Mr. Cats' Gardenのブログ あるいはニャンスケの生活と意見
2026
2025
2024
2023
2022
2021
2020
2019
2018
1月
2月
3月
4月
5月
6月
7月
8月
9月
10月
11月
12月
全1件 (1件中 1-1件目)
1
ニャンスケ一行、ヘンデル作曲のオペラ リナルド を観る。2019/11/29 北とぴあ国際音楽祭2019, 北とぴあさくらホ-ル,. 演出:佐藤美晴、指揮・ヴァイオリン:寺神戸亮、管弦楽:レ・ボレアード〔オリジナル古楽器を使用する日本の楽団) 出演者: リナルド:クリント・ファン・デア・リンデ、アルミレーナ:フランチェスカ・ロンバリデイ・マッズーリ, ゴッフレード:布施奈緒子, エウスターツイオ:中嶋俊晴, アルカンデ:フルヴィオ・ベッティーニ、魔法使い:ヨナタン・ド・クースター<ヘンデルについて> ヘンデルというと、宗教曲を思い浮かべる。教会のオルガニストであり、その演奏曲を自ら作る作曲家。バッハと似た傾向の音楽で、バッハよりチョット変に明るく軽い感じ。。。。これが今までの、つまり、親兄弟が発するオルガン・ピアノ・フルートの音の洪水の中で、宿主が何とか生き延びてきた頃から、宿主の寄生猫ニャンスケが誕生以来、何とも思わずに受け入れていた固定観念であった。ヘンデルがオペラ作曲してた!?!宿主が中学生の頃1960年代前半、高校入試は英・数・国・理・社・保健体育・職業家庭・美術・音楽の9科目の総合点で行われた。あの頃、ヘンデルはオペラの作曲家と答えたら大バツバツで、希望校不合格の憂き目も余儀なくされたかも知れない。 いつも通り、宿主は、今日見る芝居が何かも知らないまま劇場に行き、観てから何じゃこれと、慌ててネット検索。。ニャンスケはそのパターンになれているものの、観劇後、宿主が慌てて調べている過程を見ながら愕いた。ヘンデルのオペラ、ヘンデルはオペラから書き始めた。しかも二十歳過ぎ、親に求められた法律家への道の傍らで、。。その後オルガニストになりオラトリオも始める。この様なヘンデルの経歴は今まで全く知らなかった。 そして、ヘンデルとイギリス:ドイツ人だと思っていたら、何と、生涯とその活動の大部分をイギリスで過ごしそこで没した人だったのだ。北ドイツ地方ハノーヴァー候に宮廷楽長として召し抱えられていたヘンデルは、1710年25才の時、ハノーヴァー候をイギリス国王の後継に、というイギリス側の動きに呼応する形で、ハノーヴァーからイギリスにいわば調査団あるいは工作員のような意味合いで派遣される。主舞台をドイツからイギリスに移し、以後生涯ロンドン在住。イギリスでの初めのオペラがリナルド。つまり今回のオペラ。 その後、ハノーヴァー候がジョージ1世として英国ハノーヴァー朝が開かれたときから、ヘンデルはハノーヴァー朝に寄り添って生涯英国人として過ごしたという。ヘンデルの音楽はいろいろ聴いていてつもりだったが、殆どが教会音楽・宗教曲で、他の世界が広いことを全く知らなかった。イギリスの音楽がヘンデルによって締められていたことも。 ヘンデルのオペラは死後、上演されずに埋もれていて、ヘンデルのオペラが定常的に上演されるようになって来たのは1980年代に入ってからだそうである。ということは、ニャンスケや宿主が音楽を離れていた頃に、ヘンデルオペラが大衆に再認知されてきたと言うことなのであろう。「知らなくっても仕方が無かったのだよ」と、何だか感じる喪失感!<ヘンデルオペラ初見> ストーリーその他をここでダイジェストすることは止めよう。後に掲載したパンフレットコピーにまとめられている。 率直な感想。目茶苦茶に良かった。楽隊が部台上にいるセミ・ステージ形式で上演され、オラトリオやカンタータに動きがついた、と言うべきなのだろう。しかし、その動きが充分に演劇になっている。そして「目から鱗」と言ったら良いのか、知らなかった事実が目の当たりに。 ハイテナーとヴァイオリンがカノンで絡む、アルトとチェロもカノン風で絡む、そんな構成がのっけから続くのである。2019/5/30の本稿観劇記で、「モーツアルトは、肉声・歌唱を楽器の一つとしてオペラを構成している。これは、独自の世界」というようなことを書いた。これは違ったのだ。元は既にヘンデルに顕著だったのだ。モーツァルトは父と共にヨーロッパ各地を廻っていたが、同時にヘンデルの楽譜も熱心に研究していたという。 ヘンデルのオペラ、室内楽と歌唱の絡みが絶妙、さらには、指揮・ヴァイオリンの寺神戸始め奏者と演者との絡みなどもあり、エンタテイメントとしてできあがっている。サラセンに向かう十字軍、ヘナチョコな十字軍騎士リナルドは、おだてられて大活躍、サラセンからエルサレムを開放する。そしてサラセンの大将もクリスチャンに改宗してみんな仲良く万々歳。と言うたわいもない気楽に楽しめるお話なのだが!<教えられたヘンデルの凄さ> ヘンデルは法律家であり音楽家であり、戦略課であった。ハノーヴァー候の斥候のような形で戦略的にイギリスに渡り、オペラで政治的プロパガンダをやった。つまり、オペラ「リナルド」は十字軍のサラセンとの戦いという故事に乗っ取りながら、「ハノーヴァーはイギリスからローマ法王庁の残渣を追い払い、プロテスタンティズムを確固たるものにします」というメッセージを伝えたのだ。この芝居が大好評で、それがジェースムス一世誕生の露払いをやったと言うことなのだそうである。 歌舞伎の仮名手本忠臣蔵は、吉良への仇討ちを行った卑近の事件を鎌倉時代に置き換えることで、幕府からの圧力をかわして、大衆大喜びの大当たりの娯楽となった。リナルドは、これからやろうとする政権委譲の受容準備を、十字軍の古事になぞらえた美談を用いで行ったのだ。 オペラ楽曲構成の完備さは既に述べた通り。要するにヘンデルという人は、オペラの楽しさをモーツアルトに示唆するような音楽の大天才でアルト共に、ハノーヴァー朝の露払いをやってのける抜群の政治力と構想力を持った、とんでも無い政治的鬼才でもあったのだ。<佐藤美晴・寺神戸亮・北区文化振興財団> 器楽演奏と歌の絡みは、作曲された楽曲だけでなく演出/演技面でも可能ではないか?演技に絡めて演奏上のアドリブも仕組めるのではないか?日本のオペラ事情を何とかしようと立ち上がったオペラこんにゃく座の新作への展開の中で、なぜ器楽演奏と演技に絡みが出ないのか?疑問に感じていた。今回の「リナルド」はそれを見事にやってのけていた。 今回の上演は1711年初演の時の舞台と音の再現を試みたもののようであった。それは、見事に成功していた。そして手作り感満載の舞台となって、観客の身近に迫る。演出の力・それに応える奏楽者と演技者のエンタテイメント力・そしてこの上演をアレンジしたスポンサーの連携なのであろう。 偶々、オペラ卒塔婆小町に続いて、2作続いて、女流斬新演出に触れることができた。わざわざ女流としたのは、やはりこの2作の斬新さに、女性のスパッと切れ味の良い感性がビビッドに難じられるからなのだ。<参考資料1。図など>参考図 1: リナルドの主要人物の関係と、ハノーヴァー朝誕生前のイギリス内の力関係。三ヶ尻正しによる。場内配布パンフレットより。参考図 2:宣伝パンスレットより、あらすじ、指揮者の言葉、演出家の言葉。参考図 3:チケット半券 宿主のポケットから拾ったもの<参考資料 2> 楽天経由でリナルドヘンデル:歌劇《リナルド》 [DVD, 日本語解説付き]ナクソス ミュージックストアヘンデル: 歌劇「リナルド」 [DVD+2CD][DVD] / オペラCD&DVD NEOWINGヘンデル 生涯と芸術 / ロマン・ロラン/村田武雄(訳) 【中古】Handel【電子書籍】[ Romain Rolland ]Handel【電子書籍】[ Romain Rolland ]
2020.01.29
コメント(0)