Laub🍃

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2017.10.22
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カテゴリ: 🔗少プリ
※直目線

*****


「お前ら、レイジを治すって言ったろ」
「なあ」
「なのになんなんだよ、これは!?」
「教えてくれよ!」
「俺馬鹿だから分かんねえから、なあ!!」
「お前ら頭いいんだろ!?なのになんでこんなことになってんだよ!!!」


ロンが激怒するのも無理はない。

僕だって、ロンを止めるという役割がなければ感情に身を任せていただろう。

だってこれはあまりにも酷い。



レイジ。
最初【遊び人】としてサムライ、ロン、僕の前で振舞っていた癖に、裏の顔を持っていた男。
しかし、それは本当の意味で裏の顔だった。
……彼は、二重人格だったのだ。

その裏の顔、【狂戦士】暴君をうまくコントロールする術があると怪しげな暗黒騎士・ホセは言った。
僕達にではない。レイジ本人にだ。

彼はBHなるマッドサイエンティストに情報提供すること、BHの暗示・催眠の能力を試す事を飲むこと。
それを飲めば、実験の前も後もレイジが暴走した時に全力で止め、そして証拠隠滅をしてくれるとのことだった。

「あいつは闘ってたのに」


……この状態では、戦えるわけもない。


目の前でただぶつぶつと、過去も未来もなく言葉を垂れ流す目の前の人間。
ロンが走り寄ろうとする。

僕はその小さな体をバリアと全力で引き留める。

でないと彼はホセ、あるいは画面越しのBHに殴りかかりかねない。
もっと最悪なのは、レイジに繋がれた機械を後先考えずに外すことだ。

「ロン」
「うるせえ、離せ!くそ!!!」
「ロン、待て」

「離せって」






「言ってんだろうが!!!」




瞬間、僕のバリアが、拘束が破られた。
盗賊のスキル、縄抜けがこんな時に覚醒してしまった。

何故こんな肝心な時に居ないんだサムライ、まだ門番の奴ら程度にてこずっているのかあの無能め、と罵った所で目下僕に存在する罵倒対象は愚かなロンと無力な僕と、ロンをまた勝手なことをして振り回したレイジとにやにやと不気味な笑みを浮かべているホセとBHしか居ない。


「レ イ ジ」


ロンは覚醒した状態のままレイジの配線に手をかける。
盗賊ならば手先が器用でずる賢いことが多い、それならば配線をうまく切ったりその術を敵からうまく訊き出したりそうでなくとも敵の卑劣な考えに共感・理解を示し推理することができると考える者もいるかもしれないがロンはそうではない。

不器用で真っ直ぐなんだ。

普段なら、レイジ、僕、サムライにとってはそれは好ましいことだったけれど。
特にレイジや僕はとうに失った部分が羨ましかったけれど。

それでも、今は、そういった気質が、

『エラーが発生しました』

ーーーーーー仇となるんだ。

「……レイジ…?」

口から煙を吐き、聞き取れない呟きすら止まったレイジ。
ロンがそんなレイジに手を伸ばした、その時。


「まさにヒーローですねえ、ロンくん」


鋼鉄の塊。否、ホセが、ロンに襲い掛かった。


【続】





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最終更新日  2018.10.28 22:10:08
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