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なんだこれ!と読み始めて驚愕とにかく ファンキーでジャンクで過剰なまでに饒舌な文体まるでどっかのクラブのぶっ飛んでるDJのマシンガントークそれも 登場人物の会話だけでなく 地の文章も同様なので驚かされるそこで語られている グラムロックやESCという欧州の音楽コンテストの知識のない私にはまるでチンプンカンプンで意味不明なワードの羅列も多くてそのうえ SFとしてのアイデアやギミックも 超絶ハイパーでなにしろ 宇宙船の動力源が・・・なんて とうてい理解不能なので ストーリーも遅々として進まず 同時に私の理解もおぼつかずなんとか 読み解いてみたら 地球の危機を救うのが 落ち目のロックシンガーというまあいえばよくある話なんですけど 本書のキモはやっぱりこの濃密でイカレテル文体でしょうねとはいえ 普通の作家さんが書いたら 1/3の分量で終わる話かもしれませんけど・・・原本の文体がどういうものかは知りませんが翻訳した小野田和子さん ベテラン翻訳家とはいえ 大変だったでしょうね『デシベル・ジョーンズの銀河オペラ』 SPACE OPERA (2018) 著 者 キャサリン・M・ヴァレンテ 訳 者 小野田和子 発行者 早川書房 ハヤカワ文庫SF 2418 初 版 2024年7月25日
Sep 18, 2024
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当時 さかんにテレビニュースで映像が流されたので まだ記憶に新しい西之島の誕生と 沖縄などの海岸に大量に流れ着いた軽石の発生源としての福徳岡ノ場の海底火山の噴火の 解説にはじまり著者が実際に調査に訪れた世界各地の火山島についてそこに至る旅程などのエピソードも楽しく 火山島の生成過程を丁寧に解説していて解りやすく面白かったです 口絵のカラー写真も美くしいですしかし 火山の噴火は恐ろしい災害であることも あらためて感じました有史以来 火山災害で 都市が壊滅し 火山噴火による津波により多くの人命が失われ現在の阿蘇カルデラを形成した阿蘇4噴火は9万年前なのでそこで人類(縄文人)がいたかどうかは知りませんがその火砕流が海を渡り山口県まで到着した痕跡があるそうで(この話は 以前「ブラタモリ」の阿蘇の回でも触れられていました)おそらく九州全域が壊滅したでしょうねもし 九州で再び同程度の巨大噴火が起こったらと思うと・・・未読なんですが 石黒耀さんの小説『死都日本』がこのテーマだそうでちょっと 読んでみたくなったのですが自然は美しいといいますが巨大地震も巨大噴火も 小惑星の衝突も すべてこの地球の自然現象でその自然がひとたび牙をむけば 人類は無力であることを思います『島はどうしてできるのか 火山噴火と、島の誕生から消滅まで』 著 者 前野深 発行所 講談社 ブルーバックス B-2267 初 版 2024年7月20日 目 次 第1部 島の誕生から成長へ ~「若い島」では何が起こっているのか 第1章 目のあたりにした火山島の誕生 ― 西之島ができていくプロセスを目撃できる幸運 第2章 成長し続ける火山島 ― 西之島の噴出したての岩石から見えてきたもの 第3章 海底火山の爆発的噴火 ― 派手な噴火と短命な島だった福徳岡ノ場 第4章 薩摩鬼界ヶ島沖に出現した新島 ― 人が住む場所近くの海域噴火に、目を向ける 第5章 何が火山噴火の様式を決めているのか 第6章 噴火による破壊と創造 ― 地球規模の影響を及ぼすクラカタウの大噴火 第7章 古代文明滅亡の謎を秘めたエーゲ海の火山島 ― サントリーニ 第8章 巨大化した火山島「西之島」 ― マグマの変化で噴火様式が激変 第9章 溶岩流・噴煙・火砕流 ― 火山の成長を支える、多様な表面現象 第2部 島の成熟から崩壊へ ~ 「変化し続ける島」を探る 第10章 街を丸ごと飲み込んでしまう火山灰 ― 活動を続けるモンセラート 第11章 江戸時代の山体崩壊と大津波の痕跡 ― 日本海に浮かぶ絶海の孤島「渡島大島」 第12章 噴火で再び無人島に ― 戦争から立ち直った小島、アナタハンの災禍 第13章 海域火山の密集地帯で何が起きているのか ― 北マリアナ諸島 第14章 岩屑なだれ・津波・カルデラ崩壊 ― 火山噴火が生み出す破壊的な表面現象
Sep 8, 2024
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この2年程韓国SFを何冊か読んできましたがそれらの印象と同じものを本書でも感じましたそれは SFなのですが作者の視線は 現実の韓国社会の問題に向けられているということそれについては 巻末で池澤春菜さんが 詳しく論じられていて私などが何かを書く余地は残っていませんただ 先日読んだ『台湾文学コレクション1近未来短編集』でもSFが 今を語るツールとして用いられていると感じたのですが本書はそれに比べて SFが単なるツールではなくSFとして 物語として 面白さを成立させていて より読みやすい作品集でしたたとえば表題作では AIを主人公に据えて土星の衛星タイタンに救援物資を届けるミッション中の宇宙船での乗組員の対立を AI目線で描くことにより合理的なAIが感じる 人間の愚かさや不合理な行動を問いかけながら危機に面した人間心理を スリリングに表現しまたまたあのモンスターに頼るんだという 某ハリウッド映画なんかより新しい視点で人間心理を解き明かして ずっと映画化にむいてるよと思いながら読み進めましたがあらら これは映画化できないねというラストに やられましたけどねというように どの作品も 読者を退屈させない一級のエンタメであると同時に政治問題から教育問題 ジェンダー問題などで 優れた社会批評の作品だと感じました『どれほど似ているか』 HOW ALIKE WE ARE (2020) 著 者 キム・ボヨン 訳 者 斎藤真理子 発行所 河出書房新社 初 版 2023年5月30日 収録作品 『ママには超能力がある』 『0と1の間』 『赤ずきんのお嬢さん』 『静かな時代』 『ニエンの来る日』 『この世でいちばん速い人』 『鐘路のログズギャラリー』 『歩く、止まる、戻っていく』 『どれほど似ているか』 『同じ重さ』
Sep 4, 2024
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恒例の 終活のための積読SFマガジン もったいないから読んでます本号は「創刊39周年記念特大号」ということで 512ページのボリュウームそして量だけだなく 特集の海外短篇と日本作家の中篇が読み応えありましたその海外短篇は「年代別SF特集① 豊饒の1950年代SF」としてベスター スタージョン を初めとしてビッグネーム10名の短篇が壮観でしたしかし 今から70年以上昔の作品なので 科学的な古さは否めないもののウィットに富んだストーリー運びはさすがでしたなかでも ゼナ・ヘンダースン氏の《ピープル》シリーズの第1作が掲載されていてシリーズ未読なのをかなり後悔しました 図書館にあるかな?そして日本人作家では 「傑作中篇競作」として野阿梓氏の『ソドムの林檎(前篇)』が おっとサイバーパンクじゃん と面白くて後篇に期待最近お気に入りの高野史緒氏は『エクス・オペレ・オペラート』で13世紀のヨーロッパを舞台に 異なる歴史の中で 信仰と科学の対立を考察されていてさすがでしたそして巻末には 神林長平氏の《新・雪風シリーズ》最終話として『グッドラック』が正直 雪風シリーズはちゃんと読んで来てなくて ここらで最初から通読しないと現在連載中の第5部が終わったら 慌てることになりそうですよねその他巻頭で 森岡浩之氏の『星界の断章ー創生』が掲載されていて《星界》の始まりの物語りということで 面白かったけどやっぱり《星界》シリーズは読む時間が取れそうにないな 生存中に一応 特集の作品のリストもあげておかないと 忘れてしまうからね『オッデイとイド』アルフレッド・ベスター/伊藤典夫訳『墓読み』シオドア・スタージョン/大森望訳『フィルスクの陶匠』ジャック・ヴァンス/酒井昭伸訳『静かな銃』ロバート・シェクリイ/小野田和子訳『世界を食べた男』フレデリック・ポール/中村融訳『必要経費は宇宙持ち』C・M・コーンブルース/浅倉久志訳『めぐりあい・・・・・・』アルジス・バドリス/田中一江訳『大いなる餓え』ウォルター・M・ミラー・ジュニア/米村秀雄訳『壁の中』シオドア・R・コグスウェル/南山宏訳『アララテの山』ゼナ・ヘンダースン/深町眞理子訳ということで 25年前の雑誌で70年前の短篇SFを読んで満足した記録でした
Aug 31, 2024
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中華SFファンとしては 台湾であろうが どこにもSFの表記がなかろうが「近未来短篇集」のタイトルがあれば 読まないわけにはいかないでしょう実際 中華SFのアンソロジーには台湾の作家さんの作品も収録されますしそして 8つのとてもバラエティに富んだ近未来小説を読んだのですが・・・確かに 近未来が舞台であり SFではお馴染みの設定やガジェットが登場しますがどうも テイストがコアなSFとは異なっている味わいでしたそして思ったのは これは純文学だということ純文学が AIを初めとするITなどの技術の発達や分子生物学や脳科学の進歩によって 急速な変容を遂げている人間や現代社会を描くためにSFをツールとして取り込み利用しはじめたのではないのでしょうかあるいは そんな高度な目的ではなくミステリがSFを丸呑みして 特殊設定ミステリというキメラを産み出したように文学のなかでSFというものが一般化しただけのことかもしれませんけど よくわかりません本書では ポストヒューマンの性をテーマにする作品から始まって人格のスキャンデータをコピーして アンドロイドにインプットしたら・・・とかAI搭載の介護ロボットを受け入れることのできない老婦人の問題とか近未来の社会において 人類が直面する未来を考察しているようでもありますが実は 今日の人間と社会の抱えている問題を突きつけているのかも知れませんということで 拝読中しばしば 思考の迷路に迷い込み 前に戻ったりしてかなり時間をかけた読書になりました単純に面白かったというものではなく 考えさせられる一冊でした『台湾文学コレクション1 近未来短篇集』 編 者 呉佩珍 白水紀子 山口守 訳 者 三須祐介 発行所 早川書房 初 版 2024年7月15日 収録作 『去年アルバーで』 賀景濱 『USBメモリの恋人』 湖南蟲 『雲を運ぶ』 黄麗群 『小雅』 姜天陸 『ホテル・カリフォルニア』 林新惠 『2042』 蕭熠 『逆関数』 許順鏜 『バーチャルアイドル二階堂雅紀詐欺事件』 伊格言
Aug 30, 2024
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普段、少女小説は全く読まない 本読みジジイなのですがタイトルの「とSF」のひとことと 新井素子さんが作者の筆頭にあげられていることおまけに 星海社さんの発行ということで なにを血迷ったか読んじゃいましたそして やっぱり 少女たちの感覚や言葉使いがくすぐったかったりしたものの作品と作者の紹介を読んで 少女小説を主戦場とされてる作者の皆さんがSFを愛して 真摯にSFに向き合っていらっしゃることに感銘を受けましたなかには 私などが考えもしないような 少女視点からの斬新なSFアイデアや人間心理への考察もあって 9作の作品すべて面白く拝読いたしましたただし カフェの店頭でジジイが この表紙の書物を しかめっ面して読んでいる風景はどうだったのでしょう かなりヤバかったかもしれませんねということで 少女小説方面にもSF文化が広まっていることも よきことだとは思いますがジジイの残り少くない時間を考えると・・・やっぱり これからも少女小説のレーベルの本には手を出さないでしょうねごめんなさ~い (乃木坂46の新曲「チートデイ」の井上和ちゃん風のイメージで・・・)ただし 本書で出会った作家さんの作品と いつかまた アンソロジー等で出会えたらと思います『少女小説とSF』 編 者 嵯峨景子+日本SF作家クラブ 発行所 星海社 初 版 2024年3月26日 収録作 『この日、あたしは』 新井素子 『ぼくの好きな貌』 皆川ゆか 『わたしと「わたし」』 ひかわ玲子 『ロストグリーン』 若木未生 『守護するもの』 津守時生 『あなたのお家はどこ?』 榎木洋子 『一つ星』 雪乃紗衣 『とりかえばやのかぐや姫』 紅玉いづき 『ある恋人たちの話』 辻村七子
Aug 18, 2024
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本書は 大多数の人々が事実として信じ受け入れている 科学的な事実を否定する科学否定主義者についての論考であり 科学書ではなく哲学書です私が科学否定主義と聞いて まず思い浮かべるのは キリスト教原理主義による創造論です本書の冒頭で扱われている 地球が平面だと信じているフラットアーサーについては私は初耳でしたが 現代社会でまだそんな人々が存在しているというのは驚きでしたしかし読み進めると 彼らも創造論者と同じ 聖書が神の言葉だと信じる者であると判りましたただ 私も聖書は読みましたが 地球が平面であると書いてあったかどうかは定かではありませんがつまり 彼らが科学を信じないというのは まず聖書を信じる信仰が根本にありそれを否定するような進化論や天文学のほうが間違っているのであり科学者がその証拠だとするものは すべてニセ情報であり究極的には その背後には人々を惑わす悪魔の働きがあるということになります創造論者によってアメリカの教育現場などでは争いもあったりアメリカ社会の分断の原因のひとつとなっていますがネオ・ダーウィニズム懐疑論者である私からみれば今の進化論はある種の信仰であるような気もしますが それはまた別の話ただ 宗教を信じるものが何を信じているかは 思想信仰の自由でありそれによってオウム真理教のような 社会への攻撃性を持たない限りその信仰のゆえに心穏やかに生きているなら それを否定する資格は誰にもない気がしますただし 本書が次に扱っている 気候変動=地球温暖化の否定やGMO食品=遺伝子組み換え作物への拒否 またコロナワクチンへの疑義はフラットアーサーたちとは まったく別の問題でしょうね特に アメリカの前大統領のように 政治のトップにいる人物が極端に間違った情報を信じて 誤った政策をとってしまう危険性は重大な問題ですそれを危ぶむなら 次の選挙で彼に投票しないという選択肢がありますが共和党の支持者の熱狂ぶりからして どうなんでしょうその人々のうちにあるのが 未来の危機ではなく 現時点の経済利益であるかぎり暗澹たる未来が待っているのかもしれませんとにかく 本書の目的が 科学否定論者をどう説得するかであるならそれは かなり困難な道なのでしょう『エビデンスを嫌う人たち 科学否定論者は何を考え、どう説得できるのか?』 HOW TO TALK TO A SCIENCE DENIER: Conversations with Flat Earthers,Climate Deniers,andOthers Who Defy Reason (2021) 著 者 リー・マッキンタイア 訳 者 西尾義人 発行所 国書刊行会 初 版 2024年5月25日 目 次 第1章 潜入、フラットアース国際会議 第2章 科学否定とはなにか? 第3章 どうすれば相手の意見を変えられるのか? 第4章 気候変動を否定する人たち 第5章 炭鉱のカナリヤ 第6章 リベラルによる科学否定? 第7章 信頼と対話 第8章 新型コロナウィルスと私たちのこれから
Aug 16, 2024
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グレッグ・イーガン翻訳単著制覇まであと5冊本作品は従来の作品に比べて 難解な物理法則に悩まされることはありませんでしたがそのぶん 2つの主題によって じっくり考えさせられる読書となりましたまず冒頭の舞台は 政治的な混乱のなかにある 2012年のイランそれは現代の私たちが振り返ることのできる イラン社会ではありませんが本書の執筆完成が2009年だったそうなので あくまで物語ではあるのですがそこから飛ぶ第二部の未来も 2027年でほぼ現代まさか イーガンが国際政治アクション小説を書くわけがないと思いましたが2024年の現在 イランは中東戦争一歩手前の緊迫のまっただなかにあるのでなぜイランを本書の舞台に選んだのかも気になるところではありましたそして 本書の主題は イーガン作品で度々取り上げられてきた ヒューマン・アップロード本書では 「ヒト・コネクトーム・プロジェクト」と呼ばれて主人公のイラン人の女性科学者が登場し研究の初期段階として 脳神経学的にヒトの思考の分析過程が細かく語られていきますそして そこに幼い息子を残してガンによる死を目前にしてそのプロジェクトに ひとつの希望を託そうとする もうひとりの主人公が絡み合ってより切実に コンピュータに意識を残すことが 永遠の生へのとばぐちとなりえるのかより深く考えさせられる内容だったと思いますそもそも ヒトの意識・感情・記憶とは何なのか現代の脳科学が発達した状況でも いまだ手探り状態で答えがでていない現実で肉体が死亡したあとの「心」を コンピュータで再現することに どういう意味があるのか本書でも ひとつの言葉が提示されていますが 重要な言葉だと感じました未読の方のために 伏字にしますが 考えさせられる言葉でした「もし何かを人間にしたいなら、人間まるごとをおつくりなさい。」最近の小説だけでなく 映画やドラマなどの各種エンタメでもマインド・アップロードや転生が 流行していますが結局それらは「魂」と同じものを 呼び名を変えて再利用しているだけでこうして 人間の「意識」や「心」を 科学的に考えていかなければならないのでしょうねそこには「AI」とは何かという問題も絡んで来るでしょうからということで イーガン訳出済の本で 未読なのはあと4冊次は10年近く前に あまりの難解さに挫折した『クロックワーク・ロケット』を初めとする三部作はたして 私の読解力は向上して こんどこそ制覇なるのでしょうか『ゼンデギ』 ZENDEGI (2010) 著 者 グレッグ・イーガン 訳 者 山岸真 発行所 早川書房 ハヤカワ文庫SF 2014 初 版 2015年6月25日
Aug 12, 2024
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「はじめに」の冒頭に「本書は、執筆活動をしている人、してみたい人、続けていきたい人のための手引書です。」なんて刺激的なお言葉が掲げられていますけどまさかこの歳で SF作家になってやろうなどという野望を抱いてるわけではなくただ SF作家のみなさんが どんなモチベーションと思索に基づいて 執筆されているのかしかも 本書に登場しているのは 私が存じ上げていない方を含めて 若手の作家の皆さんなので私などとはかなり世代差もあるので どんな考え方でSFに向き合っているのかそんな興味で読ませていただきましたがまだ専業作家ではなく 研究職や技術職の方もいらっしゃってそれぞれのSF感も様々で 面白かったですそして それ以上に興味深かったのは 現代のSF出版事情のあれやこれやですまず この10年あまりで 公募コンテストが増加し 多数の才能を輩出していますしミステリや文芸分野のコンテストでも SFからみの作品が受賞されていて作家志望の皆さんには いい時代になったのでしょうねただ「本屋大賞」の受賞作品や候補作品には SFが少くない気がしてるのは私だけかなまだまだ SFの盛り上がりは ジャンル内にとどまっているのでしょうかねそして 知らなかったのは 作家のみなさんが 企業とコラボして「SFプロトタイピング」という働きが広まっているということ一般読者の目の届くものではないようですがSF作家さんの 貴重な収入源であるとともに 社会貢献の働きでもありそうですねそして SF発表のステージとして webが重要さを増していてwebきっかけでデビューした作家さんも増えてきましたねこの 状況は ボカロやDTMの進化から webでの盛り上がりで多くの才能が花開いたミュージックシーンとも共通のトレンドでエンタメにおける webの重要性を感じさせられますねそして 最後に心に突き刺さったのは 近藤銀河さんの ジェンダーについての論説近頃 百合やBLという主題で 様々なSF作品が発表されていますがはたして SFはこの深遠なジェンダー問題を どう展開していくことが出来るのでしょうかそれは 人間問いう存在を どう記述していくべきなのかを問われる問題ではないでしょうか『SF作家はこう考える 創作世界の最前線をたずねて』 編 者 日本SF作家クラブ 発 行 Kaguya Books 発 売 社会評論社 初 版 2024年4月27日 目 次 第一部 作家のリアルとそこで生きる術 SF作家のリアルな声 【対談】 SF作家になるには 大森望 小説にかかわるお仕事① 編集者 戦略的にコンテストに参加しよう 小説にかかわるお仕事② 翻訳者 小説にかかわるお仕事③ 校正者 第二部 フィクションとの向き合い方 え?科学技術とSFって関係あるんですか?本当に? SFと科学技術を再考する 【対談】 小説にかかわるお仕事④ デザイナー “社会”の中でフィクションを書く 過去に描かれた未来 マイノリティの想像力とSFの想像力 近藤銀河 小説にかかわるお仕事⑤ 『WIRED』
Aug 6, 2024
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劉慈欣氏のベストセラーSF『三体』シリーズの敵役三体星人の母星のある星系は3つの恒星が存在するがゆえの 過酷な環境下にあってということでなんだか 解ったような解らなかったような程度で 小説は読んだのですが宇宙における3つの天体の運動を解き明かすことがそれほどの難題であったことは知らずにいましたなので本書を読んだものの かなりの難読でしたといっても 本書では高度な数式を使って 三体問題そのものを解説しているわけではなく歴史上の天才科学者が 天体の運行を解き明かそうと どのような努力を払いそして試行錯誤を繰り返してきたかまた 三体問題を解決することが 太陽系だけでなく銀河系の成り立ちや運行を解明するのにどう関わってくるのかという 宇宙物理の概観の解説が中心なのでなんとか 最後まで好奇心に引きずられて読み終わることができましたもし 数式が登場して三体問題の詳細が解説されていたら高校数学Ⅰでドロップアウトしたわたしは 挫折していたでしょうねそんななかで 先日読んだ『天体衝突』で書かれていた小惑星や彗星の地球への衝突の可能性についても この三体問題が鍵を握っていてその軌道が太陽や各惑星の重力の影響を受けることで地球への衝突の確立を計算するのが 非常に難しい問題であって2004年に発見された「アポフィス」という天体が 2029年の地球接近の際にどこを通るかで 2036年に地球に衝突する可能性が出てくるということでちょっと恐ろしい話題まで登場していましたその他 銀河系の運動や成立過程や衝突などについてや銀河中心の巨大ブラックホールが連星であった場合の挙動などすべて各天体の重力の複雑な働きが問題であること等々やはり まだまだ宇宙は謎に満ちているようです『宇宙の超難問 三体問題』 THE THREE-BODY PROBLEM FROM PYTHAGORAS TO HAWKING (2016) 著 者 マウリ・ヴァルトネン ジョアンナ・アノソヴァ コンスタンティン・ホルシェヴニコフ アレクサンドル・ミュラリ ヴィクトル・オルロフ 谷川清隆 監 訳 谷川清隆 訳 者 田沢恭子 発行所 早川書房 ハヤカワ新書 022 初 版 2024年4月25日 目 次 第1章 古典的な問題 第2章 ニュートンからアインシュタインまで ― 運動の法則と重力の法則の発見 第3章 彗星からカオスへ 第4章 フラクタル、エントロピー、時間の矢 第5章 太陽系 第6章 銀河の相互作用 第7章 三体問題の歴史 第8章 ブラックホールとクエーサー
Aug 5, 2024
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いつもお元気な池澤春菜お姉さまの 初のSF作品集 なんかその事実だけで嬉しいいつもお元気なと言っても 実際にお会いしたことは もちろんございませんが「SFマガジン」の連載「SFのSは、ステキのS」をかかさず読んでXのアカウントをフォローさせていただいて そのご発言も読んで世界を飛び回っておられる行動力に圧倒されていますから お元気としかいいようが言えませんそんなお姉さまが SF小説の創作にチャレンジされたのも その行動力のなせるわざしかも その目標のために 「ゲンロン大森望SF創作講座」を偽名で受講されてどれだけ 真剣で真面目な方なのでしょうか その心意気に感服しておりますさて 本書に収録されているのは その「ゲンロン大森望SF創作講座」のための5作品を含むとてもバラエティに富んだ7つの作品SFファンであるお姉さまは 海外作品を中心に膨大なSF小説を読んでこられてますからいずれも SF小説のコアから外れることのない 王道のSFですねしかも お姉さまご自身の博識と理解と思索によって 独自の世界観も提示されていますたとえば 流行のテクノロジーである ブレインコンピュータインターフェイスに対してそれは便利かもしれないけど そこに人間の幸せがあるのかとか不老不死はどうなのとか 未来へ向けて考えてみましょうよ と 問いかけられた気がしますそんなわけで ぶっとびハチャメチャSFを含めて とても面白かったですこれは 女性作家とか男性作家というカテゴライズぬきで期待のSF作家の新星の誕生という 喜ばしき一冊なのではないでしょうかはやくも 次回作が待ち遠しくなっております・・・・お忙しいとは存じますがあれ 褒め過ぎだったかな もともとファンなのでご容赦くださいませ『わたしは孤独な星のように』 著 者 池澤春菜 発行所 早川書房 初 版 2024年5月15日 収録作 『糸は赤い、糸は白い』 『祖母の揺籠』 『あるいは脂肪でいっぱいの宇宙』 『いつか土漠に雨の降る』 『 Yours is the Earth and everything that's in it 』 『宇宙の中心でIを叫んだワタシ』 『わたしは孤独な星のように』
Aug 2, 2024
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かつて ハードボイルド&冒険小説リーグにど嵌りしていた時代がありその頃 そのリーグのトップランナーであった志水辰夫先生の著作を 次々に読んだ時代がありました推理小説は苦手な私ですが 志水作品の主人公の人生観とか生き方に強くひかれていましたしかし その後 突然時代小説にホームグラウンドを移され私も追っかけて 何冊か読みましたが 主人公の生き様は共通していたもののやはり時代小説への苦手意識があり 距離をおいてしまいましたところが なんと19年ぶりに現代小説が出版されたと知って遅まきながら 手に取りましたそして変わることのないシミタツ節に再会して どれほど感激したことかただし 志水先生ご自身が80歳代後半の年齢となって(そのお歳でこれだけ密に入り組んだ物語を構築できるのは驚異的ですけど)主要な登場人物が そろって高齢者という シルバー・ハードボイルドで痴呆症などの病気や 定年後の人生が語られ主人公も65歳の介護師で 老人介護の現場が描かれていますだけど 私自身も同様に歳をとっていますから まさに心に刺さることばかりアクションシーンも登場しますが 年齢的に痛々しかったりしますがそのぶん 人生を語る見識は確かなものでしたぜひ シリーズとは言いませんが シリバー・ハードボイルを 書き続けていただきたいです『負けくらべ』 著 者 志水辰夫 発行所 小学館 初 版 2023年10月8日
Jul 31, 2024
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昨年『グラーフ・ツェッペリン あの夏の飛行船』を読んでその感性に共感してファンになると決断した高野史緒先生の新刊タイトルと可愛らしい装丁から 本にまつわるファンタジックな物語かと想像したのですが・・・たしかに 面白いSF設定や幻想的な物語が展開するのですが高野先生の眼差しは シビアに 書物や読書というものが置かれている未来の話ではなく 今日の現状に向けられて 憂いを持っておられると感じました『ハンノキのある島で』における 主人公久子のモノローグは高野先生ご自身の思いを吐露したモノローグであるのではないでしょうか本が売れないからといって その分を埋め合わせようと 毎日のように膨大な新刊が発行されそのうえ まだ読み残してきた名作と呼ばれる過去作も毎年増加する始末謝らなければいけないのかもしれませんが 終活に向き合わなければならない年齢にさしかかって私は雑誌類を含めた新刊の購入をやめて もっぱら図書館に依存していますがそれでも 老後の楽しみになどとうそぶいて ドラマや映画を録画したメディア類もあふれかえり昔 一冊の本を大事に読み たまに映画館にでかけて鑑賞した映画が心に残った時代はいつのまにか 過ぎ去って 本や映像や音楽のコンテンツが スマホから流れ出している時代このエンタメ過剰供給の時代をどう生きればいいのかふりかえって 私はなぜ本を読み続けているのか主な原因は私の心に蔓延る好奇心というものですがひょっとすると 退屈な人生の残り時間を 早く消費してしまいたいのかもしれません本書では 出版業界 評論家 翻訳家 作家 をそれぞれテーマにした作品が並んでいますがどれもこれも 重い人生をひきずっていますが そこになんとか希望を見出そうと高野先生は言葉をつむいでいらっしゃるのでしょうねいろいろ考えさせられましたもし私が死後に行けるとしたら ハンノキのある島か 迷宮のような古書店がいいです『ビブリオフォリア・ラプソディ あるいは本と本の間の旅』 著 者 高野史緒 発行所 講談社 初 版 2024年5月21日 収録作 プロローグ ダブルクリップ 『ハンノキのある島で』 『バベルより遠く離れて』 『木曜日のルリユール』 『詩人になれますように』 『本の泉 泉の本』 エピローグ ダブルクリップ再び
Jul 29, 2024
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天体衝突に関して 真面目に科学的に論考した本を初めて読みましたが 感想はヤバイでした冒頭で 2013年2月ロシアに落下した小惑星の被害が述べられていますが高度30km付近での爆発の衝撃波により 広範囲の建物のガラスが割れるなどの被害があり幸い死者はでなかったものの怪我人はでたようですその後の調査研究により 衝突したのは わずか20m以下の小惑星でしたが現在の観測システムではその程度の大きさの小惑星を把握するのは困難とのことしかし 直径1km以上の小惑星だけでもかなりの数が発見されており太陽系には無数の小惑星が存在して 地球に接近する軌道を持つものもあるそうです本書では そのあと 1908年の有名なツングースカ大爆発の原因を推定し白亜紀末の 恐竜を含む生物の大量絶滅の原因が天体衝突であったことをその研究の歴史とともに詳細に解説していますそこに記された大量絶滅のシナリオは 今日話題の地球温暖化などとは比較にならないほどの徹底的な地球環境の破壊だったことを明らかにしていますもしそのクラスの天体衝突が近い将来起こるとしたら 人類文明は終焉を迎えるでしょうとにかく 天体衝突は 地球温暖化 地震 火山爆発 などを超越する災害でありその原因となるサイズの小惑星は 太陽系に数多く存在していてるのですから人類の緊急かつ最大の課題は その防御手段の構築ではないのでしょうか『天体衝突 斉一説から激変説へ地球、生命、文明史』 著 者 松井孝典 発行所 講談社 ブルーバックス B-1862 初 版 2014年4月20日 目 次 第1章 2013・2・15 ー ロシアに落ちた隕石 第2章 地球を直撃する天体の衝突頻度 第3章 文明誕生以来記録に残る最大の天体衝突 ー ツングースカの爆発 第4章 クレーターの科学 第5章 天体衝突と地球史 第6章 激変説と斉一説 第7章 恐竜を絶滅させた天体衝突 第8章 文明史における天体衝突
Jul 27, 2024
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昨年2月に『シュレーディンガーの少女』を読んだ時に処女作から読まなければと感じたのですが 読みたい本の洪水に流されてしまいようやく読むことができたのですが いやいや大正解でした本当の単行本処女作は 創元日本SF叢書の第1回配本の『あがり』ですが調べたら この創元SF文庫版に 一作品追加収録されているということなのでこちらを選択ちなみに 第1回創元SF短編賞受賞作の「あがり」と 次作の「ぼくの手のなかでしずかに」はそれぞれ収録されたアンソロジーで読んでいたし 代書屋ミクラにも『NOVA6』で出会ってますがあらためて本書で再読して 「代書屋ミクラ」シリーズも著者が卒業した杜の都の大学を舞台とした 一連のシリーズであることを知りました「あがり」は その大学の理学部で起きた バイオSFの傑作でしたがそれに加えて その大学で生活している人々の日常がリアルに描かれSFであったり 恋バナであったり 研究者を取り巻く過酷な環境であったり様々な人々が紡ぎだす 群像劇として とても興味深く 面白かったです蛇足ですが 私はリケ女さんの発信するSNSが好きです『あがり』 著 者 松崎有理 発行所 東京創元社 創元SF文庫 745 01 初 版 2013年10月31日 原著は2011年9月発行 収録作品 『あがり』 『ぼくの手のなかでしずかに』 『代書屋ミクラの幸運』 『不可能もなく裏切りもなく』 『幸福の神を追う』 『へ む』
Jul 26, 2024
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正直 お名前の読み方も不明のまま 「創元日本SF叢書」の新刊ということだけで選んだ一冊5つの短編が収録された 短編集ですけど とんでもない一冊に出会ってしまったかもしれないどれも読み初めは これSFなの?と疑問を擁いてしまいますが作者は常識的なSFの地平線の彼方に SFを昇華させてしまったのか幻想小説でもファンタジーでもホラーでもない まごうことないSFの新しい景色が広がっていましたなのに 幾つかの作品では 現代社会の問題を鋭く批評している側面もあって今の世界を リアルに考えさせられていたりする私は 作者である空木春宵という人物は天才なのだろうと思うその頭脳のなかの シナプスの接続や組み合わせは 常人とは異なっているのかもしれないなので 凡人たる私などには 難解すぎて ついていけない部分もあったりするしかしその世界を追求していけば 超越的な哲学SFの傑作をものにするのかもしれませんその未来に注目せざるをえません『感傷ファンタスマゴリィ』 著 者 空木春宵 発行所 東京創元社 創元日本SF叢書24 初 版 2024年4月26日 収録作 『感傷ファンタスマゴリィ』 『さよならも言えない』 『 4W / Working With Wounded Women 』 『終景 累々辻』 『ウィッチクラフト□マレフィキウム』
Jul 24, 2024
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不覚にも夏風邪をこじらせてしまって 10日間ほど読書に集中することができませんでした熱も38℃程度でたいしたものではなかったけど 咳とクシャミと鼻水と倦怠感は読書欲そのものを奪ってしまいました やはり読書といえども健康が大切だと再認識でしたそのうえ その間に読もうとしていたのが S-Fマガジンの2024年06月号こいつが私にとっては 難解のかたまり 読切小説も解説類も 私の苦手な文学系のものばかりで読書スピードがあがらないこと はなはだしかったなに 早川書房の編集部には 文学博士が集まっているのでしょうか巻頭の「宇多田ヒカル×小川哲特別対談」は デビューからの宇多田ヒカルファンの私にはとても興味深く面白かったですけど追悼特集の テリー・ビッスン氏とハワード・ウォルドロップ氏は今まで接してこなかった作家さんなので ピンとこなかったですそして 仁木稔氏の『物語の川々は大海に注ぐ』は まったく面白さを理解できず架空の国々の 架空の宗教と習俗と文学による議論を どう収斂させればいいのか途方にくれました読切では ナディア・アフィフィ氏の『バーレーン地下バザール』が 面白かったインプラントの普及により 他人の死を追体験するというアイデアはよくあるものですが主人公の老婆が死を目前にして 人生や家族を考えるその物語が素敵でした私もそこそこの年齢になっていて 健康を害していたから 染みたのかもしれませんが・・・連載では 吉上亮氏の『ヴェルト』が第二部に突入し 舞台は市民革命で騒然とするパリにこの物語 強いられた「死」にまつわる 何かを追っていくのでしょうか 先が楽しみです以上 文学的素養も知識もない私には かなりハードな一冊でした願わくば 理系ハードSFよりの特集も お願いしたいですね
Jul 19, 2024
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さえない男子大学生が 誘われて合コンに行ったら そこで待っていたお相手は・・・男装したイケメン女子3人で というコメディなんだけど女がいなかったというタイトルはどうなのと思えるほどけっして男だなんんて思えない美女が3人ではないですかまあ 個人的にも おっとこまえの女性のほうが ねえ私カワイイ?なんていう系のブリッコよりずっと高感度が高いものですから 自然にこの世界に溶け込めたかもしれませんけど合コンを主催した物語の主人公は蘇芳さん演じているのは 宝塚のスター男役出身の七海ひろきさん宝塚退団後 初のテレビドラマご出演ということで 初めてお目にかかりましたが舞台中心にご活躍の素敵な女優さんですし シンガーとしても活躍されているのですね鑑賞後に調べた年齢に驚きましたが 大学院生として違和感なさすぎて すごいです同じく男装バーのバイト仲間の琥珀さんを演じたのは同じく宝塚の男役出身の如月蓮さん 彼女もテレビドラマは始めてというキュートな女優さんなのに 七海ひろきさんと同世代だという驚き 宝塚では年を取らない魔法があるのですかその男装バーのオーナーで BL漫画を描くのが趣味の藤さん演じているのは やはり宝塚出身の瀬戸かずやさん ドラマ初出演でなかなかクセ強めでしたそして またもや同世代みたいです想像していたのは ジェンダー問題がからむ ややこしそうなお話だったけど実際始まったのは まともというかクラシカルというか 見ていてやきもきしちゃうほどピュアで不器用な恋のお話 藤さんと浅葱くんの関係が恋愛なのかは保留しますがとにかく王道のラブストーリーを最終回まで楽しませていただきましたということで ラストは恒例の写真集 まずは七海ひろきさん正直 惚れましたお次は 如月蓮さん キュートすぎですそして ラストは 瀬戸かずやさん かっこいいですよねちなみに 今放送中の『彩香ちゃんは弘子先輩に恋してる』にも ご出演中です
Jul 16, 2024
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この共立出版がシリーズで発行している 共立スマートセレクション 3冊目ですけどいやいや 本書もとことん難しかったですそれは 著者の研究者の皆さんが ご自分の研究の成果を伝えたいと熱意を持ってお書きになっているからだと思いますそのぶん 一般向け科学書と違って 専門的な内容を遠慮せずに投入されるので難解ではあるのですが 他では得ることのできない 詳しい内容に触れることができるのでしょうねあくまで触れるであって 完全に理解し記憶したということではありませんけれど特に 本書の主要アイテムである「数理モデル」に関しては ギブアップでしたそんななかで学ぶことができたのは DNAの情報をもとに生物がどのように その生きるための機能と形質を作り上げているかということ核酸の4つの文字の連なりから アミノ酸を繋げて組み立てて生命になくてならない蛋白質を 選別能や触媒能の形に作り上げたり細胞自体を構成する部品や それを支える構造材になる部品を 製造する著者もまえがきで「誰かが意図的につくったかのように見えるほど巧くできたところがある」と述べていますがひとつの触媒だけでも それが作用しなければならない物質の構造にあわせて必要不可欠な構造をしているという事実 本書では その起源については触れませんがそれが 偶然の突然変異と自然選択の結果であるという ダーウィニズムは真理なのでしょうかでは どうしてできたの?と 訊かれても困るのですけどとにかく 私が生きている理由は 自然科学的には あいかわらず不明のようです本書のほとんどの部分は そうしてDNAの設計図をもとに作られた細胞がそのなかに有する機能により 数理モデルで計算可能な物理作用を利用して集まり分化し形質を作り上げているさまを解説されていますがその結果として 私の身体が成立しているというのも 驚異的です『DNAからの形づくり 情報伝達・力の局在・数理モデル』 著 者 本多久夫 コーディネーター 巌佐庸 発行所 共立出版 共立スマートセレクション 41 初 版 2024年3月30日 目 次 ① DNAからの何が形をつくるか ② 限られたDNA情報がさまざまな形をもたらす仕組み ③ 物理の世界での形づくりを眺める ④ 多細胞生物の形の特製とこれをつくり上げる細胞 ⑤ 多細胞生物の形態形成のための数理モデル ⑥ バーテックス・ダイナミクスとその応用 ⑦ 細胞の力が細胞の並び替えを起こす ⑧ 組織がらせんにねじれる ⑨ DNAから形ができるまで
Jul 10, 2024
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産業革命以降 人類が地球環境をどれほど破壊してきたかそれが地質学的に多くの痕跡を残しているとして 「人新世」という地質区分が提唱されています本書は その「人新世」をテーマに書かれた 10のSF小説を収録したアンソロジーですが発行が マサチューセッツ工科大学出版局ということで 襟を正さないといけない真面目な目的で編まれたアンソロジーなのでしょうか実際 それぞれの作品が描いているのは 気候温暖化や海面上昇が悪化した未来の人類が直面している ディストピアその中で それに対する様々な新しいテクノロジーも描かれてはいますがそれらは根本的な解決をもたらしてはいないのですSFとは 科学技術の進歩が 明るい未来をもたらしてくれると語るものだと思われていましたがどうやら 現在直面している問題を解決する道筋は SFでも描くことができないのかもしれませんでは今SFが語っている警告が はたしてよい効果をもたらしてくれるのでしょうか・・・・・・・・・そんななかで 本書には欧米の作家の作品だけでなくアルジェリア バングラディシュ 中国 出身の作家の作品も収録されていますがかなり異なった視点からの作品である感じがしました日本を含めた先進資本主義経済の枠組みでは 硬直していて解決できない問題も全く異なった 思想や哲学から 考えることも必要だということかもしれません『シリコンバレーのドローン海賊 人新世SF傑作選』 TOMORROW'S PARTIES:LIFE IN THE ANTHOROPOCENS (2022) 編 者 ジョナサン・ストラーン 発行所 東京創元社 創元SF文庫 791 02 初 版 2024年5月10日 収録作品 『シリコンバレーのドローン海賊』 Drone Porates of Silicon Valley メグ・エリソン著 中原尚哉訳 『エグザイル・パークのどん底暮らし』 Down and Out in Exile Park テイド・トンプソン著 小野田和子訳 『未来のある日、西部で』 Once Upon a Future in the West ダレル・グレゴリー著 小野田和子訳 『クライシス・アクターズ』 Crisis Actors グレッグ・イーガン著 山岸真訳 『潮のさすとき』 When the Tide Rises サラ・ゲイリー著 新井なゆり訳 『お月さまをきみに』 I Give You the Moon ジャスティナ・ロブソン著 新井なゆり訳 『菌の歌』 Do You Hear the Fungi Sing? 陳楸帆 著 中原尚哉訳 『<軍団>レギオン』 Legion マルカ・オールダー著 佐田千織訳 『渡し守』 The Ferryman サード・Z・フセイン著 佐田千織訳 『嵐のあと』 After the Storm ジェイムズ・ブラッドレー著 金子浩訳 『資本主義より科学ーキム・スタンリー・ロビンスンは希望が必須と考えている』 ジェイムズ・ブラッドレー著 (インタビュー) 金子浩訳
Jul 9, 2024
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昨年評判になった作品集ですが 読みもらしていて今頃になりましたが評判にたがわず 素敵な一冊でした収録されている6作品は SFとファンタジーとしては微妙な境界に位置しているかもしれませんがどの作品も 心に迫ってくるというか 心に沁みる物語でしたおそらくこの作風だったら 一般文芸作品を書かれても 素敵な作品をものにされると思いますがぜひSFファンタジーリーグのなかで 人々の心に寄り添うようなハートウォーミングな物語を書き続けていただきたいですねこんな時代ですからSFが描く未来も 地球温暖化の悪化によるディストピアであったりAIの進化が思いもよらなかった悪夢を想定することが多いですがどんな未来でも希望があるという 暖かいストーリーを 相川氏には書き続けていただきたいそんな 希望を持ってしまうような作品集でしたご迷惑かもしれませんが『黄金蝶を追って』 著 者 相川英輔 発行所 竹書房 竹書房文庫 あ13-1 初 版 2023年8月7日 収録作品 『星は沈まない』 『ハミングバード』 『日曜日の翌日はいつも』 『黄金蝶を追って』 『シュン=カン』 『引力』
Jul 7, 2024
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ミステリのドラマは ハードボイルド系の探偵ものや刑事ものが好きでトリックがどうのこうのという 本格ミステリのドラマは好きではないけど ついつい突込みたくなって 突っ込むのが楽しみというだけで見てるのですがこのドラマは 浜辺美波さんに メロメロにされて見てしまいました 恥ずかしながら・・・物語はお爺さんの後を継いで 時計屋を営んでいる 浜辺美波さん演じる美谷時乃ちゃんが主人公その御爺さんが生前 アリバイ崩しで警察に協力していて時乃ちゃんも その技を受け継いでいたという なんだかなという設定その時計屋の2階に 警察庁でやらかして左遷されてきた刑事部の管理官が間借りすることになって時乃ちゃんが 事件のアリバイ崩しに協力することになるという よくあるけど強引な設定しかも 県警の捜査一課はこの手のドラマによくある あまあまな設定で なんだかなあでも 原作の小説は「2019本格ミステリ・ベスト10」で1位に選出されたそうですからまあ しっかりしたミステリなのかなでも 私の目には 浜辺美波さんしか映ってなくて 正直アリバイ崩しは深く考えなかったかな私にとって ドラマ鑑賞の楽しみである ゲスト女優さんも 深夜ドラマゆえに少数でした第2話には 星野真里さん 陰のある美しさが印象的でした第3話には 橋本マナミさん 不可解な事件に巻き込まれたホステス役って もう定席ですねそして第6話で 県警組対の女帝役でかっこいい姿で登場したのがドラマのエンディング曲を歌っている 木村カエラさん これには驚きましたあと ドラマの感想で思い出すのは すみません 浜辺美波さんのことばかり最終話では あざとい演出で時乃ちゃんに犯人の魔の手が・・・ということでけっこう深刻な表情を見せていましたがとにかくとにかく 笑顔が可愛いし 好奇心まるだしの いたずらっ子の瞳が輝いてるし「時を戻すことができました」のきめ台詞に至る 推理シーンの表情は 知的な美しさが輝いてるしやだやだやだって 駄々を捏ねるシーンには もう何でも許しちゃうと思わせられるし毎回登場する 入浴シーンには 言葉を失ってしまいました はあ~そんな 時乃の思い出写真集のせちゃいますこのブログのために ドラマの公式X(旧Twitter)さかのぼってたら原作者の大山誠一郎氏が 毎回ドラマを視聴して 感想をポストされててかなり 浜辺美波さんとドラマがお気に入りだったらしくて原作からの変更(アレンジ)も好意的に評価されてましたね先日 ドラマと原作の問題がありましたがこういう いい関係を あのドラマでは出来なかったのかと残念ですそんな大山氏のポスト拝見してたら ちょっと原作読みたくなったりしてます
Jul 6, 2024
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昨年 早川書房が新書出版に参入の告知を見た時には なんで今頃と思いましたがこうして 「SFマガジン」連載のコラムを纏めてくれるのは 個人的に大歓迎ですね内容は AI中心に最先端の研究に携わっている研究者のみなさんに現在のお仕事と 過去のSF体験の関連性をお尋ねするインタビューですがけっこう同世代の方々も多くて 共通の経験を語られていて なんだか嬉しかったですといっても 同じSFを読んでいたからといって その後の人生は月とスッポンやはり本来の頭の出来が違うのでしょうねしかし このような研究者の皆さんの経験は あこがれてしまいます私も もっと受験勉強を真剣に頑張っていたら なんて いまさら後悔してもね本書のタイトルからは もっとお勧めのSF作品の紹介かと思いましたが皆さんの語られる作品は アシモフとかレムとかホーガンとか 過去の名作中心でオビの「いま、読むべきSFはこれだ!」のキャプションは 的外れな気がします生成AIも登場して AIに関する議論も盛んになっている現代でこれから書かれるSFこそ 未来をリアルに見据えた 読むべきSFになるのではないでしょうか少なくとも そう期待したいと思いますそして 巻末の年表を眺めていたら 私の人生を振りかえらざるをえませんでした「鉄腕アトム」などの洗礼を受けた子供時代アームストロング船長の一歩を目撃した驚きと未来への憧憬思春期には 大量のSF書籍が 町の小さな書店にも並んでいてやがて パソコンとインターネットの衝撃波をまともにくらうなんという 歴史上類をみないような とんでもない変化の時代に生まれ育ったことでしょういやはや なんたる人生だったことか・・・『AIを生んだ100のSF』 監修・編 大澤博隆 編 宮本道人 宮本裕人 発行所 早川書房 ハヤカワ新書 023 初 版 2024年4月25日 目 次 まえがき 科学技術の啓蒙「だけではない」SFの価値 第1章 思考のストッパーをはずせ 暦本純一 第2章 「歩行」に魅せられて 梶田秀司 第3章 「自分とは何か」を考えるためにSFを読んできた 松原仁 コラム① AIのジェンダー化 西條玲奈 第4章 「人間」の謎解きを楽しむ 原田悦子 第5章 身体という「距離」を考える 南澤孝太 第6章 ストーリーに書けないものが見たい 池上高志 コラム② SFを実社会に応用する 福地健太郎 第7章 情念が実体化するとき 米澤朋子 第8章 SFは極めて貴重な資源 三宅陽一郎 第9章 ディスとピアに学ぶこと 保江かな子 第10章 イノベーションの練習問題 坂村健 第11章 研究からフィクションへ 川添愛 コラム③ 「物語ること」の連続性について 長谷敏司 対 談 「人間とは何か」が揺らぐ時代にSFが描かなければいけないこと 松雄豊X安野貴博
Jul 4, 2024
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先日の小林泰三氏の『時空争奪』に引き続いて若くして世を去った才能溢れる作家さんの新刊を読むことになったのは同じ版元から同じ日に発行されたという 偶然なのか意図的なのかは知らない理由によりますそれにしても2歳年下の津原氏が 小林氏の逝去の2年後に同じ58歳で亡くなるとはかさねがさね残酷な運命の仕業なのでしょうか本作は新刊といっても 雑誌掲載時期は津原泰水名義での再デビューから間もない 2000年から2001年で初期作品が ようやく単著として発行されたとのことたしかに 不思議な幻想小説なので 出版の機会に恵まれなかったのでしょうか描かれるのは どちらが夢なのか現実なのか それとも少女の心の病が見せている幻想なのか幻想小説は苦手なのですが 少女の抱く罪の意識と 心の闇の深さにただただ圧倒され 引き摺られるままに読み進めていました津原作品はほとんど未読なので 少し追いかけてみようかと思わされました『羅刹国通信』 著 者 津原泰水 発行所 東京創元社 初 版 2024年4月26日 目 次 羅刹国通信 続羅刹国報 続々羅刹国 ー雨の章ー 続々羅刹国 ー夜の章ー
Jul 2, 2024
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私もいい歳になってきて 若い頃から親しんできた芸能人や作家さんなどの訃報に接することが多くなってきたのは 寂しいことですがなかでも 小林泰三氏の若すぎる死は 衝撃でしたまだ58歳という作家としてまだまだ油の乗り切った時期ご本人もさぞや無念であったことでしょうこの才能を奪った癌という病を憎むしかないです本書は SFだけでなく ホラーやミステリでも 傑作を残されている小林氏のSFに絞った傑作選ということですが そこにはホラーやミステリのテイストも含まれます収録された6作品は バラエティに富んでいますがどれも SFというものは 現実や科学理論のうえに 空想や法螺や妄想を積み上げまったく新しい世界を見せてくれるものだと あらためて感じさせていただきました小林氏の著作はけっこう読んできたつもりでしたが収録6作品のうち 既読は1作品だけで まだまだ未読の作品が残っているようでこれからも 小林SFワールドを楽しんでいきたいと思います『時空争奪 小林泰三SF傑作選』 著 者 小林泰三 発行所 東京創元社 創元SF文庫 775 01 初 版 2024年4月26日 収録作品 『予め決定されている明日』 (2001) 運命?それともこの世界は仮想現実なの? 『空からの風が止む時』 (2002) イーガンを超えて フォークロア的なハードSFですよね 『C市』 (2002) AIがもたらす恐怖の未来なのか クトゥール神話の世界なのか 『時空争奪』 (2008) 時間は流れているのか 時空は謎過ぎてミステリアス 『完全・犯罪』 (2010) タイム・パラドックス回避のためのパラレル世界を逆手に取っちゃいましたね 結論が「タイム○○○ー○」って なんだそれ(笑) 『クラリッサ殺し』 (2018) 作者と同世代の者にとっては懐かしさ以上の存在「レンズマン」 そこに仮想現実をこねくり回したミステリを構築し 最後にこっち見るのか(笑)
Jun 30, 2024
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シーズン1を鑑賞したので 惰性で(?)シーズン2も録画してたけど出張帰りのオッサンが 帰りの新幹線で飲み食いするだけの話なので 特に思い入れはないです特に 私は下戸なので 酒が旨いという感覚がわからないから なんで見てしまうのかは自分でも不思議ですね たぶん 自分では行ったことないし 今後も行く予定がなさそうな各地の街角の風景に惹かれるのかもしれません美味しそうな各地の名物も たぶん食べることはないだろうと思うけど・・・このシーズン2は 北陸新幹線の敦賀までの延伸にあわせて企画されたと思いますが2024年1月10日の放送開始直前の1月1日に 石川県能登半島で震災が発生このドラマが 観光客のみなさんが 北陸へ能登へ足をのばすきっかけになればいいですねこのドラマは 仕事おわりに 酒と肴を 出張先の地元で仕込む 買い物シーンと車内で SNSへ投稿しながら ゆっくり味わうシーンが メインなのでそれ以外のドラマパートがほとんどなくて 不満なのですよねシーズン1でも 新山千春さんと 坂井真紀さんの 登場回くらいしか記憶に残ってないけど今回 第1話では監査先の経理部員の青年が 珍しく好意的で 自転車を貸してくれて進さん 金沢市内で観光サイクリングへ でも ほとんど買い物だったかな第2話では 台湾から鯖江に来て 眼鏡デザイナーをしてる青年と知り合いなんだか うまがあったようで 第5話にも再登場 これはレアでしたそしてそして 第7話 待望の謎めいた美女の登場に テンションMAXでしたもう戸田菜穂さんが本当にお綺麗だし 憂いを含んだ表情で 思い出について語られますがもっと 詳しい事情をお聞きしたかったですよね 進さん第8話に登場した 酒屋さんの大将が あいかわらず渋い嶋田久作さん富山の酒と海の幸は 立山連峰の雪解け水のおかげだと 熱く語りますちなみに この立山の写真は 進さんがSNSに投稿されたものみたいですわたしも 富山湾ごしの北アルプスの絶景を 一度この目で見たいですでも やっぱり立山より 戸田菜穂さんのような美しい女性を見ているほうがいいかもしれません
Jun 28, 2024
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昨年『グラーフ・ツェッペリン あの夏の飛行船』を読んで すっかりファンになった高野史緒さん遅まきながら旧作読み『ムジカ・マキーナ』に続いて2冊目いつものように事前情報避けて読みはじめましたが なんだこれ敗戦により帝政ロシアに支配されている日本では なぜか徳川幕府が存続していてなのに ネットテクノロジーは高度に発達していて流行の配信番組は「シベリア横断ウルトラクイズ」!なのに ロシア皇帝の継承を巡る騒動に江戸の街もまきこまれ怪しげなロシア人たちが暗躍する高野史緒さんが想像し想像する世界は 私などの想像力を超越していく時代設定も含めて 語られる物語は ロシアの街に降りしきる雪に覆われていくように謎と曖昧さを深めてゆき まるで先が読めないなのに 主人公は ネット技術が得意な 江戸っ子の少女だったりするのでハラハラしながら 読み進めてしまうやっぱり 高野史緒さんのSFが好きだと 再認識しましたさて 次は何読もうか『赤い星』 著 者 高野史緒 発行所 早川書房 ハヤカワSFシリーズ Jコレクション 初 版 2008年8月25日 目 次 口 上 大 序 モスクワ・新帝戴冠ボリス・ゴドゥノフ 一段目 江戸・窶皇子ドミトリー吉原登楼 二段目 ペテルブルク・帝室劇場夢幻舞 三段目 江戸・赤星封印列車 四段目 ペテルブルク・忍恋革命戦闘団 五段目 択捉・シベリア横断問答大旅 大 詰 江戸・小石川御薬園
Jun 27, 2024
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2015年放送の 全5話の深夜ドラマですが現在ではトップ俳優としてご活躍のみなさんが 9年前の若々しいお姿で高校生を演じていてなかなか 凝った脚本で毎回驚きの展開が待ち受けていて 面白かったです主役は このドラマが連続ドラマ初主演だった 松岡茉優さんずっと思い詰めた表情で熱演でしたねそして 回想シーンしか登場しない美少女という特殊な役は 中条あやみさんそのほか 森川葵さん 竹富聖花さん 清水くるみさん 母親役で霧島れいかさん男優では 成田凌さん 白州迅さんという そうそうたるメンバーでした物語は 中条あやみさん演じる萩原あづさが 新学期の始業式の日に行方がわからなくなりそのための 友人たちへの聞き取り調査のシーンからはじまりますそれぞれ 思い当たることはないと答えますが毎回 彼らが秘匿していた あづさとの関係があきらかになっていきますそのあたりの展開が ぞわぞわさせられ なぞが深まっていきますはたして なぜあづさは姿を消したのか衝撃の最終回まで 堪能させていただきましたなかでも 森川葵さんが いつもどうりの 個性的な役柄でほんとに可愛かったですそして 竹富聖花さんが まじで美少女でした鑑賞後に調べたら 「Ray」の専属モデルだったそうでさすがでしたしかし 現在は芸能界を引退されたそうで 残念ですねしかし なんといっても 中条あやみさん謎の美少女を ミステリアスな笑顔で演じていて キュンでした脚本は 安達奈緒子さん最近では『きのう何食べた?』や 朝ドラ『おかえりモネ』などを手がけて高い評価を受けている 実力派の脚本家さんということで納得の作品でした
Jun 25, 2024
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お気に入りの警察小説シリーズ「隠蔽捜査」の第8弾お気に入りといっても 本書の発行は2020年2月ですから4年遅れということになりまあ のんびりお付き合いさせていただいております今年の1月に「10」が刊行されたようですので まだそれほど引き離されてはいなくて時々会う古い友人のような いい関係を続けられたらと考えておりますさて 今回から竜崎伸也の移動に伴って 舞台は警視庁大森警察署から神奈川県警本部に冒頭で 竜崎は県警本部に着任の申告するために 単身乗込みますがこれも異例のことのようで 本部の警察官たちを煙に巻くのが竜崎スタイルで楽しいですねという感じで 本書では新しい人々との出会いがありましたそれは警察官にとどまらず なかなか曲者キャラの人物も登場して 今後の展開が楽しみですシリーズも長くなってきて お馴染みの登場人物もいて そこに新たな血が加わるのはいいですねただし 本作では従来よりも 新らしい人物が 竜崎を受け入れるのがスムーズすぎたような気もしますまだ 本作では関わっていない 関係者もいて 特に女性キャリアの課長とどうなるのか楽しみですねということで 着任早々 警視庁管内で発生した殺人事件を警視庁と合同捜査することになりますが 詳しいことはネタばれになるので書きませんがその被害者が中国人で 公安も絡んでくるという展開は先日読んだ 大沢在昌氏の『暗約領域』と『黒石』を想起しましたが本当に暗鬱だった大沢作品に比べて わりとあっさりした感じでしたこれは作者の方向性の違いなのでしょうね どちらがいいとかわるいとかの話ではなくてところで このシリーズには 漢字2文字のタイトルが恒例ですが本作の「清明」ってどういう意味かもわからずにいたら思いかけないところで登場して驚きましたこの漢字2文字タイトルを考えるのも たいへんだろうなと感じてしまいました『清明 隠蔽捜査8』 著 者 今野敏 発行所 新潮社 初 版 2020年1月20日
Jun 24, 2024
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本書で語られているのは 非常にセンシティブなことだと思いますしかし このことを無視しては 人間を理解することはできないと思わざるをえません古来 人間の押さえ切れない欲望が需要を引き起こしそれを ビジネスチャンスと捉えた者たちによって 様々なかたちの供給が創造されそこに女性たちが取り込まれる構図が 連綿と続いてきたのですここでは 婉曲な言い方しかできませんが これが人類の闇の歴史だったと思いますそこに女性たちが組み込まれた原因としては つねに貧困という現実があったし女性の立場の弱さもありましたしかし 現代ではその様相に変化があるようです結構な数の女性たちが 職業としてAV女優を志望しているというのですもちろん 今も貧困や家庭環境によって AVや風俗を選らばざるをえない状況は変わりませんまた 街頭でのスカウトに騙されてというケースも 以前ほどではないものの存在するかもしれませんでも 今のSNSなどでは セクシー女優を名乗る 美しい女性たちがその承認欲求を満たすためにアピールし 多数のフォロワーを獲得したりしていますそこでは 社会的な道徳観やモラルの喪失さえ思わされる状況です私にとっては 彼女たちの心が謎でしかないのです本書で著者は AV業界の現状を克明にレポートし現実問題として 職業としてのAV女優に 未来はないと結論し 最後に「カラダを売って収入を得るということはさまざまなリスクが潜んでいる。 他に生きる道があるならば、簡単に手をださないにこしたことはない。」と 述べていますがますます深刻さをます 貧困の拡大の時代に 他の生きる道を見出せない女性たちの存在こそがすべての社会問題の根底にあるとしか思えませんでした『職業としてのAV女優』 著 者 中村淳彦 発行所 幻冬舎 幻冬舎新書 263 初 版 2012年5月12日 目 次 序 章 新人AV女優の誕生 毎年6000人 第一章 AV女優の労働条件 日当3万円~ 第二章 AV女優の労働市場と志望理由 倍率25倍 第三章 AV労働環境の変遷 96年のカオス 第四章 労使トラブル 損害請求1000万円 第五章 AV女優の退職 引退後の付加価値は2倍
Jun 23, 2024
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もう私の中ではすっかり定番になってしまった中華SFですが本書は 今まで読んだ中でも 屈指の傑作長編SFでした物語の舞台は 近未来の中国南部のシリコン島そこでは 政策により 海外から運び込まれた電子機器ゴミの分別リサイクルが行われていますが杜撰な作業工程と 非科学的な工場施設などにより 有害物質が流失し重篤な環境問題が発生していますしかも そこで働くのは さらに進んだ経済格差社会の犠牲者である 極貧の労働者たちそこに 巨大なグローバル企業が手を伸ばして 利権を獲得しようとするなど現代社会の諸問題が拡大してしまっている 暗鬱な社会が描かれますそこに 進んだテクノロジーによって ブレイン=マシン接続などもかかわってひとりの少女をめぐって 中国の風習や風俗もからんだまさに 重厚なチャイナ・サイバーパンクの活劇が展開され とてもエキサイティングでしたそして そこには 淡い恋物語まで描かれ それも印象的でもっと早く読むべき珠玉の作品だったと 後悔するほどに『荒潮』 WASTE TIDE (2013) 著 者 陳楸帆 訳 者 中原直哉 発行所 早川書房 新☆ハヤカワ・SF・シリーズ 5046 初 版 2020年1月25日
Jun 22, 2024
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じつは ひそかにラブストーリーが好きです小説だけでなく 映画やドラマ そして歌でも 恋の物語にひかれますだけど いつまでたっても 恋というものがわからない 困ったもんですそんなこんなで 図書館で見つけて借りてきたわけですが作者はお名前は存じていますが 初読みかな?そしていつものようにタイトルだけで 事前情報に触れずに読みはじめました本書の主人公アイコは 生まれつき顔に大きなアザがある女性そのアイコが ひとりの男性に出会って恋におちる物語なんですがやはりこれは 恋物語ではなく アイコの人生の物語でした人間 外見より中身が大切なんて 気安く言われますが現代は マスメディアでもSNSでも 「美容」とか「可愛い」という言葉が氾濫していてアザはなくても 多くの女性や 最近では男性も 自分の容姿を気にしないではいられない時代本書を読んでも アイコの心中をどこまで推し量ることができたのかなまして 好きな男性を前にして アイコがどう葛藤し苦しんだのか 理解はできないと感じましたそして 外見より中身といわれても私などは その中身におおいに問題を感じていてアザなどと違って 人からは見えないだけに このコンプレックスはやっかいですその弱さ醜さのゆえに 人と関わらないで生きていたいとさえ思えてしまうアイコのように 自分の考え方次第で どうにでもなるのかもしれませんがはあ 人生とは やっぱり やっかいなものです読後に 松井玲奈さん主演で映画かもされていたことを知りましたそちらも見てみたいです『よだかの片想い』 著 者 島本理生 発行所 集英社 初 版 2013年4月30日
Jun 20, 2024
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いつもどうり 事前情報無しで タイトルでSFっぽい話かななどといういいかげんな理由で選んだ一冊でしたけど読み進める中で 行間から浮かび上がってくる 不穏な緊張感に 襟を正すことになりましたそれぞれ20ページに満たない 15の短編で それぞれテーマは異なっていますが正常から異常までの 様々な人間心理の闇の深さや耐えられないような重圧をもって迫ってくる 世界や社会のありようで心が揺さぶられたような気がします特に1901年にドイツで生まれた作者が生きた戦火の時代は同じく敗戦国家である日本にも通じる空気感を感じてヒットラーの好戦国家ではなく そこで生きていた一般庶民の悲惨な姿にも感じるものがありました最後の訳者あとがきで 本書が「カシュニッツ短編傑作選」の第二集だと知りました出版順に読むべきであったかはわかりませんが近いうちに第一集も読まざるをえないでしょうね 今の気持ちでは『ある晴れたXデイに カシュニッツ短編傑作選』 DER TAG X UND ANDERE GESCHICHTEN 著 者 マリー・ルイーゼ・カシュニッツ 編訳者 酒寄進一 発行所 東京創元社 初 版 2024年4月26日 収録作品 『雪解け』Schneeschmelze (1960) 『ポップとミンゲル』Popp und Mingel (1960) 『太った子』Das dicke Kind (1951) 『火中の足』Die FuBe im Feuer (1964) 『財産目録』Das Inventar (1966) 『幸せでいっぱい』Glickes (遺稿 1960年から1964年の間) 『作家』Der Deserteur (1965) 『脱走兵』Der Deserteur (1960) 『いつかあるとき』Zu irgendeiner (1964) 『地滑り』Der Bergrutsch (1949) 『トロワ・サパンへの執着』Die ubermaBige Liebe zu Torois Sapins (1960) 『チューリップ男』Der Tulpenmann (1966) 『ある晴れたXデイに』Der Tag X (1963) 『結婚式の客』Die Hochzeutsgast (遺稿、おそらく1946年頃) 『旅立ち』Die Abreise (1950)
Jun 19, 2024
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生物学に興味がありますが 素人にすぎないですから「数理生物学」なる研究分野があることは まったく知りませんでした宇宙物理なら数学が重要なのは理解できますが生物の研究に数学が どのように関わってくるのか まったく想像できませんでした著者は その分野の専門家ということで複雑な生命の種分化を 数学理論によって 解き明かすことが本書の目的であるらしいのですがなにぶん 高校時代に数学からドロップアウトしてしまった 数学音痴なものですから読み進めるなかで 次々に登場してくる数式と それから描かれるグラフの意味がまるで理解不能で その後の解説の文章が頼りでしたから本当の意味で 主旨を理解できたかどうかは 怪しいものですけど・・・種分化 生物のある種から別の種が生み出されることでダーウィンの『種の起源』で有名な ガラパゴス諸島のダーウィンフィンチなどが進化論のはじまりから その証拠(?)とされてきましたしかし 疑ダーウィニズム者としては 本書で語られている実例がその生物がもともと持っているもののバリエイションに過ぎないのではないかと感じますほんとうに教えていただきたいのは もともと持っていなかった機能をどのように獲得して異なる種として存在するようになったのかという答えなのですどのように 海中に適応していた 植物や動物が 陸上で生活できるようになったのか昆虫や鳥は どのようにして飛べるようになったのかなどなど 進化論の根幹に関わる疑問が突然変異と 長い時間と 自然淘汰によるというダーウィンの時代から 代わり映えのしない説明に終始しているのがそして 多くの科学者が それをまるで信仰のように守っていることがあ~ モヤモヤする『新たな種はどのようにできるのか? 生物多様性の起源をもとめて』 著 者 山口諒 コーディネーター 巌佐庸 発行所 共立出版 共立スマートセレクション 42 初 版 2024年3月30日 目 次 ①種の多様性と分類学 1.1 生物多様性 1.2 スラウェシ島のチョウ 1.3 北海道のオオヨモギハムシ 1.4 種の境界線はどこに? ―分類学は何を見ているのか― ②生物の性質としての「種」 2.1 種概念と生殖隔離 2.2 生殖隔離の種類 2.3 種の違いを生殖隔離で量る 2.4 連続的な種分化プロセス ③種分化のメカニズム 3.1 適応度の谷 3.2 中立突然変異と雑種不稔 3.3 2島モデル 3.4 曖昧な種の境界はどこか ー種分化の転換点ー ④環境適応と種分化 4.1 進化を目撃する 4.2 生態的種分化 4.3 適応度地形理論 4.4 フラスコの中の種分化 4.5 突然変異順位種分化 4.6 種分化の不死鳥仮説 ⑤交雑帯 5.1 種分化後の二次的接触 5.2 クライン 5.3 生殖隔離の強化 5.4 生態的・生殖的形質置換 5.5 雑種種分化 5.6 交雑帯の進化・生態ダイナミクスは予測できるか ⑥種分化サイクル 6.1 種分化サイクル:繰り返し起きる種分化 6.2 移住率と種分化率の単純ではない関係性 6.3 高い種多様性は種文化を促進するか 6.4 適応放散する種・しない種 6.5 種分化と絶滅のバランス 6.6 絶滅による種文化 6.7 固有種数のダイナミクス ⑦種分化研究と系統樹 7.1 分子系統樹 7.2 生物系統地理学 7.3 ミクロ進化とマクロ進化 7.4 種文化研究のこれから
Jun 16, 2024
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日頃 SFはガチなハードSFが好きだとか宇宙の謎と生命の起源の謎の答えを求めて 科学書を読み漁っているのに何を血迷ったか 少女ふたりが主人公のラノベを読んでしまいましたまあ アイドルも大好きだったりするので あながち 的外れではないですけどただし 読んでいる最中 ヘ理屈頑固親父としては 突込みを我慢しっぱなしではありましたが・・・たとえば 直径50キロの小さな星に 大気が存在してるだと!とかねそれはそれとして 作者の創造したこの可愛らしい宇宙を現代社会の諸問題への眼差しを含んだ寓話として 楽しく拝読したしましたたぶん 私は 天才的な女性科学者や 友情のために爆発的な戦闘力を発揮する少女がお気に入りなのでしょうね ロリコンではないと 自分では思ってますけど作者はあとがきで 続編への意欲を表明されていますがさて 7月にも刊行されるという『少女星間漂流記2』私は 読む それとも 読まない はたしてどちらになるのでしょうかところで 主人公二人の名前が 渡り鳥のシャレだという噂は真実なのでしょうか『少女星間漂流記』 著 者 東崎惟子 発行所 KADOKAWA 電撃文庫 あ-55-4 初 版 2024年3月10日
Jun 14, 2024
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昨年あたりから それまで苦手だと思っていた 海外の文学作品にも手を染め始めていて本書も 事前情報も無しで 初見の作家さんでしたが東京創元社の「海外文学セレクション」のシリーズということで手を出しましたなので まず目次を開いてビックリ ずらずらと100タイトルが並んでいるではないですかつまり 一作品が2ページほどということで ショートショートなの?って予感しかし 読み進めるなかで けっしてシンプルなアイデアストーリーではないと わかりました幽霊といっても 日本風の「うらめしや~」などという ホラーではなくそれぞれ 幽霊が物語の軸として登場しますが 純粋なファンタジーとも違った味わいでわずか2ページの間に 生ける者と死せる者をめぐる 深みのある物語が展開されます書面から目を離して 自分の人生に思いを馳せることもありまさに わずか2頁の「人生劇場」であり 「人生喜劇」や「人生悲劇」でありましたもちろん 文化的背景の違いから 理解できたか怪しい作品もありましたがとても ユニークで楽しい読書体験でしたただ この百作品を 私は2日に渡って 5時間程度で読みましたがそんな読み方ではなく 少しずつ読むことで もっと味わい深かったかもしれません『いろいろな幽霊』 THE GHOST VARIATIONS (2020) 著 者 ケヴィン・ブロックマイヤー 訳 者 市田泉 発行所 東京創元社 [海外文学セレクション] 初 版 2024年4月19日
Jun 12, 2024
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このところ 科学書は宇宙論のものばかり読んでいましたが宇宙の謎以上に 自分を含めて身近な存在でありながら宇宙以上に謎の存在は生命だと思っていてしかも このタイトルの本書を手に取ったのは私が ダーウィニズム進化論というものに懐疑的な 異端者だからですけどね21世紀になって 遺伝子あるいはDNAの解析技術が 驚異的に進歩した結果動物間のDNAの比較研究から 進化の仕組みを研究する流れになって本書のほとんどの部分も ほぼ分子生物学からのアプローチになっていますがいまだ DNAでも不明の部分が多い現状で その配列が近似的だからといって即 進化の証拠だと言えるのでしょうかまた 不思議な形状の兜が もとは羽の遺伝子が移動して 作られているといってもその擬態用の形状の起源の何がわかったというのでしょうかわたしには 極小の世界だけ見て 全体を見ていないのではとしか感じられませんそんなことで 大進化も小進化の積み重ねで可能だと言えるのでしょう現在生きている生物も 化石で発見される古生物も生きている(生きていた)ことが 驚異的なことであって 尊い存在なのですその起源は 神かダーウィニズムかだけしかないのでしょうかどちらでもない 真実とよべるものは 存在しないのでしょうか『ダーウィンの進化論はどこまで正しいのか? 進化の仕組みを基礎から学ぶ』 著 者 河田雅圭 発行所 光文社 光文社新書 1307 初 版 2024年4月30日 目 次 第1章 進化とは何か 1・1 そもそも進化とはなんだろうか? 1・2 有害な進化も起こりうる 1・3 ダーウィン進化論は時代遅れ? 第2章 変異・多様性とはなにか 2・1 突然変異はランダムなのか? 2・2 多様性は高ければいいってもんじゃない 2・3 受け継がれるのは遺伝子だけか? 第3章 自然選択とは何か 3・1 種の保存のために生物は進化する? 3・2 生物は利己的な遺伝子に操られている? 3・3 生き残るためには常に進化しないといけない? 第4章 種・大進化とは何か 4・1 進化=種の誕生か? 4・2 大進化は小進化で説明できないのか?
Jun 10, 2024
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この半年くらい 本ばかり読んでいて 映画やドラマの鑑賞をしてませんでしたが本ばかり読んでいると バカになりそうだったし結構な時間を費やしていたSHOWROOMの視聴を引退したので放置してる多量の録画済作品を鑑賞していきたいと思いますなんて言いながら 最近はYouTubeでアジア各国のガールズグループのMV鑑賞にはまってますけど・・・主演は山崎賢人さん演じる人気ホストのエイト金にしか興味がないエイトが 店に来た超セレブなお嬢様に出会ったことから物語りは始まりましたそのお嬢様を演じたのが『CRISIS 公安機動捜査隊特別班』に引き続き出会ってしまった新木優子さん 『CRISIS』のクールな役もよかったけど美貌のセレブお嬢様の美尊はまさにはまり役ですね ほんとにお綺麗ですそんなお嬢様を狙うエイト でもこんなチャライキャラでドラマが成立するのかと心配になったけどそこに 門脇麦さん演じる 謎のキス女が登場し 物語はタイムリープ・ストーリーに謎のキス女宰子とキスしたら その場で死んでしまうが 意識は7日前に戻るというとてもややこしいこのタイムリープ 結局7日前からパラレルワールドを発生させるということねこんな時間を戻す系のドラマが大流行だけど 現代社会では やり直したい人ばかりなのかな?私も あの時こうしておけばと思うこと多量にあるけど その場を取り繕っても私の性格なら 結局また同じことになりそうだから もどることはごめんですエイトは 宰子の能力を使って 美尊に接近しようとしますが・・・美尊の義理の兄 新田真剣佑さん演じる 尊氏と熾烈な争いになっていきますこのブログは ドラマのストーリーを紹介するものではないので とりあえず関連写真でおさらい結局 ラブストーリーではなく チャラかったエイトの成長の物語でしたねそんな成長を 山崎賢人さんは 表情の変化で演じていて よかったですそして ラストは謎の存在だった 管田将輝さん演じる 春海が鍵を握っていたのですねそれを含めて この入り組んだ時間もののドラマを きれいに纏め上げた脚本家のいずみ吉紘氏は なかなかの実力者ですねそして このドラマで もっともときめいたのはあの おふたりのキスシーンだったのは いうまでもありません ん?どっちだ?最後は恒例の写真コーナー 新木優子さん ほんとうに美しすぎます
Jun 10, 2024
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終活の一分野として、25年間あまり積読放置してきたS-Fマガジン 読んでますがやっと1999年1月号に辿り着きましたが まだ36冊残っていて 間に合うのか終活という感じですだけど せっかく購入したから 読みたいです 実際 読んだら時代を感じることなく 面白いですから特集は「1998年度英米SF受賞作特集」ということで従来あった「ヒューゴー賞/ネビュラ賞特集」を 対象を12の賞に拡大したということです解説で 各賞の受賞作ならびに候補作のリストがありますが25年経過しても訳出されてない作品も多いですし たとえ翻訳出版されていても未読作品も多数で毎年のことなんですが ため息ついて空虚感につつまれてしまいますそんななかで掲載されたのが次の三作品 さすが受賞作だけあっていずれも面白かったです『軍用機』スティーヴン・バクスター/中村融 訳 アポロ11号の月面着陸失敗で幕をあけた 悪夢のような歴史 こんな歴史にならなくて幸運だったけど ひょっとしたら紙一重だったのかも『ストロベリー・フィールズにて』ジェイムズ・パトリック・ケリー/公手成幸 訳 一人暮らしの父親に 別れた母親から贈られた介護ロボットの姿は・・・ 年のせいもあって 心に滲みた作品でした『ヒンデンブルグ号、炎上せず』アレン・スティール/中原尚哉 訳 時間調査研究者と『Xファイル』の遭遇という感じで とても楽しかったです 読んでいる最中の脳裏には モルダーの姿が・・・連載では谷甲州&水樹和佳のビジュアル・ストーリーが新連載『果てなき蒼氓』第1話「星嵐」 宇宙の深遠に旅するイメージが 文章とイラストの相乗効果で 美しく展開されます これからの物語に期待大です神林長平《新・雪風シリーズ》第7話『戦意再考〈後篇〉』 このシリーズは次号で完結とのこと そしたら未読の『戦闘妖精・雪風』から読みます山田正紀『星砂、果つる汀』〈第12回〉 こちらもクライマックスが近付いている感じですね 本来まとめて読みたいところですが なぜか単著として出版されなかったようで 何故なの?
Jun 8, 2024
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昨年読んだ 第三回警察小説大賞受賞作の『転がる検事に苔むさず』がまあまあ楽しかったので 続編である本書を読んでみました以外にも本書は4作品+αという短編集で それぞれ異なる主人公が登場すしますといっても 前作の主人公である久我検事がメインであることに変わりはないのですがその仲間の検事たちや 前作でも登場した警察官や弁護士 おまけに警察医や民間人まで登場してどちらかというと チーム久我のメンバー紹介だったのかなまるでTV Asahi製作の 人情ミステリドラマのような雰囲気をかもしだしてこれは 次作 このメンバーの強力を受けて久我検事が 組織内部の圧力と戦いながら 巨悪に対峙して難事件を解決するという流れなのかな最後の最後に それらしき電話もかかってきましたからねなどと 妄想してしまいましたが まじで次作は出版されるのでしょうかということで 今回もほんわか楽しく読了しました特に『天冥の標』読了の直後なので 張り詰めていた肩の力も抜けた感じですただし 順番に読んでいくと 時系列の面でかなり混乱しちゃいましたけどね『恋する検事はわきまえない』 著 者 直島翔 発行所 小学館 初 版 2022年3月1日 目 次 シャベルとスコップ ジャンブルズ 恋する検事はわきまえない 海と殺意 健ちゃんに法はいらない 春風
Jun 5, 2024
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ついに わが生涯で出会った最長の小説『天冥の標』10巻17冊読了しました読み始めたのが昨年の1月ですから 約1年半かけてしまいましたが今はもっと早く読むべきだったと反省これほど多数の登場人物とエピソードを 記憶弱者の私が憶えていれるはずもなくそうか第1巻は ***のあとのことだったのかと気がついたのは本書を読み終わった後という情けなさしかし、リアルタイムで読まれた読者の皆様は 9年あまりの時間にどう対応されたのでしょうさて 全巻読み終えた感想ですがこれは 史上最長かつ最上の「バカSF」だというものでした 私なりの褒め言葉ですよもちろんなにしろ スケール感がはんぱない本書の最終決戦に登場する宇宙艦艇の数が 何百億隻いや何千臆隻?そして 次から次に繰り出されるアイデアが 突拍子も無さ過ぎる宇宙全てを呑み込もうとする 究極の悪役の正体が じつは***だと!なんだそれ?それを防ぐための作戦が「チャーミング・モデラート」? それはキュンですすぐそばで起ころうとしている 超新星爆発から身を守る?いやいや そんなのないでしょと思いながらも 読んでるうちに納得させられる?などなど 宇宙物理学者や生物学者がひっくり返ってしまいそうなこの超絶の「バカSF」を 楽しみ抜いて感動すらしているそんな私も とんでもない「バカSF者」なのでしょうね あ~あ『天冥の標X 青葉よ、豊かなれ PART3』 著 者 小川一水 発行所 早川書房 ハヤカワ文庫JA 1362 初 版 2019年2月25日 目 次 第九章 星間結合 ― 西暦二八〇四年 地球ヒト種彷徨 第十章 青の惑星にて ― 西暦二八〇四年 惑星カンム防衛殻攻略戦 第十一章 控えめに魅力的な種 ― 西暦二八〇四年 MMS戦隊提督指揮座 第十二章 迎え火を焚け ― 西暦二八〇四年 ふたご座ミュー星 終章 風が吹くとき 断章九一 OFF TERRA MATER EST最後にPART1~PART3の書影 並べておきます 富安健一郎画伯 お疲れさまでした
Jun 3, 2024
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PART1に引き続きPART2も一気読み グランドフィナーレに向かって物語りも急加速しかも ここに至ってなお 次々と繰り出される驚異的なアイデアの奔流に 圧倒されました傑作SF小説の肝は それまで誰も思いつかなかったアイデアにあると思いますそういう意味では この大河SF小説に詰め込まれた数々のアイデアを小出しにすればどれだけ多数の 傑作長編SF小説になったかと思うと 贅沢な物語だったと思われます特に 登場する異星生命体については 地球の動物を基にしたような怪物ではなくその進化の歴史から構築されたことによって 驚くべき存在感がありしかも 知性体として 人類とは異なる 思考様式やコミュニケーション形態まで考えられていて小川一水氏の想像力には 限界というものがないのだろうかと 驚愕しました本書では そんな異星知性体との想像を絶する戦いが描かれますがそこでは 手に汗握るアクションシーンが繰り広げられ戦いの終盤では 感動的な対決シーンまで用意されていて 心が震えましたそう この物語はアイデアストーリーに終わらない 最高の物語なのですまた とんでもないファーストコンタクトシーンも用意されていて未知なる知性とのコミュニケーションや 迫真の交渉が繰り広げられますその結果が 最後の最後の残り1冊で どれほど驚愕の結末をもたらすことになるのかあと1冊 早く読みたいもあり 終わってしまうのがもったいなくもあり困ったもんです『天冥の標X 青葉よ、豊かなれ PART2』 著 者 小川一水 発行所 早川書房 ハヤカワ文庫JA 1359 初 版 2019年1月25日 目 次 第五章 魅力的な子ら ― 西暦二八〇四年 ニジニーマルゲリスクス市 冥王班感染者救護所 第六章 クワガタムシ作戦 ― 西暦二八〇四年 セレス岩石地殻内 断章八 オンエキッツの遺言 ― 惑星カンム重質量特異点、事象地平線上 第七章 「冠絡根環 カンカラコンカン」にて ― 西暦二八〇四年 惑星カンム近傍特大型樹工天体 第八章 背負ったものを ― 西暦二八〇四年 セレス中心虚 ドロテア
Jun 1, 2024
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ついにというか やっとというか とうとうというべきか 最終Xにたどり着きましたそして主人公たちも目的の場所に到達したのですがいきなり 今までのSF小説では類をみないスケールの戦乱が勃発して 驚かされますそして 今まで隠されていた謎が少しずつ解き明かされ始めましたうん そうでもなきゃ 300年では いくらなんでも無理だよね と 納得することもありましたがまだまだ先は見えてこないですこの物語は どのようなグランドフィナーレを用意してるのか年表最後の1行の謎を含めて 今はまだ 想像することもできませんあと2冊 心して熟読したいと考えております。『天冥の標X 青葉よ、豊かなれ PART1』 著 者 小川一水 発行所 早川書房 ハヤカワ文庫JA 1355 初 版 2018年12月25日 目 次 第一章 芽生えざる種 ― 西暦二〇七九年 月 第二章 迎賓の火 ― 西暦二八〇四年 ふたご座ミュー星近傍 第三章 黄昏の眠り ―西暦二五〇四年 太陽系主小惑星帯 第四章 《百葉箱》 ―西暦二八〇四年 メニー・メニー・シープ 断章七 「強いちからでまもっていこう。」 ―準惑星セレス中心虚 汎展開系オムニフロラ分泌郭内
May 31, 2024
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先日読んだ『京都名庭を歩く』に続いて またまた京都を歩く本でしたが京都観光に出かける予定があるわけではありません たまたまですまして京都の歴史を深く学びたいわけでもありませんどちらかといえば 記憶力に弱点がある私は 日本史は苦手な教科でしたしかし 日本の地名 特に難読地名は 常々面白いと感じていましたしまして 古都京都ならではの 古い由来のある地名があるに違いないそんな軽薄な気分で読んだのですが・・・やはり京都は一筋縄ではいきませんね多くの地名は そこに建っている寺社仏閣の名前であったりして現代の観光客が パワースポットなどと言って 押しかけていますがその多くは 敗れた者たちの怨念を恐れて鎮魂のために建立されていますからはたして 喜んで助けてくれるのでしょうかねそれ以外にも 古の時代の墓所を示す地名であったりしてそういった死への恐れが 仏教への帰依につながり寺社仏閣の存在理由だったりするのですから 恋愛運?仕事運? それは筋違いでしょやはり京都は魑魅魍魎の跋扈する魔都に違いない『京都地名の由来を歩く』 著 者 谷川彰英 発行所 KKベストセラーズ ベスト新書 49 初 版 2002年11月1日 目 次 第一章 京都は水の都だった 第二章 坂に伝わる人の思い 第三章 京都の町づくり ― 開発と産業 第四章 人々を救う仏教思想 ― 気になる寺々 第五章 葬送の地に立つ 第六章 京都にはいくつもの戦いがあった 第七章 占いと怨念の世界 第八章 京都の遊びと地名 第九章 いつまでも慕われる人 第十章 朝鮮半島と地名 第十一章 食べ物・飲み物と地名
May 30, 2024
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特集は「BLとSF2」 2年前にも同じ特集が組まれたそうですが そちらは未読でしたそもそも LGBTQのジェンダー問題には 嫌悪感も拒否感もありませんがそもそも「BL」の起源となったという 少女小説やコミックスに関してはまったく触れてこなかったので この特集の解説やエッセイを読んでも頻出する「オメガバース」等の用語や概念については 初めて出会ったものばかりで読解するのにかなり手間取りましたが ひとつのジャンルの歴史として興味深かったですしかし 特集の読みきり小説5作品については いずれもBL系の作家さんということで初見の方ばかりでしたが 逆にBLというものを意識することなく思ったよりしっかりとしたSFになっていて 面白かったです『聖域 サンクチュアリ 』 榎田尤利 作 テクノロジーの発達により 快適な環境が保障された未来社会の とあるエピソード BLですけど ピュアなラブストーリーとして印象的でした こういう作品を読むと 人が人を愛するとは いったいどういうことなのか そこに 身体的な性別はどのように関係しているのか いろいろ考えてしまいます『ラブラブ☆ラフトーク』 竹田人造 作 こちらも 人生の全てに関してAIがおすすめしてくれる未来社会 そんななかで繰り広げられるのが シンデレラストーリー的なラブコメ 面白いですけど これが可能になる前提条件である 同姓婚が完全に認められる社会が はたして いつになったら成立するかが 現在の問題なのですけど『監禁』 莫晨歓 作 楊墨秋 訳 中華SF大好きだけど 中国に「BL」もあるんだという驚き 中国の小説投稿サイト発ということも驚きの でもこれは BL?ホラー?SF?『テセウスを殺す』 尾上与一 作 ジャンルSFの作家さんかと思ったほどの 上質なマインド・アップデータを深く考察し そこから 見事なサスペンスへと昇華させた 名作でした ただし これがBLである必然性を 逆に感じられなくなった気がします『一億年先にきみがいても』 樋口美沙緒 作 地球を捨てた人々が 宇宙に拡散した遥か未来の物語 変容するジェンダーを描いたという意味では 一番BL+SFなのでしょうか特集以外の読切短編小説は3作品『幽霊屋敷のオープンハウス』Opem House on Haunted Hill (2022) ジョン・ヲズウェル 作 鯨井久志 訳 ホラージャンルなんだけど やさしくて楽しい作品でした『さいはての美術館』 The Portraut of a Survivar,Observed from the Water ユキミ・オガワ 作 勝山海百合 訳 まず 日本人でありながら英語で作品を発表されていることに 驚きました 作品は いずことも知れない惑星の美術館で ただひとり美術品の修復を行い続けている ロボットと それを支援する謎の存在 不思議な感動でした『テーマ』 草上仁 作 VRが進化した未来社会 様々な情報が提示されるなかで 私たちが信じるべき真実とは何だろうとか 考えてしまいました連載小説で読んでいるのは 一回目から読むことができた『ヴェルト』吉上亮作のみですがこれまで いつになったら そしてどんなSFになるのかと やきもきしていましたが第一部完結という今回になって 壮大なSFの姿が現されましたここからどんな展開になるのか 楽しみでしかたありません連載の評論エッセイでは 偶然漫画家を扱った下記の2篇が面白かったです伴名練「戦後初期日本SF・女性小説家たちの足跡」第12回 レジェンド少女漫画家の小説世界 ― 萩尾望都長山靖生「SFのある文学誌」第九十三回 吾妻ひでお ― リアルと幻想のはざまに立って
May 28, 2024
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なんだか 難しそうなタイトルがつけられていますが内容は ほとんど2020年以降に発表された論文から国立天文台台長特別補佐という役職にもある著者がおもに 最近発見された 宇宙の不思議な天体や現象について解説されていてまるで 科学雑誌を読むように 楽しく読み進めました20世紀後半以降 宇宙望遠鏡などの観測機器の充実と観測データを解析するテクノロジーの発達で世界中の天文学者が 観測可能な宇宙の隅々にまで目を向けた結果これほど多数の新発見があったということが驚きですしそれでもなお 宇宙はわからないことだらけという現状も 逆にワクワクします特に 銀河の中心にある巨大ブラックホールの謎について宇宙自体の起源や 銀河成立のカギをにぎっているかもなど とても興味は尽きないですやっぱり 宇宙は面白いや『ウソみたいな宇宙の話を大学の先生に解説してもらいました。』 著 者 平松正顕 発行所 秀和システム 初 版 2024年3月3日 目 次 はじめに 1章 宇宙はどんな世界なのか ※宇宙のガイドマップ 2章 一番身近な天体・月と太陽 ※38万km先の別世界 ※太陽系の大黒柱・太陽 3章 太陽系惑星たちの知られざる姿 ※太陽系 ― 地球の家族たち ※太陽に一番近い惑星・水星 ※明けの明星・金星 ※私たちの住む惑星・地球 ※多くの探査機が向かった惑星・火星 ※規格外の大きさ・木星 ※巨大な環がトレードマーク・土星 4章 まるでSF! 未知の天体たち ※驚きの新天体 ※変わった形の星 ※大きさ・重さ・・・・・・規格外の星 ※SFが現実に?分類不能の謎天体 5章 ナゾに満ちた宇宙空間 ※私たちがいるのは宇宙のどんなところか ※超重力の天体・ブラックホール ※宇宙人、巨大彗星・・・・・・果てのない探求は続く
May 25, 2024
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大量に読み残してしまっている SF小説のアンソロジーを できるだけ挽回しようとしていてNOVAシリーズ第一期10巻読み終わったところでずっと気になっていた 第一回の創元SF短編賞の受賞作や応募作をまとめた本書をチョイス本書を開いて まず驚いたのが 高山羽根子さんのお名前があったことですこの時の受賞作が松崎有理さんであり 後に文芸各賞の常連候補者(失礼)である宮内悠介氏も この賞のご出身であることは存じておりましたが後に芥川賞を受賞された高山氏も この賞からデビューだったとは・・・この第一回どれだけ 高いレベルの才能が集まっていたことか実際 各賞受賞作品を含む 最終候補作から厳選されたという10作品松崎氏の受賞作は『年刊日本SF傑作選 量子回廊』に収録されたので ここでは受賞第一作でしたが本当に どの作品も新人賞応募作とは思えない 力作揃いで 面白かったですただ 私の不勉強のせいか 松崎・宮内・高山氏以外のお名前を その後お見かけしていないのがみんさん 才能が溢れていたと思うので 気がかりではありますがでは 収録作品の感想を・・・佳作『うどん きつねつきの』 高山羽根子 この時から 高山ワールド全開だったのですね 短いエピソードかと思ったら まさかの家族の歴史で 驚かされました『猫のチュトラリー』 端江田仗 ケアノイドという 介護のための人型ロボットを中心にした 家族の物語 ロボットの知性について 深い考察を感じられました『時計仕立ての天使』 永山驢馬 学校でのいじめ問題の解決のため導入されるロボットを狂言まわしに じつは心に浸みる 青春小説でした『人魚の海』 笛地静恵 大国の狭間でゆれる 小さな島々で生きる人々を描くファンタジー とても奇妙な世界が描かれますが 強くリアルを感じさせられました『かな式 まちかど』 おおむらしんいち ひらがなの「て」が主人公(?)のおはなし でも そこで描かれているのは 現代人の私たちなのでしょう『ママはユビキタス』 亘星恵風 驚きの奇想に溢れたハードSFであり ポストヒューマンSFの傑作 選外ですけど私は好きです日下三蔵賞『土の塵』 山下敬 またひとつ 時間恋愛SFの名作が・・・山田正紀賞『盤上の夜』 宮内悠介 再読の名作なのですが あいかわらず難解でした大森望賞『さえずりの宇宙』 坂永雄一 ふむ困った 様々な意思と思想と 有意の文章と無意味な文章の集合の向こうに いったい何が見えてくるというのでしょうか この社会の真実なのか?受賞後第一作『ぼくの手のなかでしずかに』 松崎有理 杜の都の恋物語と油断してたら やっぱり理系だ!SFだ! はやく短編集読まなければ・・・『原色の想像力 創元SF短編賞アンソロジー』 編 者 大森望、日下三蔵、山田正紀 発行所 東京創元社 創元SF文庫 739 01 初 版 2010年12月24日
May 24, 2024
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タイトルから 地球外生命探査の本だと思ったら その話は後半の40%それまでは 人類の宇宙探査の歴史が 18世紀のジュール・ベルヌの話からはじまって現代に至る 宇宙を目指した人類の営みがそこに携わった人々のエピソードを交えて 細かく記されています宇宙への夢にとりつかれて 最初はドイツでV2ロケットを開発せざるをえなかったフォン・ブラウンその フォン・ブラウンのアメリカでの努力を上回った ソ連のコロリョフアポロ計画を 当時まだ開発初期の時代のソフトウェアで ささえた女性科学者などなど もう感涙もののエピソードが満載で センスオブワンダー感じてしまいましたそして 1965年に初めてデジタルカメラで火星を写した マリナー4号から送られてきたデータにNASAのメンバーが何をしたかなんていうエピソードにいたってはただただ感動させていただきました著者の小野雅裕氏は NASAのスタッフだそうですけど なかなかの文才ですねそのお名前は あの野田大元帥を彷彿とさせますし 面白いハードSF書けるのではないでしょうか後半の地球外生命探査の記述からも 著者の宇宙に対する熱烈な思いが伝わってきて意外といっては失礼ですけど とっても良い一冊にめぐり会えたと思います読後に知ったのですが 先月新版が発行されていたそうですね表紙のアストロノーツが 二人になったりしてますね『宇宙に命はあるのか 人類が旅した一千億分の八』 著 者 小野雅裕 発行所 SBクリエイティブ SB新書426 初 版 2018年2月15日 目 次 序 新創世記 プロローグ 第一章 幼年期の終わり~宇宙時代の夜明け 最初のフロンティア 第二章 小さな一歩~技術者のアポロ 異世界の空 第三章 一千億分の八~太陽系探査全史 命の賛歌 第四章 Are we alone? ~地球外生命探査最前線 Pale Blue Dot 第五章 ホモ・アストロルム~我々はどこへ行くのか? エピローグ
May 22, 2024
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なんとも不思議な物語でした解説によれば 作者が書き続けてこられた<コンティニュイティ>という未来史に属する 立派なSFで登場するのは 戦争のために製造された殺戮兵器のロボットだったり人類は太陽系に進出していたり その太陽系をカバーするデジタルネットワークが構築されていたり背景はガチのハードSFなのですが ふむ なのですが・・・タイトルに「夢の都市」とあるように アラビア半島の砂漠に囲まれた都市でくりひろげられるアラビアンナイトか 砂漠に潜む妖精たちの物語のようでヒューマニティあふれる 叙情的な 夢のような物語でした個人的には ロボットの自意識とか感情とかについては 否定的なのですがそこは 子供時代から「鉄腕アトム」のような 日本文化によって育まれてきた者としてはすなおに 物語世界に没入してしまうのが ちょっと悔しくもありますということで 矛盾を内に秘めながらも 楽しく読むことができましたしかし しかしですよ 最後の最後に書かれた一文が謎すぎてその解釈によっては 作品の印象が180度ひっくり返るかもしれないなんだこれは?作者のラヴィ・ティドハー氏は初読みだと思っていたら昨年読んだ『シオンズ・フィクション イスラエルSF傑作選』にこのシリーズの短編が収録されていたそうですあらあら 私の記憶力の貧弱さよやっぱり 私には評論や ちゃんとした解説は 絶対に無理ですね『ロボットの夢の都市』 NEOM (2022) 著 者 ラヴィ・ティドハー 訳 者 茂木健 発行所 東京創元社 創元海外SF叢書18 初 版 2024年2月9日
May 21, 2024
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巻頭で引用されている ラムズフェルド元アメリカ国防長官のことば「(前略)一方、既知の未知というものもあります。つまり私たちは、自分の知らない情報が 存在することをわかっているのです。そしてさらに、未知の未知もあります。自分が知らない ということさえ知らない領域です」いくら 最先端の科学だといえども この言葉は謙虚に受け入れなければならないでしょうね数多く発行されている 科学書の中には 本当に分かっていて書いているのかと思えるものも 時々見受けられる気がしますしかし 本書の著者は 実績ある研究者でありながら 深く考察しつつも謙虚に本当に分かっていることと 分かっていないことを 区別して書かれていると感じました流行の最新理論である「超弦理論」などには 慎重な姿勢を保持するなど「時間」「空間」「物質」「生命」「意識」の 5つのテーマで今 分かっていること 今も分かっていないことを 明確に記述されていて本当に 科学研究の最先端の現状を 知ることが出来たのではないかと思いますもちろん 私などの見識では理解の及ばない 難解な部分も多々ありますけどそして 分かったことは 私が知りたいのは「未知の未知」の領域に属しているのだということ詳しく書いても 妄想になるので書きませんがそんな悩みが解決する日は やって来そうにないです『私たちは何を知らないのか 宇宙物理学の未解決問題』 THE KNOWN UNKNOWNS : The Unsolved Mysteries of the Cosmos 著 者 ローレンス・クラウス 訳 者 長尾莉沙 北川蒼 発行所 KADOKAWA 初 版 2024年4月2日 目 次 1 時間 2 空間 3 物質 4 生命 5 意識
May 19, 2024
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