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2009年04月25日
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テーマ: お勧めの本(8030)
カテゴリ: 雑記・近況
 上橋菜穂子さんの守り人シリーズの話です。「来訪編」と「帰還編」の2冊でひとつの話になっています。
 作中に、「虚空の旅人」に登場したサンガル王家の新王即位の儀式が巷の話題としてでてきますから、「虚空の旅人」と同じ時期の話とわかります。

 「神の守り人」は、おもにロタ王国を舞台にした物語です。新ヨゴ皇国との国境に近いロタ王国のシンタダン牢城で、超自然的な虐殺事件が起こったことにはじまり、異界ノユーク(新ヨゴ皇国のナユグ)の季節の変化、ロタ王国の建国の事情などがからんできます。
 ノユークの恐るべき神タルハマヤを身の内に宿した少女アスラ。「精霊の守り人」でチャグムが一方的に異界の生物に選ばれたのに対して、アスラがタルハマヤを宿すに至った経緯には、ロタ王国の民族問題を背景にした人間たちの思惑がからんできます。

 恐るべき力を宿した危険な子供を殺すべきか否か……。いままでにいくつもの作品に描かれてきた命題で、「来訪編」を読んでいるときには、そういう話かと思いました。
 でも、最後まで読むと、それだけでは収まらない話だとわかりました。
 殺すべきか助けるべきか……という選択をしなければならないのは、周囲のおとなだけではありません。アスラ自身もしなければならないのです。助けたい人を助けるためや、「悪い人」をこらしめるためにタルハマヤを呼び出すのは、正しいのか否かという選択を。
 アスラの属するタルの民は、ロタ王国で差別され、虐げられており、アスラの母もいわばその差別の犠牲者です。そのタルの民を救うため、虐げているロタ人を殺すのは正しいのか? 殺されようとしている者を救うため、殺そうとしている者を殺すのは正しいのか?……という選択を、12歳の少女が迫られるのです。おとなでも、同じ状況で正しい判断を下すのは難しいのに。

 読んでいて、現実の世界での内戦や民族問題を連想しました。
 あとがきで、2001年の同時多発テロ以前に書いた話で、あのテロ事件に触発されて書いたわけではないと説明されていましたが、わたしはべつに、あの同時多発テロ事件は連想しませんでしたね。それよりも、思い浮かんだのは、経済格差や民族の違いによる対立が延々とつづいている国々のことです。
 そういう点では、いままでの話以上に、考えさせられる要素の多い話でしたね。
 おとなが読んでもおもしろかったけど、若い世代に読んでほしい話でもありますね。


神の守り人(来訪編)


神の守り人(下(帰還編))





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最終更新日  2009年04月25日 18時26分55秒
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