものはよくありますが このひとひねりには脱帽です 『阿羅壬の鏡』 田中芳樹 田中芳樹さんも反省したおひとりでした 『鳥人口伝』 椎名誠 『夜舞』 野阿梓 『影絵少女』 高千穂遥 『五百光年』 草上仁 『きらきら星 博物館惑星Ⅶ』 管浩江 『海を見る人』 小林泰三 あまりに早く この才能が失われたことを あらためて惜しみます 『ラー』 高野史緒 今号のベストではないでしょうか 『探偵/物語』 牧野修 『夜明けのテロリスト』 森岡浩之【連載長編】 『星砂、果つる汀に』第1回 山田正紀 『エリコ』第12回 谷甲州
Sep 27, 2022
コメント(0)
最近はブログにあげていなかったけど 我家の書棚で埃をかぶっている昔の「S-Fマガジン」を 当時はきっちり読んでいなかったので 少しづつ再読していますこの号は「創刊500号記念特大号PART・Ⅰ 海外SF篇」ということでなんと総ページ数616ページもあって かなりの重量でした内容としては まず 記念号恒例の「'98オールタイム・ベストSF〈海外部門〉」の結果発表長編1位の「夏への扉」以下 常連さんが席を占める中ダン・シモンズ『ハイペリオン』が6位に登場したのが 当時としては新しい動きでしたそしてなにより ビッグネームの作品ばかり集めた 20篇の短編がすばらしかったです「オールスター作家競作」10作品『世界をわが手に』 フィリップ・K・ディック『芝生でないている女』 レイ・ブラッドベリ『三人、約束の星へ』 コードウェイナー・スミス『今日もまた満ちたりた日を』 ジョン・ヴァーリー『ケリー・ダールを探して』 ダン・シモンズ『水晶球』 デイビッド・ブリン『パイン・キャッスル』 R・A・ラファティ『迷信』 ポール・アンダースン『モーゼ合戦』 ジョージ・R・R・マーティン『穴の中の穴』 テリー・ビッスン以上 さすがオールスターだけあって すべてが傑作でしたなかでも、シモンズの『ケリー・ダールを探して』は異常な設定ながら再生の物語りとして感動的でしたブリンの『水晶球』は『三体』シリーズ読了直後なので 面白かったです「名作SF再録」5作品『フェッセンデンの宇宙』 エドモンド・ハミルトン『バケツ一杯の空気』 フリッツ・ライバー『孤独の円盤』 シオドア・スタージョン『ドリフトグラス』 サミュエル・R・ディレイニー『去りにし日々の光』 ボブ・ショウ再録とはいえども サンリオ文庫もあって 日本での出版も古いので『フェッセンデンの宇宙』以外は初見でしたそれにしても どの作品もロマンチックで 科学小説としては古いかもしれませんが物語としては素敵で 感動的でしたそして最後は「90年代SF傑作選」5作当時は最新作でしたが もう20年もたって作者はその後傑作を量産された ベテランの方ばかりですね『時空の穴の奥底へ』 スティーブン・バクスター&エリック・ブラウン『配られたカード』 ロバート・J・ソウヤー『フィローティング・ドッグス』 イアン・マクドナルド『羊飼い衛星』 アレン・スティール『ワンの絨毯』 グレッグ・イーガンやはり 前掲の作品とは新時代を感じさせる傑作揃いでしたといっても 20年以上たってますから もう古典に片足かかってるかもねなかでも イーガンの『ワンの絨毯』は 短編ながら進化系『ソラリス』という感じで 面白かったです巻末には「SFマガジン年表PART・Ⅰ<創刊号~200号>ざっと眺めただけでも 懐かしさあふれました以上 各種コラムも充実で アンソロジーとしても秀逸な一冊でしたそして 次号も「創刊500号記念特大号PART・Ⅱ日本SF篇」で今号よりもさらにボリュームアップのようで 楽しみです
Aug 1, 2022
コメント(0)
特集は「われら、かく騙りき パロディSF特集」一見軽そうに見えましたがこいつはなかなかの難敵でしたたぶんひねりにひねってあるものだから私の理解できる範疇を軽く超えてしまって面白さがわからないのが正直なところですこの分野は相性が悪いと思ってあきらめましたとにかく掲載作品を書き留めておきます『ホームズ、最後の事件ふたたび』 You See But You Do Not Observe ロバート・J・ソウヤー 著 内田昌之 役 宇宙に生命が満ち溢れているなら宇宙人はどこにいるのか? そんなフェルミのパラドックスを解明するために シャーロック・ホームズとワトスンが2096年の世界につれてこられた そんな馬鹿げた話ですが・・・ ホームズが出した答えには思わずニヤリ・・でした『失われた事象の地平線(E・E・ス*スの影響のもとに)』 Lost Event Horizon デイヴィッド・ラングフォード 著 浅倉久志 訳 宇宙パトロールのマルセンが宇宙を救う! というパロディにして稀有壮大なバカ話・・にも程がある『非Qの磈磊』 The Spawn of Non-Q』 A・E・ヴ*ン・ヴ*クト(デイヴィッド・ラングフォード)著 浅倉久志 訳 SFファンを高言しながら元本を読んでいないんだから どうしようもありませんね・・ プロローグの 「そこから半マイルの先で、全長百光年の異星の宇宙船が観測作業を完了して発進した」 の一文がまったくイメージできません 以上が特集の小説ですが小説以外でもターザンのインタヴューとかマーフィーの法則を相対論から照明する論文などはまだましなんですがM・M・モームロスって何者なのか・・・・その他の短編小説は次の3作『春の訪れ』 佐藤哲也 著 おかしな夫婦と怪獣と自衛隊 最後に春が来てよかったね・・・・という物語『ダイエットの方程式』 草上 仁 著 超セレブになった幼なじみの男に再会する前に 彼女は宇宙船に乗込んだ 究極のダイエットのために・・・ オチが草上さんですね《太陽系オデッセイ》第9回「天王星」『おお、ミランダ』Oh,Miranda! チャールズ・ペレグリーノ&ジョージ・ゼブロウスキー 著 中村 融 訳 天王星の衛星ミランダの深さ16キロの渓谷へのダイビングに挑む男 壮大な物語かとおもいきや ダメ男のしょぼい人生のものがたりでした
Mar 7, 2018
コメント(0)
本誌は未読蔵書の整理(処分)のために読みましたが22年前の出版のもので野田昌宏氏を含めて今は他界された方々の作品もあり月日の流れの速さに感慨深いものがあります特集は「戦争SF特集」収録作品は下記の4作品です<近未来戦争>『戦争記念碑』 The War Memorial アレン・スチール 著 山岸真 訳近未来の月面での戦争に参加した一兵士のコンバット・スーツが故障して・・人類はいつまでも戦争というものを捨てることができないのでしょうか<核の冬>『フェルミと冬』 Fermi and Frost フレデリック・ポール 著 伊藤典夫 訳全面核戦争後の静かに終末を迎えようとする世界・・たとえ反核団体がノーベル賞を受賞しても一度手にした核兵器を手放そうとしない者達も存在する世界そこにフクシマ以降新たな意味の核の冬も追加され核物質の利用法を手にした人類は聡明なのかアホなのか・・・<ヴェトナム戦争>『死者登録』 Grves ジョー・ホールドマン 著 伊藤典夫 訳1975年に終結したヴェトナム戦争はヴェトナムの人々だけでなく遥か故郷から悲惨な戦場に投げ出されたアメリカ人兵士の心にも大きな傷跡を残しアメリカ社会に深刻な影を落としたのですそれは多くの映画や小説で繰り返し描かれ告発されましたが結局同じ伝はイラク戦争でも繰り返されこの美しい地球で唯一の欠陥品が人類であることを明らかにしています誉田哲也さんの『硝子の太陽 Rouge』(2016)でもいまは老いたヴェトナム帰還兵の心の闇が描かれていますね<太平洋戦争>『ラッキー・ストライク』 THe Lucky strike キム・スタンリー・ロビンスン 著 後藤康彦 訳 ヒロシマへの原爆投下は本当に必要だったのか・・ アメリカ兵の犠牲を増やさないため戦争の早期終結を目指したという アメリカの公式見解がアメリカ人の共通認識だと思っていましたので「もし・・・だったら」という歴史SFとはいえ「もしルーズヴェルトが生きていたら・・・」こんな考えがアメリカ人作家のなかからでてくるとは意外でかなり考えさせられた作品でしたほかに読みきり小説が2篇『ブレイン・キッズ』 野阿 梓 著 女テロリストと少年の成長物語・・ 野阿梓さんの作品が高評価を受けていることは知っていますが 私にはウェヴ上のゲーム世界の出来事のようで リアリティや人間性を感じることができなくて 氏の作品の良い読者にはなれないようです■海外SF連載企画■太陽系オデッセイ 第8回『永き夜の終わりに』 Sunrise on Pluto ロバート・シルヴァーバーグ 著 岡田靖史 訳 地球外生命を考えるSFは 結局人類とは何者なのかを考察するSFですよね
Jan 21, 2018
コメント(0)
『S-Fマガジン』2007年7月号読了しました本号の特集はいつのまにか恒例になっていた『「ベストSF2006」上位作家競作』です特集の作品は日本人作家の4作と海外作家の2作と豪華なのですが肝心の国内篇1位の飛浩隆さんの作品が「蜜柑『空の園丁(仮)』第二部冒頭より」では・・長編小説はまとまって本になってからしか読めない私にはどうしようもなく手出しできないもどかしさファンの方にはこれだけでも嬉しいのかもしれませんがその他の作品は『迷える巡礼』The Lost Pilgrim ジーン・ウルフ 著/柳下毅一郎 訳本作は正直私の手には余りましたジーン・ウルフのいい読者ではない上に西洋史の教養が決定的に不足しているからでしょうね『七パーセントのテンムー』 山本弘 著以前『年刊日本SF傑作選 虚構機関』で読了済みの作品ですが「頭脳」と「精神」・「記憶」・「意識」・「心」あるいは「魂」との関係は今もっとも興味深いテーマですねすなわち「私」って誰(何)ということです『千歳の坂も』 小川一水 著STAP細胞に関する報道でも夢の不老不死などという言葉が不用意に使用されていましたが技術的に可能かどうかは別にしてもし人類が肉体的な不老不死を手に入れたら自分はどうするだろうか・・生と死を考えるいい作品ですね『ローグ・ファーム』Rogue Farm チャールズ・ストロス 著/金子浩 訳本作も別の角度からアプローチした不老不死を受け入れるかどうかの決断の物語ですね人は元気で長生きしたいと語るが個人が生き続けることに意味があるのだろうかまして姿を変えてまでいき続けることにも価値があるのだろうかそういう意味で死について考えなければならないのでしょう『大使の孤独』 林譲治 著本作も『年刊日本SF傑作選 虚構機関』で読了済みですその際このブログにも書きましたが林譲治さんは現在の日本で一番「ファーストコンタクト」について考えているSF作家なのではないでしょうかしかし「AADD」シリーズは発表の場が限られているためかなかなか新刊が出ないのが残念ですその他本号では椎名誠さんの《ニュートラルコーナー》が復活しかし椎名さんが本文で書いているS-FマガジンでのSFの連載も読みたかったですね長編連載分は夢枕獏さん『小角の城』第10回田中啓文さん『罪火大戦ジャン・ゴーレ』第27回谷甲州さん『天川の辻 霊峰の門第九話』「S-Fマガジン」バックナンバーをたどる旅はまだまだ続きますよ
May 3, 2014
コメント(0)
『SFマガジン』2012年7月号読了しました昨日のブログで“to be continue”とか書いたけどドラマのお話は明日にまわしますこのブログでは久しぶりの『SFマガジン』の感想文ですが読みたい本が多すぎて(観たいドラマと同じです)『SFマガジン』を1ヶ月に1冊以上のペースで読めていないのでこのペースでいけば死ぬまでに読みきれないほどの『SFマガジン』が残る計算です死ぬときにもっと読みたかったと悔いが残るかもしれませんがまあ今のところは読むものがなくなるより幸せだと思うことにしますで 本号の特集は「スチームパンク・レボリューション」正直「スチームパンク」自体も判っていないのに「レボリューション」されて「ネオ・スティームパンク」になっているのだったらますます判らなくなるだけかもしれませんしかし幸いというか珍しくというか特集の読み切り短篇小説が6作も掲載されているのでとりあえず勉強させていただきましょう『マッド・サイエンティストの娘たち』 The Mad Scientists' Daughter シオドラ・ゴス 著/鈴木潤 訳フランケンシュタイン博士の娘?ドクター・モローの娘?結局のところスチームパンクを楽しもうと思ったらヴィクトリア時代の英国をはじめとする西欧の歴史・文化・文学の素養が必要なのですねそこのところが私のような無教養な人間にはかなり高いハードルなのです『リラクタンス―寄せ集めの町』Reluctance シェリー・プリースト 著/市田泉 訳スチームパンクを楽しむためのもうひとつのキーワードがゾンビですねこれもホラー好きではない私には高いハードルかな『銀色の雲』 Silver Linings ティム・プラット 著/小川隆 訳スチームパンクを楽しむ第三のキーワードが飛行船かもしれません現実のテクノロジーとは異なる発展の道を進んだ世界屁理窟親父としては必然性を感じられないのが玉に瑕なのです『ぜんまい仕掛けの妖精たち』 Clocwork Fairies キャット・ランボー 著/高里ひろ 訳さらなるキーワードがぜんまい仕掛けノスタルジックな響きを感じるアイテムですがやっぱり合理性を感じられない屁理窟親父なのであります『ストーカー・メモランダム』 The Stoker Memorandum ラヴィ・ティドハー 著/小川隆 訳結局スチームパンクはゴシック小説のリバイバルなのでしょうか現代では絶滅の危機に瀕している古き良き時代のロマンスへの憧憬残念ながら屁理窟親父がには持ち合わせがないのかもしれません『奇跡の時代、驚異の時代』 Age of Miracles,Age of Wonders アリエット・ドボダール 著/小川隆 訳ネオ・スチームパンクはヴィクトリア時代の英国を飛び出し世界に拡散していくということでしょうかそれはファンタジーや神話伝承に接近することなのでしょうかそこは私にとって近寄りがたい領域かもしれません以上のことから言えることはネオ・スチームパンクどころかスチームパンク全体が私には不向きだということでしょうか『屍者の帝国』を読んだ時に(ブログの休業中でしたので感想は読書メーターに書きました)面白かったけどなんだかスッキリしないものが心に残ったのはこのあたりの問題だったのでしょうねそれに対して本号に掲載されたもうひとつの短篇『河を下る旅』 On the River ロバート・F・ヤング 著/伊藤典夫 訳はなんと素直に楽しめたことでしょうなぜ今頃訳載?と考えてしまう1965年発表の古いものですがヤングらしい情緒的な作品でけっしてSが強調されたSFではありませんがやはり作家の筆力の差もあるのでしょうねそれにしても本号の作家論もけっして新しいものではないですね《現代SF作家論シリーズ》は梶尾真治論「時間変容と空間固着―『黄泉がえり』小論」 長山靖生 著『黄泉がえり』の発表は1999年「『惑星ソラリス』理解のために[二]―タルコフスキーの聖家族」 忍澤勉 著映画『惑星ソラリス』は1972年の製作エンタテイメントのジャンルとしてはSFというかSFファンは古い作品にこだわりを持っていますねそれだけに後発のファンが共通認識を持つためには膨大な数の作品を読む必要があって大変なんですじっさい
Apr 4, 2014
コメント(0)
『SFマガジン』2007年1月号読了しました本号の特集は「ドラッグSF特集」という過激なタイトルいまさらながら思うのですが「SFマガジン」って尖がっている雑誌ですよね安易なエンタメ路線に背を向けてひとり孤高の道を行くというか根本的にハイブロウで難しいテーマで頭脳を働かせることがすきというか単なるSF小僧にすぎない老人には荷が重過ぎて手に負えないことがあります本号もまさにそんな感じでしたこの特集を面白く読んだ方がいるのなら本気で尊敬すると思いますということで特集の短篇の感想から・・『ライトと受難者』Light and Sufferer ジョナサン・レサム 著/浅倉久志 訳一見ドラッグにまつわるノワール小説だけど「受難者」とよばれる異星人(?)がなにげなく絡んできますだけどその正体も目的も不明で中毒者のみている幻覚なのでしょうか・・『二人称現在形』Second Person, Present Tence ダリル・グレゴリイ 著/嶋田洋一 訳SFにかかわらず人間の意識とは何かという問題はいつまでも興味が尽きませんがそこにドラッグが絡むと話がややこしくなるだけでSF的な魅力が乏しいような気がするのですが『デイドリーム・ネーション』Daydream Nation ポール・ディ・フィリポ 著/小川隆 訳ん・・・これってドラッグなの?どちらかというと合コンや婚活パーティーに必死になったりスマホで恋愛ゲームに熱中している女子を揶揄しているような気がしますがどうなんでしょう『熱力学第一法則』The First Law of Thermodynamics ジェイムズ・パトリック・ケリー 著/小川隆 訳1970年代にはまだ幼すぎてその時代の意味も熱気も理解しないまま女の子ばかり追いかけていたっけそんな私だからなのかこの小説は難しすぎるというよりも理解するための共通基盤を持っていないのかもしれませんそのほか連載は朝松健さんの『魔京』が第4回田中啓文さんの『罪火大戦ジャン・ゴーレ』は第24回谷甲州さんの『霊峰の門』は第八話「異聞天誅組」大森望さんのエッセイ『大森望のSF観光局』が新連載大森望さんも一見チャライがやっぱりかなりのハイブロウですよねやっぱりみんな賢いなぁ賢くない者のためのSFはありませんか
May 3, 2013
コメント(0)
『SFマガジン』2012年4月号読了しました本号の特集は『「ベストSF2011」上位作家競作』芥川章受賞第一作になった円城塔さんはじめそうそうたるメンバーが揃い読み応えのある作品が揃いましたもっとも「面白い」とともに「難解な」という意味ですが「ベストSF2011」のランキングを眺めてみるとみなさんが難解な物語を面白いと評価していますねこのランキングを選んだ本読みの方々に比べて自分の読書力の無さというか頭の出来が違うということを思い知らされた気がしますしかもプロの方々だけではなく『SFマガジン読者が選ぶ「ベストSF2011」』みても同じこといやぁSFマガジンの読者もホンと優秀なんですねと落ち込みながらも自分なりの感想書きますまず特集の6作品から『Four Seasons 3.25』円城塔 著民意に適う事ならどんなことでも実現してもらえる街で時間を逆行しようとした男の計画は・・・・・・やっぱり難しい故事にいう「読書百遍義自ずから見る」ではないがとりあえず円城塔作品を読み続けていくしかないでしょうね『対称』Beforeグレッグ・イーガン 著/山岸真 訳解らないという意味ではイーガンもひけをとりません本作も地球軌道上の軌道モノポール加速器施設で発生した不可解な事故の調査を描くものですが登場人物たちが議論する四等価次元空間などの宇宙物理のテーマにはあっというまに煙にまかれてしまいますしかし円城塔さんの作品とはうまく言い表せないけれど肌触りが違いますそこがコアなハードSFとそうでない文学との境界線なのでしょうか『きみに読む物語』瀬名秀明 著ニコラス・スパークスの小説を原作とする映画の邦題と同じタイトルの本作で瀬名秀明さんは自らの小説観を表明されているのでしょうね「本を読んで感動するとはどういうことか」人類が物語を書き始めて以来の永遠のテーマへの挑戦だと思いますがなんとなく著者の迷いや苛立ちを感じた気がします考え過ぎでしょうか『懸崖の好いひと』三島浩司 著『シオンシステム』と『ダイナミックフィギュア』は読まなければと思いつつまだ三島浩司さんの作品を読んでいないのでこんな作品を書かれるのかという驚きを感じましたあえてSFというものを意識せず盆栽の師匠のふたりの娘さんの間で揺れ動く主人公の心をはらはらしながら追っていましたきっと近い将来半村良さんのようなガチガチのSFだけどしっとりとした大人の人情話だというような作品を書いていただけるのではないでしょうか『蛩鬼乱舞』The Howling Boundersジャック・ヴァンス 著/酒井昭伸 訳ある惑星の農地を購入したマグナス・リドルフそれは詐欺すれすれの物件だったのですが機知にとんだリドルフは・・・という洒落たお話雑誌発表は1949年ということで古き良き時代のサイエンス・フィクションですなぁ特集のもう一作はパオロ・バチカルビの『錬金術師』こちらは前後編分載ということで感想は次回特集以外の作品としては前号からの続きで『女王の窓辺にて赤き花を摘みし乙女<後編>』The Lady Who Plucked Red Flowers beneath the Queen's Windowレイチェル・スワースキー 著/柿沼瑛子 訳前回の感想でも書きましたがこれは魔術師の物語で間違いなくファンタジーのはずなんですが読み心地はシンギュラリティ語の世界を描いたSFのようでした結局科学技術が私たちの想像を超えて発達した遠未来の物語はファンタジーと区別がつかなくなってしまうのでしょうねファンタジーは苦手だったけどこの作品は面白く読めたので物語の面白さについて少し意識が変化してきたのかもしれません本号の連載小説は山本弘さんの『輝きの七日間』の第12回だけですね小説以外では評論「是空の作家・光瀬龍」で光瀬龍さんの純愛に感動しましたこれはSFとは無関係ですけどそれから《現代SF作家論シリーズ》は最相葉月さんの小松左京論「地球の上に朝が来る―『小松左京の大震災'95』を読み直す」ですがこちらもSF作品ではなくノンフィクションの評論こちらも未読の作品なのですぐに読みたくなりました地震活動期に入ったと言われるこの国に住むという事を真剣に考えなければいけない時だと思います
Apr 15, 2013
コメント(0)
『SFマガジン』2006年12月号読了しました本号の特集は『秋のファンタジー特集』ファンタジーが苦手の私でしたが今回掲載の短篇3篇は思いのほか楽しめてしまいました最近のSFでは「サイエンス」が進みすぎてしまい(?)本当に理解して納得することが難しくなるとともに何でもOKの設定で舞台も遥かな遠未来であったり宇宙の果ての名前も知らない銀河であったりするので現実感が乏しくなってきたような気がしますし逆に歳をとってみて自分の生きているうちに科学がそれほど進歩しそうにない事も感じて銀河間どころか恒星間の有人飛行もタイムマシンもすべて空想するだけなのですSFを読み始めた中学生の頃はそれら全てがすぐにでも実現するような気がしていたのですけどね結局自分にとってSFはいつのまにか「リアル」を失っていたのかもしれませんそしてすべてが空想ならばSFはすべてファンタジーに内包されていることになり今回の特集のような上質のファンタジーは違和感無く読めたのかもしれませんただし特集記事のような「大河ファンタジー」には腰が引けます読書の分野をこれ以上増やす時間的余裕がないからです今号で紹介されている『マルドゥック・ヴェロシティ』や《ゴールデン・エイジ》3部作もまだ読んでいない状況ですから読みたい本ばかりが増えてしまってそのうちどれだけ読めるのでしょうかね・・ということで読切小説の感想です『地下室の魔法』Basement Magicエレン・クレイギス 著/井上知 訳継母のいじめに苦しんでいた少女を新しい家政婦がささやかな魔法の力で救うというお話ですが派手な魔法合戦ではなく少女の繊細な心情をみずみすしく描いていて素敵でした『イーリン・オク伝』The Annals of Eelin-Okジェフリイ・フォード 著/中野善夫 訳砂浜に築かれた砂の城に住むという妖精をめぐるこれまた素敵なストーリー小品ながら人生の意味を思う読書になりました『使い魔』Familiarチャイナ・ミエヴィル 著/日暮雅通 訳チャイナ・ミエヴィルの名前におどろどろしいダーク・ファンタジーを想像したのですがグロテスクな使い魔の姿もなぜかユーモラス楽しめました次の短篇は「浅倉久志セレクション」の一作です『一ドルで得られるもの』What You Get for Your Dollarブライアン・W・オールディス 著/浅倉久志 訳英国で密かに建造されていたプロバビリティ・マシンそれは蓋然世界へ旅するマシンです蓋然世界の定義ははっきり書かれていませんがありえた歴史を辿った平行世界ということでしょうね解説によると純粋な小説というよりオールディスの宇宙開発より地上の開発をという主張を述べるエッセイに近いものだそうですが思考実験として興味深くできれば長編で読みたかったです連載作品は夢枕獏さんの『小角の城』が第8回田中啓文さんの『罪火大戦ジャン・ゴーレ』が第23回山田正紀さんの『イリュミナシオン ILLUMINATIONS 君よ、非情の河を下れ』が第8回その他冲方丁さんの『マルドゥック・ヴェロシティ』の冒頭50枚掲載は出版にあわせた予告編なので今回はパスということでやっと2006年付けのSFマガジン完読とにかくバックナンバーに追いつかない状況ですが焦るのは止めようとおもいます死ぬまで読むものに困らないと考えると幸せな状況ですからね
Apr 2, 2013
コメント(0)
小説現代2013年2月号の「今日まで、そして明日 SF新時代へ」という特集だけ読了しましたこの特集は小説現代&日本SF作家クラブ創刊・創立50周年を記念するもので小説現代はともかく日本SF作家クラブ50周年では今年各出版社で様々な企画が立ち上げられてSF出版シーンはにぎやかになりそうですねで今回の特集は150枚の中篇が3編一挙掲載でしかも著者が神林長平さん・瀬名秀明さん・中里友香さんというSFマガジンの特集でもなかなかそろわないようなコアで飛び抜けている面子でビックリ内容ももちろんの内容で小説現代の読者さんにダイジョウブなのでしょうかかつて「浸透と拡散の時代」に中間小説誌にも盛んにSFが掲載されましたがこれほど尖がった作品ではなかったとおもうのですが・・とにかく小特集ですがすごかったです『あなたの息子じゃない』神林長平近未来の日本ネット社会はますます進化しネット内に自らの分身であるネットアバターをおくようになっていて公務員である主人公の仕事は本人が死亡しているのに残されているネットアバターを探し出し消去するというものですしかしこの社会では各家庭に携帯型対空ミサイルや小型原子炉が配備されているなにか歪な状況がうまれているのですもちろん神林長平さんらしく物語は数々の不安を纏いながら私たちの人格を問ういつもながらのハードなものとなっていきます読み口はちょっと優しいけど扱うテーマはいつもどおりハードでしびれました『絆』瀬名秀明中間小説誌だからといって情け容赦のない瀬名秀明ワールド全開の作品です皆既日食と結合双生児をモチーフに・・・・と書いてきましたがわたしにはsynopsisを纏めることはできそうにありませんやはり瀬名秀明さんとは何段階もレベルが異なっているのを認めざるをえないです『みがかヌかがみ』中里友香中里友香さんは日本SF新人賞出身でありながらアガサミステリー章も受賞してらっしゃるのですねどうもコアなSF作家さんではないようですが回文になったタイトルが象徴しているような不可思議なものがたり・・・味わいたっぷりなんですがこれが「SF新時代」の特集のとりを飾る作品といわれるとやっぱり抵抗感がありますねSFは何処へ向かっているのかそして老SF小僧はついていけるのでしょうか・・同時掲載の特集「時代小説の本領」も気になったのですが(そちらのほうが年齢的にはあっているかもしれませんが)時代小説まで手を広げるのは自粛しましたなにしろ残された時間は少なくSFさえ極めていないのですから・・
Mar 20, 2013
コメント(0)
『SFマガジン』2012年3月号読了しました本郷の特集は恒例の「2011年度英米SF受賞作特集」です毎年比較的オンタイムの海外短篇SFが読めるので貴重な特集ですがオールドファッションSFファンとしては最新過ぎてついていけないことも多いのですしかし今回はどれも面白く読めましたなのでこのまま短篇の感想にします【シオドア・スタージョン記念賞受賞】『雲海のスルタン』The Sultan of the Cloudsジェフリー・Å・ランディス 著/中原尚哉 訳限られた財閥によって太陽系開発が進められる未来テラ・フォーミング研究者のリアのもとに金星を支配するスルタンから招待状がとどきリアにあこがれる助手のデビッドはむりやり同行するが・・未来の太陽系の描写は興味深く面白い・・がそこに乗っかってる物語は懐かしい純情青年の恋物語奔放なリアに翻弄されるデビッドがいじらしいです【ヒューゴー賞ノベレット部門/アシモフ誌読者賞ノヴェレット部門受賞】『火星の皇帝』The Emperor of Marsアレン・M・スティール 著/古沢嘉通 訳過酷な火星基地で働くジェフは地球に残してきた婚約者の死の知らせで少しずつ精神を病んでいったそんなジェフが立ち直るきっかけとなったのは・・懐かしき火星SFへのオマージュにしみじみしましたアナログ誌読者賞ノヴェレット部門受賞『アウトバウンド』outboundブラッド・R・トージャーセン 著/中村仁美 訳地球滅亡に巻き込まれた幼い兄妹二人の辿った数奇な運命と人類に残された希望とは・・・破滅SFなんだけど暖かく詩情溢れる作品でしたネビュラ賞ノヴェラ部門受賞『女王の窓辺にて赤き花を摘みし乙女<前篇>』The Lady Who Plucked Red Flowers beneath the Queen's Windowレイチェル・スワースキー 著/柿沼瑛子 訳ファンタジイは得意ではないので魔術師か~と思いながら読み始めましたがいつのまにか引き込まれてしまいましたそこで思ったのは死んだ魔術師が生きている人々の都合で蘇らされ利用されるという設定は強制的に人格データをコンピュータに保存され呼び出され利用されるというような設定と本質的に変わることなく「充分に発達した科学技術は、魔法と見分けが付かない。」というクラークの法則を持ち出すまでもなくあまりにも発達した科学を扱うSFは必然的にファンタジーになってしまうのではないでしょうかそのあたりがちょっと苦手かも・・ついでに特集以外の短篇も・・『ウェイプスィード<後篇>』瀬尾つかさ 著これも遥か未来の物語ですが科学技術が大きく進歩したばかりではなく環境も大きく様変わりしてしまうとやはりSFはファンタジーに限りなく接近してしまうのかなだとすれば私なんかの好みは現代もしくは近未来SFに限定されてしまうのかもしれない連載の長編作品は山本弘さんの『輝きの七日間』第11回イラストストーリー連載の夢枕獏さん―寺田克也さんの『十五夜物語』が十五章で最終回です連載評論では光瀬龍さん関係のものが二篇《現代SF作家論シリーズは第14回光瀬龍論「神々の代理戦争―『百億の昼と千億の夜』から生まれる再生」磯部剛喜さん単純に無常観を表しているのではなく冷戦後の現代の代理宗教戦争状況を投影しているとの指摘は斬新です立川ゆかりさんの「是空の作家・光瀬龍」は第2回光瀬龍さんの学生時代のエピソードを中心に紹介されています中学生の頃から漢詩を書いていたという文学的素養に驚きました第23回「SFマガジン読者賞」の発表もありましたけどリストを眺めて内容をすぐに思い出せない作品が多いのに愕然確かに読んでいるはずなのにタイトルだけではピンとこないなんて年齢とともに記憶力はどれほど衰退してしまうものなのだろうか恐ろしい・・・
Mar 17, 2013
コメント(0)
『SFマガジン』2006年11月号読了しました特集は「ロバート・シェクリイ追悼特集」です21世紀になって20世紀のSFを造り上げてきた作家さんが次々と(!)他界されていますがシェクリさんもそんなビッグネームのおひとりでしたしかし特集の邦訳リストを眺めてみると一冊もまともに読んでいないではありませんか・・このあたりの読書の偏りがSFファンと名乗ることのできない理由なんですけど・・・ということで特集へのコメントは書く資格がありませんご容赦ください・・特集のロバート・シェクリイさんの短篇2編は「スタンダードな悪夢にようこそ」Welcome to the Standard Nightmare 浅倉久志 訳「けっして終わらない西部劇映画」The Never-Ending Western Movie 中村融 訳どちらも典型的なアイデアストーリー捻ったオチやシニカルな展開が古き良き時代のアメリカンSFなんだけど昔SFを読み始めた頃にフレドリック・ブラウンさんなどの作品を読んで味わった興奮がここにあるかというと疑問ですロバート・シェクリイさんとの相性が悪いのか1970年代という執筆年代が自分の想いと違うのかそれとも40年余りの歳月が私の感性を侵食してしまったのかとにかく中途半端な印象しか残りませんでしたシェクリイ作品を読み込んでいたなら違っていたのかも・・その他の短篇小説は草上仁さんの「公共調達にかかわる不正等の防止と取引適正化に関する法律」という長く硬いタイトルの公共事業の入札でドーピングが違反事項となったらというおバカな内容をクソ真面目に描ききった快作です!入札の前夜に最後の追い込みで徹夜してユンケル飲んで頑張るサラリーマンはどうしたら良いのでしょうか連載小説は朝松健さんの「魔京」が第3回田中啓文さんの『罪火大戦ジャン・ゴーレ』が第22回梶尾真治さんの『スナーク狩り 怨讐聖域 第3話』目次ではなぜか読切となっている神林長平さんの『戦闘妖精・雪風』の第3部『雪風帰還せず』が<前編>の掲載ですがその点だけでも「読切」じゃ無いじゃん
Feb 17, 2013
コメント(0)
『SFマガジン』2012年2月号読了しました特集は「日本作家特集」ですその昔SFマガジン2月号の日本作家特集といえば弁当箱並にブ厚くてそのぶん学生には痛い特別価格で登場する作家さんもベテランから若手まで凄いメンバーが帰港していて毎年読みきれないほどでしたその頃と比べたら可哀想ですが今回のメンバーとボリュームではやはり物足りない感は否めないです(ラノベ作家特集としてならいいんですけどね・・)未来に期待というところでしょうかただ主人公がみんな若いのは現在の読者層を意識しているのでしょうかSFファンも高齢化していると思うのですがSFマガジンは読んでいないのかなでも大人のSFが読みたいと思うのは私だけでしょうか?いつものぼやきですけどね・・・本号から新連載の評論「是空の作家・光瀬龍」読んでみてますますその気になりました連載の作品は椎名誠さんのニュートラル・コーナーが第29回でタイトルが「海浜自自由生活者はいまどこをさすらうか。」もしそんな生活が出来たらいいなと思うけど本ぐらいは読めたほうがいいかな山本弘さんの『輝きの七日間』が第10回梶尾真治さんの『怨讐聖域』は第21回「七十六分の少女」そろそろ特集の短篇の感想です『ヨハネスブルグの天使たち』 宮内悠介瀬名秀明さんとともに難読作家さんですやっぱり「天才」なのかな『小さな僕の革命』 十文字青そもそも誰?やっぱっり「ラノベ」だねまだまだ・・・『不思議の日のルーシー』 片理誠イギリスあたりのYA小説読んでる雰囲気ですね『真夜中のバベル』 倉数茂全ての言語を理解できる少年という発想に感心してしまうしかし物語りは膨らまないね『ウェイプスイード』(前編) 瀬尾つかさ唯一SFぽい作品だけど前後半分載なので結論は次号の感想で・・でも覚えておけるかな連載は苦手です
Jan 31, 2013
コメント(0)
『SFマガジン』2006年10月号読了しました特集は「現代女性作家特集」と「シリーズ放送開始40周年記念 スター・トレック特集」です正直書くと「スター・トレック特集」のほうが面白かったのは「女性作家特集」がやたらと高級な文学志向のような気がして何だか敷居が高かったせいでしょうか「スター・トレック」はTNGに嵌った歴史がありとても興味深く読みましたTNGもう一度全話観てみたくなりました連載小説は夢枕獏さんの「小角の城」が第7回田中啓文さんの「罪火大戦ジャン・ゴーレ」が第21回谷甲州さんの「霊峰の門」が第7話「小来栖の森というところで短篇小説の感想にいきますすべて「現代女性作家特集」の作品です『しばしの沈黙』 Lull ケリー・リンク 著/柴田元幸 訳特集最初の比較的長い作品で時間SFの要素が入っているはずなのですが正直なところ読解力不足の私には???でした『地上の働き手』 Eathly User マーゴ・ラナガン 著/市田泉 訳天使が実在する世界での少年の成長物語=ファンタシイですよねファンタシイならやっぱり受け入れ不可でした『天使と天文学者』 Tycho and the Stargazer リズ・ウィリアムズ 著/日暮雅通 訳こちらも天使がチコ・ブラーエとヨハネス・ケプラーにからむ歴史ものだけど作者の興味の方向は心理劇に向けられていて私の想像する歴史SFの“オチ”とは異なる方向へ・・女性作者の志向なのか現代SFのトレンドなのかどちらにしても違うな~『小熊座』 Little Bear ジャスティナ・ロブスン 著/小野田和子 訳ワインボトルを瞬間移動させる実験の影響で平行世界に分岐してしまった家族の物語というSFど真ん中直球勝負のストーリーなのに・・解らない・・・現代SFというかすべての文学に私の読解力がついていけないのか・・・・絶望的かもしれない
Jan 2, 2013
コメント(0)
『SFマガジン』2012年1月号読了しました特集は「小川一水特集」です《天冥の標》については完結後に一気にいきたくて(なにしろ記憶力に自信がないもので・・・)今のところ控えていたのですが本特集を読んですぐに読みたくなってしまいましたしかし問題があるのです今度仕事関係の資格試験を受けるのでしばらく読書を自粛して受験勉強に集中しなければならないのです本号で刊行が告知されている《新☆ハヤカワ・SF・シリーズ》も全巻読破を目指していましたがついていけなくなるかも知れないな~と不安なのです読みたい本は沢山あるのに忍耐と苦闘の時期を過ごさなければなりませんなにしろ将来の給料がかかっているのでかなりマジなのです・・・2ヶ月だけなんですけどね小川一水特集にはフィクションはなかったぶん通常の厚さなのに内外作家の読切小説が4篇も掲載されています表紙・背表紙・目次などのデザインがかつてないほど刷新されて編集方針も変わったのかな?短篇小説が増えるのは大歓迎です新連載の評論として長山靖生さんの「SFのある文学誌」がスタートどんな評論になるのか1回目だけでは不明しばらく様子見ですね連載小説は山本弘さんの『輝きの七日間』が第9回夢枕獏さんと寺田克也さんのイラストストーリー『十五夜物語』は十三章「倒れる時旅人は仰向けになる」です《現代SF作家論シリーズ》は第12回ポール・ジャイルズさんのウィリアム・ギブスン論「バーチャル・カナダ」???正直ついていけませんでしたというところで短篇小説の感想です『カメリ、山があるから登る』 北野勇作 著おなじみ《カメリ・シリーズ》人気があるみたいですねでも私が求めているSFではなく面白さがわからないですみんな何を求めてSFを読むのでしょう・・『予告殺人』 草上仁 著SFミステリって微妙ですねSFテイストが強すぎると作者と読者のゲームとしてのミステリでなくなるしミステリを大切にするとSFとしては薄味になってしまうしふむ・・『ドリアン・グレイの恋人』 The Girlfriends of Dorian Gray(2000) グレゴリイ・フロスト 著/小川隆 訳ダイエット・マジック男にはそのしっぺ返しがまっていましたという小噺かな・・『11世紀エネルギー補給ステーションのロマンス』 Romance in an Elevebth-Century Recharging Station(1965) ロバート・F・ヤング 著/伊藤典夫 訳久々登場の懐かしい著者の古典的作品ですこれは中学生までに読んでたら・・という感じかな擦れたおぢちゃんになってしまたなぁ・・しみじみ涙・・ということで本号の特集に反して短篇小説はストレートなSFがなくて寂しかったです次号の「日本人作家特集」期待したいです
Sep 16, 2012
コメント(0)
『S-Fマガジン』2006年9月号読了しました本郷の特集は「ダン・シモンズ」特集ですこれは『イリアム』の翻訳出版にあわせてのものですダン・シモンズは『エンディミオンの覚醒』読んで安心してしまいその後ついてきてなかったのですもちろん『イリアム』と『オリュンポス』のことは知っていたし気になっていたのですがあのボリュームですので手が出ずにいたのですが本特集での紹介読んでやはり避けて通ることは出来ないと背中を押された気がしましたしかし後でアレステア・レナルズの『ガズムシティ』の紹介がされていて『啓示空間』も読んでいないのにここにもついていけてないとあらためてがっくり大作ばかり避けて通ってきたのでそのつけがまわってきたような気になりましたしかし読みたい本のリストばかり増えて間違いなく存命中に解消することは出来ないでしょうね・・・・・・・ああ無常それにしてもダン・シモンズさんの創作の幅は広いですね『ハイペリオン』シリーズ読んだ時もスタンダードなアメリカSFの最終進化形だと感じましたがホラーにアクションにミステリもそれぞれのジャンルで標準以上の作品を量産しまるでアメリカの山田正紀さん!?はたして『イリアム』と『オリュンポス』はいつ読めるのでしょうか特集以外では川端裕人さんの“ミニ”特集もありここにもついてきてないなと三度目のガッカリ草上仁さんの短篇小説のの感想はあとで書くとして連載小説は朝松健さんの『魔京』が第2回田中啓文さんの『罪火大戦ジャン・ゴーレ』が第20回山田正紀さん『イリュミナシオン 君よ、非情の河を下れ』が第7回ということで短篇の感想です「アヴの月、九日」 The Ninth of Av (2000) ダン・シモンズ 著/酒井昭伸 訳『イリアム』の前日譚とのことですがこれだけでも尋常ではない物語が展開されていて頭がくらくらしてしまうほどでした『イリアム』読むにはかなりの覚悟が必要ですね「カナカレデスとK2に登る」 On K2 with Kanakaredes (2001) ダン・シモンズ 著/嶋田洋一 訳紹介文では「迫真の近未来山岳小説」とありますが確かに数々の危険と脅威はあるものの映画『第9地区』に似たユーモア小説に思えました異星人との共同作業というのはあまりにも異質なもので想像力が追いつかず滑稽なものになりがちなのかもしれませんただ最後の展開はついていけませんでしたが・・「チューリング・テスト」 草上仁 著人間とAIを音声の回答だけで見分ける事ができるのかこの手の話を読むといろいろ考えてしまって行き着くところは知能とは何かという問題になりそれは結局人間とは何かという究極の問題になってしまうだから満足する答えが出るはずもなく軽いトリッキーな小説にならざるを得ないのでしょうね
Aug 15, 2012
コメント(0)
『SFマガジン』2011年12月号読了しました本号の特集は「The Best of 2005-2010」ということで5篇の短篇小説が訳載されています販促の意味でつけたと思われるThe Bestは言い過ぎだと思いましたが有名な賞の受賞作以外の作品が読めることは嬉しいですね評価の定まった作家さんだけではなく初紹介やいろんな作風の作家さんが読めるのでぜひこの企画は続けて欲しいと思いましたまあSF文庫で年間SF傑作選をどれか1冊でも訳出してくれたらそっちのほうがいいですけどその他の記事では第50回日本SF大会「ドンブラコンL」の特集SF大会は30年以上前に1度だけ参加しただけですが毎年大会のレポート読むと甘酸っぱい記憶と憧れの気分に満たされます現代SF作家論シリーズは第11回で小谷真理さんのマイクル・クライトン論「大量破壊兵器に潜むジェンダー戦略―『アンドロメダ病原体』を読む」何だこの組み合わせと思いましたがさすが小谷さんの読み方は深いですね連載は椎名誠さんの《椎名誠のニュートラル・コーナー》第28回「なぜまんじゅうは怖かったのか。」山本弘さんの『輝きの七日間』は第8回夢枕獏さんと寺田克也さんのイラストストーリー『十五夜物語』は十二章ということで短篇の感想ですすべて特集の作品です「トロイカ」Troika アレステア・レナルズ/中原尚哉 訳太陽系のど真ん中に突如出現した巨大な物体多層構造を持ち「マトリョーシカ」と名づけられたその物体を探査したロシアの3名の宇宙飛行士が辿った運命とは・・・単純なファーストコンタクト・テーマかと思いきや長編1冊分以上のアイデアを詰め込んだ重層的で複雑な構造を持つ作品でしたさすがレナルズという傑作ですしかし昔ながらのシンプルできれのあるワンアイデア・ストーリーはもう受け入れられないのでしょうか「懐かしき主人の声」His Master's Voice ハンヌ・ライアニエミ/酒井昭伸 訳亡きご主人のために戦う「犬」と「猫」童話のような物語が見事にSFになってますそのまえに犬猫の話には弱い私です「可能性はゼロじゃない」Non-Zero Probabilities N・K・ジェミシン/市田泉 訳ニューヨークでは物事の発生確率が異常な値を示して平穏な日常生活が失われ・・・というお話なんだけどふむ・・わからないです「ハリーの災難」After the Coup ジョン・スコルジー/内田昌之 訳著者の《老人と宇宙》シリーズのスピンオフ作品ですとはいえこのシリーズは『老人と宇宙』一冊だけしか読んでいないので楽屋落ち的な面白さは???まして最近はミリタリーSFに距離をおいているので・・・「小さき女神」The Little Goddess イアン・マクドナルド/中村仁美 訳近未来のネパールで女神として選ばれた5歳の少女が運命にもてあそばれてたどり着いたのは・・読みたいのになかなか読めない短篇集『サイバラバード・デイズ』収録作品です南アジアの濃密なエスニックの空気の中いきなり「AI」が登場して・・・とても面白かったけど今のSFが想像する未来は「AI」無しではありえないのでしょうか
Jul 8, 2012
コメント(0)
『SFマガジン』2006年8月号読了しました本号の特集は「スタニスワフ・レム追悼特集」です沼野充義さんによる追悼文「レムは一人でそのすべてである」にはじまり主要作品作品論として巽孝之さんの『ソラリス』論「残酷な奇跡の時代のために」中村融さんの『砂漠の惑星』論「サイバネティックスの書法」牧眞司さんの『天の声』論「なぜ手紙だとわかるのか」若島正さんの『完全なる真空』論「不完全な真空」関口苑生さんの『枯草熱』論「偶然の連鎖の向こう側に」林譲治さんの《ロボット》論「レムのロボットは語らない」追悼エッセイとして石川喬司さんの「ソラリスの海に漂うSF」追悼コミックとして西島大介さんの「スタニスワフに乾杯」そして資料として牧眞司さん編集の「スタニスワフ・レム邦訳作品リスト(簡潔版)」以上喪われた才能の大きさを感じさせる充実した特集となっていますスタニスワフ・レムは私にとっていつか体系的に読みたい作家の代表格で今回の特集を読んで「いつか」でおいておいてはいけないと感じました東欧の一SF作家にとどまらず未来思想家として偉大な足跡を残したレム愚かな私には歯がたたないかも知れませんがこの時代だからこそ読むべきだと思うのですが読書にさける時間が減ってしまったので・・・連載小説では夢枕獏さんの『小角の城』が第6回田中啓文さんの『罪火大戦ジャンゴーレ』が第19回梶尾真治さんは『ギルティヒル 怨讐聖域 第2話』目次では「読切」になっていますが小林泰三さんの短篇『天獄と地国』の続編として『頭上の大地、眼下の星海』が掲載されていますということで短篇の感想です「この世の終りは一体どのような形になるのだろうか?」 石黒達昌アメリカで2005年に猛威をふるったハリケーン<リタ>の体験を綴ったドキュメンタリーノベルということです災害によって日常生活が破壊されていくさまが生々しく描かれています3.11を経てなお巨大地震や富士山噴火の可能性が語られ平和な日常生活というものが砂上の楼閣のように奇跡的であることを実感しますちっぽけな人間が自然の中で生きているそれはどういう意味があるのでしょうか「ワイオミング生まれの宇宙飛行士」<後篇> The Astronaut from Wyoming アダム=トロイ・カストロ&ジェリイ・オルション/浅倉久志 訳<前編>を読んだ時はすこし変な青春物語と思ったのですがこんな結末が待っているとは想像していませんでした確かにリスク無しには人類が宇宙に出て行くことはできないのでしょうかほんの隣の惑星に行くだけでも大変なことだとしたら恒星間の深淵を銀河の外に広がる無限とも思える空間を人類は越えることが出来る日がやってくるのでしょうか私の寿命では火星探査すら見る事はかなわないでしょう・・その事実が寂しいです
May 31, 2012
コメント(0)
『SFマガジン』2011年11月号読了しました本号の特集は「日本SF第一世代回顧」お亡くなりになった小松左京さんを中心とする第一世代の作家の皆さんの歴史と作品の解説ですそしてメインは全著作リストということなのでしょうね本号の感想を「読書メーター」で見てると若い読み手の皆さんが第一世代の作品をほとんど読んでいないことがわかって驚きました角川春樹事務所が文庫で集中的に再刊したのももう10年以上前でその後が続いていない現状では無理もないでしょうね今回の特集は私のような年配のファンには懐かしさもあっていいと思うけどこの特集を読んで作品を読みたいと思っても書店の棚に並んでいなければ機会を失ってしまうでしょうねどこかが文庫での再刊を続けていかないともう古典作品扱いになってしまうのでしょうねなにしろ半世紀前の作品も含まれているのですから連載評論《現代SF作家論シリーズ》は第10回 ジェイムズ・ティプトリー・ジュニア論『「男たちを知らない女」の創世―細胞生物学をティプトリー的に読み解くと』著者は八代嘉美さんバリバリの幹細胞生物学者としてユニークかつ過激な評論ですが「ティプトリーが望んだものはこれなの?」という意味で留保したい生命倫理うんぬんの問題ではなくこの技術の未来への楽天的な展望についていけなかったのです著者の他の文章を読んでいないのでほとんど細胞生物学の歴史を語っただけのこの評論だけでは彼の思想がわからなかったです短篇小説の掲載は1本だけ月村了衛さんの機龍警察シリーズの短篇です連載小説は山本弘さんの『輝きの七日間』が第7回梶尾真治さんの『怨讐星域』は第20話「自由教会にて」夢枕獏さんと寺田克也さんのイラストストーリー『十五夜物語』は11章で短篇の感想です「機龍警察 雪娘」 月村了衛《機龍警察シリーズ》大好きですので期待しましたがやっぱり短か過ぎて物足りませんでした(雰囲気はよかったですけど)そしてやはり「SFマガジン」ではなく「ミステリマガジン」むけの話でしたね
May 9, 2012
コメント(0)
『SFマガジン』2006年7月号読了しました本号の特集は「太陽系探査SF特集」表紙も特集にあわせて鈴木康士さんのイラストがいいですね太陽系探査のSFは実際に様々なミッションが実行され時代とともにデータが更新されているオンタイムな科学分野ですのでSFも最新のデータを取り入れたいわば地に足の着いた堅実な作品が多くなりますがそれでもテクニカルな問題を描いたものだけではなく想像力を駆使した素晴らしい作品がでてくるところがSFのすごいところですね特集の短篇小説は4編いずれも面白く読みました特に「ワイオミング生まれの宇宙飛行士」は前後編の分裁で後編が早く読みたいほど面白いこういう作品は一挙掲載にしてほしいです特集では他に松浦晋也さんの科学解説「太陽系探査最前線」探査衛星は打ち上げから実際にアプローチしてデータ分析が終わるまで時間がかかるので覚えていられないことが多いですが時々こうして纏めていただくと嬉しいですしかし新しいミッションでは私の生きているうちに成果を見れないものがあるかもと思うとさびしくなりますアポロの月着陸をリアルな中継で見ましたが次に人間が衛星や惑星に立つ姿を見ずに死ぬことになりそうなのは子供時代にはとても想像出来ませんでした残念です『火星縦断』の翻訳刊行に合わせてのジェフリー・A・ランディスさんのインタビュー宇宙開発の現場にいる科学者がSF的想像力を持って働いていることは素敵なことですねその他のノンフィクションでは若島正さんの「乱視読者のSF短篇講座」が新連載有名大学の講座を受けるようなものですのでとても楽しみな連載ですね今回もウエルズの短篇「ザ・スター」でなるほどの新しい視点・・勉強になります連載は朝松健さんの「魔京」が新連載谷甲州さんの「傀儡天王山 霊峰の門」が第六話田中啓文さんの「罪火大戦ジャン・ゴーレ」が第18回というところで短篇の感想です「青き深淵へ」 Into the Blue Abyss ジェフリー・A・ランディス/小野田和子 訳太陽系探査が進んだ未来もっとも可能性が高いと思われたエウロパでも発見できず地球以外の太陽系にはもはや生物が存在しないと思われていたそんななか天王星の海に潜水するミッションが計画され主人公たちは2台の探査ポッドで高圧の海の中へ潜行していった・・遠くていまだその実態が不明の天王星高圧の水の海が存在すると考えられているが作者の想像力はその中に突入します間近でこの青い惑星を眺めたくなりました「暗黒のなかの見知らぬ他人」 Kinds of Stranger サラ・ゼッテル/東芽子 訳人類初の小惑星帯の有人探査ミッション順調に観測を終えてあとは地球への帰還となったとき突然のトラブルが発生し乗員の帰還が絶望的となった・・このような宇宙の実相を考えると例えば放射線の存在だけを考えても有人探査は合理的ではないですねでは人類はこの地球に縛り付けられたままなのかそれともいつか危険を省みない大冒険時代が訪れるのでしょうか「ロキ」 Loki ラリイ・ニーヴン/梶元靖子 訳これは太陽系のお話ではありませんしかし生命の存在する惑星に出会ったとき人類は「ロキ」になるのでしょうか「ワイオミング生まれの宇宙飛行士」<前編> The Astronaut from Wyomingu アダム=トロイ・カストロ&ジェリイ・オルション/浅倉久志 訳宇宙に憧れ宇宙飛行士になることを夢見た少年の成長物語ただ彼の姿かたちはあの有名な「宇宙人」にそっくりだった停滞する宇宙探査計画を憂う少年のような作者の心が嬉しいです目指せ“火星”!詳しい感想は次号<後編>で・・特集外の短篇「アインシュタインが当たった」 草上仁ハヤカワ・ミステリワールドでの出版が続くミステリ・リーグにシフト?と思われる作者だけに「アインシュタインの精子使用権」というトンデモネタだけど騙し騙されの物語は微妙な味わい・・SFシリーズJコレクションには戻ってこないのでしょうか
Apr 17, 2012
コメント(0)
『SFマガジン』2011年10月号読了しました特集は前号に続く「SFスタンダード100ガイド PART2」と「ミリタリーSF特集」の2本立てですミリタリーSFの短篇が1篇掲載です「SFスタンダード100」はリスト後半の50冊の解説1980年代後半の作品から最近の作品まで未読の作品をどこまで読めるのでしょうか読みたい本ばかりなんですけど・・「ミリタリーSF」については近頃のハヤカワ文庫SFのラインナップにその手の作品が多いなとは感じていましたが堺三保さんの解説記事もわかりやすくてアメリカでの流行を実感できましたしかしなぜ「戦争」なのかは理解できないままです海洋冒険小説を宇宙にもってきた宇宙版「ホーンブロワー」だったり古代や中世の政治システムにおける暗闘を星間文明に置き換える意味はどこにあるのだろう自分が「SF」に求めている感動とは違う方向を向いていると思うのでなかなか手が出ませんミリタリーSFのシリーズものと《ペリーローダン》ばかりがハヤカワ文庫SFの今月の新刊コーナーに平積みされていると「他に訳さなければならない作品があるだろう」と突っ込みの独り言つぶやいてしまうでも売れるから出版される市場原理ガチのSFは売れないのでしょうねいっそ青背を白背にもどしてはいかがですか銀背も復活したことですし・・連載評論《現代SF作家論シリーズ》は第9回波戸岡景太さんのトマス・ピンチョン論「永遠にSFになりきれない」もちろんのことピンチョンは読んでいないが刺激をいただきました何を読み何を考えなければならないのか・・この年になって文学に憧れています連載は夢枕獏さん寺田克也さんのイラスト・ストーリー「十五夜物語」は十章 古代文字は秘められた物語を語った山本弘さんの「輝きの七日間」が第6回飛浩隆さんの「零號琴」が最終回椎名誠さんのニュートラルコーナーは第27回「世界三大獰猛蚊にヤマトナデシコ蚊は歯がたたないか」こんな蚊に追いかけられるのは悪夢でしょうねいつも見かけるヤマトナデシコ蚊が可愛らしいで短篇の感想です「亀裂」 The Rift ジョン・G・ヘムリイ(ジャック・キャンベル)/矢口悟 訳惑星イムテプの調査隊が突如攻撃を受け全滅してしまう駆けつけた軍の救出部隊も待ち伏せに出会い生き残った数名の隊員は近くの研究施設に逃れそこで子供を含むわずかな生き残りの地球人を発見するしかしその施設も再び現地住民に包囲されてしまうそれまで友好的な関係を築いていたのに住民はなぜ豹変してしまったのか・・とても面白く読みましたが読後こうして考えてみるとこの面白さはSFのものではなく異常な設定を持ち出してきた本格ミステリの面白さではないでしょうかつまるところ動機探しであったという意味で「卵の私」 深堀骨深堀さんの小説は読めば読むほどわからなくなるそして編集部が評価している基準もわからないこの小説は面白いのかもしかしてこの小説を面白いと思えない自分がおかしいのか考えれば考えるほどわからなくなる
Apr 1, 2012
コメント(0)
『SFマガジン』2006年6月号読了しました特集は「ヤング・アダルト・ノベル特集」です定義についてはよく理解できているわけではありません日本ではいつの間にか「ライトノベル」と呼ばれるようになったジャンルが以前はこう呼ばれていた気がしますがどうなんでしょうともかく特集の3本の小説を読む限りでは現代風のファンタジーですよねしかしニール・ゲイマンの作品は前回「ニュー・ウィアード・エイジ特集」に掲載されていましたよねそういうこと考えるとラベル付けは無視したくなります現代風のファンタジーと呼んではだめなんですか?でその作品を読んでみて感じたのは私はファンタジーの楽しみ方を知らないということそこそこ楽しんで読んでいても最後は「だから何・・?」って考えてしまいますなんだろこの相性の悪さ・・今回は特集以外にも読みきり作品が2編翻訳連載企画「浅倉久志セレクション」第8回でキット・リードの作品単独でケリー・リンクの作品こちらもファンタジー作品ですねキット・リードの作品は時間ものだけどやっぱりそれもファンタジーですよねということは読切作品は全てファンタジーでした連載作品は山田正紀さん「イリュミナシオン 君よ非情の河を下れ」が第6回夢枕獏さん「小角の城」が第5回田中啓文さん「罪火大戦ジャン・ゴーレ」が第17回今回はこんなところで短編の感想です「サンバード」 Sunbird ニール・ゲイマン/日暮雅通 訳謎の美食家クラブに集うユニークなメンバーが選んだ次の会合のメニューはエジプトのカイロのサンタウンの店で味わう「サンバード」しかしこのメニューには隠された秘密が・・シニカルなユーモアあふれる作品でした「魔女の自転車」 Witch's Bicycle ティム・プラット/石井庸子 訳少年と少女といじめっ子・・そこに自転車に乗った魔女が現れた魔女が永遠の命を継続するために仕掛けた罠郷愁をさそうノスタルジックな少年時代の情景と結構ダークなエンディングのギャップが現代のファンタジーなのでしょうかだとしたらその後どうなったかが気になって仕方ないです「少年が死体で見つかって」 Dead Boy Found クリストファー・バルザック/小川隆 訳母親の交通事故と廃線の線路の下に埋められていた少年の死体発見者の少女と僕はその影響を受けて・・ということだと思うんですがこのダークファンタジーをどう受け止めて良いか困惑するばかりです以上3作が特集関係の作品です「ザ・ホルトラク」 The Hortlak ケリー・リンク/柴田元幸 訳「聞こ身ゆる深淵」の前のコンビニエンスストア客は人間とゾンビと犬そんなコンビニの店員たちの不思議な日常が当たり前のように淡々と語られます・・だから何?となるんですが・・翻訳連載企画「浅倉久志セレクション」第8回「ダ・ヴィンチさん」 Mister da V. キット・リード/浅倉久志 訳だめ親父が3階の謎の機械で我家に連れてきたのはレオナルド・ダ・ヴィンチ!だけど親父は本の執筆に夢中でダ・ヴィンチさんをほったらかしやがてダ・ヴィンチさんと家族の触れ合いが始まるが・・これは時間SFだよねと思って読み始めましたが作者はタイムマシンにもダ・ヴィンチさんにもまったく興味を持っていないようですきっと書きたかったのは風変わりな状況に置かれた家族の関係なんでしょうだからこれもSFではなくファンタジーですねゆえに登場人物への共感が難しいきっとこの異常な関係に共感できる人がいてそんな人がファンタジーを楽しめるのでしょうね
Mar 17, 2012
コメント(0)
『SFマガジン』2006年5月号読了しました特集は「西島大介&タカノ綾特集」めずらしくコミックというかアートのクリエイターということですが私の守備範囲外ということで感想は書けませんですタカノ綾さんの読切コミックや西島大介さんのインタビューを読んで面白そうだなと思うものの手を出すのは自粛ですね凝り性の私ですので今やってることで手一杯もう時間がありません(残されていないと言うべきかも)とりあえず『SFマガジン』掲載作を楽しませていただきます第1回日本SF評論賞・選考委員特別受賞作の鼎元亨さんの評論「ナガサキ生まれのミュータント 《ペリー・ローダン》シリーズにおける日本語固有名詞に関する論考」出版ペースについて行けず置き去りにされてしまった《ペリー・ローダン》この評論を読んでペリー・ローダンの新刊を楽しみにしてた頃を懐かしく思い出すとともに登場する日本人の名前が変だなと思っていたことも思い出しました登場する地名に縁があったとはいえ引っかかったことに拘り調べ続けて考え続けることが大切なのでしょうねしかし評論としては?そのオランダ人を特定して史実に纏わるドラマを書けばそれは評論ではなくドキュメンタリーになってしまうだろうし想像だけ書いてあとは投げ出してしまったような印象でした連載作品は梶尾真治さんの「約束の地 怨讐星域」が新連載夢枕獏さん「小角の城」が第4回田中啓文さん「罪火大戦ジャン・ゴーレ」が第16回ということで短編の感想です「フォクシーガール」 田中哲弥紹介のコピーには「ごく普通の女子高生が・・」とありますが主人公の奈々美が普通の女子高生だと思えないのは時代遅れの私だけで時代はこんなもんなんでしょうか?とにかく奈々美がとんでもない陰謀のとばっちりを受けアメコミのヒーローたちのような能力を手に入れて陰謀を阻止する物語北キツネにかまれて能力を手に入れたからフォクシーガール読んで笑って・・忘れましょう「女神の箱庭」 森奈津子遠未来の植民惑星今では神話になっている初期入植者により住民の性は操作されたようで女性の妊娠可能期間は一生でたった一度だけにかぎられているそして「オトコオンナ」とよばれる生殖器をもたない人々もひっそりと生活していました主人公の少年ジンタが恋をしたとき子供には隠されていたこの世界の秘密が・・いままでは性に関する物語は苦手で敬遠してましたが今回読んでみると面白いのは年のせいですかね
Mar 12, 2012
コメント(0)
『SFマガジン』2011年9月号読了しました本郷の特集は「SFスタンダード100ガイド[PART1]」と「サミュエル・R・ディレイニー再入門」の2本立てです「SFスタンダード100ガイド」は次号と分けて100作全ての解説を掲載リストを眺めて突きつけられるのはタイトルはほとんど知っているものの読んでるのは1/4程度しかないという事実です私は結局「SFマニア」などではなくこのジャンルの基礎教養が無いに等しいということでしょうねではせめて「SF好き」というレベルでいいのでSFとのお付き合いを続けさせていただきたいと思います(なんのこっちゃ?)リストの消化は老後の楽しみということでお許しくださいこの特集では他に若手(?)作家の皆さんの「マイ・スタンダードSF」というエッセイを掲載してます小川一水さんは『シンギュラリティ・スカイ』華山三英さんは『黒い時計の旅』五代ゆうさんは『夜の翼』榊一郎さんは『フェッセンデンの宇宙』新城カズマさんは《銀河帝国興亡史》月村了衛さんは『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』片理誠さんは『祈りの海』牧野修さんは『時計仕掛けのオレンジ』それぞれに思い入れをお書きですが作風から考えて納得の方と意外な方がいらっしゃいますよね本特集がらみの読みきり作品はコードウェイナー・スミスの短編です『サミュエル・R・ディレイニー再入門』のほうは30年たって翻訳出版された『ダールグレン』の刊行にあわせたもので巽孝之さん・牧眞司さん・柳下毅一郎さん・丸屋九兵衛さんの特集記事は『ダールグレン』を中心にしたディレイニーの紹介で『時は準宝石の螺旋のように』が採録されていますディレイニーはそれこそ前世紀に『バベル―17』を読み今回の『ダールグレン』のように待望の翻訳が出版された『アインシュタイン交点』を勢い込んで読んだもののみごとに玉砕した呪われた過去を持っていますので『ダールグレン』に手を出す自身は無いのですが現代アメリカ文学のエポックメイキング的なベストセラーに挑戦してみたいような恐ろしいような・・迷っています本当に本号収録の連載作品は山本弘さんの『輝きの七日間』が第5回連載評論《現代SF作家論シリーズ》は第8回で岡和田晃さんのジーン・ウルフ論「救済なき救済の相」《新しい太陽の書》についての論考です本号の「SFスタンダード100」にも選ばれている作品ですが未読につき感想不能・・老後の楽しみということで・・そのほかインタビューが3篇『ドランスフォーマー』シリーズのマイケル・ベイ監督『希望』出版で瀬名秀明さん『約束の方舟』出版で瀬尾つかささんということで短編の感想です『アルファ・ラルファ大通り』 Alpha Ralpha Boulevard コードウェイナー・スミス/浅倉久志 訳「人類補完機構」シリーズの短編で読んだ記録はあるのに内容を覚えていませんでした『ノーストリリア』も読んでいるのに「人類補完機構」シリーズの全体像が思い出せずにショックです時間のせい?老化のせい?このシリーズってこんな奇妙な味わいでしたっけまあ忘れたら忘れたで新作と同様に読めるのでいいかな『時は準宝石の螺旋のように』 Time Considered as a Helix of Semi-Precious Stonss サミュエル・R・ディレイニー/伊藤典夫 訳この印象的なタイトルは忘れようがありませんタイトルに「センス・オブ・ワンダー」を感じてしまいますしかし物語りはタイトルの印象とは異なり未来の話のはずなのに何故か禁酒法時代のニューヨークのような猥雑な世界でSFというよりも都市文学として楽しめました深い意味は読み取れていないと思いますけどSF好きのオッサンの読解力では・・
Mar 6, 2012
コメント(0)
SFマガジン2006年4月号の感想の後編読切小説の感想文です「変転 魔界の断章」 森岡浩之残念ながら「星海」シリーズは未読ですので感想は書けないですが銀河世界に中世の政治システムを持ち込んだような作品はやっぱり苦手だということを再確認してしまいました「天つ風 博物館惑星・余話」 菅浩江博物館惑星の物語はいつもなぜか懐かしい「芸術」を愛する著者の感性が心地よく染み込んできます「カメリ、テレビに出る」 北野勇作人類不在の未来の世界で生活するカメリをはじめとする不思議な生物たち今回は映らなくなったテレビの謎をカメリが解決するお話ですがいつものように甘酸っぱい感情に満たされてしまいました「大風呂敷と蜘蛛の糸」 野尻抱介短編集『沈黙のフライバイ』で既読でしたが再読にもかかわらず興奮しながら読み終えましたやっぱりこの感情が私の「センス・オブ・ワンダー」気球と凧を使って成層圏まで上っていってそこからロケットを打ち上げるという工学部の女子学生の思い付きをJAXAをはじめとするみんなでよってたかってよってたかって実現する話なんですけど「宇宙女子」とか「理系女子」の話って面白いですよね先月そのまま『宇宙女子』っていうタイトルのムックまで出版されてて理系女子が流行しているのかな?おまけに今回は『仮面ライダーフォーゼ』の宇宙女子の城島ユウキちゃんが主人公沙絵にかぶってしまってツボでした清水富美加さん主演の実写映画誰か製作しませんか「クローゼット 廃園の天使」 飛浩隆訳あってまだ飛浩隆さんには手を出せずにいます本作で評判通りの面白さであることがわかりましたけど必ず読みたいですけどもうすこし待っていてほしいです(時間が・・)「ひいらぎ飾ろう@クリスマス」 deck.halls@boughs/holly コニー・ウィリス/大森望 訳クリスマスの一式を外注するようになった未来ただでさえトラブル続きで多忙のリニーに新規顧客からの問い合わせが入ったがその人物のネットチェックができないといっても複雑な話ではなく登場人物それぞれのクリスマスへのこだわりのなかで次々に巻き起こるドタバタの数々をなんにも考えないで楽しめました「1873年のテレビドラマ」 Selenium Ghosts of the Eighteen Seventies R・A・ラファティ/浅倉久志 訳訳者の浅倉久志さんが丁寧な脚注をつけていただいていますが1873年(!)に製作されたというテレビドラマの謎と製作会社の経営者を巡るあやしい物語は私の手には余ってしまって・・???でした「オールモスト・ホーム」 Almost Home テリー・ビッスン/中村融 訳トロイとバグとチュトの3人組は競走場の看板とアーケードとトイレが飛行機であることを発見しそれに乗って飛び立ちますが・・少年の日の甘酸っぱい思い出の物語初老のオジサンにとっては心に染み込む染み込むドストライクの傑作でしたキングの『スタンドバイミー』ではなくマキャモンの『少年時代』の雰囲気を思い出しました「グラス・フラワー」 The Glass Flower ジョージ・R・R・マーティン/酒井昭伸 役ある惑星で発見された謎の文明が残した遺跡それは身体を交換するゲーム施設でしたそこを管理しそこに引き寄せられた人々の伝説・・神話を読んでいる雰囲気でした「プランク・ダイヴ」 The Planck Dive グレッグ・イーガン/山岸真 訳出た!現代日本で人気ナンバーワンのイーガンによる最先端にして最高の硬度をほこるハードSF仮想空間で暮らすようになった人類ある科学者チームが究極の理論を完成するためブラックホール「チャンドラカセール」に飛び込むプランクダイブを実行し内部で発生する事象を観測する計画をたてますがそこに非常に保守的な都市国家から立会人として父娘がやってきます・・・というお話ですがそこで展開される理論は・・上っ面を撫でる程度でスルーでもこの雰囲気にゾクゾクしてしまうのでわかりもしないイーガンを読んでしまうのですなんだこれ?宇宙女子 宇宙と働く女性たちの物語
Mar 2, 2012
コメント(0)
SFマガジン2006年4月号読了しました本号は「創刊600号記念特大号」ということで圧倒的なボリュウム(通常の号の2倍の540頁余)と小説・記事とも充実の内容で読み応えありました小説は[日本作家競演]と[海外作家ノヴェラ競作]の2部構成日本作家だけでも往年の2月号を見るような充実ぶり神林長平さんが「ジャムになった男 戦闘妖精・雪風 第3部」の新連載スタート短編は森岡浩之さん/管浩江さん/北野勇作さん/野尻抱介さん/飛浩隆さんここに連載の夢枕獏さん/田中啓文さん/谷甲州さんも加わります夢枕獏さん「小角の城」は第3回田中啓文さん「罪火大戦ジャン・ゴーレ」は第15回谷甲州さんは「熊野忍び衆 霊峰の門第5話」です忘れてならないのは「創刊600号記念コミック」のとり・みきさんまじで100号ごとの連載!みんな前回の内容覚えてるのだろうか?700号に達するのは来年の7月号あたりだと思いますがそこまで覚えている自信も無ければ生存している確証も無いんですけどねしかしそれ以上に充実なのが海外作家コニー・ウィリスさん/R・A・ラファティさん/テリー・ビッスンさんジョージ・R・R・マーティンさん/グレッグ・イーガンさんと日本でも人気の5名が登場しかもノヴェラですから!ノンフィクションでは2つのイベントの結果発表「'06オールタイム・ベストSF結果発表」と「第1回日本SF評論賞決定」と題して横道仁志さんの受賞作「『鳥姫伝』評論 断絶に架かる一本の橋」に加えて「最終選考会採録」と「贈賞式レポート」を掲載「オールタイム・ベスト」つらつら眺めていて感じたのは世代間格差ということ305項の年代別ベストの国内長編部門を見ると50代以上は小松左京さん・半村良さん・山田正紀さん・光瀬龍さん・広瀬正さんの第一世代の名作でがっちり固められていますがこれは新しい世代の作家を読んでいないのか読んでいても第一世代の名作には及ばなかったのかそれとも「SFの黄金時代は15歳」という法則に縛られているのかいろいろ考えてしまいます一方20代以下では『百億の昼と千億の夜』が1位にもかかわらず『果てしなき流れの果てに』がこの世代だけランク外という驚きの結果が出ています(『復活の日』は6位に入っていますが・・)Amazon見てもハルキ文庫版が現在も入手可能ですので読めないということではないと思いますが・・この世代のランクイン作品見てるとそれこそ光瀬龍さんから小川一水さん冲方丁さんまで結構各世代の作家さんがバランスよくはいっているので逆にリアルな「オールタイム・ベスト」のような気がしますしかし各作品の得票数は40年代・50年代に比べて圧倒的に少ないので(読者数が少ないのだとしたらそれはまた別の問題だが)トータルの「オールタイム・ベストSF」はこのときの40年代以上の意見を反映する結果であるということで存在理由すら危ぶまれるのではないでしょうかもちろん投票数が少ないという問題もありますねAKB総選挙とは言いませんが先月講談社文庫で出た『東野圭吾公式ガイド』では読者1万人が選んだ東野作品人気ランキング発表ということなのでそこまでも無理かもしれませんがもっと投票をネットで簡単にできるようにするなどの工夫も必要ではないでしょうか逆に「このSFが読みたい」あたりで発表年度にとらわれない「今年読んで面白かった作品」のアンケートとればロングテールのスタンダード作品など本当に愛されてる作品がわかって面白いのではないでしょうか「このSF・・」は「このミス」とかでもそうだけど1年間に出版された作品のうちこれが面白いといってそれらの作品をまだ読んでない読者(ほとんどそうだと思うけど)に対して「旬のうち(=まだ在庫があるうち)に買ってね」っていうバーゲンセールみたいで年間のカタログ的に役立って印すけど・・評論章の横道仁志さんはお若いのに確かな「教養」をお持ちのようですねそのおかげで『鳥姫伝』は未読ですが評論はとてもわかりやすく読めましたとかく評論というと専門用語を大量導入していかにもという難解な論を展開して・・何が言いたいの?というものもありますが(勿論私の教養の無さが第一原因ですけど)本策は欧米の「物語」における宗教と「センス・オブ・ワンダー」という思いがけないテーマを考えさせていただきましたということで読切小説の感想文ですが文字数オーバーしそうなので続きは次の日記で・・
Mar 2, 2012
コメント(0)
『SFマガジン』2011年8月号読了しました特集は「初音ミク」!ほとんど前知識がありませんでしたので「初音ミク」ムーブメントの詳細は興味深かったです実際ネットでこの特集号が話題になってたり「SFマガジン」知らなかった人が大勢購入してかなり売上あったようですねそういえば図書館でもいつになく予約がたくさん入ってけっこう長期間貸し出し中になり綴じがボロボロになって戻ってきたりしてましたねただ・・個人的には表紙がそのまま初音ミクなので電車とかカフェで本書を取り出して開くのがちと恥ずかしかったですね・・オヂサンですので特集のコンテンツは読切短篇小説が3本山本弘さん・野尻抱介さん・泉和良さんと錚々たる(というか納得というか)ラインナップ開発者の佐々木渉さんをはじめ関係者3名のインタヴューその他5本のエッセイと充実小説は「初音ミク」を投入することによって面白い様々な展開が可能でしょうねただそれが必要かどうかは別ですけどその他の掲載作品は読切短篇小説がその他に2篇神林長平さんとピーター・ワッツさん連載は飛浩隆さん「零號琴」が第18回梶尾真治さん「ウィリアム・ガズの部屋 怨讐聖域」が19回椎名誠さんのニュートラルコーナーは第26回夢枕獏さん寺田克也さんの「十五夜物語」は第8章連載評論《現代SF作家論シリーズは第7回安藤礼二さんのJ・G・バラード論「「上海」という胎児の夢」評論はもともと難しいのに対象がバラードですから・・本気で理解できた人は沢山いらっしゃるのでしょうか?いらっしゃるでしょうねきっと(劣等感に苛まれます)それから「SFセミナー2011」のレポートまわりにSFについて語れる人がいないのでいつか参加して思い切り語り逢いたいものですということで短篇の感想ですまず特集外の作品から「いま集合的無意識を、」 神林長平私小説なのかエッセイなのか・・亡くなった伊藤計劃さんとの対話には驚きました伊藤計劃さんは神林長平さんを刺激して去って行ったのですねこのことがきっかけで神林長平さんから新しい何かが生まれてくるかが楽しみです「天使」 Malak ピーター・ワッツ/石亀渉 訳2011年3月号に掲載されたヒューゴー賞受賞のノヴェレット「島」もそうだったと思いますが作者は緻密な理論の積み重ねにより想像力を無限に展開して行きます究極の無人攻撃機の敵味方認識の問題から戦争の持つ矛盾と混乱の悲劇を浮き彫りにしますそして特集関係の作品です「喪われた惑星の遺産」 山本弘調査隊がその星系にたどり着いた時その星系の第3惑星において発生したと思われる文明は遥か昔に滅亡してしまっていたその痕跡は第3惑星のったった1つの衛星上に見つかったが惑星上では風化が進行して文明の手がかりは皆無でしたしかし調査範囲を広げると第2惑星を周回していた探査衛星が発見されその内部から多数のアルミパネルが発見されその文明を築いたと思われる生物の画像を含めた貴重な手掛かりが発見されたその探査機には「AKATUKI」と刻印されたいた・・そのデータから惑星の生物や文明を推理する調査隊の苦労と勘違いが面白いです「DIVAの揺らすカーテン」 泉和良山奥の研究施設(カミオカンデかな?)のそのまた外れにある研究所そこに赴任した孤独な青年を遙か彼方から見つめる存在がありました素敵な恋物語でした長編読んでみたくなりました「歌う潜水艦とピアピア動画」 野尻抱介予算獲得が困難だったクジラの調査にボーカロイド「小隅レイ」とのコラボレーションを提案するとあれよあれよという間に計画は進みだし実際に調査を開始すると「小隅レイ」に対して予想外の反応が海底から戻ってきて・・作者のブログには作者の思い入れとともに本作に登場する歌が実際に作成されアップされていますhttp://d.hatena.ne.jp/nojiri_h/20110629/1309351355本作はシリーズ3作目で(編)さんのコメントでは「あと1篇ほどあれば書籍化できるのですが」とありましたが結局3篇で短編集が今月(2012年2月)発売です『南極点のピアピア動画』ハヤカワ文庫JA)表紙はもちろん「初音ミク」?「小隅レイ」ではないいのか!南極点のピアピア動画
Feb 22, 2012
コメント(2)
『SFマガジン』2006年3月号読了しました特集は恒例「2005年度英米SF賞受賞作特集」です特集の読切は4篇ですが奇妙な味系・ファンタジー系の作品が3篇で宇宙が舞台の作品やガチガチのハード系がないというラインナップ編集後記で(清)さんが特集の作品の選択について書いておられますが今回は「最新のSF」を意識した選択とのことですもちろんチャイナ・ミエビルさんなどが新進の作品であることは私も重々承知していますけれど今回の選択がSFのトレンドだといわれるとやはり悲しい他の受賞作を含めての傾向なのかどうか昔ながらのSFが読みたいというのはオールドファンということなのでしょうかね本号の連載作品は山田正紀さん「イリュミナシオン 君よ、非情の河を下れ」が第5回夢枕獏さん「小角の城」が第2回田中啓文さん「罪火大戦ジャン・ゴーレ」が第14回その他第1回日本SF評論賞最終選考結果発表がありましたが受賞作は次号掲載ということなのでその時に次号は創刊600号記念特大号ということなので読み応え有り過ぎそうで怖いです恩田陸さんの「My Favorite SF」は手塚治虫さんの『ライオンブックス』というのはなんか以外でしたというところで短篇の感想いきます【ヒューゴー/ローカス賞ノベレット部門受賞】「妖精のハンドバッグ」 The Faery Handbag ケリー・リンク/柴田元幸 訳(清)さんは本作を2004年を代表する作品とお書きですがファンタジーとかこのタイプの作品にはやはりSFを感じられない「なるほど」という「納得」が得られないことがダメみたいですハンドバッグの中に広がる時間の流れの異なる世界・・やっぱりスッキリしない【ローカス賞ノヴェレット部門受賞】「ロンドンにおける“ある出来事”の報告」 Reports of Certain Events in London チャイナ・ミエヴィル/日暮雅通 訳短編集『ジェイクをさがして』に収録されていますので既読作品でした色々な場所に突然現れ突然きえてしまう街路とはミエヴィルの家に誤配された手紙に入っていた不思議な内容の資料の束とは・・これも奇妙な味わいの2004年を代表するSFだそうですたしかに想像力を刺激する内容ではありますが・・それで?【ネビュラ賞ショート・ストーリー部門受賞】「遺す言葉」 Coming to Terms アイリーン・ガン/幹遙子 訳こちらもファンタジーでしょうか?それとも死者への思いが紡ぎだす幻影なのか死んだ老人の部屋を片付けるためにやってきた娘は父親が蔵書に書き遺した走り書きの数々によって父へのおもいが書き換えられていく・・そんな哀切に満ちた作品でした【シオドア・スタージョン記念賞受賞】「チップ軍曹」 Sergeant Chip ブラッドリー・デントン/中原尚哉 訳今回の特集で一番SFだと思うが同時に犬の物語なので感傷的になってしまったインプラントにより意思疎通能力を高められた軍用犬のチップ軍曹が助けた少女の力を借りて自分がしたがっていた指揮官とその舞台が巻き込まれた裏切り行為の全てを書き記した手記その指揮官に忠実であろうとするチップの戦場を必死に駆ける姿が胸を打ちますただこれも厳密に言うとSFの感動ではないとは思いますが
Feb 16, 2012
コメント(0)
SFマガジン2011年7月号読了しました特集は「伊藤計劃以後」目次を見てビックリ本号掲載の連載以外のフィクションは短篇1篇のみおまけに連載評論の《現代SF作家論シリーズ》と第6回日本SF評論賞の選考委員特別賞受賞作掲載もあってフィクション以外のボリューム凄すぎますというより「SFマガジン」って文芸誌ですよね?きっと以前の私なら読まなかったでしょうね・・特集掲載のコンテンツは以下の通り「伊藤計劃記録:第弐位相」刊行記念トークショー再録「いかにして伊藤計劃は作家となったか」 小島秀夫X大森望X矢野健二X塩澤快浩「上田早夕里インタヴュウ」「大森望インタヴュウ―日本SF短篇黄金期とアンソロジーの役割」「二〇一〇年代の日本SFに向けて」 大森望[3・11後のSF的想像力] 「10万年後のSF」 冲方丁 「「3・11後」はどこにあるのか」 小川一水 「原発事故後の想像力の被災について」 長谷敏司「「サイバーパンク」への返歌、現代SFの新たな出発点 ―HARMONY by PROJECT ITHO」 岡和田晃「『天冥の標』が導くもの」 大野万紀「日本SF新人賞・小松左京賞作家の現在、そして今後」 藤田直哉「日本SFの海外展開と未来」 七瀬由惟[小説以外の想像力] [アニメ]「アニメの想像力」の使い方 藤津亮太 [コミック]野蛮なSF-『進撃の巨人』が「進」むのは、どちらか 泉信行 [ゲーム]「ゲーム」からみた「伊藤計劃以後」 中川大地 [演劇]良いセカイ系とアンチ・キャラクター的想像力 佐々木敦 [音楽]アーバンギャルドの「少女の王国」 高橋カヨ子次世代作家ガイド 磯部剛喜/卯月鮎/岡和田晃/前田久各論については未知の分野もあり判らないことも多いですが今回この特集を読む中であらためて感じたのは自分にゲーム体験が無いことである種のSFに対する共通認識をもてないということひいてはゲーム経験の多寡やゲームの種類によって感性にかなりの差が形成されているだろうということいまさらかもしれませんが・・しかしそれが無くても次世代作家でも面白いものは面白いしつまらないものはつまらないこれはどの世代の作家でも同じこと今回のガイドではなんと1980年代生まれの作家まで出てきている!しかし恐れず拒まず挑んでみましょうただし人生の残り時間考えても「小説」以外は無理ですけど第6回日本SF評論賞選考委員特別賞は藤元登四郎さんの「『高い城の男』-ウクロニーと「易経」」「時間改変SF」と「易経」でのディックについての論考ですがそのキーワードから導かれる想像とは異なりとても判りやすく面白かったです連載評論《現代SF作家論シリーズ》は第6回アーシュラ・K・ル・グイン論「氷原のアンティゴネ―『闇の左手』論」 石和義之んとこちらはかなり難解・・「ル・グイン」を理解するのは難しいついでに長山靖生さんの「僕がSFでマンガでアニメで、おたくと呼ばれた頃 ―記憶のなかの80年前後SFファンダム史<後篇>」柴野拓実さんが「おたく」という言葉を使いはじめたという話には驚き3回連載の最終ですけどなんだか懐古して寂しくなった気がします年寄りのたわごとか時代を担う若者へのエールなのかフィクションの連載は飛浩隆さん「零號琴」が第17回山本弘さん「輝きの七日間」が第4回短篇の感想ですが1篇だけで寂しい『「僕の物語」における「の」の物語』 水元雅彦「物語構造」をキーワードに脳科学とメタフィクションを織り込んだアルジャーノン風味のラブストーリー硬質な文章が残念な点かな
Feb 11, 2012
コメント(0)
『SFマガジン』2006年2月号読了しました本号は恒例の「日本人作家特集」です1970年代のの2月号の「日本人作家特集」は第1世代から第3世代の作家さんの作品が大量に掲載されホント分厚くていつも楽しみにしてましたただしその分価格も高くて当時の乏しいこづかいではきつかったですけど今回は「日本作家特集」といいながら夢枕獏さんの新連載と田中啓文さんの連載以外の短篇は4篇でさみしいですそのぶんなぜか海外作品が4篇おかげで読みごたえはありましたが私の感想では海外チームが優勢でしたね・・ガンバレ!日本!1月号から始まった巻頭の「My Favorite SF」は山田正紀さんが「宇宙船ビーグル号」について中学生の頃に夢中で読みふけったが後に読み返した時には最初の興奮が戻ってこなかったという経験を書いておられますその感じよく分かります私にとってもSFの黄金時代は中学生時代どれを読んでも新鮮で面白かった・・その後は頭でっかちになって屁理屈ばかりこねくり回し肝心のピュアな感性はウソのように消えてしまった山田正紀さんは最後にもう一度読み返すことを想い「最後の航海でなければみえてこないものもあるのではないか、 せめてそのことに期待したい」と語られます人生における読書の意味を考えさせられました「第17回SFマガジン読者賞」の発表海外部門受賞作 「アイスクリーム帝国」ジェフリー・フォード(3月号)受賞作 「ひとりっ子」グレッグ・イーガン(4月号)第3位 「エメラルド色の習作」ニール・ゲイマン(5月号)第4位 「氷河」アレステア・レナルズ(12月号)第5位 「クッキー・モンスター」ヴァーナー・ヴィンジ(3月号)国内部門受賞作 「メヂューサの呪文」山本弘(5月号)第2位 「フリーランチの時代」小川一水(9月号)第3位 「遊星からのカチョーフウゲツ」桜坂洋(7月号)第4位 「恒星間メテオロイド」野尻抱介(9月号)第5位 「零式」中川裕之(7・9月号)私はランキング付けは苦手ですが自分が面白いと思った作品がほぼ選ばれていることになんだか安心して満足しました連載作品は夢枕獏さんの「小角の城」が新連載田中啓文さんの「罪火大戦ジャン・ゴーレ」が第13回というところで短編の感想に・・「ハイフライト・マイスター」 小川一水人類が太陽系一帯に進出している150年後の未来小型の低推力宇宙船を使って運び屋をしている主人公相棒はハウスキーパーAIが入ったのっぺらぼうのヒューマノイドロボットだけミッション中に彼らが見つけたのは150年前の探査機「ハヤブサ」の遺物それが孤独な主人公の心にもたらしたものは・・・と書きましたけどオチの意味が解らず撃沈誰か解説して!「月を買った御婦人」 新城カズマメキシコ帝国の令嬢が結婚の条件として求めたものは「月」月をめぐる男たちの争いは科学技術の発展の速度と方向を変えていったが・・かぐや姫の物語と『月世界旅行』でロマンチックなお話しになりました「ダーフの島」 藤田雅矢ゲラマ島にいるダーフと呼ばれる小人の秘密はちょっと怖いような不思議なファンタシー「純潔の地に、獣たれ童貞の徒よ」 牧野修童貞のオタクたちが萌えて世界を救った・・という話だと思うけど私には手強すぎる物語でした「痕跡」 スティーヴン・バクスター/中村融 訳キリスト教信仰が人間原理によってたつ遥か未来物質の過去を記録しているペリー相を解析し過去の映像を取り出す技術を使用して過去何十億年も環境が変らなかったオールト雲内の彗星の核を調査した結果・・さすがバクスターのハード宇宙SFですタイムマシンを持ち出せば簡単なのにこんなこと考えてしまうなんて「ルシフェラーゼ」 ブルース・スターリング/小川隆 訳2種のホタルとハエトリ蜘蛛の織りなすドラマでもSF?「みなしごハッチ」みたいなアニメのお話しに思えてしまいました「マレーシアの人魚」 ジェイン・ヨーレン/中村融 訳ロンドンの裏通りにある骨董品店でミセス・スタンプリーは人魚のミイラを見つけるがその場で魔法のとびかう戦いがはじまる淡々と戦うミセス・スタンプリーが素敵です・・「アニタ」 キース・ロバーツ/井上知 訳見習い魔女のアニタと魔女のおばあさんクスクス笑える魔法のおはなしです
Feb 5, 2012
コメント(0)
SFマガジン2011年6月号読了しました本号の特集は2本立て「パオロ・バチガルピ特集」と「新海誠特集」です新海誠さんはアニメーション監督です新作映画『星を追う子ども』の公開を記念しての特集ですインタビューと新作及び過去の作品の紹介と解説です私は以前『秒速5センチメートル』を観ましたが幻想的な美しさを持つ画面に引き込まれた記憶がありますがSFマガジンで紹介された話題の作品ぐらいしかアニメは観ないので機会があれば新作を観てみようかな・・程度でごめんなさい「パオロ・バチガルピ特集」は短編2作と著者インタビューと特集の解説記事だけですがずっしり重い読み応えでした短篇はそれぞれ異なったテーマですがどちらも現代社会を鋭く見据えたSF文学として心に残りましたこれほど力強くストレートなメッセージをもった作品には久しぶりに出会ったような気がします連載評論《現代SF作家論シリーズ》は第5回で海老原豊さんのフィリップ・K・ディック論「存在の「黒い箱」と共感の地平」ディックが亡くなって今年で30年だそうですしかし今もその作品の魅力が色あせることがないのは驚異的ですねその他では第6回日本SF評論賞の発表と選評そして最優秀賞作品の掲載です関竜司さん「玲音の予感―『serial experiments lain』の描く未来』SF評論賞6回目にして初のアニメ作品の評論ということです10年前にテレビ東京系で放映されていた作品ですもちろん観ていませんので評論を一応読みましたがまたしても「アニメ」に降参ですそして前号に続いて長山靖生さんの評論の2回目中篇の掲載「僕がSFでマンガでアニメで、おたくと呼ばれた頃 ―記憶の中の80年前後SFファンダム史」おっとここでもアニメが・・SFファンはどれくらいの割合でアニメファンでもあるというのでしょうねそれ以外に目立ったのは震災関連のコメント《椎名誠のニュートラル・コーナー》第25回で「世の中真っ暗闇でもいいじゃぁござんせんか。」海外との比較で明るすぎる日本のあかりについて鹿野司さんの「サはサイエンスのサ」では放射能への過剰な反応についての考察これは同意できませんでしたあまりにも楽観的でありチェルノブイリでの甲状腺がんの死者が「20年間でで15人に留まった」などのことばにはおもわず拒否反応がでました香山リカさんは「復興を急がずに」と題して「ほんとうに必要なものはとてもわずか」と自覚して無理をせずにそれぞれのペースにあわせた暮らしを取り戻すことを目標にとのことばには考える価値があると思います長々と書いてしまいましたがここらで短編の感想を・・「ギャンブラー」The Gambler パオロ・バチガルピ/古沢嘉通 訳近未来?いやリアルな話かもしれないそう思わせるようなネットワークでのニュース配信をめぐる物語ネットワークで情報は瞬時に世界の隅々まで届けられるがそこで求められているのは真に価値ある情報なのかインターネットが経済のみならず「アラブの春」などで明らかなように政治までも変えつつある今その取扱いについての哲学が必要となってきているのではないでしょうか「砂と灰の人々」The People of Sand and Slag パオロ・バチガルピ/中原尚哉 訳荒廃がすすんだ未来人類はバイオテクノロジーにより自然に依存しないで生きることが可能になり動物は動物園でしかみることが出来なくなっていますそんな時代ある鉱山の警備の3人グループが一匹の犬を拾うその犬との生活が彼らの心に残した小さな波紋人類の未来を憂慮したくなる作品です連載小説は飛浩隆さんの「零號琴」は第16回山本弘さんの「輝きの七日間」は第3回
Feb 2, 2012
コメント(0)
全68件 (68件中 1-50件目)