MY HIDEOUT ~私の隠れ家~

Apr 16, 2009
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カテゴリ: 映画鑑賞記録
4/25(土)より全国ロードショーです。
http://wwws.warnerbros.co.jp/grantorino/
"GRAN TORINO"
監督・・・クリント・イーストウッド
音楽・・・カイル・イーストウッド、マイケル・スティーヴンス
出演・・・クリント・イーストウッド ウォルト・コワルスキー
ビー・ヴァン タオ・ロー
アーニー・ハー スー・ロー
クリストファー・カーリー ヤノビッチ神父
コリー・ハードリクト デューク
ブライアン・ヘイリー ミッチ・コワルスキー
ブライアン・ホウ スティーブ・コワルスキー
ジェラルディン・ヒューズ カレン・コワルスキー
ドリーマ・ウォーカー アシュリー・コワルスキー
ジョン・キャロル・リンチ、スコット・リーヴス、ブルック・チア・タオ、他。

・物語序盤・
ウォルト・コワルスキーは、フォードの自動車工として長年働いた後、リタイアして妻と二人暮らす頑固一徹の男。
その妻に先立たれ、久し振りに二人の息子や孫達と顔を合わすが、彼等の行動が気に入らず、腹を立てる。
老人ホームに入るよう勧める息子夫婦を追い返し、72年製フォード車グラン・トリノとライフル、老犬のデイジーだけを友に、庭の芝生を手入れしながら、静かに暮らしたいと望むウォルト。
だが彼の住む住宅街は様変わりし、様々な人種が溢れ、隣家には大嫌いなアジア系の家族が越してきた。
朝鮮戦争帰還兵で典型的な人種差別者のウォルトは、タイの少数民族モン族の一家に眉を顰める。
或る日、ウォルトは気弱で大人しい隣家の少年タオ・ローが、知り合いの不良グループに絡まれている所を助ける。
彼等が自分の家の芝生を踏んでいたので怒っただけだったが、一家や同族の者達はウォルトに感謝し、料理や花を届けてくる。
別の日、今度は街角で黒人達と揉めているタオの姉スーを助け、それが切っ掛けで、スーはウォルトと気安く話すようになる。
その後、不良グループに強要されて、タオはウォルトのグラン・トリノを盗もうとする。
謝罪させると、ロー家の母親は、タオをウォルトの手伝いに出向かせる。
最初は厄介に感じていたが、交流を重ねる内、ウォルトは次第に心を開いてゆくが…。 



イーストウッド監督作品にしては、珍しく爽やかですね。
アカデミー賞常連なのに名前すら挙がらないのは何故だろうと思っていましたが、観て納得しました。
良くも悪くも大衆向け娯楽作品なんですよね、これは。
これまでの一連の彼の作品が、重苦しいテーマを扱った硬派な社会派映画だったのに対し、こちらは一般人にも受け容れ易い作りです。
良い映画だと思いますし、観終わった後、良かったねと清々しい気持ちで映画館を後に出来ます。
ただ、深みという点で、今迄の作品と比較してどうかな?と考えると、やはり全体的に軽くて物足らないという気持ちが、時間が経つにつれ感じられてきました。
娯楽映画なので、イーストウッド作品の暗さ・重さが苦手だった方にもお勧めできる作品です。

イーストウッド自身が主演しての監督作品です。
彼の演じる役どころウォルト・コワルスキーは、典型的な旧世代のアメリカ人、即ち保守的な白人至上主義のレイシストです。
口も悪くて辛辣、時代錯誤の分からず屋なので、実の息子達や孫達からさえも嫌われています。
所謂、頑固爺なのですが、彼を主役に据えている所から、映画を観ている観客には、彼の美点が沢山垣間見られ、キャラクター的には憎めないクソ爺(笑)という感じです。
逆に、彼の本質を理解しない息子夫婦達こそ、偏見に満ちているような描き方となっています。
でも実際に彼が家族だったら持て余すと思いますね。(~_~;)

さて、孤独で静かな暮らしを頑なに守ろうとするウォルトが関わるのが、戦争で母国タイを追われ、アメリカに移住してきた少数民族モン族の一家。
朝鮮戦争の帰還兵で、特にアジア系民族が大嫌いなウォルトは、彼等を米喰い虫と呼んで露骨に毛嫌いします。
しかしこの家の姉弟と関わる内に、徐々に彼等に心を開いてゆくようになり、二人が晒されている危機から、救い出してやりたいと考えるように。
ストーリーとしても有りがちですが、ウォルトやモン族の人々のコミカルな遣り取りが続いて、鑑賞中はくすっという笑いが絶えません。
差別用語はどぎついので、特にアジア人である日本人は、え…と思う事もありますが、全体的にはほのぼのと微笑みつつ鑑賞できる映画となっています。

気になったのは、アジア少数民族の描き方ですかね。
彼等に対するリサーチがお座成りで、面白おかしくデフォルメされている所が、アメリカ人の映画だなと思えました。
ハリウッド映画の中で、アジア人は依然として、"色物"でしかないのだという事を実感しました。
モン族の人達は、この映画を観て、絶対に喜ばないと思います。
ヘンテコな日本人が出てくる映画を観て、嫌気が差す日本人と同様に。

兎に角、娯楽作品としては良質であり、一般受けするタイプなので、誰でも安心して観に行ける作品です。
深刻な事件も起こりますが、残酷な描写は殆どありません。
痛い目に遭うのがアジア系の少女という所も、如何にもアジア系民族を軽んじる白人映画なんですけどね。(^_^;)
アジア人はどう扱っても構わないという差別的な空気を感じるのは、この作品に限らずですが。
少し辛口になりましたが、その辺を深く考えなければ、大抵の人は良い映画だったねと思えるでしょう。
私も楽しかったです。





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最終更新日  May 5, 2009 09:42:01 PM
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